特許第6023927号(P6023927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023927
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】レリースワイヤ挿通固定具
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20161027BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20161027BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   E03C1/22 C
   E03C1/23 Z
   A47K1/14 B
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-83096(P2012-83096)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-213326(P2013-213326A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻 健一
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−074702(JP,A)
【文献】 特開2000−333345(JP,A)
【文献】 特開2003−111261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12 − 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管44の周壁所定箇所に開設した筒部からなる挿通管部51と、
レリースワイヤ46のアウターチューブ461に水密的に挿通されると共に前記挿通管部51に水密的に挿入されるブッシュ部材52と、
レリースワイヤ46を軸方向以外の方向から取り付け位置まで差込挿入する切り欠き溝をその側面に構成し、且つブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53と、から構成し、
該固定部材53に取っ手532を構成したことを特徴とするレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項2】
排水管44の周壁所定箇所に開設した筒部からなる挿通管部51と、
レリースワイヤ46のアウターチューブ461に水密的に挿通されると共に前記挿通管部51に水密的に挿入されるブッシュ部材52と、
上記挿通管部51に軸方向以外の方向から取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53と、から構成し、
前記固定部材53を、挿通管部51の端部とレリースワイヤ46を共同して抱持する一対の分割体とし、該一対の分割体がヒンジ機構により互いに揺動自在に連結して形成し、前記固定部材53の分割体同士を係合により着脱可能に連結して構成すると共に、固定部材53の分割体を着脱自在に係合させて、固定部材53を挿通管部51に取り付け固定する構成としたことを特徴とするレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項3】
排水管44の周壁所定箇所に開設した筒部からなる挿通管部51と、
レリースワイヤ46のアウターチューブ461に水密的に挿通されると共に前記挿通管部51に水密的に挿入されるブッシュ部材52と、
上記挿通管部51に弾性係合によって取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53と、
を設けたことを特徴とするレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項4】
排水管44の周壁所定箇所に開設した筒部からなる挿通管部51と、
レリースワイヤ46のアウターチューブ461に水密的に挿通されると共に前記挿通管部51に水密的に挿入されるブッシュ部材52と、
上記挿通管部51に直線動作のみで取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53と、
を設けたことを特徴とするレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項5】
レリースワイヤ46を軸方向以外の方向から取り付け位置まで差込挿入する切り欠き溝を前記固定部材53の側面に構成したことを特徴とする前記請求項3乃至請求項4のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項6】
前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面のいずれか一方に構成された爪部56と、
前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面の他方に構成される、前記爪部56が係合する係合部57と、
を構成すると共に、
爪部56と係合部57を着脱自在に係合させて固定部材53を挿通管部51に取り付けることを特徴とする前記請求項2乃至請求項5のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項7】
前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面のいずれか一方に構成された凸部54と、
前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面の他方に構成される、前記凸部54が係合する凹部55と、
を構成すると共に、
凸部54と凹部55を着脱自在に係合させて固定部材53を挿通管部51に取り付けることを特徴とする前記請求項2乃至請求項5のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項8】
前記固定部材53に取っ手532を構成したことを特徴とする前記請求項2乃至請求項7のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項9】
前記固定部材53の取っ手532の形状を、固定部材53の軸方向視外側面より飛び出さないように構成したことを特徴とする前記請求項1又は請求項8に記載のレリースワイヤ挿通固定具。
【請求項10】
前記固定部材53を、硬質樹脂材から構成したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロや洗面台の排水口に設けられる弁体を遠隔的に開閉操作する遠隔操作式排水装置におけるレリースワイヤ挿通固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図15に示すように、浴室や洗面台の排水口の弁体を遠隔的に開閉操作するための遠隔操作式排水栓装置がよく知られている。
本従来例では、洗面台に用いられており、当該洗面台は、収納部と、槽体と、から構成される。
収納部は、内部に洗剤やタオルなどを収納する箱体であって、全面に開閉自在な扉を備える。また当該収納部内には排水配管が配管される。
槽体は、収納部の上部に底部に排水用の排水口を開口した内部に水を貯水できる箱体であって、本従来例では洗面ボウルである。
また、遠隔操作式排水栓装置は、排水口、弁体、排水栓、排水管、排水トラップ、レリースワイヤ、操作部、ワイヤー受け、レリースワイヤ挿通固定具、から構成される。
排水口は、前記槽体の底面に構成されている排水用の開口であり、内部に弁体を備える。
弁体は、排水口を開閉する栓体であって、遠隔的に操作されて上下動し、弁体が上昇した際は排水口を開栓して槽体内の排水を下水へと排水し、弁体が下降した際には槽体の排水口が閉栓するように構成されている。
排水栓は、排水口に接続される排水用の管体であり、後記の排水管が接続される。
排水管は、前記排水口に接続される排水栓に接続される管体であって、その下端に排水トラップが接続され、槽体内の排水を排水トラップへと排水する管体である。本従来例では、排水管周壁に後述する挿通管部が構成される。
排水トラップは、U字状に屈曲した管体であって、内部に封水が貯水されるようになっている。当該排水トラップは排水トラップ内の封水により、下水からの害虫や異臭が室内側へ逆流することを防止するものである。また、トラップ上流は前記排水管に接続され、排水トラップ下流は下水管へと接続される。
レリースワイヤは、内部が中空の管体であって可撓性を有したアウターチューブ、該アウターチューブ内で進退自在に配置される金属線材から成るインナーワイヤにより構成される。該レリースワイヤのアウターチューブは、槽体裏面側の操作部から、挿通管部、排水管内部、排水栓を介して前記ワイヤー受けに接続されて排水栓中央に配置固定され、その端部は排水口に設置される弁体に当接するように配置されている。尚、インナーワイヤはアウターチューブ内を操作部の操作によって進退するように構成される。
操作部は、槽体の天面に構成される押しボタンであり、当該操作部を使用者が操作することによって、排水口の弁体が上下動し、結果的に排水口の開栓/閉栓をコントロールすることとなる。
ワイヤー受けは、排水栓の中心部にレリースワイヤを接続するために一体的に構成される架橋部材である。当該ワイヤー受けによって、レリースワイヤを排水口中心部へと配置することができ、結果的に弁体の直下位置にレリースワイヤを配置することができる。本従来例では、後記するレリースワイヤのインナーワイヤの進退を保持するロック機構をワイヤー受けに取り付け構成される。
レリースワイヤ挿通固定具は、以下のように構成される。
レリースワイヤ挿通固定具は、挿通管部、ブッシュ部材、固定部材、から構成される。
挿通管部は、前記排水管の周壁に連通して構成される枝管であって、後述するレリースワイヤが内部を挿通する構成となっている。また、挿通管部の端部外周面には雄ねじが螺設している。
ブッシュ部材は、挿通管部内に水密的に挿入されるゴム材等から成る円筒状のシール部材であって、軸方向中心部にレリースワイヤ挿入口が貫通して開口されている。また、ブッシュ部材の外周面にはリブが凸設され、挿通管部内周面に水密的に当接するように構成されている。また、ブッシュ部材の一方の端部には、外側方向へ向けて鍔状に凸出して構成されるフランジ部が構成される。
固定部材は、軸方向中心部にレリースワイヤ挿入口を開口したキャップ状部材であって、内周面に前記挿通管部の雄ねじに螺合する雌ねじを螺設している。当該固定部材は、予めブッシュ部材と固定部材をレリースワイヤ外周に挿通しておき、レリースワイヤを挿通管部内に挿通させてから、ブッシュ部材を挿通管部内に嵌め込み、ブッシュ部材のフランジ部を挿通管部の端部に当接するまで押し込む。そして固定部材の雌ねじを挿通管部の雄ねじに螺合させ、挿通管部の端部と固定部材の端部によってブッシュ部材を挟持して接続する。このように接続することで、レリースワイヤと挿通管部は水密的に接続されることとなる。
【0003】
上記した遠隔操作式排水栓装置は以下のように作動する。弁体が下降し排水口を閉口している際に使用者が操作部を操作することによりレリースワイヤのインナーワイヤが弁体側へ進行し、弁体の下端に当接し、弁体を押し上げる。そうするとインナーワイヤが押し上げた分だけ排水口から弁体が上昇し、排水口が開栓する。そうするとワイヤー受けに設けられたロック機構が作動し、インナーワイヤの進行状態を保持する。この状態時において、排水口が開栓状態となるので、槽体内に排水が発生しても、排水トラップを介して下水管へと排水を排水することができる。
また、この状態から使用者が操作部を押動すると、ワイヤー受けのロック機構が解除され、インナーワイヤの進行が解除し、リターンスプリングの力によりインナーワイヤが元の場所、すなわち操作部側へ退行する。そうすると、インナーワイヤによって押し上げられていた排水口内の弁体が、その自重により下降し排水口を閉栓することとなる。この状態時では、排水口が閉栓されているため槽体内に排水を貯水することができる。
この操作部の押動操作により、弁体は上下動し、排水口の開栓/閉栓を遠隔的に操作することができるものである。
【0004】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置及びレリースワイヤ挿通固定具は、以下のように施工される。
予め工場等でワイヤー受けとロック機構を排水栓に組み付けておく。また、予め工場等でブッシュ部材と固定部材のそれぞれのレリースワイヤ挿入口からレリースワイヤを挿通させておく。
その後、施工現場にて、排水栓を洗面台の排水口に取り付け、挿通管部が構成された排水管に、予めレリースワイヤを挿通管部に挿通させておき、レリースワイヤをワイヤー受けのロック機構に接続する。その後、排水栓に排水管を接続する。そして、レリースワイヤに外装されたブッシュ部材を挿通管部に水密的に挿入し、ブッシュ部材のフランジ部に当接するまで差し込む。そして、固定部材を挿通管部に差し込み、固定部材の雌ねじと挿通管部の雄ねじを螺合させ締め付ける。そうすることによって、ブッシュ部材のフランジ部を挿通管部と固定部材によって狭持することができ、挿通管部から排水管内部の排水が漏れ出すことなく水密的にシールすることができる。なお、レリースワイヤ外周はブッシュ部材の挿入口内周面によって水密的にシールでき、挿通管部内周はブッシュ部材外周とフランジ部によって水密的にシールすることができる。
その後、洗面台のボウルの天面等に操作部を取り付け、挿通管部から延出されているレリースワイヤを操作部に接続する。
そして、排水管に排水トラップ及び下水管を接続し、排水口内に弁体を設置することで遠隔操作式排水栓装置とレリースワイヤ挿通固定具の施工が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−180020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来例の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ挿通固定具では以下のような問題があった。
従来のレリースワイヤは、施工前に予め固定部材をレリースワイヤに挿通しておかねばならず、施工の際に邪魔であった。また、レリースワイヤには、端部に操作部や弁軸等が予め工場等で組み付けられている為、操作部や弁軸の径よりも小さいレリースワイヤ挿入口を備えた固定部材は、その操作部や弁軸が組み付けられる前に固定部材をレリースワイヤに挿入しておかねばならず、生産性が悪い上に、仮に固定部材が挿入されずに操作部等が取り付けられてしまうと不良品となってしまっていた。
また、一般的な遠隔操作式排水栓装置では、洗面台や台所であれば引き出しや収納スペース等の空間内に排水管や排水トラップが配管されているため、必然的に遠隔操作式排水栓装置もその収納スペース内に施工されている。また、浴室の浴槽に用いられる遠隔操作式排水栓装置であれば、浴槽の底面や防水パンの裏側であったり、エプロン部材の裏側の空間に施工されている。このような、浴槽や洗面台に取り付けられる遠隔操作式排水栓装置では、施工時に非常に狭くて暗い空間で施工せねばならないという問題が発生する。このような施工者にとって施工しづらい環境であれば、当然に施工ミスが発生しやすくなるという問題が発生する。
また、特にレリースワイヤ挿通固定具に関しては、前述したように、狭い浴槽裏空間や洗面台の収納スペース内において、固定部材をネジ螺合せねばならず、目視確認もままならないような暗くて狭い場所では非常に施工しにくかった。
また、施工時だけではなく、排水管のメンテナンスや遠隔操作式排水栓装置のメンテナンス時などの場合に、現場で配管を分解することがあるが、この際にネジ螺合であると、狭い空間でのねじ回し作業が非常に困難であった。
また、洗面台や台所に施工される遠隔操作式排水栓装置では、収納スペース内には当然ながら鍋や洗剤等の収納物が当然ながら存在する。そうすると、収納物がネジ部分にあたってしまってネジが緩んでしまうことがあり、漏水の原因となっていた。
また、浴槽に施工される遠隔操作式排水栓装置では、挿通管部が浴槽底面と防水パンの間に配置されることが多く、非常に狭い隙間であるが、この空間に施工者が手指を入れてねじの回転螺合をせねばならず、非常に施工しづらかった。
また、浴槽に用いられるレリースワイヤ挿通固定具においては、固定部材の形状によっては防水パンの床面に取っ手があたり、操作しづらいことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、排水管44の周壁所定箇所に開設した筒部からなる挿通管部51と、レリースワイヤ46のアウターチューブ461に水密的に挿通されると共に前記挿通管部51に水密的に挿入されるブッシュ部材52と、レリースワイヤ46を軸方向以外の方向から取り付け位置まで差込挿入する切り欠き溝をその側面に構成し、且つブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53と、から構成し、該固定部材53に取っ手532を構成したことを特徴とするレリースワイヤ挿通固定具である。
【0008】
請求項2に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、排水管44の周壁所定箇所に開設した筒部からなる挿通管部51と、レリースワイヤ46のアウターチューブ461に水密的に挿通されると共に前記挿通管部51に水密的に挿入されるブッシュ部材52と、上記挿通管部51に軸方向以外の方向から取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53と、から構成し、前記固定部材53を、挿通管部51の端部とレリースワイヤ46を共同して抱持する一対の分割体とし、該一対の分割体がヒンジ機構により互いに揺動自在に連結して形成し、前記固定部材53の分割体同士を係合により着脱可能に連結して構成すると共に、固定部材53の分割体を着脱自在に係合させて、固定部材53を挿通管部51に取り付け固定する構成としたことを特徴とするレリースワイヤ挿通固定具である。
【0009】
請求項3に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、排水管44の周壁所定箇所に開設した筒部からなる挿通管部51と、レリースワイヤ46のアウターチューブ461に水密的に挿通されると共に前記挿通管部51に水密的に挿入されるブッシュ部材52と、上記挿通管部51に弾性係合によって取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53と、を設けたことを特徴とするレリースワイヤ挿通固定具である。
【0010】
請求項4に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、排水管44の周壁所定箇所に開設した筒部からなる挿通管部51と、レリースワイヤ46のアウターチューブ461に水密的に挿通されると共に前記挿通管部51に水密的に挿入されるブッシュ部材52と、上記挿通管部51に直線動作のみで取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53と、を設けたことを特徴とするレリースワイヤ挿通固定具である。
【0011】
請求項5に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、レリースワイヤ46を軸方向以外の方向から取り付け位置まで差込挿入する切り欠き溝を前記固定部材53の側面に構成したことを特徴とする前記段落0009乃至段落0010のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具である。
【0012】
請求項6に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面のいずれか一方に構成された爪部56と、前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面の他方に構成される、前記爪部56が係合する係合部57と、を構成すると共に、爪部56と係合部57を着脱自在に係合させて固定部材53を挿通管部51に取り付けることを特徴とする前記段落0008乃至段落0011のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具である。
【0013】
請求項7に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面のいずれか一方に構成された凸部54と、前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面の他方に構成される、前記凸部54が係合する凹部55と、を構成すると共に、凸部54と凹部55を着脱自在に係合させて固定部材53を挿通管部51に取り付けることを特徴とする前記段落0008乃至段落0011のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具である。
【0014】
請求項8に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、前記固定部材53に取っ手532を構成したことを特徴とする前記段落0008乃至段落0013のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具である。
【0015】
請求項9に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、前記固定部材53の取っ手532の形状を、固定部材53の軸方向視外側面より飛び出さないように構成したことを特徴とする前記段落0007又は段落0014に記載のレリースワイヤ挿通固定具である。
【0016】
請求項10に記載のレリースワイヤ挿通固定具は、前記固定部材53を、硬質樹脂材から構成したことを特徴とする前記段落0007乃至段落0015のいずれか一つに記載のレリースワイヤ挿通固定具である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の本発明は、レリースワイヤ46を軸方向以外の方向から取り付け位置まで差込挿入する切り欠き溝531をその側面に構成し、且つブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53を設けたことから、レリースワイヤ46の施工時に、固定部材53をレリースワイヤ46の側面方向から切り欠き溝531を差し込むことができ、予め工場等でレリースワイヤ46に固定部材53を軸方向から挿入して組み立てる必要が無くなった。また、固定部材53に取っ手532を構成したことから、槽体1下の収納スペースや、防水パン裏の狭くて暗いような箇所であっても、固定部材53を挿通管部51へ取り付けやすくなった。
請求項2に記載の本発明は、挿通管部51に軸方向以外の方向から取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53を設けたことから、固定部材53を、槽体1下の収納スペースや、防水パン裏の狭くて暗いような箇所で施工する際にネジ螺合等の狭い空間でのねじ回し作業をする必要が無くなり、施工及びメンテナンスしやすくなった。
請求項3に記載の本発明は、挿通管部51に回転させることなく取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53を設けたことから、固定部材53を、槽体1下の収納スペースや、防水パン裏の狭くて暗いような箇所で施工する際にネジ螺合等の狭い空間でのねじ回し作業をする必要が無くなり、施工及びメンテナンスしやすくなった。
請求項4に記載の本発明は、挿通管部51に弾性係合によって取り付けられると共に、ブッシュ部材52及びレリースワイヤ46を挿通管部51に取り付け固定する固定部材53を設けたことから、固定部材53を、槽体1下の収納スペースや、防水パン裏の狭くて暗いような箇所で施工する際にネジ螺合等の狭い空間でのねじ回し作業をする必要が無くなり、施工及びメンテナンスしやすくなった。
請求項5に記載の本発明は、固定部材53の側面に、レリースワイヤ46の軸方向以外の方向から差し込むことができる切り欠き溝531を切り欠いて構成したことから、レリースワイヤ46の施工時に、固定部材53をレリースワイヤ46の側面方向から切り欠き溝531を差し込むことができ、予め工場等でレリースワイヤ46に固定部材53を軸方向から挿入して組み立てる必要が無くなった。
請求項6に記載の本発明は、前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面のいずれか一方に構成された爪部56と、前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面の他方に構成された前記爪部56が係合する係合部57と、を構成し、爪部56と係合部57を着脱自在に係合させて固定部材53を挿通管部51に取り付けたことから、固定部材53を、槽体1下の収納スペースや、防水パン裏の狭くて暗いような箇所で施工する際にネジ螺合等の狭い空間でのねじ回し作業をする必要が無くなり、施工及びメンテナンスしやすくなった。
請求項7に記載の本発明は、前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面のいずれか一方に構成された凸部54と、前記固定部材53もしくは前記挿通管部51外周面の他方に構成された前記凸部54が係合する凹部55と、を構成し、凸部54と凹部55を着脱自在に係合させて固定部材53を挿通管部51に取り付けたことから、固定部材53を、槽体1下の収納スペースや、防水パン裏の狭くて暗いような箇所で施工する際にネジ螺合等の狭い空間でのねじ回し作業をする必要が無くなり、施工及びメンテナンスしやすくなった。
請求項8に記載の本発明は、固定部材53に取っ手532を構成したことから、槽体1下の収納スペースや、防水パン裏の狭くて暗いような箇所であっても、固定部材53を挿通管部51へ取り付けやすくなった。
請求項9に記載の本発明は、固定部材53の取っ手532の形状を、固定部材53の外側面より飛び出さないように構成したことから、挿通管部51が床面や壁面に近い場所でも、取っ手532が壁面や床面に干渉することがないので、固定部材53が脱落するおそれがない。
請求項10に記載の本発明は、固定部材53を、硬質樹脂材から構成したことから、より強固に固定部材53と挿通管部51を接続することが出来る。


【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の本発明品が取り付けられる洗面台の断面図である。
図2】実施例1における本発明品の施工状態を示す断面図である。
図3図2における部分拡大図である。
図4】実施例2の本発明品が取り付けられ浴室の断面図である。
図5】実施例2における本発明品の施工状態を示す断面図である。
図6】実施例2における本発明品の施工状態を示す部分斜視図である。
図7】本発明の固定部材を示す一部切欠き斜視図である。(A)図8(D)におけるA−A断面図である。(B)図8(D)におけるA−B断面図である。(C)図8(D)におけるB−B断面図である。(D)斜視図である。(E)斜視図である。
図8】本発明の固定部材を示す図である。
図9】そのほかの実施例を示す断面図である。
図10】そのほかの実施例を示す断面図である。
図11】そのほかの実施例を示す断面図である。
図12】そのほかの実施例を示す断面図である。
図13】そのほかの実施例を示す断面図である。
図14】そのほかの実施例を示す断面図である。
図15】従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
第一実施例のレリースワイヤ挿通固定具5は、図1に示すように洗面台2に用いられており、当該洗面台2は、収納部21と、槽体1と、から構成される。
収納部21は、内部に洗剤やタオルなどを収納する箱体であって、全面に開閉自在な扉を備える。また当該収納部21内には排水配管が配管される。
槽体1は、洗面ボウルであって、収納部21の上部に底部に排水用の排水口41を開口した内部に水を貯水できる箱体である。
また、遠隔操作式排水栓装置4は、図1乃至図3に示すように排水口41、弁体42、排水栓43、排水管44、排水トラップ45、レリースワイヤ46、操作部47、ワイヤー受け48、レリースワイヤ挿通固定具5、から構成される。
排水口41は、前記槽体1の底面に構成されている排水用の開口である。後記する弁体42を備える。
弁体42は、排水口41を開閉する栓体であって、遠隔的に操作されて上下動し、弁体42が上昇した際は排水口41を開栓して槽体1内の排水を下水へと排水し、弁体42が下降した際には槽体1の排水口41が閉栓するように構成されている。
排水栓43は、排水口41に接続される管体であって、後記する排水管44が接続される。
排水管44は、前記排水栓43に接続される管体であって、その下端に排水トラップ45が接続され、槽体1内の排水を排水トラップ45へと排水する管体である。本実施例では、排水管44周壁に後述する挿通管部51が構成される。尚、排水管44は、前記した収納スペース内に配置構成される。
排水トラップ45は、U字状に屈曲した管体であって、内部に封水が貯水されるようになっている。当該排水トラップ45内の封水により、下水からの害虫や異臭が室内側へ逆流することを防止するものである。また、トラップ上流は前記排水管44に接続され、排水トラップ45下流は下水管へと接続される。
レリースワイヤ46は、内部が中空の管体であって可撓性を有したアウターチューブ461、該アウターチューブ461内で進退自在に配置される金属線材から成るインナーワイヤ462により構成される。該レリースワイヤ46のアウターチューブ461は、槽体1裏面側の操作部47から、挿通管部51、排水管44内部を介して前記ワイヤー受け48に接続されて排水管44中央に配置固定され、その端部は排水口41に設置される弁体42に当接するように配置されている。尚、インナーワイヤ462はアウターチューブ461内を操作部47の操作によって進退するように構成される。
操作部47は、槽体1の天面に構成される押しボタンであり、当該操作部47を使用者が操作することによって、排水口41の弁体42が上下動し、結果的に排水口41の開栓/閉栓をコントロールすることとなる。この操作部47には、後述するレリースワイヤ46のインナーワイヤ462の進退を保持するロック機構を構成して成る。
ワイヤー受け48は、排水管44の上端中心部にレリースワイヤ46を接続するために構成される脱着自在のリング状部材である。当該ワイヤー受け48によって、レリースワイヤ46を排水管44中心部へと配置することができ、結果的に弁体42の直下位置にレリースワイヤ46を配置することができる。
レリースワイヤ挿通固定具5は、特に図2図3に示すが、以下のように構成される。
レリースワイヤ挿通固定具5は、挿通管部51、ブッシュ部材52、固定部材53、から構成される。
挿通管部51は、排水管44の周壁に連通して構成される枝管であって、後述するレリースワイヤ46が内部を挿通する構成となっている。また、挿通管部51の端部外周面には固定部材53の凸部54が係合する凹部55が刻設されている。
ブッシュ部材52は、挿通管部51内に水密的に挿入されるゴム材等から成る円筒状のシール部材であって、軸方向中心部にレリースワイヤ挿入口6が貫通して開口されている。また、ブッシュ部材52の外周面にはリブが凸設され、挿通管部51内周面に水密的に当接するように構成されている。また、ブッシュ部材52の一方の端部には、外側方向へ向けて鍔状に凸出して構成されるフランジ部521が構成される。
固定部材53は、アセタールなどの硬質樹脂から成る部材であり、軸方向中心部にレリースワイヤ挿入口6を開口したキャップ状部材であって、キャップ内周面に前記挿通管部51の凹部55に着脱自在に係合する凸部54を構成している。また、固定部材53には、天面から軸方向に向かって延出して構成される取っ手532が構成される。この取っ手532は、固定部材53のキャップ状部分の外側面より外側方向へ飛び出さないように構成した。このように取っ手532を構成しているので、収納部21内の荷物がぶつかっても先に固定部材53の外側面にぶつかり取っ手532には干渉しないので固定部材53が脱落しにくい形状になった。固定部材53のキャップ状部分には、レリースワイヤ46が側面方向から固定部材53のレリースワイヤ挿入口6に差し込まれる為の切り欠き溝531が切り欠いて構成される。当該切り欠き溝531は、固定部材53の側面視上下方向に貫通して切り溝状に切り込まれており、切り込みの深さは固定部材53の軸方向視、中心軸まで切り込まれている。この切り欠き溝531により、レリースワイヤ挿入口6を構成する。
また固定部材53の施工は、予めブッシュ部材52をレリースワイヤ46外周に挿通しておき、レリースワイヤ46を挿通管部51内に挿通させてから、ブッシュ部材52を挿通管部51内に嵌め込み、ブッシュ部材52のフランジ部521を挿通管部51の端部に当接するまで押し込む。そして固定部材53の切り欠き溝531をレリースワイヤ46の側面から差し込み、レリースワイヤ46に外装する。そして、そのまま固定部材53の取っ手532を操作してレリースワイヤ46を軸として挿通管部51に差し込み、固定部材53の取っ手532を更に押し込むことによって挿通管部51の凹部55に固定部材53の凸部54を係合させる。このとき挿通管部51の端部と固定部材53の端部によってブッシュ部材52を挟持して接続する。このように接続することで、レリースワイヤ46と挿通管部51は水密的に接続されることとなる。なお、固定部材53がレリースワイヤ46に差し込まれるタイミングは、予めレリースワイヤ46に差し込んでおいても良いし、施工時にレリースワイヤ46に差し込んでもかまわないものである。
【0020】
上記した遠隔操作式排水栓装置4は以下のように作動する。弁体42が下降し排水口41を閉口している際に使用者が操作部47を操作することによりレリースワイヤ46のインナーワイヤ462が排水口41側へ進行し、弁体42の下端に当接し、弁体42を押し上げる。そうするとインナーワイヤ462が進行した分だけ排水口41から弁体42が上昇し、排水口41が開栓する。そうすると操作部47に設けられたロック機構が作動し、インナーワイヤ462の進行状態を保持する。この状態時において、排水口41が開栓状態となるので、槽体1内に排水が発生しても、排水トラップ45を介して下水管へと排水を排水することができる。
また、この状態から使用者が操作部47を押動すると、操作部47のロック機構が解除され、インナーワイヤ462の進行が解除され、リターンスプリングの力によりインナーワイヤ462が元の場所すなわち操作部47側へ退行する。そうすると、インナーワイヤ462によって押し上げられていた排水口内の弁体42が、その自重により下降し排水口41を閉栓することとなる。この状態時では、排水口41が閉栓されているため槽体1内に排水を貯水することができる。
この操作部47の押動操作により、弁体42は上下動し、排水口41の開栓/閉栓を遠隔的に操作することができるものである。
【0021】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置4及びレリースワイヤ挿通固定具5は、以下のように施工される。
予め工場等でワイヤー受け48を排水管44に組み付けておき、更に工場等でレリースワイヤ46にブッシュ部材52をレリースワイヤ挿入口6から挿通させておく。
その後、図2Aのように施工現場にて、排水栓43を洗面台2の排水口41に取り付け、排水管44に、予めレリースワイヤ46を挿通管部51に挿通させておき、排水栓43下端に排水管44を接続する。そして、図2Bのようにレリースワイヤ46に外装されたブッシュ部材52を挿通管部51に水密的に挿入し、ブッシュ部材52のフランジ部521が挿通管部51端部に当接するまで差し込む。そして、レリースワイヤ46の側面から固定部材53の切り欠き溝531を差し込み、切り欠き溝531が切りこまれている固定部材53の中心部までレリースワイヤ46に差し込む。そうすることで、固定部材53のレリースワイヤ挿入口6までレリースワイヤ46は差し込まれることとなる。そして、固定部材53を図2Cのようにレリースワイヤ46を軸として取っ手532を操作しつつ挿通管部51へ差し込み、固定部材53の凸部54と挿通管部51の凹部55を係合させる。そうすることによって、ブッシュ部材52のフランジ部521を挿通管部51と固定部材53によって狭持することができ、挿通管部51から排水管44内部の排水が漏れ出すことなく水密的にシールすることができる。なお、レリースワイヤ46外周はブッシュ部材52のレリースワイヤ挿入口6内周面によって水密的にシールでき、挿通管部51内周はブッシュ部材52外周とフランジ部521によって水密的にシールすることができる。
その後、槽体1の天面等に操作部47を取り付け、挿通管部51から延出されているレリースワイヤ46を操作部47に接続する。
そして、排水管44に排水トラップ45及び下水管を接続し、排水口41内に弁体42を設置することで遠隔操作式排水栓装置4とレリースワイヤ挿通固定具5の施工が完了する。
また、メンテナンス等で遠隔操作式排水栓装置4を分解したい際は、操作部47のレリースワイヤ46を取り外し、その後固定部材53の取っ手532をレリースワイヤ46を軸として引っ張ることで、固定部材53の凸部54が挿通管部51の凹部55の係合が解除される。従って、収納部21内等の狭くて暗い箇所でも簡単なワンタッチ操作によって固定部材53を脱着することができるものである。
【実施例2】
【0022】
第二実施例のレリースワイヤ挿通固定具5は、図4に示すように、浴室3に用いられており、当該浴室3は、槽体1と、浴槽パン31と、洗い場パン32と、から構成される。
槽体1は、浴槽であって、排水用の排水口41を開口した内部に水を貯水できる箱体である。
浴槽パン31は、浴槽を載置する防水パンであって、底部に浴槽パン31上の排水と浴槽内の排水を下水へと排水するための排水用の開口を備え、後述するエルボ部材33が取り付けられる。
洗い場パン32は、浴槽パン31の横に設置される洗い場を形成する防水パンであって、底部に洗い場パン32上に発生した排水を下水へと排水するための排水用の開口を備え、該開口には後述する排水トラップ45が取り付けられる。
また、遠隔操作式排水栓装置4は、排水口41、弁体42、排水栓43、排水管44、排水トラップ45、レリースワイヤ46、操作部47、ワイヤー受け48、レリースワイヤ挿通固定具5、から構成される。
排水口41は、前記槽体1の底面に構成されている排水用の開口である。後記する弁体42を備える。
弁体42は、排水口41を開閉する栓体であって、遠隔的に操作されて上下動し、弁体42が上昇した際は排水口41を開栓して槽体1内の排水を下水へと排水し、弁体42が下降した際には槽体1の排水口が閉栓するように構成されている。
排水栓43は、排水口に接続される管体であって、その下端は後記排水管44が接続される。
排水管44は、前記排水口41に接続される管体であって、その下端に浴槽パン31の開口を介してエルボ部材33が接続されている。本実施例では排水管44周壁に後述する挿通管部51が構成される。尚、排水管44は、前記した浴槽と浴槽パン31の極小な隙間内に配置構成される。
また、エルボ部材33は排水トラップ45へと接続されているので、槽体1内の排水は排水管44とエルボ部材33を介して排水トラップ45へと排水する。
排水トラップ45は、洗い場パン32に備えられる防臭筒を備えたワントラップであって、内部に封水が貯水されるようになっている。当該排水トラップ45内の封水により、下水からの害虫や異臭が室内側へ逆流することを防止するものである。また、トラップ枝管には前記排水管44からのエルボ部材33が接続され、排水トラップ45下流は下水管へと接続される。
レリースワイヤ46は、内部が中空の管体であって可撓性を有したアウターチューブ461、該アウターチューブ461内で進退自在に配置される金属線材から成るインナーワイヤ462により構成される。該レリースワイヤ46のアウターチューブ461は、槽体1裏面側の操作部47から、挿通管部51、排水管44内部を介して前記ワイヤー受け48に接続されて排水管44中央に配置固定され、その端部は排水口41に設置される弁体42に直結して配置されている。尚、インナーワイヤ462はアウターチューブ461内を操作部47の操作によって進退するように構成される。
操作部47は、槽体1の天面に構成される押しボタンであり、当該操作部47を使用者が操作することによって、排水口41の弁体42が上下動し、結果的に排水口41の開栓/閉栓をコントロールすることとなる。この操作部47には、後述するレリースワイヤ46のインナーワイヤ462の進退を保持するロック機構を構成して成る。
ワイヤー受け48は、排水栓43の中心部にレリースワイヤ46を接続するために構成される脱着自在のリング状部材である。当該ワイヤー受け48によって、レリースワイヤ46を排水管44中心部へと配置することができ、結果的に弁体42の直下位置にレリースワイヤ46を配置することができる。
レリースワイヤ挿通固定具5は、図5乃至図6に示したように以下のように構成される。
レリースワイヤ挿通固定具5は、挿通管部51、ブッシュ部材52、固定部材53、から構成される。
挿通管部51は、排水管44の周壁に連通して構成される枝管であって、後述するレリースワイヤ46が内部を挿通する構成となっている。また、挿通管部51の端部外周面には固定部材53の爪部56が係合する係合部57が刻設されている。係合部57は、挿通管部51端部外周に構成されるリブであって、爪部56が係合しやすいよう傾斜面を備えている。
ブッシュ部材52は、挿通管部51内に水密的に挿入されるゴム材等から成る円筒状のシール部材であって、軸方向中心部にレリースワイヤ挿入口6が貫通して開口されている。また、ブッシュ部材52の外周面にはリブが凸設され、挿通管部51内周面に水密的に当接するように構成されている。また、ブッシュ部材52の一方の端部には、外側方向へ向けて鍔状に凸出して構成されるフランジ部521が構成される。
固定部材53は、図7および図8に詳細に示すように、アセタールなどの硬質樹脂から成る部材であり、軸方向中心部にレリースワイヤ挿入口6を開口した円盤状の天面533から成り、円盤状の天面533から前記挿通管部51の係合部57に着脱自在に弾性係合する爪部56を二本足状に垂下して構成する。又固定部材53には、天面から軸方向上方に向かって延出して構成される取っ手532が構成される。この取っ手532は、固定部材53の円盤状の天面533の上面視(軸方向視)、外側面より外側方向へ飛び出さないように構成した。このように取っ手532を構成しているので、狭い浴槽パン31の空間で施工者の手や工具がぶつかっても先に固定部材53の外側面にぶつかり取っ手532には干渉しないので固定部材53が脱落しにくい形状になった。固定部材53には、レリースワイヤ46が側面方向から固定部材53のレリースワイヤ挿入口6に差し込まれる為の切り欠き溝531が切り欠いて構成される。当該切り欠き溝531は、固定部材53の側面視上下方向に貫通して切り溝状に切り込まれており、切り込みの深さは固定部材53の軸方向視、中心軸まで切り込まれている。この切り欠き溝531により、レリースワイヤ挿入口6を構成する。
当該固定部材53は、予めブッシュ部材52をレリースワイヤ46外周に挿通しておき、レリースワイヤ46を挿通管部51内に挿通させてから、ブッシュ部材52を挿通管部51内に嵌め込み、ブッシュ部材52のフランジ部521を挿通管部51の端部に当接するまで押し込む。そして固定部材53の切り欠き溝531をレリースワイヤ46の側面から差し込み、レリースワイヤ46に外装する。そして、そのまま固定部材53の取っ手532を操作してレリースワイヤ46を軸として挿通管部51に差し込み、固定部材53の取っ手532を更に押し込むことによって挿通管部51の係合部57に固定部材53の爪部56を弾性係合させる。爪部56が係合部57に弾性係合する際は、係合部57に構成された傾斜面により円滑に弾性係合することができる。このとき挿通管部51の端部と固定部材53の端部によってブッシュ部材52を挟持して接続する。このように接続することで、レリースワイヤ46と挿通管部51は水密的に接続されることとなる。なお、固定部材53がレリースワイヤ46に差し込まれるタイミングは、予めレリースワイヤ46に差し込んでおいても良いし、施工時にレリースワイヤ46に差し込んでもかまわないものである。
また固定部材53の施工は、予めブッシュ部材52をレリースワイヤ46外周に挿通しておき、レリースワイヤ46を挿通管部51内に挿通させてから、ブッシュ部材52を挿通管部51内に嵌め込み、ブッシュ部材52のフランジ部521を挿通管部51の端部に当接するまで押し込む。そして固定部材53の切り欠き溝531をレリースワイヤ46の側面から差し込み、レリースワイヤ46に外装する。そして、そのまま固定部材53の取っ手532を操作してレリースワイヤ46を軸として挿通管部51に差し込み、固定部材53の取っ手532を更に押し込むことによって挿通管部51の凹部55に固定部材53の凸部54を係合させる。このとき挿通管部51の端部と固定部材53の端部によってブッシュ部材52を挟持して接続する。このように接続することで、レリースワイヤ46と挿通管部51は水密的に接続されることとなる。なお、固定部材53がレリースワイヤ46に差し込まれるタイミングは、予めレリースワイヤ46に差し込んでおいても良いし、施工時にレリースワイヤ46に差し込んでもかまわないものである。
【0023】
上記した遠隔操作式排水栓装置4は以下のように作動する。弁体42が下降し排水口41を閉口している際に使用者が操作部47を操作することによりレリースワイヤ46のインナーワイヤ462が排水口41側へ進行し、弁体42の下端に当接し、弁体42を押し上げる。そうするとインナーワイヤ462が進行した分だけ排水口41から弁体42が上昇し、排水口41が開栓する。そうすると操作部47に設けられたロック機構が作動し、インナーワイヤ462の進行状態を保持する。この状態時において、排水口41が開栓状態となるので、槽体1内に排水が発生しても、排水トラップ45を介して下水管へと排水を排水することができる。
また、この状態から使用者が操作部47を押動すると、操作部47のロック機構が解除され、インナーワイヤ462の進行が解除され、リターンスプリングの力によりインナーワイヤ462が元の場所すなわち操作部47側へ退行する。そうすると、インナーワイヤ462によって押し上げられていた排水口41内の弁体42が、インナーワイヤ462の退行に併せて下降し排水口41を閉栓することとなる。この状態時では、排水口41が閉栓されているため槽体1内に排水を貯水することができる。
この操作部47の押動操作により、弁体42は上下動し、排水口41の開栓/閉栓を遠隔的に操作することができるものである。
【0024】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置4及びレリースワイヤ挿通固定具5は、以下のように施工される。
エルボ部材33及び排水トラップ45を配管終了した浴槽パン31及び洗い場パン32を浴室3に設置する。その後、施工現場において浴槽の排水口41に排水栓43と排水管44を接続し、図6Aのように予めブッシュ部材52のレリースワイヤ挿入口6からブッシュ部材52をレリースワイヤ46に挿入外装しておいたレリースワイヤ46を挿通管部51から挿入し、浴槽上の排水口41からレリースワイヤ46をペンチなどで引き上げ、ワイヤー受け48に接続し、ワイヤー受け48ごと排水栓43に取り付ける。その後、レリースワイヤ46に外装されたブッシュ部材52を図6Bのように挿通管部51に水密的に挿入し、ブッシュ部材52のフランジ部521が挿通管部51端部に当接するまで差し込む。そして、図6Bのようにレリースワイヤ46の側面から固定部材53の切り欠き溝531を差し込み、切り欠き溝531が切りこまれている固定部材53の中心部までレリースワイヤ46に差し込む。そうすることで、固定部材53のレリースワイヤ挿入口6までレリースワイヤ46は差し込まれることとなる。そして、図6Cのように固定部材53をレリースワイヤ46を軸として取っ手532を操作しつつ挿通管部51へ差し込み、固定部材53の爪部56と挿通管部51の係合部57を弾性係合させる。そうすることによって、ブッシュ部材52のフランジ部521を挿通管部51と固定部材53によって狭持することができ、挿通管部51から排水管44内部の排水が漏れ出すことなく水密的にシールすることができる。なお、レリースワイヤ46外周はブッシュ部材52のレリースワイヤ挿入口6内周面によって水密的にシールでき、挿通管部51内周はブッシュ部材52外周とフランジ部521によって水密的にシールすることができる。
その後、挿通管部51から延出されるレリースワイヤ46を操作部47に取り付け、レリースワイヤ挿通固定具5の取付は終了する。
そして、浴槽の排水口41が浴槽パン31の排水用の開口の直上となるように載置し、浴槽パン31と洗い場パン32の境界にエプロンを取りつけ、施工は完了する。
また、メンテナンス等で遠隔操作式排水栓装置4を分解したい際は、エプロンを取り外してから、操作部47のレリースワイヤ46を取り外し、その後固定部材53の取っ手532をレリースワイヤ46を軸として引っ張ることで、固定部材53の爪部56が挿通管部51の係合部57の弾性係合が解除される。従って、浴槽パン31内の、特に浴槽底部と浴槽パン31の狭くて暗い箇所でも施工者の簡単なワンタッチ操作によって固定部材53を脱着することができ、メンテナンスが非常に楽となる。
【0025】
前記した実施例では、使用者の押動操作のみで排水口41の弁体42が開栓/閉栓するワンウエイ式ポップアップが取り付けられているが、この実施例に限定されるものではなく、例えば、ロック機構を設けずに、使用者の押し引き操作によって排水口41の弁体42が開栓/閉栓する、ツーウェイ式のポップアップを使用してもかまわない。
また、前記実施例では排水口41に排水栓43を接続し、その下端に挿通管部51が構成された排水管44が接続されているが、この実施例に限定されるものではなく、例えば、排水栓43と排水管44を一体的に構成してもかまわない。
また、前記した実施例の他に、例えば図9示したように浴室3に用いられるレリースワイヤ挿通固定具5において、排水管44の構成をエルボ状に構成してもかまわない。このとき、挿通管部51が床面に接していても、取っ手532の形状が固定部材53の軸方向視外周面より飛び出して形成されないので、防水パンなどの載置面ラインに取っ手532が干渉することがないので、誤干渉等で脱落してしまうおそれがない。
また、前記した実施例の他に、例えば図10に示したように、固定部材53の取付を軸方向以外から取り付けるようにしてもかまわない。この取付は、固定部材53を、挿通管部51の端部とレリースワイヤ46を共同して抱持する一対の分割体とし、該一対の分割体がヒンジ機構により互いに揺動自在に連結して形成し、前記固定部材53の分割体同士を係合により着脱可能に連結して構成すると共に、固定部材53の分割体を着脱自在に係合させて、固定部材53を挿通管部51に取り付けるレリースワイヤ挿通固定具5である。
また、このほかにも図11に示すように、挿通管端部及びレリースワイヤ46の(軸方向に対し)側面方向から固定部材53の切り欠き溝531を差し込むようにしてもよい。尚、この差し込み時には、挿通管部51の端部及びブッシュ部材52、レリースワイヤ46を同時に抱持するようにして取り付けることとなる。このとき、直線動作のみの動作で固定部材53は挿通管部51に取り付けられる。
また、このほかにも図12に示すように、固定部材53をC字リングとし、挿通管部51の途中位置に切り欠いて構成された係合部57に、C字リングである固定部材53を軸方向以外の方向である側面方向から差し込むように取り付けてもかまわない。この時の固定部材53による固定は、C字リングの弾性による係合が利用される事となる。このとき、直線動作のみの動作で固定部材53挿通管部51に取り付けられる。
また、このほかにも、固定部材53をクイックファスナーとし、挿通管部51の端部とレリースワイヤ46の外周面に凸出させた鍔とを狭持するように、固定部材53を軸方向以外の側面方向から差し込むように取り付けてもかまわない。この時の固定部材53による固定は、クイックファスナーの弾性による係合が利用される事となる。このとき、直線動作のみの動作で固定部材53は挿通管部51に取り付けられる。
また、前記した実施例の他に、例えば図13に示したように、ピンチ状の取っ手532を構成し、当該取っ手532の先端を爪部56とし、弾性係合時及び弾性係合解除時には取っ手532部分を手でつかんで爪部56を開き、係合部57に弾性係合/弾性係合の解除をすることができるような形状としてもかまわない。
また、前記実施例の他、図9に示すように挿通管部51に凸部54、固定部材53に凹部55を構成しても良い。
また、前記実施例の他、挿通管部51に爪部56、固定部材53に係合部57を構成してもかまわない。
また、前記実施例の他、図14に示すように、固定部材53と挿通管部51の接続をネジ螺合としても、切り欠き溝531を固定部材53の側面に切り欠き溝531を構成してもかまわない。この場合においては、レリースワイヤ46への取り付けが現場施工時に組み付けられるので、工場生産性が向上するし、更に現場でレリースワイヤ46に固定部材53が挿入されていないので邪魔に成らず施工しやすくなった。
また、取っ手532の構成は上記実施例に限定されるものではなく、例えば、固定部材53側面から側面方向へ延出するような取っ手532の構成でもかまわない。
また、前記ブッシュ部材52と固定部材53は別構成として構成しているが、両者を一体的に構成してもかまわない。この場合においては、固定部材53にブッシュ部材52としてのシール部材をインサート成形したり、固定部材53とブッシュ部材52を一体的にゴムなどの軟質部材で形成してもかまわない。
【符号の説明】
【0026】
1 槽体
2 洗面台
21 収納部
3 浴室
31 浴槽パン
32 洗い場パン
33 エルボ部材
4 遠隔操作式排水栓装置
41 排水口
42 弁体
43 排水栓
44 排水管
45 排水トラップ
46 レリースワイヤ
461 アウターチューブ
462 インナーワイヤ
47 操作部
48 ワイヤー受け
5 レリースワイヤ挿通固定具
51 挿通管部
52 ブッシュ部材
521 フランジ部
53 固定部材
531 切り欠き溝
532 取っ手
533 円盤状の天面
54 凸部
55 凹部
56 爪部
57 係合部
6 レリースワイヤ挿入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
図13
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図15