特許第6023849号(P6023849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6023849
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20161027BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20161027BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20161027BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   H04W48/16
   H04W36/08
   H04W84/10
   H04M11/00 302
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-97289(P2015-97289)
(22)【出願日】2015年5月12日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西開 宏史
(72)【発明者】
【氏名】田村 元秀
【審査官】 阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−506659(JP,A)
【文献】 特開2013−021598(JP,A)
【文献】 特開2002−010315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ユーザ宅に設けられ基幹ネットワークに接続された通信装置と、前記ユーザ宅に設けられ前記通信装置と無線通信をする端末装置と、前記基幹ネットワークに接続された端末管理サーバとを備える通信システムであって、
前記端末管理サーバは、
前記端末装置ごとに、当該端末装置に予め対応付けられた前記通信装置と、当該端末装置が無線通信できる他の前記通信装置と、当該端末装置とを対応付けた代替接続リストを記憶する第1の記憶部と、
自サーバと前記通信装置との間が不通になると、当該通信装置に予め対応付けられた前記端末装置が無線通信できる他の前記通信装置に対して、代替の接続先として当該端末装置との無線通信を可能にさせる制御を行う第1の制御部と、を備え、
前記端末装置は、
自端末装置が無線通信できる前記通信装置を記憶する第2の記憶部と、
自端末装置に予め対応付けられた前記通信装置を介した前記基幹ネットワークとの通信ができなくなると、前記第2の記憶部に記憶されている前記通信装置を無線通信の接続先に変更する第2の制御部と、を備え、
前記通信装置は、自通信装置を識別する情報を前記端末管理サーバへ送信し、
前記第1の制御部は、前記通信装置から受信する情報を代替先リストに登録し、
前記第2の制御部は、自端末装置が無線通信できる前記通信装置が前記代替先リストに含まれるかを問い合わせ、当該通信装置が前記代替先リストに含まれる場合に、当該通信装置が代替利用可能であると前記第2の記憶部に記憶させる、
通信システム。
【請求項2】
各ユーザ宅に設けられ基幹ネットワークに接続された通信装置と、前記ユーザ宅に設けられ前記通信装置と無線通信をする端末装置と、前記基幹ネットワークに接続された端末管理サーバとを備える通信システムであって、
前記端末管理サーバは、
前記端末装置ごとに、当該端末装置に予め対応付けられた前記通信装置と、当該端末装置が無線通信できる他の前記通信装置と、当該端末装置とを対応付けた代替接続リストを記憶する第1の記憶部と、
自サーバと前記通信装置との間が不通になると、当該通信装置に予め対応付けられた前記端末装置が無線通信できる他の前記通信装置に対して、代替の接続先として当該端末装置との無線通信を可能にさせる制御を行う第1の制御部と、を備え、
前記端末装置は、
自端末装置が無線通信できる前記通信装置を記憶する第2の記憶部と、
自端末装置に予め対応付けられた前記通信装置を介した前記基幹ネットワークとの通信ができなくなると、前記第2の記憶部に記憶されている前記通信装置を無線通信の接続先に変更する第2の制御部と、を備え、
前記第2の制御部は、無線通信している前記通信装置以外に無線通信可能な他の前記通信装置を検出すると、無線通信している前記通信装置、検出した他の前記通信装置及び自端末装置それぞれを識別する代替情報を前記端末管理サーバへ送信し、
前記第1の制御部は、前記端末装置から受信した代替情報に基づいて前記代替接続リストを更新する、
通信システム。
【請求項3】
各ユーザ宅に設けられ基幹ネットワークに接続された通信装置と、前記ユーザ宅に設けられ前記通信装置と無線通信をする端末装置と、前記基幹ネットワークに接続された端末管理サーバとを備える通信システムにおいて行われる通信方法であって、
前記端末管理サーバが、前記端末装置ごとに、当該端末装置に予め対応付けられた前記通信装置と、当該端末装置が無線通信できる他の前記通信装置と、当該端末装置とを対応付けた代替接続リストを記憶する第1の記憶ステップと、
前記端末装置が、自端末装置と無線通信できる前記通信装置を記憶する第2の記憶部に記憶させる第2の記憶ステップと、
前記通信装置が、自通信装置を識別する情報を前記端末管理サーバへ送信する送信ステップと、
前記端末管理サーバは、前記通信装置から受信する情報を代替先リストに登録する登録ステップと、
前記端末装置が、自端末装置が無線通信できる前記通信装置が前記代替先リストに含まれるかを前記端末管理サーバに問い合わせ、当該通信装置が前記代替先リストに含まれる場合に、当該通信装置が代替利用可能であると前記第2の記憶部に記憶させる更新ステップと、
前記端末管理サーバが、自サーバと前記通信装置との間が不通になると、当該通信装置に予め対応付けられた前記端末装置が無線通信できる他の前記通信装置に対して、代替の接続先として当該端末装置との無線通信を可能にさせる制御を行う第1の制御ステップと、
前記端末装置が、自端末装置に予め対応付けられた前記通信装置を介した前記基幹ネットワークとの通信ができなくなると、前記第2の記憶部に記憶されている前記通信装置を無線通信の接続先に変更する第2の制御ステップと、
を含む通信方法。
【請求項4】
各ユーザ宅に設けられ基幹ネットワークに接続された通信装置と、前記ユーザ宅に設けられ前記通信装置と無線通信をする端末装置と、前記基幹ネットワークに接続された端末管理サーバとを備える通信システムにおいて行われる通信方法であって、
前記端末管理サーバが、前記端末装置ごとに、当該端末装置に予め対応付けられた前記通信装置と、当該端末装置が無線通信できる他の前記通信装置と、当該端末装置とを対応付けた代替接続リストを記憶する第1の記憶ステップと、
前記端末装置が、自端末装置と無線通信できる前記通信装置を記憶する第2の記憶部に記憶させる第2の記憶ステップと、
前記端末装置は、無線通信している前記通信装置以外に無線通信可能な他の前記通信装置を検出すると、無線通信している前記通信装置、検出した他の前記通信装置及び自端末装置それぞれを識別する代替情報を前記端末管理サーバへ送信する送信ステップと、
前記端末管理サーバは、前記端末装置から受信した代替情報に基づいて前記代替接続リストを更新する更新ステップと、
前記端末管理サーバが、自サーバと前記通信装置との間が不通になると、当該通信装置に予め対応付けられた前記端末装置が無線通信できる他の前記通信装置に対して、代替の接続先として当該端末装置との無線通信を可能にさせる制御を行う第1の制御ステップと、
前記端末装置が、自端末装置に予め対応付けられた前記通信装置を介した前記基幹ネットワークとの通信ができなくなると、前記第2の記憶部に記憶されている前記通信装置を無線通信の接続先に変更する第2の制御ステップと、
を含む通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基幹ネットワークと加入者宅と接続するアクセスラインにおけるアクセス設備や、加入者宅に備えられアクセス設備に接続された通信装置に故障や不具合が生じた場合、通信装置を介して基幹ネットワークに接続する端末機器は、インターネットなどのWAN側ネットワークに接続することができない。アクセス設備に故障や不具合が生じた場合には、通信装置が接続するアクセス設備を変更することにより、端末装置が通信装置を介してWAN側ネットワークに接続することが可能になる。このような故障等に対応する技術としては、先行技術文献1に記載の技術がある。
【0003】
しかし、WAN側ネットワークへの接続ができない場合において、端末機器を利用するユーザには故障箇所の特定を行うことが困難であるため、適切な復旧対策を行うことが難しいことが多い。また、通信装置の接続先を変更するためには代替経路を取得する必要があるが、ユーザが代替経路を取得できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−58863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、アクセス設備などに故障が生じた場合にユーザの作業を必要とせずに、基幹ネットワークへの接続を可能にする通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、各ユーザ宅に設けられ基幹ネットワークに接続された通信装置と、前記ユーザ宅に設けられ前記通信装置と無線通信をする端末装置と、前記基幹ネットワークに接続された端末管理サーバとを備える通信システムであって、前記端末管理サーバは、前記端末装置がごとに、当該端末装置に予め対応付けられた前記通信装置と、当該端末装置が無線通信できる他の前記通信装置と、当該端末装置とを対応付けた代替接続リストを記憶する第1の記憶部と、自サーバと前記通信装置との間が不通になると、当該通信装置に予め対応付けられた前記端末装置が無線通信できる他の前記通信装置に対して、代替の接続先として当該端末装置との無線通信を可能にさせる制御を行う第1の制御部と、を備え、前記端末装置は、自装置が無線通信できる前記通信装置を記憶する第2の記憶部と、自装置に予め対応付けられた前記通信装置を介した前記基幹ネットワークとの通信ができなくなると、前記第2の記憶部に記憶されている前記通信装置を無線通信の接続先に変更する第2の制御部と、を備える通信システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の通信システムにおいて、前記通信装置は、自装置を識別する情報を前記端末管理サーバへ送信し、前記第1の制御部は、前記通信装置から受信する情報を代替先リストに登録し、前記第2の制御部は、自装置が無線通信できる前記通信装置が前記代替先リストに含まれるかを問い合わせ、当該通信装置が前記代替先リストに含まれる場合に、当該通信装置を前記第2の記憶部に記憶させる。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の通信システムにおいて、前記第2の制御部は、無線通信している前記通信装置以外に無線通信可能な他の前記通信装置を検出すると、無線通信している前記通信装置、検出した他の前記通信装置及び自装置それぞれを識別する代替情報を前記端末管理サーバへ送信し、前記第1の制御部は、前記端末装置から受信した代替情報に基づいて前記代替接続リストを更新する。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の通信システムにおいて、前記通信装置は、前記端末管理サーバとの通信が復旧すると、自装置を識別する情報を前記端末管理サーバへ送信し、前記第1の制御部は、不通になっていた前記通信装置から当該通信装置を識別する情報を受信すると、当該通信装置に予め対応付けられた前記端末装置へ当該通信装置が復旧したことを通知するとともに、当該端末装置に対する代替の接続先の前記通信装置に対して当該端末装置との無線通信を不可能にさせる制御を行う、前記第2の制御部は、自装置に予め対応付けられた前記通信装置が復旧したことの通知を前記端末管理サーバから受けると、自装置の無線通信の接続先を自装置に予め対応付けられた前記通信装置に変更する。
【0010】
また、本発明の一態様は、各ユーザ宅に設けられ基幹ネットワークに接続された通信装置と、前記ユーザ宅に設けられ前記通信装置と無線通信をする端末装置と、前記基幹ネットワークに接続された端末管理サーバとを備える通信システムにおいて行われる通信方法であって、前記端末管理サーバが、前記端末装置がごとに、当該端末装置に予め対応付けられた前記通信装置と、当該端末装置が無線通信できる他の前記通信装置と、当該端末装置とを対応付けた代替接続リストを記憶する第1の記憶ステップと、前記端末管理サーバが、自サーバと前記通信装置との間が不通になると、当該通信装置に予め対応付けられた前記端末装置が無線通信できる他の前記通信装置に対して、代替の接続先として当該端末装置との無線通信を可能にさせる制御を行う第1の制御ステップと、前記端末装置が、自装置と無線通信できる前記通信装置を記憶する第2の記憶部に記憶させる第2の記憶ステップと、前記端末装置が、自装置に予め対応付けられた前記通信装置を介した前記基幹ネットワークとの通信ができなくなると、前記第2の記憶部に記憶されている前記通信装置を無線通信の接続先に変更する第2の制御ステップと、を含む通信方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アクセス設備などに故障が生じた場合にユーザの作業を必要とせずに、基幹ネットワークへの接続が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態における通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】代替通信装置記憶部及び代替接続リスト記憶部に記憶されている情報の一例を示す図である。
図3】ホワイトリスト記憶部が記憶するホワイトリストの一例を示す図である。
図4】接続先記憶部が記憶する接続先テーブルの一例を示す図である。
図5】通信システムが行う登録動作を示すフローチャートである。
図6】通信システムが行う代替動作を示すフローチャートである。
図7】通信システムが行う復旧時動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における通信システム及び通信方法を説明する。図1は、本発明の実施形態における通信システムの構成例を示すブロック図である。通信システムは、端末管理サーバ1と、基幹ネットワーク2と、複数の通信装置3と、複数の端末装置4とを備える。端末管理サーバ1は、基幹ネットワーク2に接続されており、各端末装置4による基幹ネットワーク2への接続の管理及び制御を行う。基幹ネットワーク2は、拠点間を接続し広帯域の通信容量を有するネットワークである。また、基幹ネットワーク2は、インターネットや他のネットワークに接続されている。通信装置3は、ユーザ宅ごとに設けられ、ユーザが利用する端末装置4と基幹ネットワーク2とを接続し、端末装置4と基幹ネットワーク2との間の通信を中継する。通信装置3は、例えば光通信ネットワークにおける光回線終端装置(ONU)や、デジタル加入者線におけるモデムなどである。端末装置4は、例えばユーザが利用する情報端末(PC、スマートフォンなど)や無線LANのアクセスポイントなどである。端末装置4は、通信装置3と行う無線通信を通じて、基幹ネットワーク2を利用した通信を行う。
【0014】
通信システムは、各ユーザ宅に設けられる通信装置3と基幹ネットワーク2との間を通信可能に接続するアクセス設備や、通信装置3に障害や故障が発生した際に、ユーザの作業を必要とせずに、端末装置4から基幹ネットワーク2への接続を可能にするものである。ここで、アクセス設備とは、例えば通信会社の拠点に設置される装置と、当該装置からユーザ宅の通信装置3までの通信回線などである。また、ユーザ宅には、個人の住宅だけでなく、企業等のオフィス、事務所又は倉庫や、公共施設なども含まれる。なお、図1に示す例では、通信装置3と一つの端末装置4とが無線通信する構成を示しているが、一つの通信装置3が複数の端末装置4と無線通信する構成であってもよい。
【0015】
端末管理サーバ1は、代替通信装置記憶部11と、代替接続リスト記憶部12と、有線通信部13と、制御部14とを備える。代替通信装置記憶部11には、ユーザ宅に設けられた通信装置3又は当該通信装置3までのアクセス設備に故障などが発生した際に、当該通信装置3の代替として使用できる他のユーザ宅に設けられた通信装置3を示す情報を含む代替先リストが記憶される。代替接続リスト記憶部12には、ユーザ宅における通信装置3と端末装置4との組み合わせに対して、代替として使用できる他の通信装置3が対応付けられた代替接続リストが記憶されている。
【0016】
図2は、代替通信装置記憶部11及び代替接続リスト記憶部12に記憶されている情報の一例を示す図である。図2(A)には、代替通信装置記憶部11が記憶する代替先リストの一例が示されている。代替先リストは、通信装置3を識別できる情報であって他の通信装置3の代替として端末装置4が通信に使用できる通信装置3を示す情報を含むリストである。代替通信装置記憶部11に記憶される代替先リストには、通信装置3のIPアドレスとMACアドレスとの項目の列がある。代替先リストにおいて、各行が通信装置3それぞれに対応する。代替先リストには、通信装置3ごとに、通信装置3のIPアドレスとMACアドレスとが対応付けられて記憶される。例えば、通信装置3に割り当てられているIPアドレス「aaa.aaa.aaa.aaa」と、当該通信装置3に割り当てられているMACアドレス「aa:aa:aa:aa:aa:aa」とが対応付けられて代替先リストに記憶される。
【0017】
図2(B)には、代替接続リスト記憶部12が記憶する代替接続リストの一例が示されている。代替接続リストには、代替元の通信装置3のIPアドレスと、端末装置4のMACアドレスと、代替先の通信装置3のIPアドレスとの項目の列がある。代替接続リストにおいて、各行が通信装置3の代替関係に対応する。代替接続リストには、代替元の通信装置のIPアドレスと、端末装置のMACアドレスと、代替先の通信装置のIPアドレスとが対応付けられている。同図に示す例では、IPアドレスが「aaa.aaa.aaa.aaa」の通信装置3(以下、通信装置3Aという。)とMACアドレスが「xx:xx:xx:xx:xx:xx」の端末装置4と、IPアドレスが「bbb.bbb.bbb.bbb」の通信装置3(以下、通信装置3Bという。)とが対応付けられている。この代替関係は、端末装置4が通信装置3Aを介して通信を行っている際に、通信装置3Aと基幹ネットワーク2との間のアクセス設備又は通信装置3Aに障害が発生したときには、端末装置4は通信装置3Aに代えて通信装置3Bを利用することを示している。代替接続リストにおいて、代替元の通信装置3と端末装置4とは、通信装置3のユーザに関する情報に基づいて予め対応付けられていてもよい。例えば、ユーザAの宅内に設けられた通信装置3のIPアドレスには、ユーザAが利用する端末装置4(情報端末やアクセスポイントなど)のMACアドレスが対応付けられていてもよい。
【0018】
図1に戻り、通信システムの説明を続ける。有線通信部13は、基幹ネットワーク2と通信可能に接続されている。有線通信部13は、基幹ネットワーク2を介して受信する情報等を制御部14へ出力し、制御部14から出力される情報等を宛先へ基幹ネットワーク2を介して送信する。制御部14は、各通信装置3の死活監視を行う。制御部14は、死活監視により応答を得られない通信装置3を検出すると、当該通信装置3に帰属している端末装置4が他の通信装置3を利用した通信を可能にする制御をする。
【0019】
通信装置3は、ホワイトリスト記憶部31と、有線通信部32と、無線通信部33と、制御部34とを備える。ホワイトリスト記憶部31には、自装置が基幹ネットワーク2への中継対象とする端末装置4を示す情報を含むホワイトリストが記憶される。端末装置4を示す情報としては、MACアドレスが用いられる。なお、端末装置4を識別できる情報であればMACアドレス以外の情報が用いられてもよい。図3は、ホワイトリスト記憶部31が記憶するホワイトリストの一例を示す図である。同図に示すように、ホワイトリストには、端末装置4のMACアドレスが含まれる。なお、ホワイトリストには、通信装置3が設置されるユーザ宅において利用される端末装置4のMACアドレスが予め含まれている。
【0020】
図1に戻り、通信システムの説明を続ける。有線通信部32は、基幹ネットワーク2を介して受信する情報等を制御部34へ出力し、制御部34から出力される情報等を基幹ネットワーク2を介して宛先へ送信する。無線通信部33は、端末装置4と無線通信を行う。無線通信部33は、端末装置4から受信する情報等を制御部34へ出力し、制御部34から出力される端末装置4宛の情報を送信する。制御部34は、端末管理サーバ1の制御を受けて、ホワイトリスト記憶部31におけるホワイトリストを更新する。制御部34は、ホワイトリストに基づいて、無線通信部33から有線通信部32への情報と有線通信部32から無線通信部33への情報とに対するフィルタリングを行う。このフィルタリングは、ホワイトリストに含まれる端末装置4が送信先(宛先)又は送信元になっている情報を通過させ、それ以外の情報を遮断する処理である。すなわち、通信装置3は、ホワイトリストに含まれる端末装置4の情報を、基幹ネットワーク2と端末装置4との間で中継する。
【0021】
端末装置4は、接続先記憶部41と、無線通信部42と、制御部43とを備える。接続先記憶部41には、端末装置4が無線通信可能な通信装置3に関する情報を含む接続先テーブルが記憶される。図4は、接続先記憶部41が記憶する接続先テーブルの一例を示す図である。接続先テーブルには、優先順位と、接続可能な通信装置3のMACアドレスと、通信装置3から受信する信号のRSSI(受信信号強度)と、代替利用可否との項目の列がある。接続先テーブルにおいて、各行が端末装置4から通信可能な通信装置3それぞれに対応する。接続先テーブルには、通信装置3ごとに、優先順位とMACアドレスとRSSIと代替利用可否とが対応付けて記憶される。優先順位「1」には、端末装置4を利用するユーザの宅内に設けられる通信装置3が予め割り当てられる。優先順位「1」の通信装置3に対しては、RSSIと代替利用可否との情報を割り当ててもよいし、省いてもよい。図4においては、優先順位「1」に対するRSSIと代替利用可否とが省かれている。優先順位「2」以降には、代替対象の通信装置3に関するMACアドレスとRSSIと代替利用可否とが割り当てられる。代替利用可否は、当該通信装置3を介して基幹ネットワーク2を利用する通信が可能か否かを示す情報である。同図に示す例では、MACアドレス「bb:bb:bb:bb:bb:bb」を介して基幹ネットワーク2への通信が可能であり、MACアドレス「cc:cc:cc:cc:cc:cc」を介して基幹ネットワーク2への通信が不能である場合が示されている。
【0022】
図1に戻り、通信システムの説明を続ける。無線通信部42は、通信装置3と無線通信を行う。無線通信部42は、通信装置3から受信する情報等を制御部43へ出力し、制御部43から出力される情報等を通信装置3へ送信する。なお、端末装置4が無線LANのアクセスポイントである場合には、無線通信部42は、自装置に接続する他の装置と通信装置3との間の通信を中継する。制御部43は、接続先記憶部41に記憶される接続先テーブルを更新する。制御部43は、接続先テーブルに基づいて接続先の通信装置3を選択し、無線通信部42に対して選択した通信装置3を経由した通信を行わせる。
【0023】
以下、本実施形態における通信システムの登録動作、代替動作及び復旧時動作について説明する。登録動作は、アクセス設備又は通信装置3において故障などの障害が発生する前に行われる動作である。代替動作は、アクセス設備又は通信装置3において障害が発生した際に行われる動作である。復旧時動作は、アクセス設備又は通信装置3が障害から復旧した際に行われる動作である。ここでは、ユーザA宅に通信装置3(以下、通信装置3Aという。)と端末装置4とが設けられ、ユーザA宅の近隣に位置するユーザB宅に通信装置(以下、通信装置3Bという。)が設けられている場合について説明する。
【0024】
図5は、通信システムが行う登録動作を示すフローチャートである。ここでは、新たに通信装置3が設置された場合の動作が一例として示されている。通信システムにおいて、通信装置3が新たに設置され、通信装置3が基幹ネットワーク2に接続されると(ステップS101)、通信装置3の制御部34は、自装置に予め割り当てられているIPアドレスとMACアドレスとを、有線通信部32及び基幹ネットワーク2を介して端末管理サーバ1へ送信する(ステップS102)。端末管理サーバ1では、制御部14が、有線通信部13により受信された通信装置3に関する情報(IPアドレス及びMACアドレス)を、代替通信装置記憶部11の代替先リストに記憶させる(ステップS103)。IPアドレスとMACアドレスとの組み合わせが代替通信装置記憶部11の代替先リストに記憶されることにより、通信装置3は、他の通信装置3において障害が発生した際に他の通信装置3介して通信する端末装置4に対して、他の通信装置3を代替する装置として登録されたことになる。通信装置3において、無線通信部42は、自装置のMACアドレスを含むSSID(Service Set Identifier)を一定周期で送信する(ステップS104)。
【0025】
端末装置4において、無線通信部42は、通信装置3A、3B及び他の通信装置3から送信されるSSIDを受信すると、接続可能な通信装置3に関する情報として制御部43へ出力する(ステップS105)。制御部43は、無線通信部42により受信されたSSIDに含まれるMACアドレスが接続先記憶部41に記憶されているか否かを判定する(ステップS106)。MACアドレスが接続先記憶部41に記憶されている場合(ステップS106:YES)、制御部43は、受信したSSIDに対する処理を終了する。
【0026】
MACアドレスが接続先記憶部41に記憶されていない場合(ステップS106:NO)、制御部43は、受信されたMACアドレスを接続先記憶部41に記憶させる。接続先記憶部41における接続先テーブルにMACアドレスを記憶させることにより、当該MACアドレスに対応する通信装置3が検出済の通信装置3として登録される(ステップS107)。このとき、制御部43は、MACアドレスを含む信号を受信したときのRSSIをMACアドレスに対応付けて接続先テーブルに記憶させる。制御部43は、無線通信部42に対して、検出した通信装置3のMACアドレスを含む代替情報を端末管理サーバ1宛に送信させる制御を行う(ステップS108)。代替情報には、送信元の端末装置4のMACアドレスと、端末装置4が接続している通信装置3のIPアドレスとが含まれる。
【0027】
端末管理サーバ1において、有線通信部13は、通信装置3及び基幹ネットワーク2を介して、端末装置4から代替情報を受信すると、受信した代替情報を制御部14へ出力する。制御部14は、代替情報に含まれる通信装置3のMACアドレスが代替通信装置記憶部11の代替先リストに記憶されているか否かを判定することにより、MACアドレスに対応する通信装置3が他の通信装置3を代替することができる装置であるか否かを判定する(ステップS109)。MACアドレスが代替先リストに記憶されている場合には、MACアドレスに対応する通信装置3は他の通信装置3を代替することができる装置と判定される。MACアドレスが代替先リストに記憶されていない場合には、MACアドレスに対応する通信装置3は他の通信装置3を代替することができない装置と判定される。
【0028】
制御部14は、有線通信部13に対して代替情報の送信元の端末装置4を宛先として判定結果を送信させる制御を行う(ステップS110)。また、制御部14は、MACアドレスが代替先リストに記憶されていた場合、代替接続リスト記憶部12に記憶されている代替接続リストを更新する(ステップS111)。ステップS111における更新は、受信したMACアドレスに対応するIPアドレスと、端末装置4が接続している通信装置3のIPアドレスと、送信元の端末装置4のMACアドレスとを対応付けて記憶させることにより行われる。ここで、受信したMACアドレスに対応するIPアドレスは、代替通信装置記憶部11の代替先リストから取得され、代替先の通信装置のIPアドレスとして扱われる。端末装置4が接続している通信装置3のIPアドレスは、有線通信部13が受信した代替情報が経由した通信装置3のIPアドレスであり、代替元の通信装置のIPアドレスとして扱われる。
【0029】
端末装置4において、無線通信部42は、通信装置3及び基幹ネットワーク2を介して、端末管理サーバ1からMACアドレスに対する判定結果を受信する。制御部43は、無線通信部42により受信された判定結果に応じて、接続先テーブルにおける当該MACアドレスに対応する代替利用可否の項目を更新する(ステップS112)。このとき、制御部43は、RSSIに応じて2番目以降の優先順位をRSSIが高い順に振り直す。
【0030】
図5に示した登録動作におけるステップS105からステップS112までの処理は定期的に繰り返して行われ、端末装置4は近隣に設置される通信装置3に関する情報を接続先テーブルに蓄える。
【0031】
以上のように、通信システムにおいて登録動作が行われることにより、端末管理サーバ1は、通信装置3が故障した際に当該通信装置3を代替できる他の通信装置3を識別することができる。また、端末装置4は、自装置が無線通信可能な通信装置3を検出した際に、検出した通信装置3が代替先として使用できるか否かを端末管理サーバ1に問い合わせた上で、接続先テーブルを作成することができる。端末装置4は、この接続先テーブルを有することにより、自装置が接続している通信装置3などの故障で通信できない状態においても、代替となる通信装置3を選択できる。また、端末装置4は、接続先テーブルに含まれない通信装置3を検出すると、端末管理サーバ1に問い合わせて接続先テーブルを更新する動作を定期的に行う。接続先テーブルの更新を定期的に行うことにより、状況に適した代替となる通信装置3を選択することが可能となる。
【0032】
図6は、通信システムが行う代替動作を示すフローチャートである。ここでは、ユーザA宅に設けられた通信装置3Aを介して端末装置4が基幹ネットワーク2を利用した通信を行っている場合において、通信装置3A又は基幹ネットワーク2と通信装置3Aとを接続するアクセス設備に故障が発生した場合の動作が一例として示されている。このとき、ユーザ宅Aの近隣に位置するユーザ宅Bに設けられた通信装置3Bが、通信装置3Aの代替として、基幹ネットワーク2を利用した通信を端末装置4に提供する。
【0033】
通信システムにおいて、通信装置3A又は通信装置3Aに接続されているアクセス設備に故障が発生すると(ステップS201)、端末装置4における制御部43は、通信装置3Aを介した基幹ネットワーク2の利用ができないことにより、通信装置3Aに接続されているアクセス設備又は通信装置3Aにおける故障発生を検出する(ステップS211)。制御部43は、故障発生を検出すると、無線通信部42に対して通信装置3Aとの接続を解除させる制御を行う(ステップS212)。制御部43は、接続先記憶部41における接続先テーブルに通信装置3に対応するMACアドレスが2つ以上記憶されているか否かを判定する(ステップS213)。接続先テーブルにMACアドレスが2つ以上記憶されていない場合(ステップS213:NO)、制御部43は、代替動作における動作を終了させる。
【0034】
接続先テーブルにMACアドレスが2つ以上記憶されている場合(ステップS213:YES)、制御部43は、接続先テーブルにおける優先順位が2番目のMACアドレスから優先順位が最も低いMACアドレスまで順に、ステップS214とステップS215とを繰り返して行う。制御部43は、接続先テーブルに記憶されているMACアドレスのうち、当該MACアドレスで示される通信装置3への接続が試行されていないMACアドレスがあるか否かを判定する(ステップS214)。接続が試行されていないMACアドレスがない場合(ステップS214:NO)、制御部43は、繰り返しを終了させるとともに、代替動作における動作を終了させる。
【0035】
接続が試行されていないMACアドレスがある場合(ステップS214:YES)、制御部43は、接続が試行されていないMACアドレスのうち最も優先順位が高いMACアドレスで示される通信装置3への接続を試行することで、当該通信装置3と通信可能か否かを判定する(ステップS215)。通信可能である場合(ステップS215:YES)、制御部43は、無線通信部42に対して、通信可能であった通信装置3を接続先として通信を行わせる制御を行う(ステップS216)。通信可能でない場合(ステップS215:NO)、制御部43は、ステップS214及びステップS215の繰り返しを継続させる。
【0036】
端末管理サーバ1において、制御部14は、自サーバと通信装置3Aとの間が不通になることにより、通信装置3Aに接続されているアクセス設備又は通信装置3Aにおける故障発生を検出する(ステップS221)。制御部14は、代替接続リストにおいて、通信装置3AのIPアドレスが代替元の通信装置として記憶されている代替関係のレコードを読み出すことにより、代替先の通信装置3を検出する(ステップS222)。代替先の通信装置3は、読み出された代替関係のレコードにおける代替先の通信装置のIPアドレスで示される通信装置3である。制御部14は、読み出した代替関係のレコードにおける代替先の通信装置のIPアドレスで示される通信装置3宛にホワイトリスト追加要求を送信させる制御を、有線通信部13に対して行う(ステップS223)。
【0037】
ここで、ホワイトリスト追加要求は、代替関係のレコードにおける代替先の通信装置のIPアドレスで示される通信装置3に対して、当該レコードにおける端末装置のMACアドレスをホワイトリストへの追加を要求する情報である。ホワイトリスト追加要求は、ステップS222において検出された全ての代替先の通信装置3に対して送信される。
【0038】
通信装置3Bにおいて、有線通信部32は、受信したホワイトリスト追加要求を制御部34へ出力する。制御部34は、ホワイトリスト追加要求に含まれる端末装置4のMACアドレスを、ホワイトリスト記憶部31におけるホワイトリストに追加する(ステップS224)。通信装置3BにおけるホワイトリストにMACアドレスが追加されたことにより、端末装置4は、通信装置3Bを経由した通信を行うことが可能になる。制御部34は、ホワイトリストに基づいて、無線通信部33により受信される端末装置4の情報等を有線通信部32へ出力するとともに、有線通信部32により受信される端末装置4宛の情報等を無線通信部33へ出力する(ステップS225)。
【0039】
ユーザA宅における端末装置4がユーザB宅に設けられた通信装置3Bへ接続し、通信装置3Bのホワイトリストに端末装置4のMACアドレスを追加することにより、端末装置4は、通信装置3Bを介して基幹ネットワーク2を利用した通信を行うことが可能になる。
【0040】
なお、ステップS211における端末装置4による故障の検出と、ステップS221における端末管理サーバ1による故障の検出とは、例えば通信装置3への通信可否及び通信装置3を経由した通信可否に基づいて行われる。通信可否は、TCP/IPネットワークにおける「ping」コマンドなどを用いて行われる。
【0041】
以上のように、通信システムにおいて代替動作が行われることにより、故障等の障害が発生した箇所の特定や端末装置4に対する設定の変更をユーザAが行わずとも、通信装置3Bを代替にした基幹ネットワーク2への接続を継続させることが可能になる。
【0042】
図7は、通信システムが行う復旧時動作を示すフローチャートである。ここでは、ユーザA宅の通信装置3A又は通信装置3Aに接続するアクセス設備が障害から復旧した場合における動作が一例として示されている。復旧時動作が開始されるとき、ユーザA宅における端末装置4は、図6に示した代替動作により、ユーザB宅に設けられた通信装置3Bを介して通信を行っている。通信装置3A又は通信装置3Aに接続するアクセス設備が障害から復旧すると(ステップS301)、通信装置3Aの制御部34は、有線通信部32に対して、自装置に割り当てられているIPアドレスとMACアドレスとを端末管理サーバ1宛に送信させる制御を行う(ステップS302)。
【0043】
端末管理サーバ1において、有線通信部13は、受信した通信装置3Aに関する情報(IPアドレス及びMACアドレス)を制御部14へ出力する。制御部14は、通信装置3Aに関する情報を代替通信装置記憶部11に記憶させて代替先リストを更新する(ステップS303)。制御部14は、通信装置3AのIPアドレスに対応付けられている端末装置4のMACアドレスを、代替接続リスト記憶部12における代替接続リストから読み出す。このとき、制御部14は、代替元の通信装置のIPアドレスが受信したIPアドレスと一致する代替関係のレコードに含まれる端末装置4のMACアドレスを読み出す。制御部14は、読み出したMACアドレスで示される端末装置4に対して、通信装置3Aが復旧したこと及び通信装置3AのMACアドレスを通知する(ステップS304)。端末装置4宛に送信する復旧等の通知は、読み出した代替関係のレコードに代替先の通信装置のIPアドレスで示される通信装置3を経由して行われる。
【0044】
端末装置4において、無線通信部42が通信装置3Bを介して通信装置3Aの復旧及び通信装置3AのMACアドレスを受信する。制御部43は、受信されたMACアドレスを接続先記憶部41における接続先テーブルの優先順位「1」に対応するMACアドレスとして記憶させ、接続先に関する情報を更新する(ステップS305)。制御部43は、接続先テーブルの更新を完了すると、端末管理サーバ1宛に更新完了の通知を送信させる制御を無線通信部42に対して行う(ステップS306)。
【0045】
端末管理サーバ1において、有線通信部13が端末装置4から更新完了の通知を受信すると(ステップS307)、制御部14は、代替接続リストにおいて、更新完了の通知を送信した端末装置4のMACアドレスを含む代替関係のレコードを読み出すことにより、代替先の通信装置3を検出する。代替先の通信装置3は、読み出された代替関係のレコードにおける代替先の通信装置のIPアドレスで示される通信装置3である。制御部14は、読み出した代替先の通信装置のIPアドレスで示される通信装置3宛にホワイトリスト削除要求を送信させる制御を、有線通信部13に対して行う(ステップS308)。ホワイトリスト追加要求は、更新完了の通知を送信した端末装置4のMACアドレスをホワイトリストからの削除を要求する情報であり、当該端末装置4のMACアドレスを含む情報である。ホワイトリスト削除要求は、ステップS308において検出された全ての代替先の通信装置3に対して送信される。
【0046】
通信装置3Bにおいて、有線通信部32が端末管理サーバ1からホワイトリスト削除要求を受信すると、制御部34は、ホワイトリスト削除要求に含まれるMACアドレスで示される端末装置4に対して、無線通信における接続を解除する(ステップS309)。また、制御部34は、ホワイトリスト削除要求に含まれるMACアドレスを、ホワイトリスト記憶部31におけるホワイトリストから削除する(ステップS310)。ホワイトリストからMACアドレスが削除された端末装置4は、通信装置3Bを介した通信が不可能になる。
【0047】
端末装置4において、制御部43は、端末管理サーバ1から復旧の通知を受信した後に接続先の通信装置3Bとの接続を解除されると(ステップS311)、接続先テーブルにおける優先順位「1」に対応付けられているMACアドレスを読み出す。制御部43は、読み出したMACアドレスで示される通信装置3Aに接続させる制御を、無線通信部42に対して行う(ステップS312)。通信装置3Aは、端末装置4と基幹ネットワーク2との間の通信を中継することにより、端末装置4のWAN側通信を実施する(ステップS313)。
【0048】
なお、障害からの復旧において通信装置3Aを交換する際には、通信装置3AのMACアドレスとIPアドレスとの両方が変更されることになる。しかし、IPアドレスの一部(プレフィックス)をユーザごとに固有の値とすることにより、ステップS304における動作は実行可能である。この場合には、制御部14は、IPアドレスが一致する代替関係のレコードに代えて、IPアドレスのプレフィックスが一致する代替関係のレコードを代替接続リストから読み出すことになる。
【0049】
以上のように、通信システムにおいて復旧時動作が行われることにより、ユーザAが端末装置4又は通信装置3Aに対する設定の変更を行わずとも、通信装置3Aを介した基幹ネットワーク2への接続が可能になる。
【0050】
本実施形態の通信システムによれば、ユーザ宅に設けられる通信装置3(ONU、モデム、ホームゲートウエイなど)やアクセス設備が故障した場合において、ユーザが故障箇所の特定を行ったり、端末装置4(アクセスポイント、PC、スマートフォンなど)の設定を変更したりせずとも、近隣のユーザ宅に設けられた他の通信装置3を介して、基幹ネットワーク2を利用した通信が継続できる。また、故障した通信装置3又はアクセス設備が復旧した際にも、ユーザが端末装置4の設定を変更せずとも、ユーザ宅に設けられる通信装置3への接続に切り替えることができる。
【0051】
上述した実施形態における端末管理サーバ1、通信装置3、端末装置4の全て又は一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。例えば、端末管理サーバ1が備える構成要素それぞれを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した構成要素の一部を実現するためのものであってもよく、更に前述した構成要素をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
【0052】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
アクセス設備などに故障が生じた場合において、ユーザの作業を必要とせずに基幹ネットワークへの接続が不可欠な用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1…端末管理サーバ
2…基幹ネットワーク
3、3A、3B…通信装置
4…端末装置
11…代替通信装置記憶部
12…代替接続リスト記憶部
13…有線通信部
14…制御部
31…ホワイトリスト記憶部
32…有線通信部
33…無線通信部
34…制御部
41…接続先記憶部
42…無線通信部
43…制御部
【要約】
【課題】アクセス設備などに故障が生じた場合にユーザの作業を必要とせずに基幹ネットワークへの接続を可能にする。
【解決手段】通信システムは、基幹ネットワークに接続された各ユーザ宅の通信装置と、ユーザ宅の通信装置と無線通信をする端末装置と、基幹ネットワークに接続された端末管理サーバとを備える。端末管理サーバは、端末装置に予め対応付けられた通信装置と当該端末装置が無線通信できる他の通信装置と当該端末装置とを対応付けた代替接続リストを記憶し、通信装置との間が不通になると当該通信装置に予め対応付けられた端末装置が無線通信できる他の通信装置に対して代替の接続先として当該端末装置との無線通信を可能にさせる制御を行う。端末装置は、自装置が無線通信できる通信装置を記憶し、自装置に予め対応付けられた通信装置を介した基幹ネットワークとの通信ができなくなると記憶している通信装置を無線通信の接続先に変更する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7