特許第6024069号(P6024069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6024069データ導体における抵抗降下ゼロの画像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024069
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】データ導体における抵抗降下ゼロの画像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20161027BHJP
   H04N 5/30 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   H04N5/335 745
   H04N5/30
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-530724(P2013-530724)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2013-543689(P2013-543689A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】EP2011066937
(87)【国際公開番号】WO2012041935
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月24日
(31)【優先権主張番号】1057848
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510163846
【氏名又は名称】コミシリア ア レネルジ アトミック エ オ エナジーズ オルタネティヴズ
(73)【特許権者】
【識別番号】598162056
【氏名又は名称】トリクセル エス.アー.エス.
【氏名又は名称原語表記】TRIXELL S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】アルク、マーク
(72)【発明者】
【氏名】マルタン、ジャン−リュック
(72)【発明者】
【氏名】ペーゼラ、アルノー
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−277513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのデータ導体(Col_b)が、行型に組織されたマトリックスの幾つかの画素に接続されることができ、それぞれ行の各画素により届けられた信号を連続的に運ぶことを可能にする、前記画素のマトリックスを含む画像装置であって、電子電流発生器(T4)が幾つかの画素に給電し、前記マトリックスの前記各画素が:
・画素のノードと称されるその端子のうちの1つに、考慮されている前記画素により届けられる信号を供給し、前記電子電流発生器(T4)から生じるバイアス電流がその中を流れることができるトランジスタ(T2)と、
・そして画素の選択信号(Phi_line)に応じて、前記画素のノードをこの画素と関連する前記データ導体(Col_b)に接続できるようにする、第一の電子スイッチ(T3b)とを備え、
前記マトリックスの前記各画素が、前記画素のノードにつながれて、前記電子電流発生器(T4)から生じる電流が前記画素に対する前記選択信号(Phi_line)に応じて前記トランジスタ(T2)内に流されることを可能にする、前記第一の電子スイッチ(T3b)と異なった、第二の電子スイッチ(T3a)をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
それが同じ前記電子電流発生器(T4)を使用する全ての画素につながれる、少なくとも1つの電流供給導体(Col_a)を備え、前記電流供給導体(Col_a)が前記データ導体(Col_b)と異なることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各画素が、前記画素のノードと前記第二の電子スイッチ(T3a)との間に、そのドレイン−ソースのリンクが配置されているトランジスタ(T5)を備え、飽和状態において動作する前記トランジスタ(T5)が、前記画素のノードの電位を、前記電流供給導体(Col_a)に沿った前記画素の位置とは無関係に出来るようにすることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電子電流発生器(T4)が1つの行の全ての画素に共通であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
画素の前記マトリックスが基板上に作られ、前記データ導体(Col_b)が前記画素の行の読み取り回路(S)につながれ、そして前記読み取り回路(S)及び前記電子電流発生器(T4)が、前記基板の同一の縁近傍にある基板上に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像装置に関する。本発明は検出器における画像捕捉に対して実施可能である。
【背景技術】
【0002】
このタイプの装置は、一般にマトリックス又は棒状の配列として組織された、画素と呼ばれる多数の感光性の点を備える。検出器において、1つの画素はその検出器の基礎的な感知要素を表わす。各画素はそれが受ける電磁放射を、電気信号へと変換する。様々な画素から生じる電気信号は、マトリックスの読み取り段階の間に集められ、次に画像を形成するために処理され格納され得るようにデジタル化される。画素は、それが受ける光子束に応じて電荷の電流を供給する感光領域と、この電流を処理するための電子回路とで形成される。感光領域は一般に、例えば光ダイオード、光抵抗又はフォトトランジスタであってもよい、感光素子又は光検出器を含む。数百万画素を有し得る大寸法の感光マトリックスが見出される。
【0003】
放射線検出器は、イオン化放射線、そして特に放射線画像の検出に関する医療分野又は、工業分野における非破壊試験でのX線又はγ線の画像化のために用いることが可能である。感光素子は、可視又は可視に近い電磁放射線の検出を可能にする。これらの素子は検出器に入射する放射線を感知しないか、又は少ししか感知しない。そこで入射放射線、例えばX線の放射線を、画素内に存在する感光素子がそれに対して感度の高い波長の帯域内の放射線へと変換する、シンチレータと呼ばれる放射線変換器が頻繁に用いられる。代替手段は、X線の放射線の電荷への直接的な変換を行う別の材料から、感光素子を作り出すことにある。この場合は、例えば、テルル化カドミウム(CdTe)で作られた第一の画素で構成された基板が、画素毎にCMOS読み取り回路に接続され、従ってもはや検出機能を持たないマトリックスである。
【0004】
感光素子内に蓄積された電荷の電流を読むことを可能にする、電圧フォロワーを用いて電子処理回路を作り出すことが知られている。電流源は、その読み取り中に画素に対する給電を確実にする。このようにして作られた画像装置の一例は図1に表わされている。
【0005】
この図は理解を簡単にするため、2行と2列のマトリックスを概略的に表わす。4つの画素が各々、行と列の交点に形成されている。勿論、実物のマトリックスは一般にずっと大きい。
【0006】
各画素はここで光ダイオードDにより表わされる感光領域と、3つのトランジスタT1、T2及びT3で形成される電子処理回路とを備える。本図において、光ダイオードDと3つのトランジスタのマークには、iに対する行の順番及びjに対する列の順番を取り得る2つの座標(i,j)が続く。
【0007】
同一の列の画素又は、より一般的に同一の行の画素は、列の終端部にあるトランジスタT4及び読み取り回路Sを共有する。トランジスタT4及び読み取り回路Sは、導体Colを用いて列の画素に接続されている。同一の行の画素は、画素の各々の行を制御することを可能にする、信号Phi_line、Vdd、V_ran、及びPhi_ranを伝達する4つの導体につながれている。
【0008】
トランジスタT1は、その間に制御信号Phi_ranが動作しているマトリックスを再初期化する段階の間、光ダイオードの陰極の電圧を、電圧V_ranへと再初期化出来るようにする。
【0009】
再初期化の後、光ダイオードDによって受け取られた照射は、その陰極の電位を画像捕捉段階の間に低下させる。
【0010】
この画像捕捉段階の後には、その間に光ダイオードDの電位が読み取られる、読み取り段階が続く。従って、トランジスタT3はスイッチオンされ、後者はそれゆえ、そのゲートに加えられる指令Phi_lineのおかげで、スイッチとしての役割を有する。
【0011】
トランジスタT2はフォロワーとして動作し、トランジスタT4は電流源として動作する。トランジスタT2及びT4は次に、光ダイオードDの陰極に存在する電圧をコピーする電圧フォロワー段階を形成し、それを或る差異以内で、列の終端部にある読み取り回路Sの入力上に再生する。このコピーを実施するために、トランジスタT2はそのドレイン及びそのソース内を流れるバイアス電流を必要とする。この電流は、幾つかの画素に共通のトランジスタT4により形成される電流発生器により課される。示された例において、トランジスタT4は画素の列に対して共通である。
【0012】
読み取り回路Sの入力に存在する電圧Vsは:
Vs=Vp−V−K (1)
で表わすことができる。
ここでVpは光ダイオードの陰極電圧、VはトランジスタT2のしきい値電圧、そしてKはとりわけトランジスタT4により供給される電流値に関係する定数である。
【0013】
電圧V_ranとVddは、しばしば同一である。
【0014】
マトリックスのn行の段階Phi_lineは、前のn−1行の段階Phi_ranとしばしば同一である。この場合、フォロワーの上流の信号に対する統合期間は、n−1行に対して、n行のアドレス指定の最後から、次の画像におけるn−1行のアドレス指定まで続く。それゆえ再初期化段階及び読み取り段階は、各行に対して異なる。文献で良く知られている、行の循環アドレス指定は「ロール・シャッター(rolling shutter)」と呼ばれる。
【0015】
制御信号Phi_line及びPhi_ranを生成するアドレス指定回路(一般にシフトレジスタ)は、図中に表わされておらず、行の終端部に配置されている。
【0016】
様々な列の読み取り回路Sの様々な出力は、行のビデオ信号を得るように、図中に非表示のレジスタ内へと、その後に多重送信される。
【0017】
単一の電流源トランジスタT4が、様々な列の読み取りと並行して、これらの列へと連続的に(電流の向きを)切り換える条件で、単一の電流源トランジスタT4だけをマトリックス全体に対して使用することもまた可能である。
【0018】
実際に、各列Colは、各画素に対して抵抗R_pixの形で表わされる単位長さ当たりの抵抗を示す。関係(1)は画素の出力ノードのレベルにおいて、すなわちトランジスタT2のソースのレベルにおいてのみ正しい。しかしこの電圧が読み取り回路Sの入力において列の終端部にあるとき、それはトランジスタT3の抵抗と、列Colに沿った読み取り回路Sから選ばれた画素を分離する、画素の番号nとに関係する抵抗シフトによって損なわれる。番号nはマトリックス内で読み取られる画素の順番に相当する。より正確には、電圧Vsは:
Vs=Vp−V−K−I×(R(T3)+n×R_pix) (2)
で表わされる。
【0019】
抵抗シフトは、読み取られる画素の順番に依存するため問題を引き起こす傾向があり、それは従って光ダイオードの電圧Vpの読み取りへ可変の偏りをもたらす。
【0020】
1つの解決策として列導体Colを形成するトラックの幅を増加させることにより、列Colの単位長さ当たりの抵抗値R_pixを減らすことが上げられる。この解決策はそれにもかかわらず幾つかの欠点を示す。
【0021】
トラックの幅の増加は、その上でマトリックスが作られる基板の幾らかの表面積を使用し、従って光検出用の各画素における有用な表面積を減少させる。
【0022】
トラックの幅の増加は、それらの電気容量もまた増加させる。そして、列の電圧は、それが各行において対応する画素の照度を表わすため、各々の新たな行のアドレス指定の際に変化する。列の電気容量を増すことは、それゆえ行の各々の変化の際に更なる電荷を供給する(又は引き出す)ことを必要とする。この電流増加により抵抗の降下も増加し、それによって当初求められた効果が減少する。最終的に、これは消費量の増加、又は読み取り速度の制限となって現われる。
【0023】
3つのトランジスタを有するそのような構造は従って、そこにおいて列の静電容量及び列の抵抗が大きい、大寸法のマトリックスに関して制限を見出す。これらのマトリックスは迅速に読み取ることが出来ない。
【0024】
別の解決策は、例えば特許出願番号:国際公開2009/043887号パンフレットに記述されているような追加のトランジスタを用いて、各画素内に配置された電流源で、列に共通の電流源を置き換えることにある。
【0025】
出力の列導体Colは、そのときフォロワー段階のためのバイアス電流を運ぶ役割をもはや持たない。それは画素の出力電圧を観察するための装置としてのみ用いられる。それは、新たな電圧値を確立するために、各行の遷移において必要な電流トランジェントの外側で、ゼロ電流で動作する。これらのトランジェントの最後には、列導体における電流はゼロであり、電圧はこれらの行の全長にわたり同じであって、特に列の終端部における電圧は確かに、シフト無しで画素の電圧を表わす。単位長さ当たりの抵抗R_pixは、従ってもはや列導体に沿った電圧降下を生じない。
【0026】
この解決策は、しかしながら各画素内へ電流源トランジスタを導入することにより、このトランジスタのゲート及びソース上に対応する制御電圧を必要とするという欠点を有する。
【0027】
マトリックスへのゲート電圧の分布は、対応する消費量が無いため抵抗降下もなく行われる。しかしソース電圧の分布は、それがフォロワー・トランジスタT2に対するバイアス電流を生成しなければならないため、抵抗降下を経て行われる。
【0028】
追加トランジスタのソース電圧は、この電圧を運ぶ導体の単位長さ当たりの抵抗に応じて、1つの画素から次の画素へと変化する。ゲートとソース間の電位差は、各フォロワー・トランジスタT2にバイアスをかけるため、これらのトランジスタにより供給される電流値を定義する。それゆえバイアス電流における1つの画素から別の画素へのこれらの変化によって、3つのトランジスタを有する画素内のように、出力信号におけるばらつきが生じられる。
【0029】
全ての画素に対して一定である、追加トランジスタのソースとドレイン間の電位差を保つことにより、この欠点を軽減できる。このために、仏国特許出願第2 921 788号明細書に記載されているように、追加トランジスタのソース上に存在するのと同じ電圧降下を再現する、横方向の抵抗バーに電流源トランジスタのゲートを接続することにより、電流源トランジスタのソースに存在するものと等しい電圧降下が、それらのゲートにおいて生成される。抵抗バーは1つの列の追加トランジスタの全てのゲートにつながれ、バーの終端部において高電圧と低電圧の2つの電圧間で給電される。
【0030】
この解決策はうまく動作するが、それは横方向の抵抗バーにバイアスをかけるために2つ電圧、高電圧と低電圧(Vg1,Vg2)を要求するため、設置と操作は相当複雑である。
【0031】
抵抗降下の問題を避けるための別の解決策は、例えば欧州特許出願公開第1 416 722 A1号明細書において提案されている。この解決策は、読み取り回路Sがその上にある縁に対して、マトリックスの反対側の縁の上に電流源を移動させることにある。
【0032】
画素用のバイアス電流は、選択された画素から電流源まで行き、それゆえ選択された画素の上方の列導体の部分において抵抗降下を生じさせる。しかし読み取り回路Sに接続されている下部には何ら電流は横切らず、従って抵抗降下を被らない。画素の下終端部は従って画素の電圧を適切に表わす。
【0033】
しかしながら、この解決策は幾つかの制限を示す。列の先頭部に、ソースを作るために要するスペースを持つことが必要であり、4倍大きな感光面積を最終的に得るために、幾つかの、例えば4つのマトリックスが組み立てられまたは隣接する必要がある場合、列の先頭部は要望される可能な最小の隣接領域の制限内に位置する。従って、この隣接領域内に実際の画素に属していない要素を置くことは望ましくない。これは基本マトリックスの感光部分同士を遠ざけ、それゆえ隣接のレベルにおける最終の画像内に死んだ回線を作り出す。
【0034】
さらに、アドレス指定された画素と電流源との間の電圧降下は、電流源トランジスタが飽和モードのまま留まり、その電流源機能を適切に満たすように、大き過ぎてはならない。そして前述のように、この電圧降下を減らすために列の幅が増やされた場合、これは消費量を増大させるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明の目的は、列の先頭に何の要素も加えず、そして電流源トランジスタのゲートに対して何らバイアス尺度を必要とせずに、画素から生じる情報の出力経路上の抵抗降下の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
この目的のために、本発明の主題は、少なくとも1つのデータ導体が、行型に組織されたマトリックスの幾つかの画素に接続されることができ、それぞれ行の各画素により届けられた信号を連続的に運ぶことを可能にする、画素のマトリックスを含む画像装置と、幾つかの画素に給電する電子電流発生器とであり、マトリックスの各画素が:
・画素のノードと称されるその端子のうちの1つに、考えられている画素により届けられる信号を供給し、電流発生器から生じる電流がその中を流れることができるトランジスタと、
・そして画素の選択信号に応じて、画素のノードをこの画素と関連するデータ導体に接続できるようにする、第一の電子スイッチとを備え、
マトリックスの各画素が、画素のノードにつながれて、発生器から生じる電流が画素に対する選択信号に応じてトランジスタ内に流されることを可能にする、第一の電子スイッチと異なった、第二の電子スイッチをさらに備えることを特徴とする。
【0037】
各種のデータ導体により届けられ、運ばれた信号は、データ導体の終端部に配置された読み取り回路Sによって各々読み取られ、高い入力インピーダンスを有する電圧読み取り回路によって形成される。
【0038】
本発明は、画素の出力ノードが電流源及び、列の終端部に配置されたフォロワー増幅器の双方に接続されなければならない、任意の画素のレイアウトに適用される。
【0039】
フォロワー増幅器は単純に電圧フォロワーであり得る。
【0040】
本発明は例示されている実施形態の詳細な記述を読むことによって、より良く理解され、その他の利点が明らかになるであろう。前記記述は添付図により例証されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】先行技術において生み出され、上述されているような画素のマトリックスを表わす。
図2】本発明の第一の実施形態による画像装置の変形を図式的に表わす。
図3】本発明の第一の実施形態による画像装置の変形を図式的に表わす。
図4】本発明による画像装置の第二の実施形態を図式的に表わす。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の2つの実施形態の記述に過度な負荷をかけないように、示されているマトリックスは4画素のみを含む。無論、実物のマトリックスは一般的により一層大きい。さらに、同じ要素は各種の図において同じ標識を持つであろう。
【0043】
図2は2行と2列のマトリックスを含む画像装置を表わす。4つの画素は各々行と列の交点に形成されている。各画素に固有の、様々な電子部品の標識には、iに関する行の順番とjに関する列の順番を取ることができる2つの座標(i,j)が続いている。装置の或る構成要素は単一の座標jのみを備える。これらの構成要素は画素の列に共通である。
【0044】
各画素は、その陽極が装置のアースにつながれている、光ダイオードDによりここで表わされる感光領域を備える。例えばフォトトランジスタ又はフォトレジスターのような、別のタイプの感光要素を実施することは可能である。画像捕捉段階の間及び照射の効果の下で、示された例の中で、感光要素は光ダイオードDの陰極電位を低下させる電荷電流を蓄積する。
【0045】
各画素において、第一トランジスタT1は、マトリックスの行導体により運ばれ、そしてトランジスタT1のドレインに印加される電位V_ranへの、光ダイオードDの陰極電圧の再初期化を可能にする。トランジスタT1のソースは、光ダイオードDの陰極につながれる。マトリックスの列導体により運ばれる制御信号Phi_ranは、トランジスタT1のゲートに加えられる。本装置の再初期化段階の間、制御信号Phi_ranは動作しておりトランジスタT1をスイッチオンする。この段階は画像捕捉段階に先立つ。
【0046】
各画素は、トランジスタT2のゲートに接続された光ダイオードDの陰極の電圧に等しい電圧をそのソースにおいて届ける、第二トランジスタT2を備える。トランジスタT2のドレインは、例えば3.3Vのオーダーの分極電圧Vddを運ぶ行導体につながれる。電位V_ranとVddは同一であり得る。
【0047】
各画素は、トランジスタT2のソースを、画素の行と関連し、図2の例においては画素の列と関連するデータ導体Col_bに接続できるようにする、第三トランジスタT3bにより形成される電子スイッチを備える。データ導体Col_bは、時にデータ・バスと呼ばれる。トランジスタT3bのドレインはトランジスタT2のソースにつながれ、トランジスタT3bのソースはデータ導体Col_bにつながれる。電子スイッチは、マトリックスの行導体によって運ばれる選択信号Phi_lineを用いて作動させられる。この導体はトランジスタT3bのゲートにつながれる。
【0048】
本装置は、各画素に固有のトランジスタT3bを経由してデータ導体がそこにつながれる幾つかの画素により届けられ、そして選択信号Phi_lineの助けで既に選択されている信号を、それぞれ運ぶために設計された幾つかのデータ導体Col_bを備える。トランジスタT2は、光ダイオードDの陰極電位をコピーし、それを或る電圧差以内で、考慮されるデータ導体Col_bの方へ向けて再生するように設計される。光ダイオードDの陰極電位はその後、データ導体Col_bの終端部にある読み取り回路Sにより読み取られる。
【0049】
このコピーを実施するために、トランジスタT2はそのドレインからそのソースへと流れるバイアス電流を必要とする。この電流は、幾つかの画素に共通のトランジスタT4により形成される電流発生器により課される。表わされている例において、トランジスタT4は画素の列に対して共通である。
【0050】
本発明によれば、マトリックスの各画素は、第一の電子スイッチと異なる、フォロワー増幅器の出力に繋がれ、トランジスタT2のソースにより形成され、そしてトランジスタT4から生じる電流が流れることを可能にする、第二の電子スイッチをさらに備える。第二の電子スイッチは、そのドレインがトランジスタT2のソースに繋がれ、その終端部にトランジスタT4が位置している電流供給導体Col_aに、そのソースが繋がれている、トランジスタT3aによって形成される。ここでまた、供給導体Col_aは時に電源バスと呼ばれる。電流供給導体Col_aは、同一の列の全画素にリンクされる。トランジスタT3a及びT3bのゲートは、選択信号Phi_lineが2つのトランジスタT3a及びT3bの開と閉を制御するように、一緒に繋がれる。
【0051】
画素のマトリックスは基板上に作られる。読み取り回路S及び電流発生器T4は、基板の同一の縁の近傍において、基板上に配置される。
【0052】
画素の列に共通のトランジスタT4は、ここではNチャンネルのトランジスタである。そのドレインは電流供給導体Col_aにリンクされ、そのソースは装置のアースにリンクされ、そのゲートは電圧Vpolにリンクされる。トランジスタT4は、電流源においてバイアスをかけられる。
【0053】
電流供給導体Col_aは、データ導体Col_bとは同一の列に関して異なる。導体Col_a及びCol_bの各々において、各画素のレベルでそれぞれ抵抗Ra_pixとRb_pixが示されている。これらの抵抗は、考えられる導体を形成する導体の、分配された単位長さ当たりの抵抗を示す。
【0054】
画像捕捉段階に続く段階である画素読み取り段階の間、読み取り回路Sからの入力として、光ダイオードDの陰極電位の画像を、或る電圧差以内で受け取ることが望まれる。
【0055】
マトリックスの読み取り段階の間、マトリックスの様々な行が連続的に選択される。或る行が選択されるとき、列の終端部に位置している対応するトランジスタT2、T3a、T3b、及びT4は、図2の左上部に位置する座標(1,1)を有する画素に関して、図2内に点線で表わされる、トランジスタT2に関するバイアス電流が、トランジスタT2、T3a、及びT4の中を流れるようなやり方で作動させられる。
【0056】
単位長さ当たりの抵抗Ra_pixに起因する電圧降下は、電流供給導体Col_aに沿って生じる。この導体において、トランジスタT2によって読み取られた電位は、それゆえ選択された画素から遠ざかるにつれて、マトリックス内の画素の高さに依存して抵抗降下を経験する。
【0057】
他方で、スイッチT3b、データ導体Col_b、及び読み取り回路Sは、データ導体Col_bにおいて無電流で動作し、従って偏りなく画素の出力電圧を測定する、画素の出力電圧を読み取るための装置を構成する。
【0058】
画素の2つの出力スイッチT3aとT3b、及び2つの導体Col_aとCol_bの設置は、それゆえ考えられる画素がそれにつながれる導体の終端部に位置する読み取り回路Sへと画素から行く経路上の、抵抗降下から解放されることを可能にする。
【0059】
図3は、2行と2列のマトリックスを含む図2の画像装置の1つの変形を表わす。図1のように、感光素子を形成する光ダイオードD、光ダイオードDの陰極電圧の再初期化を可能にするトランジスタT1、及びそれぞれCol_a及びCol_bである2つの導体への画素の接続を確実にする、画素の2つの出力スイッチT3a及びT3bが図2の各画素内に見出される。この変形において、トランジスタT2の置き換えとなるトランジスタT2’は、光ダイオードDの陰極に存在する電圧の増幅を可能にする。このタイプの画素は、増幅器画素と呼ばれ、文献において"Charge Trans Impedance Amplifier(容量性の相互インピーダンス増幅器)"を表わすCTIA画素の名称で、よく知られている。
【0060】
画素の各々において、フィードバック・コンデンサCcrがトランジスタT2’のゲートとドレイン間に配置される。光ダイオードDによって届けられる電荷は、画素が選択されるとき、画素の読み取り段階の間、フィードバック・コンデンサCcr上に位置する。2つの出力スイッチT3a及びT3bの共通のポイント(2つのトランジスタT3a及びT3bのドレイン)は、T2’のドレインにつながれる。このポイントは、スイッチT3a及びT3bが選択信号Phi_lineの動作の下で閉じられるとき、2つの導体Col_a及びCol_bに接続され得る画素のノードを形成する。トランジスタT2’のソースは、一般に装置のアースである電圧Vssにつながれる。トランジスタT1は、画素の再初期化の間、フィードバック・コンデンサCcrを短絡させることを可能にする。トランジスタT1とT2’のドレインはつながれ、トランジスタT1のソースは光ダイオードDの陰極につながれる。トランジスタT1は、そのゲートに加えられる制御信号Phi_ranにより制御される。
【0061】
画素の列に共通のトランジスタT4は、ここではPチャンネル・トランジスタである。そのドレインは電流供給導体Col_aにつながれ、そのソースは電圧源Vddにつながれ、そのゲートは電圧Vpolにつながれる。
【0062】
トランジスタT2に対するバイアス電流は、図3の左上部に位置する座標(1,1)を有する画素に関して、図3内に点線で表わされ、トランジスタT2、T3a、及びT4内を流れる。図2の変形のように、この電流は電流供給導体Col_a内を流れ、データ導体Col_b内を流れない。
【0063】
図2及び3のレイアウトにおいて、トランジスタT4により行われる電流発生器の機能もまた、さらに一層複雑なレイアウトによっても行われ得る。
【0064】
電流源トランジスタT4が、列の読み取りと並行して、これらの同じ列へと連続的に(電流の向きを)切り換える条件で、マトリックス全体に対して単一の電流源トランジスタT4を用いることもまた可能である。
【0065】
トランジスタT4が非飽和になること、及び次にそれらの電流源機能を失うことを防ぐために、様々な電流供給導体Col_aにおける電圧降下を低減することが必要ゆえ、図2及び3に示されている解決策は、それにもかかわらず限界を示す。電圧降下におけるこの低減は、この導体を形成する導電路の幅の増加によって、単位長さ当たりの抵抗Ra_pixを減らすことにより行われ、それにより電流供給導体Col_aに関係する浮遊容量を増大させる。
【0066】
今、アドレス指定が1つの行から次の行へと移るとき、或る列に接続された新たな画素の出力電圧が、前の画素の出力電圧とは非常に異なることがあり得る。そのとき、2つの導体Col_a及びCol_bを新たな電圧値へ充電することが必要である。そしてこれを速くするため、これは電流発生器T4が強力であることを必要とし、それによって電流消費を作り出し、我々が避けたかったことであるのに反して、それは様々な電流供給導体Col_aにおける抵抗降下も更にまた作り出す。
【0067】
読み取り段階の間、電流供給導体Col_aの浮遊容量は、マトリックスの1つの行から別の行へ移るための速度を遅くすることを必要にし、それはマトリックスの読み取り時間を増大させる。
【0068】
図4の実施形態は、この問題を解決することを可能にする。
【0069】
図2のレイアウトに関連して、各画素において新しいトランジスタT5が、トランジスタT2のソースとスイッチT3aとの間に挿入される。そのドレインはトランジスタT2のソースにつながれ、そのソースはトランジスタT3aのドレインにつながれる。
【0070】
様々な画素のトランジスタT5のゲートは、同一の電圧VpolGへ一緒に接続される。この電圧は何ら電流を供給せず、従って行導体、列導体、又はゲート別のいずれかで経路を指定され得る。この経路指定は図4に示されていない。
【0071】
電圧VpolGは、トランジスタT5が共通ゲートにおいてバイアスをかけられるようなやり方で選ばれる。より正確には、トランジスタT5は飽和モードで動作する。電圧発生器T4により放出される電子束は、トランジスタT2へと運ばれなければならない。それはマトリックスを支持する基板上の、電流供給導体Col_aの寸法に応じて、及びトランジスタT4により放出される電子束に応じて、そのソース、従って電流供給導体Col_aの電位を固定する。
【0072】
電圧VpolGは、そこから推定されるトランジスタT4のドレインの電位が、トランジスタT4にとって、それゆえ飽和モードに留まり、従ってその電流発生器の機能を満たすのに十分なままであるように、低すぎてはならない。
【0073】
トランジスタT5はそれゆえ、その飽和状態のために、そのドレイン電圧に対するそのソース電圧の、一定の電圧範囲における独立性を確保する。そのドレイン電圧、すなわちトランジスタT2のソースの電位、及び従ってデータ導体Col_bの電位は、それゆえ電流供給導体Col_aの電位とは無関係になる。画素の出力ノード、すなわちトランジスタT2のソースから見たトランジスタT5は、電流源として振る舞う。それは各画素のレベルにおいて、トランジスタT4により確保された電流発生器の機能を局部的に取り去る。
【0074】
電流供給導体Col_aの電位は、読み取られる画素の光ダイオードDの陰極電位に依存しない。電流供給導体Col_aの電位は、その電流供給導体Col_aを形成する導体の単位長さ当たりの抵抗値を介して、マトリックスから読み取られる画素の高さ:「n×Ra_pix」に依存する。しかし、この変動は読み取られる画素の光ダイオードDの陰極電位に依存し、図2及び3において示される第一の実施形態に反し、この変動は1つの行から次の行へと渡る時には小さい。図4の実施形態において、1つの行から次の行へと渡る時に、電流供給導体Col_a上で運ばれるべき電荷量は、それゆえ小さい。従って幅の広いトラックを設計することが可能であり、それはマトリックスの読み取り速度を損なう、この幅広いトラックに起因する容量性の影響無しに、抵抗降下を低減するであろう。
【0075】
同一の列に対して読み取られる2つの連続する画素の情報がどうであろうと、このトランジスタT5とそのバイアス状態を介して、マトリックスのアドレス指定が1つの行から次の行へと移る時、殆ど同一の電位が電流供給導体Col_a上でそれゆえ得られる。すなわち、それは探し求めていたものである。
【0076】
画素のノードの電位を、図3において示されている変形において、トランジスタT5を用いて具現化されている、電流供給導体(Col_a)に沿った画素の位置に対して無関係にするための手段を実施することは勿論可能である。
図1
図2
図3
図4