【実施例】
【0019】
〔参考例1〕
本発明の製造方法で用いるアリピプラゾール無水物≪7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリルの無水物≫のII形結晶を以下のようにして合成した。
【0020】
第1ステップ:
7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリルの合成;
7−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロカルボスチリル82g(0.5モル)にアセトニトリル408gを加え、これに、炭酸カリウム水溶液(炭酸カリウム69g(0.5モル)を水204gに溶解した溶液)を加えた後、さらに、1,4−ジブロモブタン324g(1.5モル)を加え、6時間還流反応させた。
この反応溶液を、減圧濃縮し、残留物に2−プロパノール408gを加え、10℃以下で1時間撹拌した後、水204gを加え、10℃以下で1時間撹拌し結晶化させて濾過した。
得られた結晶を80℃で乾燥し、7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリル109g(収率:73.3%)を得た。
【0021】
第2ステップ:
アリピプラゾール無水物≪7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリルの無水物≫の粗結晶の合成;
第1ステップで得た7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリル109g(0.37モル)に、ヨウ化ナトリウム82g(0.55モル)とアセトニトリル1088gを加えて撹拌し、70℃に加温した。
次いで、1−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン塩酸塩92g(0.33モル)、アセトニトリル816g、トリエチルアミン185g(1.83モル)を加え、30分間還流反応させた。
この反応溶液を、減圧濃縮し、残留物に水2177gを加え、冷却し、析出した結晶を濾取し、乾燥して149gの結晶を得た。
この結晶のうち、148gに、ジクロロメタン1110gを加え、室温下で1時間撹拌した後、不純物を濾別した。この濾液を、減圧濃縮し、残留物にメタノール2590gを加えて、1時間還流下懸洗し、冷却後、析出した結晶を濾取した。
得られた結晶を80℃で乾燥し、アリピプラゾール無水物の粗結晶80g(収率:54.5%、水分含有量:0.14%)を得た。
【0022】
第3ステップ:
アリピプラゾール無水物≪7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリルの無水物≫のII形結晶の合成;
第2ステップで得たアリピプラゾール無水物の粗結晶80g(0.18モル)に、N,N−ジメチルホルムアミド150gを加え、50〜60℃に加温して溶解させた。
次いで、活性炭8gと、50〜60℃に加温したエタノール128gとを加え、50〜60℃を維持したまま30分間撹拌した後、温時濾過した。
この濾液を5℃に冷却し、析出した結晶を濾取し、メタノール128gで洗浄した。
上記第3ステップの操作を、もう1回繰り返して得た結晶を、減圧下、80℃にて5時間乾燥し、淡黄白色ないし白色のアリピプラゾール無水物のII形結晶50g(収率:62.5%、純度:99.85%(HPLC,面積百分率))を得た。
得られたII形結晶のX線回折、融点測定、水分含有量測定を行った。結果を下に示す。
【0023】
・X線回折
X線測定装置((株)リガク製 商品名"Mini Flxe II")を使用し、Niフィルタにより4°/分のスキャンスピードで測定を行った。
この結果は、
図1の通り、2θ=16.3°、21.8°、22.2°、23.3°及び24.5°において特徴的なピークを示すものであった。
【0024】
・融点測定
融点測定器(BUCHI社製 商品名"B−545")を使用して行った。この結果は、次の通りであった;
融点:148.5℃
【0025】
・水分含有量測定
カールフィッシャー法の容量滴定方式に準じて、自動水分測定装置(Metrohm社製 商品名"787 KF Titrino")を使用して行った。この結果は、次の通りであった;
水分含有量:0.18%
【0026】
〔実施例1〕
参考例1の第3ステップにて得たアリピプラゾール無水物のII形結晶50gに、ベンジルアルコール52gと酢酸アミル874gとを加えて、80℃に加熱し、活性炭2.5gを加えて15分撹拌した後、温時濾過した。
この濾液を20℃に冷却し、析出した結晶を濾取し、メタノール200gで洗浄した。
洗浄後の結晶を、80℃にて、常圧で3時間乾燥させ、白色のアリピプラゾール無水物のB形結晶36g(収率:72%、純度:99.91%(HPLC,面積百分率))を得た。
得られた結晶のX線回折、融点測定、水分含有量測定、IR分析を行った。結果を下に示す。
【0027】
・X線回折
参考例1の場合と同様にして行った。
この結果は、
図2の通り、2θ=11.0°、16.6°、19.3°、20.3°及び22.1°において特徴的なピークを示すものであった。
・融点測定
参考例1の場合と同様にして行った。この結果は、次の通りであった;
融点:139.9℃
・水分含有量測定
参考例1の場合と同様にして行った。この結果は、次の通りであった;
水分含有量:0.10%
【0028】
・IR分析
赤外分光分析装置(サーモ社製 商品名"NICOLET380")を使用し、KBr法にて測定を行った。
この結果は、
図3の通り、2945cm
-1、2812cm
-1、1678cm
-1、1627cm
-1、1448cm
-1、1377cm
-1、1173cm
-1、960cm
-1、及び779cm
-1に特徴的な吸収が認められた。
【0029】
〔実施例2〜
3,比較例9〕
実施例1におけるベンジルアルコールと酢酸アミルとの混合溶媒の混合比を表1に示すとおりに代える以外は、実施例1の場合と同様にして行い、白色のアリピプラゾール無水物のB形結晶を得た。得られた各B形結晶の重量(g)と収率(%)を、表1に併せて示す。
上記実験において、30g以上の結晶の析出が確認された実施例2,3について、各結晶のX線回折および融点測定を、実施例1の場合と同様にして行った(なお、微量の結晶しか得られなかった
比較例
9については、X線回折および融点の測定が実質的にできなかった)。X線回折の結果は、
図4,5に、融点の結果は、表1に、それぞれ示す。
【0030】
〔実施例
4,
5〕
実施例1における洗浄後の結晶を、105℃(実施例
4)あるいは50℃(実施例
5)にて乾燥させた以外は、実施例1の場合と同様にして行い、白色のアリピプラゾール無水物のB形結晶を得た。得られた各B形結晶の重量(g)と収率(%)を、表1に示す。
実施例
4,
5で得られた結晶のX線回折および融点測定を、実施例1の場合と同様にして行った。
実施例
4,
5のX線回折については、
図2と同様の結果であった。融点の結果については、表1に併せて示す。
【0031】
【表1】
【0032】
〔比較例1〜8〕
実施例1におけるベンジルアルコールと酢酸アミルとの混合溶媒を表2に示す溶媒に代える以外は、実施例1の場合と同様にして行い、比較例1〜8の白色の結晶を得た。得られた各白色の結晶の重量(g)と収率(%)を、表2に併せて示す。
上記実験において、30g以上の結晶の析出が確認された比較例2〜8について、各結晶の融点測定を、実施例1の場合と同様にして行った(なお、微量の結晶しか得られなかった比較例1については、融点の測定が実質的にできなかった)。
結果は、表2のとおりであり、いずれもB形結晶は得られなかった。
【0033】
【表2】