【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記式(I)で表される縮合へテロ環誘導体が、優れたキサンチンオキシダーゼ阻害活性を示し、血清尿酸値を顕著に低下させることから、新規な血清尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療薬となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0018】
即ち、本発明は、
〔1〕式(I):
【化1】
〔式中、
環Uは、C
6−10アリール又は5又は6員環ヘテロアリール;
mは、1〜2の整数(mが2であるとき、2つのR
1は互いに同一でも異なっていてもよい);
R
1は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ、又はフッ素原子を有していてもよいC
1−6アルキル;
環Qは、5員環へテロアリール;
nは、1〜3の整数(nが2又は3であるとき、これらのR
2は、互いに同一でも異なっていてもよい);
R
2は、以下の(1)〜(8):
(1)水素原子;
(2)ハロゲン原子;
(3)水酸基;
(4)アミノ;
(5)シアノ;
(6)カルボキシ;
(7)カルバモイル;
(8)それぞれ独立して置換基群Aから選択される任意の基を有していてもよい以下の基:C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
1−6アルコキシ、モノ又はジC
1−6アルキルアミノ、C
2−7アシル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
2−7アシルアミノ、C
2−7アシル(C
1−6アルキル)アミノ、モノ又はジC
1−6アルキルカルバモイル、C
1−6アルキルスルホニル、C
1−6アルキルスルホニルアミノ、C
1−6アルキルスルホニル(C
1−6アルキル)アミノ、モノ又はジC
1−6アルキルスルファモイル、C
1−6アルキルチオ、C
3−8シクロアルキル、3〜8員環へテロシクロアルキル、C
5−8シクロアルケニル、5〜8員環へテロシクロアルケニル、C
3−8シクロアルキルオキシ、C
3−8シクロアルキルC
1−6アルコキシ、モノ又はジC
3−8シクロアルキルアミノ、C
3−8シクロアルキル(C
1−6アルキル)アミノ、C
6−10アリール、5又は6員環ヘテロアリール、C
6−10アリールオキシ、C
6−10アリールC
1−6アルコキシ、C
6−10アリールアミノ、C
6−10アリール(C
1−6アルキル)アミノ、C
6−10アリールカルボニル、C
6−10アリールカルボニルアミノ、C
6−10アリールカルボニル(C
1−6アルキル)アミノ、5又は6員環ヘテロアリールオキシ、5又は6員環ヘテロアリールC
1−6アルコキシ、5又は6員環ヘテロアリールアミノ又は5又は6員環ヘテロアリール(C
1−6アルキル)アミノ;の何れかであり;
置換基群Aは、フッ素原子、塩素原子、水酸基、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、シアノ、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ及びモノ又はジC
1−6アルキルアミノ;である。〕で表される縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
【0019】
〔2〕環Qが、フラン環、ピロール環又はチオフェン環である前記〔1〕記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
〔3〕式(I)で表される縮合ヘテロ環誘導体が、式(Ia)〜(Ic):
【化2】
〔式中、
Yは、硫黄原子又は酸素原子;
R
1aは、水素原子、フッ素原子、水酸基又はC
1−6アルキル;
R
2a及びR
2bは、それぞれ独立して、以下の(a1)〜(a3):
(a1)水素原子;
(a2)ハロゲン原子;
(a3)それぞれ置換基群Aから選択される任意の基を有していてもよい以下の基:C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、モノ又はジC
1−6アルキルアミノ、C
2−7アシル、C
1−6アルコキシカルボニル、モノ又はジC
1−6アルキルカルバモイル、C
3−8シクロアルキル、3〜8員環へテロシクロアルキル、C
3−8シクロアルキルオキシ、モノ又はジC
3−8シクロアルキルアミノ、C
6−10アリール又は5又は6員環ヘテロアリール;の何れかであり;
環U及び置換基群Aは、前記〔1〕と同じ意味;である。〕の何れかで表される化合物である、前記〔2〕記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
【0020】
〔4〕Yが、硫黄原子;である前記〔3〕記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
〔5〕環Uが、ベンゼン環、ピリジン環又はチアゾール環である前記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
〔6〕式:
【化3】
で表される基が、式:
【化4】
〔式中、
R
1bは、水素原子又は水酸基;
R
1cは、水素原子又はメチル;である。〕の何れかで表される基である前記〔5〕記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
【0021】
〔7〕式:
【化5】
で表される基が、式:
【化6】
〔式中のR
1bは、前記〔6〕と同じ意味;である。〕
で表される基である前記〔6〕記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
〔8〕R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して以下の(b1)〜(b3):
(b1)水素原子;
(b2)ハロゲン原子;
(b3)それぞれフッ素原子を有していてもよい以下の基:C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、モノ又はジC
1−6アルキルアミノ、C
1−6アルコキシカルボニル、モノ又はジC
1−6アルキルカルバモイル、C
3−8シクロアルキル、3〜8員環へテロシクロアルキル、C
6−10アリール又は5又は6員環ヘテロアリール;の何れかである前記〔3〕〜〔7〕の何れかに記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
【0022】
〔9〕R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はフッ素原子を有していてもよいC
1−6アルキル;である前記〔8〕記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
〔10〕R
1a又はR
1bが、水酸基(なお、R
1a又はR
1bが水酸基とは、定義中、R
1aが用いられている場合は、R
1aが水酸基、R
1bが用いられている場合は、R
1bが水酸基であることを意味する。);
R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して、水素原子又はメチル;である前記〔9〕記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩;
〔11〕前記〔1〕〜〔10〕の何れかに記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物;
【0023】
〔12〕高尿酸血症、痛風結節、痛風関節炎、高尿酸血症による腎障害及び尿路結石から選択される疾患の予防又は治療用である、前記〔11〕記載の医薬組成物;
〔13〕高尿酸血症の予防又は治療用である、前記〔12〕記載の医薬組成物;
〔14〕血清尿酸値低下薬である、前記〔12〕記載の医薬組成物;
〔15〕尿酸生成抑制薬である、前記〔12〕記載の医薬組成物;
〔16〕前記〔1〕〜〔10〕の何れかに記載の縮合ヘテロ環誘導体もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤;等に関するものである。
【0024】
本発明において各用語は、特に断らない限り、以下の意味を有する。
【0025】
「C
1−6アルキル」とは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基をいい、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
「C
2−6アルケニル」とは、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルケニル基をいい、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル等が挙げられる。
「C
2−6アルキニル」とは、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキニル基をいい、例えば、エチニル、2−プロピニル等が挙げられる。
「C
1−6アルコキシ」とは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基をいい、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
「モノ又はジC
1−6アルキルアミノ」とは、上記C
1−6アルキルでモノ又はジ置換されたアミノ基をいう。
「C
2−7アシル」とは、(C
1−6アルキル)−C(O)−で表される基をいい、アセチル、プロピオニル等が挙げられる。
「C
1−6アルコキシカルボニル」とは、(C
1−6アルコキシ)−C(O)−で表される基をいい、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。
「C
2−7アシルアミノ」とは、(C
1−6アルキル)−C(O)NH−で表される基をいう。
「C
2−7アシル(C
1−6アルキル)アミノ」とは、上記C
2−7アシルと上記C
1−6アルキルで置換されたアミノ基をいう。
「モノ又はジC
1−6アルキルカルバモイル」とは、上記C
1−6アルキルでモノ又はジ置換されたカルバモイル基をいう。
「C
1−6アルキルスルホニル」とは、(C
1−6アルキル)−SO
2−で表される基をいい、メタンスルホニル、エタンスルホニル、プロパンスルホニル、ブタンスルホニル等が挙げられる。
「C
1−6アルキルスルホニルアミノ」とは、(C
1−6アルキル)−SO
2−NH−で表される基をいい、メタンスルホニルアミノ、エタンスルホニルアミノ、プロパンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミノ等が挙げられる。
「C
1−6アルキルスルホニル(C
1−6アルキル)アミノ」とは、上記C
1−6アルキルスルホニルと上記C
1−6アルキルで置換されたアミノ基をいう。
「モノ又はジC
1−6アルキルスルファモイル」とは、上記C
1−6アルキルでモノ又はジ置換されたスルファモイル基をいう。
「C
1−6アルキルチオ」とは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキルチオ基をいい、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。
「C
3−8シクロアルキル」とは、3〜8員環の飽和環状炭化水素基をいい、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。
【0026】
「3〜8員環ヘテロシクロアルキル」とは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を1〜2個環内に含む3〜8員環のヘテロシクロアルキル基をいい、2−ピロリジニル、4−ピペリジル、2−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロピラニル等が挙げられる。
「C
5−8シクロアルケニル」とは、5〜8員環のシクロアルケニル基をいい、シクロペンテニル、シクロへキセニル等が挙げられる。
「5〜8員環へテロシクロアルケニル」とは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を1〜2個環内に含む5〜8員環のヘテロシクロアルケニル基をいい、2,3−ジヒドロフリル、2,5−ジヒドロフリル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル等が挙げられる。
「C
3−8シクロアルキルオキシ」とは、(C
3−8シクロアルキル)−O−で表される基をいい、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロへキシルオキシ等が挙げられる。
「C
3−8シクロアルキルC
1−6アルコキシ」とは、上記C
3−8シクロアルキルで置換された上記C
1−6アルコキシ基をいう。
「モノ又はジC
3−8シクロアルキルアミノ」とは、上記C
3−8シクロアルキルでモノ又はジ置換されたアミノ基をいう。
「C
3−8シクロアルキル(C
1−6アルキル)アミノ」とは、上記C
3−8シクロアルキルと上記C
1−6アルキルで置換されたアミノ基をいう。
「C
6−10アリール」とは、フェニル、ナフチルをいう。
「5又は6員環へテロアリール」とは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される任意のヘテロ原子を1〜4個環内に含む5又は6員環の芳香族複素環基をいい、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル等が挙げられる。
「5員環へテロアリール」とは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される任意のヘテロ原子を1〜3個環内に含む5員環の芳香族複素環基をいい、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール等が挙げられる。
「C
6−10アリールオキシ」とは、(C
6−10アリール)−O−で表される基をいい、フェニルオキシ等が挙げられる。
【0027】
「C
6−10アリールC
1−6アルコキシ」とは、上記C
6−10アリールで置換された上記C
1−6アルコキシ基をいう。
「C
6−10アリールアミノ」とは、(C
6−10アリール)−NH−で表される基をいう。
「C
6−10アリール(C
1−6アルキル)アミノ」とは、上記C
6−10アリールと上記C
1−6アルキルで置換されたアミノ基をいう。
「C
6−10アリールカルボニル」とは、(C
6−10アリール)−C(O)−で表される基をいい、ベンゾイル基等が挙げられる。
「C
6−10アリールカルボニルアミノ」とは、(C
6−10アリール)−C(O)NH−で表される基をいう。
「C
6−10アリールカルボニル(C
1−6アルキル)アミノ」とは、上記C
6−10アリールカルボニルと上記C
1−6アルキルで置換されたアミノ基をいう。
「5又は6員環へテロアリールオキシ」とは、(5又は6員環へテロアリール)−O−で表される基をいう。
「5又は6員環へテロアリールC
1−6アルコキシ」とは、上記5又は6員環へテロアリールで置換されたC
1−6アルコキシ基をいう。
「5又は6員環へテロアリールアミノ」とは、(5又は6員環へテロアリール)−NH−で表される基をいう。
「5又は6員環へテロアリール(C
1−6アルキル)アミノ」とは、上記5又は6員環へテロアリールと上記C
1−6アルキルで置換されたアミノ基をいう。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子をいう。
「C
1−6アルキレン」とは、上記C
1−6アルキルから派生する2価の基をいう。
「フッ素原子を有していてもよい」とは、置換基として1〜5個のフッ素原子を有していてもよいことをいう。なお、フッ素原子を有していてもよい基がメチル、メトキシ、N−メチルアミノである場合は、1〜3個のフッ素原子を有していてもよいことをいう。
「置換基群Aから選択される任意の基を有していてもよい」とは、置換基群Aから選択される同一又は異なる基を1〜3個有していてもよいことをいい、無置換又は1個有するのが好ましい。但し、置換基群Aから選択される基がフッ素原子である場合は、上記、「フッ素原子を有していてもよい」と同義である。
【0028】
本発明の式(I)で表される縮合へテロ環誘導体は、例えば、以下の実施例に記載の方法もしくはそれに準じた方法、又はその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法等に従い製造することもできる。尚、保護基が必要な場合は、常法(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis(第4版)に記載の方法)に従い、適宜導入及び脱離の操作を組み合わせて実施することもできる。各反応の加熱には、必要に応じて、マイクロ波の照射を利用してもよい。
【0029】
本発明において使用される保護基としては、一般的に有機合成反応において用いられる各種の保護基を用いることができる。例えば、水酸基の保護基としては、p−メトキシベンジル基、ベンジル基、メトキシメチル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、アリル基等の他、2つの水酸基が隣接する場合は、イソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等を挙げることができる。チオール基の保護基としては、p−メトキシベンジル基、ベンジル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジルオキシカルボニル基等を挙げることができる。アミノ基の保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、トリフルオロアセチル基、アセチル基、フタロイル基等を挙げることができる。カルボキシ基の保護基としては、C
1−6アルキル基、ベンジル基、tert−ブチルジメチルシリル基、アリル基等を挙げることができる。
【0030】
本発明の式(I)で表される化合物は、慣用の分離手段である分別再結晶法、クロマトグラフィーを用いた精製法、溶媒抽出法、固相抽出法等により単離精製することができる。
【0031】
本発明の式(I)で表される縮合へテロ環誘導体は、常法により、その薬理学的に許容される塩とすることができる。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との酸付加塩、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、リチウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基との塩、N−メチル−D−グルカミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、2−アミノエタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アルギニン、リジン、ピペラジン、コリン、ジエチルアミン、4−フェニル−シクロヘキシルアミン等の有機塩基との付加塩等を挙げることができる。
【0032】
本発明の式(I)で表される縮合へテロ環誘導体のうち、不斉炭素原子を有する化合物には、1つの不斉炭素につきそれぞれR配置の化合物及びS配置の化合物が存在するが、本発明においてはいずれの光学異性体を使用してもよく、それらの光学異性体の混合物であっても構わない。
【0033】
本発明の式(I)で表される縮合へテロ環誘導体には、種々の互変異性体が存在することがあるが、本発明の化合物にはそれらの互変異性体も含まれる。
【0034】
本発明において、プロドラッグとは、生体内において式(I)で表される化合物に変換される化合物をいう。本発明の式(I)で表される化合物のプロドラッグは、対応するハロゲン化物等のプロドラッグ化試薬を用いて、常法により、式(I)で表される化合物における水酸基、アミノ基、カルボキシ基、その他プロドラッグ化の可能な基から選択される1以上の任意の基に、常法に従い適宜プロドラッグを構成する基を導入した後、所望に応じ、適宜常法に従い単離精製することにより製造することができる(「月刊薬事 医薬品適正使用のための臨床薬物動態」,2000年3月臨時増刊号,第42巻,第4号,p.669−707、「新・ドラッグデリバリーシステム」,株式会社シーエムシー発行,2000年1月31日,p.67−173参照)。
本発明において、プロドラッグは、好ましくは、水酸基又はカルボキシ基にプロドラッグを構成する基を有する化合物であり、より好ましくは、カルボキシ基にプロドラッグを構成する基を有する化合物である。
【0035】
アミノ基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル等のC
1−6アルキル−CO−;ベンゾイル等のC
6−10アリール−CO−;C
1−6アルキル−O−C
1−6アルキレン−CO−;C
1−6アルキル−OCO−C
1−6アルキレン−CO−;メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル等のC
1−6アルキル−OCO−;C
1−6アルキル−O−C
1−6アルキレン−OCO−;アセチルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、1−(アセチルオキシ)エチル、1−(ピバロイルオキシ)エチル等のC
1−6アルキル−COO−C
1−6アルキレン;メチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(メチルオキシカルボニルオキシ)エチル、エチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(エチルオキシカルボニルオキシ)エチル、イソプロピルオキシカルボニルオキシメチル、1−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)エチル、tert−ブチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(tert−ブチルオキシカルボニルオキシ)エチル等のC
1−6アルキル−OCOO−C
1−6アルキレン;シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル等のC
3−8シクロアルキル−OCOO−C
1−6アルキレン;グリシン等のアミノ酸とのエステル及びアミド;等を挙げることができる。
【0036】
水酸基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、上記アミノ基において使用されるプロドラッグを構成する基を挙げることができ、好ましくは、C
1−6アルキル−CO−;C
1−6アルキル−OCOO−C
1−6アルキレン;又はC
3−8シクロアルキル−OCOO−C
1−6アルキレンであり、より好ましくは、アセチル、1−(メチルオキシカルボニルオキシ)エチル、エチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(エチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)エチル又は1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルである。
【0037】
カルボキシ基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等のC
1−6アルキル;ピバロイルオキシメチル、アセチルオキシメチル、1−(ピバロイルオキシ)エチル、1−(アセチルオキシ)エチル等のC
1−6アルキル−COO−C
1−6アルキレン;メチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(メチルオキシカルボニルオキシ)エチル、エチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(エチルオキシカルボニルオキシ)エチル、イソプロピルオキシカルボニルオキシメチル、1−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)エチル、tert−ブチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(tert−ブチルオキシカルボニルオキシ)エチル等のC
1−6アルキル−OCOO−C
1−6アルキレン;シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル等のC
3−8シクロアルキル−OCOO−C
1−6アルキレン;2−ヒドロキシエチル;2−(ジメチルアミノ)エチル;2−アミノ−2−メトキシカルボニルエチル等を挙げることができ、好ましくは、C
1−6アルキル、C
1−6アルキル−OCOO−C
1−6アルキレン又はC
3−8シクロアルキル−OCOO−C
1−6アルキレンであり、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−(メチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(エチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)エチル又は1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルである。
【0038】
本発明において、薬理学的に許容される塩には、水又はエタノール等の薬理学的に許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0039】
本発明の医薬組成物は、高尿酸血症、痛風結節、痛風関節炎、高尿酸血症による腎障害、尿路結石などの高い血清尿酸値が関与する疾患の予防又は治療に有用であり、特には、高尿酸血症に有用である。
【0040】
本発明の医薬組成物を実際の予防又は治療に用いる場合、その有効成分である式(I)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患及び治療の程度等により適宜決定されるが、例えば、経口投与の場合成人1日当たり概ね1〜2000mg、より好ましくは、10〜200mgの範囲で、非経口投与の場合成人1日当たり概ね0.5〜1000mg、より好ましくは、5〜100mgの範囲で、一回又は数回に分けて投与することができる。
【0041】
本発明の医薬組成物を実際の予防又は治療に用いる場合、用法に応じ、経口的又は非経口的に種々の剤型のものが使用されるが、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドライシロップ剤などの経口投与製剤が好ましい。
【0042】
これらの医薬組成物は、その剤形に応じ薬剤学的に公知の手法に従い、適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などの医薬品添加物と適宜混合することにより製剤化することができる。
【0043】
例えば、散剤は、有効成分に必要に応じ、適当な賦形剤、滑沢剤などを加え、よく混和して散剤とする。例えば、錠剤は、有効成分に、適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などを加え、常法に従い打錠して錠剤とし、さらに必要に応じ、適宜コーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠、腸溶性皮錠などにする。例えば、カプセル剤は、有効成分に、適当な賦形剤、滑沢剤などを加え、よく混和した後、又は常法に従い顆粒又は細粒とした後、適当なカプセルに充填してカプセル剤とする。さらに、このような経口投与製剤の場合は予防又は治療方法に応じて、速放性もしくは徐放性製剤とすることもできる。
【0044】
本発明の式(I)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、又はその薬理学的に許容される塩に、他の高尿酸血症治療薬又は痛風治療薬を組み合せて使用することもできる。本発明において使用できる他の高尿酸血症治療薬としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム等の尿アルカリ化薬等を挙げることもできる。また他の痛風治療薬としてはコルヒチン、又はインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブ、テノキシカム等の非ステロイド性抗炎症薬、及びステロイド等を挙げることもできる。他の高尿酸血症治療薬又は痛風治療薬を組み合せて使用する場合、本発明の有効成分と同時に配合した単一の医薬組成物を用いてもよく、本発明の有効成分を含有する医薬組成物とは別個に製造した医薬組成物として同時に又は間隔をずらして併用してもよい。また、本発明の有効成分以外の薬剤と組み合せて使用する場合、本発明の化合物の投与量は、組み合せて使用する他の薬剤の投与量に応じて減量することができ、場合により、上記疾患の予防又は治療上相加効果以上の有利な効果を得ることや、組み合せて使用する他の薬剤の副作用を回避又は軽減させることができる。
【0045】
本発明の一つの態様として、以下、式(I)で表される縮合へテロ環誘導体において、好ましいものを例示する。それぞれ独立でも、又は任意に組み合わせてもよい。
環Qは、好ましくはフラン環、ピロール環又はチオフェン環であり、より好ましくはフラン環又はチオフェン環であり、さらにより好ましくはチオフェン環である。
式(I)で表される縮合へテロ環誘導体は、好ましくは前記式(Ia)〜(Ic)で表される化合物である。
環Uは、好ましくはベンゼン環、ピリジン環又はチアゾール環であり、より好ましくはベンゼン環又ピリジン環であり、さらにより好ましくはベンゼン環である。
R
1は、好ましくは独立して水素原子、フッ素原子、水酸基又はC
1−6アルキルであり、より好ましくは水素原子、水酸基又はメチルである。
R
2は、以下の(1)〜(8):
(1)水素原子;
(2)ハロゲン原子;
(3)水酸基;
(4)アミノ;
(5)シアノ;
(6)カルボキシ;
(7)カルバモイル;
(8)それぞれ独立して前記置換基群Aから選択される任意の基を有していてもよい以下の基:C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
1−6アルコキシ、モノ又はジC
1−6アルキルアミノ、C
2−7アシル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
2−7アシルアミノ、C
2−7アシル(C
1−6アルキル)アミノ、モノ又はジC
1−6アルキルカルバモイル、C
1−6アルキルスルホニル、C
1−6アルキルスルホニルアミノ、C
1−6アルキルスルホニル(C
1−6アルキル)アミノ、モノ又はジC
1−6アルキルスルファモイル、C
1−6アルキルチオ、C
3−8シクロアルキル、3〜8員環へテロシクロアルキル、C
5−8シクロアルケニル、5〜8員環へテロシクロアルケニル、C
3−8シクロアルキルオキシ、C
3−8シクロアルキルC
1−6アルコキシ、モノ又はジC
3−8シクロアルキルアミノ、C
3−8シクロアルキル(C
1−6アルキル)アミノ、C
6−10アリール、5又は6員環ヘテロアリール、C
6−10アリールオキシ、C
6−10アリールC
1−6アルコキシ、C
6−10アリールアミノ、C
6−10アリール(C
1−6アルキル)アミノ、C
6−10アリールカルボニル、C
6−10アリールカルボニルアミノ、C
6−10アリールカルボニル(C
1−6アルキル)アミノ、5又は6員環ヘテロアリールオキシ、5又は6員環ヘテロアリールC
1−6アルコキシ、5又は6員環ヘテロアリールアミノ又は5又は6員環ヘテロアリール(C
1−6アルキル)アミノ;の何れかであり;
好ましくは独立して以下の(a1)〜(a3):
(a1)水素原子;
(a2)ハロゲン原子;
(a3)それぞれ前記置換基群Aから選択される任意の基を有していてもよい以下の基:C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、モノ又はジC
1−6アルキルアミノ、C
2−7アシル、C
1−6アルコキシカルボニル、モノ又はジC
1−6アルキルカルバモイル、C
3−8シクロアルキル、3〜8員環へテロシクロアルキル、C
3−8シクロアルキルオキシ、モノ又はジC
3−8シクロアルキルアミノ、C
6−10アリール又は5又は6員環ヘテロアリール;の何れかであり;
より好ましくは独立して以下の(b1)〜(b3):
(b1)水素原子;
(b2)ハロゲン原子;
(b3)それぞれフッ素原子を有していてもよい以下の基:C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、モノ又はジC
1−6アルキルアミノ、C
1−6アルコキシカルボニル、モノ又はジC
1−6アルキルカルバモイル、C
3−8シクロアルキル、3〜8員環へテロシクロアルキル、C
6−10アリール又は5又は6員環ヘテロアリール;の何れかであり;
さらにより好ましくは独立して水素原子、ハロゲン原子、又はフッ素原子を有していてもよいC
1−6アルキル;の何れかであり;
さらにより好ましくは独立して水素原子又はC
1−6アルキルであり;
さらにより好ましくは水素原子又はメチルである。
但し、R
2が環Qの窒素原子に結合している場合は、以下の何れかの基:C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−7アシル、C
1−6アルコキシカルボニル、C
1−6アルキルスルホニル、C
3−8シクロアルキル、3〜8員環へテロシクロアルキル、C
5−8シクロアルケニル、5〜8員環へテロシクロアルケニル、C
6−10アリール、5又は6員環ヘテロアリール又はC
6−10アリールカルボニル;である。
【0046】
また、本発明の一つの態様として、式(I)で表される縮合へテロ環誘導体は、下記一般式(IIa)で表される化合物である。
一般式(IIa):
【化7】
〔式中、好ましくは、R
1bが水素原子又は水酸基;R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はフッ素原子を有していてもよいC
1−6アルキル;であり;
より好ましくは、R
1bが、水酸基;R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して、水素原子又はメチル;である。〕
【0047】
また、本発明の一つの態様として、式(I)で表される縮合へテロ環誘導体は、下記一般式(IIb)で表される化合物である。
一般式(IIb):
【化8】
〔式中、好ましくは、R
1bが水素原子又は水酸基;R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はフッ素原子を有していてもよいC
1−6アルキル;であり;
より好ましくは、R
1bが、水酸基;R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して、水素原子又はメチル;である。〕
【0048】
また、本発明の一つの態様として、式(I)で表される縮合へテロ環誘導体は、下記一般式(IIc)で表される化合物である。
一般式(IIc):
【化9】
〔式中、好ましくは、R
1bが水素原子又は水酸基;R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はフッ素原子を有していてもよいC
1−6アルキル;であり;
より好ましくは、R
1bが、水酸基;R
2a及びR
2bが、それぞれ独立して、水素原子又はメチル;である。〕
【0049】
また、本発明の別の一つの態様として、(i)環Uがベンゼン環である時、(R
1)
mは、好ましくはmが1で、R
1が水酸基であるか、又はmが2で、一方のR
1が水酸基、他方のR
1がハロゲン原子であり、より好ましくはmが1で、R
1が水酸基であり、
(ii)環Uがチアゾール環である時、(R
1)
mは、好ましくはmが1で、かつ、R
1が水素原子又はメチルである。
これと独立して又はこれに加えて、(R
2)
nは、好ましくはnが1で、R
2が水素原子、ハロゲン原子又はC
1−6アルキルであるか、又はnが2で、一方のR
2がC
1−6アルキル、他方のR
2が水素原子又はハロゲン原子であり、より好ましくはnが1で、R
2が水素原子、ハロゲン原子又はC
1−6アルキルであり、さらにより好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はメチルである。
【0050】
本発明の式(I)で表される縮合へテロ環誘導体において、別の好ましい態様の一つとしては、URAT1阻害活性をも有する化合物が挙げられる。