(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、前記可動体を前記光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、前記可動体に固定される駆動用コイルと、前記駆動用コイルに対向するように前記固定体に固定される駆動用磁石と、前記可動体と前記固定体とを繋ぐバネ部材と、前記駆動用磁石よりも被写体側で前記可動体に固定され前記駆動用磁石との間に生じる磁気的吸引力によって前記光軸方向における前記可動体の基準位置に向かって前記可動体を付勢する環状の磁性部材とを備えるとともに、前記光軸方向から見たときの形状が略矩形状となるように形成されたレンズ駆動装置であって、
前記駆動用磁石は、略平板状に形成されるとともに、前記光軸方向から見たときの前記レンズ駆動装置の四辺のそれぞれに沿うように配置され、
前記可動体は、前記磁性部材が搭載される平面状の磁性部材搭載面と、前記レンズの周方向において所定の間隔をあけた状態で形成されるとともに前記磁性部材搭載面から被写体側に向かって突出する4個の突出部とを備え、
前記突出部は、前記レンズの光軸を曲率中心にした略円弧状に形成され、
4個の前記突出部は、前記レンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置され、
前記磁性部材搭載面は、前記突出部の外周側および4個の前記突出部の間に形成され、
前記磁性部材は、前記突出部の外周側に配置されるとともに前記レンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置される4個の外周側配置部と、4個の前記突出部の間に配置されるとともに前記レンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置され前記外周側配置部よりも内径の小さい4個の突出部間配置部と、前記外周側配置部から外周側へ突出する2個の突起部とを備え、
前記可動体には、前記突起部が係合する2個の係合部が形成され、
4個の前記突出部および4個の前記外周側配置部のそれぞれは、前記光軸方向から見たときの前記レンズ駆動装置の四隅のそれぞれに対応する位置に配置され、
4個の前記突出部間配置部は、前記光軸方向から見たときの前記レンズ駆動装置の四辺のそれぞれに対応する位置に配置され、
2個の前記突起部および2個の前記係合部のそれぞれは、前記光軸方向から見たときの前記レンズ駆動装置の四隅のうちの2箇所のそれぞれに対応する位置に配置されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等に搭載されるカメラの撮影用レンズを駆動するレンズ駆動装置として、レンズを保持して光軸方向へ移動する移動体と、移動体を光軸方向へ移動可能に保持する支持体と、移動体を光軸方向へ駆動するための駆動用コイルおよび駆動用磁石とを備えるレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、移動体に駆動用コイルが取り付けられ、支持体に駆動用磁石が取り付けられている。また、このレンズ駆動装置では、光軸方向における移動体の両端側に配置される板バネによって、移動体と支持体とが繋がれている。
【0003】
また、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、光軸方向における移動体の両端側に配置される板バネのうち、被写体側に配置される板バネは、移動体に固定される円環状の第1固定部と、支持体に固定される第2固定部と、第1固定部と第2固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備えている。この板バネは、腕部が撓んだ状態で、移動体および支持体に固定されており、この板バネの付勢力によって、移動体は、光軸方向における移動体の基準位置に向かって付勢されている。
【0004】
また、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、円環状の磁性部材が、駆動用磁石よりも被写体側で移動体に固定されている。このレンズ駆動装置では、この磁性部材と、支持体に固定される駆動用磁石との間に、磁気的な吸引力が作用しており、被写体側に配置される板バネの付勢力に加え、この磁気的吸引力によっても、光軸方向における移動体の基準位置に向かって移動体が付勢されている。
【0005】
このように、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、被写体側に配置される板バネの付勢力と、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力とによって、光軸方向における移動体の基準位置に向かって移動体が付勢されている。そのため、このレンズ駆動装置では、被写体側に配置される板バネのバネ特性や駆動用磁石の磁力等がばらついて、基準位置に向かう方向への移動体の付勢力がばらつくと、始動電流がばらついて、レンズ駆動装置の特性がばらつく。
【0006】
そこで、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、円環状に形成される磁性部材の外周側に形成される複数の凸部または凹部、あるいは、円環状に形成される磁性部材の内周側に形成される複数の凹部等からなる吸引力調整部が磁性部材に設けられており、レンズ駆動装置の光軸を中心にして磁性部材を回して吸引力調整部の位置を変えることで、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を調整している。また、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を調整することで、基準位置に向かう方向への移動体の付勢力を調整して、始動電流のばらつきを抑制している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、レンズ駆動装置の光軸を中心にして磁性部材を回して吸引力調整部の位置を変えることで、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を調整している。そのため、このレンズ駆動装置では、調整後に磁性部材を適切に位置決めしないと、調整された磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力が変動するおそれがある。したがって、このレンズ駆動装置では、磁性部材の位置決め作業が煩雑になるおそれがあり、その結果、レンズ駆動装置の組立作業が煩雑になるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、可動体に固定される磁性部材と固定体に固定される駆動用磁石との間の磁気的吸引力の調整が可能であっても、組立作業を容易に行うことが可能なレンズ駆動装置を提供することにある。また、本発明の課題は、かかるレンズ駆動装置の調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明のレンズ駆動装置は、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、可動体に固定される駆動用コイルと、駆動用コイルに対向するように固定体に固定される駆動用磁石と、可動体と固定体とを繋ぐバネ部材と、駆動用磁石よりも被写体側で可動体に固定され駆動用磁石との間に生じる磁気的吸引力によって光軸方向における可動体の基準位置に向かって可動体を付勢する環状の磁性部材とを備え
るとともに、光軸方向から見たときの形状が略矩形状となるように形成されたレンズ駆動装置であって、駆動用磁石は、略平板状に形成されるとともに、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四辺のそれぞれに沿うように配置され、可動体は、磁性部材が搭載される平面状の磁性部材搭載面と、レンズの周方向において所定の間隔をあけた状態で形成されるとともに磁性部材搭載面から被写体側に向かって突出する
4個の突出部とを備え、
突出部は、レンズの光軸を曲率中心にした略円弧状に形成され、4個の突出部は、レンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置され、磁性部材搭載面は、突出部の外周側および
4個の突出部の間に形成され、磁性部材は、突出部の外周側に配置される
とともにレンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置される4個の外周側配置部と、
4個の突出部の間に配置され
るとともにレンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置され外周側配置部よりも内径の小さい
4個の突出部間配置部と
、外周側配置部から外周側へ突出する2個の突起部とを備え
、可動体には、突起部が係合する2個の係合部が形成され、4個の突出部および4個の外周側配置部のそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四隅のそれぞれに対応する位置に配置され、4個の突出部間配置部は、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四辺のそれぞれに対応する位置に配置され、2個の突起部および2個の係合部のそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四隅のうちの2箇所のそれぞれに対応する位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のレンズ駆動装置は、駆動用磁石との間に生じる磁気的吸引力によって光軸方向における可動体の基準位置に向かって可動体を付勢する環状の磁性部材を備えている。また、本発明では、磁性部材は、突出部の外周側に配置される
4個の外周側配置部と、
4個の突出部の間に配置され外周側配置部よりも内径の小さい
4個の突出部間配置部とを備えている。そのため、本発明では、バネ部材のバネ特性等がばらついても、磁性部材の径方向における突出部間配置部の幅等を調整することで、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を調整して、基準位置に向かう方向への可動体の付勢力を調整することが可能になる。また、本発明では、突出部間配置部が
4個の突出部の間に配置されているため、突出部を利用して、磁性部材を容易に位置決めすることが可能になる。したがって、本発明では、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力の調整が可能であっても、レンズ駆動装置の組立作業を容易に行うことが可能になる。
【0012】
また、本発明では、
4個の突出部の間に配置される突出部間配置部の、磁性部材の径方向における幅等を調整することで、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を調整することが可能になる。すなわち、本発明では、
4個の突出部の間に形成されるデッドスペースを利用して、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を調整することが可能になる。そのため、本発明では、光軸方向に直交する方向において、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を調整するためのスペースを別途、設ける必要がない。したがって、本発明では、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力の調整が可能であっても、レンズ駆動装置に使用されるレンズの径を大きくしたり、光軸方向に直交する方向においてレンズ駆動装置を小型化したりすることが可能になる。
【0013】
また、本発明
では、レンズ駆動装置は、光軸方向から見たときの形状が略矩形状となるように形成され、駆動用磁石は、略平板状に形成されるとともに、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四辺のそれぞれに沿うように配置され、可動体は、レンズの光軸を曲率中心にした略円弧状に形成されレンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置される4個の突出部を備え、磁性部材は、レンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置される4個の外周側配置部と、レンズの光軸を中心とした略90°ピッチで配置される4個の突出部間配置部とを備え、4個の突出部および4個の外周側配置部のそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四隅のそれぞれに対応する位置に配置され、4個の突出部間配置部は、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四辺のそれぞれに対応する位置に配置されている。
そのため、駆動用磁石に比較的近い位置に配置される突出部間配置部の幅等を調整することで、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を調整することができる。したがって、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力を効率的に調整することが可能になる。
また、本発明では、磁性部材は、外周側配置部から外周側へ突出する2個の突起部を備え、可動体には、突起部が係合する2個の係合部が形成され、2個の突起部および2個の係合部のそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四隅のうちの2箇所のそれぞれに対応する位置に配置されている。そのため、突起部と係合部とを用いて、磁性部材をより容易に位置決めすることが可能になる。また、デッドスペースになりやすいレンズ駆動装置の四隅に突起部および係合部が配置されているため、磁性部材に突起部が形成され、可動体に係合部が形成されていても、レンズ駆動装置に使用されるレンズの径を大きくしたり、光軸方向に直交する方向においてレンズ駆動装置を小型化したりすることが可能になる。
【0014】
本発明において、可動体は、磁性部材の外周側に配置され磁性部材搭載面から被写体側に向かって突出する4個の第2突出部を備え、4個の第2突出部のそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の四隅のそれぞれに対応する位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、第2突出部を用いて、磁性部材をより容易に位置決めすることが可能になる。また、このように構成すると、デッドスペースになりやすいレンズ駆動装置の四隅に第2突出部が配置されているため、可動体に第2突出部が形成されていても、レンズ駆動装置に使用されるレンズの径を大きくしたり、光軸方向に直交する方向においてレンズ駆動装置を小型化したりすることが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、突出部間配置部には、外周側へ突出する凸部が形成され、凸部の全体が磁性部材搭載面に搭載されている。この場合には、凸部を利用して、磁性部材と駆動用磁石との間の磁気的吸引力の調整範囲を広げることが可能になる。また、この場合には、凸部の全体が磁性部材搭載面に搭載されているため、凸部が可動体の外周側へ突出することがない。したがって、突出部間配置部に凸部が形成されていても、レンズ駆動装置に使用されるレンズの径を大きくしたり、光軸方向に直交する方向においてレンズ駆動装置を小型化したりすることが可能になる。
【0017】
本発明において、磁性部材は、光軸方向から見たときにレンズの光軸に対して点対称に形成されていることが好ましい。このように構成すると、駆動用磁石と磁性部材との間の磁気的吸引力の、レンズの周方向におけるばらつきを抑制することが可能になる。
【0018】
本発明において、たとえば、突出部は、光軸方向における可動体の可動範囲を規制する機能を果たしている。
【0019】
本発明のレンズ駆動装置の調整方法では、たとえば、磁性部材の径方向における突出部間配置部の幅によって、駆動用磁石と磁性部材との間の磁気的吸引力を調整する。この調整方法では、磁性部材の径方向における突出部間配置部の幅によって、駆動用磁石と磁性部材との間の磁気的吸引力を調整するため、たとえば、磁性部材の厚みを調整することで、駆動用磁石と磁性部材との間の磁気的吸引力を調整する場合と比較して、駆動用磁石と磁性部材との間の磁気的吸引力を調整するために準備される複数種類の磁性部材を外観上で見分けやすくなる。したがって、レンズ駆動装置に取り付けられる磁性部材の取付間違いを抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明のレンズ駆動装置では、可動体に固定される磁性部材と固定体に固定される駆動用磁石との間の磁気的吸引力の調整が可能であっても、組立作業を容易に行うことが可能になる。また、本発明のレンズ駆動装置の調整方法では、レンズ駆動装置に取り付けられる磁性部材の取付間違いを抑制することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(レンズ駆動装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の斜視図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示すレンズ駆動装置1の分解斜視図である。なお、以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0024】
本形態のレンズ駆動装置1は、携帯電話、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるものであり、
図1に示すように、全体として略四角柱状に形成されている。具体的には、レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、レンズ駆動装置1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Z方向とX方向とから構成されるZX平面)または前後方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Y方向とZ方向とから構成されるYZ平面)と略平行になっている。
【0025】
本形態では、Z方向(上下方向)が光軸方向とほぼ一致している。また、本形態のレンズ駆動装置1が搭載されるカメラでは、下側に図示を省略する撮像素子が配置されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0026】
レンズ駆動装置1は、
図1、
図2に示すように、撮影用のレンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体2と、可動体2を光軸方向へ移動可能に保持する固定体3と、可動体2を光軸方向へ駆動するための駆動機構4とを備えている。また、レンズ駆動装置1は、
図2、
図3に示すように、可動体2と固定体3とを繋ぐバネ部材としての板バネ5、6を備えている。すなわち、可動体2は、板バネ5、6を介して固定体3に移動可能に保持されている。本形態では、板バネ5が可動体2の上端側に配置され、板バネ6が可動体2の下端側に配置されている。
【0027】
可動体2は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ7を保持するスリーブ8を備えている。固定体3は、レンズ駆動装置1の側面を構成するカバー部材10と、レンズ駆動装置1の下端側部分を構成するベース部材11と、板バネ5の一部が固定されるスペーサ12とを備えている。スリーブ8の上端側には、軟磁性材料で形成された環状の磁性部材13が固定されている。ベース部材11には、駆動機構4を構成する後述の駆動用コイル20へ電流を供給するための一対の給電端子14が固定されている。なお、
図3では、レンズホルダ7の図示を省略している。
【0028】
レンズホルダ7は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ7の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ8は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ8は、光軸方向から見たときの内周面の形状が略円形状となり、光軸方向から見たときの外周面の形状が略正方形状となる略筒状に形成されている。このスリーブ8は、その内周側でレンズホルダ7を保持している。スリーブ8の下端には、ベース部材11に形成される後述の基準面11bに当接して、光軸方向における可動体2の基準位置を決める突起部8aが下方向へ突出するように形成されている。突起部8aは、光軸Lを略中心とする90°ピッチで4箇所に形成されている。スリーブ8のより具体的な構成については後述する。
【0029】
カバー部材10は、磁性を有する金属材料で形成されている。また、カバー部材10は、底部10aと筒部10bとを有する底付きの略四角筒状に形成されている。上側に配置される底部10aの中心には、貫通孔10cが形成されている。このカバー部材10は、可動体2および駆動機構4の外周側を覆っている。
【0030】
ベース部材11は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。また、ベース部材11は、光軸方向から見たときの形状が略正方形となる扁平なブロック状に形成されている。このベース部材11は、カバー部材10の下端側に取り付けられている。ベース部材11の中心には、貫通孔11aが形成されている。また、ベース部材11の上面には、光軸方向における可動体2の基準位置を決めるための基準面11bが、光軸方向に直交する平面状に形成されている。基準面11bは、光軸Lを略中心とする90°ピッチで4箇所に形成されている。本形態では、スリーブ8の突起部8aの下端面が基準面11bに当接しているときに、可動体2は、光軸方向の基準位置にある。
【0031】
スペーサ12は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略正方形の扁平なブロック状に形成されている。また、スペーサ12は、枠状に形成されており、その中心には、貫通孔が形成されている。このスペーサ12は、カバー部材10の底部10aの下面に固定されている。スペーサ12の四隅のそれぞれの下面側には、板バネ5を構成する後述の固定体固定部が接着固定されている。
【0032】
板バネ5は、金属材料によって板状に形成されている。この板バネ5は、スリーブ8の上端側に固定される可動体固定部と、スペーサ12に固定される4個の固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ4本の腕部とを備えている。可動体固定部は、円環状に形成されている。固定体固定部は、略長方形状に形成されており、可動体固定部よりも外周側に配置されている。また、4個の固定体固定部のそれぞれは、レンズ駆動装置1の四隅のそれぞれに配置されている。腕部は、板バネ5の所望のバネ特性を得ることができるように略1/4円弧状に形成されている。
【0033】
板バネ5は、その厚み方向と光軸方向とが略一致するように、スリーブ8およびスペーサ12に固定されている。板バネ5の固定体固定部は、可動体2の可動範囲において、可動体固定部よりも下側に配置されており、板バネ5は、腕部が常時、撓んでいる状態で、スリーブ8およびスペーサ12に固定されている。そのため、可動体2は、板バネ5の付勢力によって、常時、下方向へ付勢されている。すなわち、可動体2は、板バネ5の付勢力によって、スリーブ8の突起部8aの下端面がベース部材11の基準面11bに当接する可動体2の光軸方向の基準位置に向かって付勢されている。
【0034】
板バネ6は、互いに電気的に分離された2個のバネ片15によって構成されている。バネ片15は、導電性を有する金属材料によって板状に形成されている。バネ片15は、スリーブ8の下端側に固定される可動体固定部と、ベース部材11に固定される2個の固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ2本の腕部とを備えている。バネ片15には、駆動機構4を構成する後述の駆動用コイル20の端部が電気的に接続されている。バネ片15は、その厚み方向と光軸方向とが略一致するように、スリーブ8およびベース部材11に固定されている。また、バネ片15は、後述の駆動用コイル20に電流が供給されていないときに、バネ片15による可動体2の付勢力が生じないように、スリーブ8およびベース部材11に固定されている。
【0035】
給電端子14は、導電性を有する金属材料によって形成されている。2個の給電端子14のうちの一方の給電端子14には、2個のバネ片15の一方が電気的に接続され、他方の給電端子14には、他方のバネ片15が電気的に接続されている。給電端子14は、ベース部材11に固定されている。
【0036】
駆動機構4は、スリーブ8の外周側に巻回される駆動用コイル20と、レンズ駆動装置1の4つの側面のそれぞれに沿って配置される駆動用磁石21とを備えている。駆動用コイル20は、スリーブ8の外周面に巻回されており、スリーブ8に固定されている。駆動用磁石21は、略矩形の平板状に形成されている。この駆動用磁石21は、前後方向または左右方向において駆動用コイル20の外周面と対向するようにカバー部材10の筒部10bの内側面に固定されている。すなわち、駆動用磁石21は、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四辺のそれぞれに沿うように配置されている。本形態のカバー部材10は、磁気回路を形成するためのヨークの機能を果たしている。
【0037】
(スリーブの構成および磁性部材の構成)
図4は、
図2に示すスリーブ8、磁性部材13および駆動用磁石21の平面図である。
図5は、
図3に示すスリーブ8の斜視図である。
図6は、
図5に示すスリーブ8の平面図である。
図7は、
図5に示す磁性部材13の平面図である。
図8は、
図7のF部の拡大図である。
【0038】
スリーブ8の上端側には、磁性部材13が搭載される磁性部材搭載面としての搭載面8cが形成されている。搭載面8cは、光軸方向に直交する平面状に形成されている。また、スリーブ8の上端側には、搭載面8cから上側に向かって突出する複数の突出部8dと、突出部8dよりも外周側に配置されるとともに搭載面8cから上側に向かって突出する第2突出部としての複数の突出部8eとが形成されている。本形態では、4個の突出部8dと4個の突出部8eとがスリーブ8の上端側に形成されている。
【0039】
4個の突出部8dは、光軸Lを曲率中心とする略円弧状に形成されている。また、4個の突出部8dは、レンズの周方向において所定の間隔をあけた状態で形成されている。具体的には、4個の突出部8dは、光軸Lを中心とする略90°ピッチで形成されている。レンズの周方向における突出部8dの間には、切欠き部8fが形成されている。突出部8dの内周面は、スリーブ8の内周面の一部を構成している。突出部8dは、レンズ駆動装置1に衝撃が加わったときに、カバー部材10の底部10aに当接して、可動体8の光軸方向における可動範囲を規制する機能を果たしている。
【0040】
図6に示すように、4個の突出部8dのそれぞれは、光軸方向から見たときの外周面の形状が略正方形状となるスリーブ8の四隅のそれぞれに形成されており、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四隅のそれぞれに対応する位置に配置されている。また、4個の切欠き部8fのそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四辺のそれぞれに対応する位置に配置されている。
【0041】
搭載面8cは、突出部8dの外周側および切欠き部8fに形成されている。すなわち、搭載面8cは、突出部8dの外周側、および、レンズの周方向における4個の突出部8dの間に形成されている。また、搭載面8cは、スリーブ8の、駆動用コイル20が巻回される部分よりも上側に形成されている。また、搭載面8cは、可動体2の可動範囲において、常に、駆動用磁石21よりも上側に配置されている。なお、スリーブ8の上端側の左右方向の一端には、搭載面8cから下側に向かって略矩形状に切り欠かれた搭載面切欠き部8gが形成されている。
【0042】
突出部8eは、光軸Lを曲率中心とする略円弧状に形成されている。また、4個の突出部8eは、レンズの周方向において所定の間隔をあけた状態で形成されている。具体的には、4個の突出部8eは、光軸Lを中心とする略90°ピッチで形成されている。
図6に示すように、4個の突出部8eのそれぞれは、光軸方向から見たときの外周面の形状が略正方形状となるスリーブ8の四隅のそれぞれに形成されており、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四隅のそれぞれに対応する位置に配置されている。すなわち、突出部8eは、突出部8dの外周側に配置されている。突出部8eの上端面は、板バネ5の可動体固定部が接着固定されるバネ固定面となっている。
【0043】
光軸方向における突出部8dの高さは、突出部8eの高さよりも高くなっている。また、光軸方向における突出部8eの高さは、磁性部材13の厚みよりも高くなっている。また、レンズの径方向(スリーブ8の径方向)における突出部8dの外周面と突出部8eの内周面との距離は、磁性部材13を構成する後述の外周側配置部13aの幅よりも広くなっている。突出部8dと突出部8eとの間には、搭載面8cの一部が配置されている。
【0044】
また、スリーブ8には、磁性部材13を構成する後述の突起部13cに係合可能な4個の係合部8hが形成されている。係合部8hは、突出部8eの周方向における略中心部分が下側に向かって切り欠かれることで形成されている。係合部8hの底面は、搭載面8cの一部を構成している。なお、後述のように、磁性部材13には、2個の突起部13cが形成されており、4個の係合部8hのうちの2個の係合部8hに突起部13cが係合している。
【0045】
磁性部材13は、略円環状に形成されている。この磁性部材13は、突出部8dの外周側に配置される(より具体的には、突出部8dと突出部8eとの間に配置される)複数の外周側配置部13aと、突出部8dの間に配置される(すなわち、切欠き部8fに配置される)複数の突出部間配置部13bとを備えている。本形態の磁性部材13は、光軸Lを中心とする略90°ピッチで配置される4個の外周側配置部13aと、光軸Lを中心とする略90°ピッチで配置される4個の突出部間配置部13bとを備えている。外周側配置部13aと突出部間配置部13bとは、環状に形成される磁性部材13の周方向において交互に配置されており、磁性部材13は、光軸方向から見たときに光軸Lに対して点対称に形成されている。
【0046】
外周側配置部13aおよび突出部間配置部13bは、光軸Lを中心とする略円弧状に形成されている。突出部間配置部13bの内径は、外周側配置部13aの内径よりも小さくなっている。また、突出部間配置部13bの外径は、外周側配置部13aの外径以下となっている。上述のように、4個の突出部8dのそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四隅のそれぞれに対応する位置に配置されており、4個の外周側配置部13aのそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四隅のそれぞれに対応する位置に配置されている。また、4個の切欠き部8fのそれぞれは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四辺のそれぞれに対応する位置に配置されており、4個の突出部間配置部13bは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四辺のそれぞれに対応する位置に配置されている。レンズ駆動装置1の四辺のそれぞれに対応する位置に配置される突出部間配置部13bの外径は、スリーブ8の外周端から突出部間配置部13bが突出しないように設定されている。
【0047】
また、磁性部材13は、4個の外周側配置部13aのうちの2個の外周側配置部13aから外周側へ突出する2個の突起部13cを備えている。突起部13cは、対角線上に配置される2個の外周側配置部13aから外周側へ突出するように形成されている。また、突起部13cは、外周側配置部13aの周方向における略中心位置に形成されている。2個の突起部13cは、4個の係合部8hのうちの2個の係合部8hに係合している。
【0048】
磁性部材13は、接着剤によって搭載面8cに固定されている。また、上述のように、搭載面8cは、可動体2の可動範囲において、常に、駆動用磁石21よりも上側に配置されている。すなわち、磁性部材13は、駆動用磁石21よりも上側でスリーブ8に固定されている。そのため、磁性部材13と駆動用磁石21との間に生じる磁気的吸引力によって、可動体2は、常時、下方向へ付勢されている。すなわち、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力によって、可動体2は、スリーブ8の突起部8aの下端面がベース部材11の基準面11bに当接する可動体2の光軸方向の基準位置に向かって付勢されている。また、上述のように、板バネ5の付勢力によっても、可動体2は、光軸方向の基準位置に向かって付勢されている。すなわち、可動体2は、板バネ5の付勢力と、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力とによって、光軸方向の基準位置に向かって付勢されている。
【0049】
本形態では、板バネ5のバネ特性、駆動用磁石21の磁力あるいはスリーブ8の寸法等にばらつきが生じて、光軸方向の基準位置に向かう可動体2の付勢力がばらついても、この付勢力を調整して、この付勢力のばらつきを抑制するため、磁性部材13の径方向における突出部間配置部13bの幅によって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整している。すなわち、磁性部材13として、たとえば、
図8に示すように、突出部間配置部13bの幅が異なる複数種類の磁性部材13を準備し、複数種類の磁性部材13の中から、光軸方向の基準位置に向かう可動体2の付勢力が所定の範囲内に収まる磁性部材13を、レンズ駆動装置1の組立時に選択して搭載面8cに固定することで、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整している。
【0050】
本形態では、突出部間配置部13bの内径を一定にして、その外径の大きさを変えることで、複数種類の磁性部材13の突出部間配置部13bの幅を変えている。複数種類の磁性部材13の中には、
図8(A)に示すように、外周側配置部13aの幅と突出部間配置部13bの幅とが等しいものもあれば、
図8(B)〜(D)に示すように、突出部間配置部13bの幅が外周側配置部13aの幅より広いものもある。また、
図8(D)に示すように、外周側配置部13aの外径と突出部間配置部13bの外径とが等しいものもある。また、本形態では、複数種類の磁性部材13の厚みは一定となっている。なお、突出部間配置部13bの幅が外周側配置部13aの幅よりも狭くなっている磁性部材13があっても良い。
【0051】
同じ生産ロットで生産された板バネ5のバネ特性はある程度、安定していると推定され、同じ生産ロッドで生産された駆動用磁石21の磁力はある程度、安定していると推定され、また、同じ生産ロッドで生産されたスリーブ8の寸法はある程度、安定していると推定される。そのため、本形態では、同じ生産ロッドで生産された板バネ5等が用いられる数個のレンズ駆動装置1の可動体2の付勢力を測定して、複数種類の磁性部材13の中から使用する磁性部材13を選択し、可動体2の付勢力が測定されたレンズ駆動装置1の板バネ5等と生産ロッドが同じ板バネ5等が用いられるレンズ駆動装置1では、この選択された磁性部材13が使用される。
【0052】
たとえば、レンズ駆動装置1の組立時に測定された可動体2の付勢力が小さい場合には、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を強くするため、突出部間配置部13bの幅の広い磁性部材13が使用される。一方、レンズ駆動装置1の組立時に測定された可動体2の付勢力が大きい場合には、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を弱くするため、突出部間配置部13bの幅の狭い磁性部材13が使用される。
【0053】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、板バネ5のバネ特性等がばらついても、磁性部材13の径方向における突出部間配置部13bの幅によって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整している。また、本形態では、突出部間配置部13bが、スリーブ8に形成される4個の突出部8dの間に配置されているため、突出部8dを利用して、磁性部材13を容易に位置決めすることが可能になる。したがって、本形態では、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力の調整が可能であっても、レンズ駆動装置1の組立作業を容易に行うことが可能になる。
【0054】
また、本形態では、4個の突出部8d間に配置される突出部間配置部13bの幅によって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整しているため、突出部8dの間に形成されるデッドスペースを利用して(すなわち、切欠き部8fを利用して)、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整することができる。したがって、本形態では、前後左右方向において、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整するためのスペースを別途、設ける必要がない。その結果、本形態では、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力の調整が可能となっていても、レンズ駆動装置1に使用されるレンズの径を大きくしたり、前後左右方向においてレンズ駆動装置1を小型化したりすることが可能になる。
【0055】
さらに、本形態では、突出部間配置部13bの幅によって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整するため、たとえば、磁性部材13の厚みを調整することで、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整する場合と比較して、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整するために準備される複数種類の磁性部材13を外観上で見分けやすくなる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1に取り付けられる磁性部材13の取付間違いを抑制することが可能になる。
【0056】
本形態では、駆動用磁石21は、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四辺のそれぞれに沿うように配置され、突出部間配置部13bは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四辺のそれぞれに対応する位置に配置されている。すなわち、本形態では、駆動用磁石21に比較的近い位置に突出部間配置部13bが配置されており、駆動用磁石21に比較的近い位置に配置される突出部間配置部13bの幅を調整することで、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整することができる。そのため、本形態では、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を効率的に調整することが可能になる。
【0057】
本形態では、スリーブ8に、突出部8dの外周側に配置される突出部8eが形成されている。また、本形態では、スリーブ8の係合部8hに係合する突起部13cが磁性部材13に形成されている。そのため、本形態では、突出部8e、係合部8hおよび突起部13cを用いて、磁性部材13をより容易に位置決めすることが可能になる。また、本形態では、突出部8e、係合部8hおよび突起部13cは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の四隅のそれぞれに対応する位置に配置されている。すなわち、本形態では、デッドスペースになりやすいレンズ駆動装置の四隅に突出部8e、係合部8hおよび突起部13cが配置されている。そのため、本形態では、スリーブ8に突出部8eおよび係合部8hが形成され、磁性部材13に突起部13cが形成されていても、レンズ駆動装置1に使用されるレンズの径を大きくしたり、前後左右方向においてレンズ駆動装置1を小型化したりすることが可能になる。
【0058】
本形態では、磁性部材13は、光軸方向から見たときに光軸Lに対して点対称に形成されている。そのため、本形態では、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力の、レンズの周方向におけるばらつきを抑制することが可能になる。
【0059】
本形態では、スリーブ8の上端側の左右方向の一端に搭載面切欠き部8gが形成されている。そのため、本形態では、搭載面切欠き部8gを目印にして、磁性部材13の突起部13cの、スリーブ8に対する配置箇所を決めることが可能になる。すなわち、本形態では、4個の係合部8hのうちの、一方の対角線上に配置される2個の係合部8hに突起部13cを配置するのか、それとも、他方の対角線上に配置される残りの2個の係合部8hに突起部13cを配置するのかを、搭載面切欠き部8gを目印にして決めることが可能になる。したがって、本形態では、複数のレンズ駆動装置1において、スリーブ8に対して同じ位置に突起部13cを配置することが可能になり、レンズ駆動装置1ごとの、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力のばらつきを抑制することが可能になる。その結果、本形態では、レンズ駆動装置1ごとの特性のばらつきを抑制することが可能になる。
【0060】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0061】
上述した形態において、
図9に示すように、突出部間配置部13bに外周側へ突出する凸部13dが形成されても良い。この場合には、凸部13dの全体は、搭載面8cに搭載されており、凸部13dの先端側は、スリーブ8の外周端から外周側へ突出していない。また、この場合には、突出部間配置部13bの幅によって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整する代わりに、突出部間配置部13bに形成される凸部13dの数によって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整しても良い。すなわち、磁性部材13として、たとえば、
図9に示すように、凸部13dの数が異なる複数種類の磁性部材13を準備し、複数種類の磁性部材13の中から、光軸方向の基準位置に向かう可動体2の付勢力が所定の範囲内に収まる磁性部材13を、レンズ駆動装置1の組立時に選択して搭載面8cに固定することで、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整しても良い。
【0062】
この場合には、凸部13dを利用して、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力の調整範囲を広げることが可能になる。また、この場合には、凸部13dの全体が搭載面8cに搭載されており、凸部13dの先端側がスリーブ8の外周端から外周側へ突出していないため、突出部間配置部13bに凸部13dが形成されていても、レンズ駆動装置1に使用されるレンズの径を大きくしたり、前後左右方向においてレンズ駆動装置1を小型化したりすることが可能になる。なお、突出部間配置部13bの幅と、突出部間配置部13bに形成される凸部13dの数との組合せによって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整しても良い。
【0063】
また、上述した形態では、複数種類の磁性部材13の厚みは一定となっているが、複数種類の磁性部材13の厚みを変えても良い。この場合には、突出部間配置部13bの幅によって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整する代わりに、磁性部材13の厚みによって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整しても良い。また、突出部間配置部13bの幅と、磁性部材13の厚みとの組合せによって、磁性部材13と駆動用磁石21との間の磁気的吸引力を調整しても良い。
【0064】
上述した形態では、複数種類の磁性部材13の、突出部間配置部13bの内径は同じになっている。この他にもたとえば、複数種類の磁性部材13の、突出部間配置部13bの内径が互いに異なっていても良い。また、上述した形態では、磁性部材13は、略円環状に形成されているが、磁性部材13は、略四角環状に形成されても良いし、略四角環状以外の略多角環状に形成されても良い。また、上述した形態では、スリーブ8の上端側に4個の突出部8dが形成されているが、スリーブ8の上端側に形成される突出部8dの数は、2個または3個であっても良いし、5個以上であっても良い。
【0065】
上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略六角形状等の多角形状となるように形成されても良いし、略円形状や略楕円形状となるように形成されても良い。