(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の湾曲部が受動的に最大湾曲角度にて湾曲された際の前記第2の湾曲部の外接円半径の2倍の値は、20mm〜30mmに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の胆道内視鏡システム。
前記第2の挿入部の前記挿入方向の基端に操作部が連設されているとともに、前記操作部に前記第2の湾曲部を湾曲させる湾曲操作部材と、該湾曲操作部材の操作量を規定するストッパが設けられており、
前記操作部に設けられた前記ストッパによって前記湾曲操作部材の最大操作量が規定されていることにより、前記第2の湾曲部の能動的な湾曲角度が、0°〜90°に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の胆道内視鏡システム。
前記第2の湾曲部は、前記第2の内視鏡によって得られる観察画像における上下方向のいずれかに湾曲自在であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の胆道内視鏡システム。
前記第2の湾曲部は、前記第2の内視鏡によって得られる観察画像における上方向に湾曲自在であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の胆道内視鏡システム。
前記第1の内視鏡は、前記第1の挿入部の前記先端の側面に、前記開口が設けられるとともに被検体内を観察する観察光学系が設けられた前記挿入方向に対して側方を観察する側視型内視鏡であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の胆道内視鏡システム。
前記第1の挿入部の前記先端における前記チャンネルに、該チャンネルにおける前記第2の挿入部の進行方向を、前記開口側へと変更する起上台が設けられていることを特徴とする請求項8または9に記載の胆道内視鏡システム。
【背景技術】
【0002】
膵胆管系にある疾患部位を、第1の挿入部を有するとともに、該第1の挿入部の挿入方向の先端側(以下、単に先端側と称す)に位置する先端部の側面に観察光学系及びチャンネル開口が設けられた第1の内視鏡である側視型内視鏡と、該側視型内視鏡のチャンネルに挿抜自在である第2の挿入部を有する第2の内視鏡である胆道鏡とを具備した胆道内視鏡システムを用いて観察、処置することが行われている。
【0003】
また、膵管、胆管の観察、処置に際しては、膵管、胆管には、胆道鏡の小径な、例えば3mm〜4mmの外径を有する第2の挿入部が挿入される。これは、膵管、胆管は、5mm〜10mmと非常に細い管故、側視型内視鏡の、例えば15mmの外径を有する第1の挿入部を、直接これらの管に挿入することは困難なためである。
【0004】
このように、側視型内視鏡と、該側視型内視鏡のチャンネルに挿抜自在な胆道鏡とを用いて、膵胆管内の観察、処置を行う胆道内視鏡システムの構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
ここで、特許文献1に開示された胆道内視鏡システムを用いて、例えば胆管の観察を行う際は、先ず、作業者は、被検者に対し、第1の挿入部を、該第1の挿入部の先端部が十二指腸乳頭付近に位置するまで経口的に挿入して、側視型内視鏡の観察光学系によって乳頭を捉えた後、側視型内視鏡の操作部に設けられた操作部側のチャンネル開口からチャンネルに第2の挿入部を挿入する。
【0006】
次いで、作業者は、第2の挿入部の挿入方向の先端側(以下、単に先端側と称す)を、第1の挿入部の先端部のチャンネル開口から、先端部内においてチャンネルに設けられた処置具起上台を用いて十二指腸内に突出させる。
【0007】
その後、作業者は、第2の挿入部の先端側に設けられた第2の湾曲部を湾曲させたり、処置具起上台の起上角度を可変させたり、第1の挿入部の先端側に設けられた第1の湾曲部を湾曲させたり、第2の挿入部のチャンネル開口からの突出量を増やしたりする等により、第2の挿入部の先端側を、乳頭を介して胆管内に挿入する。
【0008】
最後に、作業者は、胆管内に挿入された第2の挿入部の先端側に位置する先端部に設けられた観察光学系を用いて胆管内の観察を行う。尚、以上の挿入作業は、第2の挿入部を、乳頭を介して膵管内へと挿入する場合であっても同様である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態の胆道内視鏡システムの構成を示す図、
図2は、
図1の胆道鏡を拡大して示す斜視図、
図3は、
図1中のIII-III線に沿う胆道内視鏡システムの部分断面図を、十二指腸内に挿入した状態で示す図である。尚、
図3においては、胆道鏡の第2の挿入部の第2の湾曲部は、複数の湾曲駒が外部に露出されるよう剥き出しに示しているとともに、先端部も省略して示している。また、チャンネルチューブやアングルワイヤなどの内蔵物も省略して示している。
【0021】
図1に示すように、胆道内視鏡システム100は、第1の内視鏡である側視型内視鏡101と、第2の内視鏡である胆道鏡1とにより主要部が構成されている。
【0022】
側視型内視鏡101は、平均略30mmの径t1を有する十二指腸50(
図3参照)まで経口的に挿入される、例えば外径Mが15mmに形成された挿入方向Sに沿って細長な第1の挿入部102と、該第1の挿入部102の挿入方向Sの基端(以下、単に基端と称す)に連設された操作部103と、該操作部103から延出するユニバーサルコード105と、該ユニバーサルコード105の延出端に設けられた図示しないコネクタとを具備している。また、側視型内視鏡101は、コネクタが、図示しない画像処理装置及び光源装置等に接続自在なことにより、側視型内視鏡101の外部装置に接続自在となっている。
【0023】
第1の挿入部102は、先端側から順に、硬質な先端部111と、該先端部111の基端に連設された第1の湾曲部112と、該第1の湾曲部112の基端に連設された可撓管部113とを具備して主要部が構成されている。
【0024】
先端部111の外周側面111gの一部には、切り欠き111cが形成されており、該切り欠き111cには、被検体内を観察する図示しない観察光学系が設けられている。また、先端部111内には、上述した観察光学系を具備する図示しない撮像ユニットが設けられている。このことにより、側視型内視鏡101は、挿入方向Sに対して側方が観察可能となっている。
【0025】
また、切り欠き111cには、第1の挿入部102内に設けられた内径Hを有するチャンネル110の挿入方向Sの先端(以下、単に先端と称す)の開口110kが形成されている。尚、チャンネル110の基端は、操作部103に設けられた処置具挿入口118において開口されている。
【0026】
さらに、
図3に示すように、先端部111内に位置するチャンネル110において、開口110kに臨む位置に、チャンネル110内を挿入方向Sの前方に向かって進行する後述する第2の挿入部2の進行方向を、開口110k側へと変更する既知の処置具起上台120が設けられている。
【0027】
処置具起上台120は、端部120iが先端部111を構成する先端硬質部材に軸支されていることにより、所定の回動角度において昇降自在となっている。具体的には、処置具起上台120には、第1の挿入部102内に挿通されたワイヤ121の先端が固定されており、該ワイヤ121が操作部103に設けられた処置具起上台操作レバー108によって牽引弛緩されることにより、端部120iを回動軸として昇降自在となっている。
【0028】
第1の湾曲部112は、
図3に示すように、挿入方向Sに沿って複数の湾曲駒131が連結されることにより、複数方向、例えば上下左右の4方向に、操作部103に設けられた湾曲操作ノブ106、107によって湾曲自在となっている。
【0029】
具体的には、複数の湾曲駒131の内、挿入方向Sの最も先端側に位置する湾曲駒131には、第1の挿入部102内において、該挿入部102の周方向に略90°ずれて挿通された4本のワイヤ132(
図3では、2本のみ図示)の先端がそれぞれ接続されている。
【0030】
4本のワイヤ132の内、対向する左右湾曲用の2本のワイヤ132が、湾曲操作ノブ106によって牽引弛緩されることにより、第1の湾曲部112は、左右いずれかの方向の湾曲し、対向する上下湾曲用の2本のワイヤ132が、湾曲操作ノブ107によって牽引弛緩されることにより、第1の湾曲部112は、上下いずれかの方向の湾曲するよう構成されている。
【0031】
第1の湾曲部112は、湾曲に伴い、十二指腸50内への先端部111への挿入性を向上させる他、十二指腸50内において湾曲されることにより、開口110kから突出された胆道鏡1の後述する第2の挿入部2の先端部11及び第2の湾曲部12を、乳頭51(
図3参照)内に挿入させる際、用いられるものである。
【0032】
また、
図1に示すように、チャンネルには、処置具挿入口118を介して胆道鏡1の第2の挿入部2が挿抜自在となっている。
【0033】
図2に示すように、胆道鏡1は、例えば
図3に示すように外径2rが3mm〜4mmに形成された挿入方向Sに沿って細長な第2の挿入部2と、該第2の挿入部2の挿入方向の基端(以下、単に基端と称す)に連設された操作部3と、該操作部3から延出するユニバーサルコード5と、該ユニバーサルコードの延出端に設けられた図示しないコネクタとを具備している。また、胆道鏡1は、コネクタが、図示しない画像処理装置及び光源装置等に接続自在なことにより、胆道鏡1の外部装置に接続自在となっている。
【0034】
第2の挿入部2は、先端側から順に、硬質な先端部11と、該先端部11の基端に連設された第2の湾曲部12と、該第2の湾曲部12の基端に連設された可撓管部13とを具備して主要部が構成されている。
【0035】
第2の挿入部2は、上述したように、処置具挿入口118を介してチャンネル110に挿通自在となっており、挿入後、
図3に示すように、十二指腸50内において第2の挿入部2の先端部11(
図3では省略している)及び第2の湾曲部12は、先端部111の外周側面111gの切り欠き111cの開口110kから挿入方向Sの側方に突出され、十二指腸50の乳頭51内へと挿入されるものである。
【0036】
先端部11内には、被検体内、具体的には、十二指腸50及び5mm〜10mmの径t2を有する胆管55(
図5参照)内を観察する図示しない撮像ユニット等が設けられている。尚、撮像ユニットを構成する観察光学系は、先端部11の先端面に設けられている。
【0037】
第2の湾曲部12は、
図2に示すように、操作部3に設けられた、湾曲操作部材である湾曲操作レバー6により、複数方向、例えば胆道鏡によって得られる観察画像における上下の2方向に湾曲自在となっている。
【0038】
尚、第2の湾曲部12は、胆道鏡によって得られる観察画像における左右の2方向に湾曲自在であっても構わない。また、第2の湾曲部12は、胆道鏡によって得られる観察画像における上方向の1方向に湾曲自在であっても構わない。
【0039】
また、操作部3には、湾曲操作レバー6の操作量を規定する後述するストッパ8d、8uが設けられている。
【0040】
次に、第2の湾曲部12の構成について、
図3〜
図5を用いて説明する。
図4は、
図3の第2の湾曲部を構成する湾曲駒を抜き出して示す図、
図5は、胆管において
図3の第2の湾曲部を能動的に湾曲させた状態を示す図である。尚、
図3、
図5においては、先端部は省略して示している。
【0041】
図3に示すように、第2の湾曲部12は、複数の湾曲駒31が挿入方向Sに沿って連結されることにより、例えば上下の2方向に湾曲自在となっている。
【0042】
具体的には、挿入方向Sにおいて隣り合う湾曲駒31は、対向する2本のピン35によって挿入方向Sにおける端面同士が連結されることにより、より具体的には挿入方向Sの最も先端側に位置する第1の湾曲駒31の基端面と第1の湾曲駒31の挿入方向Sの後方(以下、単に後方と称す)に位置する第2の湾曲駒31の先端面とが連結され、第2の湾曲駒31の基端面と第2の湾曲駒31の後方に位置する第3の湾曲駒31の先端面とが連結され・・・のように複数連結されることにより2方向に湾曲自在となっている。
【0043】
尚、複数の湾曲駒31の外周には、図示しない湾曲カバーが被覆されているが、
図3においては省略して示している。
【0044】
また、複数の湾曲駒31の内、最も先端側に位置する湾曲駒31には、第2の挿入部2内において、該第2の挿入部2の周方向に180°異なって挿通された図示しない2本のワイヤの挿入方向の先端(以下、単に先端と称す)が固定されており、該各ワイヤが操作部3に設けられた湾曲操作レバー6が回動操作されることによって牽引弛緩されることにより、第2の湾曲部12は、能動的に上下の2方向に湾曲自在となっている。
【0045】
また、第2の湾曲部12が能動的に湾曲自在な角度は、0°〜90°に設定されている。尚、第2の湾曲部12の能動的な湾曲角度は、
図5に示すように、第2の湾曲部12が非湾曲状態の際の挿入方向Sに平行な第2の湾曲部12の中心軸Jに対する、第2の湾曲部12が湾曲された際の第2の湾曲部12の中心軸Jの傾斜角度によって、例えばθ1やθ2のように規定される。
規定される。
【0046】
さらに、第2の湾曲部12は、
図3に示すように、開口110kから十二指腸50内に突出された際、十二指腸50の腸壁等に接触される等によって外力が付与されることに伴い受動的に湾曲自在となっている。
【0047】
また、第2の湾曲部12が受動的に湾曲できる最大湾曲角度は、180°〜210°に設定されている。尚、第2の湾曲部12の受動的な湾曲角度は、
図3に示すように、複数の湾曲駒31の内、最も先端側に位置する湾曲駒31の先端面が、チャンネルにおいて挿入方向Sの前方を指向する角度を0°と規定し、先端面が処置具起上台120により挿入方向Sに直交する側方を指向する角度を90°と規定し、先端面が第2の湾曲部12の湾曲に伴い後方を指向する角度を180°と規定し、先端面が第2の湾曲部12の湾曲に伴い後方から所定の角度、例えば30°第1の湾曲部112側を指向する角度を210°と規定する。
【0048】
さらに、
図3に示すように、第2の湾曲部12が180°〜210°の間において受動的に最大湾曲された際の第2の湾曲部12の外接円半径R2の2倍の値2R2は、20mm〜30mmに設定されている。即ち、外接円半径R2の値は、10mm〜15mに設定されている。
【0049】
尚、以下、第2の湾曲部12が受動的に湾曲できる最大湾曲角度を、180°〜210°に設定するための構成を説明する。
【0050】
図3、
図4に示すように、先ず、第1の挿入部102のチャンネル110の径をHとし、第2の挿入部2の半径をrとした場合、第2の挿入部2の外径2rは、チャンネル110の径よりも小さくなっている必要がある(2r<H、即ち、r<H/2)。
【0051】
また、第2の湾曲部12の受動的な最大湾曲角度を180°〜210°とするため、各湾曲駒31の挿入方向Sの各端面に形成された傾斜面31kの挿入方向Sの高さをkとし、複数の湾曲駒31における傾斜面31kの総数をn(nは、3以上の整数)とした場合、k=r×tan(180°〜210°/n)と規定される。
【0052】
これは、
図4から、
tanθ=k/rであり、
θ=tan
−1(k/r)
n・θ=180°〜210°であることから、
n・tan
−1(k/r)=180°〜210°となり、
tan
−1(k/r)=(180°〜210°)/n
k/r=tan((180°〜210°)/n)によって導かれる。
【0053】
さらに、複数の湾曲駒31の内、挿入方向Sにおいて隣り合う湾曲駒31間を連結するピン35の挿入方向Sにおける間隔をPとした場合、
図4に示すように、k=P×r/(2(10〜15)−r)と規定される。
【0054】
これは、ピン35間を挿入方向に繋ぐ直線に接する円の曲率R0は、湾曲前後で長さが変わらず、R0=(P/2)/tanθ=P/2tanθと規定でき、外接円半径R2は、R2=r+R0=(P/2tanθ)+rで規定でき、さらに、
図4から、外接円半径R2の2倍の値が2R2=20mm〜30mmに設定されていることから、即ち、外接円半径R2は、10mm〜15mmに設定されていることから、
(P/2tanθ)+r=10〜15
P/2tanθ=((10〜15)−r)
2tanθ((10〜15)−r)=P
tanθ=P/2((10〜15)−r)
k/r=P/2((10〜15)−r)によって導かれる。
【0055】
即ち、上述した、r<H/2、k=r×tan(180°〜210°/n)、k=P×r/(2(10〜15)−r)の3つの条件を満たすことにより、第2の湾曲部12が受動的に湾曲できる最大湾曲角度を、180°〜210°に設定することができる。
【0056】
言い換えれば、第2の湾曲部12は、該第2の湾曲部12を構成する複数の湾曲駒31が、上述した3つの条件を満たす形状に形成されていることにより、第2の湾曲部12が受動的に湾曲できる最大湾曲角度が、180°〜210°に設定されている。
【0057】
尚、本実施の形態においては、第2の湾曲部12が受動的に180°〜210°まで湾曲できるにも関わらず、第2の湾曲部12は、能動的に0°〜90°までしか湾曲できなくなっている。
【0058】
上述したように、第2の湾曲部12は、操作部3に設けられた湾曲操作レバー6が回動操作されることによって、挿入部2内に挿通されたワイヤが牽引弛緩されることにより能動的に上下の2方向に湾曲自在となっていることから、構造的には、能動的にも第2の湾曲部12は、0°〜210°の間において湾曲自在なはずである。
【0059】
しかしながら、
図2に示すように、操作部3において、湾曲操作レバー6の回動操作領域に、ストッパ8u、8dがそれぞれ設けられていることから、湾曲操作レバー6の回動は、ストッパ8u、8dの間でのみしか行うことができなくなっている。
【0060】
即ち、ストッパ8u、8dによって湾曲操作レバー6の最大操作量が規定されていることから、湾曲操作レバー6は、90°以上第2の湾曲部12が湾曲する位置まで回動できなくなっているため、言い換えれば、湾曲操作レバー6は、0°〜90°の間でのみ第2の湾曲部12が湾曲できる位置までしか回動操作できないため、必然的に、湾曲操作レバー6によってワイヤが牽引されることにより湾曲する第2の湾曲部12も能動的に0°〜90°の間でのみ湾曲するよう構成されている。尚、ストッパ8u、8dは、本実施の形態では操作部3の外側に設けられているが、これらストッパ8u、8dを操作部3の内部に配置しても良いことは勿論である。
【0061】
また、
図3の実線に示すように、第2の湾曲部12が受動的に、例えば210°湾曲された後、挿入部2の先端側を乳頭51内に挿入するには、先ず、作業者は、第1の挿入部102の先端側を十二指腸50内において移動させることにより、または第2の湾曲部12の開口110kからの突出量を少なくする等により、第2の湾曲部12の受動湾曲角度を90°〜180°程度まで小さくした後、第1の湾曲部112の湾曲操作や、処置具起上台120の起上操作を行うことにより、側視型内視鏡101の観察視野内において、第2の挿入部2に対し、被検体外から押し込み操作を行いながら、第2の挿入部の先端側を乳頭51内に挿入させる。
【0062】
このように、本実施の形態においては、第2の湾曲部12が受動的に湾曲できる最大湾曲角度が、180°〜210°に設定されていると示した。
【0063】
このことによれば、
図3に示すように、平均略30mmの径t1を有する十二指腸50内において、第1湾曲部112が非湾曲状態において、開口110kから第2の湾曲部12が突出され、受動湾曲された際、
図3の実線に示すように、第2の湾曲部12は180°以上の大きな角度で受動湾曲することができることから、第2の湾曲部12が十二指腸50の腸壁に引っ掛かってしまうことがない。
【0064】
ここで、
図3の2点鎖線に示すように、第2の湾曲部12が受動的に湾曲できる最大湾曲角度が180°未満の場合においては(
図3では180°弱)、外接円半径R2’(R2’>r2)を第2の湾曲部12が有する場合、第1湾曲部112が非湾曲状態において、開口110kから第2の湾曲部12が突出され、受動湾曲されると、第2の湾曲部12の先端が十二指腸50の腸壁に引っ掛かってしまう。
【0065】
よって、この場合、第1の湾曲部112及び処置具起上台120を用いて、第2の挿入部2の先端側を乳頭51内へと挿入する際、腸壁への第2の湾曲部12の引っ掛かりを解除するまたは引っ掛かり自体を防ぐため、第1の湾曲部112に対して湾曲操作を精度良く行うまたは、処置具起上台120の起上操作を精度良く行わなければならず、これらの操作は熟練を要する他、煩雑であった。
【0066】
しかしながら、本実施の形態のように、第2の湾曲部12が受動的に湾曲できる最大湾曲角度が、180°〜210°に設定されていれば、
図3の実線に示すように、第2の湾曲部12が十二指腸50の腸壁から外力を受けて受動的に湾曲しても、腸壁に引っ掛かってしまうことがないため、開口110kから第2の挿入部2の先端側が十二指腸50内に突出させた状態において、第2の湾曲部12が外力を受けて受動湾曲したとしても、第1の湾曲部112を湾曲させる操作を行うまたは処置具起上台120の起上操作を行うことにより、容易に挿入部2の先端側を乳頭51内へと挿入することができる。
【0067】
また、本実施の形態においては、第2の湾曲部12が180°〜210°の間において受動的に最大湾曲された際の第2の湾曲部12の外接円半径R2の2倍の値2R2は、20mm〜30mに設定されていると示した。
【0068】
このことによれば、平均略30mmの径t1を有する十二指腸50内において、第1湾曲部112が非湾曲状態において、開口110kから第2の湾曲部12が突出され、該第2の湾曲部12が、例えば210°受動湾曲された際、
図3の実線に示すように、外接円半径R2=10mm〜15mmとなることから、即ち、開口110kから第2の湾曲部12の乳頭51方面への飛び出し量は、10〜15mmとなる。
【0069】
また、第1の挿入部102の外径Mは、15mmとなっているため、外径M(15mm)+飛び出し量(外接円半径R2)(10mm〜15mm)<t1(30mm)となることから、開口110kから突出された第2の湾曲部12は、確実に平均略t1=30mmの径t1を有する十二指腸50内に収まる。よって、受動湾曲後の第2の湾曲部12の湾曲形状に起因して、第2の挿入部2の先端側が乳頭51内に挿入し難くなってしまうことが防止される。
【0070】
さらに、本実施の形態においては、第2の湾曲部12が能動的に湾曲自在な角度は、0°〜90°に設定されていると示した。
【0071】
このことによれば、
図5に示すように、挿入部2の先端側を、乳頭51を介して、例えば胆管55内に挿入した際、
図5の2点鎖線に示すように、第2の湾曲部12の湾曲角度θ2が能動的に90°以上となるよう湾曲できる場合では、本願のような
図5の実線に示すように、湾曲角度θ1が能動的に0°〜90°までしか湾曲できない場合と比して、湾曲操作レバー6が同じ操作量であっても、第2の湾曲部12が本願よりも大きくかつ急激に湾曲してしまうため、胆道鏡1の視野方向が大きく変化してしまうことから、径t2=5mm〜10mmといった非常に小径な胆管55内において、疾患部位を見失ってしまう可能性があった。
【0072】
しかしながら、本願のように、第2の湾曲部12は、0°〜90°までしか能動的に湾曲できなければ、湾曲操作レバー6の操作量に対し、第2の湾曲部12の湾曲量は小さくなるため、小径な胆管55内であっても第2の湾曲部12の湾曲に伴い、胆道鏡1の視野方向が大きく変化してしまうことがないことから、疾患部位が見つけやすくなる。尚、以上のことは、挿入部2の先端側を膵管内に挿入する場合であっても同じである。
【0073】
以上から、胆道鏡1の第2の挿入部2を乳頭51内に挿入しやすく、また挿入後の第2の挿入部2によって膵胆管内の観察が行いやすい構成を有する胆道内視鏡システム100を提供することができる。
【0074】
図6は、従来の溝形状を有する処置具起上台を第1の挿入部に具備する側視型内視鏡と、胆道鏡の第2の挿入部とによる胆道内視鏡システムの部分断面図、
図7は、本構成における溝形状を有する処置具起上台を第1の挿入部に具備する側視型内視鏡と、胆道鏡の第2の挿入部とによる胆道内視鏡システムの部分断面図である。
【0075】
尚、
図6、
図7においても、胆道鏡の第2の挿入部の第2の湾曲部は、複数の湾曲駒が外部に露出されるよう剥き出しに示しているとともに、先端部は省略して示している。
【0076】
ところで、上述したように、側視型内視鏡101の第1の挿入部102内のチャンネル110に胆道鏡1の挿入部2を処置具挿入口118から挿入し、挿入部2の先端側を、開口110kから突出させる際、
図6に示すように、挿入部2の先端側は、処置具起上台120の誘導面の溝120mを通過する。
【0077】
尚、溝120mは、処置具起上台120における胆道鏡1や他の処置具が接触する誘導面において、胆道鏡1や他の処置具が通過しやすいように形成されたものであり、R形状を有して形成されている。
【0078】
しかしながら、
図6に示すように、溝120mの曲率半径R1が、第2の湾曲部12が最大湾曲した際の外接円半径R4’よりも小さいと(R1<R4’)、第2の湾曲部12または第2の挿入部2の先端部11が溝120mに対して、
図6の1点鎖線で囲った部位Vにおいて引っ掛かりやすくなってしまい、処置具起上台120に対する第2の挿入部2の先端側の通過性が低下する他、第2の湾曲部12の外表面を構成する湾曲カバーが損傷してしまうといった問題があった。
【0079】
このような問題に鑑み、本構成では、
図7に示すように、溝120mの曲率半径R1が、第2の湾曲部12が最大湾曲した際の外接円半径R4よりも大きくなるよう溝120mが形成されている(R1>R4)。
【0080】
このような構成によれば、第2の湾曲部12を湾曲させると、溝120mに第2の湾曲部12や、先端部11が引っ掛かり難くなることから、処置具起上台120に対する第2の挿入部2の先端側の通過性が向上する他、第2の湾曲部12の外表面を構成する湾曲カバーの損傷を防ぐことができる。
【0081】
図8は、胆道鏡の第2の挿入部の先端側の外周にバルーンを設ける構成を、胆管内にて概略的に示す図である。
【0082】
ところで、通常、胆管55内の胆石45を取り出す際は、側視型内視鏡101の第1の挿入部102のチャンネル110を介して、胆管55内に既知のバルーンカテーテルを挿入して行うが、この作業は、X線透視下において、X線観察画像を見ながら作業者は行わなければならず、作業性が悪い他、作業者が被爆してしまうといった問題があった。
【0083】
このような問題に鑑み、本構成では、
図8に示すように、胆道鏡1の第2の挿入部2の先端側、例えば先端部11に外周に、膨張収縮自在なバルーン40が設けられている。尚、バルーン40は、挿入部2内に設けられた吸排気チャンネル41を介して、操作部3またはユニバーサルコード5の延出端の図示しないコネクタに接続された吸排気装置からエアが送気または排気されることにより、膨張収縮自在となっている。
【0084】
このような構成によれば、胆石45を胆道鏡1の挿入部2の先端部11の先端面に設けられた図示しない観察光学系で観察しながら、バルーン40を膨張させ胆管55の壁面に当接させた状態で、第2の挿入部2の先端側を乳頭51の方向へと移動させることにより、バルーン40によって胆管55から胆石45を容易に掻き出すことができる。
【0085】
また、胆石45の取り出し作業を、X線観察下において行う必要がないことから、作業者の被爆を防ぐことができる他、上述のようにバルーンカテーテル等の処置具が不要となり、第2の挿入部2に対してバルーン40を交換するのみで胆石45の取り出し作業を経済的に行うことができる。
【0086】
さらに、通常、第2の挿入部2の先端側を乳頭51内に挿入する際、乳頭51からの抵抗力により、挿入作業が行い難いといった問題があったが、
図9に示すように、第2の挿入部2の先端部11の先端面の角部に、ローラ43が設けられておれば、該ローラ43が回動に伴い乳頭51から受ける抵抗力を低減させることができるため、乳頭51内への挿入性が向上する。