(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
自動取引装置は、記憶媒体と、当該記憶媒体に対して取引処理に関する情報を書き込みまたは情報を読み取る記憶処理を実行する記憶処理機構とをそれぞれ備える複数の記憶部を備えている。このような自動取引装置は、当該記憶部での記憶処理の処理状況を監視し、監視した処理状況に基づき、処理状況に対応する記憶処理を実行した記憶部を無効にすることができるものである。
【0013】
このような自動取引装置について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る自動取引装置の概略図である。
自動取引装置1は、複数(例えば、
図1では2個の場合)の記憶部2,3と、処理状況情報保持部4とが設けられている。さらに、自動取引装置1は、処理状況取得部5と、記憶監視部6、記憶無効部7の機能を有する。
【0014】
記憶部2,3は、記憶媒体2a,3aと、記憶媒体2a,3aに対して取引処理に関する情報を書き込みまたは情報を読み取る記憶処理を実行する記憶処理機構2b,3bとを有する。記憶部2,3が、例えば、HDDである場合、記憶媒体2a,3aは、円形の磁気記憶媒体である。また、記憶処理機構2b,3bは、当該磁気記憶媒体を回転させるモータ、当該磁気記憶媒体に対して書き込み並びに読み取りを行う磁気ヘッド、磁気ヘッドを磁気記憶媒体に対して操作するアーム並びにアクチュエータ等の記憶媒体2aに対して書き込みまたは読み取りを実行するための機構である。
【0015】
処理状況情報保持部4は、記憶処理機構2b,3bの記憶媒体2aに対する記憶処理の処理状況に関する情報を保持する。
処理状況取得部5は、記憶部2,3の記憶処理機構2b,3bが記憶媒体2a,3aに対して記憶処理を実行するごとに、当該記憶処理の処理状況を記憶処理機構2b,3bから取得する。処理状況取得部5は、取得した処理状況に関する情報を処理状況情報保持部4に保持させる。処理状況とは、例えば、記憶処理機構2bが記憶媒体2aに対して書き込みを実行した際に、書き込みが適切に完了したこと、書き込みが(時間内に完了できずに)タイムアウトになったこと、書き込みが失敗した(適切に完了しなかった)こと等である。
【0016】
記憶監視部6は、記憶部2,3で記憶処理機構2b,3bが記憶媒体2a,3aにそれぞれ実行した記憶処理の処理状況を監視する。具体的には、処理状況取得部5が記憶処理機構2b,3bから当該記憶処理機構2b,3bの記憶媒体2a,3aに対する記憶処理の処理状況を取得して、取得した当該処理状況に関する情報を処理状況情報保持部4に保持させる。記憶監視部6は、このようにして処理状況情報保持部4に保持された記憶処理の処理状況を監視するものである。
【0017】
記憶無効部7は、記憶監視部6が監視した処理状況に基づき、処理状況に対応する記憶処理を実行した記憶部2(または記憶部3)を無効にする。
なお、自動取引装置1の少なくとも処理状況取得部5と、記憶監視部6、記憶無効部7は、自動取引装置1が備える図示しないCPU(Central Processing Unit)によって所定のプログラムが実行されることにより、その処理機能が実現される。また、自動取引装置1の処理状況情報保持部4は、例えば、自動取引装置1が保持するメモリ(図示を省略)により実現される。
【0018】
このような構成を有する自動取引装置1の記憶方法について説明する。
顧客は、自動取引装置1に対して所望の金融取引(引き出し、振り込み、送金等)を実行させるための操作入力を行う。
【0019】
自動取引装置1は、顧客からの操作入力に基づく金融取引を実行する。自動取引装置1は、当該金融取引に伴って発生する情報を記憶部2,3の記憶処理機構2b,3bから記憶媒体2a,3aに書き込ませる。
【0020】
この際、処理状況取得部5は、記憶部2,3において記憶媒体2a,3aに対して書き込み処理を行った記憶処理機構2b,3bから、当該書き込み処理の処理状況(書き込み完了、書き込みタイムアウト等)を取得する。処理状況取得部5は、このようにして取得した処理状況に関する情報を処理状況情報保持部4に保持させる。
【0021】
自動取引装置1では、自動取引装置1全体が稼働している間、記憶監視部6が、処理状況情報保持部4の処理状況に関する情報から、記憶部2,3で記憶処理機構2b,3bが実行した記憶処理の処理状況を監視する。
【0022】
ここで、例えば、記憶部2,3がHDDである場合には、記憶部2,3が故障直前であれば、記憶処理機構2b,3bは記憶媒体2a,3aに対して一度で書き込みを完了することができない可能性が高まる。したがって、記憶部2,3が故障直前である場合には、記憶処理機構2b,3bは記憶媒体2a,3aに対して書き込みを実行する際、一度では書き込みが出来ずにタイムアウトとなり、リトライを行うことで書き込みが完了する場合が増加する。
【0023】
そこで、記憶無効部7は、記憶監視部6が、書き込み処理が所定回数連続してタイムアウトであったことを監視すると、タイムアウトとなった書き込みを実行した、例えば、記憶部2が故障直前の状態であると判断されて、当該記憶部2を無効にする。
【0024】
なお、故障直前の状態にあるとして記憶部3が判断された場合には、当該記憶部3を無効にする。
自動取引装置1は、以後の金融取引に伴って発生する情報を記憶部3の記憶処理機構3bから記憶媒体3aに書き込ませる。
【0025】
また、自動取引装置1は、無効とした記憶部2に代わって、新たな記憶部が導入されると、記憶部3に記憶されている情報を新たな記憶部にコピーして、再び、RAIDによる情報の記憶を行うことができる。
【0026】
上記自動取引装置1では、記憶監視部6により記憶部2,3で記憶処理機構2b,3bが実行した記憶処理の処理状況が監視されて、記憶無効部7により記憶監視部6が監視した処理状況に基づき、処理状況に対応する記憶処理を実行した記憶部2(または記憶部3)を無効にするようにした。即ち、これから故障する恐れがある記憶部2(または記憶部3)を、実際に故障してしまう前に事前に自動取引装置1からシステム的に切り離すことが可能となる。このため、自動取引装置1では、金融取引の実行に伴って発生する情報を故障する恐れがない記憶部3(または記憶部2)のみにて記憶処理機構3bから記憶媒体3aに書き込ませることで、書き込み時間の増加を防止することができるようになる。したがって、自動取引装置1に対して取引を利用している顧客と共に、当該顧客の後続の顧客の待機時間の増加を防止することもできるようになる。
【0027】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の自動取引装置の一例としてATMの場合についてより具体化して説明する。また、第2の実施の形態では、書き込み処理を行う場合を主に説明しているが、書き込み処理と同様に読み取り処理を行うことも可能である。
【0028】
まず、自動取引システムについて、
図2を用いて説明する。
図2は、第2の実施の形態における自動取引システムの一例を示す図である。
金融機関における自動取引システム100には、
図2に示すように、複数のATM200(
図2ではその内の1台を図示)が備えられ、各ATM200はホストコンピュータ300と金融系ネットワーク400を介して接続されている。
【0029】
ATM200の前面には、受付画面等を表示する表示部220aと、キャッシュカードが挿入/排出されるカード挿入/排出口40a、通帳が挿入/排出される通帳挿入/排出口50a、硬貨が入出金される硬貨入出金口60a、紙幣が入出金される紙幣入出金口70aが設けられている。
【0030】
ホストコンピュータ300は、金融系ネットワーク400を介して、ATM200と情報の送受信を行い、また、口座等に関する情報を保持し、ATM200の動作等を管理する。
【0031】
次に、自動取引システム100のATM200のハードウェア構成について
図3を用いて説明する。
図3は、第2の実施の形態における自動取引システムのATMのハードウェア構成例を示す図である。
【0032】
ATM200は、ATM200で実行される処理並びに当該処理を行う各ユニットの制御を行う制御ユニット210と、顧客からの操作入力を受け付け、受付画面等を表示する表示ユニット220を有する。また、キャッシュカードをカード挿入/排出口40aから挿入/排出するカード処理ユニット230と、通帳を通帳挿入/排出口50aから挿入/排出する通帳処理ユニット240、硬貨を硬貨入出金口60aから入出金する硬貨処理ユニット250、紙幣を紙幣入出金口70aから入出金する紙幣処理ユニット260を有する。
【0033】
制御ユニット210は、CPU210aと、RAM210b、記憶装置群210c、グラフィック処理部210d、通信制御部210e、入出力インタフェース210g、電源制御部210fを備えており、これらの各部はバス210hで相互に接続されている。
【0034】
CPU210aは、RAM210b、記憶装置群210c等の記憶媒体に記憶された各種プログラムを実行することにより、ATM200全体を統括的に制御する。
RAM210bには、CPU210aに実行させるOSプログラム並びにアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM210bには、CPU210aによる処理に必要な各種情報並びにCPU210aにより実行される処理により発生する情報が格納される。
【0035】
記憶装置群210cは、HDD1〜3を備えている。各HDD1〜3は、CPU210aに実行させるOSプログラムやアプリケーションプログラムを格納し、CPU210aによって実行される処理により発生する情報をそれぞれ記憶する。また、記憶装置群210cでは、HDD1,2によりRAIDが構成されており、HDD3はHDD1,2の補助的な記憶装置(補助HDD)として設けられている。なお、各HDD1〜3の構成については後述する。
【0036】
グラフィック処理部210dには、表示ユニット220の表示部220aが接続されている。グラフィック処理部210dは、CPU210aからの命令に従って所定の画面を表示ユニット220の表示部220aに表示させる。
【0037】
通信制御部210eは、ATM200の管理等を行うホストコンピュータ300と金融系ネットワーク400を介して通信可能に接続されており(
図3では図示を省略)、ホストコンピュータ300と信号の送受信を行う。
【0038】
電源制御部210fは、記憶装置群210cが保持する各HDD1〜3にそれぞれ接続されており、CPU210aからの制御信号に基づき、各HDD1〜3に対する電源供給のオン/オフの切り替えを行う。
【0039】
入出力インタフェース210gには、表示ユニット220の入力検知部220bと、カード処理ユニット230、通帳処理ユニット240、硬貨処理ユニット250、紙幣処理ユニット260が接続されている。また、入出力インタフェース210gは、可搬型記憶媒体270への情報の書き込み、及び可搬型記憶媒体270への情報の読み出しが可能な可搬型記憶媒体インタフェースと接続可能になっている。入出力インタフェース210gは、バス210hを介してCPU210aからの制御信号を各ユニットに通知し、各ユニットからの信号を同様にCPU210aに通知する。
【0040】
続いて、その他の各ユニットについて説明する。
表示ユニット220は、表示部220aと入力検知部220bとを備え、グラフィック処理部210dと入出力インタフェース210gとにそれぞれ接続されている。
【0041】
表示部220aは、グラフィック処理部210dからの画面情報に基づいて画面を表示する。
入力検知部220bは、表示部220aが表示する画面に対する顧客のタッチを検知する。なお、入力検知部220bが検知した画面のタッチ位置に表示されている取引内容が制御ユニット210のCPU210aで実行される。
【0042】
カード処理ユニット230は、カード挿入/排出口40aから顧客により挿入されたキャッシュカードに対して情報の読み出し等の処理を実行する。また、カード処理ユニット230は、読み出し等の処理が完了したら、キャッシュカードを搬送させてカード挿入/排出口40aから放出して顧客に返却する。
【0043】
通帳処理ユニット240は、通帳挿入/排出口50aから顧客により挿入された通帳を所定位置まで搬送し、顧客からの取引実行指示に応じて実行された取引の履歴等を通帳の頁に印字する。また、通帳処理ユニット240は、取引履歴等の記憶が完了した通帳を搬送して、通帳挿入/排出口50aから放出して、顧客に返却する。
【0044】
硬貨処理ユニット250及び紙幣処理ユニット260は、ATM200で実行した取引に応じて、当該取引の形式に基づく金額に対応する硬貨及び紙幣の入金または出金を硬貨入出金口60a及び紙幣入出金口70aに対して実行する。
【0045】
ATM200は、上記の構成を有する。
また、ホストコンピュータ300も、少なくとも、ATM200が備える、CPUと、RAM、HDD、通信制御部、を備えており、これらの各部はバスで相互に接続されており、金融取引並びに金融取引に関する情報の管理等を行う。
【0046】
次に、ATM200が備える機能について、
図4を用いて説明する。
図4は、第2の実施の形態における自動取引システムのATMが備える機能を示す機能ブロック図である。
【0047】
なお、
図4では、ATM200の制御ユニット210で実現される機能と当該機能に関わる構成のみについて記載しており、他のユニット等に関する記載は省略している。
ATM200は、ログ情報保持部211と、入力受付部212、監視停止フラグ設定部213、ログ情報監視部214、電源切替部215、取引処理制御部216、記憶装置制御部217を備える。
【0048】
まず、ログ情報保持部211について、
図5を用いて説明する。
図5は、第2の実施の形態における自動取引システムのATMのログ情報保持部が保持するログの一例を示す図である。
【0049】
ログ情報保持部211は、記憶装置群210cの各HDD1〜3において記憶処理機構1b〜3bが磁気記憶媒体10a〜30aに対する情報の書き込み処理の処理状況に関する情報を保持する。
【0050】
ログ情報保持部211が保持するログ情報では、
図5に例示するように、時刻が「12:31:22」の際に、「HDD1」において、「write(書き込み)」の処理が実行されて、処理状況としては「OK(適切に書き込み完了)」であることがわかる。また、時刻が「12:33:56」の際に、「HDD1」において、「write(書き込み)」の処理が実行されて、処理状況としては「timeout(タイムアウト)」であることがわかる。
【0051】
ログ情報保持部211は、各HDD1〜3について上記のようなログ情報を保持する。
図4に示すATM200の説明を続ける。
入力受付部212は、入出力インタフェース210gを介して、顧客により操作入力されたユニットからの情報、ユニットが処理を行って得られた情報等を受け付ける。
【0052】
監視停止フラグ設定部213は、入力受付部212からの要求、または取引処理制御部216の処理に応じて、後述するログ情報監視部214によるログ情報の監視を停止させるフラグをセット、または、セットされた当該フラグをクリアする。
【0053】
ログ情報監視部214は、監視停止フラグ設定部213のフラグの設定状況に応じて、ログ情報保持部211が保持するログ情報を監視する。ログ情報監視部214は、例えば、ログ情報の書き込み処理及び読み取り処理のタイムアウトを監視する。
【0054】
電源切替部215は、ログ情報監視部214のログ情報の監視結果に応じて、電源制御部210fを制御して、記憶装置群210cのHDD1〜3に対する電源供給のオン/オフを切り替えさせる。
【0055】
取引処理制御部216は、入力受付部212から取引実行要求が通知されると、各種取引処理を実行する。取引処理制御部216は、預り入れ、引き出し、通帳記入、残高照会、振り込み、支払い、送金等の金融に関する取引処理に応じて、カード処理ユニット230と、通帳処理ユニット240、硬貨処理ユニット250、紙幣処理ユニット260(それぞれ
図4では図示を省略)を、入出力インタフェース210gを介してそれぞれ制御する。
【0056】
記憶装置制御部217は、記憶装置群210cのHDD1〜3全体の制御・管理を行う、例えば、デバイスドライバである。例えば、記憶装置制御部217は、取引処理実行中に、当該取引処理に伴って発生する取引ジャーナル情報、取引処理に関するログ情報等を、記憶装置群210c内のHDD1〜3において、記憶処理機構1b〜3bから磁気記憶媒体10a〜30aに書き込ませる。また、記憶装置制御部217は、記憶装置群210cにおいてHDD1〜3の記憶処理機構1b〜3bが磁気記憶媒体10a〜30aに対して情報の書き込み処理を行った際の処理状況を当該記憶処理機構1b〜3bから取得し、取得した処理状況に関する情報をログ情報保持部211に保持させる。さらに、記憶装置制御部217は、ログ情報監視部214の監視状況に応じて、HDD1〜3の間で、電源供給が開始されたものに対して情報のコピーを行う。
【0057】
このような構成を有するATM200で実行される動作処理について
図6を用いて説明する。
図6は、第2の実施の形態におけるATMで実行されるATM動作処理を示すフローチャートである。
【0058】
なお、既述の通り、記憶装置群210cでは、HDD1,2によりRAIDが構成されており、HDD3はHDD1,2の補助的な記憶装置(補助HDD)として設けられている。
【0059】
[ステップS110] 入力受付部212が動作処理開始の操作入力を受け付けると、監視停止フラグ設定部213がHDDのログ情報の監視停止フラグをクリアする。
[ステップS120] ログ情報監視部214は、記憶装置群210cのRAIDを構成するHDD1,2のログ情報を監視して、監視したログ情報に応じて、HDD1,2のいずれかを無効にするHDD監視処理を実行する。
【0060】
これにより、ログ情報監視部214は、RAIDを構成するHDD1,2のいずれかに故障が発生する恐れがあることを判別する。
[ステップS130] 取引処理制御部216は、入力受付部212を介して顧客から受け付けた操作入力に基づき、金融取引を行う自動取引実行処理を実行する。
【0061】
自動取引実行処理にて行われる金融取引に伴って発生する取引ジャーナル情報、取引処理に関するログ情報等は、記憶装置制御部217によりログ情報保持部211に保持される。
【0062】
次に、ATM200のHDD監視処理(
図6のステップS120)について
図7を用いて説明する。
図7は、第2の実施の形態におけるATMで実行されるHDD監視処理を示すフローチャートである。
【0063】
なお、
図7(A)はHDD監視処理を、
図7(B)はHDD監視処理で実行される補助HDD起動処理をそれぞれ実行するためのフローチャートである。
まず、HDD監視処理について
図7(A)を用いて説明する。
【0064】
[ステップS121] ログ情報監視部214は、監視停止フラグ設定部213が監視停止フラグをセットしているか否かを判定する。
ログ情報監視部214は、監視停止フラグ設定部213が監視停止フラグをセットしていない場合には、ステップS122の処理を実行し、監視停止フラグをセットしている場合には、HDD監視処理を終了する。
【0065】
[ステップS122] ログ情報監視部214は、ログ情報保持部211が保持するログ情報を監視する。
[ステップS123] ログ情報監視部214は、監視したログ情報において、タイムアウトとなった書き込み処理があるか否かを判定する。
【0066】
ログ情報監視部214は、タイムアウトとなった書き込み処理がある場合には、ステップS124の処理を実行し、タイムアウトとなった書き込み処理がない場合にはHDD監視処理を終了する。
【0067】
図5に例示したログ情報の場合では、タイムアウトとなった書き込み処理があることから、ログ情報監視部214は、タイムアウトとなった書き込み処理があると判定し、ステップS124の処理を実行する。
【0068】
[ステップS124] ログ情報監視部214は、さらに、タイムアウトとなった書き込み処理が2回連続であるか否かを判定する。
ログ情報監視部214は、タイムアウトとなった書き込み処理が2回連続である場合には、ステップS125の処理を実行し、タイムアウトとなった書き込み処理が2回連続でない場合にはHDD監視処理を終了する。
【0069】
図5に例示したログ情報の場合では、2回連続でタイムアウトとなった書き込み処理があることから、ログ情報監視部214は、タイムアウトとなった書き込み処理が2回連続であったことを判定し、ステップS125の処理を実行する。
【0070】
[ステップS125] ログ情報監視部214は、さらに、所定時間(例えば、7秒)内にタイムアウトとなった書き込み処理が2回連続であるか否かを判定する。
ログ情報監視部214は、所定時間内にタイムアウトとなった書き込み処理が2回連続である場合には、ステップS126の処理を実行し、所定時間内にタイムアウトとなった書き込み処理が2回連続でない場合にはHDD監視処理を終了する。
【0071】
図5に例示したログ情報の場合では、まず、「12:33:56」と「12:35:09」との1分13秒の間に2回連続タイムアウトが発生している。ATM200に対する顧客による1回の取引処理の取引時間はおよそ30秒前後であることが知られている。このような取引時間を鑑みると、タイムアウトの発生間隔が1分13秒であることから、顧客による1回の取引処理中にタイムアウトが2回発生したものとは考えられない。このような場合には、HDD1に故障が発生する恐れがないことを判定するようにする。次に、「12:35:09」と「12:35:14」との5秒の間に2回連続してタイムアウトが発生している。このようにタイムアウトの間隔が所定時間の7秒以内である場合には、ATM200に対する顧客による1回の取引処理中に2回連続でタイムアウトになっていることが考えられ、HDD1に故障が発生する恐れがあることを判定する。なお、所定時間の時間間隔は、7秒に限らず、ATM200に対する顧客による1回の取引処理の取引時間を踏まえて適宜設定することができる。
【0072】
[ステップS126] ログ情報監視部214は、電源切替部215によるHDD1,2に対する電源制御部210fの電源供給の切り替え状態に基づき、RAIDが構成されているか否かを判定する。
【0073】
例えば、ログ情報監視部214が、HDD1,2の両方に電源供給が行われていることを、電源切替部215を介して検知する場合には、RAIDが構成されていることを判定する。一方、ログ情報監視部214が、HDD1,2のいずれかのみに電源供給が行われていることを検知する場合には、RAID構成が構成されていないことを判定する。
【0074】
このようにしてログ情報監視部214は、RAIDが構成されている場合には、ステップS127の処理を実行し、RAIDが構成されていない場合にはHDD監視処理を終了する。
【0075】
[ステップS127] 電源切替部215は、電源制御部210fにRAIDを構成するHDD1,2の一方に対する電源供給をオフに切り替えさせて、電源供給を停止させる。
【0076】
図5に示したログ情報の場合では、電源切替部215は、電源制御部210fにHDD1に対する電源供給をオフに切り替えさせて、HDD1をATM200からシステム的に切り離す。
【0077】
[ステップS128] 電源切替部215及び記憶装置制御部217は、補助HDD(HDD3)がある場合に、当該補助HDDを起動させる起動処理を実行する。
次いで、補助HDD起動処理(
図7(A)のステップS128)について、
図7(B)を用いて説明する。
【0078】
[ステップS128a] 記憶装置制御部217は、記憶装置群210cに補助HDDを備えているか否かを判定する。
記憶装置制御部217は、記憶装置群210cに補助HDDを備えている場合には、ステップS128bの処理を実行し、備えていない場合には、補助HDD起動処理を終了する。
【0079】
第2の実施の形態では、補助HDDとして、HDD3を備えているために、記憶装置制御部217は、ステップS128bの処理を実行する。
[ステップS128b] 電源切替部215は、電源制御部210fに、補助HDDに対する電源供給を開始させる。
【0080】
第2の実施の形態では、電源切替部215は、電源制御部210fにHDD3に対する電源供給を開始させる。
[ステップS128c] 記憶装置制御部217は、補助HDDに電源が供給されると、記憶装置群210c内のHDDに記憶されている情報を補助HDDにコピーして、補助HDDに対してリビルドを実行する。
【0081】
第2の実施の形態では、記憶装置制御部217は、HDD2の情報をHDD3にコピーして、HDD3に対してリビルドを実行して、HDD3に対する情報の再構築が行われる。
【0082】
これにより、HDD2,3がRAIDとして構成されるようになる。
また、ATM200の自動取引実行処理(
図6のステップS130)について
図8を用いて説明する。
【0083】
図8は、第2の実施の形態におけるATMで実行される自動取引実行処理を示すフローチャートである。
[ステップS131] 取引処理制御部216は、入出力インタフェース210gを介して表示ユニット220の表示部220aに取引選択画面を表示させる。
【0084】
[ステップS132] 取引処理制御部216は、入出力インタフェース210gを介して、カード処理ユニット230と、通帳処理ユニット240、硬貨処理ユニット250、紙幣処理ユニット260の各ユニットの状態を監視する。
【0085】
[ステップS133] 取引処理制御部216は、監視した各ユニットの状態から各ユニットにエラーが生じているか否かを判定する。
取引処理制御部216は、各ユニットにエラーが生じていない場合には、ステップS134の処理を実行し、エラーが生じている場合には、自動取引実行処理を終了する。
【0086】
[ステップS134] 取引処理制御部216は、表示ユニット220の表示部220aに表示した取引選択画面に対する顧客からの取引選択の操作入力を入力検知部220bが受け付けるのを待ち受ける。
【0087】
取引処理制御部216は、入力検知部220bが顧客からの取引選択の操作入力を受け付けると、ステップS135の処理を実行する。取引処理制御部216は、操作入力の受け付けを待機する間は、ステップS132〜S134の処理を繰り返し実行する。
【0088】
[ステップS135] 取引処理制御部216は、入出力インタフェース210gを介して、カード処理ユニット230と、通帳処理ユニット240、硬貨処理ユニット250、紙幣処理ユニット260の各ユニットの状態の監視を停止する。
【0089】
[ステップS136] 監視停止フラグ設定部213は、HDDのログ情報の監視停止フラグをセットする。これにより、ログ情報監視部214は記憶装置群210cからのログ情報の監視を停止する。
【0090】
なお、次のステップS200で実行される取引処理時には、ログ情報監視部214はログ情報保持部211が保持するログ情報の監視を停止するものの、記憶装置制御部217は、HDD1,2における記録処理の処理状況に関する情報を、引き続き、ログ情報保持部211に対して保持させる。
【0091】
[ステップS200] 取引処理制御部216は、受け付けた取引に関する取引処理を実行する。
次いで、ATM200の取引処理(
図8のステップS200)の詳細について
図9を用いて説明する。
【0092】
なお、以下では、実行される取引処理の一例として、出金処理の場合を例に挙げて説明する。
図9は、第2の実施の形態におけるATMで実行される取引処理を示すフローチャートである。
【0093】
なお、
図9(A)は取引処理、
図9(B)は
図9(A)中で実行される出金取引照会処理、
図9(C)は
図9(A)中で実行される出金処理のフローチャートをそれぞれ表している。
【0094】
まず、取引処理として出金取引を実行する場合について
図9(A)を用いて説明する。
[ステップS210] 入力受付部212が、ホストコンピュータ300に対して、出金処理を実行するために必要な照会処理を実行する。
【0095】
[ステップS220] 取引処理制御部216は、硬貨処理ユニット250及び紙幣処理ユニット260を制御して、顧客から指定された金額を出金するための出金処理を実行する。
【0096】
[ステップS230] 取引処理制御部216は、出金処理に関する取引ジャーナル情報を記憶装置群210cのHDDに記憶する。
第2の実施の形態の場合には、取引処理制御部216は、取引ジャーナル情報を、RAIDが構成されていれば、HDD1,2に記憶する。
【0097】
[ステップS240] 取引処理制御部216は、出金処理を実行したログのATMの取引ログ情報を記憶装置群210cのHDDに記憶する。
第2の実施の形態の場合には、取引処理制御部216は、上記と同様に、ATMの取引ログ情報を、RAIDが構成されていれば、HDD1,2(または、HDD2,3)に記憶する。
【0098】
以上により、取引処理の一例として出金取引が実行される。
また、ATM200の取引処理(
図9(A)のステップS210)の出金取引照会処理について
図9(B)を用いて説明する。
【0099】
[ステップS211] 入力受付部212が、ステップS134(
図8)で受け付けた、選択された取引が出金取引であることを判定する。
[ステップS212] 取引処理制御部216は、カード挿入/排出口40aから顧客によりキャッシュカードが挿入されたカード処理ユニット230に当該キャッシュカードの磁気の読み取りを実行させて、キャッシュカードの識別情報を取得する。
【0100】
[ステップS213] 取引処理制御部216は、顧客による入力検知部220bに対する暗証番号の操作入力を入力受付部212から受け付ける。
[ステップS214] 取引処理制御部216は、顧客による入力検知部220bに対する出金金額の操作入力を入力受付部212から受け付ける。
【0101】
[ステップS215] 取引処理制御部216は、ステップS212〜S214で取得した識別情報と、暗証番号、出金金額と共に、照会要求をホストコンピュータ300に送信する。
【0102】
なお、ホストコンピュータ300では、ATM200からの照会要求に応じて、キャッシュカードの識別情報と暗証番号との照会を実行する。
[ステップS216] 取引処理制御部216は、ホストコンピュータ300から照会結果、出金許可応答の受信を待ち受ける。
【0103】
取引処理制御部216は、ホストコンピュータ300から出金許可応答を受信すると、出金取引照会処理を終了する。
この後、ATM200は、ステップS220の処理を実行する。
【0104】
次いで、ATM200の取引処理(
図9(A)のステップS220)の出金処理について
図9(C)を用いて説明する。
[ステップS221] 取引処理制御部216は、顧客から受け付けた出金金額に対応する硬貨・紙幣の計数を硬貨処理ユニット250及び紙幣処理ユニット260に実行させる。
【0105】
[ステップS222] 取引処理制御部216は、ステップS221で計数した硬貨・紙幣を硬貨処理ユニット250及び紙幣処理ユニット260から放出させ、また、キャッシュカードをカード処理ユニット230から放出させる。
【0106】
[ステップS223] 取引処理制御部216は、出金完了通知をホストコンピュータ300に送信する。
[ステップS224] 取引処理制御部216は、ホストコンピュータ300から出金完了を確認した旨の出金確認応答の受信を待ち受ける。
【0107】
取引処理制御部216は、ホストコンピュータ300から出金確認応答を受信すると、出金処理を終了する。
この後、ATM200は、ステップS230の処理を実行する。
【0108】
以上のように、ATM200では、ATM動作処理(
図6)では、HDD監視処理(
図7)並びに自動取引実行処理(
図8,
図9)が実行される。
上記ATM200では、ログ情報監視部214により、HDD1,2で記憶処理機構1b,2bが磁気記憶媒体10a,20aに実行した記憶処理の処理状況が監視されて、電源切替部215により、ログ情報監視部214が監視した処理状況に基づき、処理状況に対応する記憶処理を実行したHDD1(またはHDD2)に対する電源供給をオフにして無効にするようにした。即ち、これから故障する恐れがあるHDD1(またはHDD2)を、実際に故障してしまう前に事前にATM200からシステム的に切り離すことが可能となる。このため、ATM200では、金融取引の実行に伴って発生する情報を故障する恐れがないHDD1(または、HDD2)のみにて記憶処理機構1b(または、記憶処理機構2b)から磁気記憶媒体10a(または、磁気記憶媒体20a)に書き込ませることで、書き込み時間の増加を防止することができるようになる。したがって、ATM200に対して取引を利用している顧客と共に、当該顧客の後続の顧客の待機時間の増加を防止することもできるようになる。
【0109】
さらに、上記ATM200では、補助的にHDD3を設置することで、電源切替部215により、HDD1に対する電源供給の停止後、HDD3に対する電源供給が開始され、記憶装置制御部217により、HDD2が記憶する情報に基づきHDD3のリビルドが実行されるようにした。これにより、ATM200において、RAIDが継続して維持されるようになり、ATM200に保持する情報の信頼性を維持することができるようになる。なお、本実施例では、書き込み処理で説明を行ったが、読み出し処理においても、同様に対応することが可能である。
【0110】
また、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、コンピュータが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0111】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記憶媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。光磁気記憶媒体には、MO(Magneto - Optical disk)等がある。半導体メモリには、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のフラッシュメモリがある。
【0112】
上記プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータに格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0113】
上記プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム若しくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0114】
また、プログラムで記述された処理の一部または全てを、電子回路に置き換えることが可能である。例えば、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0115】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。