(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の発泡成形体の製造方法は、化学発泡剤を含有するアクリル系重合成形体(以下、「アクリル系重合成形体A」という。)を加熱発泡させて発泡成形体を製造する方法である。
【0010】
[アクリル系重合成形体A]
本発明において、アクリル系重合成形体Aとは、アクリル系単量体を主成分とする単量体を重合して得られる、所望の形状に成形された成形体である。アクリル系単量体を主成分とするとは、単量体の全量(100質量%)に対するアクリル系単量体の割合が50質量%以上であることを意味する。
アクリル系重合成形体Aとしては、特に限定されず、発泡成形体の製造に通常用いられるアクリル系重合成形体を用いることができる。アクリル系重合成形体Aは、単量体としてアクリル系単量体を単独で用いたものであってもよく、アクリル系単量体とアクリル系単量体以外の他の単量体とを併用したものであってもよい。
【0011】
(アクリル系単量体)
アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。
なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸のいずれか一方又は両方を示し、他の化合物についても同様である。
【0012】
アクリル系単量体としては、化学発泡剤として用いられる尿素に対して優れた溶解性を示す点では、水溶性のアクリル系単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
また、アクリル系単量体としては、アクリル系重合成形体Aの発泡性がより良好になる点では、メタクリル酸メチルが好ましい。
アクリル系単量体は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
【0013】
(他の単量体)
他の単量体としては、アクリル系単量体と共重合可能な単量体であればよく、発泡成形体の改質等を目的として適宜選択して用いることができる。
他の単量体としては、アクリル系重合成形体Aの発泡性がより良好になる点から、スチレンが好ましい。スチレンを使用する場合、発泡成形体の硬質さが損なわれ難い点から、スチレンの使用量は単量体の全量に対して20質量%以下が好ましい。
他の単量体は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
【0014】
アクリル系重合成形体Aは、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチル及びスチレンを含有する単量体混合物を重合して得たものが好ましく、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチル及びスチレンからなる単量体混合物を重合して得たものがより好ましく、メタクリル酸メチル50〜70質量%、(メタ)アクリル酸20〜30質量%、及びスチレン10〜20質量%からなる単量体混合物を重合して得たものが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸の割合を20〜30質量%の範囲とする場合、アクリル酸のみで前記範囲としてもよく、メタクリル酸のみで前記範囲としてもよく、アクリル酸とメタクリル酸の合計で前記範囲としてもよい。
【0015】
(化学発泡剤)
アクリル系重合成形体Aは、化学発泡剤を含有する。
化学発泡剤としては、アクリル系重合成形体Aを加熱発泡させることで発泡成形体が得られるものであればよく、尿素及び尿素誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
化学発泡剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
【0016】
アクリル系重合成形体A中の化学発泡剤の含有量は、アクリル系重合成形体Aに用いる単量体の全量100質量部に対して、1〜15質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。前記化学発泡剤の含有量が下限値以上であれば、軽量性に優れた発泡成形体が得られやすい。前記化学発泡剤の含有量が上限値以下であれば、単量体中に化学発泡剤を溶解させることが容易になる。また、前記化学発泡剤の含有量が上限値以下であれば、発泡成形体中に化学発泡剤が残存し難くなり、また加熱発泡時に破泡が生じ難くなる。
【0017】
(アクリル系重合成形体Aの製造方法)
アクリル系重合成形体Aの製造方法としては、発泡成形体の製造に用いるアクリル系重合成形体の製造に通常用いられる製造方法を採用できる。
アクリル系重合成形体Aの製造方法としては、例えば、アクリル系重合成形体Aの製造に用いる単量体、化学発泡剤、重合開始剤、重合開始助剤、塩化物イオン添加用物質等を混合して重合性溶液とし、該重合性溶液を所定の形状の型枠に入れ、加熱して硬化させる方法等が挙げられる。
型枠は、目的のアクリル系重合成形体Aの形状に合わせて適宜選択すればよい。
【0018】
重合開始剤としては、レドックス系重合開始剤が好ましい。
レドックス系重合開始剤としては、例えば、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0019】
重合開始剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
重合開始剤の使用量は、単量体の全量100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましい。
【0020】
重合開始助剤としては、例えば、スルフィン酸金属塩、アミン化合物等が挙げられる。
スルフィン酸金属塩としては、例えば、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、トルエンスルフィン酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、スルフィン酸金属塩としては、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムが好ましい。
アミン化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0021】
重合開始助剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
重合開始助剤の使用量は、単量体の全量100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましい。また、重合開始助剤の使用量は、レドックス重合開始剤に対して質量比で0.1〜5倍が好ましい。
【0022】
塩化物イオン添加用物質としては、重合性溶液中に塩化物イオンを添加できるものであればよい。塩化物イオンは、重合反応の促進に寄与する。
塩化物イオン添加用物質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化銅、塩化第二鉄、塩化銀、塩化金、塩酸、イミダゾリウム塩型界面活性剤、第4級アンモニウム塩型界面活性剤、アルキルベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0023】
イミダゾリウム塩型界面活性剤としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−1−ヒドロキシエチル−2−牛脂アルキル−イミダゾニウムクロライド等が挙げられる。
【0024】
第4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
アルキルベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン等が挙げられる。
【0025】
塩化物イオン添加用物質としては、塩化ナトリウム、塩酸、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、及びラウリルトリメチルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。
【0026】
塩化物イオン添加用物質は、1種でもよく、2種以上でもよい。
塩化物イオン添加用物質の使用量は、単量体の全量100質量部に対して、0.005〜5質量部が好ましい。
【0027】
重合性溶液には、脱水剤、重合抑制剤、気泡調整剤等をさらに含有させてもよい。
脱水剤としては、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の硫酸塩、ゼオライト(モレキュラーシーブ)等が挙げられる。
重合抑制剤としては、ギ酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
気泡調整剤としては、例えば、金属酸化物、珪藻土等の粉末状無機物等が挙げられる。
【0028】
重合は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
重合温度は、35〜70℃が好ましく、40〜60℃が好ましい。
【0029】
[発泡方法]
本発明の発泡成形体の製造方法は、アクリル系重合成形体Aを加熱発泡させる際に、アクリル系重合成形体Aの表面に滑剤を存在させた状態で加熱することを特徴とする。アクリル系重合成形体Aの表面に滑剤を存在させることで、発泡成形体に亀裂が生じることが抑制される。
【0030】
例えば、板状の発泡成形体を製造する場合、任意の距離に離間した2つの熱プレートを有する金型の一対の熱プレートの間に、表面に滑剤を塗布した板状のアクリル系重合成形体Aを入れ、それら熱プレートによってアクリル系重合成形体Aを加熱する。アクリル系重合成形体Aが化学発泡剤の熱分解温度以上に加熱されることで、アクリル系重合成形体Aが発泡し、熱プレート上で膨張していく。このとき、アクリル系重合成形体Aの表面に滑剤が存在していることで、滑剤が存在しない場合に比べてアクリル系重合成形体Aが熱プレート上で滑らかに膨張していくため、得られる発泡成形体に亀裂が生じ難くなる。
【0031】
加熱発泡に用いる金型は、前記したものには限定されず、目的の発泡成形体の形状に応じて適宜選択すればよい。アクリル系重合成形体Aの加熱発泡を所望の内法を有する金型内で行うことで、所望の形状の発泡成形体を得ることができる。
【0032】
本発明の発泡成形体の製造方法では、発泡成形体に亀裂が生じることを抑制しやすい点から、滑剤をアクリル系重合成形体Aの表面全体に存在させることが好ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、アクリル系重合成形体Aの表面において滑剤が存在していない部分があってもよい。
【0033】
アクリル系重合成形体Aの表面に滑剤を存在させる方法としては、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されず、例えば、アクリル系重合成形体Aの表面に滑剤を塗布する方法、加熱発泡の際に用いる金型におけるアクリル系重合成形体Aと接する面に滑剤を塗布しておく方法等が挙げられる。なかでも、アクリル系重合成形体Aの表面に滑剤を存在させる方法としては、発泡成形体に亀裂が生じることを抑制することが容易な点から、アクリル系重合成形体Aの表面に滑剤を塗布する方法が好ましい。
【0034】
滑剤の塗布方法としては、特に限定されず、公知の塗布方法を採用できる。なかでも、簡便かつ均一に塗布可能な点から、刷毛、布等を用いて手作業で塗布する方法が好ましい。
【0035】
滑剤としては、特に限定されず、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンが好ましい。
滑剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0036】
アクリル系重合成形体Aを加熱発泡させる際の加熱温度は、アクリル系重合成形体Aが軟化する温度以上で、かつアクリル系重合成形体Aに含有される化学発泡剤の熱分解温度以上とする。
加熱温度は、例えば、化学発泡剤が尿素(熱分解温度135℃)の場合、135℃以上が好ましく、145℃以上がより好ましい。加熱温度が高いほど発泡が効率良く進行する。
また、加熱温度は、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。加熱温度が上限値以下であれば、発泡成形体が熱劣化し難い。
【0037】
発泡前のアクリル系重合成形体Aに対する発泡後の発泡成形体の寸法の変化率は、全方向でできるだけ揃っていることが好ましい。これにより、亀裂の発生が抑制された発泡成形体がより得られやすくなる。
具体的には、矩形の板状の発泡成形体を製造する場合、下式(1)で求められる長手方向の寸法変化率(L)と、下式(2)で求められる短手方向の寸法変化率(D)との比(L/D)は、1/1.3〜1.3/1が好ましく、1/1.2〜1.2/1がより好ましい。比(L/D)が前記範囲内であれば、亀裂の発生が充分に抑制された発泡成形体が得られやすい。
L=L2/L1 ・・・(1)
D=D2/D1 ・・・(2)
ただし、前記式中、L1は発泡前のアクリル系重合成形体Aの長手方向の長さであり、L2は発泡後の樹脂成形体の長手方向の長さである。また、D1は発泡前のアクリル系重合成形体Aの短手方向の長さであり、D2は発泡後の樹脂成形体の短手方向の長さである。
寸法変化率(L)、(D)は、例えば、金型の内法を調節することで調節できる。
【0038】
本発明の製造方法により製造される発泡成形体の密度は、0.035〜0.200g/cm
3が好ましく、0.040〜0.150g/cm
3がより好ましく、0.045〜0.125g/cm
3がさらに好ましい。発泡成形体の密度が下限値以上であれば、発泡倍率が高くなりすぎず、発泡成形体に亀裂が発生し難くなる。発泡成形体の密度が上限値以下であれば、発泡成形体の軽量性がより良好になる。
なお、発泡成形体の密度は、発泡成形後に得られる発泡成形体の体積Va(cm
3)と、その質量W(g)を測定し、下記式により求められる。
発泡成形体の密度(g/cm
3)=W/Va
【0039】
[作用効果]
以上説明した本発明の発泡成形体の製造方法にあっては、得られる発泡成形体に亀裂が発生することを抑制することができる。このような効果が得られる要因としては、以下のように考えられる。
従来の発泡成形体の製造方法において、発泡成形体の表面近傍に亀裂が生じやすかったのは、加熱発泡の際に、アクリル系重合成形体の表面と該表面が触れる面(金型の内面等)との摩擦によって成形体の膨張が円滑に進行し難く、膨張が不均一に進行することが起因になっていると考えられる。
これに対して、本発明の製造方法では、アクリル系重合成形体Aの表面に滑剤を存在させているため、加熱発泡においてアクリル系重合成形体Aの表面と該表面が触れる面との摩擦が軽減され、アクリル系重合成形体Aが円滑かつ均一に膨張することで、発泡成形体に亀裂が発生することが抑制されると考えられる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
メタクリル酸メチル61質量%、メタクリル酸24質量%、及びスチレン15質量%からなる単量体混合物の100質量部に対して、化学発泡剤として尿素を5質量部混合し、均一に溶解させて単量体溶液を作製した。さらに、該単量体溶液に、単量体混合物100質量部に対して硫酸ナトリウムを0.54質量部、ギ酸カルシウムを0.14質量部、重合開始剤としてt−ブチルヒドロパーオキサイド(日油社製「パーブチルH−69」)を0.45質量部、重合開始助剤としてN,N−ジメチルアニリンを0.45質量部、及び塩化物イオン添加用物質としてセチルトリメチルアンモニウムクロライド(日油社製「ニッサンカチオンPB−40R」)を0.04質量部加え、撹拌後、残渣を除去することにより重合性溶液を作製した。
該重合性溶液を、目合が0.300mmのストレイナーメッシュ(60メッシュストレイナー)に通した後に、780mm×450mm×25mmの内法を有するポリエチレン製の直方体状の型枠に入れた。重合性溶液を型枠ごと窒素雰囲気下に置き、56.0℃で5時間、49.0℃で20時間、56.0℃で1時間、59.0℃で8時間の条件で加熱することで硬化させた後、型枠から板状のアクリル系重合成形体を取り出した。得られたアクリル系重合成形体は、充分に固化された状態になっていた。
【0041】
得られた板状のアクリル系重合成形体を、長手方向の寸法変化率(L)と短手方向の寸法変化率(D)との比(L/D)が1.30となるようにカットし、滑剤としてジメチルシリコーン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSM650」)を、布を用いて手作業により表面全体に均一に塗布した後、1820mm×910mm×75mmの内法を有する金型に入れ、尿素の熱分解温度(135℃)以上である170℃に加熱して発泡を行い、板状の発泡成形体を得た。
アクリル系重合成形体の表面への滑剤の塗布量は、25gとした。
【0042】
[実施例2]
重合性溶液を目合が0.300mmのストレイナーメッシュ(60メッシュストレイナー)に通した後、1000mm×500mm×25mmの内法を有するポリエチレン製の直方体状の型枠に入れて硬化を行った以外は、実施例1と同様にして板状のアクリル系重合成形体を得た。
その後、比(L/D)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして板状の発泡成形体を得た。
【0043】
[実施例3〜5]
単量体混合物の組成、使用する滑剤の種類、発泡時の比(L/D)を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして板状の発泡成形体を得た。
【0044】
[実施例6、7]
単量体混合物の組成、使用する滑剤の種類、発泡時の比(L/D)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして板状の発泡成形体を得た。
【0045】
[比較例1、3]
アクリル系重合成形体の表面に滑剤を塗布せず、発泡時の比(L/D)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして板状の発泡成形体を得た。
【0046】
[比較例2]
アクリル系重合成形体の表面に滑剤を塗布せず、発泡時の比(L/D)を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして板状の発泡成形体を得た。
【0047】
[発泡成形体の密度]
発泡成形体の密度は、発泡成形後に得られる発泡成形体の体積Va(cm
3)と、その質量W(g)を測定し、下記式により求めた。
発泡成形体の密度(g/cm
3)=W/Va
【0048】
[亀裂の評価方法]
得られた板状の発泡成形体の4つの側面において、表皮部分を厚み20mm分だけ切削し、全ての側面における切断表面を目視で確認し、最大径が10mm以上の孔の数を亀裂の数として計測した。
【0049】
各例の単量体混合物の組成、滑剤の使用の有無及び種類、比(L/D)、ならびに発泡成形体の密度及び亀裂の数を表1に示す。
なお、表1における略号は以下の意味を示す。
MMA:メタクリル酸メチル。
MA:メタクリル酸。
St:スチレン。
T650:ジメチルシリコーン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSM650」)。
KF54:メチルフェニルシリコーン(信越化学工業社製「KF−54」)。
KS61:ジメチルシリコーン(信越化学工業社製「KS−61」)。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すように、アクリル系重合成形体の表面に滑剤を存在させた実施例1では、比(L/D)及び発泡成形体の密度が同等で滑剤を用いなかった比較例1に比べて、発泡成形体の亀裂の発生が抑制されていた。
また、アクリル系重合成形体の表面に滑剤を存在させた実施例2〜4でも、比(L/D)及び発泡成形体の密度が同等で滑剤を用いなかった比較例2に比べて、発泡成形体の亀裂の発生が抑制されていた。
また、アクリル系重合成形体の表面に滑剤を存在させた実施例7でも、比(L/D)及び発泡成形体の密度が同等で滑剤を用いなかった比較例3に比べて、発泡成形体の亀裂の発生が抑制されていた。実施例1と実施例7を比較すると、比(L/D)が1.3以下の実施例1の方が、比(L/D)が1.3を超える実施例7よりも亀裂の発生が抑制されていた。
また、単量体混合物の組成が異なる実施例5、6においても、滑剤を用いたことで発泡成形体における亀裂の発生が抑制されていた。