(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023321
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】風力発電装置のロータブレードの取り扱い装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/40 20160101AFI20161027BHJP
【FI】
F03D13/40
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-518940(P2015-518940)
(86)(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公表番号】特表2015-522114(P2015-522114A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2013061566
(87)【国際公開番号】WO2014005781
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】102012211877.2
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】リュルカー、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ブレナー、アルブレヒト
【審査官】
田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−216317(JP,A)
【文献】
特表2005−524562(JP,A)
【文献】
特表2011−521156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(1a)を備える風力発電装置のロータブレード(21)の取り扱い装置であって、
前記ロータブレード(21)を少なくとも部分的に取り囲み、保持するための少なくとも1つの本体(1)と、
前記本体(1)を回転可能に受け入れるための少なくとも1つのメインフレーム(4)と、を備え、
前記本体(1)は、前記ロータブレード(21)の少なくとも1つの側で把持するために旋回可能に支承された少なくとも1つの旋回部分(2)を有し、
さらに、前記風力発電装置のロータブレード(21)を当該装置内に固定するための少なくとも1つの固定ユニット(30)を有し、
当該固定ユニット(30)は、第1と第2の部分(31,32)を有し、
前記第1の部分(31)は前記本体(1)の第1の端部に、前記第2の部分(32)は第2の端部に設けられており、
前記固定ユニット(30)は、固定ボルト(25)を前記風力発電装置のロータブレードに、ないし前記風力発電装置のロータブレードの中に受け入れるよう構成されている、装置。
【請求項2】
前記本体(1)は、C字形に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記メインフレーム(4)は、前記本体(1)を回転可能に支承するための少なくとも2つの軸受ローラ(8)を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記メインフレーム(4)は、当該メインフレームを担持するための少なくとも1つの支持手段(5)および/または当該装置を地面(11)ないしレールシステム上で移動するための車輪を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記メインフレーム(4)は、前記本体(1)を回転し、および/または前記本体を長手方向および/または横方向に走行するための少なくとも1つの駆動手段(6)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記本体(1)および/または前記メインフレーム(4)は、フックを吊りかけるための少なくとも1つの担持領域(9)を有する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1と第2の部分(31,32)は、前記風力発電装置のロータブレードが当該装置に導入されるときに、前記固定ボルト(25)をロックするためにそれぞれ1つのロックボルト(33,34)を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記旋回部分(2)は、前記ロータブレードに固定されたロータブレード固定ユニット(26)をロックするためにロッキングラッチ(2a)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置のロータブレードの取り扱い装置、とりわけロータブレードを保持し、回転および/または並進運動を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータブレードの建造および製造は、使用箇所におけるその最終組み付けまでが複数の作業および処理工程で行われる。この作業中にロータブレードは、ロータブレードにある種々の領域に、実施すべき作業のために接近できるようにするため、何回も持ち上げ、回転し、ずらし、締め直さなければならない。前記作業工程は、ロータブレードの寸法が大きくなると、ますます困難になり、作業および時間コストがますます増大することとなり、このことは製造すべきロータブレードの経済性に不利な影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2003/057528A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術から、ロータブレードを締め付けるための、固定的にアンカリングされた保持装置が公知である。この保持装置の欠点は、この保持装置がただ1つの処理位置ないし処理区間に沿った作業の実施のためにだけ設けられており、別の処理区間に沿った作業の実施のためにはロータブレードを解き放ち、搬送し、再び締め付けなければならないことである。さらに公知の保持装置は、比較的小型のロータブレードの締め付けおよび保持にしか適しない。そのため、搬送作業の実施を可能にする持ち上げおよび据え替え装置(Hebe- und Umspannvorrichtungen)が必要である。さらに地面に固定的にアンカリングされた締め付け装置(Einspannvorrichtungen)は可動ではなく、そのためロータブレードを完成後にこの締め付け装置から解放し、持ち上げおよび据え替え装置によって車両に搬送しなければならない。そのため、ロータブレードの製造が、ロータブレードの位置を入れ替えるための単なる締め付けおよび据え替えの作業工程であって、ロータブレードの製造工程ないし処理工程ではない作業工程と結び付いている。これらの作業は、ロータブレードの製造時の経済性を不利に損なうこととなる。
【0005】
優先権の基礎となるドイツ特許願では次の従来技術が調査された:WO2003/057528A1。
【0006】
本発明の課題は、ロータブレードのより良い製造、位置の入れ替え、搬送および組み付けのためのロータブレードの取り扱い装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1によるロータブレードの取り扱い装
置によって解決される。
すなわち本発明の第1の視点によれば、長手軸を備える風力発電装置
のロータブレードの取り扱い装置であって、前記ロータブレードを少なくとも部分的に取り囲み、保持するための少なくとも1つの本体と、前記本体を回転可能に受け入れるための少なくとも1つのメインフレームと、を備え、前記本体は、前記ロータブレードの少なくとも1つの側で把持するために旋回可能に支承された少なくとも1つの旋回部分を有
し、さらに、前記風力発電装置のロータブレードを当該装置内に固定するための少なくとも1つの固定ユニットを有し、当該固定ユニットは、第1と第2の部分を有し、前記第1の部分は前記本体の第1の端部に、前記第2の部分は第2の端部に設けられており、前記固定ユニットは、固定ボルトを前記風力発電装置のロータブレードに、ないし前記風力発電装置のロータブレードの中に受け入れるよう構成されている、装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明では以下の形態が可能である。
(形態2)前記本体は、C字形に構成されていることが好ましい。
(形態3)前記メインフレームは、前記本体を回転可能に支承するための少なくとも2つの軸受ローラを有することが好ましい。
(形態4)前記メインフレームは、当該メインフレームを担持するための少なくとも1つの支持手段および/または当該装置を地面ないしレールシステム上で移動するための車輪を有することが好ましい。
(形態5)前記メインフレームは、前記本体を回転し、および/または前記本体を長手方向および/または横方向に走行するための少なくとも1つの駆動手段を有することが好ましい。
(形態6)前記本体および/または前記メインフレームは、フックを吊りかけるための少なくとも1つの担持領域を有することが好ましい。
(形態7)さらに、前記風力発電装置−ロータブレードを当該装置内に固定するための少なくとも1つの固定ユニットを有し、当該固定ユニットは、第1と第2の部分を有し、前記第1の部分は前記本体の第1の端部に、前記第2の部分は第2の端部に設けられており、前記固定ユニットは、固定ボルトを前記風力発電装置−ロータブレードに、ないし前記風力発電装置−ロータブレードの中に受け入れるよう構成されていることが好ましい。
(形態8)前記第1と第2の部分は、前記風力発電装置−ロータブレードが当該装置に導入されるときに、前記固定ボルトをロックするためにそれぞれ1つのロックボルトを有することが好ましい。
(形態9)前記旋回部分は、前記ロータブレードに固定されたロータブレード固定ユニットをロックするためにロッキングラッチを有することが好ましい。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号はもっぱら理解を助けるためであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
したがって風力発電装置のロータブレードの取り扱い装置が設けられる。この装置は、長手軸を備えるロータブレードを少なくとも部分的に取り囲むための少なくとも1つの本体と、前記ロータブレードに宛がうための少なくとも1つの当接部分と、前記本体を受け入れ、前記長手軸を中心に前記本体を回転するための、および/または前記本体をスライド移動するための少なくとも1つのメインフレームとを有する。前記本体は、前記ロータブレードの少なくとも1つの側で把持するために旋回可能に支承された少なくとも1つの旋回部分を有する。この旋回部分は、実質的に、前記本体に旋回可能に支承されたアーチ部(Buegel)とすることができ、このアーチ部はロータブレードと接続することができる。
【0009】
本体は、ロータブレード、とりわけ風力発電装置のロータブレードを受け入れるように構成することができる。ロータブレードは完全にまたは少なくとも部分的に本体によって取り囲まれる。本体は、ロータブレードの長手軸を中心にロータブレードを少なくとも部分的に取り囲み、実質的に、把持するための構成を有する。
【0010】
旋回部分は、ロータブレードの降下の際、またはロータブレードの位置決めの間、ロータブレードに係合する。旋回部分は、好ましくは1つの適合されたドッキング領域を有し、このドッキング領域は、ロータブレードに相応に設けられた領域と接続形成するように構成されている。ドッキング領域は、好ましくは、ピン形状に構成されており、旋回運動によってロータブレードに挿入することができる。またはロータブレードは、旋回部分およびドッキング領域がそのためにロータブレードに設けられた領域の下方に存在し、ロータブレードの挿入領域に導入されるように降下することができる。旋回部分のドッキング領域とロータブレードとの接続が形成された後、接続が確保される。この確保は、例えば、ネジ接続またはラッチエレメント(Einrastelement)によって行われる。
【0011】
さらに本体は、ロータブレードに宛がうための少なくとも1つの当接部分を本体内に有することができる。この当接部分は、ロータブレードの当接時にロータブレードの表面が損傷されないようにするため、弾性材料から作製された当接面を有することができる。この当接部分は、本体内に配置することができ、および/または補助アーム(複数)を有する。この補助アームは、本体に取り付けられているが、それらの端部(複数)にロータブレードの当接を可能にする当接部分(複数)を有する。当接部分は、この当接部分の位置がロータブレードの位置に対応して適合され、ロータブレードをこの当接部分上に支持することができるように構成することができる。そのために補助アームは可動に構成することができ、所望の位置に到達する際に係合され、これによりロータブレードを支持ないし担持(Tragen)する。さらに当接領域は、ブレード表面に完全にアクセスできるようにするため、ブレードから離脱運動することができる。本体は、メインフレーム上に回転可能および/または旋回可能に支承されている。回転運動を実施するために、本体は実質的に滑らかな外表面を有することができ、この外表面は軸受ローラと共にメインフレーム上での回転運動を可能にする。その際に回転運動は、軸受ローラを介して摩擦的および/または形状的に結合して、例えばチェーンないし歯車を介して伝達することができる。さらに本体は、メインフレームに対する運動を可能にする、メインフレーム上の少なくとも1つのさらなる装置に取り付けることができる。ここで運動は、メインフレームに対して横方向の運動も縦方向の運動も意味する。
【0012】
本発明の装置のさらなる好ましい一実施形態によれば、本体はC字形に構成されている。ロータブレードの受け入れは、閉じた円ではない本体のC字形状部によって特に有利に行われる。なぜなら一方では把持形状が存在し、他方ではメインフレーム上で回転運動を実施するための円形の外形状が存在しているからである。C字形の本体の構成は、とりわけ本体の安定性と強度を高める。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態では、メインフレームは、本体を回転可能に支承するために少なくとも1つの軸受ローラを有する。このために種々の軸受ローラが、本体を回転可能に支承するために使用される。本体は、メインフレーム側で軸受ローラにより支持すべき種々の大きさの転がり面を有する。したがって種々の軸受ローラをメインフレームに配置することができ、これらの軸受ローラは、本体の対応の転がり面と共にメインフレーム上での本体の回転運動を可能にする。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態によれば、メインフレームは、メインフレームを担持するための少なくとも1つの支持手段、および/または当該装置を地面またはレールシステム上で移動するための車輪を有する。メインフレームにある支持手段は、メインフレームを担持(Tragen)し、地面にメインフレームを支持するために使用される。メインフレームは、地面ないしレールシステム上での当該装置の並進運動を可能にする車輪を有することができる。好ましくはメインフレームは、並進運動を実施するために支持手段と車輪の両方を有することができる。ここで支持手段は、当該装置が所定の位置に達する際に繰り出すことができ、これにより当該装置は確実に位置決めされ、さらなる運動が阻止される。これは例えばスワップボディシステム(Wechselbrueckensystem)の形で実現することができる。並進運動を実施できることは、とりわけロータブレードの加工処理および製造のために種々の取り扱い区間に沿ってロータブレードを搬送する場合に有利であり、これによりロータブレードをさらなる搬送手段に移し替え、ないし締め直す必要がない。
【0015】
本発明のさらなる好ましい一実施形態では、メインフレームは、本体および/またはメインフレームを移動するために少なくとも1つの駆動手段を有する。駆動手段として、とりわけ回転電気機械(複数)が使用される。これらの回転電気機械は、一方ではメインフレーム上での本体の回転運動を実施するために、他方では周囲に対するメインフレームの並進運動を実施するために用いられる。さらに駆動手段は、メインフレーム上で装置の並進運動を実施するためにも使用される。この変形例では、横方向および/または縦方向に走行可能な装置がメインフレーム上に設置され、本体はこの装置上に支承される。これにより、メインフレームが地面の上に固定されていても、本体の並進運動が、メインフレームに対する当該装置の移動によって可能になる。メインフレーム上で装置が本体と共に並進運動する場合、実質的に運動は、メインフレームに沿った運動および/またはメインフレームに対して横方向の運動、すなわち本体の長手軸に沿った運動および/または長手軸に対して横方向の運動、かつ実質的に地面に対して平行の運動であると理解すべきである。前記の変形例は、メインフレームがレールシステム上で走行され、メインフレームの横方向運動が実施可能でない場合に特に有利に使用される。
【0016】
本発明の好ましい一実施形態では、本体および/またはメインフレームは、例えばフックを吊り下げるための少なくとも1つの担持領域(Tragebereich)を有する。この可能性は、さらなる位置、取り扱い区間または組み付け場所に搬送するためにロータブレードを手間暇掛けて締め直す過程を省略するものであり、したがってロータブレードと共にメインフレームをフックで係合し、持ち上げることができる。
【0017】
本発明のさらなる一実施形態によれば、当接部分の少なくとも1つが本体または補助アームに回転可能に支承されている。本体または補助アームでの当接部分の回転可能な支承は、ロータブレードに宛がう際のこの当接部分の柔軟性と適合能力を高める。したがって、当接部分に宛がうべきロータブレードの選択された箇所に応じて、この当接部分はロータブレード表面に適した相応の配向を取ることができる。好ましくは回転可能な、または/および補助アームの設けられた当接部分は、本体に取り付けられている。ここでロータブレードは、降下の際に固定的に位置決めされた当接部分に先ず宛がわれ、さらなる工程で可動の当接部分が適切なロータブレード表面に適合するよう宛がわれる。
【0018】
本発明は同様に、風力発電装置のロータブレードを回転および/または移動するための方法に関する。この方法は以下の工程を有する:ロータブレードを本体内に降下する工程、少なくとも1つの当接部分をロータブレードに宛がう工程、ロータブレードを当接部分の少なくとも1つに支持し、これに固定する工程、ロータブレードを本体の回転によって本体の長手軸を中心に回転する工程、および/またはメインフレーム上での本体の移動によっておよび/または周囲に対するメインフレームの移動によってロータブレードを移動する工程。前記方法は好ましくは、ロータブレードの製造時に、および/またはロータブレード、とりわけ風力発電装置のロータブレードの形成フェーズ(Entstehungsphase)において個々の作業工程を実施する際に使用される。そのために先ず、風力発電装置のロータブレードまたは風力発電装置の未完成のロータブレードが本体内に降下され、または製造すべきロータブレードの一部分が本体内に降下され、または縦方向に本体内に導入され、これによりロータブレードは少なくとも部分的に本体内に配置される。続いて少なくとも1つの当接部分がロータブレードに宛がわれ、ロータブレードは、当接部分の少なくとも1つにより支持され、これに固定される。ここで当接部分(複数)は、ロータブレードの表面に宛がう際に相応の適合を実施できるよう可動に構成されている。このために当接部分は、ロータブレードに適合して宛がうために相応の運動を可能にする補助アームを有する。前記工程の後、ロータブレードでの作業を実施することができ、ロータブレードは取り扱い区間に沿ってさらに加工処理することができ、種々の構造的コンポーネントおよび材料を設けることができる。前記作業工程の実施中に必要に応じて、本体の回転によって本体の長手軸を中心にロータブレードを回転し、および/またはメインフレーム上で本体を移動することによって、および/または周囲に対してメインフレームを移動することによってロータブレードを移動する。ここではメインフレーム上で本体を回転または移動することにより、種々の側から作業の実施のためにロータブレードにアクセスされる。加えて、メインフレームを周囲に対して移動することができ、これによりロータブレードを、取り扱い区間に沿ってまたはこれに対して横方向に走行し、位置決めすることができる。メインフレーム上での本体の回転運動は両方向で行うことができ、ロータブレードの幅ないし本体からのロータブレードの突き出し程度に応じて場合により制限することができる。したがって本体およびロータブレードの完全な一回転を実施することはできない。
【0019】
本発明のさらなる方法では、2つの付加的な工程がロータブレードの位置決めおよび固定のために使用される。この方法では、本体の方向での降下後にロータブレードが先ず旋回部分と接続される。これにより旋回部分はロータブレードに脱着自在に接続される。そのためにとりわけ旋回部分にあるドッキング領域が使用される。このドッキング領域は、受け入れ領域に対応してロータブレードに適合されており、したがってドッキング領域をそのためにロータブレードに設けられた領域に取り付けることが可能になる。旋回部分および/またはドッキング領域をロータブレードに取り付けた後、旋回部分および/またはドッキング領域はロータブレードに脱着自在に固定される。この工程で、ドッキング領域はロータブレードに入り込むよう案内され、ロータブレードの他方の側から突き出ることができる。これにより、ドッキング領域を引き続き相応の固定手段によって確保し、ロータブレードと接続することができる。このようにして、固定手段が解除されないのに、ロータブレードが取り出され、ないし落下するのが阻止される。少なくとも1つの当接部分をロータブレードに宛がった後の次の工程は、ロータブレードを当接部分の少なくとも1つにより支持し、これに固定する工程である。これは前記の方法と同様である。ここでは本体に対してロータブレードの2つの異なる位置から出発することができる。第1の変形例では、旋回部分の取り付け時にロータブレードがすでに部分的に本体内に存在する。第2の変形例としては、旋回部分が開かれた際に、ロータブレードを旋回部分に取り付け、固定し、引き続き旋回部分の旋回によって本体内に入り込むよう運動ないし旋回し、そして引き続きロータブレードを当接部分の少なくとも1つにより支持し、固定する。
【0020】
さらなる本発明の方法によれば、すでに前に述べた変形例、すなわちロータブレードが本体内にすでに部分的に配置されており、当接部分に宛がわれている場合に、旋回部分と接触される。この方法では、ロータブレードが本体内にすでに部分的に配置されており、したがって本体内で旋回部分に固定した後は回転がもはや不要である。
【0021】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の記述および図面に示された一実施例の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の斜視図である。
【
図3B】第1実施例によるロータブレードの取り扱い装置の概略図である。
【
図4】
図1の装置をロータブレードと共に示す側面図である。
【
図5】第1実施例による
図1の装置をロータブレードと共に示す平面図である。
【
図6】第2実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の正面図である。
【
図8】第2実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の斜視図である。
【
図9】第2実際例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の概略的断面図である。
【
図10】第2実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の概略的断面図である。
【
図11】第2実施例によるロータブレードの取り扱い装置をロータブレードと共に示す概略的正面図である。
【実施例】
【0023】
同じ要素または機能的に等価の要素には全ての図面において同じ参照符号が付してある。
【0024】
図1は、第1実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の斜視図である。この装置は、2つのC字形エレメントを備える本体(例えば回転リングの形)を有し、これらのエレメントは横棒(複数)を介して互いに接続されている。旋回部分ないし旋回アーチ部(Schwenkbuegel)2は、C字形回転リングの第1の端部を互いに接続する。本体1は、例えば軸受ローラ8によってメインフレーム4上に回転可能に支承されている。本体1には当接部分(複数)3が設けられており、これらの当接部分は部分的にないし任意選択として補助アーム(複数)10を有する。これらの補助アームは回転可能ないし旋回可能に本体1に取り付けられている。当接部分3はベルト支持部として構成することができ、本体1に降下ないし導入されるロータブレードに宛がうために設けられている。本体1は、第1の大きな転がり面7と第2の小さな転がり面12を有する。第1と第2の転がり面7と12は、メインフレーム4に配置された軸受ローラ8と共に、メインフレーム4上で本体1を回転するための接続を形成する。第2の転がり面12は、駆動手段6を介して駆動される軸受ローラ8との接続(コンタクト結合)を形成し、駆動手段6を介して本体1の回転運動の実施のために駆動することができる。駆動手段6は、メインフレーム4上に組み付けられており、メインフレーム4は支持手段5によって地面の上に設置することができる。あるいはそのために、交換ブリッジ(スワップボディ、Wechselbruecken)を設けることもできる。メインフレーム4は、担持、持ち上げ、搬送のために担持領域(Tragebereiche)9を有し、これらの担持領域は対応のフックと連結することができ、例えばクレーンによって持ち上げることができる。
【0025】
旋回部分ないし旋回アーチ部2は、ロータブレードに組み付けられたボルト13を受け入れることができ、これによりロータブレードは旋回アーム2に固定される。ボルト13の旋回アームでの固定は、例えば回転支承されるディスクによって行うことができ、ここでディスクの回転運動によってボルト13は自動的にロックされる。ここでディスクは、例えばロッキングラッチ(Sperrklinke)として構成することができる。
【0026】
図2は、
図1の装置の一断面を示す。付加的にロータブレード21が本体1内に設けられている。ロータブレード21は旋回部分2と接続されている。ここでは旋回部分2にあるドッキング領域13が所定の領域をもってロータブレード21に係合されており、これによりロータブレード21は旋回部分2に吊り下げられる。
図2のロータブレードは、当接部分3との接続をまだ形成していない。本体1はロータブレード21も含めてメインフレーム4上に回転可能に支承されており、メインフレーム4は支持手段5を介して地面11上に載置されている。
【0027】
図3Aは、
図1の装置の正面図(端面図)である。ここではとりわけ旋回部分2にあるボルト13が明白に図示されている。ボルト13はロータブレードに組み付けられ、ロッキングラッチ2aによって旋回部分2に固定される。ロッキングラッチは回転可能に支承されたディスクとして構成されており、このディスクの回転運動は自動的にロッキングラッチにおけるボルトのロックにつながる。これによりロータブレードの各任意の長手軸回転位置においてロックが可能になる。例えばバネの対抗力によって、ロックされた回転位置を再び解除することができる。
【0028】
図3Bは、第1実施例によるロータブレードの取り扱い装置の概略図を示す。ロータブレードリフティング環26は、例えばボルト13によってロータブレード21に固定することができる。ロータブレードリフティング環26は、1つのストッパ面27と2つの突起28を有する。ストッパ面27と突起28によって、ロータブレードリフティング環26はロッキングラッチ2a内に固定される。そのためにロッキングラッチ2aは、第1の切欠部2bと第2の切欠部2cとロックボルト2eとを有する。ロッキングラッチ2aのロック位置では、突起28が切欠部2b内に存在し、ボルト2eが切欠部2c内にロックされる。
【0029】
図4は、第1実施例による本発明の装置のさらなる側面とロータブレードを示す。ロータブレード21は本体1内に配置されており、本体1によりメインフレーム4上に回転可能に支承されている。
【0030】
図5は、第1実施例による装置をロータブレードと共に示す平面図である。ロータブレード21は本体1内に配置されており、メインフレーム4は本体1を支持する。
図5は、旋回部分2のロータブレード21へのドッキングを明確に示し、ロータブレード21が本体1または旋回部分2によって完全には取り囲まれていないことを示している。さらにロータブレードは、
図4と比較して90°回転されている。
【0031】
当接部分3は1つの当接面を有することができる。この当接面は、ロータブレードに宛がう際にロータブレードの表面を傷付けないよう弾性の材料から作製されている。当接部分3は本体に設けることができる。および/または当接部分は、本体に固定された補助アームを有し、しかもこれらの補助アームの端部に、ロータブレードに宛がうことを可能にする当接部分を有する。当接部分3は、この当接部分の位置をロータブレードの位置に対応して適合することができ、ロータブレードをこの当接部分上に支持できるように構成することができる。そのために補助アームは可動に構成することができ、所望の位置に達する際に係合され、これによりロータブレードを支持ないし担持する。
【0032】
本体1は、メインフレーム上に回転可能および/または縦(長軸)方向に走行可能に支承されている。回転運動を実施するために、本体は実質的に滑らかな外表面を有することができ、この外表面は軸受ローラと共にメインフレーム上での回転運動を可能にする。さらに本体は、メインフレームに対する運動を可能にするメインフレーム上の少なくとも1つのさらなる装置に取り付けることができる。ここでは、メインフレームに対して横方向の運動も縦方向の運動も可能にすることができる。
【0033】
この旋回部分は、実質的に、前記本体に旋回可能に支承されたアーチ部とすることができ、このアーチ部はロータブレードと接続することができる。この旋回部分は、ロータブレードの降下の際、またはロータブレードの位置決めの間、ロータブレードに係合することができる。旋回部分は、好ましくは、1つの適合されたドッキング領域を有し、このドッキング領域は、ロータブレードに相応に設けられた領域と接続形成するように構成されている。ドッキング領域は、好ましくは、ピン形状に構成されており、旋回運動によってロータブレードに挿入することができる。またはロータブレードは、旋回部分およびドッキング領域がそのためにロータブレードに設けられた領域の下方に存在し、ロータブレードの挿入領域に導入されるように降下することができる。旋回部分のドッキング領域とロータブレードとの接続が形成された後、この接続が確保される。この確保は、例えばネジ接続またはラッチエレメントによって行われる。
【0034】
ロータブレードの受け入れは、閉じてない円を成すC字形状の回転リングによって特に有利に行われる。なぜなら一方では把持形状が存在しており、他方ではメインフレーム上で回転運動を実施するための円形の外形状が存在しているからである。C字形の本体の構成は、とりわけ本体の安定性と強度を高める。
【0035】
メインフレームにある支持手段は、メインフレームを担持し、地面にメインフレームを支持するために使用される。メインフレームは、地面ないしレールシステム上での当該装置の並進運動を可能にする車輪を有する。好ましくはメインフレームは、並進運動を実施するために支持手段と車輪の両方を有することができる。ここで支持手段は、当該装置が所定の位置に達する際に繰り出すことができ、これにより当該装置は確実に位置決めされ、さらなる運動が阻止される。並進運動を実施できることは、とりわけロータブレードの加工処理および製造のために種々の取り扱い区間に沿ってロータブレードを搬送する場合に有利であり、これによりロータブレードをさらなる搬送手段に移し替え、ないし締め直す必要がない。
【0036】
駆動手段として、とりわけ回転電気機械が使用される。これらの回転電気機械は、一方ではメインフレーム上での本体の回転運動を実施するために、他方では周囲に対するメインフレームの並進運動を実施するために用いられる。さらに駆動手段は、メインフレーム上で装置の並進運動を実施するためにも使用される。この変形例では、横方向および/または縦方向に走行可能な装置がメインフレーム上に設置され、本体は当該装置上に支承される。これにより、メインフレームが地面の上に固定されているにもかかわらず、本体の並進運動が、メインフレームに対する当該装置の移動によって可能になる。メインフレーム上で装置が本体と共に並進運動する場合、実質的に運動は、メインフレームに沿った運動および/またはメインフレームに対して横方向の運動、すなわち本体の長手軸に沿った運動および/または長手軸に対して横方向の運動、かつ実質的に地面に対して平行の運動であると理解すべきである。前記の変形例は、メインフレームがレールシステム上で走行され、メインフレームの横方向運動が実施可能でない場合に、特に有利に使用される。
【0037】
本体または補助アームでの当接部分の回転可能な支承は、ロータブレードに宛がう際の当接部分の柔軟性と適合能力を高める。したがって、当接部分に宛がうべきロータブレードの選択された箇所に応じて、この当接部分はロータブレード表面に適した相応の配向を取ることができる。好ましくは回転可能な、または/および補助アームの設けられた当接部分は本体に取り付けられている。ここでロータブレードは、降下の際にまず固定的に位置決めされた当接部分に宛がわれ、さらなる工程で可動の当接部分が適切なロータブレード表面に適合するよう宛がわれる。
【0038】
第2実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置は、実質的に装置のその基本構成において、第1実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置に相当する。ロータブレードの取り扱い装置は、メインフレーム4上に回転可能に支承された本体1を有する。本体1は、C字形またはリング形に構成することができる。したがって例えば本体1は、回転リングとして構成することができる。C字形の構成が有利であるのは、これによりロータブレードを本体に導入することができ、引き続き固定することができるからである。ロータブレードを固定した後は、これを取り扱い装置によって相応に取り扱うことができる。
【0039】
図6は、第2実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の正面図である。第2実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置は、メインフレームと、例えばC字形の本体1とを有し、本体はメインフレーム4上に回転可能に支承されている。第2実施例によれば、固定ユニット30が本体1に設けられている。固定ユニット30は、第1の部分31と第2の部分32とを有することができ、ここで第1の部分31は本体ないしC字形回転リングの第1の端部に、第2の部分32は第2の端部に設けられている。固定ユニット30によって、風力発電装置のロータブレードは本体1に固定することができる。
【0040】
第1の部分31には荷重ボルトないしロックボルト33と回転可能な車輪35が設けられている。荷重ボルト33は、バネ36を介して予付勢することができる。第2の部分32には荷重ボルトないしロックボルト34を設けることができ、これも同様にバネ37によって予付勢することができる。バネ36と37の構成によって荷重ボルト33および/または34は、ロータブレードの導入時にロータブレードの表面に対して常に押圧される。したがってロータブレードは、1つの旋回過程で装置に導入することができる。このことは、比較的に短い水平方向の距離を備えるロータブレードの断面が、ブレードにある差込ボルト(ボルト25、
図9)の高さでは、以前の断面の比較的に大きな距離に対してアンダーカット形状(Hinterschneidung)であったとしても行うことができる。
【0041】
ロックボルト33,34は、上に述べたようにバネによって予付勢することができる。あるいはその代わりにロックボルトは駆動によって、これらが差込ボルト(
図9のボルト25)の上方で当接し、これにより差込ボルト25をロックするように作動することもできる。このことの利点は、これによりロータブレードのロックが取り扱い装置の内部で可能になることである。
【0042】
図7は、
図6の装置の断面を示す。第2実施例による取り扱い装置は、メインフレーム4と、この上に回転可能に支承され、ロータブレードを受け入れるための本体1と、固定装置30とを有する。固定装置30は、第1と第2の部分31,32を有する。固定装置30の第1の部分31は、荷重ないしロックボルト33と、回転可能な車輪35と、例えば荷重ボルト33を予付勢するためのバネ36とを有する。第2の部分32も同様に、ボルト34と、このボルトを予付勢するためのバネ37とを有する。これらの荷重ボルト33,34によって、ロータブレードを取り扱い装置にロックすることができる。
【0043】
図8は、第2実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の斜視図である。この取り扱い装置は、メインフレーム4と、この上に回転可能に支承された本体1とを有する。本体1は、例えばC字形およびリング形の2つの回転リングから成り、これらの回転リングは開口部を有しており、この開口部を通して風力発電装置のロータブレードを導入することができる。C字形の回転リングには、第1と第2の固定部分31,32を備えるそれぞれ1つの固定ユニットが設けられている。
【0044】
図9は、第2実際例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の概略的断面図である。第2実施例による取り扱い装置は、メインフレーム4と、この上に回転可能に支承され、風力発電装置のロータブレードを受け入れ、固定するための本体1とを有する。第2実施例によれば、風力発電装置のロータブレード21は、少なくとも1つの固定ストラット(Befestigungsstrebe)または固定ボルトないし差込ボルト25を有し、これは風力発電装置−ロータブレードの圧力側と吸引側との間に延在し、それぞれそれらを超えて延在している。好ましくは2つまたはそれ以上の差込ボルト(固定ストラットないし固定ボルト)が設けられている。このストラット/ボルト25によって、ロータブレード21を固定ユニット30内に組み付け、ないし固定することができる。ここでストラット25の第1端部は固定ユニットの第1の部分31に、ストラットの第2端部は固定ユニット30の第2の部分32に設けられ、ないし組み付けられる。
【0045】
図10は、第2実施例による風力発電装置−ロータブレードの取り扱い装置の概略的断面図である。
図10には、ロータブレード21がちょうど取り扱い装置に導入される状況が示されている。
図10の取り扱い装置は、
図9の取り扱い装置に対応する。
図10に示されるように、ボルト33と34は引き込まれており、これによりロータブレードを導入することができる。
図10でも同様に、ロータブレード21におけるボルト25の位置は、ロータブレードのもっとも厚い箇所ではないことが分かる。
【0046】
図11は、第2実施例によるロータブレードの取り扱い装置をロータブレードと共に示す概略的正面(端面)図である。
図11には、第2実施例による取り扱い装置とその中に存在するロータブレード21とが図示されている。さらに固定ストラット25がロータブレード内に図示されている。ここで固定ストラットの機能は、
図9の固定ストラットに対応する。
【符号の説明】
【0047】
1 本体
2 旋回部分、旋回アーチ部
2a ロッキングラッチ
2b 第1の切欠部
2c 第2の切欠部
2e ロックボルト
3 当接部分
4 メインフレーム
5 支持手段
6 駆動手段
7 第1の転がり面
8 軸受ローラ
9 担持領域
10 補助アーム
11 地面
12 第2の転がり面
13 ボルト、ドッキング領域
21 ロータブレード
25 差込ボルト
26 ロータブレードリフティング環
27 ストッパ面
28 突起
30 固定ユニット、固定装置
31 第1の部分
32 第2の部分
33,34 荷重ボルト、ロックボルト
35 車輪
36,37 バネ