(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着剤層の幅方向一方側の第1縁部における厚みが、その第1縁部よりも幅方向他方側に位置ずれした部位における接着剤層の厚みよりも大きい、請求項1に記載のシュリンクフィルム付き台紙。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、筒状のシュリンクフィルムを介して台紙に物品が取り付けられた包装体が知られている。特に、台紙と接着剤を用いて台紙の表面に接着されたシュリンクフィルムとを有するシュリンクフィルム付き台紙は、簡易な構造であるので、それを用いれば比較的安価な包装体が得られる。
【0003】
このようなシュリンクフィルム付き台紙を用いた包装体は、筒状のシュリンクフィルムが所定幅の接着剤層を介して接着された台紙を準備する工程、その筒状のシュリンクフィルムを開き、シュリンクフィルム内に円筒状の物品を挿入する工程、シュリンクフィルムを加熱してこれを収縮させることにより、シュリンクフィルム付き台紙に物品を具備させる工程、から得られる(特許文献1の第3頁の左上欄など)。
【0004】
しかしながら、筒状のシュリンクフィルムに物品を取り付けると、物品の重量により、或いは、運搬中に物品が左右に揺れることにより、物品の取り付けられたシュリンクフィルムが接着剤層から剥がれ落ちる場合がある。
この点、接着剤層の幅を大きくすれば、シュリンクフィルムの台紙に対する接着面積が増すので、シュリンクフィルムが取れ難くなる。
しかしながら、比較的大きな幅の接着剤層を有するシュリンクフィルム付き台紙を用いた包装体100は、
図17に示すように、シュリンクフィルム30の内面と円筒状の物品50の外周面の間に、比較的大きな隙間Aが生じ得るという新たな問題点を生じる。
このような隙間Aは、次のような理由から生じると考えられる。
【0005】
図18及び
図19に示すように、シュリンクフィルム30のうち接着剤層40に接着された接着領域は、加熱しても接着剤層40によって収縮が規制されるので、熱収縮しない。
他方、接着剤層40の表面は平坦状であるため、これに接着されたシュリンクフィルム30の接着領域も平坦状となっている。接着領域が平坦状になる原因は、シュリンクフィルム30を台紙20に接着させる際、筒状のシュリンクフィルム30を扁平状に畳み、それを接着剤層40が設けられた台紙20の上に重ねて、扁平状のシュリンクフィルム30の上からローラで押圧するからである。
そして、物品50の取り付け時(シュリンクフィルムの加熱時)、前記シュリンクフィルム30の平坦状の接着領域が熱収縮しないので、シュリンクフィルム30が物品50の容器形状に沿って収縮追従せず、その結果、シュリンクフィルム30の平坦状の接着領域と円筒状の物品の間に隙間Aが生じる。この隙間Aは、接着剤層40の幅が大きいほど大きくなる。
【0006】
このような隙間が存在すると、運搬中に前記隙間に対応するシュリンクフィルム部分が撓むので、その部分が破断し、引いては、物品が台紙から脱落するおそれがある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、用語の始めに、「第1」、「第2」などを付す場合があるが、これらは、用語を区別するために付加されたものであり、その順序や優劣などを意味しない。台紙の「表面」は、台紙を
図1に示す正面(台紙の面を直視する方向)から見たときに、手前側(看者に近い側)にある面を指し、「裏面」は、その反対側の面を指す。シュリンクフィルムの「内面」は、筒体の内側の面を指し、「外面」は、その外側の面を指す。平面視形状は、台紙の表面又は裏面に対して鉛直方向から見たときの形状である。方向性を示す用語として、上、下、左、右を使用するが、これらは、シュリンクフィルム付き台紙に係る台紙の任意の一辺を水平面上に置いた状態(例えば、
図1に示すように、台紙の下縁を水平面上に置いて台紙を立てた状態)を仮想して、その台紙の表面に対して鉛直方向から見たときの方向を指す。
また、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
さらに、本発明において、台紙の「紙」は、「台紙が紙製である」という限定的な意味を有するわけではない。
なお、各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0016】
図1及び
図2において、本発明のシュリンクフィルム付き台紙1は、台紙2と、接着剤層4と、筒状のシュリンクフィルム3と、を有し、前記シュリンクフィルム3は、接着剤層4を介して台紙2の表面に接着されている。
シュリンクフィルム3は、筒状であるが、物品の取り付けられる前には、通常、扁平状に畳まれている。
【0017】
図7乃至
図10は、本発明の包装体10を示している。この包装体10は、前記シュリンクフィルム付き台紙1と、そのシュリンクフィルム3の内側に挿入されて保持された、弧状面5aを有する物品5と、を有する。前記物品5は、筒状のシュリンクフィルム3を熱収縮させることにより、シュリンクフィルム3に取り付けられ、そのシュリンクフィルム3を介して台紙2に取り付けられている。
収縮させたシュリンクフィルム3の内面は、弧状面5aを含む物品5の外面に密着している。物品5は、弧状面5aを台紙側に向けた状態で、シュリンクフィルム3を介して台紙2に取り付けられている。
【0018】
台紙2を形成するシート材は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。シート材としては、例えば、厚紙(薄い合成樹脂製フィルムが積層された厚紙を含む)、合成樹脂製シート、金属蒸着層を有する合成樹脂製シート、発泡樹脂シート、及びこれらの積層シートなどが挙げられる。比較的安価であることから、前記厚紙又は合成樹脂製シートを用いることが好ましい。前記合成樹脂製シートとしては、例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリスチレン系などのシートが挙げられ、適度な剛性を有することから、ポリプロピレン製シートが好ましい。
また、台紙2は、複数枚のシート材を剥離可能に積層してなる積層シート、1枚のシート材を複数回折り返して重ね合わせた積層シートなどであってもよい。このような積層シートを用いることにより、表示面積が大きい台紙2を構成できる。
【0019】
シート材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.2mm〜1.5mm程度である。厚紙の場合には、0.5mm〜1.5mm程度であり、合成樹脂製シートの場合には、0.2mm〜0.6mm程度である。
また、台紙2の表面又は/及び裏面には、必要に応じて、所望のデザインが印刷などにより表示されていてもよい。
【0020】
台紙2の平面視形状は、図示したように、平面視略矩形状に形成されているが、これに限定されない。例えば、台紙2は、平面視略三角形状、平面視略楕円形状などに形成されていてもよい(図示せず)。
また、台紙2の上方部には、吊り下げ用の孔29が形成されている。もっとも、前記吊り下げ用の孔29が形成されていなくてもよい。
【0021】
筒状のシュリンクフィルム3を形成する基材は、柔軟性を有し、さらに、少なくとも一方向(一方向は、筒状に形成された際に周方向となる)に熱収縮性を有するフィルムであれば特に限定されず、従来公知のフィルムを用いることができる。
なお、前記熱収縮性は、所定の温度(例えば、70℃〜100℃)に加熱されると収縮する性質をいう。
前記基材として、他方向(他方向は、基材面内で前記一方向に直交する方向)にも若干熱収縮又は熱伸張するフィルムを用いてもよい。
【0022】
前記基材は、不透明のフィルムでもよいが、シュリンクフィルム3内に取り付けられた物品5を透視できるようにするため、無色透明又は有色透明のフィルムが用いられる。
前記基材は、単層のフィルムでもよいし、複数の層が積層一体化された積層フィルムでもよい。
基材の形成材料は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などを主成分として含む樹脂組成物が挙げられる。
基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm〜100μmである。
【0023】
筒状のシュリンクフィルム3は、前記基材の一方向が周方向となるように基材を丸め、その一方向一方側の端部3aを一方向他方側の端部3bに重ね合わせ、その両端部3a,3bを溶剤又は接着剤で接着することにより、形成されている。
なお、前記重ね合わせて接着した部位は、筒状のシュリンクフィルム3の周方向の何れに位置していてもよく、特に限定されない。好ましくは、前記接着した部位は、シュリンクフィルム3に物品5を取り付けた際に、物品5の正面視におけるデザインを阻害しないような位置に配置される。
【0024】
筒状のシュリンクフィルム3の大きさは、物品5に応じて適宜設定できる。
物品5を挿入するために、筒状のシュリンクフィルム3の内周長さは、物品5の外周長さよりも少し大きい。
筒状のシュリンクフィルム3の上下方向の長さは、物品5の上下方向の長さと同じ若しくはそれよりも小さい又はそれよりも大きくてもよい。
【0025】
上下方向の長さが物品5よりも大きいシュリンクフィルム3を用いた場合には、それに物品5を挿入し加熱することにより、そのシュリンクフィルム3の上方部及び下方部が、物品5の上面周縁部及び下面周縁部に回り込んで密着する、又は、そのシュリンクフィルム3の上方部が物品5の上面周縁部に回り込んで密着する、若しくは、そのシュリンクフィルム3の下方部が物品5の下面周縁部に回り込んで密着するようになる。
なお、上下方向は、筒状のシュリンクフィルム3の軸方向(そのシュリンクフィルム3を円筒に開いたときにその中心を通る線)と平行な方向である。
また、幅方向は、台紙2の面内で前記上下方向と直交する方向である。
【0026】
図示例では、上下方向の長さが物品5の上下方向の長さよりも小さいシュリンクフィルム3が用いられている。
このシュリンクフィルム3は、台紙2の表面に取り付けられている。
シュリンクフィルム3の下縁又は上縁が台紙2の下縁又は上縁と一致するように、シュリンクフィルム3が台紙2に取り付けられていてもよいが、図示例では、シュリンクフィルム3の下縁を台紙2の下縁から少し上方に離反させてシュリンクフィルム3が台紙2に取り付けられている。
【0027】
筒状のシュリンクフィルム3は、後述する所定幅の接着剤層4によって台紙2に接着されている。物品5を挿入する前のシュリンクフィルム3は、シュリンクフィルム付き台紙1の保管又は運搬の便のため、扁平状に畳まれている。
【0028】
筒状のシュリンクフィルム3の外面のうち、接着剤層4に接着する接着領域内におけるシュリンクフィルム3の外面には、凹凸部6が形成されている。凹凸部6は、好ましくは複数形成される。
この凹凸部6に接着剤層4の接着剤が入り込み且つ絡み付いて接着表面積が増すため(
図10参照)、シュリンクフィルム3を接着剤層4に強固に接着させることができる。
【0029】
本実施形態では、前記凹凸部6は、シュリンクフィルム3の基材を厚み方向に貫通する、貫通孔61からなる。貫通孔61が形成された部分が凹部となり、貫通孔が形成されていない部分が凸部となる。
この貫通孔61は、
図3に示すように、前記接着領域内において複数設けられている。
図3では、接着領域内において、上下方向に断続的に形成された複数の貫通孔61からなる線が、幅方向に複数列(例えば2列)形成されている。上下方向に並んだ一方列の複数の貫通孔61は、接着剤層4の幅方向一方側寄りに対応して配置され、上下方向に並んだ他方列の複数の貫通孔61は、接着剤層4の幅方向他方側寄りに対応して配置されている。なお、
図3において、接着領域を判りやすく図示するため、便宜上、網掛けで表している。
【0030】
このような複数の貫通孔61からなる線は、ミシン目とも呼ばれる。
前記1つの貫通孔61の平面視形状は、細長い直線状、針穴状(円形孔又は楕円形孔)などが挙げられる。図示例では、貫通孔61は、上下方向に細長い直線状である。前記貫通孔61の上下方向の長さは、例えば、0.3mm〜2.5mmである。
また、上下に隣接する貫通孔61,61の間の長さ(非貫通部の上下方向の長さに等しい)は、例えば、0.3mm〜4.0mmである。
さらに、左右の貫通孔61,61の間の長さ(幅方向に隣接する貫通孔61,61の中心間の長さ)は、例えば、2mm〜15mmである。
【0031】
前記貫通孔61は、例えば、穿孔針をシュリンクフィルム3に突き刺す、又は、レーザーを照射するなどにより、形成することができる。
接着剤層4の接着剤がより絡み付きやすくなることから、前記貫通孔61の周縁部は外側(接着剤層側)に盛り上がっていることが好ましい。貫通孔61の周縁部を外側に盛り上げる方法としては、例えば、シュリンクフィルム3の内面側から外面側に向かって穿孔針を突き刺して貫通孔61を形成することが挙げられる。
【0032】
前記接着剤層4は、台紙2とシュリンクフィルム3を連結する層であって、接着剤が固化した層である。
接着剤としては、台紙2及びシュリンクフィルム3をそれぞれ強固に接着できるものであれば特に限定されず、例えば、水系接着剤、溶剤型接着剤、感熱性接着剤などを用いることができる。水系接着剤は、樹脂成分が水に溶解又は分散された流動性を有する接着剤であって、乾燥により固化する接着剤である。溶剤型接着剤は、樹脂成分が溶剤に溶解された流動性を有する接着剤であって、揮発によって固化する接着剤である。感熱性接着剤は、常温で粘着性を示さず且つ加熱によって粘着性及び流動性を生じ、冷却により固化する接着剤である。特に、台紙2を形成するシート材が厚紙の場合には、紙への接着性の観点から、湿気反応型ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。
【0033】
接着剤層4は、台紙2の表面に帯状に設けられている。接着剤層4は、例えば、台紙2の幅方向略中央部に設けられ、接着剤層4の下縁は、台紙2の下縁から上方に離反している。接着剤層4は、台紙2の中央部に設けられる場合に限られず、幅方向一方側又は他方側に片寄っていてもよい。
帯状の接着剤層4は、幅方向一方側及び他方側にそれぞれ縁部を有する。以下、接着剤層4の幅方向一方側の縁部を「第1縁部」といい、幅方向他方側の縁部を「第2縁部」という。
【0034】
接着剤層4の幅W4(第1縁部41と第2縁部42の間の長さ)は、特に限定されないが、余りに小さいと、シュリンクフィルム3に物品5を取り付けた際に、シュリンクフィルム3が台紙2から外れるおそれがある。このため、前記接着剤層4の幅W4は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、7mm以上が特に好ましい。
一方、後述するように、接着剤層4の幅方向一方側の第1縁部41における接着剤層4の厚みがその第1縁部41よりも幅方向他方側に位置ずれした部位における接着剤層4の厚みよりも大きいシュリンクフィルム付き台紙1にあっては、接着剤層4の幅W4が大きくても、シュリンクフィルムと物品の間に大きな隙間を生じさせずに物品を取り付けることができる。もっとも、接着剤層4の幅W4が余りに大きいと、扁平状に畳んだシュリンクフィルム3を円筒状に開くことが困難となる。このため、前記接着剤層4の幅W4は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましい。
【0035】
なお、前記接着剤層4の幅W4は、直径1cm〜7cm程度の円筒状で且つ重さ10g〜200g程度の物品又は前記円筒状の物品の弧状面と同程度の弧状面を有する円筒状でない物品を取り付ける場合である。このような物品以外の物品(例えば、非常に大きな弧状面及び重量を有する物品)を取り付ける場合には、接着剤層4の幅W4が前記範囲以外でも、支障を来さない場合もある。
【0036】
本発明の接着剤層4は、その厚みが幅方向において一様ではなく、異なっている。
すなわち、接着剤層4の幅方向一方側の第1縁部41における接着剤層4の厚みは、その第1縁部41よりも幅方向他方側に位置ずれした部位における接着剤層4の厚みよりも大きい。
【0037】
具体的には、接着剤層4は、その第1縁部41における厚みが幅方向他方側に位置ずれした部位の厚みよりも大きく、且つ、その第2縁部42における厚みが幅方向一方側に位置ずれした部位の厚みよりも大きくなるように、形成されている。
【0038】
好ましくは、接着剤層4は、第1縁部41から幅方向他方側に位置ずれした部位に向かうに従って厚みが徐々に小さく、且つ、第2縁部42から幅方向一方側に位置ずれした部位に向かうに従って厚みが徐々に小さくなるように、形成されている。より好ましくは、第1縁部41から幅方向他方側に位置ずれした部位における接着剤層4の表面が、台紙2側に膨らんだ弧状面とされ、且つ、第2縁部42から幅方向一方側に位置ずれした部位における接着剤層4の表面が、台紙2側に膨らんだ弧状面とされている。
接着剤層4の表面(弧状面)の曲率は、弧状面5aを有する物品5の当該弧状面5aの曲率と同様であることが好ましい。
【0039】
接着剤層4の第1縁部41における厚みと第2縁部42における厚みは、同じ、又は、異なっていてもよい。
図示例では、接着剤層4の第1縁部41における厚みと第2縁部42における厚みとが、同じで、第1縁部41及び第2縁部42から接着剤層4の幅方向中央部に向かうに従って厚みが徐々に小さくなり、幅方向中央部において最も小さくなるように、接着剤層4が形成されている。
従って、接着剤層4の表面全体は、台紙2側に膨らんだ弧状面(好ましくは、物品5の弧状面5aの曲率と同様)とされている。
【0040】
接着剤層4の第1縁部41における厚みH41及び第2縁部42における厚みH42は、特に限定されない。例えば、前記第1縁部41及び第2縁部42における厚みH41,H42は、それぞれ独立して、1mm〜5mmであり、好ましくは1.5mm〜3mmである。
接着剤層4の厚みの最小値(図示例では幅方向中央部における厚みH43)は、例えば、0を超え1mm未満であり、好ましくは、0を超え0.5mm以下である。
【0041】
上記シュリンクフィルム付き台紙1は、例えば、次のような各工程を経て製造できる。
まず、所定範囲に接着剤が設けられた台紙2を準備する(台紙の準備工程)。
例えば、
図4及び
図5に示すように、台紙2の表面の幅方向中央部に、所定幅で接着剤7を上下方向に塗布する。
接着剤7の幅W7は、形成しようとする接着剤層4の幅W4と同じでもよいが、シュリンクフィルム3を押し付けた際に左右に拡がることから、上記接着剤層4の幅W4よりも小さな幅で接着剤7を塗布することが好ましい。
また、接着剤7の塗布厚は、幅方向において一様でもよいが、シュリンクフィルム3を押し付けた際に、第1縁部41及び第2縁部42の各厚みが最大厚となる接着剤層4を容易に形成できることから、
図5に示すように、幅方向中央部における塗布厚が左右部の塗布厚よりも小さくなるように、接着剤7を塗布することが好ましい。
【0042】
次に、前記接着剤7が固化しないうちに、筒状のシュリンクフィルム3を押し付けて接着する(シュリンクフィルムの接着工程)。
具体的には、筒状に形成されたシュリンクフィルム3の接着領域の外面を凸弧面状に維持し、接着剤が流動性を有している間に、その接着領域の外面を接着剤に押し付ける。なお、接着剤として感熱性接着剤を用いた場合には、先に、その接着剤を加熱しておく。
シュリンクフィルム3の接着領域を凸弧面状に維持する方法としては、例えば、
図6に示すように、筒状のシュリンクフィルム3の内側に、突出面91aが弧面である長状凸部91を有する治具9を挿入し、その治具9の突出面91aをシュリンクフィルム3の接着領域の内面に当接させながら、シュリンクフィルム3の接着領域を接着剤に押し付ける方法が簡便である。この長状凸部91の突出面91aは、取り付けられる物品5の弧状面5aと略同じ形状であることが好ましい。
【0043】
シュリンクフィルム3の接着領域を押し当てると、接着剤7が左右に拡がり、接着剤7の幅方向中央部が薄く且つ左右縁部が厚くなる。この状態で接着剤を固化させた後、シュリンクフィルム3を扁平状に畳むことにより、
図1及び
図2に示すようなシュリンクフィルム付き台紙1が得られる。
【0044】
上記シュリンクフィルム付き台紙1は、次のようにして使用される。
扁平状に畳まれたシュリンクフィルム3を開き、物品5の弧状面5aが台紙2の表面に対面するように、物品5をシュリンクフィルム3内に挿入する。物品5は、シュリンクフィルム3の上下方向の所望の位置に挿入される。例えば、物品5の下面が台紙2の下縁に略一致する位置に、物品5を挿入する。
挿入後、シュリンクフィルム3を所定温度に加熱すると、シュリンクフィルム3が縮径して物品5の外面に密着し、
図7乃至
図10に示すような、包装体10を構成できる。
得られた包装体10は、物品5の弧状面5aを台紙2側に向けた状態で、熱収縮されたシュリンクフィルム3を介して前記物品5が台紙2に取り付けられている。
【0045】
物品5は、特に限定されず、従来公知のものを使用できる。
物品5としては、化粧料などが収納されたスプレー式容器、キャップ付き容器、ボトル型容器などの各種容器などが挙げられる。
【0046】
物品5の形状は、特に限定されないが、本発明のシュリンクフィルム付き台紙1は、弧状面を有する物品を包装する場合に特に有意義であることから、物品5は、弧状面5aを有する形状のものが好ましいが、本発明のシュリンクフィルム付き台紙1は、例えば、四角筒状の物品を包装する場合に用いてもよい。
弧状面5aは、物品5の外面の一部分を成す。
弧状面5aを有する物品5としては、円筒状の胴部を有する物品、楕円筒状の胴部を有する物品、円錐台状の胴部を有する物品、周面の一部分が円弧面又は楕円面に形成された胴部を有する物品などが挙げられる。
周面の一部分が円弧面又は楕円面に形成された胴部としては、水平断面が略半月状である胴部、水平断面が達磨型である胴部などが挙げられる。
図示例では、円筒状の胴部を有する物品5が用いられており、かかる物品5は、胴部の外面全体が弧状面5aとなっている。
【0047】
本発明のシュリンクフィルム付き台紙1は、接着剤層4の第1縁部41における厚みH41が幅方向他方側に位置ずれした部位の厚みH43よりも大きく、且つ、その第2縁部42における厚みH42が幅方向一方側に位置ずれした部位の厚みH43よりも大きいので、
図9及び
図10に示すように、シュリンクフィルム3の接着領域の内面と物品5の弧状面5aとがほぼ隙間なく密着する。
【0048】
特に、接着剤層4の表面(弧状面)の曲率が物品5の弧状面5aの曲率と同様である場合には、シュリンクフィルム3の接着領域の内面が物品5の弧状面5aに沿って密着するようになる。
なお、シュリンクフィルム3の接着領域以外の領域は、規制されていないので、物品5の外面に隙間なく密着することは言うまでもない。
本発明のシュリンクフィルム付き台紙1を用いれば、物品5が脱落し難い包装体10を構成できる。
【0049】
さらに、本発明のシュリンクフィルム付き台紙1は、上述のようにシュリンクフィルム3の内面が物品5の外面に密着するので、
図7乃至
図9に示すように、円筒状や楕円筒状などの直胴状の胴部(上下方向の何れの箇所の水平断面形状が同じである胴部)の物品5の前記胴部のみをシュリンクフィルム3に取り付けた場合であっても、物品5が脱落し難い。つまり、シュリンクフィルム3の下方部が物品5の下面周縁部に回り込んで密着するように、シュリンクフィルム3に物品5を取り付けなくても、物品5がその自重によってシュリンクフィルム3から脱落し難い。
【0050】
シュリンクフィルム3に物品5を取り付けると、物品5の自重により、シュリンクフィルム3の上方部に対して台紙2から離れる方向に荷重が加わるが、本発明のシュリンクフィルム付き台紙1は、シュリンクフィルム3の接着領域に凹凸部6が形成されているので、シュリンクフィルム3が接着剤層4に強固に接着しており、物品5が台紙2から不用意に外れることを防止できる。
また、物品5の下面が台紙2の下縁に略一致する位置に物品5を挿入してシュリンクフィルム3に取り付けた場合には、台紙2の下縁と物品5の下面がほぼ同一平面上にある包装体10を構成できる。かかる包装体10は、物品5の下面及び台紙2の下縁を自立面として、自立させることも可能である。
【0051】
なお、上記包装体10は、シュリンクフィルム付き台紙1のシュリンクフィルム3に物品5を挿入し且つシュリンクフィルム3を熱収縮させることにより得られるが、次のような方法によって得ることもできる。
【0052】
すなわち、この包装体の製造方法は、所定範囲に接着剤が設けられた台紙を準備する工程と、物品を取り付けた筒状のシュリンクフィルムを準備する工程と、この物品取り付け済みのシュリンクフィルムの接着領域を、前記接着剤が固化しないうちに、台紙の接着剤に押し付けて接着する工程と、を有する。
【0053】
前記所定範囲に接着剤が設けられた台紙を準備する工程は、シュリンクフィルム付き台紙1の製造方法で説明した台紙2の準備工程と同様であるので、それを参照されたい。
【0054】
物品を取り付けた筒状のシュリンクフィルムを準備する工程においては、筒状のシュリンクフィルム内に物品を挿入し、これを加熱することにより、物品の外面にシュリンクフィルムを密着させる。
この工程により、
図11に示すような、物品5の外面周囲に熱収縮したシュリンクフィルム3が巻き付いた物品取り付け済みのシュリンクフィルム8が得られる。
なお、台紙の準備工程と物品取り付け済みのシュリンクフィルム8の準備工程は、いずれを先に行ってもよいし、或いは、両工程を同時並行的に行ってもよい。
【0055】
最後に、準備した台紙2の接着剤7が固化しないうちに、物品取り付け済みのシュリンクフィルム8の接着領域を、台紙2に設けられた接着剤7の表面に押し付け、接着剤7が固化することにより、
図7乃至
図10に示すような包装体10が得られる。
このような製法によれば、シュリンクフィルム3の内面と物品5との間にほぼ隙間なく、物品が脱落し難い包装体を簡単に得ることができる。
【0056】
次に、本発明のシュリンクフィルム付き台紙の変形例を示す。ただし、下記の各種の変形例の説明において、上記実施形態と同様の構成及び効果は、(その説明を行ったものとして)その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する。
【0057】
上記実施形態では、接着剤層4は、第1縁部41及び第2縁部42における厚みが幅方向中央部の厚みよりも大きいが、例えば、
図12に示すように、第1縁部41における厚みが第2縁部42における厚みより大きく且つ接着剤層4の厚みが前記第1縁部から幅方向他方側に位置ずれした第1縁部に向かうに従って徐々に小さくなるように、接着剤層4が形成されていてもよい。この他の実施形態の接着剤層4においても、上記実施形態と同様に、接着剤層4の表面全体が台紙2側に膨らんだ弧状面とされていることが好ましく、物品の弧状面の曲率と同様な曲率を有する弧状面とされていることがより好ましい。
【0058】
また、上記実施形態では、複数列(例えば、2列)のミシン目を構成する各貫通孔61は、幅方向に並んでいるが、例えば、
図13に示すように、一方列の貫通孔61aと他方列の貫通孔61bとが、上下方向に位置ずれするように形成されていてもよい。このような変形例によれば、一方列のミシン目を構成する上下に隣接する貫通孔61aの間に対応して(つまり、一方列のミシン目の非貫通部に対応して)、他方列のミシン目の各貫通孔61bが配置されるので、シュリンクフィルム3が接着剤層4に特に強固に接着するようになる。
図13において、接着領域を、便宜上、網掛けで表している。
【0059】
さらに、上記実施形態では、貫通孔61が接着剤層4の幅方向一方側寄り及び他方側寄りに配置され、接着剤層4の幅方向一方側及び他方側の厚みが大きいので、貫通孔61に多くの接着剤が入り込むことが期待できる。
一方、製造時、接着剤7に対して筒状のシュリンクフィルム3を押し付けた際には、接着剤7の幅方向中央部に最も強く押圧力が加わることから、
図14に示すように、接着剤層4の幅方向中央部に対応するように、貫通孔61cが設けられていることが好ましい。この貫通孔61cは、好ましくは、シュリンクフィルム3の上下方向に所定間隔を開けて複数設けられる。
図14では、貫通孔61cは、幅方向中央部のみしか表していないが、必要に応じて、接着剤層4の幅方向一方側寄り及び/又は他方側寄りにも、貫通孔が形成されていてもよい。
【0060】
上記実施形態では、貫通孔61は、上下方向に延びる細長い直線状であるが、例えば、
図15に示すように、貫通孔61dが、上下方向に対して傾斜した直線状に形成されていてもよい。この場合、傾斜直線状の複数の貫通孔61dを上下方向に所定間隔を開けて形成してもよいし、
図15に示すように、傾斜直線状の複数の貫通孔61dを、その傾斜方向に所定間隔を開けて形成してもよい。この態様は、ミシン目を上下方向に対して傾斜させて複数列形成したものと言える。
図15において、接着領域を、便宜上、網掛けで表している。
【0061】
上記実施形態では、台紙2の表面は平坦状であるが、例えば、
図16に示すように、接着剤層4が設けられる部分に対応する台紙2の表面に、凹部21を形成してもよい。例えば、両側から幅方向中央部に向かうに従って下方に傾斜する傾斜面21a,21bを台紙2に形成することによって、前記凹部21が形成されている。
このような傾斜面21a,21bを有する凹部21が台紙2に形成されていることによって、製造時、接着剤7に対して筒状のシュリンクフィルム3を押し付けた際には、幅方向一方側寄り及び他方側寄りに形成された貫通孔61,61に接着剤が入り込み易くなる。
【0062】
また、上記実施形態では、シュリンクフィルム3の接着領域に貫通孔61を形成することにより、接着領域に凹凸面を形成しているが、これに限定されず、その他の手段を併用又は代用してもよい。
例えば、シュリンクフィルム3の接着領域の外面に、ブラスト処理などを施すことにより、その外面を無数の凹凸状に形成してもよい。或いは、シュリンクフィルム3の接着領域に、エンボス加工又はハーフカット処理を行い、その接着領域の外面に凹凸部を形成してもよい。
【0063】
上記実施形態では、シュリンクフィルム3の接着領域に凹凸部6を形成しているが、例えば、台紙2の表面のうち少なくとも接着剤層4が設けられる範囲に凹凸部を形成してもよい。これにより、シュリンクフィルム3が接着剤層4に強固に接着するだけでなく、台紙2も接着剤層4に強固に接着するようになる。
台紙2に凹凸部を形成する方法は、シュリンクフィルム3の凹凸部6の形成方法に準じて行うことができる。