(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくともゴム成分を含有する絶縁ゴム層用組成物からなる層を形成し、前記絶縁ゴム層用組成物中に含まれるゴム成分を架橋させることで、絶縁ゴム層を形成する工程と、
前記絶縁ゴム層の表面に、少なくともゴム成分およびクレーを含有する半導電ゴム層用組成物からなる層を形成し、前記半導電ゴム層用組成物中に含まれるゴム成分を架橋させることで、半導電ゴム層を形成する工程とを備え、
前記半導電ゴム層用組成物中における、クレーの含有割合が、前記ゴム成分100重量部に対して、1重量部より多く、40重量部未満であることを特徴とするゴム製品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る電力ケーブル10と、本発明のゴム製品の一例としてのストレスコーン20とを接続した構造を示す断面図であり、このような接続構造は、たとえば、電力ケーブル10の中間接続部に適用される。
【0015】
<電力ケーブル10>
電力ケーブル10は、たとえば、6kV以上で使用されるCVケーブルであり、導体11と、導体11を被覆する内部半導電層12と、内部半導電層12を被覆する絶縁層13と、絶縁層13を被覆する外部半導電層14とを備える。
【0016】
導体11としては、たとえば、銅線、銅合金線、アルミニウム線等の電力ケーブル用途に用いられている金属線などが用いられる。内部半導電層12は、導体11を被覆する半導電性の層であり、通常、半導電性を有するゴム材料で構成される。絶縁層13は、内部半導電層12を被覆する絶縁性の層であり、通常、電気絶縁性のゴム材料で構成される。さらに、外部半導電層14は、絶縁層13を被覆する半導電性の層であり、通常、半導電性を有するゴム材料で構成される。
【0017】
<ストレスコーン20>
一方、ストレスコーン20は、絶縁ゴム層21と、絶縁ゴム層21を被覆する外側半導電ゴム層22と、絶縁ゴム層21の内側に形成された内側半導電ゴム層23とを備える。
【0018】
<絶縁ゴム層21>
絶縁ゴム層21は、電気絶縁性のゴム材料で構成される層であり、通常、少なくともゴム成分を含有する絶縁ゴム層用組成物を用い、該絶縁ゴム層用組成物中に含有されるゴム成分を架橋することにより形成される。
【0019】
絶縁ゴム層21を形成するための絶縁ゴム層用組成物に含有されるゴム成分としては、特に限定されず、各種ゴムを用いることができるが、シリコーンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPゴム)が好ましく、特に、エチレン−プロピレンゴムが好ましい。また、エチレン−プロピレンゴムのなかでも、エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)が好適である。エチレン−プロピレンジエンゴムとしては、エチレンと、プロピレンと、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどのジエン系モノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0020】
絶縁ゴム層用組成物は、ゴム成分を架橋するために、通常、架橋剤を含有している。架橋剤としては、特に限定されないが、架橋性の観点より、有機過酸化物架橋剤が好ましい。有機過酸化物架橋剤としては、ヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジアルキル(アリル)パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンビドロパーオキサイド、ジプロピオニルパーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、パーオキシ琥珀酸、パーオキシケタール、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。これらのなかでも、架橋性に特に優れているという観点より、ジクミルパーオキサイドが好ましい。架橋剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、好ましくは1〜6重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が不十分となり、これにより架橋後の絶縁ゴム層21の機械強度が低下するおそれがあり、一方、多すぎると、スコーチが起こりやすくなり、加工性が低下したり、また、架橋後の絶縁ゴム層21の硬度が高くなり過ぎるおそれがある。
【0021】
また、絶縁ゴム層用組成物には、架橋助剤を配合してもよい。架橋助剤としては、たとえば、硫黄または含硫黄化合物などが挙げられる。架橋助剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.2〜0.7重量部である。
【0022】
さらに、絶縁ゴム層用組成物には、通常のゴム組成物に配合される配合剤、たとえば、充填剤、カーボン、軟化剤、滑剤、老化防止剤、安定剤、難燃剤などを配合してもよい。
【0023】
充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、および、これらをシランカップリング剤などにより表面処理したもの、タルク、微粉タルク、クレー、シリカなどが挙げられる。
軟化剤は、絶縁ゴム層21の柔軟性を向上させる作用があり、たとえば、プロセスオイルなどがある。
滑剤としては、パラフィン・ワックス、流動パラフィン、パラフィン系合成ワックス、ポリエチレン・ワックス、ステアリン酸亜鉛、ヒドロキシステアリン酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルなどが挙げられる。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニルジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダート・フェノール系、亜リン酸エステル系などが挙げられる。
安定剤としては、亜鉛華、活性亜鉛華、表面処理した亜鉛華、複合亜鉛華、炭酸亜鉛華、酸化マグネシウム、表面処理した酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ステアリン酸、オレイン酸、アミン類などが挙げられる。
【0024】
<外側半導電ゴム層22>
外側半導電ゴム層22は、半導電性のゴム材料で構成される層であり、少なくともゴム成分とクレーとを含有し、クレーの含有割合が、ゴム成分100重量部に対して、1重量部より多く、40重量部未満である層である。本実施形態によれば、外側半導電ゴム層22に、クレーを配合し、かつ、クレーの配合量を上記範囲とすることにより、機械強度(特に、外側半導電ゴム層22の破断伸び)を良好なものとしながら、絶縁層21と外側半導電ゴム層22との間の接着力を高めることができ、これにより、これらの層間における、剥離の発生を有効に防止することができるものである。
【0025】
外側半導電ゴム層22は、通常、少なくともゴム成分およびクレーを含有する外側半導電ゴム層用組成物を用い、外側半導電ゴム層用組成物中に含有されるゴム成分を架橋することにより形成される。
【0026】
外側半導電ゴム層用組成物に含有されるゴム成分としては、特に限定されず、各種ゴムを用いることができるが、シリコーンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPゴム)が好ましく、特に、エチレン−プロピレンゴムが好ましい。また、エチレン−プロピレンゴムのなかでも、エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)が好適である。エチレン−プロピレンジエンゴムとしては、上記絶縁ゴム層21と同様のものを用いることができる。
【0027】
外側半導電ゴム層用組成物に含有されるクレーとしては、特に限定されないが、含水ケイ酸アルミニウムを主成分とする天然鉱物が好ましく、具体的には、モンモリロナイト、パイロフィライト、カオリナイト、ハロイサイト、セリサイトなどが挙げられる。また、クレーとしては、絶縁層21と外側半導電ゴム層22との間の接着力の向上効果をより高めることができるという点より、シランカップリング剤により表面処理されたものを用いることがより好ましい。クレーの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、1重量部より多く、40重量部未満であり、好ましくは10〜35重量部であり、より好ましくは15〜30重量部である。クレーの配合量が少なすぎると、絶縁層21と外側半導電ゴム層22との間の接着力の向上効果が得られなくなり、一方、多すぎると、外側半導電ゴム層22の機械強度、特に、破断伸びが著しく低下してしまい、ストレスコーンなどの各種ゴム製品用途に適さないものとなってしまう。
【0028】
外側半導電ゴム層用組成物には、外側半導電ゴム層22が半導電性を示すように、通常、導電性物質が配合される。導電性物質としては、特に限定されないが、通常は、導電性カーボンが用いられる。導電性カーボンとしては、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック、グラファイトなどが挙げられる。導電性物質の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、好ましくは50〜80重量部である。
【0029】
なお、外側半導電ゴム層用組成物は、ゴム成分を架橋するために、通常、架橋剤を含有している。架橋剤としては、特に限定されないが、架橋性の観点より、有機過酸化物架橋剤が好ましい。有機過酸化物架橋剤としては、上述した絶縁ゴム層21と同様のものを用いることができ、また、その配合量も同様とすることができる。
【0030】
また、外側半導電ゴム層用組成物には、架橋助剤を配合してもよい。架橋助剤としては、上述した絶縁ゴム層21と同様のものを用いることができる。架橋剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、好ましくは1〜6重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が不十分となり、これにより架橋後の外側半導電ゴム層22の機械強度が低下するおそれがあり、一方、多すぎると、スコーチが起こりやすくなり、加工性が低下したり、また、架橋後の絶外側半導電ゴム層22の硬度が高くなり過ぎるおそれがある。
【0031】
さらに、絶縁ゴム層用組成物には、通常のゴム組成物に配合される配合剤、たとえば、充填剤、カーボン、軟化剤、滑剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤などを配合してもよい。このような配合剤としては、上述した絶縁ゴム層21と同様のものを用いることができる。
【0032】
<内側半導電ゴム層23>
内側半導電ゴム層23は、半導電性のゴム材料で構成される層であり、通常、少なくともゴム成分を含有する内側半導電ゴム層用組成物を用い、内側半導電ゴム層用組成物中に含有されるゴム成分を架橋することにより形成される。
【0033】
内側半導電ゴム層23を形成するための内側半導電ゴム層用組成物としては、クレーを含有しないこと以外は、上述した外側半導電ゴム層22を形成するための外側半導電ゴム層用組成物と同様のものを用いることができる。
【0034】
<ストレスコーン20の製造方法>
次いで、本実施形態のストレスコーン20の製造方法について説明する。
【0035】
まず、内側半導電ゴム層23を形成するための内側半導電ゴム層用組成物を、
図1に示すように筒状の形状に成形する。内側半導電ゴム層用組成物を、筒状の形状に成形する方法としては、たとえば、内側半導電ゴム層用組成物をスタティックミキサーなどにより、内側半導電ゴム層23の形状に応じた第1金型内に注入し、加圧する方法などが挙げられる。
【0036】
次いで、得られた内側半導電ゴム層用組成物からなる成形体を、加熱することで、内側半導電ゴム層用組成物中に含まれるゴム成分を架橋させ、これにより、内側半導電ゴム層23を形成する。なお、この場合において、成形時に加熱することにより、成形と同時に架橋を行ってもよい。また、ゴム成分を架橋させる際の加熱温度は、用いる架橋剤の種類に応じて決定すればよいが、たとえば、有機過酸化物架橋剤としてのジクミルパーオキサイドを用いる場合には、通常、150〜180℃、好ましくは160〜170℃である。
【0037】
また、内側半導電ゴム層23は、筒状の形状を有するように、通常は、成形時から、内側半導電ゴム層23の形状に応じた芯金に通された状態とされ、芯金に通された状態で得られる。
【0038】
次いで、
図1に示すように、得られた内側半導電ゴム層23を被覆するように、絶縁ゴム層21を形成するための絶縁ゴム層用組成物からなる層を形成し、内側半導電ゴム層23と、絶縁ゴム層用組成物からなる層とから構成される成形体を得る。この場合の成形方法としては、たとえば、芯金に通された状態の内側半導電ゴム層23を、絶縁ゴム層21の形状に応じた第2金型の内部に固定し、次いで、絶縁ゴム層用組成物をスタティックミキサーなどにより、第2金型内に注入し、加圧する方法などが挙げられる。
【0039】
次いで、得られた内側半導電ゴム層23と、絶縁ゴム層用組成物からなる層とから構成される成形体を、加熱することで、絶縁ゴム層用組成物中に含まれるゴム成分を架橋させ、これにより、内側半導電ゴム層23と絶縁ゴム層21とを有するゴム架橋体を得る。なお、この場合において、成形時に加熱することにより、成形と同時に架橋を行ってもよい。また、ゴム成分を架橋させる際の加熱温度は、上述した内側半導電ゴム層23と同様とすればよい。
【0040】
次いで、
図1に示すように、得られた絶縁ゴム層21を被覆するように、外側半導電ゴム層22を形成するための外側半導電ゴム層用組成物からなる層を形成し、内側半導電ゴム層23および絶縁ゴム層21と、外側半導電ゴム層用組成物からなる層とから構成される成形体を得る。この場合の成形方法としては、たとえば、芯金に通された状態の内側半導電ゴム層23と絶縁ゴム層21とからなるゴム架橋体を、外側半導電ゴム層22の形状に応じた第3金型の内部に固定し、次いで、外側半導電ゴム層用組成物をスタティックミキサーなどにより、第3金型内に注入し、加圧する方法などが挙げられる。
【0041】
次いで、得られた内側半導電ゴム層23および絶縁ゴム層21と、外側半導電ゴム層用組成物からなる層とから構成される成形体について、加熱することで、外側半導電ゴム層用組成物中に含まれるゴム成分を架橋させ、これにより、外側半導電ゴム層22を形成し、最後に、芯金を抜き取ることにより、
図1に示すように、内側半導電ゴム層23と絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22とを有するストレスコーン20を得る。なお、この場合において、成形時に加熱することにより、成形と同時に架橋を行ってもよい。また、ゴム成分を架橋させる際の加熱温度は、上述した内側半導電ゴム層23と同様とすればよい。
【0042】
そして、このようにして得られたストレスコーン20を、上記した構成を有する電力ケーブル10と接続することにより、
図1に示すような接続構造を形成することができる。
【0043】
ここで、本実施形態のストレスコーン20は、外側半導電ゴム層22が絶縁ゴム層21を被覆するような構成となっているため、ストレスコーン20を製造する際には、上述したように、絶縁ゴム層21を形成するための絶縁ゴム層用組成物を成形し、該組成物中に含まれるゴム成分を架橋させた後に、外側半導電ゴム層22からなる層を形成する方法が一般的である。
【0044】
しかしながら、このような工程を採用した場合には、既に架橋硬化させた絶縁ゴム層21に対して、外側半導電ゴム層用組成物を被覆し、これを架橋するものであるため、絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22との間の接着力が低くなってしまうという課題が生じてしまうことが懸念される。特に、このような課題は、架橋剤として有機過酸化物架橋剤を用いた場合に顕著となる傾向がある。
【0045】
これに対し、本実施形態では、外側半導電ゴム層22を形成するための外側半導電ゴム層用組成物として、ゴム成分100重量部に対して、クレーを1重量部超、40重量部未満の割合で配合しているため、このような外側半導電ゴム層用組成物を、既に架橋硬化させた絶縁ゴム層21に被覆し、次いで、これを架橋した場合でも、クレーの作用により、架橋後の絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22との間の接着力を十分なものとすることが可能となるものである。
【0046】
特に、本発明者は、外側半導電ゴム層22には、通常、半導電性を確保するために、比較的多い量の導電性物質を配合する必要があり、そのため、他の配合剤を配合することは行われていないという状況において、絶縁ゴム層21に対する接着性を向上させるために、他の配合剤を配合することを試み、鋭意検討の結果、クレーを所定量配合することにより、破断伸びを悪化させることなく、絶縁ゴム層21に対する接着性を向上させることができることを見出したものである。なお、絶縁ゴム層21に対する接着性を向上させる方法としては、たとえば、架橋剤の配合量を増やす方法も考えられるが、スコーチが起こりやすくなり、金型への充填性が悪化するという不具合や、架橋後の外側半導電ゴム層22の硬度が高くなり過ぎて、脆くなってしまうという不具合がある。これに対して、本実施形態によれば、所定量のクレーを配合することにより、このような不具合を防止しながら、絶縁ゴム層21に対する接着性を向上させることができるものである。
【0047】
なお、所定量のクレーを配合することで、このような作用が得られる理由としては、たとえば、外側半導電ゴム層22(外側半導電ゴム層用組成物)中に配合されたクレーが、絶縁ゴム層21に対してアンカーとして働き、これにより接着性を向上させることによると考えられる。さらに、クレーとして、シランカップリング剤で表面処理されたものを用いることにより、このような作用を増大させることができる。
【0048】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0049】
たとえば、上述した実施形態では、本発明のゴム製品の一例として
図1に示すストレスコーン20を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、絶縁ゴム層と、絶縁ゴム層を被覆する半導電ゴム層とを有するゴム製品であれば何でもよい。一例を挙げると、
図1に示すストレスコーン20においては、絶縁ゴム層21の外側を外側半導電ゴム層22で覆うような構成を有するものであるが、絶縁ゴム層の内側の少なくとも一部を半導電ゴム層で覆うような構成にも適用することができる。すなわち、絶縁ゴム層の内側の少なくとも一部を半導電ゴム層で覆うような構成において、この内側の少なくとも一部を覆う半導電ゴム層を、ゴム成分100重量部に対して、クレーを1重量部より多く、40重量部未満の範囲で含有するものとすることができる。なお、この場合においても、絶縁ゴム層を予め架橋した状態とし、絶縁ゴム層の内側の少なくとも一部に、半導電ゴム層を形成するための半導電ゴム層用組成物からなる層で覆った後に、これを架橋することにより、ゴム製品を得ることができる。また、このような絶縁ゴム層の内側の少なくとも一部を半導電ゴム層で覆うような構成とする場合においては、絶縁ゴム層の内側だけでなく、外側についても半導電ゴム層で覆うような構成とすることももちろん可能である。
【0050】
また、上述した実施形態では、ストレスコーン20として、絶縁ゴム層21と、外側半導電ゴム層22とに加えて、内側半導電ゴム層23を備えるものを例示したが、絶縁ゴム層21および外側半導電ゴム層22のみからなるものとしてもよい。すなわち、内側半導電ゴム層23を備えないような構成としてもよい。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0052】
<実施例1>
まず、絶縁ゴム層21形成用の絶縁ゴム層用組成物、および外側半導電ゴム層22形成用の外側半導電ゴム層用組成物を調製した。具体的には、絶縁ゴム層用組成物は、表1に示す各成分を、表1に示す割合で配合し、ロールで混合することにより調製した。同様に、外側半導電ゴム層用組成物は、表1に示す各成分を、表1に示す割合で配合し、ロールで混合することにより調製した。なお、表1において、各成分としては具体的に以下のものを使用した。
(1)ベースゴム:エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)(商品名「三井EPT 3045」、三井化学社製)
(2)表面処理クレー:クレーのシランカップリング剤表面処理品(商品名「バーゲスKE」、白石カルシウム社製)
(3)未処理クレー:クレーの表面未処理品(商品名「デキシークレー」、バンダービルト社製)
(4)着色用カーボン:カーボン(商品名「カーボン旭#35」、旭カーボン社製)
(5)導電性カーボン:アセチレンブラック(電気化学工業社製)
(6)加工油:プロセスオイル(商品名「コウモレックスH22」、JX日鉱日石エネルギー社製)
(7)パラフィン(滑剤):パラフィン(新日本石油社製)
(8)ステアリン酸亜鉛(滑剤):ステアリン酸亜鉛(境化学工業社製)
(9)酸化防止剤:ビスフェノール系酸化防止剤(商品名「ノクラック300」、大内新興化学工業社製)
(10)安定剤:亜鉛華(三井金属鉱業社製)
(11)架橋助剤:硫黄(軽井沢精錬所社製)
(12)架橋剤:ジクミルパーオキシド(三井化学社製)
【0053】
【表1】
【0054】
次いで、上記にて調製した絶縁ゴム層用組成物を、170℃、15分の条件でプレス架橋することで、幅25mm、長さ100mm、厚さ2mmの絶縁ゴム架橋体シートを得た。また、これとは別に、上記にて調製した外側半導電ゴム層用組成物を、120℃でプレス成型することで、幅25mm、長さ100mm、厚さ2mmの未架橋の外側半導電ゴムシートを得た。そして、上記にて得られた絶縁ゴム架橋体シートと、未架橋の外側半導電ゴムシートとを貼り合わせて、厚み3.8mmのスペーサを用いて一対のプレス板に挟んだ状態にて、170℃、15分の条件でプレス架橋を行うことで、絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22とからなる積層体試料(幅25mm、長さ100mm)を得た。なお、この際において、長さ方向端部から40mmの位置までマイラーシートを挟んでおき、この部分を剥離強度測定用の口出し部とした。
【0055】
そして、得られた積層体試料について、引張試験機を用い、口出し部を開いて上下のチャックでつかんだ状態にて、室温で200mm/分の速度で引っ張ることで剥離試験を行った。なお、剥離試験においては、絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22とが剥がれた際の剥離界面を観察し、各ゴム層21,22の界面がそのまま現れたものについては、「剥離」と判定し、各ゴム層21,22のいずれか一方または両方の界面に、他方のゴムが残った場合には、「凝集破壊」と判定した。なお、「剥離」となった場合には、絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22との界面の接着性が低いと判断でき、一方、「凝集破壊」となった場合には、絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22との界面での接着性が高いものと判断することができる。得られた結果を表2に示す。
【0056】
また、上記とは別に、上記にて調製した外側半導電ゴム層用組成物を、120℃でプレス成型することで、幅25mm、長さ100mm、厚さ2mmの未架橋の外側半導電ゴムシートを得て、これを170℃、15分の条件でプレス架橋することで、幅25mm、長さ100mm、厚さ2mmの外側半導電ゴム架橋体シートを得た。そして、得られた外側半導電ゴム架橋体シートについて、引張試験機を用い、室温で200mm/分の速度で引っ張ることで、破断伸びの測定を行った。なお破断伸びが300%を超えたものを合格としている。得られた結果を表2に示す。
【0057】
<実施例2〜4、比較例1〜3>
外側半導電ゴム層22を形成するための外側半導電ゴム層用組成物として、下記表2に示すように、クレーの配合量、クレーの種類を変更したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体試料および外側半導電ゴム架橋体シートを得て、同様にして、剥離試験および破断伸びの測定を行った。得られた結果を表2に示す。なお、表2には、上述した実施例1で用いた外側半導電ゴム層用組成物の組成、ならびに、剥離試験および破断伸びの測定結果も併せて示した。
【0058】
【表2】
【0059】
<評価>
表2に示す結果より、外側半導電ゴム層22を形成するための外側半導電ゴム層用組成物中に、ベースゴムとしてのエチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)100重量部に対して、クレーを1重量部超、40重量部未満の範囲で配合した実施例1〜4においては、剥離試験の結果が、いずれも「凝集破壊」となり、絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22との界面の接着性に優れるものであった。また、これら実施例1〜4は、外側半導電ゴム層22の破断伸びも良好であった。
【0060】
一方、外側半導電ゴム層22を形成するための外側半導電ゴム層用組成物中に、クレーを配合しなかった比較例1、クレーの配合量を本発明所定の範囲よりも少なくした比較例2は、剥離試験の結果が、いずれも「剥離」となり、絶縁ゴム層21と外側半導電ゴム層22との界面の接着性に劣るものであった。また、外側半導電ゴム層22を形成するための外側半導電ゴム層用組成物中に配合するクレーの量を、本発明所定の範囲よりも多くした比較例3は、外側半導電ゴム層22の破断伸びが悪化し、機械強度に劣るものであった。