(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取付機構のうち少なくとも一つは、前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディのいずれか一方に設けられ、他方である前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディの端部を差し込んだ状態で保持する差込保持部であることを特徴とする、請求項1の照明装置。
前記取付機構のうち少なくとも一つは、前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディのいずれか一方が有する可撓性を有する爪部と、他方である前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディに設けられ、変形しつつ挿入された前記爪部を係止させる爪係止部と、から構成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の照明装置。
前記取付機構のうち少なくとも一つは、前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディのいずれか一方の少なくとも一部を部分的に折り曲げて形成した椀部と、前記椀部を係止させる腕係止部から構成されたことを特徴とする、請求項1から3のうちいずれかに記載の照明装置。
前記メタルベースFPCは、前記金属製ベースの少なくとも一部を含む屈曲容易部を備え、前記屈曲容易部は、薄肉部、貫通部及び押出部のうち少なくとも1種類以上を有することによって形成されたことを特徴とする、請求項1から4のうちいずれかに記載の照明装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフレキシブル平行配線体は、ボディなどの形状に合わせて折り曲げることは出来るものの、十分な剛性を持たず、曲げられた形状に保持されにくいため、特許文献1の発行モジュールは、ボディへのフレキシブル平行配線体の固定が不十分な場合、フレキシブル平行配線体に揺れによる変形を生じる点で問題がある。そこで特許文献1の車両用灯具1においては、特許文献1の
図7に示すとおり、階段状に折り曲げたフレキシブル平行配線体の裏面に同様に階段形状とした硬質なベース部材となるバックカバーを熱カシメによって密着固定させることによってフレキシブル平行配線体の階段形状を保持させたり、特許文献の
図6に示すようにフレキシブル平行配線体をボディの裏面側に多数突設した支持ピンにそれぞれ熱カシメ固定することで固定を堅固にしている。
【0005】
しかし、所定形状とした硬質なバックカバーを別部材として形成した上で発光素子モジュールに固定したり、発光素子モジュールを多数の支持ピンに熱カシメ固定することは、部品点数や製造工数の増加によるコスト増を発生させる点で問題がある。
【0006】
一方、厚肉の金属製ベースをパターン形状に切り抜いたバスバーを樹脂で被覆したものに発光ダイオードを実装して発光素子モジュールを形成した場合、発光素子モジュールは、強度が向上し、曲げられた形状に保持されやすくなるため、ボディへの固定を強固にしなくても振動によって揺れによる変形を生じにくくなる。しかし、厚肉金属を切削して形成するバスバーは、可撓性が無いため堅くて曲げにくく、複雑な回路パターンを形成しにくいため、加工と配線の自由度が限られる点で問題がある。
【0007】
本願発明は、上記課題に鑑みて、発光素子モジュールに相当する部材の自由な形状への加工と形状保持を容易にし、ランプボディへの発光素子モジュールの固定を十分にしつつ簡素化することで、部品点数や、製造工数を減少させ、製造コストを安価にした照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために請求項1の照明装置は、導電体をフィルムに一体化して形成したフレキシブルプリント基板を可撓性を有する金属製ベースに更に一体化して形成したメタルベースFPCに発光素子と点灯制御回路を設けた照明装置であって、前記メタルベースFPCがランプボディから離間されながら屈曲し、前記メタルベースFPCの端部を前記ランプボディに取り付ける少なくとも一以上の取付機構を設けた。
【0009】
(作用)メタルベースFPC(フレキシブルプリント基板)においては、可撓性を有するFPCと金属製ベースによって曲げ加工の自在性と容易性が維持されることに加え、可撓性を有する金属性ベースによって曲げられた形状に保持されるために十分な強度が得られる。従って、メタルベースFPCは、端部のみをランプボディに固定しても車両の振動によってゆれによる変形を生じにくくなるため、ランプボディへのメタルベースFPCの固定手段を簡素化出来る。また点灯した発光素子の熱が金属製ベースを介して放熱されやすくなる。
【0010】
請求項2は、請求項1に記載の照明装置であって、前記取付機構のうち少なくとも一つは、前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディのいずれか一方に設けられ、他方である前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディの端部を差し込んだ状態で保持する差込保持部として構成した。
【0011】
(作用)メタルベースFPCの端部に十分な強度が得られるため、メタルベースFPCは、その端部をランプボディに設けた保持部に差し込んだだけで保持させ、またはメタルベースFPCの端部に設けた差込保持部にランプボディの端部を差し込んだだけで保持させたとしても折れ曲がったり破断したりすることなく容易かつ確実に固定される。従って、メタルベースFPCとランプボディとの取付機構を簡素に形成することが出来る。
【0012】
また、請求項3は、請求項1または2に記載の照明装置であって、 記取付機構のうち少なくとも一つは、前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディのいずれか一方が有する可撓性を有する爪部と、他方である前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディに設けられ、変形しつつ挿入された前記爪部を係止させる爪係止部と、から構成されるようにした。
【0013】
(作用)メタルベースFPCの端部が十分な強度を有するため、メタルベースFPCの端部とランプボディいずれか一方に設けた爪部を変形させながら他方に設けた爪部用の係止部に挿入し、引っかけることでメタルベースFPCをランプボディに固定しても両者を十分に固定できる。従って、メタルベースFPCとランプボディとの取付機構を簡素に形成することが出来る。
【0014】
請求項4は、請求項1から3のうちいずれかに記載の照明装置であって、前記取付機構のうち少なくとも一つは、前記メタルベースFPCの端部または前記ランプボディのいずれか一方の少なくとも一部を部分的に折り曲げて形成した椀部と、前記椀部を係止させる腕係止部から構成されるようにした。
【0015】
(作用)メタルベースFPCの端部が曲げられた形状に保持されるために十分な強度を有するため、メタルベースFPCの端部とランプボディのいずれか一方の少なくとも一部を折り曲げて形成した椀部用の係止部に引っかけることでメタルベースFPCをランプボディに固定しても両者を十分に固定できる。従って、メタルベースFPCとランプボディとの取付機構を簡素に形成することが出来る。
【0016】
請求項5は、請求項1から4のうちいずれかに記載の照明装置であって、前記メタルベースFPCは、前記金属製ベースの少なくとも一部を含む屈曲容易部を(メタルベースFPCの屈曲部位に)備え、前記屈曲容易部が、(メタルベースFPCの肉厚を薄くした)薄肉部、(メタルベースFPCの表面から裏面にかけて貫通する空洞状の)貫通部及び(メタルベースFPCの表面及び裏面のうち一方を他方に向けて凹ませることによって他方側に押し出された)押出部のうち少なくとも1種類以上を有することによって形成されるようにした。
【0017】
(作用)メタルベースFPCにおいては、金属製ベースの厚みを過度に厚くし過ぎた場合、強度の増加に伴って、メタルベースFPCの折り曲げの作業性が低下するおそれがある。請求項5の照明装置においては、金属製ベースを含むメタルベースFPCの折り曲げ部位に薄肉部、貫通部及び押出部のうちいずれか一種類以上からなる屈曲容易部を設けている。その結果、請求項5の照明装置においては、メタルベースFPCの折り曲げ部位のみ強度を落として折り曲げをしやすくしつつ、他の部位を厚くしてより強い強度を維持出来る。
【0018】
また、請求項5の照明装置においては、メタルベースFPCの薄肉部、貫通部、押出部に形成される凹部に車体側に設けた凸状の取付部を係合させることによって、別途位置決め構造を設けなくても照明装置と車体側取付部との位置決めがなされる。
【0019】
請求項6は、請求項1から5のうちいずれかに記載の照明装置であって、前記ランプボディに給電ケーブルの挿通孔を設けた。
【0020】
(作用)挿通孔から差し込んだ給電ケーブルを発光素子と点灯制御回路を設けたメタルベースFPCに容易に接続できる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の照明装置によれば、メタルベースFPCの端部のみでランプボディに十分に固定できるため、硬質のベース部材をランプボディに沿った形状に加工してFPCに一体化する必要や、多数の支持ピンを介してFPCをランプボディに取り付ける必要がなくなり、固定手段の簡素化が図られる。その結果、部品点数や、製造工数が減少するため、照明装置の製造コストが安価になる。
【0022】
尚、請求項1の照明装置は、メタルベースFPCを自在に折り曲げて奥行きを取らない形状に加工することによって薄型に形成される。更に、請求項1の照明装置によれば、発光素子からFPCに発生した熱の放熱性を向上させることにより、発光素子の耐久性を低下させずに維持できる。
【0023】
請求項2から請求項4の照明装置によれば、複数設けられたランプボディへのメタルベースFPCの取付機構を簡素に形成することでより安価に照明装置を形成出来る。
【0024】
(効果)請求項5の照明装置によれば、メタルベースFPCが所定の折り曲げ部位において折り曲げ易く形成されているため、メタルベースFPCの折り曲げの作業性が向上することにより、照明装置の製造コストがさらに安価になる。また、照明装置と車体側取付部との間に別途設けるべき位置決め構造が不要になるため、照明装置の製造コストが一層安価になる。
【0025】
請求項6の照明装置によれば、構成の簡素化により照明装置を安価に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、
図1と
図2により本発明における照明装置の第1実施例を説明する。
【0028】
図1には、本実施例の照明装置が示されている。
図1の照明装置1は、車両用灯具に使用されるものであり、前面レンズ2、ランプボディ3,メタルベースFPC回路基板4によって構成される。
【0029】
前面レンズ2は、透明な樹脂等で両端部に凸部(2a、2b)を備えるよう形成され、樹脂で形成されたランプボディ3の両端部に対応して設けられた凹部(3a、3b)に挿入固定される。
【0030】
メタルベースFPC回路基板4は、メタルベースFPC5、複数の発光素子(LED)6、点灯制御回路7によって構成される。
【0031】
メタルベースFPC5は、FPC(フレキシブルプリント基板)8と金属製ベース12によって形成される。
図2(b)に示すとおり、FPC8は、回路の配線形状を有する銅箔パターン(導電体)9を裏面側の熱伝導絶縁フィルム10と表面側の高反射絶縁フィルム11で挟んで一体化することによって形成される。FPC8は、銅箔パターン9、熱伝導絶縁フィルム10、及び高反射絶縁フィルム11がそれぞれ20μmから40μm程度の厚さを有するように形成されることにより、可撓性を有する。
【0032】
一方、金属製ベース12は、厚銅箔13と厚銅箔13の裏面に一体化される熱伝導絶縁フィルム14によって形成される。メタルベースFPC5は、FPC8(熱伝導絶縁フィルム10)の裏面に金属製ベース12(厚銅箔13)の表面を真空引きすることによって一体化される。金属製ベース12は、厚銅箔13が百数十μm程度の厚さを有するように形成され、熱伝導絶縁フィルム14が数十μmから百数十μm程度の厚さを有するように形成されることにより、可撓性を有
する。即ち、メタルベースFPC5は、絶縁フィルム(11,14)に挟まれている。
【0033】
メタルベースFPC5は、FPC8と金属製ベース12が共に可撓性を有することによって曲げ加工の容易性が維持されることに加え、可撓性を有する金属製ベース12によって十分な強度を有するようになるため、曲げられた形状に保持される。
【0034】
第1実施例におけるメタルベースFPC5は、階段状に屈曲形成され、
図1の左右方向(符号L及びR方向)に延びる複数の保持面5aと、
図1の上下方向(符号F及びRe方向)に延びる複数の接続面5bが交互に連続するように形成される。また、第1実施例においてメタルベースFPC5の左端部15は、最も左方の保持面5aに形成され、メタルベースFPC5の右端部16は、最も右方の接続面5bに形成される。左右端部(15,16)には、それぞれ挿通孔(17,18)が設けられる。複数の発光素子6は、各保持面5aにそれぞれ実装されて銅箔パターン9に接続される。一方、点灯制御回路7は、右端部16を有する接続面5bのFPC8側に搭載され、銅箔パターン9に接続(図示せず)される。
【0035】
一方、ランプボディ3の表面21には、凹部(3a,3b)の間にメタルベースFPC5の左右端部(15,16)をそれぞれ支持する支持部(19,20)が挿通孔(17,18)と対応する位置に突設される。挿通孔17と支持部19及び挿通孔18と支持部20は、それぞれ一対になり、メタルベースFPC5とランプボディ3との取付機構22を形成する。かつ支持部20は、支持部(19,20)は、メタルベースFPC5(熱伝導絶縁フィルム14)の裏面を支持する台座部(19a,20a)と、台座部(19a、20a)に一体形成された細軸部(19b、20b)によって形成される。細軸部(19b、20b)は、台座部(19a、20a)の先端に台座部(19a、20a)よりも一回り小さく形成される。また、細軸部(19b、20b)は、挿通孔(17,18)とほぼ同一形状に形成され、挿通孔(17,18)に挿通される。メタルベースFPC回路基板4は、挿通孔(17,18)に挿通させた細軸部(19b、20b)の先端に熱をかけて潰す(熱カシメ)ことにより、台座部(19a、20a)に固定される。
【0036】
メタルベースFPC回路基板4は、可撓性を有する金属製ベース12によって十分な強度を有するため、車両の振動を受けても揺れによる変形を生じにくく、折り曲げた形状に保持される。従って、メタルベースFPC回路基板4は、
図1に示すように、メタルベースFPC5の裏面5cがランプボディ3の表面21から離間させられた状態で階段形状に屈曲させられ、端部(15,16)のみがランプボディ3の支持部(19,20)に支持されたとしても、車両の振動による変形を生じにくく、折り曲げた形状に保持される。つまり、メタルベースFPC回路基板4は、ランプボディ3との間の支持機構が左端部15から右端部16の間に設けられてなくても、曲げられた形状を保持したままランプボディ3に十分に支持される。
【0037】
尚、メタルベースFPC回路基板4には、給電ケーブル24が接続される。給電ケーブル24は、ランプボディ3に設けられた挿通孔23によりランプボディ3の外側から内側に挿通される。
【0038】
また、
図2(a)に示すように第1実施例において、メタルベースFPC5の保持面5aと接続面5bとの角Cは、互いに直角を成す(符号Cを参照)ように折り曲げられている。しかし、照明装置1は、メタルベースFPC5を矢印Hに示すように角Cが鈍角になるように折り曲げることにより、
図1に示す照明装置1の厚さTを薄くして薄型化を図ることが出来る。
【0039】
次に
図3により照明装置の第2実施例を説明する。第2実施例の照明装置26は、第1実施例の熱カシメによる取付機構22に代えて、メタルベースFPCの端部をランプボディの支持部に設けた差込保持部に差し込んで固定する取付機構32を採用したものである。
【0040】
第2実施例のメタルベースFPC27は、最も左方の保持面27aの左端に凸型端部28を有する。また、ランプボディ29の支持部31には、凸型端部28と断面が同形状の挿通孔からなる差込保持部30が設けられる。凸型端部28と差込保持部は、メタルベースFPC27とランプボディ29との取付機構32を形成する。メタルベースFPC27は、凸型端部28を差込保持部30に差し込むことによって支持部31に固定される。
【0041】
一方、
図3(c)の照明装置41は、(b)におけるメタルベースFPCの端部とランプボディの支持部の変形例を示すものである。メタルベースFPC34には、符号28のような凸型端部を形成せず、ランプボディ33の支持部35には、端部36との対向面35aにメタルベースFPC34の端部36と同形状の挿通孔からなる差込保持部37をランプボディ33の上面33aから設け、上面35bにネジ孔38を設ける。
【0042】
メタルベースFPC34は、端部36をランプボディ33の上面33aにスライドさせるように差込保持部37に差し込み、更にネジ39をネジ孔38に取りつけることによって支持部35に固定される。差込保持部37,ネジ孔38及びネジ39は、メタルベースFPC34とランプボディ33との取付機構40を形成する。尚、差込保持部37は、
図3(c)図のように貫通孔とせず、支持部35の裏面35c側を閉塞させてもよい。その場合には、閉塞された壁面が端部36のストッパーになるため、ネジ39とネジ孔38が不要になる。また、実施例2の照明装置26においては、
図3各図の差込保持部をメタルベースFPCの端部側に設け、ランプボディに設けた突設端部を挿入し、保持させても良い。
【0043】
次に
図4により照明装置の第3実施例を説明する。第3実施例の照明装置45は、メタルベースFPCの端部をランプボディの差込保持部に保持させる点で第2実施例の照明装置26と共通するが、ランプボディの形状とメタルベースFPCの端部の差込方法が第2実施例と異なる。
【0044】
照明装置45は、有底箱形のランプボディ46と、複数の発光素子6及び図示しない点灯制御回路を実装し、階段形状に折り曲げられたメタルベースFPC47を有する。
【0045】
ランプボディ46は、
図4(a)の上方に開口し、前壁46aと後壁46bがメタルベースFPC47に倣うような階段状に形成される。また、前壁46aには、メタルベースFPC47をランプボディ46に固定する際に各発光素子6を露出される位置に切欠部48が形成される。前壁46aの左右端部には、切欠部48の形成に伴いリブ(46c,46d)が設けられる。ランプボディ46の左右端部の内壁(46e,46f)には、リブ(46c,46d)の後方にリブ(46g、46h)が設けられる。リブ(46c,46d)とリブ(46g、46h)の間隔は、メタルベースFPC47の厚さと同一に形成される。
【0046】
リブ(46c,46g)とリブ(46d、46h)は、それぞれメタルベースFPC47の左右端部(49,50)の差込保持部51を形成する。左右端部(49,50)の差込保持部51は、メタルベースFPC47とランプボディ46との取付機構52を形成する。メタルベースFPC47は、左右端部(49,50)を差込保持部51,51に上方から差し込むことによってランプボディ46に固定される。また、メタルベースFPC47の背面には、図示しない点灯制御回路を配置することができ、かつ第1実施例の
図1と同様に図示しない給電ケーブルを設けることも可能であるため、メタルベースFPC47の背面とランプボディ46の後壁46bとの間には、
図4(b)に示すように空間が設けられている。
【0047】
次に
図5により照明装置の第4実施例を説明する。第4実施例の照明装置56は、第1実施例の熱カシメによる取付機構22に代えて、メタルベースFPCの端部をランプボディに取りつける取付機構57として凹凸ランス機構を採用したものである。
【0048】
第4実施例の取付機構57は、
図5各図に示すとおり、ランプボディ58に一体に形成された爪部59と、発光素子6を搭載したメタルベースFPC60の端部61に設けた爪係止部62から構成される。爪部59は、可撓性を有する樹脂等で形成されたランプボディ58の表面58aから
図5(a)(b)の上方(符号U方向)に向かって突設される。前面レンズ2は、左凸部2aが左凹部58bと係合することで、ランプボディ58に固定される。
【0049】
爪部59は、表面58aから連続して形成される支持部59a、凹部59b、返し部59cによって構成される。支持部59aの形状は、左(符号L方向)に向かって凸に形成される。凹部59bは、右(符号R方向)に向かって凹んで形成される。返し部59cは、左方に向けて山形に突出形成される。爪係止部62は、返し部59cの水平断面と同一形状であって、メタルベースFPC60において上下に貫通する貫通孔として形成される。
【0050】
メタルベースFPC60は、爪部59を上方から爪係止部62に挿入することでランプボディ58に固定される。返し部59cに爪係止部62の前端面62aを当てながら爪部59を爪係止部62に挿入させると、返し部59cは、爪部59の変形によって
図5(a)(b)の右方向(符号R方向)に移動する。返し部59は、爪係止部62が凹部59bと係合することで元の位置に戻る。その結果、メタルベースFPC60の端部61は、支持部59aに固定される。
【0051】
次に
図6により照明装置の第5実施例を説明する。第5実施例の照明装置65においては、第4実施例とは異なるランス機構からなる取付機構66により発光素子6を複数搭載したメタルベースFPC67の左端部68をランプボディ70に取りつけ、メタルベースFPC67の右端部69をランス機構と異なる取付機構75によりランプボディ70に取りつけたものである。取付機構66は、爪部71と左端部68の左端縁部68aによって形成される。爪部71は、第4実施例の爪部59と同様にランプボディ70の表面70aから連続して形成される支持部71a、凹部71b、返し部71cによって爪部59と略同一形状に形成される。しかし、
図5各図の爪部59が左向きに形成されているのと異なり、爪部71は、
図6(a)に示すように右向きに形成されている。また、メタルベースFPC67には、爪係止部62のような貫通孔が無く、メタルベースFPC67は、左端縁部68aを凹部71bに係合させることで爪部71の支持部71aに支持される。
【0052】
尚、ランプボディ70には、
図6(b)に示すようにメタルベースFPC67の奥行きDと同一の間隔をもって配置された一対の保持壁(72,73)が設けられる。メタルベースFPC67は、保持壁(72,73)によって奥行方向(符号D1)に位置決めされる。
【0053】
一方、前面レンズ2(図示せず)を取付けるランプボディ70の右凹部70bの近傍には、メタルベースFPC67の右端部69を支持する支持部74が突設される。支持部74は、ランプボディ70の表面70aに連続する台座部74aと、台座部74aの先端に連続する細軸部74bから形成される。細軸部74bは、台座部74aよりも細く形成される。一方、メタルベースFPC67の右端部69には、細軸部74bの水平断面と同大の貫通孔である差込保持部69aが設けられる。差込保持部69aと支持部74は、メタルベースFPC67をランプボディ70に取りつける取付機構75を形成する。メタルベースFPC67の右端部69は、細軸部74bを差込保持部69aに差し込むことによって支持部74に固定される。
【0054】
また、第5実施例において、ランプボディ70の表面70aには、メタルベースFPC67をランプボディ70に取りつけた後にメタルベースFPC67の裏面67aを当接させる複数の位置決めリブ76が突設されている。メタルベースFPC67は、裏面67aが位置決めリブ76に当接することにより、ランプボディ70とメタルベースFPC67との間におけるガタつきが更に低減される。尚、メタルベースFPC67は、複数の位置決めリブ76によってランプボディ70と固定することも可能である。
【0055】
ランプボディ70へのメタルベースFPC67の取付は、以下のように行う。
図6(a)に示すように、取付においては、まず差込保持部69aに細軸部74bを挿入して右端部69を支持部74に取り付ける。次に支持部74を中心にしてメタルベースFPC67の左端部68をランプボディ70に向かって回転させる(符号D2方向)。左端縁部68aは、爪部71の返し部71cに当接することで爪部71を左方に変形させる。爪部71は、左端縁部68aが凹部71bと係合し、返し部71cが元の位置に戻ることによって左端縁部68aを保持する。その結果、メタルベースFPC67は、ランプボディ70に左右両端(68,69)を固定される。
【0056】
尚、メタルベースFPC67の右端部69と支持部74との固定方法には、細軸部74bを熱をかけつつ押しつぶす熱カシメ方式を採用しても良い。また、第4実施例と第5実施例の照明装置(56,65)においては、
図5及び
図6の各図に示す爪部(59,71)に相当するものをメタルベースFPC(60,67)の端部側に設け、ランプボディ(58,70)側に設けた爪係止部62に相当する貫通孔や、右端縁部68に相当するランプボディ突端部をメタルベースFPC側の爪部に保持させても良い。
【0057】
次に
図7(a)により照明装置の第6実施例を説明する。第6実施例の照明装置80は、第1実施例の熱カシメによる取付機構22に代えて、メタルベースFPCの端部をランプボディに取りつける取付機構81としてネジ止め機構を採用したものである。
【0058】
取付機構81は、
図7(a)に示すとおり、ランプボディ82の台座83と、メタルベースFPC84の端部85に設けた挿通孔86とねじ87によって構成される。台座83には、ランプボディ82の表面82aに一体に突設され、上下に延びるネジ孔83aが設けられる。挿通孔86は、ネジ87を挿通可能な形状に形成される。メタルベースFPC84の端部85は、挿通孔86をネジ孔83aに合わせて端部85を台座83に載せ、挿通孔86に通したネジ87をネジ孔83aに取付けることによって台座83に固定される。その結果、メタルベースFPC84の一端がランプボディ82に固定される。
【0059】
尚、
図7(b)は、照明装置の第7実施例が示されている。第7実施例の照明装置90は、メタルベースFPC92の左右端部(101,102)をネジ止めによってランプボディに取り付ける取付機構94を有する。第7実施例においては、リフレクタ95の裏面側に複数の発光素子6を実装したメタルベースFPC92が配置される。リフレクタ95には、複数の反射面95aと、エクステンションリフレクタ(96,97)にメタルベースFPC92を固定する際に発光素子6を露出させる挿通孔95bが設けられる。リフレクタ95の左右両端部には、エクステンションリフレクタ(96,97)が一体に設けられる。
【0060】
エクステンションリフレクタ(96,97)は、図示しないランプボディに固定されている。エクステンションリフレクタ(96,97)には、裏面側(
図7(b)の符号Dw方向)に台座(98,99)が突設される。台座(98,99)には、同大のネジ孔(100、100)が設けられる。メタルベースFPC92の左右端部(101,102)には、ネジ(103、103)を挿通可能な挿通孔(104,105)がそれぞれ形成される。取付機構94は、台座(98,99)、挿通孔(104,105)及びネジ(103,103)によって形成される。
【0061】
メタルベースFPC92の左右端部(101,102)は、左右の挿通孔(104,105)をネジ孔(100、100)に合わせて左右端部(101,102)を台座(98,99)にそれぞれ下方から接触させ、挿通孔(104,105)に通したネジ(103、103)をネジ孔(100、100)に取り付けることによって台座(98,99)に固定される。その結果、メタルベースFPC92の両端がエクステンションリフレクタ(96,97)を介してランプボディ(図示せず)に固定される。
【0062】
次に
図8(a)〜(c)により照明装置の第8実施例を説明する。第8実施例の照明装置110は、表面111cに発光素子6を実装したメタルベースFPC111の端部(112,113)に設けた爪部(114,115)及び椀部(116,117)をランプボディ118側の取付台座119に設けた爪係止部(120,121)及び腕係止部(122,123)にそれぞれ係止させることによってメタルベースFPC111をランプボディ118に取り付ける取付機構(124,125)を採用したものである。取付機構124は、爪部(114,115)と爪係止部(120,121)によって形成され、取付機構125は、椀部(116,117)及び腕係止部(122,123)によって形成される。
【0063】
第8実施例のメタルベースFPC111は、角形に形成されている。メタルベースFPC111の左右縁部(111a,111b)には、それぞれ突設させた一部を裏面111d側に向けて直角に屈曲させて形成した端部(112,113)が設けられている。端部(112,113)には、端部(112,113)の先端側を残した3辺を切り、内側(
図8(b)の符号D3,D4方向)にそれぞれ曲げて形成した角形舌片状の爪部(114,115)が設けられている。
【0064】
また、メタルベースFPC111の上下縁部(111e,111f)には、それぞれ突設させた一部を裏面111d側に湾曲させ、またはV次状に屈曲させて形成した端部である椀部(116,117)が設けられている。
【0065】
一方、車両用灯具の所定形状に形成されたランプボディ118には、メタルベースFPC111とほぼ同大で保持面118aから突設された箱形の取付台座119が設けられている。取付台座119の左右壁部(119a,119b)には、保持面118aから内側に開口する挿通孔からなる爪係止部(120,121)が爪部(114,115)と対応する位置に設けられている。また、取付台座119の上下壁部(119c,119e)には、保持面118aから内側に開口する挿通孔からなる腕係止部(122,123)が椀部(116,117)と対応する位置に設けられている。
【0066】
ランプボディ118へのメタルベースFPC111の取付は、以下のように行う。取り付けにおいては椀部(116,117)の先端(116a,117a)を上下壁部(119c,119d)のよりも外側(
図8(b)のD5及びD6方向)にそれぞれ押し拡げるように変形をさせつつ、爪部(114,115)を爪係止部(120,121)に挿入する。爪部(114,115)の先端(114a,115a)は、左右壁部(119a,119b)に接触しながら外側(
図8(b)のD7及びD8方向)に変形し、かつ爪係止部(120.121)に達することによって元の位置に戻る。端部(112,113)は、爪部(114,115)が爪係止部(120,121)に係止されることによって、左右壁部(119a,119b)に固定される。
【0067】
一方、押し拡げられた椀部(116,117)は、変形が弾性変形である場合、弾性力によってもとの位置に戻る。従って、椀部(116,117)は、爪部(114,115)が爪係止部(120,121)に係止された時点で椀部(116,117)を離すと、元の位置に戻ることで腕係止部(122,123)に係止される。一方、椀部(116,117)を押し拡げて塑性変形させた場合、椀部(116,117)は、内側(符号D5,D6に対して逆向き)に押し戻すことによって腕係止部(122,123)に係止される。
【0068】
いずれの場合においても、端部である椀部(116,117)は、腕係止部(122,123)に係止されることによって、上下壁部(119c,119d)に固定される。その結果、メタルベースFPC111は、裏面111dが取付台座119の前面119eから離間された状態で取付台座119に固定される。尚、第8実施例の照明装置110においては、可撓性を有する素材で形成したランプボディの一部を折り曲げて
図8(a)〜(c)に示す爪部と腕部に相当するものを形成し、メタルベースFPC側に設けた爪係止部と腕係止部に相当するものに係止させても良い。
【0069】
次に
図9(a)(b)により照明装置の第9実施例と第10実施例を説明する。
図9(a)に示す、第9実施例の照明装置126は、灯室S内において樹脂製のランプボディ127に固定された樹脂製のエクステンションリフレクタ128にランス付インナーレンズ129を介してメタルベースFPC130を取りつける取付機構131を採用したものである。灯室Sは、ランプボディ127と透明な前面レンズ132の内側に画成される。
【0070】
エクステンションリフレクタ128には、ランプボディ127側に凹んだ凹部137が設けられる。凹部137には、挿通孔(133、134)が設けられる。ランス付インナーレンズ129は、透明な樹脂等で形成される。ランス付インナーレンズ129には、挿通孔(133、134)と対応した位置に
図5(b)の爪部59のような爪部(135,136)が設けられている。また、爪部(135,136)の内側には、ランス付インナーレンズ129を凹部137に取付けた際にメタルベースFPC130の外周縁部142(端部)を凹部137に押しつけて固定する、段差状の保持部(138、139)が設けられている。爪部(135,136)は、挿通孔(133、134)と共に凹凸ランス機構を形成する。
【0071】
取付機構131は、メタルベースFPCの外周縁部142、ランス付インナーレンズ129,ランプボディ127に固定されたエクステンションリフレクタ128、及び挿通孔(133、134)によって形成される。ランス付インナーレンズ129は、爪部(135,136)を挿通孔(133、134)に係止させることによって、凹部137に固定される。その際、メタルベースFPC130は、保持部(138、139)と凹部137との間に固定される。尚、メタルべースFPC130には、ランプボディ127の挿通孔140から外部に延びる給電ケーブル141が接続されている。
【0072】
図9(b)に示す、第10実施例の照明装置144は、メタルベースFPC130の裏面の縁部145(端部)をエクステンションリフレクタ146の凹部147に両面テープ148で貼り付ける取付機構149を採用したものである。照明装置144は,第9実施例における挿通孔(133、134)を有するエクステンションリフレクタ128とランス付インナーレンズ129に代えて、挿通孔を持たないエクステンションリフレクタ146と両面テープ148によってメタルベースFPC130をエクステンションリフレクタ146に固定するものである。取付機構149は、メタルベースFPC130裏面の縁部145、ランプボディ127に固定されたエクステンションリフレクタ146、及び両面テープ148によって形成される。
【0073】
尚、金属製ベースは、メタルベースFPCの強度を向上させる反面、メタルベースFPCの折り曲げの作業性を低下させるおそれもある。そこで、各実施例においてメタルベースFPCを屈曲させる部位には、屈曲容易部を設けることが望ましい。
【0074】
図10(a)〜(c)と
図11(a)は、屈曲容易部を設けたメタルベースFPCを示すものである。メタルベースFPC151は、FPC151bの裏面に金属製ベース151aを一体化して形成されている。
図10(a)に示す第11実施例の照明装置150のメタルベースFPC151は、屈曲させる部位に屈曲容易部(152,153)が設けられている。屈曲容易部(152,153)は、メタルベースFPC151の奥行方向(符号D1方向)にX字形状が連続するように形成されたメッシュ形状を有することによって構成される。メッシュ形状を構成する多数の孔(154〜157、請求項5の薄肉部)は、それぞれ金属製ベース151aに形成される。屈曲容易部(152,153)の奥行方向(符号D1方向)の断面積は、メタルベースFPCの他の部位における奥行方向(符号D1方向)の断面積よりも小さいため、メタルベースFPC151は、屈曲容易部(152,153)においてメタルベースFPC151の厚さ方向(
図10(a)では、紙面の表裏方向)に屈曲しやすくなる。
【0075】
図10(b)は、メタルベースFPCに設ける屈曲容易部の第1変形例を示すものである。メタルベースFPC160の屈曲容易部(161、162)は、メタルベースFPC160の奥行方向(符号D1方向)に沿ってミシン目のように設けられた多数の円孔(163,164、請求項5の貫通部)を有することによって構成される。円孔(163,164)は、それぞれメタルベースFPC160の裏面(図示せず)から表面160aにかけて貫通する。その結果、メタルベースFPC160は、屈曲容易部(161,162)においてメタルベースFPC160の厚さ方向(
図10(b)では、紙面の表裏方向)に屈曲しやすくなる。
【0076】
図10(c)は、メタルベースFPCに設ける屈曲容易部の第2変形例と屈曲時の仮想形状を示すものである。メタルベースFPC165の屈曲容易部(166、167)は、メタルベースFPC165の裏面165aに形成された凹部(168、169)によって形成された薄肉部(170、171)によって構成される。メタルベースFPC165は、第1実施例のメタルベースFPC5と同じようにFPC172と金属製ベース173によって形成される。凹部(168、169)は、プレス等をメタルベースFPC165の裏面165aに施され、折り曲げにくい金属製ベース173の少なくとも一部に形成されることによって、メタルベースFPC165を折り曲げやすくする。
【0077】
凹部(168、169)は、メタルベースFPC165の厚さ方向(符号Si方向)において略半円形状の断面を有し、かつメタルベースFPC165の奥行き方向(
図10(c)では、紙面の表裏方向)に連続して形成される。メタルベースFPC165は、その厚さ方向において薄肉部(170、171)において山折りまたは谷折りのいずれにも曲げやすく形成されるため、
図10(c)の二点鎖線部位に示されるように曲げられた形状のまま維持される。
【0078】
尚、
図10(a)(c)の屈曲容易部(請求項5の薄肉部)においては、孔(154,155,156,157)と凹部(168、169)を金属製ベース(151a,173)側からFPC(151b、172)の一部に食い込むように形成してもよいし、メタルベースFPC(151,165)の裏面側の金属製ベース(151a,173)から表面側のFPC(151b、172)にかけて貫通するように形成しても良い(請求項5の貫通部として形成)。一方、
図10(b)の屈曲容易部(請求項5の貫通部)においては、円孔(163,164)を貫通させずにメタルベースFPC160の裏面側の金属製ベース(図示せず)のみに形成してもよいし、金属製ベースからFPCの一部に食い込みように形成しても良い(請求項5の薄肉部として形成)。
【0079】
図11(a)は、メタルベースFPCに設ける屈曲容易部の第3変形例を示すものである。メタルベースFPC180の屈曲容易部(181、182)は、メタルベースFPC175の裏面175aから表面175b方向に向けてパンチ等によって押し出し形成された押出部(183,184)によって構成される。押出部(183,184)は、メタルベースFPC180の奥行き方向(
図11(a)では、紙面の表裏方向)に連続して形成され、押出部(183,184)以外の部分からの急激な形状の変化により、メタルベースFPC175を厚さ方向(符号Si方向)に屈曲しやすくする。
【0080】
尚、
図11(b)は、
図10(c)のメタルベースFPC165を屈曲させてランプボディ190に固定した図を示す。ランプボディ190には、凹部(168、169)に対応した位置に凹部(168、169)に対応した形状を有する凸部(191,192)を設ける。メタルベースFPC165は、凹部(168、169)を凸部(191,192)に係合させることにより、位置決め用の孔やスリットを別途設けなくても、ランプボディ190に容易に固定される。