特許第6023478号(P6023478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023478
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】箱型容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20161027BHJP
   G06K 19/00 20060101ALI20161027BHJP
   B65D 6/18 20060101ALN20161027BHJP
【FI】
   B65D25/20 P
   G06K19/00 050
   !B65D6/18 D
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-141870(P2012-141870)
(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公開番号】特開2014-5028(P2014-5028A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年1月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】籔田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉弘
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−271938(JP,A)
【文献】 特開2008−280060(JP,A)
【文献】 特開2010−163186(JP,A)
【文献】 特開2010−006391(JP,A)
【文献】 国際公開第01/051369(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 21/02
G06K 19/00
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備え、少なくとも1つの前記側壁部の外面に対してICタグが取付けられる箱型容器において、
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、ベース壁部と、前記ICタグが取付けられる取付面を有し、前記ベース壁部から外方に突出形成されて、前記取付面を前記ベース壁部の外面よりも外方に位置させる取付台と、前記取付面を囲むようにして当該取付面の周縁部から外方に突出する保護部とを備え、
前記取付面に対して前記ICタグが略当接状態で取付けられるとともに、前記保護部の突出方向先端部は前記取付面に取付けられた前記ICタグよりも前記側壁部の外方に位置しており、
記側壁部同士を上下に重ねるようにして折り畳み可能であり、
前記側壁部は、相対する一対の第1側壁部と、相対する一対の第2側壁部とを備え、前記第1側壁部を略水平方向に延びるようにして畳んだ状態とすることで、前記第2側壁部を略水平方向に延びるようにして畳むことのできる構成であって、
前記第2側壁部のうち少なくとも一方において前記取付台が設けられるとともに、
前記取付台は、前記保護部と、前記ベース壁部とを連結する枠状の連結壁部とを備え、
前記連結壁部は、前記取付台の突出方向先端側に向けて縮径するテーパ状をなしていることを特徴とする箱型容器。
【請求項2】
前記取付面には、前記ICタグのうちICチップに対応する部位との接触を回避可能な凹状、又は、孔状の接触回避部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の箱型容器。
【請求項3】
前記ICタグは、ICチップが搭載されるシート状の基部を備え、
前記取付面には、前記基部の外寸とほぼ同じ大きさの凹状をなし、前記基部の少なくとも内面を内側に収容可能な位置決め凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の箱型容器。
【請求項4】
略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備え、少なくとも1つの前記側壁部の外面に対してICタグが取付けられる箱型容器において、
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、ベース壁部と、前記ICタグが取付けられる取付面を有し、前記ベース壁部から外方に突出形成されて、前記取付面を前記ベース壁部の外面よりも外方に位置させる取付台と、前記取付面を囲むようにして当該取付面の周縁部から外方に突出する保護部とを備え、
前記取付面に対して前記ICタグが略当接状態で取付けられるとともに、前記保護部の突出方向先端部は前記取付面に取付けられた前記ICタグよりも前記側壁部の外方に位置しており、
前記取付面には、前記ICタグのうちICチップに対応する部位との接触を回避可能な凹状、又は、孔状の接触回避部が形成されているとともに、
前記ICタグは、ICチップが搭載されるシート状の基部を備え、
前記取付面には、前記基部の外寸とほぼ同じ大きさの凹状をなし、前記基部の少なくとも内面を内側に収容可能な位置決め凹部が形成されており、
前記接触回避部は、前記位置決め凹部内に形成されており、
前記接触回避部は、前記位置決め凹部の中央部を中心とした点対称位置に2つ形成されていることを特徴とする箱型容器。
【請求項5】
略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備え、少なくとも1つの前記側壁部の外面に対してICタグが取付けられる箱型容器において、
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、
ベース壁部と、
前記側壁部の内面よりも外方に位置し、前記ICタグが取付けられる取付壁と、
前記取付壁よりも外方に位置する保護部とを備え、
前記取付壁に対して前記ICタグが略当接状態で取付けられるとともに、前記保護部のうち前記側壁部の外方側の端部は前記取付壁に取付けられた前記ICタグよりも前記側壁部の外方に位置しており、
記側壁部同士を上下に重ねるようにして折り畳み可能であり、
前記側壁部は、相対する一対の第1側壁部と、相対する一対の第2側壁部とを備え、前記第1側壁部を略水平方向に延びるようにして畳んだ状態とすることで、前記第2側壁部を略水平方向に延びるようにして畳むことのできる構成であって、
前記第2側壁部のうち少なくとも一方において前記取付壁が設けられるとともに、
前記取付壁と、前記ベース壁部との間には枠状の連結壁部が設けられ、
前記連結壁部は、前記側壁部の外方側又は内方側に向けて縮径するテーパ状をなしていることを特徴とする箱型容器。
【請求項6】
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、
前記ベース壁部から内方に延出し、延出方向先端縁によって当該側壁部の内面を構成する補強リブと、
前記取付壁を有し、前記ベース壁部から内方に突出形成されて、前記取付壁を前記ベース壁部の外面よりも内方、かつ、前記補強リブの先端縁よりも外方に位置させる取付台とを備え、
前記取付壁に取付けられた前記ICタグは前記ベース壁部よりも内方に位置していることを特徴とする請求項5に記載の箱型容器。
【請求項7】
前記取付壁のうち前記ICタグと当接状態とされる取付面には、前記ICタグのうちICチップに対応する部位との接触を回避可能な凹状、又は、孔状の接触回避部が形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の箱型容器。
【請求項8】
前記ICタグは、ICチップが搭載されるシート状の基部を備え、
前記取付壁のうち前記ICタグと当接状態とされる取付面には、前記基部の外寸とほぼ同じ大きさの凹状をなし、前記基部の少なくとも内面を内側に収容可能な位置決め凹部が形成されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の箱型容器。
【請求項9】
略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備え、少なくとも1つの前記側壁部の外面に対してICタグが取付けられる箱型容器において、
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、
ベース壁部と、
前記側壁部の内面よりも外方に位置し、前記ICタグが取付けられる取付壁と、
前記取付壁よりも外方に位置する保護部とを備え、
前記取付壁に対して前記ICタグが略当接状態で取付けられるとともに、前記保護部のうち前記側壁部の外方側の端部は前記取付壁に取付けられた前記ICタグよりも前記側壁部の外方に位置しており、
前記取付面には、前記ICタグのうちICチップに対応する部位との接触を回避可能な凹状、又は、孔状の接触回避部が形成されているとともに、
前記ICタグは、ICチップが搭載されるシート状の基部を備え、
前記取付面には、前記基部の外寸とほぼ同じ大きさの凹状をなし、前記基部の少なくとも内面を内側に収容可能な位置決め凹部が形成されており、
前記接触回避部は、前記位置決め凹部内に形成されており、
前記接触回避部は、前記位置決め凹部の中央部を中心とした点対称位置に2つ形成されていることを特徴とする箱型容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される箱型容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、箱型容器は、略矩形板状の底壁部と、底壁部の側辺部から上方に延びる側壁部とを備え、上方から物品を出し入れする構成となっている。また、側壁部にICタグを取付けて、箱型容器に収容された物品の管理等に役立てるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−94133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、ICタグを中間枠に取付けてから、かかる中間枠を箱型容器に取付ける構成となっている。このため、ICタグを箱型容器に取付ける作業工程が増え、作業性の低下を招くおそれがある上、中間枠を別途用意することに起因するコストアップ等が懸念される。
【0005】
これに対し、ICタグを箱型容器の側壁部等に直接取り付けることも考えられるが、この場合、ICタグが損傷し易くなってしまうことが懸念される。また、箱型容器に金属製の物品や液体が充填された物品等が収容されている場合には、かかる収容物がICタグとの通信に悪影響を及ぼしてしまうことが懸念される。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、ICタグの取付作業性の向上を図りつつ、ICタグとの通信をより好適に行うことのできる箱型容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備え、少なくとも1つの前記側壁部の外面に対してICタグが取付けられる箱型容器において、
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、ベース壁部と、前記ICタグが取付けられる取付面を有し、前記ベース壁部から外方に突出形成されて、前記取付面を前記ベース壁部の外面よりも外方に位置させる取付台と、前記取付面を囲むようにして当該取付面の周縁部から外方に突出する保護部とを備え、
前記取付面に対して前記ICタグが略当接状態で取付けられるとともに、前記保護部の突出方向先端部は前記取付面に取付けられた前記ICタグよりも前記側壁部の外方に位置しており、
記側壁部同士を上下に重ねるようにして折り畳み可能であり、
前記側壁部は、相対する一対の第1側壁部と、相対する一対の第2側壁部とを備え、前記第1側壁部を略水平方向に延びるようにして畳んだ状態とすることで、前記第2側壁部を略水平方向に延びるようにして畳むことのできる構成であって、
前記第2側壁部のうち少なくとも一方において前記取付台が設けられるとともに、
前記取付台は、前記保護部と、前記ベース壁部とを連結する枠状の連結壁部とを備え、
前記連結壁部は、前記取付台の突出方向先端側に向けて縮径するテーパ状をなしていることを特徴とする箱型容器。
【0009】
手段1によれば、取付台を設けることによって、取付面に取付けられたICタグをベース壁部の外面よりも外方に位置させることができる。これにより、ICタグを箱型容器に収容されている物品から極力遠ざけることができる。このため、例えば、箱型容器に対して、液体が充填されたパックや金属部品等が収容されている場合に、かかる収容物がICタグとの通信に悪影響を及ぼしてしまうといった事態を抑制することができる。
【0010】
また、取付台を設けることによって、ICタグがベース壁部の外面よりも外方に位置されるため、ICタグが別部材に接触して、損傷したり、捲れたりするおそれが高まる。この点、本手段では、取付面を囲むようにして当該取付面に取付けられたICタグよりも外方に突出する保護部が設けられている。従って、ICタグに対して別部材が接触してしまうといった事態を抑制することができ、ICタグをより確実に保護することができる。
【0011】
さらに、本手段では、側壁部に対してICタグが直接当接状態で取付けられている。このため、ICタグを側壁部に取付けるためにはICタグを別部材に取付けてから当該別部材を側壁部に取付ける必要があるような構成に比べ、取付作業性の向上、コストの削減等を図ることができる。尚、ICタグの取付面への取付方法は特に限定されるものではなく、例えば、ICタグに接着面を形成してかかる接着面を取付面に貼着する、ICタグを取付面に当接させた状態で、ICタグに被せるようにしてラミネートシールを貼着する等が挙げられる。
また、第1側壁部の回動に際して、第1側壁部の側面が連結壁部の内周面に接触したとしても、第1側壁部がかかる内周面によって案内されることとなり、第1側壁部の回動変位をそのままスムースに行うことができる。
【0012】
手段2.前記取付面には、前記ICタグのうちICチップに対応する部位との接触を回避可能な凹状、又は、孔状の接触回避部が形成されていることを特徴とする手段1に記載の箱型容器。
【0013】
手段2によれば、たとえICタグが押圧されたとしても、ICタグのうちICチップに対応する部位と取付面とが圧接し、ICチップが押し潰されてしまうといった事態を回避することができる。尚、ICチップは必ずしもICタグの一般面よりも突出していなくてもよい。当該構成においても、ICチップに対応する部位と、接触回避部とを位置合わせすることで、所定の要因によりICタグが取付面側に圧迫されても、ICチップが取付面に圧接されてしまうといった事態を回避することができることから、上記作用効果が十分に奏される。
【0014】
手段3.前記ICタグは、ICチップが搭載されるシート状の基部を備え、
前記取付面には、前記基部の外寸とほぼ同じ大きさの凹状をなし、前記基部の少なくとも内面を内側に収容可能な位置決め凹部が形成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の箱型容器。
【0015】
手段3によれば、ICタグの位置ずれをより確実に防止できる上、ICタグの取付作業性の向上をも図ることができる。尚、手段2に対応しては、ICタグの基部と、位置決め凹部とで位置決めが行われることによって、ICチップと接触回避部とをより確実に位置合わせすることができる。
【0016】
手段4.略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備え、少なくとも1つの前記側壁部の外面に対してICタグが取付けられる箱型容器において、
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、ベース壁部と、前記ICタグが取付けられる取付面を有し、前記ベース壁部から外方に突出形成されて、前記取付面を前記ベース壁部の外面よりも外方に位置させる取付台と、前記取付面を囲むようにして当該取付面の周縁部から外方に突出する保護部とを備え、
前記取付面に対して前記ICタグが略当接状態で取付けられるとともに、前記保護部の突出方向先端部は前記取付面に取付けられた前記ICタグよりも前記側壁部の外方に位置しており、
前記取付面には、前記ICタグのうちICチップに対応する部位との接触を回避可能な凹状、又は、孔状の接触回避部が形成されているとともに、
前記ICタグは、ICチップが搭載されるシート状の基部を備え、
前記取付面には、前記基部の外寸とほぼ同じ大きさの凹状をなし、前記基部の少なくとも内面を内側に収容可能な位置決め凹部が形成されており、
前記接触回避部は、前記位置決め凹部内に形成されており、
前記接触回避部は、前記位置決め凹部の中央部を中心とした点対称位置に2つ形成されていることを特徴とする箱型容器。
手段4によれば、ICタグの基部と、位置決め凹部とで位置決めが行われることによって、ICチップと接触回避部とをより確実に位置合わせすることができる。
また、ICタグの向きを上下反対に取付けても、ICチップがどちらかの接触回避凹部に収容されることとなる。
【0017】
手段5.略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備え、少なくとも1つの前記側壁部の外面に対してICタグが取付けられる箱型容器において、
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、
ベース壁部と、
前記側壁部の内面よりも外方に位置し、前記ICタグが取付けられる取付壁と、
前記取付壁よりも外方に位置する保護部とを備え、
前記取付壁に対して前記ICタグが略当接状態で取付けられるとともに、前記保護部のうち前記側壁部の外方側の端部は前記取付壁に取付けられた前記ICタグよりも前記側壁部の外方に位置しており、
記側壁部同士を上下に重ねるようにして折り畳み可能であり、
前記側壁部は、相対する一対の第1側壁部と、相対する一対の第2側壁部とを備え、前記第1側壁部を略水平方向に延びるようにして畳んだ状態とすることで、前記第2側壁部を略水平方向に延びるようにして畳むことのできる構成であって、
前記第2側壁部のうち少なくとも一方において前記取付壁が設けられるとともに、
前記取付壁と、前記ベース壁部との間には枠状の連結壁部が設けられ、
前記連結壁部は、前記側壁部の外方側又は内方側に向けて縮径するテーパ状をなしていることを特徴とする箱型容器。
【0018】
手段によれば、取付壁に取付けられたICタグが、側壁部の内面よりも外方、かつ、保護部よりも内方に位置することとなる。このため、基本的に、上記手段1と同様の作用効果が奏される。尚、側壁部の内面とは、側壁部に対してその内側から、側壁部とほぼ同じ面積の仮想平面を近接させた場合に、当該仮想平面に対して3点以上で当接し、それ以上、側壁部の外側に変位させられないように支持されている状態の仮想平面をいう。
【0019】
手段.前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、
ベース壁部と、
前記ベース壁部から内方に延出し、延出方向先端縁によって当該側壁部の内面を構成する補強リブと、
前記取付壁を有し、前記ベース壁部から内方に突出形成されて、前記取付壁を前記ベース壁部の外面よりも内方、かつ、前記補強リブの先端縁よりも外方に位置させる取付台とを備え、
前記取付壁に取付けられた前記ICタグは前記ベース壁部よりも内方に位置していることを特徴とする手段に記載の箱型容器。
【0020】
手段によれば、取付壁に取付けられたICタグが、側壁部の内面を構成する補強リブの先端縁よりも外方、かつ、ベース壁部よりも内方に位置することとなる。このため、基本的に、上記手段1や手段と同様の作用効果が奏される。尚、本手段においては、ベース壁部が保護部を構成する。
【0021】
手段.前記取付壁のうち前記ICタグと当接状態とされる取付面には、前記ICタグのうちICチップに対応する部位との接触を回避可能な凹状、又は、孔状の接触回避部が形成されていることを特徴とする手段5又は6に記載の箱型容器。
【0022】
手段によれば、基本的に上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0023】
手段.前記ICタグは、ICチップが搭載されるシート状の基部を備え、
前記取付壁のうち前記ICタグと当接状態とされる取付面には、前記基部の外寸とほぼ同じ大きさの凹状をなし、前記基部の少なくとも内面を内側に収容可能な位置決め凹部が形成されていることを特徴とする手段5乃至7のいずれかに記載の箱型容器。
【0024】
手段によれば、基本的に上記手段3と同様の作用効果が奏される。
【0025】
手段9.略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備え、少なくとも1つの前記側壁部の外面に対してICタグが取付けられる箱型容器において、
前記ICタグが取付けられる前記側壁部は、
ベース壁部と、
前記側壁部の内面よりも外方に位置し、前記ICタグが取付けられる取付壁と、
前記取付壁よりも外方に位置する保護部とを備え、
前記取付壁に対して前記ICタグが略当接状態で取付けられるとともに、前記保護部のうち前記側壁部の外方側の端部は前記取付壁に取付けられた前記ICタグよりも前記側壁部の外方に位置しており、
前記取付面には、前記ICタグのうちICチップに対応する部位との接触を回避可能な凹状、又は、孔状の接触回避部が形成されているとともに、
前記ICタグは、ICチップが搭載されるシート状の基部を備え、
前記取付面には、前記基部の外寸とほぼ同じ大きさの凹状をなし、前記基部の少なくとも内面を内側に収容可能な位置決め凹部が形成されており、
前記接触回避部は、前記位置決め凹部内に形成されており、
前記接触回避部は、前記位置決め凹部の中央部を中心とした点対称位置に2つ形成されていることを特徴とする箱型容器。
手段9によれば、上記手段4と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態における折畳み容器の斜視図である。
図2】蓋部材を開状態とした折畳み容器の斜視図である。
図3】折り畳み、或いは、組立ての過程にある折畳み容器の斜視図である。
図4】折り畳み、或いは、組立ての過程にある折畳み容器の斜視図である。
図5】折畳まれた折畳み容器の斜視図である。
図6図5のA−A線断面図である。
図7】下壁部を内面側から見た斜視図である。
図8】下壁部を外面側から見た斜視図である。
図9図8のB−B線断面を含む斜視図である。
図10】ICタグの表面図である。
図11】ICタグ取付前の取付台等を示す部分拡大正面図である。
図12】ICタグ取付後の取付台等を示す部分拡大正面図である。
図13】別の実施形態における下壁部を外面側から見た一部断面を含む斜視図である。
図14】別の実施形態における下壁部の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図2に示すように、箱型容器としての折畳み容器1は、上方に開口する略四角箱状をなし、物品を収容可能な容器本体2と、容器本体2の開口部を開閉可能な一対の蓋部材3とを備えている。本実施形態の容器本体2及び蓋部材3は、それぞれポリプロピレンにより構成されている。
【0029】
容器本体2は、略矩形板状の底壁部11と、底壁部11の相対する一対の長辺部に対応してそれぞれ設けられた長辺側側壁部12と、底壁部11の相対する一対の短辺部に対応してそれぞれ設けられた短辺側側壁部13と、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13の上辺部に沿って設けられた四角枠状の上枠14とを備えている。
【0030】
また、図3図6に示すように、本実施形態の容器本体2は折り畳み可能に構成されている。すなわち、長辺側側壁部12は、底壁部11の長辺部に対して回動可能に連結される下壁部15と、上枠14の長辺部に対して回動可能に連結される上壁部16とを備え、下壁部15の上辺部と上壁部16の下辺部とが回動可能に連結されている。本実施形態では、図4に示すように、上壁部16と下壁部15との連結部を容器本体2の内側に押し込むように押圧することで、上壁部16の外面と下壁部の外面とを合わせるようにして長辺側側壁部12を折り畳み可能になっている。
【0031】
短辺側側壁部13は、上枠14の短辺部に対して回動可能に連結されている。本実施形態では、図3に示すように、短辺側側壁部13を容器本体2の内側に押し込むように押圧することで、短辺側側壁部13を略水平に延在するまで回動可能になっている(図6参照)。また、短辺側側壁部13の横幅は、一対の長辺側側壁部12間の距離とほぼ同じであり、容器本体2の組立状態では一対の長辺側側壁部12の間に位置している上、短辺側側壁部13と上枠14との回転軸は、長辺側側壁部12と上枠14との回転軸よりも上方に位置している。このため、組立状態にある容器本体2は、先ず、一対の短辺側側壁部13を容器本体2の内側に押圧して水平に延在するまで回動させてから、一対の長辺側側壁部12を折り曲げることで、折り畳むことができるようになっている。尚、容器本体2の組立状態において、短辺側側壁部13と底壁部11とを係止させたり、短辺側側壁部13と長辺側側壁部12とを係止させたりする係止手段を設けることとしてもよい。
【0032】
図2に示すように、上枠14は、一対の長辺側側壁部12にそれぞれ連結される一対の長辺部(以下、「長辺側枠構成部17」と称する)と、一対の短辺側側壁部13にそれぞれ連結される一対の短辺部(以下、「短辺側枠構成部18」と称する)とを備え、上枠14の外寸は、底壁部11の外寸とほぼ等しくなっている。また、容器本体2の組立状態では、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13の内面と、上枠14の内周面とがほぼ面一となるように構成されている。加えて、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13は、容器本体2の組立状態であっても、上枠14や底壁部11の外周縁よりも外周側には突出しないように構成されている(図1参照)。また、容器本体2の折り畳み状態では、折り畳まれた長辺側側壁部12と、その上方に重なる短辺側側壁部13とが上枠14の内周側に収容されるとともに、底壁部11と上枠14とが上下に直接当接するように構成されている(図5図6参照)。
【0033】
加えて、図6に示すように、底壁部11の下面側には、底壁部11のうち、容器本体2を平面視した場合に上枠14よりも内周側に位置する範囲から下方に突出する格子状の支持リブ19が設けられている。そして、容器本体2を床面に設置した場合には、支持リブ19の下縁部が床面に接地し、容器本体2が支持される構成となっている。
【0034】
図1図2に示すように、蓋部材3は、上枠14の相対する一対の長辺側枠構成部17の上辺部に対してそれぞれ回動可能に連結されている。本実施形態の蓋部材3は、容器本体2の開口部を覆って略水平に延び、上枠14の上辺部に支持される位置から、蓋部材3の上面が長辺側側壁部12の外面と対向するようにして長辺側側壁部12の外面側に並設されて略鉛直に延びる位置となるまで開放可能に構成されている。尚、一対の蓋部材3は同形状のものであり、向い合せにしてそれぞれ長辺側枠構成部17に取付けられている。
【0035】
また、蓋部材3には、一対の蓋部材3の突合わせ側の開放側端縁から蓋部材3の上面を延長させるようにして突出形成された平面視略台形状の張出し部21が設けられている。これに対し、蓋部材3の上面側には、一対の蓋部材3をともに閉状態とする際に、他方の蓋部材3の張出し部21を収容可能な収容凹部22が形成されている。そして、開状態にある一対の蓋部材3を同時に閉方向に変位させることで、張出し部21の干渉を回避しつつ、一対の蓋部材3を閉状態とすることができ、一対の蓋部材3が閉状態とされると、各蓋部材3の張出し部21が相手側の蓋部材3の収容凹部22に収容されることとなる。
【0036】
加えて、上枠14の長辺側枠構成部17及び短辺側枠構成部18の上辺部には、上方に突出する位置決め突部23が設けられている。これに対応して、各蓋部材3には、閉状態とされた場合に、位置決め突部23が挿通される位置決め開口部24が形成されている。当該構成により、閉状態にある蓋部材3の水平方向における位置ずれが防止されることとなる。さらに、図1等に示すように、位置決め突部23は、蓋部材3を閉状態とした場合においても、蓋部材3の上面よりも上方にまで突出している。そして、蓋部材3を閉状態として、折畳み容器1同士を上下に積み重ねた(段積みした)場合、上側の折畳み容器1の容器本体2の支持リブ19の下面が、下側の折畳み容器1の蓋部材3の上面に支持されるとともに、上側の折畳み容器1の支持リブ19の外周面が、下側の折畳み容器1の複数の位置決め突部23の側面と対向配置され、これによって上下に段積みされた折畳み容器1同士の水平方向における位置ずれが防止されるようになっている。尚、位置決め突部23によって段積み時の折畳み容器1の位置決めを行う構成に代えて、蓋部材3に対して上面から上方に突出するずれ止め凸部を設けて、かかるずれ止め凸部によって段積み時の折畳み容器1の位置決めを行うように構成してもよい。
【0037】
さて、本実施形態では、折畳み容器1に収容されている物品等を示す識別情報を記憶しているICタグ(RFID;Radio frequency identification)51が長辺側側壁部12の下壁部15に取付けられるようになっている。以下、下壁部15について、図7図9等を参照して説明する。尚、本実施形態の下壁部15は左右対称形状であり、一対の長辺側側壁部12の下壁部15は同一形状である。
【0038】
図8等に示すように、各下壁部15は、左右に長い略長方形平板状のベース壁部31と、ベース壁部31の下辺部に設けられ、底壁部11の長辺部に対して回動可能に連結される下ヒンジ部32と、ベース壁部31の上辺部に設けられ、上壁部16の下辺部に対して回動可能に連結される上ヒンジ部33と、ベース壁部31の横幅方向中央部において外方に膨出するとともに、ICタグ51が取付けられる取付台34とを備えている。また、図7等に示すように、ベース壁部31の横幅方向中央部には、略正方形状の切欠き部35が形成されている。
【0039】
図8図9等に示すように、取付台34は、切欠き部35の周縁部から下壁部15の外方に向けて次第に縮径しつつ突出する四角枠状の連結壁36と、連結壁36の先端縁から連結壁36の内周側、かつ、下壁部15の内方に向けて延びる四角枠状の折り返し部37と、折り返し部37の先端縁の内周側に形成される開口部を閉塞し、ベース壁部31とほぼ平行して延在する取付壁38とを備えている。本実施形態では、取付壁38の外面が、ICタグ51を取付ける取付面39となっている。また、下壁部15の厚み方向において、連結壁36のベース壁部31からの突出長は、折り返し部37の連結壁36先端縁からの延出長よりも長くなっている。これにより、取付壁38の取付面39、ひいては、取付面39に取付けられたICタグ51は、ベース壁部31の外面よりも外方に位置することとなっている。
【0040】
図10に示すように、ICタグ51は、長方形のシート状で紙製の基部52と、識別情報を記憶するICチップ53と、アンテナ部54とを備えている。
【0041】
また、図11図12等に示すように、取付壁38の取付面39は、ICタグ51の基部52よりも面積が広く構成されている。本実施形態では、取付面39にICタグ51を面当接させて、さらにその上からICタグ51の基部52よりも面積の広い透明なラミネートシール56をICタグ51に被せるようにして取付面39に貼着することで、ICタグ51が取付台34に取付けられている。さらに、取付壁38の取付面39には、ICタグ51の基部52の外寸とほぼ同じ大きさの(若干大きい)凹状をなし、基部52の少なくとも内面(取付壁38と当接する面)を内側に収容可能な位置決め凹部41が形成されている。これにより、位置決め凹部41に設置されたICタグ51の取付壁38の面方向における位置ずれが防止されることとなる。
【0042】
加えて、位置決め凹部41の底面には、位置決め凹部41に設置されたICタグ51のICチップ53に対応する部位において、ICチップ53との接触を回避可能とする接触回避部としての接触回避凹部42が形成されている。接触回避凹部42は、ICチップ53よりも一回り大きく、ICタグ51の取付状態では、ICチップ53が接触回避凹部42の内周側に相対位置している。尚、接触回避凹部42は、位置決め凹部41の中央部を中心とした点対称位置に2つ形成されている。これにより、ICタグ51の向きを上下反対に取付けても、ICチップ53がどちらかの接触回避凹部42に収容されることとなる。
【0043】
また、ICタグ51の取付状態では、連結壁36の突出方向先端縁が、ICタグ51よりも下壁部15の外方に位置している。これにより、例えば、組立状態にある折畳み容器1の長辺側側壁部12が倉庫等の壁面に当接したとしても、ICタグ51がかかる壁面に当接する前に、連結壁36と折り返し部37との連接部がかかる壁面に当接することとなるため、ICタグ51の保護を図ることができる。本実施形態では、連結壁36のうち取付面39よりも外方に突出した部位、及び、折り返し部37が、保護部を構成する。
【0044】
また、図7等に示すように、下壁部15のベース壁部31に対して取付台34が外方に膨出形成されることによって、下壁部15の内面側には内面側凹部45が形成されている。さらに、内面側凹部45には、内面側凹部45の底面から延出する近接防止手段としての近接防止リブ46が設けられている。当該近接防止リブ46についても、取付台34等とともに、下壁部15と一体成形される。
【0045】
近接防止リブ46は、内面側凹部45の左右方向中央部において、下壁部15の高さ方向(上下方向)に沿って延びる中央リブ47と、内面側凹部45(連結壁36)の内周面と中央リブ47の側面との間、又は、内面側凹部45の内周面の異なる2点間を連結するようにして、内面側凹部45の左右方向中央部側に向けて上方傾斜して延びる複数の傾斜リブ48とを備えている。中央リブ47を境界として内面側凹部45の左右の領域にそれぞれ設けられる複数の傾斜リブ48は、中央リブ47を中心として互いに線対称形状となるように延在している。加えて、中央リブ47及び傾斜リブ48からなる近接防止リブ46の内面側凹部45底面からの突出方向先端縁は、ベース壁部31の内面と面一となっている。
【0046】
尚、上記のように、連結壁36はテーパ状をなしているため、その内面である内面側凹部45の内周面についても、ベース壁部31の内面に向けて次第に拡径するテーパ面(傾斜面)となっている。また、折畳み容器1を折り畳んだり、組み立てたりする場合において、短辺側側壁部13を回動変位させる際に、当該短辺側側壁部13の側面下部が、内面側凹部45の直前を通過することとなり、近接防止リブ46に近接或いは摺接するようになっている(図3参照)。
【0047】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ICタグ51が取付けられる下壁部15において、ベース壁部31から外方に膨出する取付台34を設けることによって、取付台34の取付壁38外面(取付面39)に取付けられたICタグ51をベース壁部31の外面よりも外方に位置させることができる。これにより、ICタグ51を折畳み容器1に収容されている物品から極力遠ざけることができる。このため、例えば、折畳み容器1に対して、液体が充填されたパックや金属部品等が収容されている場合に、かかる収容物がICタグ51との通信に悪影響を及ぼしてしまうといった事態を抑制することができる。
【0048】
また、取付台34を設けることによって、ICタグ51がベース壁部31の外面よりも外方に位置されるため、ICタグ51が別部材に接触して、損傷したり、捲れたりするおそれが高まる。この点、本実施形態では、取付台34の連結壁36が、取付面39を囲むようにして、当該取付面39に取付けられたICタグ51よりも外方にまで突出形成されている。従って、ICタグ51に対して別部材が接触してしまうといった事態を抑制することができ、ICタグ51をより確実に保護することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、長辺側側壁部12の下壁部15に対してICタグ51が直接当接状態で取付けられている。このため、ICタグ51を下壁部15に取付けるためにはICタグ51を別部材に取付けてから当該別部材を下壁部15に取付ける必要があるような構成に比べ、取付作業性の向上、コストの削減等を図ることができる。
【0050】
加えて、取付面39には、ICタグ51のICチップ53を収容して、当該ICチップ53と取付面39との接触を回避させることのできる接触回避凹部42が形成されている。このため、たとえICタグ51が押圧されたとしても、ICチップ53と取付面39とが圧接し、ICチップ53が押し潰されてしまうといった事態を回避することができる。
【0051】
また、取付面39には、ICタグ51の基部52の外寸とほぼ同じ大きさの位置決め凹部41が形成され、ICタグ51の基部52の当接面側が位置決め凹部41に収容されることよってICタグ51の位置決めが行われるようになっている。これにより、ICタグ51の位置ずれをより確実に防止できる上、ICタグ51の取付作業性の向上をも図ることができる。さらに、ICタグ51の基部52と、位置決め凹部41とで位置決めが行われることによって、ICチップ53と接触回避凹部42とをより確実に位置合わせすることができる。従って、ラミネートシール56の貼着作業時等において、ICタグ51が接触回避凹部42に対して位置ずれし、ICチップ53と接触回避凹部42の内側面とが当接してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、取付台34を下壁部15の外方に膨出形成することに起因して下壁部15の内面側に形成されることとなる内面側凹部45において、内面側凹部45の底面から延出する近接防止リブ46が設けられている。このため、折畳み容器1に収容された物品(収容物)が内面側凹部45に進入してしまうといった事態を抑制することができる。従って、上記のように、せっかく取付台34を形成してICタグ51を収容物から遠ざけようとしたにもかかわらず、内容物が内面側凹部45に進入することによって、取付台34を形成したことによる作用効果が上手く奏されなくなってしまうといった事態を抑止することができる。
【0053】
尚、ベース壁部31を膨出形成する(厚みをほぼ一定としたまま面変化させる)ことで取付面39を外方に位置させるのではなく、ベース壁部31を厚肉にしたり、ベース壁部31に中空部を形成したりすることで取付面39を外方に位置させることも考えられる。しかしながら、この場合、取付面39を平坦にする等の精密な成形が比較的困難なものとなったり、ヒケにより外観品質が低下したりすることが懸念される。この点、本実施形態のように、ベース壁部31を膨出形成することによって取付面39を外方に位置させる構成を採用することで、上記懸念を払拭することができる。
【0054】
さらに、近接防止リブ46は、内面側凹部45の横幅方向中央部において下壁部15の高さ方向(上下)に延びる中央リブ47と、内面側凹部45の中央部側かつ上方に向けて傾斜して延びる複数の傾斜リブ48とを備えている。このように、本例では、下壁部15の横幅方向、かつ、高さ方向に対して傾斜して延びる傾斜リブ48によって近接防止リブ46を構成することとしている。これにより、例えば、近接防止リブ46が下壁部15の横幅方向に沿って延びる横リブであったりする場合に比べ、折畳み容器1に対して物品を出し入れする際に、物品が近接防止リブ46に引っ掛かり難くなるようにしたり、下壁部15を洗浄した場合に近接防止リブ46において洗浄水が溜まり難くなるようにしたりすることができる。また、例えば、近接防止リブ46が下壁部15の高さ方向に沿って延びる縦リブのみで構成される場合に比べ、隣接するリブ間において埃等を溜まり難くすることができる。さらに、近接防止リブ46が下壁部15とは別部材である場合に比べ、取付作業性の向上、コストの抑制、下壁部15からの脱落リスクの回避、知らない間に別部材の裏面側が汚れて不衛生になることの回避等を図ることができる。
【0055】
また、短辺側側壁部13を回動させる際に、短辺側側壁部13の側面が長辺側側壁部12の内面に略摺接することが考えられるが、長辺側側壁部12の下壁部15に形成された内面側凹部45には、短辺側側壁部13の回動方向にほぼ沿った方向(逆らわない方向)に延びる近接防止リブ46(傾斜リブ48)が設けられている。従って、短辺側側壁部13を回動させる際に、短辺側側壁部13が内面側凹部45に進入するといった事態を防止しつつ、短辺側側壁部13が近接防止リブ46に引っ掛かって回動変位が妨げられてしまうといった事態を回避することができる。
【0056】
尚、例えば、短辺側側壁部13にICタグ51を取付ける場合には、短辺側側壁部13を回動させる(跳ね上げる)際のICタグ51の視認性が悪い(基本的に短辺側側壁部13の外面を目視せずに押し上げる)ことから、作業者が不用意にICタグ51に接触してしまうことが懸念される。このため、本実施形態のように、ICタグ51は長辺側側壁部12に設けられる方が望ましい。
【0057】
加えて、連結壁36が下壁部15の内面側に向けて次第に拡径するテーパ状となっている。従って、短辺側側壁部13の回動に際して、短辺側側壁部13の側面が連結壁36(内面側凹部45)の内周面に接触したとしても、短辺側側壁部13がかかる内周面によって内面側凹部45の外部にまで案内されることとなり、短辺側側壁部13の回動変位をそのままスムースに行うことができる。
【0058】
また、連結壁36(内面側凹部45)の内周面が上記のように傾斜していることによって、連結壁36(内面側凹部45)の内周面と、取付壁38の裏面(内面側凹部45の底面)との連接部に埃等を溜まり難くすることができる。
【0059】
さらに、連結壁36の外周面に関しても、取付台34の突出方向先端側に向けて縮径するテーパ状になっていることによって、別部材が連結壁36の外周面に接触した場合に引っ掛かってしまうといった事態を回避することができる。
【0060】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0061】
(a)上記実施形態では、容器本体2が折り畳み可能な折畳み容器1に具体化されているが、折り畳むことのできない容器本体を具備する(容器本体が一体成形された)箱型容器に適用することも可能である。また、上記実施形態では、容器本体2は、上枠14を備えるとともに、長辺側側壁部12の上下方向中間位置が内側に屈曲する折り畳み式の容器であったが、別の折り畳み式の容器(例えば、上枠14がなく、かつ、長辺側側壁部12が上下方向中間位置で屈曲せず、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13が底壁部11に対して回動可能に連結されて底壁部11の上方に重ねて折り畳むことのできる折り畳み容器)を採用してもよい。
【0062】
また、底壁部11に対して各側壁部12、13を回動可能に連結する構成を採用する場合、折畳み容器1を折り畳む際に、短辺側側壁部13が畳まれた後に畳まれることとなる長辺側側壁部12(上記実施形態のようには屈曲しない)のうち、横幅方向中央部、かつ、上下方向における上部において取付台34(内面側凹部45)が設けられていることとしてもよい。すなわち、当該構成においては、短辺側側壁部13が上方に跳ね上げられるのではなく、底壁部11の上面に傾倒させられるため、一対の短辺側側壁部13の回転軌道が下方においてより多く重なることとなる。つまり、取付台34(内面側凹部45)を長辺側側壁部12の下部に設けると、近接防止リブ46を一方の短辺側側壁部13の回転軌道に極力沿わせて傾斜させて形成しても、他方の短辺側側壁部13の回転軌道に交差する方向に延びてしまうこととなる。それ故、かかる構成を採用する場合においては、取付台34(内面側凹部45)は、長辺側側壁部12の極力上部に設けることが望ましい。さらに、かかる構成を採用する場合には、近接防止リブ46の傾斜リブ48は、内面側凹部45の横幅方向中央部側に向けて下方傾斜している(上記実施形態とは逆向き)こととする。
【0063】
さらに、上記実施形態では、容器本体2に対して蓋部材3が回動可能に連結された容器に具体化されているが、別のタイプの蓋部材3、例えば、着脱自在な蓋部材を備える容器に適用してもよいし、蓋部材のない容器に適用してもよい。加えて、上記実施形態では、一対の長辺側側壁部12の下壁部15に対して取付台34が設けられてICタグ51が取付けられる構成であったが、ICタグ51の取付対象となる部位は特に限定されるものではなく、適用される容器毎に適宜設定可能である。
【0064】
(b)上記実施形態では、連結壁36が取付壁38よりも外方にまで突出しているが、例えば、折り返し部37が省略されるような格好で、連結壁36の先端縁に直接取付壁38が連結されていることとしてもよい。この場合、取付壁38の周縁部から取付面39を囲むようにして外方に突出する保護部を設けることとしてもよい。
【0065】
また、ICタグ51の外部からの接触の低減を図るべく、取付壁38の全周に対応して(隙間なく)連結壁36が取付壁38よりも外方に突出しているが、取付壁38の周方向において部分的に突出している構成であってもよい。但し、ICタグ51の各側辺部にそれぞれ対応する突部が設けられることが望ましい。
【0066】
(c)上記実施形態では、近接防止リブ46が下壁部15の高さ方向に沿って延びる中央リブ47と、斜めに延びる傾斜リブ48とによって構成されているが、特に当該構成に限定されるものではなく、例えば、下壁部15の高さ方向(鉛直方向)に沿って延びる縦リブのみで近接防止リブ46を構成したり、下壁部15の横幅方向(水平方向)に沿って延びる横リブのみで近接防止リブ46を構成したりすることとしてもよい。また、例えば、近接防止手段として、近接防止リブ46に代えて、又は、加えて、内面側凹部45の底面(取付壁38の裏面)から突出する突起を設けたり、内面側凹部45に対して別部材の内蓋を内嵌させたりしてもよい。さらには、ベース壁部31に切欠き部35を形成するのではなく、中空部を形成することで取付台34を下壁部15の外方に突出形成したり、ベース壁部31の厚肉とすることで、取付台34を下壁部15の外方に突出形成したりしてもよい。
【0067】
但し、上記実施形態のように、折畳み容器1において、折畳みの際に短辺側側壁部13が畳まれた(跳ね上げられた)後に折り畳まれることとなる長辺側側壁部12に適用される場合には、短辺側側壁部13の回動に際して当該短辺側側壁部13が近接防止手段に引っ掛からないように、近接防止手段として、短辺側側壁部13の回動軌道に対して交差する方向に延びるリブや突起を採用することは控える方が好ましい。また、別部材の内蓋を近接防止手段として採用する場合、取付作業性の低下、コストの増加、下壁部15からの脱落、知らない間に裏面側が汚れて衛生面が低下する等の各種不具合を招くおそれがあるため、近接防止手段は下壁部15と一体成形されることが望ましい。さらに、ベース壁部31を中空状や厚肉とすることで取付台34を形成する場合、取付面39を平坦に形成したり、位置決め凹部41や接触回避凹部42を好適に形成したりすることが比較的困難なものとなるおそれがあるため、上記実施形態のように、ベース壁部31を面変化させるようにして膨出成形する(肉厚は一定)ことで取付台34を形成することが好ましい。
【0068】
(d)上記実施形態では特に言及していないが、位置決め凹部41や接触回避凹部42は、取付壁38の肉厚を変化させることなく、取付面39の該当部位をその周りに比べて一段低くすることによって形成してもよいし、取付面39の該当部位を若干薄肉にすることで凹部を形成することとしてもよい。さらに、接触回避凹部42に代えて、同じ個所に孔部を形成することでも、ICチップ53と取付壁38との接触を回避するといった同様の作用効果が奏される。
【0069】
また、取付面39や位置決め凹部41の正面視の形状や接触回避凹部42の位置等は特に限定されるものではなく、取付られ得るICタグ51の形状に対応して適宜設定可能である。さらに、ICタグ51の形状や構成についても特に限定されるものではなく、例えば、基部52が樹脂製のものであったり、ICチップ53が基部52から突出することなく基部52の厚み内に収められているものであったりしてもよい。また、ICタグ51のうちICチップ53が取付けられた面を取付面39に対向させて(当接させて)ICタグ51を取付けることとし、ICチップ53が接触回避凹部42の内側において、該接触回避凹部42の壁面から離間した状態で収容されていることとしてもよい。
【0070】
加えて、ICタグ51の取付面39への取付方法についても特に限定されるものではなく、例えば、ICタグ51自体に接着材が塗布された接着面が形成されていて、かかる接着面を取付面39に接着することとしてもよい。さらに、例えば、ICタグ51がカード型のもの(ICカード等)であって、取付台34にICタグ51をスライド取付可能とするホルダと、ICタグ51の抜け止めを行うロック手段(弾性片やスライド片やボルト、ネジ等)とを設けることとしてもよい。この場合、ホルダやロック手段によって保護部を構成する。また、ロック手段が取付壁38の裏面側に突出したとしても、内面側凹部45の内側であれば、近接防止リブ46によって、短辺側側壁部13のロック手段への接触を回避することができる。
【0071】
(e)上記実施形態において、位置決め凹部41を部分的に(例えば、各側辺部の中央部を)外周側に延長形成したり、取付面39のうち位置決め凹部41よりも外周側の部位をシボ加工してもよい。これらの構成を採用する場合、位置決め凹部41の位置決め効果はそのままに、ラミネートシール56を剥がし易くしたり、ラミネートシール56を剥がした後に、接着剤が取付面39に残存したりすることを抑制することができる。尚、位置決め凹部41や接触回避凹部42を省略することも可能である。
【0072】
(f)上記実施形態では、折畳み容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【0073】
(g)上記実施形態では、取付台34がベース壁部31から外方に膨出形成されているが、例えば、図13図14に示すように、ベース壁部31の内面から内方に延出するようにして補強リブ61(例えば、延出長がほぼ一定の縦リブや横リブ等)が設けられ、当該補強リブ61の内側先端縁によって内面が形成されているような構成の下壁部15を採用する場合においては、取付台34は、ベース壁部31から内方に突出するようにして形成されていることとしてもよい。この場合、取付壁38は、ベース壁部31の外面よりも内方、かつ、補強リブ61の内側先端縁よりも外方に位置することとなる上、取付壁38の外面側に取付けられたICタグ51はベース壁部31よりも内方に位置することとなる。また、本実施形態では、補強リブ61が取付台34に対応する部位にも形成されている(取付台34のうち下壁部15の内面側の面から延出している)。以上のような構成により、ICタグ51を折畳み容器1に収容されている物品から極力遠ざけるとともに、ベース壁部31よりも内方に位置するICタグ51に対して別部材が接触してしまうといった事態を抑制することができる。
【0074】
尚、本態様例においては、ベース壁部31によって保護部が構成され、補強リブ61のうち取付台34に対応する部位に形成されたものが近接防止手段(近接防止リブ46)を構成している。また、例えば、取付台34から補強リブ61を延出させなくても、取付台34を囲むようにして取付台34周縁部のベース壁部31から延出させた補強リブ61によって、近接防止リブ46を構成することとしてもよい。但し、収容物のICタグ51側への接近をより確実に防止するべく、取付台34からも補強リブ61(近接防止リブ46)を延出させることが望ましい。
【符号の説明】
【0075】
1…折畳み容器、2…容器本体、3…蓋部材、11…底壁部、12…長辺側側壁部、13…短辺側側壁部、14…上枠、15…下壁部、16…上壁部、31…ベース壁部、34…取付台、36…連結壁、37…折り返し部、38…取付壁、39…取付面、41…位置決め凹部、42…接触回避凹部、45…内面側凹部、46…近接防止リブ、48…傾斜リブ、51…ICタグ、52…基部、53…ICチップ、54…アンテナ部。
図1
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