【文献】
A. S. RAGHUVANSHI et. al.,DYMO as routing protocol for IEEE-802.15.4 enabled Wireless Sensor Networks,Wireless Communication and Sensor Networks (WCSN), 2010 Sixth International Conference on,2010年12月15日,pp.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記同期工程において、前記所定の同期情報は前記マスターデバイスから送信されるビーコン信号であって、前記マスターデバイスと前記スレイブデバイスとの間でビーコン間隔に基づく同期が確立され、
前記同期の確立後に、前記同期を保持した状態で前記マスターデバイスからの前記ビーコン信号の送信頻度が低下される、
ことを特徴とする請求項1記載のデータ送受信方法。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレスパーソナルエリアネットワークは、個人の作業環境にあるデバイスと、その周辺にあるデバイスとの相互接続を可能にする近距離ネットワークである。
【0003】
近年、こうしたワイヤレスパーソナルエリアネットワークにおいて、小型で安価であり、かつ低出力のデジタル無線通信を行うことのできる、IEEE802.15.4の規格に準拠する通信デバイスが用いられている。
【0004】
IEEE802.15.4の規格に準拠するネットワークは、大別すると、FFD(Full Function Device)とRFD(Reduced Function Device)の2種類のデバイスから構成されている。
【0005】
FFDは、自らが属するパーソナルエリアネットワーク(PAN)に加入しようとする新規デバイスに対するPANへの加入承認機能および他のデバイスとの通信において用いられるスーパーフレームの定義機能を有する全機能搭載型デバイスである。このようなFFDのうち、各ネットワーク中に1つ存在し、ネットワーク全体のIDを決める機能を更に有するものを、PANコーディネータという。
【0006】
RFDは、FFDが有する上記加入承認機能およびスーパーフレームの定義機能を有していないデバイスであり、これらの機能を有していない以外は、FFDと同じ機能を有する機能制限型デバイスである。
【0007】
図11は、FFDおよびRFDにより構成されるネットワークのトポロジーを示す模式図である。
図11に示すように、こうしたネットワークのトポロジーとして、スター型ネットワーク(
図11(A))、ピアツーピアネットワーク(
図11(B))等のトポロジーが存在する。
【0008】
スター型ネットワークは、PANコーディネータおよび複数のFFDまたはRFDにより構成される。全てのデバイス間にはマスター・スレイブの関係が構築されている(特許文献1参照)。そして、上位に位置するマスターであるFFDから、下位にあるスレイブであるFDDまたはRFDに対し、定期的に同期用信号(ビーコン)が送信されることで、マスター・スレイブ間の同期が確立され、TDMA(Time Division Multiple Access)方式による情報の送受信が行われる。
【0009】
一方、ピアツーピアネットワークは、PANコーディネータ、および複数のFFDまたはRFDにより構成される点は上述したスター型ネットワークと同様であるが、全てのデバイスは対等、すなわち、デバイス間にマスター・スレイブの関係が構築されないという点で異なっている。ピアツーピアネットワークを構成する各デバイス間では、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)方式による情報の送受信が行われる。
【0010】
上述した2つのネットワークトポロジーのうち、スター型ネットワークについて更に詳細に説明する。
図12は、従来のスター型ネットワークにおける情報の送受信方法を示す図である。
【0011】
図12に示すように、従来のスター型ネットワークにおいては、マスターデバイスからのビーコン信号によりマスター・スレイブ間で同期が確立されるとともに、ビーコン信号の間隔(Beacon Interval、BI)がTDMA周期として確立される。
【0012】
TDMA周期は、スレイブデバイスが起動し情報の送受信が行われるアクティブ期間と、スレイブデバイスがスリープモードとなる非アクティブ期間により構成されている。
【0013】
アクティブ期間は、スーパーフレーム長(Superframe Duration、SD)として定義され、コンテンションアクセス期間(Contention Access Period、CAP)と、コンテンションフリーアクセス期間(Contention Free Access Period、CFP)とにより構成されている。
【0014】
CAPは、マスターデバイスと、通信を行いうる全てのスレイブデバイスとの間で、情報の送受信が許可される期間である。
【0015】
一方、CFPは、マスターデバイスが割り当てた唯一のスレイブデバイスに対してのみ、情報の送受信が許可される期間である。CFP内では、各スレイブデバイスは、自らに割り当てられたスロットであるGTS(Guaranteed Time Slot)内においてのみマスターデバイスへの情報の送受信を行うことができる。
【0016】
デバイス間のデータフレームの送受信は、全て上述したCAPまたはCFP内でのみ行われる。
【0017】
非アクティブ期間は、BIのうち、上述したアクティブ期間、すなわちSD以外の時間であり、上述したように、非アクティブ期間においてスレイブデバイスはスリープモードとなる。そのため、BIに占めるSDが長くなると、その分非アクティブ期間は短くなるとともに、スレイブデバイスはスリープモードにならず、起動し続けることになる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に示す各実施形態に係るデータ送受信方法は、いずれも
図11(A)に示すスター型ネットワークにおけるデータの送受信に用いられるものを例に説明しているが、本発明はこれに限られず、ツリー型ネットワーク等、デバイス間でマスター・スレイブの関係が構築されるトポロジーであれば適用することができる。
【0036】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係るデータ送受信方法について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るデータ送受信方法において用いられるスーパーフレームを示す図である。
【0037】
図1に示すように、本実施形態に係るデータ送受信方法では、アクティブ期間を定義するSDはCAPのみにより構成されている。
【0038】
そして、本実施形態に係るデータ送受信方法では、データフレームの送受信はCAP内で開始されるが、CAP内で完了する必要は無く、データフレームの送受信がCAP内で完了しなかった場合、データフレームの送受信を行っているデバイスに関しては、CAP終了後もデータの送受信をその完了まで継続することができる。なお、CAP終了時にデータの送受信を行っていないデバイスについては、CAP終了時にスリープモードになる。
【0039】
そのため、CAPを従来のデータ送受信方法よりも短くすることができ、アクティブ期間を短くし、その分非アクティブ期間、すなわちデバイスがスリープモードでいられる期間を長くすることができるため、デバイスの起動時間を短くすることができ、デバイスの電力消費を効果的に抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態に係るデータ送受信方法では、ビーコン間隔による同期の確立時にマスターデバイスからビーコン信号が送信され、同期が確立された後は、ビーコン信号の送信頻度が低下される。具体的には、同期の確立後は、同期の確立時のビーコン間隔の数分の1の頻度に低下されるか、あるいはビーコン信号の送信が停止され必要に応じて送信が再開される。
【0041】
そのため、同期確立後の不要なビーコン信号の送受信による電力消費を効果的に抑制することができる。なお、
図1において、最初のビーコン信号による同期確立の様子は省略されている。
【0042】
次に、第1の実施形態に係るデータ送受信方法におけるネットワークトポロジーの構築について説明する。
図2は、第1の実施形態に係るデータ送受信方法におけるネットワークトポロジーが構築される様子を示すシーケンスチャートである。なお、
図2では、本実施例に係るデータ送受信方法の適用例として、無線ネットワークを通じて下位のメーターから上位のメーターを介して、PANコーディネータとして機能するSUN収集局である収集メーターCS(Collection Station)に各種情報が収集されるメーターネットワークを例に説明する。
【0043】
図2に示す無線ネットワークは、収集メーターCS、メーターM1、メーターM2、メーターM3の4つのメーターにより構成される。収集メーターCSは最上位のマスターデバイスであり、メーターM1およびM2は収集メーターCSに対するスレイブデバイスとなり、メーターM3は、メーターM1に対するスレイブデバイスとなる。このネットワークにおいて、ネットワークトポロジーの構築は、まず、収集メーターCSの電源が投入され、収集メーターCSがアクティブスキャンを行うことにより開始される(ステップS1)。
【0044】
次に、収集メーターCSは、PANIDおよび自身のスーパーフレームを定義し、PANを立ち上げる(ステップS2)。
【0045】
次に、メーターM1の電源が投入され、メーターM1によるアクティブスキャンが行われる(ステップS3)。
【0046】
メーターM1によるアクティブスキャンでは、まず、メーターM1が、スキャンリクエストをブロードキャストする(ステップS4)。
【0047】
そして、メーターM1からブロードキャストされたスキャンリクエストの受信可能範囲内にあるFFDである収集メーターCSは、受信したスキャンリクエストに対する応答(スキャン応答)をメーターM1にユニキャストする(ステップS4)。メーターM1がこのスキャン応答を受信することで、メーターM1は収集メーターCSを発見するとともに、収集メーターCSが自機に対するマスターデバイスとなり得る可能性のあるデバイスであることを認識し、メーターM1のアクティブスキャンは終了する。
【0048】
次に、メーターM1は、収集メーターCSのPANへのアソシエーションを開始する(ステップS6)。
【0049】
メーターM1のアソシエーションでは、まず、メーターM1は、マスターデバイスとなり得る収集メーターCSに対して、アソシエーションリクエストをユニキャストする(ステップS7)。
【0050】
次に、メーターM1からのアソシエーションリクエストを受信した収集メーターCSは、アソシエーション応答をメーターM1にユニキャストする(ステップS8)。このアソシエーション応答をメーターM1が受信することで、収集メーターCSをマスターデバイスとするメーターM1のPANへのアソシエーションが完了する。
【0051】
こうして収集メーターCSとメーターM1との間でアソシエーションが完了することで、両者間でデータの送受信を行うことができる(ステップS9)。
【0052】
次に、メーターM2の電源が投入され、メーターM2によるアクティブスキャンが行われる(ステップS11)。
【0053】
メーターM2によるアクティブスキャンでは、まず、メーターM2が、スキャンリクエストをブロードキャストする(ステップS12)。
【0054】
そして、メーターM2からブロードキャストされたスキャンリクエストの受信可能範囲にあるFFDである収集メーターCSとメーターM1は、スキャンリクエストを受信すると、スキャン応答をメーターM2にユニキャストする(ステップS13)。メーターM2がこのスキャン応答を受信することで、メーターM2はマスターデバイスとなり得る収集メーターCSとメーターM1を発見する。なお、マスターデバイスとなり得るデバイスが複数ある場合、デバイスは、所定の基準に基づきマスターデバイスとする優先度の高いデバイスの認識を行う。本実施形態においては、メーターM2は、マスターデバイスとなり得る2つのメーターのうち、収集メーターCSがより優先度の高いデバイスであることを所定の基準に基づき認識する。こうしてメーターM2によるアクティブスキャンは終了する。
【0055】
この優先度は、収集メーターCSへの距離や、スキャンリクエストを発したデバイスからの距離、またはスキャン応答を送信した順番等の所定の基準に基づき決定される。本実施形態においては、収集メーターCSへの距離に応じて優先度が決定され、収集メーターCS自身が最も優先度の高いデバイスとなっている。このように、優先度が所定の基準により決定されることで、迅速なPANの構築が可能となる。
【0056】
次に、メーターM2は、収集メーターCSのPANへのアソシエーションを開始する(ステップS14)。
【0057】
メーターM2のアソシエーションでは、まず、メーターM2は、上記優先度の高いデバイスである収集メーターCSに、アソシエーションリクエストをユニキャストする(ステップS15)。
【0058】
次に、メーターM2からのアソシエーションリクエストを受信した収集メーターCSは、アソシエーション応答をメーターM2にユニキャストする(ステップS16)。このアソシエーション応答をメーターM2が受信することで、収集メーターCSをマスターデバイスとする、メーターM2のPANへのアソシエーションが完了する。
【0059】
こうして収集メーターCSとメーターM2との間ではアソシエーションが完了することで、両者間でデータの送受信を行うことができる(ステップS17)。
【0060】
次に、メーターM3の電源が投入され、メーターM3によるアクティブスキャンが行われる(ステップS21)。
【0061】
メーターM3のアクティブスキャンでは、まず、メーターM3が、スキャンリクエストをブロードキャストする(ステップS22)。
【0062】
そして、メーターM3からブロードキャストされたスキャンリクエストの受信可能範囲内にあるメーターM1は、スキャンリクエストを受信すると、スキャン応答をメーターM3にユニキャストする(ステップS23)。そして、メーターM3がこのスキャン応答を受信することで、メーターM3はマスターデバイスとなり得るデバイスであるメーターM1を発見し、メーターM3のアクティブスキャンは終了する。
【0063】
次に、メーターM3は、収集メーターCSのPANへのアソシエーションを開始する(ステップS14)。
【0064】
メーターM3のアソシエーションでは、まず、メーターM3は、マスターデバイスとなり得るメーターM1に、アソシエーションリクエストをユニキャストする(ステップS25)。
【0065】
次に、メーターM3からのアソシエーションリクエストを受信したメーターM1は、アソシエーション応答をメーターM3にユニキャストする(ステップS26)。このアソシエーション応答をメーターM3が受信することで、メーターM1をマスターデバイスとするメーターM3のPANへのアソシエーションが完了する。
【0066】
こうしてメーターM1とメーターM3との間でアソシエーションが完了することで、両者間のデータの送受信を行うことができる(ステップS27)。
【0067】
次に、本実施形態に係るデータ送受信方法における、データ中継の例について説明する。
図3は、本実施形態に係るデータ送受信方法におけるデータ中継の様子を示す図である。
【0068】
図3に示すように、本実施形態に係るデータ送受信方法では、マスターデバイスとしての収集メーターCSと、これに対するスレイブデバイスとしてのメーターM1またはM2とのデータの送受信は、収集メーターCSにより定められるスーパーフレームに従って行われる。また、マスターデバイスとしてのメーターM1と、これに対するスレイブデバイスとしてのメーターM3またはM4とのデータの送受信は、メーターM1により定められるスーパーフレームに従って行われる。
【0069】
上述した収集メーターCSとメーターM1またはM2とのデータの送受信、およびメーターM1とスレイブデバイスとしてのメーターM3またはM4とのデータの送受信においては、いずれも
図1において説明したように、アクティブ期間を定義するSDは、CAPのみにより構成されている。そして、本実施形態に係るデータ送受信方法では、データフレームの送受信はCAP内で開始される一方、CAP内で完了する必要は無く、データフレームの送受信がCAP内で完了しなかった場合、CAP終了後もデータの送受信はその完了まで継続して行われる。
【0070】
このように、本実施形態に係るデータ送受信方法においては、CAPを従来のデータ送受信方法よりも短くすることができるため、アクティブ期間を短くし、その分非アクティブ期間、すなわちデバイスがスリープモードでいられる期間を長くすることができるため、デバイスの電力消費を効果的に抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態に係るデータ送受信方法では、ビーコン間隔によるマスター・スレイブ間の同期の確立時にのみマスターデバイスからビーコン信号が送信され、同期が確立された後は、ビーコン信号の送信は停止される。
【0072】
そのため、同期確立後の不要なビーコン信号の送受信による電力消費を効果的に抑制することができる。なお、ビーコン信号の送信は、同期が保てなくなった場合等に、必要に応じて再開されるようにしてもよい。
【0073】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るデータ送受信方法について説明する。
【0074】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るデータ送受信方法を示す図である。なお、
図4では、
図2と同様に、無線ネットワークを通じて下位のメーターから上位のメーターを介して、PANコーディネータとして機能する収集メーターCSに各種情報が収集されるメーターネットワークを例に説明している。
【0075】
図4に示す無線ネットワークは、収集メーターCSおよびメーターM1〜M10の11個のメーターにより構成される。本実施形態に係るデータ送受信方法では、上述した第1の実施形態に係るデータ送受信方法において、最下位のメーターから収集メーターCSに向けて順次データが中継、収集される度に、新たに同期部やヘッダ部を作成すると共に、これらのデータに各メーターからのペイロードが結合される。
【0076】
これにより、同期部やヘッダ部などの冗長部を削減することができ、データ送受信に要する時間を削減することができる。そして、データ送受信に要する時間を削減することで、第1の実施形態においてCAP終了後にデータ送受信を行っているデバイスについてもより早くスリープモードにすることができ、電力の消費を抑制することができる。
【0077】
図5は、実施形態に係るデータ送受信方法における、各メーターに設けられた無線機の構造を示す図である。
【0078】
メーターの無線機1は、無線部10、通信制御部20および上位層処理部30を備えて構成されている。
【0079】
無線部10は、受信用アンテナ11を介してデータを受信する受信部12、送信用アンテナ13を介してデータを送信する送信部14、各種データをバッファするメインバッファ15、およびメインバッファ15と送信部14との間に設けられ、メインバッファ15から送信部14に送られる送信データをバッファする送信バッファ16を有している。
【0080】
通信制御部20は、無線部10と上位層処理部30との間に設けられ、無線部10による無線通信全体を制御する。通信制御部20は、受信用アンテナ11を介して受信部12が受信した下位のメーターからのデータに含まれるペイロードを抽出し、当該ペイロードのそれぞれについて行われるべき処理を判定し、当該判定結果に応じて各ペイロードをメインバッファ15や上位層処理部30に送信する。また、通信制御部20は、各ペイロードが後述する送信バッファ条件を満たしているか否かについての判定を行う。
【0081】
上位層処理部30は、受信したデータに各種処理を加えるとともに、新たなペイロード等、データの送受信に関する各種データの生成を行う。
【0082】
次に、本実施形態に係るデータ送受信方法において用いられるデータのフレーム構造について説明する。
図6は、本実施形態に係るデータ送受信方法において用いられるデータのフレーム構造を示す図である。
【0083】
本実施形態において、データフレーム40は、その先頭から、同期部410、ヘッダ部420およびペイロード部430が結合して構成されている。
【0084】
同期部410は、既知ビット列からなり、送信信号に挿入され、受信側でこれを検出することによってフレーム同期が確立される。
【0085】
ヘッダ部420は、結合されているペイロード全体の長さを示すペイロード全長等の制御情報を表している。
【0086】
ペイロード部430は、その先頭から、結合情報ヘッダ431、1または複数のペイロード432a、432b、…432nが結合して構成されている。
【0087】
結合情報ヘッダ431は、ペイロード部430に含まれるペイロードの数を表すペイロード数情報433と、ペイロード435a、435b、…、435nそれぞれの長さを示すペイロード長情報432a、432b、…、432nとが結合して構成されている。ペイロード数情報433とペイロード長情報432a、432b、…、432nとはそれぞれ固定長であるが、結合情報ヘッダ431全体の長さは、データフレーム40に含まれるペイロードの数に応じてペイロード長情報432a、432b、…、432nの数が変わるため、可変長となっている。
【0088】
このように、結合情報ヘッダ431は、結合しているペイロード数に応じて可変長となっているが、結合情報ヘッダ431の先頭部分にペイロード数を示す固定長のフィールドであるペイロード数情報433が存在するため、結合しているペイロード数に関わらず、正しく全体が読み取られる。
【0089】
次に、上述したデータフレーム40を用いたデータ結合方法について、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係るデータ送受信方法におけるデータ結合の様子を示す模式図である。なお、
図7において示されているのは、収集メーターCS、すなわちPANコーディネータではなく、その下位にありデータを中継するFFDとしてのメーターを例にしたデータ結合処理である。また、上位層処理部30、受信部12、通信制御部20、メインバッファ15、送信バッファ16および送信部14については、
図5を用いて説明した構成と同様であるため、ここではこれらの構成についての説明は省略する。
【0090】
図7に示すように、まず、上位層処理部30においてメーター自身の収集データ等に基づくペイロード435xのデータを生成するとともに、受信部12が、受信用アンテナ11を介して、下位のメーターからデータフレーム40a、40b、40cを受信する。
【0091】
ここで、受信部12が受信したデータフレーム40aは、
図6を用いて説明した本実施形態に係るデータフレームと同様に、その先頭から同期部410a、ヘッダ部420a、ヘッダ結合部431a、ペイロード435aおよびペイロード435bが結合して構成されている。これと同様に、データフレーム41bは、その先頭から同期部410b、ヘッダ部420b、ヘッダ結合部431bおよびペイロード435cが結合して構成されている。また、データフレーム40cは、その先頭から同期部410c、ヘッダ部420c、ヘッダ結合部431c、ペイロード435dおよびペイロード435eが結合して構成されている。
【0092】
こうして自機の上位層処理部30で生成されたペイロード435xと、受信部12により下位のメーターから受信されたデータフレーム40a、40b、40cに含まれるペイロード435a、435b、435c、435dおよび435eは、通信制御部20に送信される(ステップS31)。
【0093】
通信制御部20は、各ペイロード435x、435a、435b、435c、435dおよび435eのそれぞれについて、更に上位のメーターに送信するものであるか、または自機で処理するものであるか等、各ペイロードに対して行うべき処理を判定し、必要に応じて自機の他の構成に送信する。なお、この判定に必要なデータは、各ペイロード内に組み込まれている。
【0094】
図7に示す例では、通信制御部20により、ペイロード435bを除く全てのペイロード435x、435a、435c、435dおよび435eについては上位のメーターに中継し、ペイロード435bについては自機の上位層処理部30に送信され、そこでの処理に供されるものであると判定されている。
【0095】
次に、通信制御部20は、判定結果に応じて各ペイロードを自機の他の構成に送信する(ステップS32)。ここでは、通信制御部20は、ペイロード435x、435a、435c、435dおよび435eを上位のメーターに中継すべくメインバッファ15に送信するとともに、ペイロード435bについては上位層処理部30に送信している。
【0096】
次に、メインバッファ15に送信されたペイロード435x、435a、435c、435dおよび435eに対し、通信制御部20は、送信バッファ条件を満たすか否かについての判定を行う。
【0097】
送信バッファ条件とは、各ペイロードが送信バッファ16に送信され、送信部14から上位のメーターに送信されるために満たすべき条件を規定している。この送信バッファ条件として、具体的には、最初に送信されたペイロードの送信先と他の全てのペイロードの送信先とが同一であるか否か、送信バッファ16内のペイロード数が所定の上限を超えないか否か、送信バッファ16内の前ペイロードの合計容量が所定の上限を超えないか否か、等の条件が挙げられる。
【0098】
図7に示す例では、通信制御部20による判定の結果、メインバッファ15に送信されたペイロードのうち、ペイロード435xおよび435eについて、送信バッファ条件を満たさないと判定されているため、送信バッファ16には送信されず、放置される。
【0099】
一方、通信制御部20による判定の結果、送信バッファ条件を満たすと判定されたペイロード435a、435cおよび435dについては、メインバッファ15から送信バッファ16に送信される(ステップS33)。
【0100】
次に、送信バッファに送信されたペイロード435a、435cおよび435dは、さらに送信部14に送信され、上位層処理部30により新たに生成された同期部410z、ヘッダ部420zおよび結合情報ヘッダ431zと結合され、新たなデータフレーム40zが生成される(ステップS34)。なお、この場合、結合情報ヘッダ431には、各ペイロードペイロード435a、435cおよび435dについてのペイロード数情報と、各ペイロード長情報が含まれることになる。
【0101】
こうして送信部14において新たに生成されたデータフレーム40zは、送信用アンテナ13(
図5参照)を介して上位のメーターに送信される。
【0102】
次に、
図7を用いて説明したデータ結合について、
図8を用いて更に詳細に説明する。
図8は、本実施形態に係るデータ送受信方法におけるフレームの送信プロセスを示すフローチャートである。通信制御部20からメインバッファ15に各ペイロードが送信されると(
図7のステップS33参照)、通信制御部20により
図8に示すフレームの送信プロセスが開始される。
【0103】
フレームの送信プロセスは、メインバッファ15内の全ペイロードデータについて、通信制御部20による送信予定時刻や送信バッファ条件のチェックが行われていない状態から開始される(ステップS40)。
【0104】
通信制御部20は、フレームの送信プロセスの開始後、メインバッファ15内における未チェックのペイロードの有無を確認する(ステップS41)。
【0105】
メインバッファ15内に未チェックのペイロードがある場合(ステップS41:Yes)、通信制御部20は、メインバッファ15内にある未チェックペイロードのうち、送信予定時刻が最も早いものを選出する(ステップS42)。
【0106】
次に、通信制御部20は、ステップS42において選出されたペイロードの送信予定時刻が、現在時刻より前であるか否かについて判定する(ステップS43)。
【0107】
選出されたペイロードの送信予定時刻が現在時刻より前である場合(ステップS43:Yes)、選出されたペイロードが送信バッファ条件を満たすか否かに適合するか否かについて判定する(ステップS44)。
【0108】
選出されたペイロードが送信バッファ条件を満たす場合(ステップS44:Yes)、通信制御部20は選出したペイロードをメインバッファ15から送信バッファ16に移動し(ステップS45)、再びステップS41に戻り、メインバッファ15内の未チェックのペイロードの有無を確認する。
【0109】
一方、選出されたペイロードの送信予定時刻が現在時刻より前である場合(ステップS43:No)、および選出されたペイロードが送信バッファ条件を満たしていない場合(ステップS44:No)、通信制御部20は、選出されたペイロードをチェック済みのものとして放置する(ステップS46)。
【0110】
また、上述したステップS41に戻り、メインバッファ15内から未チェックのペイロードが無くなった場合(ステップS41:No)、すなわち、メインバッファ15内の全てのペイロードのチェックが完了した場合、通信制御部20は、送信バッファ16内のペイロードの有無を確認する(ステップS47)。
【0111】
送信バッファ16内にペイロードがある場合(ステップS47:Yes)、送信バッファ16内のペイロードは送信部14に送信される。送信部14は、新たに上位層処理部30により生成された同期部410、ヘッダ部420および結合情報ヘッダ431とこれらのペイロードを結合して新たなデータフレームを生成し、送信用アンテナ13を介して上位のメーターに送信し(ステップS48)、一連のフレーム送信プロセスが終了する。また、送信バッファ14内にペイロードが無い場合(ステップS47:No)、すなわち、未送信のペイロードが無くなった場合にも、一連のフレーム送信プロセスが終了する
【0112】
上述した第2の実施形態に係るデータ送受信方法によると、1または複数のスレイブデバイスや、自機が生成した複数のペイロードについて、元の同期部やヘッダ部を削除するとともに、当該複数のペイロードについてこれを新たに生成した同期部やヘッダ部と結合し、新たなデータフレームとして上位のマスターデバイスに送信される。
【0113】
これにより、同期部やヘッダ部などの冗長部を削減することができ、データ送受信に要する時間を削減することができる。また、データ送受信に要する時間を削減することで、第1の実施形態においてCAP終了後にデータ送受信を行っているデバイスについてもより早くスリープモードにすることができ、電力の消費を抑制することができる。
【0114】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係るデータ送受信方法の第3の実施形態について説明する。
【0115】
図9は、第3の実施形態に係るデータ送受信方法を示す図である。
【0116】
本実施形態では、各デバイスは定期的な短時間の待ち受けを繰り返し、それ以外の時間はスリープモードとなる。また、データを送信するデバイスは、データフレームの送信に先立ち、連続する複数の同期用信号(ウェイクアップフレーム)の送信を行う。
【0117】
ウェイクアップフレームは、その後に送信されるデータフレームの同期情報、すなわち、当該ウェイクアップフレームの送信からデータフレームの送信までの時間に関する情報や、送信先のデバイスを指定する情報等を含んでいる。
【0118】
そして、上述した定期的に繰り返される待ち受けを行っている間にデータ送信元であるデバイスから送信されるウェイクアップフレームを受信したデバイスは、当該ウェイクアップフレームに含まれる同期情報に基づき、当該データ送信開始時にスリープモードから復帰し、データフレームの受信に備える。この後のデータの送受信については、上述した第1の実施形態と同様に行われるため、ここではその説明は省略する。
【0119】
一方、ウェイクアップフレームを受信できなかったデバイス、または、ウェイクアップフレームを受信したが送信先として指定されなかったデバイスは、上記データフレームの送信中、スリープモードになる。
【0120】
上述した本実施形態に係るデータ送受信方法によると、それぞれのデバイスは定期的に起動し短時間の待ち受けを行うとともに、待ち受けの時間以外はスリープモードに移行できることから、電力の浪費を効果的に抑制し、省電力化を図ることができる。
【0121】
また、従来のデータ送受信方法のように定期的にビーコン信号を送信する必要が無く、必要に応じてウェイクアップフレームを送信するだけでよいため、電力の浪費を効果的に抑制し、更に省電力化を図ることができる。
【0122】
また、CAPを従来のデータ送受信方法よりも短くすることができるため、アクティブ期間を短くし、その分非アクティブ期間、すなわちデバイスがスリープモードでいられる期間を長くすることができ、デバイスの起動時間を短くすることができるため、デバイスの電力消費を効果的に抑制することができる。
【0123】
なお、本実施形態に係るデータ送受信方法についても、第2の実施形態に係るデータ送受信方法において行われていたように、1または複数のスレイブデバイスから受信したペイロードや、自機が生成した複数のペイロードについて、データフレームから元の同期部やヘッダ部を削除するとともに、当該複数のペイロードについてこれを新たに生成した同期部やヘッダ部と結合し、新たなデータフレームとして上位のマスターデバイスに送信してもよい。
【0124】
これにより、同期部やヘッダ部などの冗長部を削減することができ、データ送受信に要する時間を削減することができる。また、データ送受信に要する時間を削減することで、第1の実施形態においてCAP終了後にデータ送受信を行っているデバイスについてもより早くスリープモードにすることができ、電力の消費を抑制することができる。
【0125】
<第4の実施形態>
次に、本発明に係るデータ送受信方法の第4の実施形態について説明する。
【0126】
図10は、第4の実施形態に係るデータ送受信方法を示す図である。
【0127】
本実施形態に係るデータ送受信方法においては、
図10に示すように、全てのデバイスが、定期的にデータ受信を行う時間帯を示す同期用信号(RIT data requestコマンド)の送信を行うとともに、各同期用信号の送信に連続して、短時間の待ち受けを行う。
【0128】
そして、データを送信するデバイスは、データの送信先となるデバイスの上記同期用信号に基づき、データの受信が行われる時間帯を認識し、当該時間帯にデータの送信を開始する。
【0129】
データの送受信開始後の送信側および受信側のデバイスの動作については上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明は省略する。
【0130】
上述した本実施形態に係るデータ送受信方法によると、RIT送信直後に送受信が開始されるため、送受信開始までのタイムロスが無い。また、第1の実施形態と同様に、CAPを従来のデータ送受信方法よりも短くすることができる。
【0131】
そのため、アクティブ期間を短くし、その分非アクティブ期間、すなわちデバイスがスリープモードでいられる期間を長くすることができ、デバイスの起動時間を短くすることができるため、デバイスの電力消費を効果的に抑制することができる。
【0132】
また、CAPを従来のデータ送受信方法よりも短くすることができるため、アクティブ期間を短くし、その分非アクティブ期間、すなわちデバイスがスリープモードでいられる期間を長くすることができ、デバイスの起動時間を短くすることができるため、デバイスの電力消費を効果的に抑制することができる。
【0133】
なお、本実施形態に係るデータ送受信方法についても、第2の実施形態に係るデータ送受信方法において行われていたように、1または複数のスレイブデバイスから受信したペイロードや、自機が生成した複数のペイロードについて、データフレームから元の同期部やヘッダ部を削除するとともに、当該複数のペイロードについてこれを新たに生成した同期部やヘッダ部と結合し、新たなデータフレームとして上位のマスターデバイスに送信してもよい。
【0134】
これにより、同期部やヘッダ部などの冗長部を削減することができ、データ送受信に要する時間を削減することができる。また、データ送受信に要する時間を削減することで、第1の実施形態においてCAP終了後にデータ送受信を行っているデバイスについてもより早くスリープモードにすることができ、電力の消費を抑制することができる。