特許第6023797号(P6023797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6023797風力タービンのハブにロータブレードを固定するための固定装置
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  • 特許6023797-風力タービンのハブにロータブレードを固定するための固定装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023797
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】風力タービンのハブにロータブレードを固定するための固定装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/00 20160101AFI20161027BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   F03D13/00
   F03D1/06 A
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-510656(P2014-510656)
(86)(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公表番号】特表2014-513771(P2014-513771A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】DE2012000465
(87)【国際公開番号】WO2012155881
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2015年4月3日
(31)【優先権主張番号】202011100897.9
(32)【優先日】2011年5月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513288388
【氏名又は名称】ウィンドノヴェーション・エンジニアリング・ソリューションズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】シュテール・ローラント
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6371730(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0263250(US,A1)
【文献】 米国特許第5171099(US,A)
【文献】 米国特許第4412784(US,A)
【文献】 特公平3−12232(JP,B2)
【文献】 特表2006−526107(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0231146(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00 − 80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロスボルトが、ブレード根元シェルウォールを貫通して配設され、伸びボルトの形態のテンションロッドによってハブのフランジと結合可能である、ブレード根元の領域内でクロスボルトとテンションロッドによって風力タービンのロータハブにロータブレードを固定するための固定装置において、
各クロスボルト(4)が、2つのテンションロッド(5,6)によってロータハブ(1)のフランジ(2)と結合可能であり、各テンションロッド(5,6)が、ブレード根元シェルウォール(3)内の別々のテンションロッド孔(7,8)内に配設されていること、を特徴とする固定装置。
【請求項2】
テンションロッド孔(7,8)が、ブレード根元シェルウォール(3)の外側もしくは内側の壁面線(9,10)から同じ間隔を備えること、を特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
ブレード根元シェルウォール(3)の内側の壁面線(10)に対する内側のテンションロッド孔(8)の間隔が、ブレード根元シェルウォール(3)の外側の壁面線(9)に対する外側のテンションロッド孔(7)の間隔よりも小さいこと、を特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項4】
ブレード根元シェルウォール(3)の内側の壁面線(10)に対する内側のテンションロッド孔(8)の間隔が、ブレード根元シェルウォール(3)の外側の壁面線(9)に対する外側のテンションロッド孔(7)の間隔よりも大きいこと、を特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンのハブにロータブレードを固定するための固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンのハブにロータブレードを固定するための固定装置では、ロータブレード根元の領域内で、ロータブレードの長手方向軸に対して本質的に横に存在する収容部内に、テンションロッド(伸びボルト)によってロータハブと結合されるクロスボルトを配設することが公知である。クロスボルトに対するテンションロッドの到達は、独国特許第31 03 710号明細書(特許文献1)によれば、ロータブレード根元のシェルウォール内の通路によって得られる。
【0003】
この構造の欠点は、独国特許第197 33 372号明細書(特許文献2)によれば、ロータブレードがブレード根元の領域内で、クロスボルトを収容するための貫通孔によって著しく脆弱化されることにある。解決策として、ここでは、貫通孔を2つの盲穴の形態で形成し、それぞれ1つのテンションロッドを、盲穴内に配設されたクロスボルトに向かう別々の2つの通路内に配設することを提案する。
【0004】
これら二重の通路が、同様にブレード根元の材料脆弱化を招くので、国際公開第2004/106732号パンフレット(特許文献3)では、再び貫通するクロスボルトに手を出し、しかしながらテンションロッドはブレード根元外に配設することを提案する。
【0005】
この解決策の欠点は、曲げモーメントの変化が、それぞれのクロスボルトに対するテンションロッドの接続部の間隔が大きいことによって、比較的大きいクロスボルト直径を必要にすることにある。更に、この解決策は、ブレード根元シェルウォールの積層縁において最大の面圧を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第31 03 710号明細書
【特許文献2】独国特許第197 33 372号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/106732号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、これら欠点を排除することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有する固定装置によって解決され、有利な形成は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明によれば、クロスボルトが、ブレード根元シェルウォールを貫通して配設され、伸びボルトの形態のテンションロッドによってハブのフランジと結合可能である、ブレード根元の領域内でクロスボルトとテンションロッドによって風力タービンのロータハブにロータブレードを固定するための固定装置のために、各クロスボルトが、2つのテンションロッドによってロータハブのフランジと結合可能であり、各テンションロッドが、ブレード根元シェルウォール内の別々のテンションロッド孔内に配設されていること、を提案する。
【0010】
従来技術で挙げた解決策に対して、驚くべきことに、提案した、それぞれ別々の貫通孔内に配設され、ブレード根元シェルウォールを貫通するクロスボルトと結合可能な2つのテンションロッドを介したロータブレードの結合によって、ブレード根元シェルに導入される力と、これによる応力の最適化が可能なることがわかった。
【0011】
こうして、ブレード根元シェルウォールの、構造的に危険な積層縁における高い面圧を回避し、ブレード根元シェルウォールの内部に移動することができる。
【0012】
更に、クロスボルトとテンションロッドの両方の直径を減少させることができるので、これまでは問題であると見なされた、ブレード根元内の横断面の減少は、大きい分散を受け、これにより補償可能である。
【0013】
適用例に応じて、3つのバリエーションが設けられている。
【0014】
テンションロッド孔が、ブレード根元シェルウォールの外側もしくは内側の壁面線から同じ間隔を備えるか、
ブレード根元シェルウォールの内側の壁面線に対する内側のテンションロッド孔の間隔が、ブレード根元シェルウォールの外側の壁面線に対する外側のテンションロッド孔の間隔よりも小さいか、
ブレード根元シェルウォールの内側の壁面線に対する内側のテンションロッド孔の間隔が、ブレード根元シェルウォールの外側の壁面線に対する外側のテンションロッド孔の間隔よりも大きいか、である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の適用例
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、ロータブレードのブレード根元を固定するためのリング状のフランジ2を有する風力タービンのロータハブ1を示す。ブレード根元のうち、1つのブレード根元シェルウォール3だけが図示されている。
【0017】
ロータブレードの固定は、ブレード根元の領域内でクロスボルト4とテンションロッド5,6によって行なわれ、クロスボルト7は、ブレード根元シェルウォール3を貫通して配設されている。
【0018】
伸びボルトの形態のテンションロッド5,6により、クロスボルト4は、フランジ2と結合可能であり、各クロスボルト4は、2つのテンションロッド5,6によってロータハブ1のフランジ2と結合され、各テンションロッド5,6は、ブレード根元シェルウォール3内の別々のテンションロッド孔7,8内に配設されている。
【0019】
図示では、テンションロッド孔7,8は、ブレード根元シェルウォール3の外側もしくは内側の壁面線9,10から同じ間隔を備える。
【符号の説明】
【0020】
1 ロータハブ
2 ロータハブのフランジ
3 ブレード根元シェルウォール
4 クロスボルト
5 テンションロッド
6 テンションロッド
7 テンションロッド孔
8 テンションロッド孔
9 ブレード根元シェルウォールの外側の壁面線
10 ブレード根元シェルウォールの内側の壁面線
図1