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特許6023918車両に基づく測位システムおよびそれを用いる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023918
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】車両に基づく測位システムおよびそれを用いる方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20161027BHJP
   B60L 13/00 20060101ALI20161027BHJP
   G01C 21/16 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   B61L25/02 G
   B60L13/00 E
   G01C21/16
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-522023(P2016-522023)
(86)(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公表番号】特表2016-532859(P2016-532859A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】IB2014063358
(87)【国際公開番号】WO2015022591
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】13/966,798
(32)【優先日】2013年8月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512319830
【氏名又は名称】タレス・カナダ・インク
【氏名又は名称原語表記】THALES CANADA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイサン キミガー
(72)【発明者】
【氏名】ファース ホイットワム
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0216865(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0041549(US,A1)
【文献】 特開2010−91296(JP,A)
【文献】 特開2006−101578(JP,A)
【文献】 特開2007−55371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
B60L 13/00
G01C 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドウェイを走行する車両のための車両に基づく測位システム(VBPS)であって、
前記車両に搭載されている慣性航法システム(INS)であって、前記車両が前記ガイドウェイを走行する間、前記車両の1つまたは複数の慣性パラメータを検出するように構成されており、前記検出される慣性パラメータは、前記車両のロールとピッチとヨーとを含む、INSと、
ガイドウェイデータベースであって、前記ガイドウェイに沿った複数の場所に対応する前記ガイドウェイの慣性パラメータを記憶するように構成されており、前記記憶されている慣性パラメータは、前記ガイドウェイのロールとピッチとヨーとを含む、ガイドウェイデータベースと、
枢要車載制御装置(VOBC)であって、前記検出される慣性パラメータと前記記憶されている慣性パラメータの比較に基づいて前記車両の位置を決定するように構成されているVOBCと
を備え、
前記VOBCは、前記車両によって通過された最新チェックポイントに基づいて前記慣性パラメータと前記記憶されている慣性パラメータの比較を制限するように構成されている。
【請求項2】
請求項1に記載のVBPSであって、前記INSは、少なくとも1つの加速度計と、複数のジャイロスコープとを備える。
【請求項3】
請求項1に記載のVBPSであって、自動速度およびブレーキ制御システムを更に備えており、前記自動速度およびブレーキ制御システムは、移動された距離、時間、および加速度の関数として前記VOBCによって生成された速度信号に応じて前記車両の速度を調整するように構成されている。
【請求項4】
請求項3に記載のVBPSであって、前記VOBCは、外部制御システムまたは内部データベースのどちらかから最大許容速度を決定するように構成されており、前記VOBCは、前記記憶されている慣性パラメータに基づいて、前記最大許容速度を超えないように前記車両の前記速度を制御するように構成されている。
【請求項5】
請求項1に記載のVBPSであって、前記INSは、前記車両の方角、前記車両の方位、または前記車両の高度のうちの少なくとも1つを決定するように更に構成されている。
【請求項6】
請求項1に記載のVBPSであって、前記VBPSは、前記車両の前記決定された位置を外部制御システムに送信するように構成されている。
【請求項7】
請求項1に記載のVBPSであって、前記VOBCは、前記決定された位置に基づいて前記ガイドウェイデータベースを更新するように構成されている。
【請求項8】
有体且つ非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
プロセッサと、
命令を含むメモリとを備え、前記命令は、前記プロセッサによる、
車両に搭載されている慣性航法システム(INS)を用いてガイドウェイを走行する前記車両の慣性パラメータを検出するステップであって、前記検出される慣性パラメータは、前記車両のロールとピッチとヨーとを含む、ステップ、
枢要車載制御装置(VOBC)を用いて、前記検出される慣性パラメータを、ガイドウェイデータベースに記憶された記憶されている慣性パラメータと比較するステップであって、前記記憶されている慣性パラメータは、前記ガイドウェイのロールとピッチとヨーとを含む、ステップ、
前記車両によって通過された最新チェックポイントに基づいて前記検出される慣性パラメータと前記記憶されている慣性パラメータの前記比較を制限するステップ、および
前記比較に基づいて前記車両の位置を識別するステップ
の実行を容易にするように構成されている。
【請求項9】
請求項8に記載の有体且つ非一時的なコンピュータ可読媒体であって、車両の前記慣性パラメータを検出するステップは、少なくとも1つの加速度計および複数のジャイロスコープを用いるステップを含む。
【請求項10】
請求項8に記載の有体且つ非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、前記VOBCによって生成された速度信号に応じて、自動速度およびブレーキ制御システムを用いて、前記車両の速度を制御することの実行を容易にするように更に構成されている。
【請求項11】
請求項10に記載の有体且つ非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、
外部制御システムまたは内部データベースから最大許容速度を受信すること、および
前記記憶されている慣性パラメータに基づいて、前記最大許容速度を超えない前記速度信号を生成すること
の実行を容易にするように更に構成されている。
【請求項12】
請求項8に記載の有体且つ非一時的なコンピュータ可読媒体であって、車両の前記慣性パラメータを検出するステップは、前記車両の方角、前記車両の方位、または前記車両の高度のうちの少なくとも1つを検出するステップを含む。
【請求項13】
請求項8に記載の有体且つ非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、前記車両の前記決定された位置を外部制御システムに送信することの実行を容易にするように更に構成されている。
【請求項14】
請求項8に記載の有体且つ非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、前記決定された位置に基づいて前記ガイドウェイデータベースを更新することの実行を容易にするように更に構成されている。
【請求項15】
ガイドウェイを走行する車両の位置を決定する方法であって、
前記車両に搭載されている慣性航法システム(INS)を用いて前記ガイドウェイを走行する前記車両の慣性パラメータを検出するステップであって、前記検出される慣性パラメータは、前記車両のロールとピッチとヨーとを含む、ステップと、
枢要車載制御装置(VOBC)を用いて、前記検出される慣性パラメータを、ガイドウェイデータベースに記憶された記憶されている慣性パラメータと比較するステップであって、前記記憶されている慣性パラメータは、前記ガイドウェイのロールとピッチとヨーとを含む、ステップと、
前記車両によって通過された最新チェックポイントに基づいて前記検出される慣性パラメータと前記記憶されている慣性パラメータの前記比較を制限するステップと、
前記比較に基づいて前記車両の前記位置を識別するステップと
を含む。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、車両の前記慣性パラメータを検出するステップは、少なくとも1つの加速度計および複数のジャイロスコープを用いるステップを含む。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記VOBCによって生成された速度信号に応じて、自動速度およびブレーキ制御システムを用いて、前記車両の速度を制御するステップ。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
外部制御システムから最大許容速度を受信するステップと、
前記記憶されている慣性パラメータに基づいて、前記最大許容速度を超えない前記速度信号を生成するステップと
を更に含む。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、前記車両の前記決定された位置を外部制御システムに送信するステップを更に含む。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、前記決定された位置に基づいて前記ガイドウェイデータベースを更新するステップを更に含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ガイドウェイネットワーク内の各車両の位置を決定することは、そのガイドウェイネットワーク内で車両の正確な制御および協調移動を維持するために不可欠である。いくつかの解決策では、車軸カウンタまたは軌道回路など、ガイドウェイ上に配置されたガイドウェイ上デバイスを用いて、車両測位情報が生成される。これらのデバイスは、ガイドウェイ上においてガイドウェイ上デバイスの場所に車両が存在することに応じて、位置信号を生成する。ガイドウェイ上デバイスが損傷され、したがって、偽陽性位置信号または偽陰性位置信号が生成される場合、ガイドウェイ上デバイスの場所に作業員が派遣され、修理を実行する。
【0002】
いくつかの他の解決策では、トランスポンダまたは光学機器など、ガイドウェイの沿線(wayside)に沿って配置された沿線デバイスを用いて、車両測位情報が生成される。これらのデバイスは、車両が沿線デバイスの側を通過することに応じて位置信号を生成する。沿線デバイスが損傷され、したがって、偽陽性位置信号または偽陰性位置信号が生成される場合、沿線デバイスの場所に作業員が派遣され、修理を実行する。上記で説明した解決策の各々において、位置情報は、分離制御システムに送信される。この分離制御システムは、ガイドウェイネットワーク内の車両に移動認可(movement authorization)を提供して、車両間の適切な間隔を維持し、ある場所から別の場所への乗客または品物の移送を制御する。位置情報は、車両が停止位置に制御されることを可能にするため、車両移動制御システムにも送信される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
1つまたは複数の実施形態が、限定によってではなく、例として、添付の図面に示されている。これらの図面全体を通じて、同じ参照番号を有する要素は、同じ要素を表す。当業界における標準的な慣例に従い、様々な特徴は原寸に比例して示されておらず、例示のためだけに用いられることが強調される。実際は、図面における様々な特徴の寸法は、説明を明快にするために、恣意的に拡大または縮小されている場合がある。
図1は、1つまたは複数の実施形態による慣性航法システム(INS)のブロック図である。
図2は、1つまたは複数の実施形態による、INSを含む車両に基づく測位システム(VBPS)のブロック図である。
図3は、1つまたは複数の実施形態による、VBPSを実施するための汎用コンピューティングデバイスのブロック図である。
図4は、1つまたは複数の実施形態による、ガイドウェイを走行するVBPSを含む車両の概略図である。
図5は、1つまたは複数の実施形態による、VBPSを動作させる方法の流れ図である。
図6Aは、1つまたは複数の実施形態による、ガイドウェイの区間に沿って動作中のVBPSのグラフである。
図6Bは、1つまたは複数の実施形態による、ガイドウェイの区間に沿って動作中のVBPSのグラフである。
図6Cは、1つまたは複数の実施形態による、ガイドウェイの区間に沿って動作中のVBPSのグラフである。
図6Dは、1つまたは複数の実施形態による、ガイドウェイの区間に沿って動作中のVBPSのグラフである。
図6Eは、1つまたは複数の実施形態による、ガイドウェイの区間に沿って動作中のVBPSのグラフである。
図6Fは、1つまたは複数の実施形態による、ガイドウェイの区間に沿って動作中のVBPSのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の開示は、本発明の異なる複数の特徴を実装するための、多数の異なる実施形態または実施例を提供する。コンポーネントおよび構成の特定の例が、本開示を単純化するために、以下に記載されている。これらは例であって、限定を意図したものではない。
【0005】
ガイドウェイネットワーク内の車両の位置決定によって、ガイドウェイネットワーク全体にわたる車両の効率的な協調移動が可能になる。ガイドウェイ上にある、またはガイドウェイの沿線に沿っているなど、車両に搭載されて設置されてない位置決定機器は、損傷ならびに環境および他の外部条件からの干渉のリスク上昇にさらされている。例えば、いくつかの例では、光送信機と光受信機の間に配置された埃および破片は、偽陽性または偽陰性の結果をもたらす。また、露出された接点の酸化および他の劣化は、環境に露出された位置決定機器についての、より一般的な問題である。測位機器の修理または清掃に費やされる時間および費用は、位置決定機器を車両に搭載して完全に収容することによって著しく削減される。車両の車軸/車輪への接続を減少させるまたはなくすことによって、車両の動作に関する信頼性が増加する。
【0006】
車両に基づく測位システムを含まないいくつかの解決策では、ガイドウェイに取り付けられた機器によって提供される「進路測位」は、正確な測位を提供するために高解像度化を求めてタコメータまたは車輪に取り付けられたセンサによって強化される。
【0007】
車両に基づく測位システム(VBPS)は、車両に搭載されて設置された慣性航法システム(INS)100を含む。図1は、1つまたは複数の実施形態によるINS100のブロック図である。INS100は、複数のセンサから情報を受信し、かつ、トランシーバ104を介して外部制御システム(図示せず)から情報を受信するように構成されているプロセッサ102を含む。複数のセンサは、車両の加速度、方位(heading)、傾き、および振動を計測するように構成されている加速度計106を含む。複数のセンサは、車両の慣性例えばピッチ、ロール、およびヨーの変化を計測するように構成されている慣性計測ユニット(IMU)108を更に含む。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、全地球測位システム(GPS)110、磁力計112、タコメータ114、高度計116、または温度センサ118などのさらなるセンサを含む。
【0008】
プロセッサ102は、複数のセンサから情報を受け取り、この受け取った情報に基づいて、車両の方位、ピッチ、ロール、およびヨーを含む車両の正確な方向(orientation)状態を示す方向信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサ102によって生成される方向信号は、車両の速度、高度、最新チェックポイントから移動された距離、または磁気座標などの追加情報を含む。プロセッサ102は、方向信号をトランシーバ104に送る。プロセッサ104はまた、INS100が二次位置決定システムであるいくつかの実施形態では、作動信号を含む情報をトランシーバ104から受け取るようにも構成されている。プロセッサ102はまた、複数のセンサによる計測値の閾値限度に関する情報を受け取るように構成されている。いくつかの実施形態では、この閾値限度は、それぞれのセンサにおける誤差許容値を決定するために用いられている。いくつかの実施形態では、この閾値限度は、車両に対する衝突、またはガイドウェイからの車両の離脱例えば脱線を決定するために用いられている。
【0009】
トランシーバ104は、プロセッサ102から方向信号を受け取り、方向信号を外部コンポーネントまたは外部ネットワークに送信するように構成されている。トランシーバ104はまた、外部コンポーネントまたは外部ネットワークから情報を受信し、この受信した情報をプロセッサ104に送るように構成されている。
【0010】
加速度計106は、ガイドウェイに沿って車両の加速度を計測するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、計測した加速度を用いて、車両の速度または方位を決定する。加速度計106はまた、車両の傾きおよび振動を計測するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、計測した傾きを用いて、車両が別の物体に衝突されたかどうか、例えば別の車両に横から衝突されたかどうかを決定する。例えば、車両に対する衝突を示す、閾値を上回る検出された傾きの変化率。いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、計測した傾きを用いて、車両がガイドウェイをそれたかどうかを決定する。例えば、計測した傾きが閾値を超える場合、方向信号は、車両がもはやガイドウェイに沿って移動していないことを示す。いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、計測した振動を用いて、ガイドウェイの状態を決定する。例えば、計測した振動が閾値限度を超える場合、プロセッサ102は、ガイドウェイは修理を必要としていると決定する。いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、ガイドウェイに対する修理の必要を示す修理信号を生成する。いくつかの実施形態では、加速度計は、圧電加速度計、レーザ加速度計、または振子型積分ジャイロ加速度計(PIGA:pendulous integrating gyroscopic accelerometer)のうちの少なくとも1つを備える。
【0011】
IMU108は、車両のロール、ピッチ、およびヨーを計測するように構成されている。いくつかの実施形態では、IMU108は、複数のジャイロスコープおよび/または加速度計を備える。いくつかの実施形態では、IMU108と加速度計106が結合されて、単一のセンサ構成を形成する。いくつかの実施形態では、IMU108は、重力の方向に対する車両のロール、ピッチ、およびヨーを決定する。いくつかの実施形態では、IMU108は、車両の方角、方位、および高度も決定する。いくつかの実施形態では、IMU108は、計測したロール、ピッチ、およびヨーにおける誤差を減少させる重力センサを更に含む。いくつかの実施形態では、温度検知素子がIMU108に含まれる。この温度検知素子は、温度により誘発された、決定された値における変動を考慮することによって、IMU108に較正を提供する。
【0012】
GPS110は、車両の経度および緯度を計測するように構成されている。いくつかの実施形態では、GPS110は、車両の場所の粗推定を提供するために用いられている。いくつかの実施形態では、GPS110は、INS100に基準点を提供することによってIMU108の計測値における誤差を減少させるために用いられており、したがって、位置決定における軽微な誤差はINSにおいて蓄積しない。
【0013】
いくつかの実施形態では、磁力計112は、IMU108の計測値を較正する助けとなる重力の方向を計測するように構成されている。いくつかの実施形態では、磁力計112は、地球の磁場に基づいて車両の経度および緯度の粗推定を決定するために用いられる。いくつかの実施形態では、磁力計112は、回転コイル磁力計、ホール効果磁力計、磁気抵抗デバイス、または別の適切な磁力計などのベクトル磁力計を備える。
【0014】
タコメータ114は、車両の車輪の回転の数を計測するように構成されている。車輪の回転の数は、いくつかの実施形態では、最新チェックポイントから移動された距離を推定するために用いられる。いくつかの実施形態では、車輪回転の速度は、車両の速度を決定するために用いられる。いくつかの実施形態では、タコメータ114は、光アイソレータスロテッドディスクセンサ(opto−isolator slotted disk sensor)、ホール効果センサ、または別の適切なタコメータを備える。
【0015】
高度計116は、特定のポイント例えば海面を基準にして車両の高度を計測するように構成されている。いくつかの実施形態では、高度計116は、IMU108の計測値を較正するために用いられている。いくつかの実施形態では、高度計116は、気圧高度計、全地球測位システム、または別の適切な高度計を備える。
【0016】
温度センサ118は、ガイドウェイを取り囲む外部環境の温度を計測するように構成されている。いくつかの例では、ガイドウェイの温度は、ガイドウェイの完全性に影響を及ぼす。例えば、ガイドウェイの温度が増加するにつれて、ガイドウェイは、車両の通過から生じる変形を起こしやすくなる。いくつかの実施形態では、温度は、車両の最大許容速度を決定するために用いられている。いくつかの実施形態では、温度センサ118は、サーモスタット、サーミスタ、熱電対、または別の適切な温度検知素子を備える。
【0017】
INS100は、ガイドウェイに沿った任意のポイントにおける車両の慣性パラメータを検出するように構成されている。INS100からの情報を用いることにより、VBPSは、INSから取得された車両の検出された慣性パラメータをガイドウェイデータベースに記憶されているデータと比較することによって、ガイドウェイに沿った車両の位置を決定することができる。いくつかの実施形態では、ガイドウェイデータベースは、ガイドウェイの記憶されている慣性パラメータを含むガイドウェイの三次元地図を含む。車両の検出された慣性パラメータとガイドウェイの記憶されている慣性パラメータの比較によって、ガイドウェイに沿った車両の位置が得られる。
【0018】
いくつかの実施形態では、ガイドウェイデータベースが、ガイドウェイに沿って、INS例えばINS100を含む検査車両を走行させることによって生成される。さらなる位置決定システムが、検査車両のINSによって検出された慣性パラメータをガイドウェイに沿った位置と相関させるために用いられる。この情報は相互参照され、ガイドウェイデータベースに記憶される。いくつかの実施形態では、検査車両は、ガイドウェイデータベースに記憶される慣性パラメータの精度を増加させるために、ガイドウェイに沿って複数回走行する。
【0019】
図2は、1つまたは複数の実施形態によるINS202を含むVBPS200のブロック図である。いくつかの実施形態では、INS202はINS100(図1)と同じである。VBPS200は、ガイドウェイデータベース204を更に含む。ガイドウェイデータベース204は、ガイドウェイに沿った位置と相互参照される、記憶される慣性パラメータを含む。VBPS200は、枢要車載制御装置(VOBC:vital on−board controller)206を更に含む。VOBC206は、INS202からの検出された慣性パラメータを、ガイドウェイデータベース204からのガイドウェイの記憶されている慣性パラメータと比較するように構成されている。VOBC206はまた、自動速度およびブレーキ制御システム208を制御するための信号を生成するように構成されている。VOBC206はまた、決定された位置情報を、車両の外部にある集中型または分散型の制御システム210に送信するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、VOBC206は、システム内の安全度水準4(SIL4)を有するあらゆる枢要機械上でバックグラウンドプロセスを実行することによって実施されており、このバックグラウンドプロセスは、通信トラフィックをリッスンし、VOBCの構成プロファイルによって識別される重要なデータを収集する。いくつかの実施形態では、SIL4は、少なくとも1つの実施形態では、国際電気標準会議(IEC)の規格IEC61508に基づいている。SIL水準4は、1時間あたりの故障確率が10−8〜10−9であることを意味する。
【0021】
いくつかの実施形態では、VOBC206は、検出された慣性パラメータおよび決定された位置を用いて、ガイドウェイデータベース204の記憶されている慣性パラメータを改良する。例えば、時間がたつにつれて、ガイドウェイのアラインメントは、いくつかの例では、ガイドウェイ上の摩耗により変化する。いくつかの例では、検出された慣性パラメータが、車両の現在の通過に関しては、記憶されている慣性パラメータの誤差許容値内にあるが、その車両(または異なる車両)のその後の通過は誤差許容値外になる。いくつかの例では、検出された慣性パラメータが、誤差許容値内で、記憶されている慣性パラメータのいずれにも合致しない場合、VOBC206は、車両の位置を決定することができなくなる。いくつかの実施形態では、VOBC206が車両の位置を決定することができない場合、VOBCは、車両にブレーキをかけて停止位置に止める信号を生成する。車両の位置を決定した後でVOBC206がガイドウェイデータベース204を更新する実施形態では、車両の位置を決定することができないリスクが低減される。
【0022】
いくつかの実施形態では、VOBC206は、最新チェックポイントに基づく比較のために、いくつかの記憶されている慣性パラメータを制限する。いくつかの実施形態では、最新チェックポイントとしては、駅、転轍機、ランドマーク、アンテナ、またはガイドウェイの特色のある他の特徴がある。最新チェックポイントに基づく比較のために記憶される慣性パラメータの数を制限することによって、VOBC206は、車両の位置を決定するための演算時間を短縮する。VOBC206は、比較をガイドウェイのより小さな部分に制限することによって、ガイドウェイデータベース204内の複数の合致を識別するリスクを減少させることもできる。
【0023】
自動速度およびブレーキ制御システム208は、ガイドウェイに沿った車両の移動を制御するために用いられている。いくつかの実施形態では、VOBC206が車両の位置を決定することができない場合、VOBCは、位置が決定されるまで、車両にブレーキをかけて停止位置に止めるように信号を自動速度およびブレーキ制御システム208に送信する。いくつかの実施形態では、VOBC206が車両の位置を決定することができない場合、VOBCは、位置が決定されるまで、車両を減速させて車両を次のチェックポイントで停車させる信号を自動速度およびブレーキ制御システム208に送信する。
【0024】
ガイドウェイの区間は、ガイドウェイの機械的性質に基づいて最大許容速度を有する。例えば、いくつかの例では、レールを有するガイドウェイにおいて、最大許容速度は、レール間の距離を変化させるために加えられる最大の力に基づいて決定される。ガイドウェイデータベース204は、ガイドウェイの記憶されている慣性パラメータ例えば旋回時のガイドウェイのバンク角度を含むので、VBPS200は、他の位置検出システムに勝る利点を提供する。バンク角度は、レール上で作用する圧縮力に対してレール間の距離を変化させるために加えられる力の一部分に影響を及ぼす。その結果は、バンク角度はガイドウェイデータベース204の記憶されている慣性パラメータに基づいて既知なので、車両の速度は増加可能であるというものである。
【0025】
いくつかの実施形態では、VOBC206は、ガイドウェイデータベース204を用いて、車両の前方のガイドウェイの一部分の記憶される慣性パラメータを決定し、所定の最大許容速度よりも速い速度で車両を動作させるように自動速度およびブレーキ制御システム208に信号を送る。速度を増加させることによって、輸送における効率の増加が可能になり、乗客の移動時間が短縮される。
【0026】
いくつかの実施形態では、集中型または分散型の制御システム210は、ガイドウェイに沿った複数の車両から位置情報を受信し、受信した位置情報に基づいて車両の各々に移動認可を提供する。いくつかの実施形態では、集中型または分散型の制御システム210は、車両に最大許容速度情報を提供する。いくつかの実施形態では、VOBC206は、ガイドウェイデータベース204の記憶されている慣性パラメータに基づいて、集中型または分散型の制御システム210から受信した最大許容情報速度を無効にすることが許可されている。
【0027】
図3は、1つまたは複数の実施形態によるVBPS300を実施するための汎用コンピューティングデバイスのブロック図である。いくつかの実施形態では、VBPS300はVBPS200(図2)に類似している。VBPS300は、ハードウェアプロセッサ302と、コンピュータプログラムコード306すなわち実行可能な命令のセットで符号化されている、すなわちそれらを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体304とを含む。コンピュータ可読記憶媒体304は、VBPS300の要素とインターフェースするための命令307でも符号化されている。プロセッサ302は、バス308を介してコンピュータ可読記憶媒体304に電気的に結合されている。プロセッサ302は、バス308によってI/Oインターフェース310にも電気的に結合されている。ネットワークインターフェース312はまた、バス308を介してプロセッサ302にも電気的に接続されている。ネットワークインターフェース312はネットワーク314に接続されており、したがって、プロセッサ302およびコンピュータ可読記憶媒体304は、ネットワーク314を介して、外部要素例えば自動速度およびブレーキ制御システム208または集中型または分散型の制御システム210(図2)に接続および通信することができる。いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース312は、光通信、マイクロ波通信、誘導ループ通信、または他の適切な通信経路などの異なる通信経路と置き換えられる。ガイドウェイデータベース316も、バス308を介してプロセッサ302に電気的に接続されている。ガイドウェイデータベース316は、ガイドウェイの慣性パラメータを記憶する。INS318も、バス308を介してプロセッサ302に電気的に接続されている。INS318は、車両の慣性パラメータを検出するように構成されている。プロセッサ302は、VBPS300をINS100(図1)、VBPS200(図2)、または方法500(図5)に関して説明されている動作の一部または全部を実行するために使用可能にするため、コンピュータ可読記憶媒体304において符号化されているコンピュータプログラムコード306を実行するように構成されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、プロセッサ302は、中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、分散処理システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または適切な処理ユニットである。いくつかの実施形態では、プロセッサ302は、ネットワークインターフェース312を介して外部回路に送信するために、位置情報信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサ302は、ネットワークインターフェース312を介して外部回路に送信するために、速度信号またはブレーキ信号を生成するように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体304は、電気、磁気、光、電磁、赤外線、および/もしくは半導体システム(または装置またはデバイス)である。例えば、コンピュータ可読記憶媒体304は、半導体もしくはソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、および/または光ディスクを含む。光ディスクを用いるいくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体304は、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスクリード/ライト(CD−R/W)、および/またはデジタルビデオディスク(DVD)を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、記憶媒体304は、INS100(図1)、VBPS200(図2)、または方法500(図5)に関して説明されている動作をVBPS300に実行させるように構成されたコンピュータプログラムコード306を記憶する。いくつかの実施形態では、記憶媒体304は、方位パラメータ320、距離パラメータ322、ロールパラメータ324、ピッチパラメータ326、ヨーパラメータ328、磁気座標330、最新チェックポイントパラメータ332、および速度パラメータ334など、INS100、VBPS200、もしくは方法500に関して説明されている動作を実行するために必要とされる情報、かつ/またはINS100、VBPS200、もしくは方法500に関して説明されている動作を実行する実行可能命令のセットも記憶する。
【0031】
いくつかの実施形態では、記憶媒体304は、外部コンポーネントとインターフェースするための命令307を記憶する。命令307は、プロセッサ302が、INS100、VBPS200、または方法500に関して説明されている動作を効果的に実施するように、外部コンポーネントによって読取り可能な動作命令を生成することを可能にする。
【0032】
VBPS300は、I/Oインターフェース310を含む。I/Oインターフェース310は、外部回路に結合されている。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース310としては、キーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、トラックパッド、かつ/または情報およびコマンドをプロセッサ302に通信するためのカーソル方向キーがある。
【0033】
VBPS300は、プロセッサ302に結合されたネットワークインターフェース312も含む。ネットワークインターフェース312は、VBPS300がネットワーク314と通信することを可能にし、ネットワーク314には、1つまたは複数の他のコンピュータシステムが接続されている。ネットワークインターフェース312は、BLUETOOTH、WIFI、WIMAX、GPRS、もしくはWCDMAなどの無線ネットワークインターフェース、またはイーサネット、USB、もしくはIEEE−1394などの有線ネットワークインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、INS100、VBPS200、または方法500に関して説明されている動作が2つ以上のVBPS300において実施され、方位、距離、ロール、ピッチ、ヨー、磁気座標、最新チェックポイント、および速度などの情報が、ネットワーク314を介して異なるVBPS300間で交換される。
【0034】
VBPS300は、プロセッサ302に結合されたガイドウェイデータベース316も含む。ガイドウェイデータベース316は、ガイドウェイの位置と相互参照されるガイドウェイの慣性パラメータを記憶する。ガイドウェイデータベース316は、VBPS300が、記憶されている慣性パラメータに基づいて車両の位置を決定することを可能にする。いくつかの実施形態では、ガイドウェイデータベース316はガイドウェイデータベース204(図2)と同じである。
【0035】
VBPS300は、プロセッサ302に結合されたINS318も含む。INS318は、ガイドウェイに沿って移動する車両の慣性パラメータを検出する。INS318は、VBPS300が、INS318の検出された慣性パラメータをガイドウェイデータベース316の記憶されている慣性パラメータと比較することによってガイドウェイ上の車両の位置を決定することを可能にする。いくつかの実施形態では、INS318はINS100(図1)と同じである。いくつかの実施形態では、INS318はINS202(図2)と同じである。
【0036】
VBPS300は、方位に関連する情報をINS318から受け取るように構成されている。この情報は、ガイドウェイに沿った車両の移動の方向を決定するため、バス308を介してプロセッサ302に転送される。方位は、次に、コンピュータ可読媒体304に方位パラメータ320として記憶される。VBPS300は、最新チェックポイントから移動された距離に関連する情報をI/Oインターフェース310またはネットワークインターフェース312を介して受け取るように構成されている。この情報は、最新チェックポイントから移動された距離を決定するため、バス308を介してプロセッサ302に転送される。移動された距離は、次に、コンピュータ可読媒体304に距離パラメータ322として記憶される。VBPS300は、車両のロールに関連する情報をINS318から受け取るように構成されている。この情報は、コンピュータ可読媒体304にロールパラメータ324として記憶される。VBPS300は、車両のピッチに関連する情報をINS318から受け取るように構成されている。この情報は、コンピュータ可読媒体304にピッチパラメータ326として記憶される。VBPS300は、車両のヨーに関連する情報をINS318から受け取るように構成されている。この情報は、コンピュータ可読媒体304にヨーパラメータ328として記憶される。VBPS300は、磁気座標に関連する情報を、NS318を通して受け取るように構成されている。この情報は、コンピュータ可読媒体304に磁気座標パラメータ330として記憶される。VBPS300は、車両によって通過された最新チェックポイントに関連する情報をI/Oインターフェース310またはネットワークインターフェース312を介して受け取るように構成されている。この情報は、コンピュータ可読媒体304に最新チェックポイントパラメータ332として記憶される。VBPS300は、車両の速度に関連する情報を、INS318を通して受け取るように構成されている。この情報は、コンピュータ可読媒体304に速度パラメータ334として記憶される。
【0037】
動作中、プロセッサ302は、コンピュータ可読媒体304に記憶されているパラメータとガイドウェイデータベース316の記憶されている慣性パラメータの比較に基づいてガイドウェイに沿って車両の位置を決定する命令のセットを実行する。いくつかの実施形態では、プロセッサ302は、最新チェックポイントパラメータ332を用いて、コンピュータ可読媒体304に記憶されているパラメータとガイドウェイデータベース316の記憶されている慣性パラメータとの比較の範囲を制限する。
【0038】
いくつかの実施形態では、プロセッサ302は、コンピュータ可読媒体304に記憶されているパラメータおよびガイドウェイデータベース316の記憶されている慣性パラメータに基づいて車両速度を調整するかどうかを決定する命令のセットを実行する。いくつかの実施形態では、プロセッサ302は、VBPS300が別個の位置検出システムとの通信の中断を経験しているどうかを決定する命令のセットを実行する。
【0039】
図4は、1つまたは複数の実施形態によるガイドウェイ420を走行するVBPSを含む車両410の概略図である。車両410には、VBPS例えばVBPS200(図2)またはVBPS300(図3)が搭載されている。いくつかの実施形態では、VBPSは、一次位置検出システムとして用いられており、車両410の起動時に始まって動作する。いくつかの実施形態では、VBPSは二次位置検出システムであり、別個の位置検出システムとの通信の喪失に続いて起動される。いくつかの実施形態では、VBPSは二次位置検出システムであり、車両410の起動から作動されている。
【0040】
図4の例では、VBPSは、別個の位置検出システムとの通信の喪失に続いて作動される二次位置検出システムとして用いられている。時間t0において、車両410は、別個の位置検出システムとの通信を失う。時間t0では、信号は、例えばトランシーバ104(図1)を通してVBPSのINSに送信され、車両410のロール、ピッチ、ヨー、および方位などの慣性パラメータを検出し始める。いくつかの実施形態では、VBPSは、二次位置決定システムとして動作しているときですら、慣性パラメータを連続的に検出する。慣性パラメータを連続的に検出することによって、別個の位置検出システムとの通信の喪失に続く車両410の位置のより迅速な決定が可能になるが、INSによる電力消費量が増加する。
【0041】
時間t1において、INSが、車両410の慣性パラメータを検出する。INSは、検出された慣性パラメータを、例えばトランシーバ104を介して、搭載されている制御装置例えばVOBC206(図2)に送る。VBPSは、INSからの検出された慣性パラメータを、ガイドウェイデータベース例えばガイドウェイデータベース204(図2)またはガイドウェイデータベース316(図3)からの記憶されている慣性パラメータと比較する。あらかじめ定義された誤差許容値内で合致がいったん決定されると、VBPSは、車両410の位置をガイドウェイ420に沿った位置P5であると明確に識別する。いくつかの実施形態では、VBPSは、例えば自動速度およびブレーキ制御システム208(図2)を用いて車両410の速度を制御するために、位置情報を用いる。いくつかの実施形態では、VBPSは、識別された位置を外部制御システム例えば集中型または分散型の制御システム210(図2)に送信する。
【0042】
いくつかの実施形態では、VBPSは、演算時間を短縮し、ガイドウェイデータベースの記憶されている慣性パラメータとの複数の合致を識別するリスクを減少させるため、上記の比較を、最新チェックポイントである駅Aと次のチェックポイントである駅Bの間のガイドウェイの部分に限定する。
【0043】
時間t2において、INSが、慣性パラメータの第2のセットを検出する。VBPSは、慣性パラメータの検出された第2のセットをガイドウェイデータベースの記憶されている慣性パラメータと比較し、車両410が位置P6にあると決定する。いくつかの実施形態では、INSは、慣性パラメータを連続的に検出する。いくつかの実施形態では、INSは、慣性パラメータを定期的に検出する。いくつかの実施形態では、この定期的な検出は経過時間に基づく。いくつかの実施形態では、この定期的な検出は、移動された推定距離に基づく。
【0044】
図5は、いくつかの実施形態によるVBPSを動作させる方法500の流れ図である。任意選択の動作502において、搭載されている制御装置例えばVOBC206(図2)が、別個の位置決定システムとの通信が失われているかどうかを決定する。動作502は、VBPSが二次位置検出システムとして機能する実施形態に含まれる。動作502は、VBPSが一次位置検出システムとして機能する実施形態には含まれない。別個の位置決定システムとの通信が失われていない場合、動作502が繰り返される。別個の位置決定システムとの通信が失われている場合、方法500は動作504に進む。
【0045】
動作504では、最新チェックポイントが決定される。いくつかの実施形態では、チェックポイントは、ガイドウェイに沿った駅である。いくつかの実施形態では、チェックポイントは、アンテナ、転轍機、または何らかの他の適切なランドマークである。いくつかの実施形態では、最新チェックポイントは、VBPSが外部ソース、例えば集中型または分散型の制御システム210(図2)から受信した情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、最新チェックポイントは、チェックポイントに対応する、ガイドウェイデータベースに記憶されている慣性パラメータとINSによって検出された慣性パラメータとの比較に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、VBPSは、最新チェックポイントを用いて、ガイドウェイデータベースに記憶されている慣性パラメータの比較の範囲を制限する。比較の範囲を制限することによって、演算時間が短縮され、複数の合致を識別するリスクが比較中に生じる。
【0046】
動作506において、VBPSは、検出された慣性パラメータをINSから受け取る。検出される慣性パラメータとしては、ガイドウェイ上の車両の方位、ロール、ピッチ、およびヨーがある。いくつかの実施形態では、検出される慣性パラメータとしては、磁気座標、高度、最新チェックポイントから移動された距離、車両の速度、または他の適切な慣性パラメータもある。いくつかの実施形態では、INSは、加速度計を用いて方位を検出する。いくつかの実施形態では、INSは、IMUを用いてロール、ピッチ、およびヨーを検出する。いくつかの実施形態では、IMUは、複数のジャイロスコープを備える。いくつかの実施形態では、INSは、ロール、ピッチ、およびヨーを検出するために用いられるIMUを用いて、方位を検出する。いったんINSが慣性パラメータを検出すると、INSは、検出された慣性パラメータを、例えばトランシーバ104(図1)を通して、VBPSに送信する。
【0047】
動作508において、VBPSは、INSからの検出された慣性パラメータを、ガイドウェイデータベース例えばガイドウェイデータベース204(図2)またはガイドウェイデータベース316(図3)からの記憶されている慣性パラメータと比較する。いくつかの実施形態では、VBPSは、記憶されている慣性パラメータの比較の範囲を、動作504で決定された最新チェックポイントに基づいて制限する。いくつかの実施形態では、VBPSは、最初に、検出された慣性パラメータのうちのいくつかを、記憶されている慣性パラメータと比較する。いくつかの実施形態では、比較は、プロセッサ例えばプロセッサ402(図4)を用いて実行される。
【0048】
動作510において、VBPSは、動作508における比較に基づいて、少なくとも1つの位置合致を識別する。いくつかの実施形態では、検出された慣性パラメータが、記憶されている慣性パラメータのあらかじめ定義された誤差許容値内にある場合、VBPSは合致を識別する。いくつかの実施形態では、あらかじめ定義された誤差許容値は1%未満の差である。いくつかの実施形態では、あらかじめ定義された誤差許容値は0.5%未満の差である。いくつかの例では、VBPSは、検出された慣性パラメータに合致する複数の位置を識別する。いくつかの実施形態では、VBPSは、車両の方位に基づいて最新チェックポイントと次のチェックポイントとの間の記憶されている慣性パラメータに比較の範囲を制限することによって、複数の位置合致を識別するリスクを減少させる。
【0049】
動作512において、VBPSは、動作510からの少なくとも1つの識別された位置合致に基づいて車両の位置を識別する。動作510において単一の位置合致が識別される場合、VBPSは、車両位置を、識別された位置合致と識別する。いくつかの実施形態では、VBPSは、検出された慣性パラメータと記憶されている慣性パラメータとの間の差の最小量に基づいて、位置を決定する。いくつかの実施形態では、動作510において複数の位置合致が識別された場合、VBPSは、高度、磁気座標、または最新チェックポイントから移動された距離などのさらなる検出された慣性パラメータを用いて、車両位置を識別する。
【0050】
動作514において、VBPSは、車両位置を制御システム例えば集中型または分散型の制御システム210に報告する。いくつかの実施形態では、VBPSは、通信ネットワーク例えばネットワーク314(図3)を用いて車両位置を報告する。いくつかの実施形態では、VBPSは、無線通信、誘導ループ通信、または他の適切な通信方法を用いて車両位置を報告する。
【0051】
動作516において、VBPSは、識別された車両位置に基づいて車両の速度を調整する。いくつかの実施形態では、VBPSが、車両の位置を識別することができない場合、VBPSは、例えば自動速度およびブレーキ制御システム208(図2)を用いて車両にブレーキをかけて停止位置に止める信号を生成する。いくつかの実施形態では、VBPSは、識別された車両位置を用いて、車両の前方のガイドウェイの構成を決定する。VBPSは、この車両の前方のガイドウェイの構成に基づいて、最高許容可能速度を決定する。いくつかの実施形態では、決定されたVBPSの最高許容可能速度は、外部制御システムによって提供される最高許容可能速度を無効にする。いくつかの実施形態では、VBPSは、別個の位置決定システムとの通信が再確立されるまで、車両を減速させる。いくつかの実施形態では、VBPSは、次のチェックポイントに停止するように車両の速度を制御する。
【0052】
任意選択の動作518において、VBPSは、動作512において識別された位置に基づいてガイドウェイを更新する。いくつかの実施形態では、検出された慣性パラメータと記憶されている慣性パラメータとの差が更新閾値を下回る場合、動作518が実行される。いくつかの実施形態では、更新閾値は0.5%未満の差である。いくつかの実施形態では、更新閾値は0.25%未満の差である。いくつかの実施形態では、VBPSは、動作514において、車両位置を制御システムに報告することに加えて、ガイドウェイデータベースに対する更新を制御システムに報告する。
【0053】
当業者は、方法500の動作が例に過ぎないこと、そして、さらなる動作を含むことができることを認識し、方法500の範囲から逸脱することなく動作が除去可能であること、そして、動作の順序が調整可能であることを説明するであろう。
【0054】
少なくとも1つの実施形態による車両に基づく位置システムは、ブレーキおよび推進によって移動を自律的に制御する機能を有する車両とともに使用可能であり、車両の移動は、線路、レール、またはガイドウェイ(これらのうちのすべては上記ではガイドウェイと呼ばれている)のいずれかによって限定される。システムは、常に車両の十分な離隔距離を維持する助けとなる。システムは、駅、駐車場などの特定の場所における車両の正確な停止も提供する。停止精度は、システムによって変えることができる。いくつかの実施形態では、停止精度は±15cm程度である。
【0055】
図6Aは、ガイドウェイの区間に沿った記憶されている回転行列605のグラフである。図6Aは、三次元ガイドウェイデータベース例えば三次元ガイドウェイデータベース204(図2)または三次元ガイドウェイデータベース316(図3)の記憶されている慣性パラメータの非限定的な例である。
【0056】
図6Bは、最新チェックポイントから第1の位置P1まで検出された慣性パラメータに基づいて生成された検出された回転行列610のグラフである。VBPSは、検出された回転行列610をIMU例えばIMU100(図1)から受け取り、検出された回転行列610を記憶されている回転行列605と比較する。この比較に基づいて、VBPSは、車両がガイドウェイに沿って第1の位置P1にあると決定する。
【0057】
図6Cは、最新チェックポイント例えば第1の位置P1から第2の位置P2までの検出された慣性パラメータに基づいて生成された検出された回転行列615のグラフである。VBPSは、検出された回転行列615をIMU例えばIMU100から受け取り、検出された回転行列615を記憶されている回転行列605と比較する。この比較に基づいて、VBPSは、車両がガイドウェイに沿って第2の位置P2にあると決定する。
【0058】
図6Dは、最新チェックポイント例えば第2の位置P2から第3の位置P3までの検出された慣性パラメータに基づいて生成された検出された回転行列620のグラフである。VBPSは、検出された回転行列620をIMU例えばIMU100から受け取り、検出された回転行列620を記憶されている回転行列605と比較する。この比較に基づいて、VBPSは、車両がガイドウェイに沿って第3の位置P3にあると決定する。
【0059】
図6Eは、最新チェックポイント例えば第3の位置P3から第4の位置P4までの検出された慣性パラメータに基づいて生成された検出された回転行列625のグラフである。VBPSは、検出された回転行列625をIMU例えばIMU100から受け取り、検出された回転行列625を記憶されている回転行列605と比較する。この比較に基づいて、VBPSは、車両がガイドウェイに沿って第4の位置P4にあると決定する。
【0060】
図6Fは、最新チェックポイント例えば第4の位置P4から第5の位置P5までの検出された慣性パラメータに基づいて生成された検出された回転行列630のグラフである。VBPSは、検出された回転行列630をIMU例えばIMU100から受け取り、検出された回転行列630を記憶されている回転行列605と比較する。この比較に基づいて、VBPSは、車両がガイドウェイに沿って第5の位置P5にあると決定する。
【0061】
本明細書の一態様は、ガイドウェイを走行する車両のための車両に基づく測位システム(VBPS)に関する。VBPSは、車両に搭載されている慣性航法システム(INS)であって、車両がガイドウェイを走行する間、車両の慣性パラメータを検出するように構成されており、この検出される慣性パラメータは車両のロールとピッチとヨーとを含む、INSを含む。VBPSは、ガイドウェイデータベースであって、ガイドウェイに沿った複数の場所におけるガイドウェイの慣性パラメータを記憶するように構成されており、この記憶される慣性パラメータは、ガイドウェイのロールとピッチとヨーとを含む、ガイドウェイデータベースを更に含む。VBPSは、枢要車載制御装置(VOBC)であって、検出される慣性パラメータと記憶される慣性パラメータの比較に基づいて車両の位置を決定するように構成されているVOBCを更に含む。VOBCは、車両によって通過された最新チェックポイントに基づいて慣性パラメータと記憶される慣性パラメータの比較を制限するように構成されている。
【0062】
本明細書の別の態様は、コンピュータ可読媒体に関する。このコンピュータ可読媒体は、プロセッサと、命令を含むメモリとを含む。この命令は、車両に搭載されている慣性航法システム(INS)を用いてガイドウェイを走行する車両の慣性パラメータを検出することの、プロセッサによる実行を容易にするように構成されており、検出される慣性パラメータは、車両のロールとピッチとヨーとを含む。この命令は、枢要車載制御装置(VOBC)を用いて、検出される慣性パラメータを、ガイドウェイデータベースに記憶された記憶されている慣性パラメータと比較することの実行を容易にするように更に構成されており、記憶されている慣性パラメータは、ガイドウェイのロールとピッチとヨーとを含む。この命令は、車両によって通過された最新チェックポイントに基づいて検出される慣性パラメータと記憶される慣性パラメータの比較を制限することと、この比較に基づいて車両の位置を識別することの実行を容易にするように更に構成されている。
【0063】
本明細書の更に別の態様は、ガイドウェイを走行する車両の位置を決定する方法に関する。この方法は、車両に搭載されている慣性航法システム(INS)を用いてガイドウェイを走行する車両の慣性パラメータを検出することであって、この検出される慣性パラメータは、車両のロールとピッチとヨーとを含む、ことを含む。この方法は、枢要車載制御装置(VOBC)を用いて、検出される慣性パラメータを、ガイドウェイデータベースに記憶された記憶されている慣性パラメータと比較することであって、記憶されている慣性パラメータは、ガイドウェイのロールとピッチとヨーとを含む、ことを更に含む。この方法は、車両によって通過された最新チェックポイントに基づいて検出される慣性パラメータと記憶される慣性パラメータの比較を制限することを更に含む。方法は、この比較に基づいて車両の位置を識別することを更に含む。
【0064】
開示の実施形態が、上記に記載した利点のうちの1つまたは複数を満たすことは、当業者によって容易に理解されるであろう。前述の仕様を読めば、当業者ならば、本明細書で大まかに開示される等価物および様々な他の実施形態の様々な変更、置き換えに影響を及ぼすことができるであろう。したがって、本明細書で与えられる保護は、添付の特許請求の範囲およびその等価物に含まれる定義によってのみ制限されることが意図されている。
図1
図2
図3
図5
図4
図6