特許第6023460号(P6023460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6023460-炭素材料の製造方法 図000003
  • 特許6023460-炭素材料の製造方法 図000004
  • 特許6023460-炭素材料の製造方法 図000005
  • 特許6023460-炭素材料の製造方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023460
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】炭素材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/02 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   C01B31/02 101B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-102660(P2012-102660)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230947(P2013-230947A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊吉 栄太
(72)【発明者】
【氏名】桐木 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】馬嶋 一隆
【審査官】 吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−190355(JP,A)
【文献】 特開2011−190505(JP,A)
【文献】 特開2011−017509(JP,A)
【文献】 特開2010−275601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 31/02 − 31/04
C23C 26/00
C23C 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が下を向けられたバーナーによって形成される燃焼火炎の還元炎部分に不燃性の網を保持し、
前記燃焼火炎に、改質剤化合物と、炭素材料の粉末とを供給し、
前記炭素材料の粉末を、前記燃焼火炎の酸化炎を通過することなく外部に導出することにより、前記炭素材料の粉末の表面改質を行うことを特徴とする炭素材料の製造方法。
【請求項2】
前記改質剤化合物は、有機金属化合物または含酸素有機化合物であることを特徴とする請求項に記載の炭素材料の製造方法。
【請求項3】
前記含酸素有機化合物は、金属元素を含まないことを特徴とする請求項に記載の炭素材料の製造方法。
【請求項4】
前記網の目開きは0.1mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の炭素材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は炭素材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炭素材料の表面改質のために還元性雰囲気中または反応性雰囲気中において、原料粉末に10〜760Torr、3,000〜15,000℃での熱プラズマ処理を0.001〜10秒間施すことにより炭素材料の表面を改質する炭素材料の製造方法が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−223121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来技術には次の問題がある。それは、炭素材料に高温になるプラズマ処理を行なうと、炭素の結晶化(黒鉛化)が進行し、性質が変わってしまう問題があった。
またプラズマ処理では処理温度が高温(3,000〜15,000℃)であり、炭素材料を一旦高温に曝す必要があるので熱効率が悪く大量生産に向かない。
特許文献1にはプラズマ処理ではアルゴンなどの希ガスを主体としたガス(窒素+アルゴン:窒素1〜20%、水素+アルゴン:水素1〜20%)、を使うことが特に好ましいと記されている。これらの方法は希少なガスを大量に使用するので大量生産に向かない。
前記課題を解決するために本発明の目的は、炭素材料変質させない、熱効率が高い、大量生産に適した表面改質ができる炭素材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の解決手段は、
(1) 可燃物の燃焼火炎の内部に改質材化合物を供給し、該燃焼火炎を当て炭素材料の表面改質を行う
(2) 燃焼火炎の還元炎部分を使用する
(3)改質剤化合物は、有機金属化合物または含酸素有機化合物である
(4)含酸素有機化合物は、金属元素を含まない
(5)前記炭素材料は、粉末である
ことを特徴とする炭素材料の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の炭素材料の製造方法によれば、可燃物の燃焼火炎はプラズマよりもはるかに低温であって、炭素材の結晶化(黒鉛化)を伴うことなく表面改質ができる上に、被処理体である炭素材料を高温にする必要がないので熱効率が高い。
表面改質に用いる可燃物の燃焼火炎は、温度が低い還元炎を用いるので、被処理体である炭素材料を高温に曝すことがない。燃焼火炎の内部に改質剤化合物を供給すると、改質剤化合物は完全に分解することなく、活性なラジカルの状態で炭素材料表面に改質剤化合物のラジカルを供給することができる。このため、これらラジカルを効率的に炭素材料に付与することができ、燃焼時に生成するヒドロキシル基やカルボキシル基などといった極性を持つ官能基を炭素材料に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態の炭素材料の製造方法を示す。
図2】本発明の第2実施形態の炭素材料の製造方法を示す。
図3】本発明の第3実施形態の炭素材料の製造方法を示す。
図4】本発明の第4実施形態の炭素材料の製造方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、可燃物の燃焼火炎の内部に改質材化合物を供給し、該燃焼火炎を当て炭素材料の表面改質を行うことを特徴とする。このような操作により改質剤化合物が分解し、炭素材料の表面に親水性基が付与される。燃焼火炎を当てるとは、燃焼火炎を吹き付ける、燃焼火炎の内部に投入することを含む。
【0009】
以下に親水性基が炭素材料に付与されるメカニズムを説明する。
改質剤化合物は、燃焼火炎の中に投入されると熱分解する。改質剤化合物は、イオン、ラジカルなどの不安定な状態となると考えられる。
【0010】
燃焼火炎の中では改質剤化合物が熱分解と共に、炭素材料の表面では、燃焼火炎の作用で炭素の結合の一部が切断され活性な結合の末端が形成される。燃焼火炎の作用で形成された結合の末端に、熱分解した改質剤化合物が結合すると考えられる。
【0011】
炭素材料の表面改質には、燃焼火炎の酸化炎、還元炎のいずれを使用してもよいが、還元炎の方が好ましい。還元炎は温度が低く酸素が不足するので、還元炎の中で改質剤化合物は、イオン、ラジカルなどの不安定な状態を長時間維持することができると考えられる。
還元炎は酸素供給が乏しい不完全燃焼域を指す。このため還元炎に炭素材料を入れた場合、結晶化あるいは酸化を伴うことなく、ラジカルを付与することが可能であると考えられる。
【0012】
炭素材料は、可燃性であるので、燃焼火炎に長時間曝されると表面から酸化し、表面の結晶粒子が変質し脱落しやすくなる。炭素材料は多孔質であるので比表面積が大きく、酸化する表面が多いので、変質し脱落する結晶粒子が多くなると考えられる。また炭素材料が粉末である場合には、燃焼火炎に曝されると個々の粒子の熱容量が小さく熱が拡散しにくいので、粒子表面の結晶粒子が、さらに変質し脱落しやすくなる。
炭素材料の表面の結晶粒子が酸化あるいは脱落すると、炭素材料の表面で部分的に密度が低下する。炭素材料が粉末である場合には、燃焼火炎に曝される表面が多いので、粉のかさ密度を低下させる原因となると考えられる。
つまり、炭素材料では、燃焼火炎に曝し、表面を変質(表面改質)させようとすると炭素材料そのものが変質してしまう。さらに炭素材料が粉末である場合には、個々の粒子の熱容量が小さいので燃焼しやすい。炭素材料の粒子径が小さいほど燃焼しやすい傾向が強く、炭素の粉末そのものが分散した空気は、そのものが可燃物となって燃焼してしまうおそれがある。
このため、燃焼火炎によって炭素材料の表面改質を行うことは適していないと考えられていた。
【0013】
本発明では、燃焼火炎の内部に改質剤化合物を供給し、燃焼火炎中に反応性の高いイオン化あるいはラジカル化した改質剤化合物を高濃度で存在させることができるので、炭素材料を燃焼火炎にわずかに曝すことにより、炭素材料の表面に親水基を多量に付与することができると考えられる。
【0014】
本発明の改質剤化合物は、被処理面に親水性を付与できるものなら、特に限定されない。例えば各種有機金属化合物や含酸素有機化合物を使用可能である。
【0015】
有機金属化合物としては、例えばアルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、アルコキシアルミニウム化合物などが好適に利用できる。これら化合物に限定されず、その他の金属・半金属(ホウ素、リン、スカンジウム、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム等)のアルキル乃至アルコキシ化合物でもよい。
【0016】
含酸素有機化合物としては、化合物のなかに酸素を有していれば特に限定されない。例えば、ヒドロキシ基(R−OH)、アルデヒド基(R−CHO)、ケトン基(R−CO−R’)、カルボキシル基(R−COOH)、エーテル結合(R−O−R’)、エステル結合(R−COOR’)などを有する化合物が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する化合物は、各種アルコール、フェノール類が挙げられる。アルデヒド基を有する化合物は各種アルデヒド類が挙げられる。ケトン基を有する化合物は,各種ケトン類が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物は、各種カルボン酸が挙げられる。エーテル結合を有する化合物は、各種エーテル類が挙げられる。エステル結合を有する化合物は、各種エステル類が挙げられる。
【0017】
中でも
(A)エーテル結合(−O−)を2個以上有している炭素を有するもの、
(B)C=O基(カルボキシル基及びその誘導基を含む。)が2個以上結合している炭素を有するものが好ましい。これらは、酸素を複数有するので、効率よく官能基を炭素材料に付与することができる。
【0018】
(A)上記エーテル結合(−O−)を2個以上有している炭素を有する含酸素有機化合物群としては、次の物が挙げられる。
【0019】
(1) オルトエステル類:下記構造式で示されるもの。
RC(OR´)
[但し、R:水素又は炭素数1〜6のアルキル基、R´:炭素数1〜6のアルキル基]
【0020】
(2) 環状ジエーテル類:酸素1,3位置の5・6員環(2位置ケトン基のものを含む。)。
【0021】
(3) アセタール類:下記構造式で示されるもの。
C(OR)(OR
[但し、R,R:水素又は炭素数1〜4のアルキル基、R,R:炭素数1〜6のアルキル基]
【0022】
(B) C=O基(カルボキシル基及びその誘導基を含む)が2個以上結合している炭素を有する含酸素有機化合物群として、下記の総炭素数5〜10の
(1)ジケトン類、
(2)ジケト酸エステル、
(3)ジカルボン酸ジエステル類
を挙げることができる。
【0023】
本発明の含酸素有機化合物は、金属元素を含有しないものが好ましい。炭素材料は、半導体、蓄電デバイスの電極材など様々な分野で利用される。金属元素は、炭素とカーバイドを形成しやすいので残留しやすく、炭素材料の用途によっては、金属元素が炭素材料の性能に悪影響を及ぼす。
【0024】
改質剤化合物を燃焼火炎の内部に供給する方法は、どのような方法を用いてもよい。可燃物(燃料)に混合して供給してもよいし、燃焼火炎の内部に導かれるノズルから供給してもよい。また、供給の仕方は、噴霧、気化などの方法があり、さらにキャリアガスと共に燃焼火炎に導いてもよい。
【0025】
本発明の可燃物とは、空気、酸素などの酸化物と反応し燃焼する物質であれば特に限定されない。常温(25℃)での形態は、固体、液体、気体のいずれであってもよい。
液体の可燃物の場合には燃焼時に気化するものが好ましい。液体の可燃物としては、例えばケロシン、ガソリンなどの石油系燃料、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。
気体の可燃物の場合は、水素、メタン、プロパン、一酸化炭素などが利用でき特に限定されない。
またこれらを複数混合して用いてもよい。
また、改質剤化合物そのものを燃料(可燃物)とすることもできる。例えば、エーテル類、アルコール類、ケトン類が挙げられる。また改質剤化合物のみを燃料(可燃物)として使用することもできる。
【0026】
改質剤化合物と燃料(可燃物)との混合比は特に制限されない。混合比を
「混合比」=「改質剤化合物の質量」/(「改質剤化合物の質量」+「燃料の質量」)
と定義すると
改質剤化合物のみを燃料とする場合には、混合比100質量%である。望ましい改質剤化合物の混合比の下限は、0.01質量%である。改質剤化合物の混合比の下限が0.01%未満であると、発生するラジカルの量が少なく、炭素材料の表面改質を十分に行うことができない。さらに望ましい改質剤化合物の下限は1.0質量%である。
【0027】
酸化剤は、空気、酸素などが挙げられる。燃焼火炎の温度があまり上がらないので空気のほうが好適に利用することができる。
【0028】
また、本発明の炭素材料を燃焼火炎に曝す時間・温度は、適宜調整することができる。
燃焼温度を下げるために、燃焼火炎に不燃性のガスを供給してもよい。不燃性のガスとしては、二酸化炭素、窒素、アルゴンなどどのようなものを用いてもよいが、燃焼で発生した排気ガスを循環して用いてもよい。燃焼で発生した排気ガスとは、主に窒素と二酸化炭素の混合ガスである。
本発明のバーナの火口はどのような形状でも特に限定されない。火口は丸形状でも角形状でも細長い形状(魚尾バーナともいわれる)でもよい。
【0029】
本発明において、炭素材料とは、黒鉛材料、炭素質材料、グラッシーカーボン、熱分解炭素、炭素繊維、C/C複合材などが挙げられる。
【0030】
黒鉛材料とは、一般に電極材と呼ばれる押出黒鉛材のほか、特殊炭素材と呼ばれる等方性黒鉛材などが挙げられる。これらは共にコークスとバインダーピッチからなる原料を混練、成形、焼成、黒鉛化して得ることができる。
炭素質材料は、黒鉛材料の製造過程で焼成まで行ったもの、黒鉛化工程を途中で停止したものなどであり、前記の黒鉛材料ほど黒鉛化が進行していない材料である。
グラッシーカーボンは、樹脂などを炭化して得られる炭素材料であり、黒鉛化が進行せず、ガラス状の構造をした炭素材料である。
熱分解炭素は、炭化水素ガスの熱分解し沈積することによって形成され、一般に黒鉛材料などの被膜として用いられる。
炭素繊維は、PAN系、ピッチ系などどのようなものでもよい。
C/C複合材は、炭素材料を炭素繊維で補強したものである。
【0031】
これらの炭素材料に本発明の炭素材料の製造方法を適用すると、炭素材料を高温に曝すことなく、表面に親水性基を付与することができ、表面を親水性にすることができる。こうして得られた炭素材料に接着剤を使用し接着すると強い接着力を得ることができる。また、水に対する濡れ性がよくなるので、燃料電池のセパレータとして使用すると、反応で生成した水がセパレータ表面に形成された溝を閉塞しにくいので燃料ガスあるいは酸化剤ガスの流れを閉塞させにくくすることができる。
【0032】
炭素材料の粉末としては、前記の炭素材料を粉砕し粉末にしたもの、コークス、天然黒鉛の粉末、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
これらの炭素材料の粉末に本発明の炭素材料の製造方法を適用すると、表面に親水性基を付与することができ、表面を親水性にすることができる。
炭素材料の粉末としては、揮発分が1%以下であるものが好ましい。揮発分が1%以下である炭素材料の粉末とは、仮焼により揮発成分を除去された炭素材料などが挙げられる。揮発分が1%を超えると、燃焼火炎を炭素材料にあてると着火し、表面改質が行いにくくなる。揮発分は、JISM8812(石炭類及びコークス類−工業分析方法)に準じて測定することができる。
こうして得られた炭素材料の粉末を接着剤の骨材として使用すると、骨材表面に強い接着力が得られるので、被接着物を強く接着することができる。また、リチウムイオン二次電池の負極材、電気二重層キャパシタの電極材など蓄電デバイスの電極材料として使用すると、極性の大きな電解液が、炭素材料の粉末の内部まで浸透するので、蓄電デバイスの内部抵抗を小さくすることができ、蓄電デバイスの性能を高めることができる。
また、本発明の炭素材料の製造方法は、炭素材料の粉末をほとんど酸化させないので、粉のかさ密度が低下させない。このため、容積当たりの蓄電デバイスの容量を低下させにくくすることができる。
【0033】
<実施形態1>
実施形態1では、板形状の炭素材料に本発明の炭素材料の製造方法を適用する方法を例示する。炭素材料の板に向け、下向きにバーナ1で炙る。バーナ1にはプロパンガスが供給され、燃料ガスの経路の途中でオリフィス状を経由し、オリフィス部分で改質剤化合物としてオルトギ酸トリエチルを供給する。炭素材料は等方性黒鉛材である。改質剤化合物の供給方法は、これに限らず任意である。
炭素材料にバーナの燃焼火炎の還元炎部分が当たるよう距離を調整する。
こうすることにより、還元炎に含まれる高濃度の改質剤化合物が分解したラジカルを炭素材料に結合させることができる。
【0034】
<実施形態2>
実施形態2では、炭素材料の粉末に本発明の炭素材料の製造方法を適用する方法を例示する。
実施形態1と同様に処理するが、被処理体が粉末状であることが異なる。被処理体は、実施形態1の炭素材料を粉砕して得ることができる。
本実施形態では、バーナからの燃焼火炎が積み重なった粉末の下層まで到達させることができる。尚、燃焼火炎を深く到達させるために、炭素材料の粉末の下からフィルターを通し気体を吸引してもよい。
【0035】
<実施形態3>
実施形態3では、炭素材料の粉末に本発明の炭素材料の製造方法を連続的に適用する方法を例示する。実施形態2と同様に処理するが、被処理体がベルトコンベヤ−で連続的に供給されていることが異なる。本実施形態によれば、連続的に炭素材料の粉末を処理することができるので、大量生産に適している。
【0036】
<実施形態4>
実施形態4では、改質剤化合物が供給された燃焼火炎の内部に炭素材料の粉末を供給する。燃焼火炎の還元炎部分に網が保持され、燃焼火炎は網を通過することなく安定して保持されている。バーナの開口は下に向けられ、網はバーナの下に位置する。網は、金属あるいはセラミックなど不燃性の材質である。燃焼火炎の内部に供給された炭素材料の粉末は、酸化炎を通過ことなく燃焼火炎の外部に導くことができる。
【0037】
網の目開きは、0.1mm以上20mm以下が好ましい。目開きは、0.1mm未満であると、炭素材料の粉末が目詰まりしやすい。目開きが20mmを超えると燃焼火炎が網目を貫通しやすくなり、炭素材料の粉末が酸化炎に曝されやすくなる。さらに望ましい網の目開きは、1mm以上5mm以下である。目開きが1mm以上であれば、炭素材料の粉末をさらに目詰まりさせにくくすることができる。目開きが5mm以下であれば、さらに燃焼火炎が網目を貫通にくくでき、炭素材料の粉末を酸化炎に曝しにくくすることができる。
本実施形態では、炭素材料の粉末を分散して処理することができるので、効率的にムラ無く炭素材料の粉末の表面に親水基を付与することができる。また酸化炎を経ることなく、燃焼火炎の外部に炭素材料の粉末を導出できるので、炭素材料の粉末に付与した親水基を熱分解しにくくすることができる。
【実施例1】
【0038】
実施例1では、炭素材料の粉末を空気中に分散させ、着火の有無を確認し、本発明の火炎処理の可否を検討した。本実施例で使用する炭素材料は極めて粒子径が細かく、空気中に分散すると、分散ガスそのものが可燃物となるおそれがあり、着火しないことが本発明の実施において必要条件となる。
確認の方法は、JISZ8818に準じて測定を行った。
<試料>
炭素材料としてイビデン株式会社製等方性黒鉛材ET−10を粉砕し、微粉部分を分級することにより採取した。得られた粉末のDp−50は、1.0μmであった。なお、使用する炭素材料は、2500℃を超える高温で黒鉛化処理されているので、揮発分を含んでいない。
<試験1>
試料が100g/mとなるよう空気中に分散し、装置内部に設けられた電極から放電させた。着火は見られなかった。
<試験2>
試料が200g/mとなるよう空気中に分散し、装置内部に設けられた電極から放電させた。着火は見られなかった。
<試験3>
試料が500g/mとなるよう空気中に分散し、装置内部に設けられた電極から放電させた。着火は見られなかった。
<試験4>
試料が1000g/mとなるよう空気中に分散し、装置内部に設けられた電極から放電させた。着火は見られなかった。
<試験5>
試料が2000g/mとなるよう空気中に分散し、装置内部に設けられた電極から放電させた。試験は5回繰り返し実施した。いずれも着火は見られなかった。
【表1】
以上のように炭素材料の粉末は着火しにくいことが確認された。炭素材料の粉末は着火しにくいので、燃焼火炎に曝しても連続的に着火し延焼することなく処理することが確認できた。このため、炭素材料の粉末に本発明の炭素材料の製造方法を適用することが可能であると推測される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の炭素材料の製造方法は、炭素材料に親水性を付与できるので、炭素材料の接着面の前処理、燃料電池セパレータなどに利用できる。また,炭素材料の粉末は、粉末の表面に親水性を付与できるので、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタなど蓄電デバイスの炭素電極、接着剤の骨材などに利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 バーナ
2 還元炎
3 酸化炎
4 炭素材料
5 炭素材料の粉末
6 網
7 供給ノズル
図1
図2
図3
図4