(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送液選択部は、前記第1の洗浄口に送液する前記流体の量と、前記第2の洗浄口に送液する前記流体の量との配分を調整することを特徴とする請求項2に記載の挿入機器の洗浄具。
前記第2の洗浄口は、前記送液路から前記収納室へ向けて、第1の方向とは異なる第2の方向で前記流体を噴出することを特徴とする請求項1に記載の挿入機器の洗浄具。
前記先端部を位置決めしたとき、前記開口部内で前記揺動台が完全に倒れる位置と完全に起上する位置の間の位置で維持されるように、前記揺動台の先端を前記収納室の内周面に当接し、
前記第1の洗浄口または前記第2の洗浄口は、前記揺動台の位置決めを行ったとき、前記第1の洗浄口が前記揺動台よりも前記挿入機器の先端側に、前記第2の洗浄口が前記揺動台よりも前記挿入機器の基端側に、それぞれ前記流体を供給することを特徴とする請求項6に記載の挿入機器の洗浄具。
前記収納室内に位置決めされたとき、前記揺動台が完全に倒れる位置と完全に起上する位置の間の位置で維持されるように、前記揺動台の位置決めを行う揺動台角度規制部を備え、
前記第1の洗浄口は、前記揺動台の先端が前記第2の洗浄口に近接して塞ぐとき、前記揺動台よりも前記挿入機器の先端側に前記流体を多く供給し、
前記第2の洗浄口は、前記揺動台の先端が前記第1の洗浄口に近接して塞ぐとき、前記揺動台よりも前記挿入機器の基端側に前記流体を多く供給することを特徴とする請求項6に記載の挿入機器の洗浄具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る挿入機器の洗浄具について説明する。
まず、本実施形態の洗浄具の洗浄対象の一例として、内視鏡装置の挿入部の先端に設けられた処置具揺動台(以下、揺動台と称する)を含む先端構成部について説明する。
図1は、洗浄対象となる内視鏡装置のシステム構成を示す図である。
図2Aは、挿入機器先端に設けられる揺動台を含む先端構成部の上面図、
図2Bは、先端構成部を正面(矢印2B:
図2A)から見た外観構成を示す図である。
図3は、
図2Aに示す先端構成部内の倒置状態にある揺動台の横断面の構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、内視鏡装置1は、主として、内視鏡本体となる挿入機器2と、挿入機器2に照明光を供給する光源装置3と、挿入機器2の先端部に配設される図示しない撮像ユニットで撮像された映像信号に対して画像処理を施すビデオプロセッサを含む制御部4と、撮影された観察画像とその画像に関する情報を表示する表示部5と、表示部5に表示された観察画像含む画像情報を印刷する印刷部6と、映像信号を記録する記録部7と、で構成される。
【0014】
ここでは、医療用内視鏡装置を挿入機器の一例としているが、これに限定される必要はない。挿入機器2は、他にも、工業用の内視鏡、照明光学系及び観察光学系を有しない、例えば、カテーテルやオーバチューブ等で、洗浄対象となる開口部又は部位が周面側から出し入れされる構成の挿入機器であれば、本実施形態の洗浄具により洗浄を行うことができる。
【0015】
図1に示すように、挿入機器2は、主として、挿入部11と操作部12とで構成される。挿入部11は、操作部12と連結している可撓性を有する可撓管部13と、可撓管部13の先端と連結する湾曲部14と、湾曲部14の先端に設けられた揺動台を内装する先端構成部15とを有している。操作部12は、ユニバーサルコード16により光源装置3及び制御部4に接続されている。挿入部11の基端部と操作部12との間には、鉗子等を挿入部内に導入するための鉗子口17が設けられている。
【0016】
図3に示すように、挿入機器の先端部である先端構成部15は、湾曲部14の先端の節輪14aが嵌め込まれて、湾曲部14と連結している。先端構成部15は、例えばSUS等の金属によって本体部21が形成され、さらに本体部21の周面は、電気絶縁性を有するカバー部22で覆われている。
【0017】
図2A及び
図2Bに示すように、先端構成部15の周面の一部は平坦化され、その平坦化された部分は、長手方向に二分されて、一方側には平坦な観察面25が形成され、他方側には、開口部27が形成されている。観察面25には、照明光が照射される照明窓部23及び、図示しない撮像素子が内部に配置されている観察窓部24が配置されている。この観察面25の近傍には、ノズル部26が配設され、生理食塩水等の洗浄液を噴出して照明窓部23と観察窓部24が適宜、洗浄される。尚、この観察面25は、後述する回転方向規制部42hに対する基準位置(基準面)となっている。
【0018】
また他方側の開口部27は、
図3に示すように、先端構成部15の周囲表面(側周面)に開口する。開口部27内の揺動台収納室28には、揺動可能に処置具揺動台(以下、揺動台と称する)31が収納されている。
図1及び
図3に示すCは、挿入部11及び先端構成部15の長尺となる方向であり、軸方向を示している。
【0019】
揺動台31は、起上軸32に回動可能に軸支され、牽引ワイヤ33により操作部12に設けられた起上操作部34と連結されている。揺動台31は、鉗子等と当接して進行方向を変更させる表側を起上面とし、揺動台31の裏側を裏面としている。起上操作部34の操作により揺動台31が回動して起上または倒置される。このように、狭い揺動台収納室28内に揺動台31とその駆動機構が収納されているため、例えば、起上軸32周りや揺動台31の裏面などの開口部27から見て陰となる箇所に付着した体液や生体組織片による汚れが落ちにくくなっている。
【0020】
次に、第1の実施形態に係る洗浄具41について説明する。
図4は、本実施形態の洗浄具の外観構成を示す図、
図5は、洗浄具に挿入機器を装着して洗浄する状態を示す図、
図6は、挿入機器が非装着時の洗浄具を前面側から見た図、
図7Aは、挿入機器が装着された時の洗浄具を前方側から見た図、
図7Bは、挿入機器が装着された時の洗浄具の横断面を示す図である。以下に説明する洗浄具において、先端構成部15を差し入れる側を洗浄具の後方とし、先端構成部15の先端部が当接する側を前方とする。
【0021】
図6、
図7A及び
図7Bに示すように、洗浄具本体42は、内部が先端構成部15を装着するための円筒状の収納スペースを有している。本実施形態では、外部形状が円筒形を成しているが、内部が先端構成部15が装着できる中空形状であれば、外部形状は限定されるものではなく、矩形の箱形形状であってもよい。
【0022】
洗浄具41は、挿入機器2の先端構成部15が装着される中空な収納室を有する洗浄具本体[収納部]42と、洗浄具本体42の第1の継ぎ手部42iに連結する注入チューブ43と、第2の継ぎ手部42jに連結する注入チューブ44と、連通方向を切り換える三方活栓[送液選択部]45と、洗浄液を供給するためのシリンジ46と、シリンジ46を取り付けるシリンジ取付端47aが開口しているT型形状のシリンジ連結部47と、シリンジ連結部47の分岐する吸水端47dから延びる吸引チューブ48と、送液端47eから三方活栓45に延びる注入チューブ49と、を有している。
【0023】
第1の継ぎ手部42iは、洗浄具本体42の内側前方に開口し、ノズルとして機能する第1の洗浄口42aを有し、送液路となる注入チューブ43から洗浄液等が供給される。同様に、第2の継ぎ手部42jは、第1の洗浄口42aの内側後方に開口し、ノズルとして機能する第2の洗浄口42bを有し、送液路となる注入チューブ44から洗浄液等が供給される。また、吸引チューブ48の吸水口には、吸水時に水面に浮かばずに底側近傍に配置されるように例えば、吸水口を兼ねる筒形状のおもり50が設けられている。
【0024】
また、このおもり50は、送液路となる吸引チューブ48が軟性であれば、途中で屈曲しないように延伸させて管路の開口状態を確保させることができる。また、注入チューブ43,44と洗浄具本体42とを着脱構造とすることにより、先端構成部15の種別にあった洗浄具本体42を選択的に装着できると共に、使用済み洗浄具本体42のみを廃棄することも可能である。
【0025】
図6、
図7A及び
図7Bに示すように、洗浄具本体42は、後方に先端構成部15を差し入れる装入口42cが設けられ、中央付近の上内面に、先端構成部15の観察面25が対向する回転方向規制部42hが設けられ、前方に先端構成部15が当接して位置決めを行う軸方向規制部42d及び、洗浄液が抜け出るための開口部42fが設けられている。回転方向規制部42h及び軸方向規制部42dを移動規制部とする。
【0026】
先端構成部15は、洗浄具本体42に挿入されて、先端を軸方向規制部42dの位置決め壁42gに当接させると、回転方向規制部42hにおいても位置決めが行われて、先端構成部15の回転方向と軸方向の双方の位置決めが行われる。さらに、起上操作部34の操作により揺動台31を起上させて、洗浄具本体42の上内面42kに当接させ、位置決め状態を保持させる。
【0027】
洗浄具本体42の第1の洗浄口42a及び第2の洗浄口42bについて説明する。
第1の洗浄口42aは、中心軸d1(第1の継ぎ手部42iの中心軸と同じ)が洗浄具本体42の径方向の中心軸dとは、平行な方向で直線的な流路で且つ、外周側にオフセットされて設けられている。この中心軸d1の方向に洗浄液[洗浄用の流体]の洗浄液63aを噴出することにより、
図7A及び
図7Bに示すように、洗浄液63aの水流が揺動台31の先端側から裏側に回り込むように流れて洗浄し、開口部42fから使用後の洗浄液63と共に付着物を排出する。
【0028】
第2の洗浄口42bは、
図7A及び
図7Bに示すように、中心軸d2(第2の継ぎ手部42iの中心軸と同じ)が洗浄具本体42の径方向の中心軸dに対して外周側に傾斜する方向に傾けられて設けられている。第2の継ぎ手部42jの流路は、途中で牽引ワイヤ33の引き出し箇所側に向かうように屈曲されている。第2の洗浄口42bから、牽引ワイヤ33とその周辺部に洗浄液63bが噴出されて洗浄し、開口部42fから使用後の洗浄液63と共に付着物を排出する。
【0029】
各注入チューブ43,44は、共に、三方活栓45のそれぞれの送液口に連結されている。また、三方活栓45の吸水口には、シリンジ連結部47及び吸引チューブ48を介して、洗浄液が送液される。三方活栓45は、切替により、注入チューブ43,44のいずれか、即ち、第1の洗浄口42aまたは第2の洗浄口42bのいずれか一方から洗浄液を噴出する。
【0030】
シリンジ連結部47は、三方に分岐するT字形状を成し、2つの開口部に逆止弁47b,47cを設けて、他の開口部にシリンジ46を連結することにより、ポンプとして機能する。
図4に示すように、シリンジ取付端47aにシリンジ46が取り付けられる。シリンジ46のプランジャ46aを引き出すことで、シリンジ46の内圧が負圧となり、洗浄液63が流入し、プランジャ46aを押し込むことでシリンジ46の内圧が正圧となり、洗浄液63が流出する。
【0031】
逆止弁47b,47cは、公知な構造でよく、例えば、仕切り板に開けられた孔を付勢力で塞ぎ、流体による圧力で開閉する弁を備える構造でもよい。シリンジ連結部47は、送液端47e内には、内圧が正圧の時に弁が外側に向って回動することで開状態となり、負圧の時に弁が仕切り板に吸引されて閉状態となる逆止弁47cが設けられる。また、送液端47e内には、内圧が負圧の時に弁が内側に向かい回動することで開状態となり、正圧の時に弁が仕切り板に押し付けられて閉状態となる逆止弁47bが設けられる。
【0032】
次に、本実施形態の洗浄具41を用いた挿入機器2の先端構成部15の洗浄について説明する。
図5は、
図4に示した洗浄具41に挿入機器2の先端構成部15を装着した状態を示している。
洗浄具41の洗浄具本体42に、前述したように位置決めを行って先端構成部15を装着し、排水トレイ61内に設置される。尚、排水トレイ61内に予め洗浄液63を入れておき、洗浄具本体42を水中に沈めておくことにより、開口部42fから洗浄液が勢いよく排出された場合に、排水トレイ61の周囲に洗浄液が飛び散ることを防止することを前提としている。さらに別途、飛び散り防止のためのトレイカバーをトレイ上部に取り付け可能に用意してもよい。
【0033】
次に、洗浄液63で満たした吸水トレイ62に吸引チューブ48の吸水口50を沈めるように配置する。併せて、第1の洗浄口42aまたは第2の洗浄口42bのいずれかから洗浄液を噴出させるか三方活栓45の切替を設定する。いずれの洗浄口を選択してもよいが、三方活栓45の調整次第では、第1の洗浄口42a側に約30%、第2の洗浄口42b側に約70%という任意の配分で洗浄液を流すこともできる。
【0034】
次に、シリンジ46のプランジャ46aを押し引きを繰り返し行い、吸水トレイ62の洗浄液63をシリンジ連結部47内まで汲み上げて満たす。さらに、プランジャ46aの押し込みで、注入チューブ49から三方活栓45を経て、選択された洗浄口42a,42bに送液され、それらの洗浄口から噴出された洗浄液63が揺動台31を含む揺動台収納室28内に直接当たり、洗浄を行う。使用後の洗浄液は、順次、付着物と共に揺動台収納室28から開口部42fを通じて排水トレイ61に排出される。
【0035】
本実施形態(以下に説明する第2乃至第4の実施形態も含む)において、洗浄具本体42及び排水トレイ61は、透明部材で作成されていることが好ましい。透明部材を用いることにより、汚れの落ち具合いを外側から確認することが容易になる。また、洗浄具本体42は、前後の両端に開口部を形成しているが、内視鏡等の挿入機器の先端構成部15は、先端の開口部42fだけでは無く、洗浄具本体42との間のクリアランスm(
図7B参照)を大きくとり、使用後の洗浄液や汚物が外に流れやすいように構成してもよい。洗浄液を送液するシリンジに変わって、送液ポンプ等の送液手段を用いてもよい。
【0036】
以上説明した本実施形態の洗浄具41によれば、洗浄具本体に装着する際に、揺動台が引き起こされた状態で固定されているため、洗浄口から噴出された洗浄液が揺動台の裏側に回り込んで流れ、効率よく洗浄される。また、2つの箇所から交互に洗浄されるため、互いの水流が洗浄を干渉せずに流れ出ることができる。さらに、洗浄具本体42を洗浄対象となる先端構成部15の種別に合わせて中空形状を作成することにより、どのような形状の既存の挿入機器2であっても洗浄を行うことができる。また、装着時の一度の位置決めにより、複数の洗浄対象箇所に対して、洗浄液を個別にまたは同時に、さらには連続的に噴出させて洗浄を行うことができ、その送液量も個々に調整することができる。従って、本実施形態の洗浄具は、複雑な構造を有する挿入機器に対して、挿入機器側に特別な装備を追加することなく、高い洗浄性が得られると共に、衛生的で高い利便性を提供できる。まだ、2つの箇所から洗浄液を噴出する方向は、異なる噴出方向であっても同一方向、又は、平行する方向からであってもよい。
【0037】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態に係る挿入機器の洗浄具の外観構成を示す図である。本実施形態は、三方活栓45を用いずに、それぞれの第1,第2の洗浄口42a,42bに対して、独立した送液路を形成した構成である。尚、以下の説明において、前述した第1の実施形態と同等の構成部位には、同じ参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施形態の洗浄具51は、第1の洗浄口42aに洗浄液を供給する第1の送液路52と、第2の洗浄口42bに洗浄液を供給する第2の送液路53とを有している。第1の送液路52は、シリンジ連結部47の送液端74eから注入チューブ65を経て、直接洗浄具本体42の第1の継ぎ手部42iに連結され、第1の洗浄口42aに連通している。
【0039】
第2の送液路53は、シリンジ連結部66の送液端66eから注入チューブ67を経て、直接洗浄具本体42の第2の継ぎ手部42jに連結され、第2の洗浄口42bに連通している。シリンジ連結部66の吸水端66dには、注入チューブ68が設けられ、そのチューブ先端には、おもり69が取り付けられている。ここで、シリンジ連結部66は、前述したシリンジ連結部47と逆止弁を有する同等の構成であり、シリンジ46を接続することで、ポンプとして機能する。
【0040】
図8においては、1本のシリンジ46を2つのシリンジ連結部47,66のいずれか一方に連結して、洗浄液63を送液する例を示している。この場合には、洗浄液63を洗浄口を変更する場合には、作業者によりシリンジ46を付け替える必要がある。これに対して、それぞれのシリンジ連結部47,66にシリンジ46を取り付けることにより、交互にプランジャ46aを押し引きすればよい。また、2人の作業者が居るならば、同時に2本のシリンジ46のプランジャ46aを押し引きすれば、交互に又は同時に大量の洗浄液等を送液する可能となる。
【0041】
以上説明したように、三方活栓45を使用しなくとも、それぞれの洗浄口42a,42bに送液路を構築することで、前述した第1の実施形態と同様な洗浄具を実現することができる。従って、本実施形態は、前述した第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。さらに、送液路の切替の必要が無いため、2人の作業者が洗浄作業を担当した場合には、交互に又は同時に大量に送液した洗浄液で洗浄を行うことができる。
【0042】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る挿入機器の洗浄具の外観構成を示す図、
図10Aは、挿入機器が装着され、揺動台が起上状態の時の洗浄具の横断面を示す図、
図10Bは、挿入機器が装着され、揺動台が倒置状態の時の洗浄具の横断面を示す図である。尚、以下の説明において、前述した第1の実施形態と同等の構成部位には、同じ参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施形態の洗浄具70は、先端構成部15が装着される洗浄具本体42と、洗浄具本体42の継ぎ手部に連結する注入チューブ71と、注入チューブ71に連結するシリンジ連結部47と、シリンジ連結部47の分岐する吸水端47dから延びる吸引チューブ48と、浮き上がりを防止し吸引チューブ48の吸水口を兼ねる筒形状のおもり50と、洗浄液を供給するためのシリンジ46と、を有している。
【0044】
図10A及び
図10Bを参照して、洗浄具本体72について説明する。
本実施形態の洗浄具本体72は、1つの供給口から供給された洗浄液63を流す1つの流路72gが本体内部で2つの平行する流路72i,72jに二分され、それぞれの第1,第2の洗浄口72a,72bに送液する構成である。
【0045】
洗浄具本体72は、後方に先端構成部15を差し入れるための装入口72cが設けられ、上内面に前述した先端構成部15の観察面25と対向する回転方向規制部(図示せず、
図7Aの42e参照)が設けられ、前方に先端構成部15が当接して位置決めを行う軸方向規制部72d及び、洗浄液63が抜け出るための開口部72fが設けられている。
【0046】
図10Aに示すように、先端構成部15は、洗浄具本体72に挿入されて、先端を軸方向規制部72dの位置決め壁72eに当接させると、回転方向規制部42hにおいても位置決めが行われて、先端構成部15の軸方向の回転方向の位置決めも行われる。
【0047】
洗浄具本体72の流路72g,72i,72j及び第1,第2の洗浄口72a,72bについて説明する。注入チューブ71が連結する継ぎ手部内の流路72gは、2つの流路72i,72jに二分すると共に、分岐箇所で洗浄液63の送液方向(中心軸方向:
図7Aでは垂直方向)が先端側に屈曲している。第1,第2の洗浄口72a,72bは、先端構成部15の開口部27に対して、平行して斜め後方からの同じ角度で揺動台収納室28内で異なる位置に洗浄液63を噴出させるように配置される。本実施形態においては、第1の洗浄口72aは、倒置した揺動台31の先端に対向する位置に配置され、第2の洗浄口72bは、起上した揺動台31の先端に対向する位置に配置されている。
【0048】
この配置により、洗浄具本体42に装着された先端構成部15において、
図10Aに示すように、操作部の操作により揺動台31が最大に起上した位置では、第2の洗浄口72bに揺動台31の先端部が近接して蓋状態となり、洗浄液63を流れ難くしている。このため、洗浄液63の多くを占める洗浄液63aは、第1の洗浄口72aから噴出されて、揺動台31の先端側から裏側に回り込むように流れて、揺動台31の裏側や揺動台収納室28の底部分に対する洗浄が行われる。
【0049】
一方、
図10Bに示すように、操作部の操作により揺動台31が最大に倒置した位置では、第1の洗浄口72aに揺動台31の先端部が近接して蓋状態となり、洗浄液63を流れ難くしている。このため、洗浄液63の多くを占める洗浄液63bは、第2の洗浄口72bから噴出され、揺動台31の先端側から起上面を流れ、及び揺動台31の起上軸32周りや牽引ワイヤ33の連結箇所周り等に直接的に当たり、洗浄が行われる。
【0050】
本実施形態では、前述した実施形態と同様に、シリンジ46のプランジャ46aを押し引きを繰り返し行い、図示しない吸水トレイ(
図5に示す吸水トレイ62)の洗浄液63をシリンジ連結部47内まで汲み上げて満たす。さらに注入チューブ71から洗浄具本体42に送液され、前述したように二分されて、揺動台31の先端部が近接していない洗浄口に水量の割合を多くして噴出し、揺動台を含む揺動台収納室28内を洗浄する。使用後の洗浄液は、付着物と共に揺動台収納室28から開口部72fを通じて図示しない排水トレイ(
図5に示す排水トレイ61)に排出される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、揺動台31の引き起こされている角度(起上角度)を調整することで、それぞれの第1,第2の洗浄口72a,72bを塞ぐ状態が異なり、洗浄に用いられる洗浄液63aの送液量と洗浄液63bの送液量の比を調整することができる。よって、揺動台31の裏側と、揺動台31の起上軸32周りや牽引ワイヤ33の連結箇所周り等を選択的に強力洗浄することができる。また、本実施形態は、1本の注入チューブ71で三方活栓を用いていないため、簡易な構成となり、少ない構成部品数により低コストで実現でき、管理も容易である。さらに、前述した第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0052】
[第4の実施形態]
図11は、第4の実施形態に係る挿入機器の洗浄具の外観構成を示す図である。本実施形態は、三方活栓45を用いずに、2つのクランプ部材82,83を配設して、それぞれの洗浄口42a,42bに対して送液を切り替える構成である。尚、以下の説明において、前述した第1の実施形態と同等の構成部位には、同じ参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0053】
本実施形態の洗浄具80は、先端構成部15が装着される洗浄具本体42と、洗浄具本体42の第1の継ぎ手部42iに連結する注入チューブ43と、注入チューブ43に連結された第1のクランプ部材82と、第2の継ぎ手部42jに連結する注入チューブ44と、注入チューブ44に連結された第2のクランプ部材83と、洗浄液63を供給するためのシリンジ46と、シリンジ46を取り付けるシリンジ取付端47aが開口するT型形状のシリンジ連結部47と、送液端47eから2つのクランプ部材82,83に連結される二股分岐を有する注入チューブ81と、シリンジ連結部47の分岐する吸水端47dから延びる吸引チューブ48と、を有している。
【0054】
洗浄具80は、第1のクランプ部材82と第2のクランプ部材83により、各送液路を貫通又は閉塞することで、所望する第1,第2の洗浄口42a,42b(
図7A参照)のいずれか一方、又は両方に選択的に送液することができる。また、第1のクランプ部材82と第2のクランプ部材83が全閉と全開の途中で係止できる構成であれば、各送液路に流れる送液量の比も調整することができる。また、本実施形態においても前述した第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。