特許第6023610号(P6023610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023610
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】塗布装置および塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/08 20060101AFI20161027BHJP
   B05C 13/00 20060101ALI20161027BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   B05B5/08 B
   B05C13/00
   B05D1/02 H
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-36229(P2013-36229)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-161815(P2014-161815A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】本田 顕真
(72)【発明者】
【氏名】岩出 卓
【審査官】 富永 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−177411(JP,A)
【文献】 特開2007−152261(JP,A)
【文献】 特許第3539891(JP,B2)
【文献】 特表2009−522085(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3168708(JP,U)
【文献】 特開平11−104534(JP,A)
【文献】 特開2007−224396(JP,A)
【文献】 特開2003−133069(JP,A)
【文献】 特表2009−515690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B5/00−5/16
B05B12/00−13/06
B05B15/04
B05C7/00−21/00
B05D
H01L51/50
H05B33/10
C23C14/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撓み変形した状態の基板に塗布液を塗布するノズルを備え、
前記ノズルは、前記基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で前記基板との間隔が互いに略等しくなるように前記基板に対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成されており、
前記基板の前記塗布液が塗布される側とは反対側の表面を吸着するとともに前記基板を所定の撓み変形形状に維持する吸着部を含む吸着ステージをさらに備え、
前記ノズルは、前記吸着ステージの前記吸着部に前記基板が吸着された状態で、前記基板の撓み変形形状に沿った軌跡で前記吸着ステージに対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成されている、塗布装置。
【請求項2】
前記ノズルは、前記基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で前記基板に対して略垂直になるように角度を変化させながら、前記基板に対して相対的に移動するように構成されている、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記吸着ステージの吸着部の表面は、前記基板の所定の撓み変形形状に対応する撓み形状を有し、
前記ノズルは、前記吸着ステージの吸着部に前記基板が吸着された状態で、前記撓み形状に沿った軌跡で前記吸着ステージに対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成されている、請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記吸着ステージが前記ノズルに対して少なくとも水平方向および鉛直方向に移動することにより、前記ノズルが前記吸着ステージに対して相対的に移動するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記吸着ステージが前記ノズルに対して水平方向および鉛直方向に加えて回転方向にも移動することにより、前記ノズルが前記吸着ステージに対して相対的に移動するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項6】
撓み変形した状態の基板を支持するステップと、
撓み変形した状態の前記基板にノズルにより塗布液を塗布するステップとを備え、
ノズルにより塗布液を塗布するステップは、前記基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で前記基板と前記ノズルとの間隔が互いに略等しくなるように前記基板に対して前記ノズルを相対的に移動して塗布動作を行うステップを含み、
撓み変形した状態の基板を支持するステップは、前記基板の前記塗布液が塗布される側とは反対側の表面を吸着ステージの吸着部により吸着して前記基板を所定の撓み変形形状に維持するステップを含み、
ノズルにより塗布液を塗布するステップは、前記吸着ステージの前記吸着部に前記基板が吸着された状態で、前記基板の撓み変形形状に沿った軌跡で前記吸着ステージに対して相対的に移動して塗布動作を行うステップを含む、塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗布装置および塗布方法に関し、特に、基板に塗布液を塗布する塗布装置および塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に塗布液を塗布する塗布装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板に塗布液を塗布するノズルを備えるエレクトロスプレー装置(塗布装置)が開示されている。このエレクトロスプレー装置では、ノズルの上方に基板が配置されるとともに、塗布液に印加される電圧と基板側との間の電位差(電界)により、塗布液がノズルから上方(基板側)に噴霧されて基板上に塗布されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−135704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のエレクトロスプレー装置では、ノズルの上方に配置された基板が自重により下方に撓んだ場合に、基板とノズルとの距離が塗布位置により変化するという不都合がある。このため、塗布液を基板に均一に塗布することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、基板が撓んだ状態の場合でも基板に塗布液を均一に塗布することが可能な塗布装置および塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による塗布装置は、撓み変形した状態の基板に塗布液を塗布するノズルを備え、ノズルは、基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板との間隔が互いに略等しくなるように基板に対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成されており、基板の塗布液が塗布される側とは反対側の表面を吸着するとともに基板を所定の撓み変形形状に維持する吸着部を含む吸着ステージをさらに備え、ノズルは、吸着ステージの吸着部に基板が吸着された状態で、基板の撓み変形形状に沿った軌跡で吸着ステージに対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成されている
【0008】
この第1の局面による塗布装置では、上記のように、ノズルを、基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板との間隔が互いに略等しくなるように基板に対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成することによって、基板が撓んだ状態の場合でも、基板に塗布液が塗布される塗布位置とノズルとの距離を一定に保ちながら基板に対して相対的にノズルを移動させて塗布動作を行うことができるので、基板に塗布液を均一に塗布することができる。
【0009】
上記第1の局面による塗布装置において、好ましくは、ノズルは、基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板に対して略垂直になるように角度を変化させながら、基板に対して相対的に移動するように構成されている。このように構成すれば、基板に対するノズルの距離を一定に保つのみならず、基板に塗布液が塗布される塗布位置の表面に対するノズルの角度を略垂直に保ちながら基板に対して相対的にノズルを移動させて塗布動作を行うことができるので、基板に塗布液をより効果的に均一に塗布することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、吸着ステージの吸着部の表面は、基板の所定の撓み変形形状に対応する撓み形状を有し、ノズルは、吸着ステージの吸着部に基板が吸着された状態で、撓み形状に沿った軌跡で吸着ステージに対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成されている。このように構成すれば、吸着ステージの吸着部の表面により、容易に、基板を所定の撓み変形形状に維持することができるので、ノズルを吸着ステージの吸着部の撓み形状に沿った軌跡で吸着ステージに対して相対的に移動させることにより、ノズルと基板に塗布液が塗布される塗布位置との距離を容易に一定に保つことができる。
【0012】
上記吸着ステージを備える構成において、好ましくは、吸着ステージがノズルに対して少なくとも水平方向および鉛直方向に移動することにより、ノズルが吸着ステージに対して相対的に移動するように構成されている。このように構成すれば、吸着ステージを水平方向および鉛直方向に移動させることにより、ノズルを固定した状態で、基板に塗布液が塗布される塗布位置とノズルとの距離を容易に一定に保ちながら塗布動作を行うことができる。
【0013】
上記吸着ステージを備える構成において、好ましくは、吸着ステージがノズルに対して水平方向および鉛直方向に加えて回転方向にも移動することにより、ノズルが吸着ステージに対して相対的に移動するように構成されている。このように構成すれば、ノズルを固定した状態で、基板に塗布液が塗布される塗布位置の表面に対するノズルの角度を容易に略鉛直に保ちながら塗布動作を行うことができる。
【0014】
この発明の第2の局面による塗布方法は、撓み変形した状態の基板を支持するステップと、撓み変形した状態の基板にノズルにより塗布液を塗布するステップとを備え、ノズルにより塗布液を塗布するステップは、基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板とノズルとの間隔が互いに略等しくなるように基板に対してノズルを相対的に移動して塗布動作を行うステップを含み、撓み変形した状態の基板を支持するステップは、基板の塗布液が塗布される側とは反対側の表面を吸着ステージの吸着部により吸着して基板を所定の撓み変形形状に維持するステップを含み、ノズルにより塗布液を塗布するステップは、吸着ステージの吸着部に基板が吸着された状態で、基板の撓み変形形状に沿った軌跡で吸着ステージに対して相対的に移動して塗布動作を行うステップを含む。
【0015】
この第2の局面による塗布方法では、上記のように、基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板とノズルとの間隔が互いに略等しくなるように基板に対してノズルを相対的に移動して塗布動作を行うステップを設けることによって、基板が撓んだ状態の場合でも、基板に塗布液が塗布される塗布位置とノズルとの距離を一定に保ちながら基板に対して相対的にノズルを移動させて塗布動作を行うことができるので、基板に塗布液を均一に塗布することが可能な塗布方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、基板が撓んだ状態の場合でも基板に塗布液を均一に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の平面図である。
図3】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の側面図である。
図4】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置のノズルの移動を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態の第1変形例によるエレクトロスプレー装置の吸着ステージの移動を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態の第2変形例によるエレクトロスプレー装置の吸着ステージの移動を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態の第3変形例によるエレクトロスプレー装置のノズルの移動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1図4を参照して、本実施形態によるエレクトロスプレー装置100の構成について説明する。なお、エレクトロスプレー装置100は、本発明の「塗布装置」の一例である。
【0020】
図1および図2に示すように、エレクトロスプレー装置100は、ノズル1と、吸着ステージ2と、ノズル1と吸着ステージ2との間に配置されるマスク3と、マスク3を矢印Z1方向および矢印Z2方向に昇降する昇降部4とを備えている。また、塗布時は、吸着ステージ2とマスク3との間には、ガラスなどからなる基板5が配置されている。そして、ノズル1からマスク3越しに吸着ステージ2に載置された基板5へ塗布液を噴射することにより、基板5に薄膜を形成する。
【0021】
ノズル1は、撓み変形した状態の基板5に塗布液を塗布するように構成されている。具体的には、ノズル1は、塗布液(たとえば、導電性ポリマーであるPEDOT/PSS(poly(3,4−ethylenedioxythiophene) poly(styrenesulfonate))に所定の電圧を印加した状態で噴霧して上方(矢印Z1方向)に位置する撓み変形した基板5に薄膜(図示せず)を堆積するように構成されている。具体的には、ノズル1は、塗布液を充填するように構成されているとともに、ノズル1の内部には、電極(図示せず)が設けられている。そして、この電極により塗布液に電圧が印加されるように構成されている。
【0022】
また、ノズル1は、マスク3の下方(矢印Z2方向)に配置されている。また、ノズル1は、X方向およびY方向に移動可能に構成されている。具体的には、図2に示すように、ノズル1は、ヘッド11の上(Z1方向)側に開口を有するように配置されている。ヘッド11は、Y方向に延びるヘッド支持部12に沿ってY方向に移動可能に構成されている。ヘッド支持部12は、基台101上に設けられたX方向に延びる一対の固定レール部13に沿ってX方向に移動可能に構成されている。これにより、ノズル1は、基台101上をX−Y面内(水平面内)で移動することが可能なように構成されている。
【0023】
また、ノズル1は、ヘッド11の昇降機構(図示せず)により、上下方向(Z方向)に移動されるように構成されている。また、図4に示すように、ノズル1は、ヘッド11のチルト機構(図示せず)により、YZ平面内で鉛直方向に対して傾けることが可能なように構成されている。
【0024】
吸着ステージ2は、少なくとも表面が導電性材料で構成されており、電気的に接地されている。また、本実施形態では、吸着ステージ2は、基板5の塗布液が塗布される側とは反対側(矢印Z1方向側)の表面を吸着する吸着部2aを有しており、吸着ステージ2の吸着部2aは、ガラスなどからなる基板5を撓み変形量d1を有するように撓ませた状態で吸着して維持するように構成されている。すなわち、吸着ステージ2の吸着部2aの表面は、基板5の撓み変形量d1に対応する撓み形状を有している。なお、撓み変形量d1とは、図3に示すように、基板5が撓んでいない水平な状態から、基板5の中央部が距離d1だけ下方に撓んだ状態を意味する。また、吸着部2aは、吸着ステージ2の矢印Z2方向側の表面である。
【0025】
また、図3に示すように、吸着部2aの表面は、カテナリー曲線状(ロープなどの両端を持って垂らした時にできる曲線状)に形成されている。また、吸着ステージ2の吸着部2aの表面は、下に凸のD形状(X方向に沿った軸を中心に、Y方向側の両方の端部が矢印Z1方向に反った形状)を有する。つまり、吸着ステージ2の吸着部2aの表面は、基板5の所定の撓み変形形状に対応する撓み形状を有する。
【0026】
また、図1に示すように、吸着ステージ2の下面(吸着部2a)に、基板5が載置(吸着)されている。そして、ノズル1と吸着ステージ2との間で電位差を持たせることで、ノズル1から噴出する塗布液は吸着ステージ2に向かって飛行する。これにより、直接基板5を接地して塗布を行う必要がないので、非導電性の基板5へも塗布が可能である。
【0027】
また、図2に示すように、吸着ステージ2は、Y方向側の両端において一対の支持軸21により支持されている。一対の支持軸21は、吸着ステージ2のX方向における略中央に配置されている。また、吸着ステージ2は、一対の支持軸21を中心に回転可能に構成されている。これにより、吸着ステージ2の吸着部2aを上側(Z1方向側)に向けた状態で、基板5を吸着ステージ2に取り付けた後、吸着ステージ2を180度回動させて、吸着ステージ2の吸着部2aを下側(Z2方向側)に向けて、塗布液を塗布することが可能である。
【0028】
ここで、本実施形態では、図4に示すように、ノズル1は、基板5の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板5との間隔h1が互いに略等しくなるように基板5に対して移動して塗布動作を行うように構成されている。具体的には、ノズル1は、吸着ステージ2の吸着部2aに基板5が吸着された状態で、基板5の撓み変形形状に沿った軌跡で吸着ステージ2に対して移動して塗布動作を行うように構成されている。つまり、ノズル1は、Y方向に移動する際に、基板5の撓み変形形状に沿うようにZ方向(上下方向)に昇降するように構成されている。また、ノズル1は、基板5の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板5に対して略垂直になるように角度を変化させながら、基板5に対して移動するように構成されている。
【0029】
また、本実施形態では、ノズル1は、吸着ステージ2の吸着部2aに基板5が吸着された状態で、吸着部2aの撓み形状に沿った軌跡で吸着ステージ2に対して移動して塗布動作を行うように構成されている。
【0030】
マスク3は、耐薬品性、加工精度、寸法安定性、耐絶縁性、剛性等が優れた樹脂により構成されている。たとえば、マスク3は、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PP(Polypropylene)、HDPE(High−density polyethylene)、PET(Polyethylene terephthalate)、EPOXY、ガラスエポキシ、ABS(Acrylonitrile butadiene styrene)、PEEK(Polyether ether ketone)、POM(Polyoxymethylene)などからなる。
【0031】
また、マスク3は、基板5の近傍に配置(基板5の下方に密着)されている。また、マスク3には、平面視において(Z方向から見て)、所定の開口パターンを有する開口部(図示せず)が複数形成されている。
【0032】
また、図1図3に示すように、昇降部4は、マスク3のY方向側の両方の端部を下方から支持するように板状に形成されている。また、昇降部4は、Y方向の両側に一対配置されている。マスク3は、マスク3のY方向の端部近傍が昇降部4に支持された状態で、昇降部4が吸着ステージ2側(Z1方向側)に上昇することによって、基板5の下方に密着するように配置される。
【0033】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0034】
本実施形態では、上記のように、ノズル1を、基板5の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板5との間隔h1が互いに略等しくなるように基板5に対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成することによって、基板5が撓んだ状態の場合でも、基板5に塗布液が塗布される塗布位置とノズル1との距離を一定に保ちながら基板5に対して相対的にノズル1を移動させて塗布動作を行うことができるので、基板5に塗布液を均一に塗布することができる。
【0035】
また、本実施形態では、上記のように、ノズル1を、基板5の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板5に対して略垂直になるように角度を変化させながら、基板5に対して相対的に移動するように構成する。これにより、基板5に対するノズル1の距離を一定に保つのみならず、基板5に塗布液が塗布される塗布位置の表面に対するノズル1の角度を略垂直に保ちながら基板5に対して相対的にノズル1を移動させて塗布動作を行うことができるので、基板5に塗布液をより効果的に均一に塗布することができる。
【0036】
また、本実施形態では、上記のように、ノズル1を、吸着ステージ2の吸着部2aに基板5が吸着された状態で、基板5の撓み変形形状に沿った軌跡で吸着ステージ2に対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成する。これにより、基板5を吸着ステージ2の吸着部2aの表面に吸着させて基板5の撓み形状を維持しながら塗布動作を行うことができるので、基板5の維持された撓み変形形状に沿った軌跡で吸着ステージ2に対して容易にノズル1を相対的に移動させることができる。その結果、基板5に塗布液が塗布される塗布位置とノズル1との距離を容易に一定に保ちながら塗布動作を行うことができるので、基板5に塗布液を容易に均一に塗布することができる。
【0037】
また、本実施形態では、上記のように、ノズル1を、吸着ステージ2の吸着部2aに基板5が吸着された状態で、撓み形状に沿った軌跡で吸着ステージ2に対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成する。これにより、吸着ステージ2の吸着部2aの表面により、容易に、基板5を所定の撓み変形形状に維持することができるので、ノズル1を吸着ステージ2の吸着部2aの撓み形状に沿った軌跡で吸着ステージ2に対して相対的に移動させることによって、ノズル1と基板5に塗布液が塗布される塗布位置との距離を容易に一定に保つことができる。
【0038】
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0039】
たとえば、上記実施形態では、本発明の塗布装置を、エレクトロスプレー装置の形態で示したが、本発明はこれに限られない。基板に塗布液を塗布する装置であれば、エレクトロスプレー装置以外の塗布装置に本発明を適用してもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、ノズルを基板の撓み変形した形状に沿った軌跡で基板との間隔が互いに略等しくなるように基板に対して相対的に移動する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、図5に示す第1変形例によるエレクトロスプレー装置100a(塗布装置)のように、吸着ステージ2がノズル1に対して少なくとも水平方向(Y方向)および鉛直方向(Z方向)に移動することにより、ノズル1が吸着ステージ2に対して相対的に移動するように構成してもよい。たとえば、駆動機構22aにより、ノズル1と基板5との間隔h1が一定となるように、水平方向(Y方向)に距離Ya、鉛直方向(Z方向)に距離Zaだけ吸着ステージ2を移動させてもよい。この場合、ノズル1を、撓み変形した基板5の表面に対して略垂直になるように角度を変化させてもよい。
【0041】
また、たとえば、図6に示す第2変形例によるエレクトロスプレー装置100b(塗布装置)のように、吸着ステージ2がノズル1に対して水平方向(Y方向)および鉛直方向(Z方向)に加えて回転方向(A方向)にも移動することにより、ノズル1が吸着ステージ2に対して相対的に移動するように構成してもよい。たとえば、駆動機構22bにより、ノズル1と基板5との間隔h1が一定となるように、水平方向(Y方向)、鉛直方向(Z方向)および回転方向(A方向)に吸着ステージ2を移動させてもよい。なお、回転方向の回転軸はノズル1の延びる方向(Z方向)と垂直な方向(X方向)であってもよい。つまり、回転方向の回転軸は、水平方向(XY方向)上に存在してもよい。言い換えると、回転方向の回転軸は、基板5が一方向(Y方向)に撓んでいる場合、撓んだ状態の基板5の尾根(稜線)方向(X方向)であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、基板とノズルとの間にマスクを配置して塗布を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、基板とノズルとの間にマスクを配置しないで塗布を行う構成にも適用可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、ノズルの上方に基板を配置して塗布を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、ノズルの下方または側方に基板を配置して塗布を行う構成にも適用可能である。たとえば、図7に示す第3変形例によるエレクトロスプレー装置100c(塗布装置)のように、ノズル1の下方(Z2方向側)に基板5aを配置して塗布を行う構成であってもよい。この場合、回転体6aにロール状に巻きまわした変形可能な基板5aを、ローラ6bに送り出し、ローラ6bの上方に配置されたノズル1により塗布液を塗布してもよい。この場合、ノズル1を、基板5aの撓み変形した形状に沿った軌跡で基板5aとの間隔h2が互いに略等しくなるように基板5aに対して相対的に移動して塗布動作を行うように構成してもよい。この際、ロール状の基板5aを回転体6aからローラ6bを介して回転体6cに間欠的に送り出してもよい。つまり、基板5aを一定量の長さだけローラ6b上に送り出し停止させてから、ノズル1を移動させながら塗布液を塗布した後、次の基板5aを一定量の長さだけローラ6b上に送り出すことを繰り返して順次基板5aに塗布液を塗布する構成であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、吸着ステージにガラスなどからなる基板が配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、吸着ステージにフィルム状の基板を配置してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 ノズル
2 吸着ステージ
2a 吸着部
5、5a 基板
100、100a、100b、100c エレクトロスプレー装置(塗布装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7