特許第6023843号(P6023843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6023843無線LANシステム、アクセスポイント管理装置、アクセスポイント、無線LAN制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6023843
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】無線LANシステム、アクセスポイント管理装置、アクセスポイント、無線LAN制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20161027BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20161027BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20161027BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20161027BHJP
   H04L 12/70 20130101ALI20161027BHJP
【FI】
   H04W8/26 110
   H04W84/12
   H04W88/12
   H04L12/28 200A
   H04L12/70 B
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-88243(P2015-88243)
(22)【出願日】2015年4月23日
【審査請求日】2015年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 哲平
【審査官】 ▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−199838(JP,A)
【文献】 特開2008−177924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/28
H04L 12/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DHCPサーバとしての機能を有する第1アクセスポイント及び第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムであって、
前記第2アクセスポイントは、無線端末が前記第1アクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、前記第1アクセスポイントを宛先とするDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する第1転送部を備え、
前記アクセスポイント管理装置は、前記第2のアクセスポイントから送信された前記DHCP Requestパケットを前記第1アクセスポイントに転送する第2転送部を備え、
前記第1アクセスポイントは、前記アクセスポイント管理装置から送信された前記DHCP Requestパケットに対して、前記無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答部を備え、
前記第2転送部は、前記第1アクセスポイントから送信された前記DHCP Nakパケットを前記第2アクセスポイントに転送し、
前記第1転送部は、前記アクセスポイント管理装置から送信された前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する、
無線LANシステム。
【請求項2】
前記アクセスポイント管理装置は、
自装置と通信可能なアクセスポイントについて、前記アクセスポイントが自装置との通信に使用するWAN側IPアドレスと、前記アクセスポイントが前記無線端末との通信に使用するLAN側MACアドレスと、の対応を示すアクセスポイント管理情報と、前記DHCP Requestパケットを送信した前記無線端末のMACアドレスと、前記DHCP Requestを自装置に送信した前記第2アクセスポイントのWAN側IPアドレスと、の対応を示す転送管理情報と、を記憶する記憶部をさらに備え、
前記第2転送部は、前記アクセスポイント管理情報と、前記DHCP Requestパケットとに基づいて、転送先の前記第1アクセスポイントを識別し、
前記第転送部は、前記転送管理情報と、前記DHCP Nakパケットとに基づいて、前記無線端末が無線帰属を変更した先の前記第2アクセスポイントを識別する、
請求項1に記載の無線LANシステム。
【請求項3】
第1アクセスポイントと、第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムが行う無線LAN制御方法であって、
前記第2アクセスポイントが、前記第1アクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した無線端末から送信されるDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する第1転送ステップと、
前記アクセスポイント管理装置が、前記第2アクセスポイントから送信された前記DHCP Requestパケットを前記第1アクセスポイントに転送する第2転送ステップと、
前記第1アクセスポイントが、前記アクセスポイント管理装置から送信された前記DHCP Requestパケットに対して、前記無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答ステップと、
前記アクセスポイント管理装置が、前記第1アクセスポイントから送信された前記DHCP Nakパケットを前記第2アクセスポイントに転送する第3転送ステップと、
前記第2アクセスポイントが、前記アクセスポイント管理装置から送信された前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する第4転送ステップと、
を有する無線LAN制御方法。
【請求項4】
第1アクセスポイントと、第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイント管理装置であって、
前記第1アクセスポイントから前記第2のアクセスポイントに無線帰属を変更した無線端末から送信される前記第1アクセスポイント宛のDHCP Requestパケットを、前記第2アクセスポイントから取得して前記第1アクセスポイントに転送する転送部を備え、
前記転送部は、前記第1アクセスポイントが前記DHCP Requestパケットへの応答として生成したDHCP Nakパケットを、前記第2アクセスポイントに転送する、
アクセスポイント管理装置。
【請求項5】
第1アクセスポイントと、第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイント管理装置が行う無線LAN制御方法であって、
前記第1アクセスポイントから前記第2アクセスポイントに無線帰属を変更した無線端末から送信される前記第1アクセスポイント宛のDHCP Requestパケットを、前記第2アクセスポイントから取得して前記第1アクセスポイントに転送する第2転送ステップと、
前記第1アクセスポイントが前記DHCP Requestパケットへの応答として生成したDHCP Nakパケットを、前記第2アクセスポイントに転送する第3転送ステップと、
を有する無線LAN制御方法。
【請求項6】
第1アクセスポイントと、第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイント管理装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、
前記第1アクセスポイントから前記第2アクセスポイントに無線帰属を変更した無線端末から送信される前記第1アクセスポイント宛のDHCP Requestパケットを、前記第2アクセスポイントから取得して前記第1アクセスポイントに転送する第2転送ステップと、
前記第1アクセスポイントが前記DHCP Requestパケットへの応答として生成したDHCP Nakパケットを、前記第2のアクセスポイントに転送する第3転送ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
DHCPサーバとしての機能を有するアクセスポイントと、前記アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイントであって、
無線端末が他のアクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、前記他のアクセスポイントを宛先とするDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する転送部と、
前記アクセスポイント管理装置から送信されるDHCP Requestパケットに対して、前記DHCP Requestパケットの送信元の無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答部と、
前記転送部は、前記アクセスポイント管理装置から送信される前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する、
アクセスポイント。
【請求項8】
DHCPサーバとしての機能を有するアクセスポイントと、前記アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイントが行う無線LAN制御方法であって、
無線端末が他のアクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、前記他のアクセスポイントを宛先とするDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する第1転送ステップと、
前記アクセスポイント管理装置から送信されるDHCP Requestパケットに対して、前記DHCP Requestパケットの送信元の無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答ステップと、
前記アクセスポイント管理装置から送信される前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する第4転送ステップと、
を有する無線LAN制御方法。
【請求項9】
DHCPサーバとしての機能を有するアクセスポイントと、前記アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイントとしてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、
無線端末が他のアクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、前記他のアクセスポイントを宛先とするDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する第1転送ステップと、
前記アクセスポイント管理装置から送信されるDHCP Requestパケットに対して、前記DHCP Requestパケットの送信元の無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答ステップと、
前記アクセスポイント管理装置から送信される前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する第4転送ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末のハンドオーバを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアクセスポイント(Access Point:以下、「AP」と略記する。)を持つ無線LAN(Local Area Network)システムでは、無線端末(Station:以下、「STA」と略記する。)は、自装置に近い位置のAPに帰属することでネットワークに接続される。そのため、移動するSTAは、帰属するAPを変更しながらネットワーク接続を維持しようと試みる。STAの帰属するAPが他のAPに切り替わることをハンドオーバという。ハンドオーバ時、STAは、ハンドオーバ先のネットワークのIP(Internet Protocol)アドレスを取得することでネットワーク接続を維持するが、従来、ハンドオーバ時におけるIPアドレスの取得に時間を要し、通信切断時間が長くなるという問題があった。これは、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)クライアントであるSTAのプロトコル仕様に起因する。
【0003】
一般にSTAは、自装置が再起動された場合や帰属するネットワークセグメントに変更があった場合、自装置にIPアドレスを割り当てたDHCPサーバにDHCP Requestパケットを送信し、割り当てられたIPアドレスが継続して使用可能であるかを問い合わせる。STAは、割り当てられているIPアドレスが使用できないことを示すDHCP Nakが応答された場合、DHCP Discoverパケットを送信し、新しいIPアドレスを取得するシーケンスに移行する。
【0004】
しかしながら、ハンドオーバ時において、ハンドオーバ先のDHCPサーバは、この問い合わせに対して応答しない場合がある。これは、STAから送信されたDHCP Requestパケットがハンドオーバ元のDHCPサーバを宛先とするためである。また、このとき、STAは、ハンドオーバ元のDHCPサーバの無線通信範囲外となっているため、ハンドオーバ元のDHCPサーバがDHCP Nakを応答することもない。この場合、STAは、DHCP Requestパケットの送信を所定の期間リトライし続ける。STAは、DHCP Requestがタイムアウトすると、DHCP Discoverパケットを送信し、新しいIPアドレスを取得するシーケンスに移行する。
【0005】
このようなDHCPクライアントの仕様により、STAのハンドオーバ時において、IPアドレスの取得に時間を要する可能性があった。このような問題を解決するため、ハンドオーバ時において、DHCP Requestパケットのタイムアウトを待たずに、DHCP Discoverパケットを送信するようにSTAを制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−124087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、プロトコル仕様と異なる制御がSTA側で必要となり、必ずしも全てのSTAに対して有効な解決策とはならない可能性があった。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、ハンドオーバ時におけるIPアドレスの再取得に要する時間を、無線端末側での制御を必要とせずに短縮することができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、DHCPサーバとしての機能を有する第1アクセスポイント及び第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムであって、前記第2アクセスポイントは、無線端末が前記第1アクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、前記第1アクセスポイントを宛先とするDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する第1転送部を備え、前記アクセスポイント管理装置は、前記第2のアクセスポイントから送信された前記DHCP Requestパケットを前記第1アクセスポイントに転送する第2転送部を備え、前記第1アクセスポイントは、前記アクセスポイント管理装置から送信された前記DHCP Requestパケットに対して、前記無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答部を備え、前記第2転送部は、前記第1アクセスポイントから送信された前記DHCP Nakパケットを前記第2アクセスポイントに転送し、前記第1転送部は、前記アクセスポイント管理装置から送信された前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する、無線LANシステムである。
【0010】
本発明の一態様は、上記の無線LANシステムであって、前記アクセスポイント管理装置は、自装置と通信可能なアクセスポイントについて、前記アクセスポイントが自装置との通信に使用するWAN側IPアドレスと、前記アクセスポイントが前記無線端末との通信に使用するLAN側MACアドレスと、の対応を示すアクセスポイント管理情報と、前記DHCP Requestパケットを送信した前記無線端末のMACアドレスと、前記DHCP Requestを自装置に送信した前記第2アクセスポイントのWAN側IPアドレスと、の対応を示す転送管理情報と、を記憶する記憶部をさらに備え、前記第2転送部は、前記アクセスポイント管理情報と、前記DHCP Requestパケットとに基づいて、転送先の前記第1アクセスポイントを識別し、前記第転送部は、前記転送管理情報と、前記DHCP Nakパケットとに基づいて、前記無線端末が無線帰属を変更した先の前記第2アクセスポイントを識別する。
【0011】
本発明の一態様は、第1アクセスポイントと、第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムが行う無線LAN制御方法であって、前記第2アクセスポイントが、前記第1アクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した無線端末から送信されるDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する第1転送ステップと、前記アクセスポイント管理装置が、前記第2アクセスポイントから送信された前記DHCP Requestパケットを前記第1アクセスポイントに転送する第2転送ステップと、前記第1アクセスポイントが、前記アクセスポイント管理装置から送信された前記DHCP Requestパケットに対して、前記無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答ステップと、前記アクセスポイント管理装置が、前記第1アクセスポイントから送信された前記DHCP Nakパケットを前記第2アクセスポイントに転送する第3転送ステップと、前記第2アクセスポイントが、前記アクセスポイント管理装置から送信された前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する第4転送ステップと、を有する無線LAN制御方法である。
【0012】
本発明の一態様は、第1アクセスポイントと、第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイント管理装置であって、前記第1アクセスポイントから前記第2のアクセスポイントに無線帰属を変更した無線端末から送信されるDHCP Requestパケットを、前記第1アクセスポイントに転送する転送部を備え、前記転送部は、前記第1アクセスポイントが前記DHCP Requestパケットへの応答として生成したDHCP Nakパケットを、前記第2アクセスポイントに転送する、アクセスポイント管理装置である。
【0013】
本発明の一態様は、第1アクセスポイントと、第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイント管理装置が行う無線LAN制御方法であって、前記第1アクセスポイントから前記第2アクセスポイントに無線帰属を変更した無線端末から送信されるDHCP Requestパケットを、前記第1アクセスポイントに転送する第2転送ステップと、前記第1アクセスポイントが前記DHCP Requestパケットへの応答として生成したDHCP Nakパケットを、前記第2アクセスポイントに転送する第3転送ステップと、を有する無線LAN制御方法である。
【0014】
本発明の一態様は、第1アクセスポイントと、第2アクセスポイントと、前記第1アクセスポイント及び前記第2アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイント管理装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、前記第1アクセスポイントから前記第2アクセスポイントに無線帰属を変更した無線端末から送信されるDHCP Requestパケットを、前記第1アクセスポイントに転送する第2転送ステップと、前記第1アクセスポイントが前記DHCP Requestパケットへの応答として生成したDHCP Nakパケットを、前記第2のアクセスポイントに転送する第3転送ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0015】
本発明の一態様は、DHCPサーバとしての機能を有するアクセスポイントと、前記アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイントであって、無線端末が他のアクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、前記他のアクセスポイントを宛先とするDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する転送部と、前記アクセスポイント管理装置から送信されるDHCP Requestパケットに対して、前記DHCP Requestパケットの送信元の無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答部と、前記転送部は、前記アクセスポイント管理装置から送信される前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する、アクセスポイントである。
【0016】
本発明の一態様は、DHCPサーバとしての機能を有するアクセスポイントと、前記アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイントが行う無線LAN制御方法であって、無線端末が他のアクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、前記他のアクセスポイントを宛先とするDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する第1転送ステップと、前記アクセスポイント管理装置から送信されるDHCP Requestパケットに対して、前記DHCP Requestパケットの送信元の無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答ステップと、前記アクセスポイント管理装置から送信される前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する第4転送ステップと、 を有する無線LAN制御方法である。
【0017】
本発明の一態様は、DHCPサーバとしての機能を有するアクセスポイントと、前記アクセスポイントと通信可能なアクセスポイント管理装置と、を備える無線LANシステムにおける前記アクセスポイントとしてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、無線端末が他のアクセスポイントから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、前記他のアクセスポイントを宛先とするDHCP Requestパケットを前記アクセスポイント管理装置に転送する第1転送ステップと、前記アクセスポイント管理装置から送信されるDHCP Requestパケットに対して、前記DHCP Requestパケットの送信元の無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成して前記アクセスポイント管理装置に送信する応答ステップと、前記アクセスポイント管理装置から送信される前記DHCP Nakパケットを前記無線端末に転送する第4転送ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ハンドオーバ時におけるIPアドレスの再取得に要する時間を、無線端末側での制御を必要とせずに短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の無線LANシステム1のシステム構成を示すシステム構成図である。
図2】DHCPによってIPアドレスが割り当てられる際のプロトコルシーケンスの概要を示す図である。
図3】ハンドオーバ時におけるDHCPのプロトコルシーケンスを示す図である。
図4】実施形態の無線LANシステム1におけるAP2及びWLC3の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5】STA管理テーブル251及びリクエスト管理テーブル252の具体例を示す図である。
図6】AP管理テーブル331及び転送管理テーブル332の具体例を示す図である。
図7】実施形態の無線LANシステム1における、DHCP Requestパケット及びDHCP Nakパケットの転送処理の流れを示すシーケンス図である。
図8】第1転送処理の詳細を示すフローチャートである。
図9】第2転送処理の詳細を示すフローチャートである。
図10】Nak応答処理の詳細を示すフローチャートである。
図11】第3転送処理の詳細を示すフローチャートである。
図12】第4転送処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、実施形態の無線LANシステム1のシステム構成を示すシステム構成図である。
図1の無線LANシステム1は、例えば、無線端末に対してインターネット接続が可能な公衆無線LANサービスを提供する。無線LANシステム1は、AP2−1〜AP2−3と、WLC3(アクセスポイント管理装置)と、を備える。AP2−1〜AP2−3は、無線端末を無線LANシステム1のネットワークに収容するアクセスポイントである。図1の例は、無線端末としてのSTA4−1〜STA4−3が、それぞれ、AP2−1〜AP2−3に帰属している様子を示している。AP2−1〜AP2−3は、DHCPサーバとしての機能を備えており、自装置に帰属する無線端末に対してIPアドレスを割り当てる。STA4−1〜STA4−3はAP2−1〜AP2−3によって割り当てられたIPアドレスを自装置に設定することによって、インターネット5へのアクセスが可能となる。また、WLC3は、AP2−1〜AP2−3を制御する無線LANコントローラである。WLC3は、AP2−1〜AP2−3との間で制御に関する情報を送受信する。
【0021】
なお、図1におけるSTA4−1〜STA4−3は、AP2−1〜AP2−3の無線範囲に位置すれば、どのAPに対しても帰属可能である。また、無線LANシステム1が備えるAPの数は図1と異なる数であってもよい。また、無線LANシステム1に接続するSTAの数は図1と異なる数であってもよい。
【0022】
なお、以下では、説明を簡単にするため、特に区別しない限りにおいては、AP2−1〜AP2−3をAP2と記載する。同様に、STA4−1〜STA4−3をSTA4と記載する。
【0023】
図2は、DHCPによってIPアドレスが割り当てられる際のプロトコルシーケンスの概要を示す図である。
図2に示すプロトコルシーケンスは、IPアドレスが割り当てられていないクライアントに対して行われる、一般的なIPアドレスの割り当ての流れを示している。まず、クライアントは、DHCPサーバに対してDHCP Discoverパケットを送信する(ステップS101)。このDHCP Discoverパケットの送信により、クライアントは、DHCPサーバに対してIPアドレスの割り当てを依頼する。
【0024】
DHCPサーバは、DHCP Discoverパケットを受信すると、アドレスプールの中から割り当て可能なIPアドレスを選択する。DHCPサーバは、選択したIPアドレスの割り当てを提案するDHCP Offerパケットをクライアントに送信する(ステップS102)。
【0025】
クライアントは、DHCP Offerパケットを受信すると、DHCP Offerパケットが提案するIPアドレスを要求するDHCP RequestパケットをDHCPサーバに送信する(ステップS103)。
【0026】
DHCPサーバは、クライアントから送信されたDHCP Requestパケットを受信する。DHCPサーバは、DHCP Requestパケットへの応答として、DHCP Ackパケットをクライアントに送信する(ステップS104)。このDHCP Ackパケットの送信により、DHCPサーバは、要求されたIPアドレスのクライアントへの割り当てを完了する。
【0027】
クライアントは、DHCPサーバから送信されたDHCP Ackパケットを受信する。クライアントは、DHCP Ackパケットを受信すると、要求したIPアドレスを自装置に設定する(ステップS105)。
【0028】
図1のような無線LANシステム1の場合、STA4がAP2に帰属した後に上記シーケンスのやり取りが行われる。しかしながら、ハンドオーバ時においては、STA4は、新たなAP2に帰属した後、まず、ハンドオーバ前に割り当てられたIPアドレスが、ハンドオーバ後においても使用可能か否かをDHCPサーバに問い合わせる。
【0029】
図3は、ハンドオーバ時におけるDHCPのプロトコルシーケンスを示す図である。
図3は、STA4が、AP2−1からAP2−2にハンドオーバした状況を示している。まず、STA4がAPへの帰属をAP2−1からAP2−2に変更しようとすると、AP2−1は、STA4に対して無線帰属の解除を通知する(図中の「Deauthentication」)(ステップS201)。無線帰属の解除が通知されると、STA4は、Probe Requestを送信し、利用可能なAPを走査する(ステップS202)。図3の場合、STA4が送信したProbe RequestをAP2−2が受信する。AP2−2は、受信したProbe Requestに対して、Probe ResponseをSTA4に応答する(ステップS203)。その後、Authenticationパケットの送受信が行われ、STA4がAP2−2によって認証される(ステップS204、ステップS205)。認証が完了すると、STA4は接続を要求するAssociation RequestをAP2−2に送信する(ステップS206)。AP2−2が受信したAssociation Requestに対してAssociation Responseを応答することで、STA4のAP2−2への無線帰属が完了する(ステップS207)。
【0030】
STA4は、ハンドオーバ先のAP2−2に対する無線帰属が完了すると、IPアドレスの継続利用が可能か否かを、DHCP Requestを送信することで問い合わせる(ステップS208−1)。このときのDHCP Requestが示す宛先は、当該IPアドレスの割り当てを行ったAP2−1である。そのため、AP2−2は、ステップS208−1において送信されたDHCP Requestに対して応答しない。その結果、STA4は、所定のタイムアウトを迎えるまでの間、DHCP Requestの送信をリトライする(ステップS208−2〜S208−k)こととなる。DHCP Requestの送信がタイムアウトすると、STA4は、新たなIPアドレスを取得するためにDHCP Discoverパケットを送信する(ステップS101)。ステップS101以下、図2と同様のシーケンスによって、STA4は、AP2−2からIPアドレスの割り当てを受ける。
【0031】
なお、一般に、上記のハンドオーバ時のシーケンスでは、ハンドオーバ先のアクセスポイントへの無線帰属に約14秒、DHCP Requestのリトライに約35秒、DHCP Discover以降のIPアドレスの再取得に約10秒の時間を要する。上記のシーケンスにおいて、STA4がDHCP Requestの送信をリトライしないためには、DHCP Requestに対する応答としてDHCP Nakパケットを受信することが必要となる。しかしながら、STA4が、AP2−1の無線通信範囲外に位置する場合、AP2−1からDHCP Requestパケットを受信することができない。そのため、実施形態の無線LANシステム1では、AP2−2及びWLC3が、STA4とAP2−1との間で、DHCP Requestパケット及びDHCP Nakパケットを転送する。
【0032】
図4は、実施形態の無線LANシステム1におけるAP2及びWLC3の機能構成を示す機能ブロック図である。
まず、AP2の機能構成について説明する。
AP2は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、APプログラムを実行する。AP2は、APプログラムの実行によって第1通信部21、第2通信部22、通信制御部23、DHCP処理部24及び記憶部25を備える装置として機能する。なお、AP2の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。APプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。APプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0033】
第1通信部21は、無線LAN通信インターフェースを用いて構成される。第1通信部21は、無線通信範囲内に位置するSTA4と通信する。
第2通信部22は、LAN通信インターフェースを用いて構成される。第2通信部22は、WLC3と通信する。
【0034】
通信制御部23は、通信制御部23は、アクセスポイントとしての基本的な機能を実現する機能部であり、自装置の通信に関する制御を行う。具体的には、通信制御部23は、自装置に帰属するSTA4の認証処理やパケットの送受信処理、パケットの中継処理などの処理を行う。通信制御部23は、認証処理において認証したSTA4を自装置に帰属中のSTA4として記憶部25のSTA管理テーブル251で管理する。また、パケットの送受信処理においてDHCPに関するパケットが受信されると、通信制御部23は、受信したパケットをDHCP処理部24に出力する。
【0035】
DHCP処理部24(第1転送部、応答部)は、DHCPに関する処理を行う。DHCP処理部24は、一般的なDHCPサーバとしての機能を備え、STA4の要求に応じてIPアドレスの割り当てを行う。さらに、DHCP処理部24は、STA4から送信されるDHCP Requestパケットを記憶部25のリクエスト管理テーブル252で管理し、必要に応じてWLC3にDHCP Requestパケットを転送する。また、DHCP処理部24は、WLC3からDHCP Requestパケットを受信すると、受信したDHCP Requestパケットに応じたDHCP Nakパケットを生成し、WLC3に送信する。
【0036】
記憶部25は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部25は、STA管理テーブル251及びリクエスト管理テーブル252を記憶する。
【0037】
図5は、STA管理テーブル251及びリクエスト管理テーブル252の具体例を示す図である。
図5(a)はSTA管理テーブル251の具体例を示す図である。STA管理テーブル251は、自装置に帰属するSTA4ごとにSTA管理レコードを持つ。STA管理レコードは、MACアドレスの項目を有する。MACアドレスの項目には、各STA4のMAC(Media Access Control)アドレスの値が登録される。STA管理レコードは、通信制御部23によって登録又は削除される。STA管理レコードは、新たなSTA4が自装置に帰属したタイミングで登録され、自装置に帰属していたSTA4の帰属が解除されたタイミングで削除される。
【0038】
図5(b)はリクエスト管理テーブル252の具体例を示す図である。リクエスト管理テーブル252は、STA4のMACアドレスごとにリクエスト管理レコードを持つ。リクエスト管理レコードは、MACアドレス、リクエスト転送状況及びNak転送状況の各項目を有する。MACアドレスの項目にはSTA4のMACアドレスの値が登録される。リクエスト転送状況の項目には、当該MACアドレスを持つSTA4に関するDHCP RequestのWLC3への転送状況を示す値が登録される。Nak転送状況の項目には、当該MACアドレスを持つSTA4に対するDHCP Nakパケットの転送状況を示す値が登録される。
【0039】
具体的には、リクエスト転送状況及びNak応答状況の項目には、それぞれ“1”又は“0”の値が登録され、“1”は「転送有り」を表し、“0”は「転送無し」を表す。例えば、図5(b)の例において、MACアドレスが“st:a0:00:00:00:11”であるSTA4のリクエスト管理レコードは、当該STA4に対してDHCP Nakパケットが転送された状況を示している。また、例えば、図5(b)の例において、MACアドレスが“st:a0:00:00:00:12”であるSTA4のリクエスト管理レコードは、当該STA4から送信されたDHCP RequestパケットがWLC3に転送された状況であり、DHCP Nakパケットの応答待ちである状況を示している。リクエスト管理レコードは、DHCP Requestパケットが受信されたタイミング又はDHCP Nakパケットが送信されたタイミングで、DHCP処理部24によって登録又は更新される。
【0040】
図4の説明に戻る。次に、WLC3の機能構成について説明する。
WLC3は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、WLCプログラムを実行する。WLC3は、WLCプログラムの実行によって通信部31、リクエスト転送部32及び記憶部33を備える装置として機能する。なお、WLC3の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。WLCプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。WLCプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0041】
通信部31は、LAN通信インターフェースを用いて構成される。通信部31は第2通信部22を介してAP2と通信する。
【0042】
リクエスト転送部32(第2転送部、転送部)は、AP2によって転送されたDHCP Requestパケットを取得する。リクエスト転送部32は、取得したDHCP Requestパケットをハンドオーバ元のAP2に転送する。また、リクエスト転送部32は、ハンドオーバ元のAP2から送信されたDHCP Nakパケットを取得する。リクエスト転送部32は、取得したDHCP Nakパケットをハンドオーバ先のAP2に転送する。リクエスト転送部32は、DHCP Requestパケット及びDHCP Nakパケットの転送状況を記憶部33の転送管理テーブル332で管理する。
【0043】
記憶部33は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部33は、AP管理テーブル331(アクセスポイント管理情報)及び転送管理テーブル332(転送管理情報)を記憶する。
【0044】
図6は、AP管理テーブル331及び転送管理テーブル332の具体例を示す図である。
図6(a)は、AP管理テーブル331の具体例を示す図である。AP管理テーブル331は、自装置と通信可能なAP2ごとにAP管理レコードを持つ。AP管理レコードは、WAN側IPアドレス及びLAN側MACアドレスの各項目を有する。WAN側IPアドレスの項目には、各AP2のWAN側IPアドレスが登録される。WAN側IPアドレスは、各AP2の上位ネットワーク側のインターフェースに設定されたIPアドレスであり、具体的には、第2通信部22に設定されたIPアドレスである。LAN側IPアドレスの項目には、各AP2のLAN側IPアドレスが登録される。LAN側IPアドレスは、各AP2の下位ネットワーク側のインターフェースに設定されたIPアドレスであり、具体的には、第1通信部21に設定されたIPアドレスである。AP管理レコードは、予めAP管理テーブル331に登録される。
【0045】
図6(b)は、転送管理テーブル332の具体例を示す図である。転送管理テーブル332は、ハンドオーバ先のAP2から転送されたDHCP Requestパケットごとに転送管理レコードを持つ。転送管理レコードは、ハンドオーバ元APのWAN側IPアドレス、STAのMACアドレス、ハンドオーバ先APのWAN側IPアドレス、リクエスト転送状況及びNak転送状況の各項目を有する。ハンドオーバ元APのWAN側IPアドレスの項目には、STA4がハンドオーバする前に帰属していたAP2のWAN側IPアドレスが登録される。STAのMACアドレスの項目には、AP2によって転送されたDHCP Requestパケットの送信元のSTA4のMACアドレスが登録される。ハンドオーバ先APのWAN側IPアドレスの項目には、STA4がハンドオーバした先のAP2のWAN側IPアドレスが登録される。リクエスト転送状況の項目には、DHCP Requestパケットの転送状況を示す値が登録される。Nak転送状況の項目には、DHCP Nakパケットの転送状況を示す値が登録される。転送管理レコードにおけるリクエスト転送状況及びNak転送状況の項目には、AP2のリクエスト管理レコードにおける同項目と同様に、各転送状況の有無を示す“1”又は“0”のいずれかの値が登録される。転送管理レコードは、AP2から送信されるDHCP Requestパケット又はDHCP NakパケットがWLC3により受信されたタイミングで、リクエスト転送部32によって登録又は更新される。
【0046】
図7は、実施形態の無線LANシステム1における、DHCP Requestパケット及びDHCP Nakパケットの転送処理の流れを示すシーケンス図である。
なお、ここでは、ハンドオーバ元のAP2をAP2−1(第1アクセスポイント)、ハンドオーバ先のAP2をAP2−2(第2アクセスポイント)と仮定して説明する。図7のシーケンスは、STA4がAP2−1からAP2−2にハンドオーバし、AP2−2への無線帰属を完了した状態からスタートする。
【0047】
まず、STA4は、ハンドオーバ前に割り当てられたIPアドレスが、ハンドオーバ後にも使用できるか否かを問い合わせるため、AP2−1を宛先としてDHCP Requestパケットを送信する(ステップS301)。
【0048】
AP2−2は、STA4から送信されたDHCP Requestパケットを受信する。このとき、STA4は、AP2−1の無線通信範囲外に移動しており、AP2−1は、STA4から送信されたDHCP Requestパケットを受信しないものと仮定する。AP2−2は、第1転送処理を行うことによって、受信したDHCP RequestパケットをWLC3に転送する(ステップS302)。
【0049】
図8は、第1転送処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、AP2−2は、DHCP Requestパケットを送信したSTA4が自装置に帰属中のSTA4であるか否かを判定する(ステップS401)。
【0050】
具体的には、AP2−2のDHCP処理部24は、取得したDHCP Requestパケットから送信元のSTA4のMACアドレスを取得する。DHCP処理部24は、STA管理テーブル251を参照し、取得したMACアドレスを持つSTA管理レコードを選択する。レコードが選択されなかった場合、DHCP処理部24は、DHCP Requestパケットを送信したSTA4は、自装置に帰属中のSTA4でないと判定する。また、レコードが選択された場合、DHCP処理部24は、DHCP Requestパケットを送信したSTA4は、自装置に帰属中のSTA4であると判定する。
【0051】
DHCP Requestパケットを送信したSTA4が自装置に帰属中のSTA4である場合(ステップS401−YES)、DHCP処理部24は、受信したDHCP Requestパケットに対して通常の応答処理を実行する(ステップS402)。一方、DHCP Requestパケットを送信したSTA4が自装置に帰属中のSTA4でない場合(ステップS401−NO)、DHCP処理部24は、当該STA4のリクエスト管理レコードを更新する(ステップS403)。ここで、当該STA4のリクエスト管理レコードがリクエスト管理テーブル252に登録されていない場合、DHCP処理部24は、当該STA4のリクエスト管理レコードを生成してリクエスト管理テーブル252に登録する。このとき、DHCP処理部24は、リクエスト転送状況の値を“1”、Nak転送状況の値を“0”として、当該リクエスト管理レコードを登録又は更新する。そして、DHCP処理部24は、受信したDHCP RequestパケットをWLC3に転送する(ステップS404)。
【0052】
図7の説明に戻る。WLC3は、第1転送処理(ステップS302)においてAP2−2から転送されたDHCP Requestパケットを受信する。WLC3は、第2転送処理を行うことによって、受信したDHCP Requestパケットをハンドオーバ元のAP2−1に転送する(ステップS303)。
【0053】
図9は、第2転送処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、WLC3のリクエスト転送部32は、受信したDHCP Requestパケットから、ハンドオーバ元のAP2−1のLAN側MACアドレスと、DHCP Requestパケットを送信したSTA4のMACアドレスと、ハンドオーバ先のAP2−2のWAN側IPアドレスと、を取得する(ステップS501)。リクエスト転送部32は、AP管理テーブル331を参照し、取得したAP2−1のLAN側MACアドレスに対応するWAN側IPアドレスを取得する(ステップS502)。
【0054】
リクエスト転送部32は、取得したAP2−1のWAN側IPアドレスと、STA4のMACアドレスと、AP2−2のWAN側IPアドレスと、に基づいて当該STA4のDHCP Requestの転送管理レコードを更新する(ステップS503)。ここで、当該STA4の転送管理レコードが転送管理テーブル332に登録されていない場合、リクエスト転送部32は、当該STA4の転送管理レコードを生成して転送管理テーブル332に登録する。このとき、リクエスト転送部32は、リクエスト転送状況の値を“1”、Nak転送状況の値を“0”として、当該転送管理レコードを登録又は更新する。リクエスト転送部32は、AP2−1のWAN側IPアドレスを宛先として、受信したDHCP Requestパケットを転送する(ステップS504)。
【0055】
図7の説明に戻る。AP2−1は、第2転送処理(ステップS303)においてWLC3から転送されたDHCP Requestパケットを受信する。AP2−1は、Nak応答処理を行うことによって、受信したDHCP Requestパケットの送信元のSTA4に対するDHCP Nakパケットを生成し、WLC3に送信する(ステップS304)。
【0056】
図10は、Nak応答処理の詳細を示すフローチャートである。
AP2−1のDHCP処理部24は、受信したDHCP Requestパケットから送信元のSTA4のMACアドレスを取得する。DHCP処理部24は、取得したMACアドレスに対するDHCP Nakパケットを生成する(ステップS601)。DHCP処理部24は、生成したDHCP NakパケットをWLC3に送信する(ステップS602)。DHCP処理部24は、DHCP Nakパケットを送信すると、STA管理テーブル251を参照し、当該STA4のMACアドレスを持つSTA管理レコードを削除する(ステップS603)。
【0057】
図7の説明に戻る。WLC3は、Nak応答処理(ステップS304)においてWLC3から転送されたDHCP Nakパケットを受信する。WLC3は、第3転送処理を行うことによって、受信したDHCP Nakパケットをハンドオーバ先のAP2−2に転送する(ステップS305)。
【0058】
図11は、第3転送処理の詳細を示すフローチャートである。
WLC3のリクエスト転送部32は、受信したDHCP Nakパケットから応答先のSTA4のMACアドレスを取得する(ステップS701)。リクエスト転送部32は、転送管理テーブル332を参照し、STAのMACアドレスの項目に、DHCP Nakパケットから取得したSTA4のMACアドレスを持つ転送管理レコードを選択する。リクエスト転送部32は、選択した転送管理レコードからハンドオーバ先APのWAN側IPアドレスを取得する(ステップS702)。ここで取得されるハンドオーバ先APのWAN側IPアドレスは、AP2−2のWAN側IPアドレスである。
【0059】
リクエスト転送部32は、取得したAP2−2のWAN側IPアドレスを宛先として、受信したDHCP Nakパケットを転送する(ステップS703)。DHCP Nakパケットを転送すると、リクエスト転送部32は、当該STA4のMACアドレスを持つ転送管理レコードについて、Nak転送状況の値を“1”に更新する(ステップS704)。
【0060】
図7の説明に戻る。AP2−2は、第3転送処理(ステップS305)においてWLC3から転送されたDHCP Nakパケットを受信する。AP2−2は、第4転送処理を行うことによって、受信したDHCP NakパケットをDHCP Requestパケットを送信したSTA4に送信する(ステップS306)。
【0061】
図12は、第4転送処理の詳細を示すフローチャートである。
AP2−2のDHCP処理部24は、受信したDHCP Nakパケットから応答先のSTA4のMACアドレスを取得する(ステップS801)。DHCP処理部24は、取得したMACアドレスを宛先として、受信したDHCP NakパケットをSTA4に送信する(ステップS802)。DHCP Nakパケットを送信すると、DHCP処理部24は、リクエスト管理テーブル252を参照し、当該MACアドレスを持つリクエスト管理レコードについて、Nak応答状況の値を“1”に更新する(ステップS803)。
【0062】
図7の説明に戻る。STA4は、第4転送処理(ステップS306)においてAP2−2から転送されたDHCP Nakパケットを受信する(ステップS307)。STA4は、DHCP Nakパケットを受信すると、ハンドオーバ元のAP2−1によって割り当てられたIPアドレスが使用できなくなったと判断し、新たなIPアドレスを取得するシーケンスに移行する。STA4は、DHCP Discoverパケットを送信した後、図2の一連のシーケンスを経て、AP2−2から新たなIPアドレスを取得する(ステップS101〜ステップS105)。
【0063】
このように構成された実施形態の無線LANシステム1では、ハンドオーバ先のAP2及びWLC3が、ハンドオーバ時にSTA4から送信されるDHCP Requestパケットをハンドオーバ元のAP2に転送する。そして、ハンドオーバ元のAP2によるDHCP Nakパケットの応答をSTA4に転送する。このように、STA4のハンドオーバ時において、ハンドオーバ元のAP2によるDHCP Nakパケットの応答が、ハンドオーバ先のAP2を介してSTA4に転送されることによって、STA4は、DHCP Requestのタイムアウトを待つことなく、DHCP Discoverシーケンスに移行することができる。このような処理を行うことによって、無線LANシステム1は、ハンドオーバ時におけるIPアドレスの再取得に要する時間を、STA側での制御を必要とせずに短縮することが可能となる。
【0064】
<変形例>
上記の無線LANシステム1は、WLC3がNak応答処理を行うように構成されてもよい。この場合、WLC3は、第1転送処理によって転送されたDHCP Requestパケットの送信元のSTA4に応答するDHCP Nakパケットを生成するNak生成部(図示なし)を備える。Nak生成部は、第1転送処理における転送元のAP2に生成したDHCP Nakパケットを送信する。この場合、Nak生成部は、DHCPサーバとしての全ての機能を有する必要はなく、DHCP Nakパケットを生成する機能のみを有すればよい。このように構成された場合、AP2におけるNak応答処理と、WLC3における第2転送処理とが不要となる。そのため、この場合、AP2及びWLC3において、Nak応答処理や第2転送処理にのみ必要な構成が省略されてもよい。
【0065】
また、上記のNak生成部は、AP2に実装されてもよい。この場合、AP2は、自装置以外のAP2を宛先とするDHCP Requestに対して、DHCP Nakパケットを生成して応答する。この場合、Nak生成部は、DHCPサーバの機能の一部として実装されてもよいし、DHCPサーバと異なる機能部として実装されてもよい。このように構成された場合、第1転送処理、第2転送処理、第3転送処理が不要となる。すなわち、この場合、WLC3が不要となる。また、この場合、AP2において、第1転送処理、第2転送処理、第3転送処理にのみ必要な構成が省略されてもよい。
【0066】
AP2及びWLC3は、リクエスト転送状況やNak転送状況に基づいて、エラー検出処理を行うように構成されてもよい。例えば、AP2及びWLC3が、所定のタイミングでリクエスト転送状況やNak転送状況を確認することによって、DHCP Requestパケットを転送したにもかかわらず、DHCP Nakパケットが転送されてこない状況を検出するように構成されてもよい。
【0067】
上述した実施形態におけるAP2及びWLC3をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0068】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1…無線LANシステム、 2,2−1〜2−3…AP(Access Point:アクセスポイント)、 21…第1通信部、 22…第2通信部、 23…通信制御部、 24…DHCP処理部、 25…記憶部、 251…STA管理テーブル、 252…リクエスト管理テーブル、 31…通信部、 32…リクエスト転送部、 33…記憶部、 331…AP管理テーブル、 332…転送管理テーブル、 4,4−1〜4−3…STA(Station:無線端末)、 5…インターネット
【要約】
【課題】ハンドオーバ時におけるIPアドレスの再取得に要する時間を、無線端末側での制御を必要とせずに短縮すること。
【解決手段】実施形態の無線LANシステムは、DHCPサーバとしての機能を有する第1AP及び第2APと、第1AP及び第2APと通信可能なAP管理装置と、を備え、第2APは、無線端末が第1APから自装置に無線帰属を変更した際に送信する、第1APを宛先とするDHCP RequestパケットをAP管理装置に転送し、AP管理装置は、第2のAPから送信されたDHCP Requestパケットを第1APに転送し、第1APは、AP管理装置から送信されたDHCP Requestパケットに対して、前記無線端末に対するDHCP Nakパケットを生成してAP管理装置に送信し、AP管理装置は、第1APから送信されたDHCP Nakパケットを第2APに転送し、第2APは、AP管理装置から送信された前記DHCP Nakパケットを無線端末に転送する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12