特許第6023922号(P6023922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6023922-内視鏡 図000002
  • 特許6023922-内視鏡 図000003
  • 特許6023922-内視鏡 図000004
  • 特許6023922-内視鏡 図000005
  • 特許6023922-内視鏡 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6023922
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   A61B1/00 300P
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-546061(P2016-546061)
(86)(22)【出願日】2016年3月1日
(86)【国際出願番号】JP2016056276
【審査請求日】2016年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-98450(P2015-98450)
(32)【優先日】2015年5月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】舘林 貴明
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−330529(JP,A)
【文献】 特開2006−320366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びるよう形成され被検体内に挿入される挿入部と、
この挿入部の先端に配置された観察窓を有し、少なくとも前記観察窓が観察対象に接触した状態での観察が可能な観察と、
前記観察部の長手方向における基端側に配置され、前記観察部の観察視野に向けて照明光を照射する照明窓と、
前記観察窓に向けて流体を噴出すると共に、頭頂部が前記長手方向における前記観察窓と前記照明窓の間に配置されたノズルと、
を具備したことを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記観察窓は、前記長手方向に対し略直交して形成された第1先端面に配置され、前記ノズルは、前記第1先端面に隣接し、該第1先端面よりも基端側にて前記長手方向に対し略直交して形成された第2先端面に配置され、前記照明窓は、前記第1先端面および前記第2先端面に隣接し、前記頭頂部よりも基端側にて前記長手方向に対し略直交して形成された第3先端面に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載された内視鏡。
【請求項3】
前記ノズルの噴出口は、前記観察窓に向け開口していることを特徴とする、請求項に記載された内視鏡。
【請求項4】
前記照明窓は複数設けられ、前記観察部の前記観察対象の接触観察と非接触観察の切り換えは操作ワイヤを操作して行なわれ、前記観察部の前記観察窓の両側に位置する二つの前記照明窓の中心を結ぶ直線は、前記観察部の前記観察窓の中心と前記操作ワイヤの中心とを結ぶ直線と交差することを特徴とする、請求項に記載された内視鏡。
【請求項5】
前記操作ワイヤは線状部材で形成され、前記挿入部の基端側から延出して前記観察部と連結され、前記挿入部の長手方向に進退されることで前記観察部の焦点切り換えを行なうことを特徴とする、請求項に記載された内視鏡。
【請求項6】
前記線状部材の先端を、前記ノズルと前記観察部との間に配設したことを特徴とする、請求項5に記載された内視鏡。
【請求項7】
前記線状部材の先端を、前記挿入部の基端側から延出して前記ノズルの基端部と連結される送気送水管路と、前記挿入部の基端側から延出して前記観察部と連結される信号線との間に配設したことを特徴とする、請求項に記載された内視鏡。
【請求項8】
前記第1先端面と前記第2先端面と前記第3先端面のそれぞれの隣接部分は、それぞれ斜面で形成して連結したことを特徴とする、請求項に記載された内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象物に対して接触状態での観察と非接触状態での観察とが切り換え自在な内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、対物光学系の焦点を切り換えて、観察対象物に対して接触状態での観察と非接触状態での観察とが切り換え自在な内視鏡が実用化されている。例えば、特許文献1には、被検体に挿入するための挿入部の先端の突出段部の平面に被検体を接触あるいは近接状態で観察する観察部の観察窓と、観察部の観察視野に向けて照明光を照射する照明系の照明窓が配設され、接触状態での観察と非接触状態での観察が切り換え自在な内視鏡が開示されている。
【0003】
日本国特開2008−86664号公報に開示されるような内視鏡の技術においては、例えば、体腔内等の内視鏡観察を行なう場合、照明系の照明窓と観察部の観察窓とが同じ面にあるため、観察部の観察窓を体腔内等の観察部位に接触させて長時間観察したときに、照明窓も同じく観察部位に接触して観察部位の生体粘膜等が照明光の熱の影響を受けてしまうおそれがある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、観察部の観察窓を体腔内等の観察部位に接触させて長時間観察したとしても、熱の影響を観察部位に与えること無く、観察を十分に行なうことができる観察性の向上した内視鏡を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による内視鏡は、長手方向に延びるよう形成され被検体内に挿入される挿入部と、この挿入部の先端に配置された観察窓を有し、少なくとも前記観察窓が観察対象に接触した状態での観察が可能な観察と、前記観察部の長手方向における基端側に配置され、前記観察部の観察視野に向けて照明光を照射する照明窓と、前記観察窓に向けて流体を噴出すると共に、頭頂部が前記長手方向における前記観察窓と前記照明窓の間に配置されたノズルとを具備したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施の第1形態による、内視鏡システム全体の概略構成図である。
図2】本発明の実施の第1形態による、内視鏡先端面の正面図である。
図3図2のIII−III要部断面図である。
図4図2のIV−IV要部断面図である。
図5図3のV−V要部断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0008】
図1において、符号1は内視鏡システムを示し、この内視鏡システム1は、内視鏡2と、内視鏡2に照明光を供給する照明系の光源装置3と、内視鏡2に対する信号処理を行なう信号処理装置としてのプロセッサ4と、プロセッサ4に接続されたモニタ5と、送気送水を行なう送気送水装置6と、内視鏡2先端面の前方に送水を行なう前方送水装置7とを備えて構成されている。
【0009】
内視鏡2は、被検体として、例えば体腔内に挿入する細長な挿入部11と、挿入部11の基端に連結される操作部12と、操作部12の側部から延出するユニバーサルケーブル13とを有している。ユニバーサルケーブル13の端部に設けられたコネクタ14は、光源装置3に着脱自在に接続される。また、コネクタ14は、スコープケーブル8を介してプロセッサ4に接続されている。
【0010】
また、内視鏡2の挿入部11は長手方向に沿って延びる細長に形成されており、その先端に形成される硬質の先端部15と、先端部15の基端に形成される湾曲部16と、湾曲部16の基端から操作部12まで形成される可撓性を備えた可撓管部17とを有する。
【0011】
内視鏡2の湾曲部16には、挿入部11の軸方向に沿って図示しない円環状の複数の湾曲駒が回動自在に連設されている。各湾曲駒は、その内周面に四つのパイプ状のワイヤ受けが溶着等によって固設されている。四つのワイヤ受けは、挿入軸周りにそれぞれが略90°ずらされた位置において、一つの湾曲駒の内周面に固定されている。
【0012】
また、これら複数の湾曲駒には、それらの外周を覆うように細線のワイヤ等を筒状に編み込んだ図示しない湾曲ブレードが被せられている。更に、この湾曲ブレードの外側には、水密を保つように外皮21が被せられている(図3および図4参照)。
【0013】
そして、先端部15、湾曲部16および可撓管部17からなる挿入部11は、全長に渡って一体となるように外皮21により被覆されている。この外皮21の先端外周部分は、図3図4に示すように、先端部15に、例えば糸巻きされたのち接着された糸巻き接着部22により固着されている。
【0014】
また、挿入部11内には、湾曲部16を湾曲操作する図示しない4本の湾曲操作ワイヤが挿通されている。これら4本の湾曲操作ワイヤの先端部分はそれぞれ、先端部15内に設けられた固定環の四つの固定部により、挿入軸周りに略90°にずらされて保持固定されている。更に、4本の各湾曲操作ワイヤはそれぞれ、湾曲駒の内周面の各ワイヤ受けに挿通されている。そして、4本の各湾曲操作ワイヤはそれぞれ、湾曲部16から可撓管部17の内部を通り、基端側の操作部12に向かって延出されている。また、固定環は、後述する先端部15の補強環15bの内周側に挿嵌されている。
【0015】
尚、上述した湾曲操作ワイヤはそれぞれ、基端部が操作部12内に設けられた図示しない湾曲操作機構に連結されている。操作部12には、上述した湾曲操作ワイヤを牽引して湾曲操作機構を駆動するための、図示しない操作ノブが配設されている。
【0016】
そして、操作ノブの操作により、4本の湾曲操作ワイヤがそれぞれ交互に牽引又は弛緩され、湾曲部16が4方向へ湾曲操作される。これら4方向とは、モニタ5に表示される内視鏡画像の上下左右の4方向に相当するものである。
【0017】
図2は、内視鏡2の挿入部11の先端部15の端面(先端面)23の正面図を示し、この先端部15の先端面23は、挿入部11の長手方向に対して略直交する方向の面となっている。
【0018】
そして、この先端面23には、第1先端面23a、第2先端面23b、そして第3先端面23cがそれぞれ隣接して形成されている。これら各先端面23a〜23cの隣接部分は斜面で連結されている。
【0019】
第1先端面23aには、観察対象に接触した状態での観察と非接触状態での観察とが切り換え自在な、後述する観察部28の観察光学系115における観察窓としての対物レンズ118が設けられている。
【0020】
また、第2先端面23bには、噴出口34aが対物レンズ118に向け開口され、内視鏡2の挿入部11の基端側から先端部に向けて流体を噴出する送気送水ノズル34が設けられている。
【0021】
更に、第3先端面23cには、観察部の観察視野に向けて照明光を照射する第1照明部29の第1照明窓29bおよび第2照明部30の第2照明窓30bが対物レンズ118の両側に設けられている。
【0022】
その他、本実施の形態では、先端部15の先端面23には、処置具挿通チャンネル(鉗子チャンネルともいう)33の先端開口部33aと、洗浄水等の流体供給用の前方送水用の管路(前方送水チャンネル)31の管路開口部31aとが配設されている(図5参照)。
【0023】
上述の各先端面23a〜23cは、それぞれ挿入部11の長手方向に対して異なる位置に形成されている。以下に第1先端面23a、第2先端面23b、そして第3先端面23cの位置関係について説明する。
【0024】
図3および図4中の2点鎖線は、上述の各先端面23a〜23cにおける挿入部11の長手方向に対して略直交する方向の位置を示している。対物レンズ118が設けられる第1先端面23aの位置をH1、送気送水ノズル34が設けられる第2先端面23bの位置をH2、第1照明窓29bおよび第2照明窓30bが設けられる第3先端面23cの位置をH3として示している。更に、これら各先端面23a〜23cの位置に加えて、送気送水ノズル34の頭頂部34bの頭頂面の位置をH4として示している。図3および図4からも明らかなように、長手方向に沿って先端側に最も突出した位置(H1)に第1先端面23aが形成され、それより基端側の位置(H4)に送気送水ノズル34の頭頂部34bが形成されている。さらに基端側の位置(H3)に第3先端面23cが形成されている。そして最も基端側の位置(H2)に第2先端面23bが形成されている。
【0025】
このため、最も先端方向に突出された第1先端面23aの対物レンズ118を被観察対象に良好に接触させ易くなる。また、例え観察対象の観察面に対して斜めに接する(あるいは、異なる深さで接する)場合であっても、送気送水ノズル34における頭頂部34bの頭頂面(H4)が観察対象と接触し、第1照明窓29bおよび第2照明窓30bが設けられる第3先端面23c(H3)が観察対象に接触することを確実に防止する。このため、例え観察部の観察窓を体腔内等の観察部位に接触させて長時間観察したとしても、熱の影響を観察部位に与えること無く、観察を十分に行なうことができ、観察性の向上を図ることができる。
【0026】
なお、本実施形態では、第2先端面23bを第3先端面23cよりも長手方向に沿って基端側に設けているが、送気送水ノズル34における頭頂部34bの頭頂面が第1照明窓29bおよび第2照明窓30bよりも先端側に位置していれば良い。よって、第2先端面23bと第3先端面23cとの長手方向に沿った位置が同じでも良く、さらに述べれば、第3先端面23cよりも第2先端面23bが長手方向に沿った先端側に設けられていても良い。
【0027】
さらに、送気送水ノズル34の頭頂部34bにおける長手方向の位置を、観察窓である対物レンズ118の位置(即ち第1先端面23aの位置)と同じにしても、上述した作用効果と同様の作用効果を奏するものである。
【0028】
次に、本実施の形態の内視鏡2の挿入部11の先端部に配設される各部について詳しく説明する。
【0029】
図3図4に示すように、挿入部11の先端部15内には、硬質な金属からなる円柱部材(先端硬性部材)15aと、この円柱部材15aの基端側外周部を外嵌する円環状の補強環15bが配設されている。円柱部材15aには、挿入部11の軸方向と平行な複数、本実施の形態では六つの孔である第1貫通孔15a1乃至第6貫通孔15a6(図3中には第1貫通孔15a1と第6貫通孔15a6のみを示す)が形成されている。補強環15bの基端部分は、前述した最先端の湾曲駒と連結されている。
【0030】
また、第1貫通孔15a1乃至第3貫通孔15a3は、観察部28と、第1照明部29および第2照明部30とそれぞれ対応する部位に形成されており、それぞれ、観察部28、第1照明部29および第2照明部30の各構成要素が組み込まれている。
【0031】
更に、第4貫通孔15a4乃至第6貫通孔15a6は、処置具挿通チャンネル33の先端開口部33aと、送気送水ノズル34と、流体供給用の管路30の開口部30aとそれぞれ対応する部位に形成されており、それぞれ、処置具挿通チャンネル33の管路、送気送水ノズル34、前方送水用の管路30の構成要素が組み込まれている。
【0032】
また、円柱部材15aの先端面および円柱部材15aの先端側外周部には先端カバー24が外嵌される状態で装着されている。
【0033】
第5貫通孔15a5の先端に設けられる送気送水ノズル34は、略L字形状に曲げられた管状部材である。この送気送水ノズル34の先端部は、観察部28の観察光学系115における対物レンズ118に向けて配置されている。具体的には、送気送水ノズル34の先端開口部の噴出口34aは対物レンズ118が設けられる第1先端面23aと、該第1先端面23aと隣接する送気送水ノズル34が設けられる第2先端面23bとの間の斜面を流体の第1先端面23aへのガイド面として対向配置されている。
【0034】
尚、送気送水ノズル34は、図1に示すように、その先端側が合流して一つに形成されている送気送水管路106に接続され、送気送水管路106の基端側が送気管路106aと送水管路106bに分岐している。そして、この送気送水管路106は、挿入部11、内視鏡2の操作部12およびユニバーサルケーブル13を経由してコネクタ14まで挿通しており、送気送水装置6に接続される。尚、図1中、内視鏡2の操作部12に記した符号109は送気送水を行なう送気送水スイッチを示す。
【0035】
次に、観察部28について説明する。
【0036】
観察部28には、接離兼用型の観察光学系115が設けられている。この接離兼用型の観察光学系115は、合焦位置を標準位置から近接位置の間で変更可能なレンズユニット116と、このレンズユニット116の後方に配置された電気部品ユニット117とを有している。
【0037】
レンズユニット116の最先端部分が対物レンズ118となっている。そしてレンズユニット116の内部には、撮影光軸に対して進退可能な移動光学ユニットとして、移動レンズ枠119とこれに支持される移動レンズ120を有する。
【0038】
レンズユニット116の内部には移動レンズ枠119撮影光軸に沿って進退可能に保持するガイド空間121が設けられている。このガイド空間121の後方にも図示しないレンズが配設されている。
【0039】
以上のように構成される観察光学系115に対し、移動レンズ枠119には、該移動レンズ枠119aを撮影光軸に沿って進退させる操作ワイヤ126の先端部が固定されている。
【0040】
この操作ワイヤ126は、挿入部11の基端側から延出して観察部28と連結し、挿入部11の長手方向に進退させて観察部28の焦点位置切り換えを行なう線状部材で形成されている。
【0041】
そして、内視鏡2の操作部12に設けられる図示しないレバーがユーザーにより操作されることにより、操作ワイヤ126が撮影光軸方向に対して進退駆動される。
【0042】
このとき、操作ワイヤ126が先端方向に押し出される操作にともない移動レンズ枠119は、前方(標準位置方向)に向けて移動される。逆に、操作ワイヤ126が手元側方向に引っ張られる操作にともない移動レンズ枠119は、手元側(近接位置方向)に向けて移動される。
【0043】
すなわち、移動レンズ枠119が前記ガイド空間121の最後端位置以外の位置に移動されている状態が、観察対象に対して非接触状態で観察する範囲(通常観察モード)に設定されている。そして、移動レンズ枠119がガイド空間121の最後端位置に移動された状態が、観察対象に対して接触状態で観察する観察位置(モニタ観察倍率で200倍乃至1000倍程度の対象物接触観察モード)に設定されている。これにより、図示しないレバーの操作によって移動レンズ枠119が観察対象に対して非接触状態で観察する観察位置(通常観察モード)と、観察対象に対して接触状態で観察する観察位置(対象物接触観察モード)とに切り換え可能になっている。
【0044】
前述した如く、レンズユニット116の後端部には電気部品ユニット117が連設されている。電気部品ユニット117は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の撮像素子122と、回路基板123とを有する。更に、撮像素子122の前面の受光面側には、カバーガラス124が設けられている。
【0045】
カバーガラス124はレンズユニット116の後端に固定されている。これにより、レンズユニット116と、電気部品ユニット117とが一体化された接離兼用型の観察光学系115が形成される。
【0046】
回路基板123は、後端部分の側方に電気部品および配線パターンを有し、この配線パターンに信号ケーブル125における複数の信号線の先端が半田付け等の手段によって接続されている。更に、カバーガラス124、撮像素子122、回路基板123および信号ケーブル125の先端部分は、それぞれの外周部が一体的に絶縁封止樹脂等により覆われている。
【0047】
そして、レンズユニット116から撮像素子122に結像される光学像が撮像素子122によって電気的な画像信号に光電変換され、その画像信号が回路基板123に出力される。更に、回路基板123から出力される光学像の電気信号が信号ケーブル125を介して後続の電気機器であるプロセッサ4に伝送される。
【0048】
また、図1に示すように撮像素子122の信号ケーブル125は、挿入部11、操作部12、ユニバーサルケーブル13の内部を順次介してコネクタ14内に延出されている。コネクタ14内にはリレー基板86が内蔵されている。このリレー基板86には信号ケーブル125の基端部が接続されている。そして、信号ケーブル125は、コネクタ14内のリレー基板86を介して信号ケーブル87と接続されている。
【0049】
更に、コネクタ14のリレー基板86は、コネクタ14内の信号ケーブル87およびスコープケーブル8内の信号線88を介してプロセッサ4内の観察光学系115の撮像素子122を駆動するドライブ回路110、リレー基板86を介して撮像素子122から出力される撮像信号に対して信号処理を行なう信号処理回路111、信号処理回路111等の動作状態を制御する制御回路89等と接続されている。
【0050】
次に、図4を基に、照明系を構成する第1照明部29および第2照明部30について説明する。
【0051】
第1照明部29および第2照明部30は、略同一に構成されている。第1照明部29および第2照明部30には、それぞれ第1照明レンズ群29aおよび第2照明レンズ群30aの後端部に照明光を伝送する第1ライトガイド31aおよび第2ライトガイド31bの先端部分が配設されている。第1ライトガイド31aおよび第2ライトガイド31bは、先端部分に図示しない円筒部材が被せられ、複数のファイバ繊維を束ねている外皮と、例えばゴア素材である保護チューブとにより被覆されている。
【0052】
本実施の形態では、第1ライトガイド31aおよび第2ライトガイド31bは、例えば内視鏡2の操作部12内で1本のライトガイド束31から分岐され、挿入部11において2本に分割された状態で挿通されている。2本に分割された第1ライトガイド31aおよび第2ライトガイド31bの先端部は、先端カバー24に設けられた二つの照明窓、すなわち、第1照明窓29bおよび第2照明窓30bを含む第1照明レンズ群29aおよび第2照明レンズ群30aの背面近傍にそれぞれ対向配置され、円柱部材15aの第2貫通孔15a2と、第3貫通孔15a3の後端部に、例えば、ねじ止め固定されている。
【0053】
図1に示すように、ライトガイド束31は、挿入部11、内視鏡2の操作部12、ユニバーサルケーブル13の内部を順次介してコネクタ14内に延出されている。ライトガイド束31の基端部側は、コネクタ14から突出するライトガイド束コネクタの入射端部96に接続されている。そして、このライトガイド束コネクタの入射端部96が光源装置3に着脱可能に接続されている。
【0054】
そして、光源装置3の照明ランプ97からの照明光がライトガイド束コネクタの入射端部96に照射され、ライトガイド束31を介して導光される照明光が第1照明レンズ群29aおよび第2照明レンズ群30aを介して内視鏡2の前方に出射されるようになっている。
【0055】
尚、本実施の形態では、第1照明部29および第2照明部30により観察対象視野に照明光を照射する例で説明したが、三つ以上の照明部により観察対象視野に照明光を照射するように構成しても良い。
【0056】
一方、先端部15の円柱部材15aに形成される第4貫通孔15a4には基端部側から処置具挿通チャンネル33に連通する連通管の先端部分が挿嵌されている。この連通管の基端部は円柱部材15aの後方に突出され、この連通管の基端部分に処置具挿通チャンネル33の先端部が連結されている。この処置具挿通チャンネル33の先端は、連通管を介して先端カバー24の先端開口部33aに連通されている。
【0057】
この処置具挿通チャンネル33は、挿入部11の基端付近で分岐し、一方は内視鏡2の操作部12に配設される図示しない処置具挿入口まで挿通している。また他方は、挿入部11およびユニバーサルケーブル13内を通って吸引チャンネルに連通し、その基端がコネクタ14を介して図示しない吸引手段に接続される。
【0058】
また、先端部15の円柱部材15aに形成される第6貫通孔15a6には、後端部側から略円筒状の図示しない管部材の先端部分が挿嵌されている。この管部材の基端部は円柱部材15aの後方に突出され、この管部材の基端部分に前方送水用管路30の先端部が連結されている。尚、前方送水用管路30の先端部は管部材の基端部分を覆い、先端部分が糸巻きにより接続固定されている。
【0059】
この前方送水用管路30は、挿入部11、内視鏡2の操作部12およびユニバーサルケーブル13を通って、コネクタ14まで挿通しており、前方送水装置7に接続される。この前方送水用管路30の中途部には、内視鏡2の操作部12において、図示しない前方送水ボタンが介装されている。
【0060】
そして、この前方送水ボタンが操作されると、挿入部11の先端カバー24の開口部30aから体腔への挿入方向に向かって滅菌水等の液体が吹き付けられる。これにより、体腔内の被検部位に付着した体液等を洗浄することができる。尚、図1に示すように、前方送水装置7から延出するケーブルにフットスイッチ7aが接続されており、このフットスイッチ7aの操作により、ユーザーは、挿入部11の先端カバー24の開口部30aから体腔への挿入方向に向かって滅菌水等の液体を吹き付けることもできる。
【0061】
以上の内視鏡2の構成により、内視鏡2の操作部12には、コネクタ14内のリレー基板86と信号線113a,113bを介して接続される制御スイッチ112a,112bと、送気送水ボタン109と、図示しない湾曲操作ノブと、観察光学系115の合焦位置変更操作を行なう図示しないレバーと、図示しない前方送水ボタンと、上述の図示しない処置具挿通口とが設けられている。
【0062】
また、内視鏡2の挿入部11の先端部15には、上述のように観察部28と、この観察部28の焦点切り換えを行なう操作ワイヤ126と、第1照明窓29bおよび第2照明窓30bと、送気送水管路106と連結される送気送水ノズル34とが配設される。
【0063】
そして、これらを前述した如く配設することにより、図5に示すように、観察光学系115における対物レンズ118の両側に位置する二つの照明窓、すなわち、第1照明窓29bおよび第2照明窓30bの中心(図5中、点Pa1、点Pa2)を結ぶ直線Laは、対物レンズ118の中心(図5中、点Pb1)と操作ワイヤ126の中心(図5中、点Pb2)とを結ぶ直線Lbと交差して設けられる。
【0064】
すなわち、挿入部11の先端部15に設けられる観察部28は、この観察部28の焦点切り換えを行なう機構(操作ワイヤ126の進退機構)が併設されて一側部が突出した形状となり、この形状に対応して先端部15を形成すると、突出した部分の両側にデッドスペースが生じてしまうおそれがある。本発明の実施の形態では、このようなデッドスペースを有効利用するために、上述の如く、対物レンズ118と操作ワイヤ126と対物レンズ118両側に位置する二つの照明窓、すなわち、第1照明窓29bおよび第2照明窓30bを配設するものである。こうして挿入部11の先端部15のスペースをデッドスペースが生じること無く有効利用して、挿入部11の先端部15の細径化を図ることができる。
【0065】
また、操作ワイヤ126の先端は、挿入部11の基端側から延出して送気送水ノズル34の基端部と連結する送気送水管路106と、挿入部11の基端側から延出して観察部28と連結する信号ケーブル125との間に配設し、送気送水ノズル34と観察部28との間に配設した。具体的には、図5に示すように、対物レンズ118の中心(図5中、点Pb1)と送気送水ノズル34の流入口中心(図5中、点Pc)を結ぶ直線Lcと平行な観察部外径の両接線Ld1、Ld2間に、操作ワイヤ126の先端を配設した。このため、より省スペースで外径の細径化を図ることが可能となっている。
【0066】
このように本発明の実施の形態によれば、内視鏡2における挿入部11の先端部15を、対物レンズ118が設けられる第1先端面23aを先端方向に最も突出した位置に形成し、次に、送気送水ノズル34の頭頂部34bの頭頂面の位置を先端方向に突出した位置に形成し、続いて、第1照明窓29bおよび第2照明窓30bが設けられる第3先端面23cの位置を先端方向に突出した位置に形成した。このため、最も先端方向に突出された第1先端面23aの対物レンズ118を被観察対象に良好に接触させ易くなる。また、例え観察対象の観察面に対して斜めに接する(あるいは、異なる深さで接する)場合であっても、送気送水ノズル34の頭頂部34bの頭頂面が観察対象と接触し、第1照明窓29bおよび第2照明窓30bが設けられる第3先端面23cが観察対象に接触することを確実に防止する。従って、例え観察部の観察窓を体腔内等の観察部位に接触させて長時間観察したとしても、熱の影響を観察部位に与えること無く、観察を十分に行なうことができ、観察性の向上を図ることができる。
【0067】
本出願は、2015年5月13日に日本国に出願された特願2015−098450号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものである。
【要約】
内視鏡2の挿入部11の先端部15において、対物レンズ118を先端方向に最も突出した位置に形成し、次に、送気送水ノズル34の頭頂部34bの頭頂面の位置を先端方向に突出した位置に形成し、続いて、二つ(第1,第2)の照明部29a,29bを先端方向に突出した位置に形成した。
図1
図2
図3
図4
図5