(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024095
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】蓄電素子、蓄電素子の製造方法、及び、端子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/30 20060101AFI20161027BHJP
H01M 2/06 20060101ALI20161027BHJP
H01M 2/26 20060101ALI20161027BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
H01M2/30 D
H01M2/06 A
H01M2/26 A
H01M10/04 Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-240127(P2011-240127)
(22)【出願日】2011年11月1日
(65)【公開番号】特開2012-138342(P2012-138342A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2014年9月24日
(31)【優先権主張番号】特願2010-276298(P2010-276298)
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 瞬
【審査官】
藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−093387(JP,A)
【文献】
特開2003−045407(JP,A)
【文献】
特開2003−257386(JP,A)
【文献】
特開2011−076871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20 − 2/34
H01M 2/00 − 2/08
H01M 10/00 − 10/04
H01M 10/06 − 10/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体から外部に露出する露出面を有する外部端子と、外装体の内部に配置され、前記外部端子に接続される集電体と、外装体の内部に配置され、前記集電体に接続される発電要素と、を備えた蓄電素子であって、
前記外部端子は、
外部に露出する平面部と、
前記平面部から前記外装体の内部に突出して集電体に接続される軸部と、
を有し、
前記外部端子は、露出面を有する板状体に形成した貫通孔に、棒状接続部材が挿通され、前記棒状接続部材の端面が前記露出面の一部を構成してなることを特徴とする蓄電素子。
【請求項2】
前記棒状接続部材は、鍔部と、該鍔部から延びる軸部とを有するリベットであり、
前記リベットの前記鍔部は、前記板状体の前記貫通孔内に圧入状態で配置され、かつ、前記露出面の一部を構成していることを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
外装体から外部に露出する露出面を有する外部端子と、外装体の内部に配置され、前記外部端子に接続される集電体と、外装体の内部に配置され、前記集電体に接続される発電要素と、を備えた蓄電素子であって、
前記外部端子は、
外部に露出する平面部と、
前記平面部から前記外装体の内部に突出して集電体に接続される軸部と、
を有し、
前記外部端子は、板状体の露出面とは反対側の内面に形成した凹部に、棒状接続部材の一端部を配置することにより、板状体の内面から前記棒状接続部材の他端部を突出させてなることを特徴とする蓄電素子。
【請求項4】
前記棒状接続部材は、鍔部と、該鍔部から延びる軸部とを有するリベットであることを特徴とする請求項1又は3に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記板状体と前記棒状接続部材を異種材料で構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記異種材料は、銅とアルミニウムであることを特徴とする請求項5に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記棒状接続部材の前記板状体と接する部分が、凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項8】
前記棒状接続部材は、鍔部と、該鍔部から延びる軸部とを有するリベットであり、
前記リベットの前記鍔部は、前記板状体の前記凹部内に圧入状態で配置されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄電素子。
【請求項9】
前記外装体の一部に外側に向かって膨出する膨出部が形成されていると共に、前記外部端子の平面部が前記膨出部の外表面側に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項10】
前記外部端子は、負極外部端子であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項11】
板状体に形成した貫通孔に、鍔部と軸部とを有する棒状接続部材の軸部を挿通する工程と、
前記棒状接続部材の鍔部を貫通孔に圧入し、鍔部で露出面の一部を構成させる工程と、
前記棒状接続部材の軸部を集電体に接続する工程と、を有することを特徴とする蓄電素子の製造方法。
【請求項12】
板状体の片面に形成された凹部に、鍔部と軸部とを有する棒状接続部材の鍔部を圧入することにより、前記板状体から前記軸部を突出させる工程を有することを特徴とする端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子、
蓄電素子の製造方法、及び、端子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子の一例である電池では、外部端子として、十字状となるように4つの腕部を押し広げることにより、正極固定部に未変形正極貫通接続部をカシメ固定して正極重畳部としたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−33766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記構成では、単に、正極固定部に未変形正極貫通接続部をカシメ固定するだけである。そして、外部端子へのバスバーの接続は、正極固定部から延在させた正極締結部で行うようになっている。
【0005】
本発明は、外部端子の構造を簡略化し、簡単かつ安価に製作することのできる蓄電素子、
蓄電素子の製造方法、及び、端子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
外装体から外部に露出する露出面を有する外部端子と、外装体の内部に配置され、前記外部端子に接続される集電体と、外装体の内部に配置され、前記集電体に接続される発電要素と、を備えた蓄電素子であって、
前記外部端子は、
外部に露出する平面部と、
前記平面部から前記外装体の内部に突出して集電体に接続される軸部と、
を有する構成としたものである。
【0007】
この構成により、外装体の内部に軸部を挿通して集電体と電気接続し、外部に露出する平面部にバスバーを接続することができる。
【0009】
この構成により、板状体に貫通孔を形成し、この貫通孔に棒状接続部を挿通し、棒状接続部材の端面で露出面の一部を構成するようにするだけで、簡単に外部端子を形成することができる。
【0010】
前記棒状接続部材は、鍔部と、該鍔部から延びる軸部とを有するリベットであり、
前記リベットの鍔部を板状体の貫通孔に圧入することにより、鍔部が前記露出面の一部を構成してもよい。
【0011】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
外装体から外部に露出する露出面を有する外部端子と、外装体の内部に配置され、前記外部端子に接続される集電体と、外装体の内部に配置され、前記集電体に接続される発電要素と、を備えた蓄電素子であって、
前記外部端子は、
外部に露出する平面部と、
前記平面部から前記外装体の内部に突出して集電体に接続される軸部と、
を有し、
前記外部端子は、板状体の露出面とは反対側の内面に形成した凹部に、棒状接続部材の一端部を配置することにより、板状体の内面から前記棒状接続部材の他端部を突出させてなる構成
としたものである。
【0012】
この構成により、板状体に凹部を形成し、この凹部に棒状接続部材の一端部を配置するだけで、簡単に外部端子を形成することができる。そして、板状体の表面に、棒状接続部材との境界部分が形成されていないため、板状体の表面側から腐食したとしても、境界部分から内部へと進行することがない。
【0013】
この場合、前記棒状接続部材は、鍔部と、該鍔部から延びる軸部とを有するリベットで構成することができる。
【0014】
また、前記板状体と前記棒状接続部材を異種材料で構成することができる。
【0015】
さらに、前記異種材料は、銅とアルミニウムとすることができる。
【0016】
このように、銅とアルミニウム等の溶接が困難な材料であっても、圧入により一体化することで、加工が容易となり、しかも一体化した状態を強固なものとすることができる。
【0017】
前記棒状接続部材の前記板状体と接する部分が、凹凸状に形成されているのが好ましい。
【0018】
この構成により、棒状接続部材と板状体の圧接面積を増大させ、固定強度を向上させることが可能となる。さらに、振動等により板状体あるいはリベットが回転することを防止できる。
【0019】
前記外装体の一部に外側に向かって膨出する膨出部が形成されていると共に、前記外部端子の平面部が前記膨出部の外表面側に配置されるのが好ましい。
【0020】
この構成により、前記外部端子の平面部にバスバーを溶接する場合、この溶接位置と蓄電素子の内部(発電要素等)との間に所定の距離を確保することができるので、溶接時に発生る熱が蓄電素子の内部に伝わりにくくなり、熱による悪影響(変形等)を防止することが可能となる。
【0021】
前記外部端子は、負極外部端子であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、外部端子を平面部と軸部とで構成したので、構造を簡略化して、簡単かつ安価に製作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】
図1の蓋体を上方側から見た状態を示す斜視図である。
【
図5】
図1の蓋体を下方側から見た状態を示す斜視図及びその部分拡大断面図である。
【
図7】
図4の負極外部端子の製造工程を示す断面図である。
【
図8】
図4の負極外部端子の他の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
図1は、蓄電素子の一例である非水電解質二次電池を示す。この非水電解質二次電池は、
図2に示すように、電池容器1内に発電要素2を収容し、蓋体3で封止したものである。ここでは、電池容器1と蓋体3とで外装体を構成している。
【0026】
電池容器1は、上面が開口する直方体形状で、アルミニウムやアルミニウム合金等で構成されている。
【0027】
発電要素2は、詳細については図示しないが、従来同様、銅箔からなる負極4と、アルミニウム箔からなる正極5との間に、多孔性の樹脂フィルムからなるセパレータ6を配置したものである。これらはいずれも帯状で、セパレータ6に対して負極4と正極5とを幅方向の反対側にそれぞれ位置をずらせた状態で、前記電池容器1に収容可能となるように扁平状に巻回されている。後述するように、クリップ7を介して、負極4には負極集電体18が接続され、正極5には正極集電体19が接続されている。
【0028】
蓋体3は、
図3から
図6に示すように、平面視矩形状の長尺な金属製の板状で、中央部には上面側から段付きとなる略楕円形状の開口部8が形成され、そこにはゴム製の安全弁9が装着されている。安全弁9には、略H字状の薄肉部が形成され、内圧が異常に上昇した場合に薄肉部が裂けて減圧できるようになっている。
【0029】
蓋体3の一端側には、小径の注液孔10が形成され、注液後に栓体11によって閉鎖されるようになっている。
【0030】
蓋体3の両端部下面には、上方に向かって膨出する平面視略矩形状の係合受部12がそれぞれ形成され、各係合受部12では、下面側の係合凹部12aの一辺を除く周囲には浅めのガイド凹部12bがそれぞれ形成されている。また、係合凹部12aを構成する天井面の中心部分には貫通孔12cがそれぞれ形成されている。係合受部12及びガイド凹部12bには、集電体13及び外部端子14が上パッキン15及び下パッキン16を介してそれぞれ取り付けられるようになっている。
【0031】
また、蓋体3には、各係合受部12の内側近傍に、幅方向の2箇所から上方に向かって突出する係止突部17がそれぞれ形成されている。各係止突部17は、有底筒状で、蓋体3をプレス加工する際、同時に形成される。各係止突部17には、後述する上パッキン15が係止され、回転方向の位置決めを行う。
【0032】
集電体13は、銅製の負極集電体18と、アルミニウム製の正極集電体19とからなる。これら集電体13はいずれも、長尺な金属製板材をプレス加工することにより、接続受部20と、その両側部からそれぞれ延びる脚部21とを形成されている。接続受部20は、前記蓋体3の凹部内に配置される嵌合部22と、これに続く台座部23とで構成されている。嵌合部22は、平面状で、中央部分に貫通孔22aが形成され、周縁は台座部23に連続する一辺を除いて直交する方向に延在するガイド縁部24が形成され、台座部23側はガイド縁部24よりもさらに延在する連続部25となって台座部23に至っている。このようなガイド縁部24及び連続部25によって集電体13の接続受部20の剛性が十分に高められている。
【0033】
脚部21は、台座部23の両側縁部から直交する方向に延び、発電要素2の両側面に沿って配置される。そして、脚部21は発電要素2の正極5又は負極4に、クリップ7を介して接続され、クリップ7が電池容器1の対向する内面間に挟持された状態となって位置ずれが防止される。
【0034】
外部端子14は、負極外部端子28と正極外部端子29とからなり、平板部30と、その下面中央部から下方に向かって延びる軸部31とで構成されている。平板部30の表面(露出面)には、図示しないバスバーが溶接により接続される。
【0035】
負極外部端子28は、
図7に示すように、平面視矩形状のアルミニウム製の板状体32と、銅製のリベット33とによって形成することができる。すなわち、板状体32の中央部分に形成した貫通孔32aに、リベット33の軸部33aを挿通し、プレス加工で鍔部33bを貫通孔32aに圧入する。板状体32の貫通孔32aの内径寸法は、リベット33の軸部33aの外径寸法よりも若干大きいだけであり、鍔部33bの外径寸法よりも十分に小さい。したがって、圧入により、鍔部33bが貫通孔32aを押し広げて圧着状態となるほか、押し広げられた部分は軸部33aに圧着し、両者は一体化される。また、リベット33の軸部33aの先端面中央部には円形の凹部33cが形成されている。そして、後述するようにして、軸部33aを、上パッキン15、蓋体3の係合受部12、下パッキン16、及び、負極集電体18の各貫通孔に挿通させた後、これらを挟み込むようにして、前記凹部33cを押し広げることによりカシメ固定される。
一方、正極外部端子29は、全体がアルミニウム製で、平板部30と軸部31とが一体的に形成されている。
【0036】
上パッキン15は、平面視矩形の枠体を隔壁36によって、上方側の端子保持凹部37と、下方側の装着用凹部38とに区画した合成樹脂製のもので、その下方開口縁部を構成する一辺がさらに側方へと延びる舌片39となっている。隔壁36の中央部分には天井面から下方側に延びる筒状部36aが形成されている。筒状部36aは、係合受部12の貫通孔12cを挿通し、下パッキン16の貫通孔40aに嵌合する。舌片39には2箇所に係止孔39aが形成され、蓋体3の係止突部17が挿通している。上パッキン15は、平面視矩形状に形成した蓋体3の係合受部12に沿っており、係合受部12に載置しただけで、回転方向の位置ずれが防止される。しかも、係止孔39aに係止突部17を挿通することにより、確実に回転方向の位置ずれが防止される。
【0037】
下パッキン16は、平面視矩形の板状で、中央部分に貫通孔16aが形成されたゴム製のものである。下パッキン16は、負極側と正極側とで形状が若干相違している。
【0038】
負極側下パッキン16Aでは、蓋体3の係合受部12に形成した係合凹部12a内に配置される膨出部40と、この膨出部40に連続する平坦部41とで構成されている。膨出部40は、係合受部12の係合凹部12aの一辺側を除く部分の内面に沿った形状をしており、中央部分には貫通孔40aが形成されている。平坦部41は、係合受部12のガイド凹部12bに配置される。負極側下パッキン16Aは、蓋体3の係合受部12を構成する係合凹部12aに対して下方側から配置され、蓋体3と負極外部端子28との間に挟持される。そして、この挟持状態で、負極外部端子28と蓋体3との絶縁を図り、かつ、前記上パッキン15と共に蓋体3の係合受部12に形成した貫通孔12cの封止を図る。
【0039】
一方、正極側下パッキン16Bは平板状であり、中央部分に貫通孔16aが形成され、係合受部12を構成する係合凹部12a内に配置される。正極側下パッキン16Bは、前記上パッキン15と共に蓋体3の係合受部12に形成した貫通孔12cの封止を図る。
【0040】
前記構成の電池によれば、外部端子14の露出面は平坦面で構成されているので、図示しないバスバーの接続作業を容易に行うことができる。外部端子14は、軸部31を、上パッキン15、蓋体3、下パッキン16、及び、集電体13を貫通させて先端を加締るだけで、これらを一体化することができる。また、外部端子14は、板状体32にリベット33を圧入するだけで簡単に製作することができる。このように、外部端子14の構成は、非常に簡略化されており、製造も簡単で安価に行うことができる。
【0041】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前記負極外部端子28は、
図8に示すように、平面視矩形状のアルミニウム製の板状体34と、その下面中央部に形成した平面視円形の凹部34aに、銅製のリベット35の鍔部35aを圧入することにより形成することができる。この場合、凹部34aの内径寸法は、リベット35の軸部35bの外径寸法よりも若干大きいだけであり、鍔部35aの外径寸法よりも十分に小さい。したがって、圧入により、鍔部35aが凹部34aを押し広げ、その後、凹部34aの底面に到達することにより軸部35bの周囲に凹部34aの内周面が膨出し圧接状態を構成する。これにより、強固な固定状態を得ることができる。また、リベット35の軸部35bの先端面中央部には円形の凹部35cが形成されている。そして、後述するようにして、軸部35bを、上パッキン15、蓋体3の係合受部12、下パッキン16、及び、正極集電体19の各貫通孔に挿通させた後、これらを挟み込むようにして、前記凹部35cを押し広げることによりカシメ固定される。
【0042】
このようにして形成された負極外部端子28(
図8)では、
図7に示す構成のものと比較すると、平板部30の表面にリベット35との境界部分が形成されることがない。このため、以下の効果が得られる。平板部30の表面側から腐食したとしても、
図7に示す構成のように、境界部分から内部へと進行することがない。内部で腐食性ガスが発生したとしても、その腐食性ガスが平板部30まで浸出することがないので、この平板部30が腐食しない。軸部35bは外気に晒されることがないので、その表面で結露することがなく、従って電食の恐れもない。平板部30の表面に傷が付いてメッキが剥がれたとしても、この剥がれた部分でアルミニウム製の板状体34と銅製のリベット35とが接触することはないので、電食、腐食の恐れがない。アルミニウム製の板状体34と銅製のリベット35との溶接は困難であるが、前述の圧入により一体化する構成を採用することで、加工が容易となり、しかも一体化した状態を強固なものとすることができる。
【0043】
また、前記負極外部端子28では、板状体32の貫通孔32a又は板状体34の凹部34aに圧入するリベット33、35の鍔部33b、35aには一般的な円形状のものを使用したが、その外周面を、鋸歯状、波形状等の凹凸状としてもよい。この構成によれば、圧入相手である貫通孔32aや凹部34aの内周面との間での圧接面積を増大させることができるので、取付強度を増大させることが可能となる。
【0044】
また、板状体34とリベット35によって形成する外部端子14は、負極外部端子28に限らず、両部材をアルミニウム製として、正極外部端子29を形成できるようにすることも可能である(この場合、同じアルミニウム材料であっても、板状体34に比べてリベット35の剛性が大きいものを使用すればよい。)。
【0045】
また、リベット35に限らず、一端側から他端側に向かって徐々に外径寸法が大きく成る構成や、鍔部33b、35aと、軸部33a、35bを有する構成を備えた部材であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る電池の外部端子14の構造は、リチウムイオン電池のほか、鉛蓄電池等、種々の電池に採用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…電池容器(外装体)
2…発電要素
3…蓋体(外装体)
4…負極
5…正極
6…セパレータ
7…クリップ
8…開口部
9…安全弁
10…注液孔
11…栓体
12…係合受部(膨出部)
12a…係合凹部
12b…ガイド凹部
12c…貫通孔
13…集電体
14…外部端子
15…上パッキン
16…下パッキン
16a…貫通孔
16A…負極側下パッキン
16B…正極側下パッキン
17…係止突部
18…負極集電体
19…正極集電体
20…接続受部
21…脚部
22…嵌合部
22a…貫通孔
23…台座部
24…ガイド縁部
25…連続部
28…負極外部端子
29…正極外部端子
30…平板部
31…軸部
32…板状体
32a…貫通孔
33…リベット(棒状接続部材)
33a…軸部
33b…鍔部
34…板状体
34a…凹部
35…リベット(棒状接続部材)
35a…鍔部
35b…軸部
36…隔壁
36a…貫通孔
37…端子保持凹部
38…装着用凹部
39…舌片
39a…係止孔
40…膨出部
41…平坦部