特許第6024373号(P6024373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024373
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】燃料電池およびその操業方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0202 20160101AFI20161107BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20161107BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20161107BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20161107BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20161107BHJP
【FI】
   H01M8/02 Y
   H01M8/12
   H01M8/06 G
   H01M8/02 K
   H01M8/04 T
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-227325(P2012-227325)
(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公開番号】特開2014-82019(P2014-82019A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000693
【氏名又は名称】特許業務法人ハートクラスタ
(74)【代理人】
【識別番号】100111936
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 征一
(72)【発明者】
【氏名】平岩 千尋
(72)【発明者】
【氏名】真嶋 正利
(72)【発明者】
【氏名】細江 晃久
【審査官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−192350(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/036057(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/052633(WO,A1)
【文献】 特表2008−532215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02 − 8/1286
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む燃料気体および空気から電気化学反応によって発電する燃料電池であって、
燃料極、固体電解質、および空気極から構成される膜電極アセンブリ(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、
前記燃料極に接して集電する金属多孔体の燃料極集電体と、
電力による加熱装置とを備え、
前記固体電解質がプロトン透過性の固体酸化物電解質であり、
前記燃料気体が前記燃料極集電体を流れるように、燃料気体流路が構成され、
前記燃料極集電体を構成する金属多孔体が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金から形成されていると共に、
前記燃料電池は、前記燃料気体の導入口および前記空気の導入口、を備える装置である燃料電池本体と、
該燃料電池本体の前段において前記燃料気体を改質する改質装置とを備え、
前記燃料電池本体の操業温度が550〜650℃であり、
前記改質装置の操業温度が660〜750℃であることを特徴とする、燃料電池。
【請求項2】
前記燃料極集電体を構成する金属多孔体が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金のめっき多孔体であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記燃料極集電体におけるアルミニウムもしくはアルミニウム合金が溶融しないように、前記加熱装置への投入電力、前記燃料気体の流量、および前記空気の流量、の少なくとも1つを制御する温度制御システムを備え、該温度制御システムが、前記燃料電池本体の温度をモニタする温度センサを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記プロトン透過性の固体酸化物電解質が、ペロブスカイト構造またはペロブスカイト類似構造を有し、組成をABC酸化物と表示したとき、Aが(Ba、Sr)の1種または2種、Bが(Zr、Ce)の1種または2種、Cが(Y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、In、Gd)の1種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記空気極に空気を導入する前段に、および/または、前記燃料極に燃料気体を導入する前段に、湿分を加える加湿装置を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項6】
水素を含む燃料気体および空気から電気化学反応によって発電する燃料電池の操業方法であって、
前記燃料電池は、燃料極、プロトン透過性の固体酸化物電解質、および空気極から構成される膜電極アセンブリと、前記燃料極に接して集電するアルミニウムもしくはアルミニウム合金の金属多孔体からなる燃料極集電体と、電力による加熱装置とを備え、
前記燃料極集電体の温度が550℃〜650℃を超えないように、前記燃料気体の流量および前記空気の流量、および前記加熱装置への電力投入、を制御すると共に、
前記燃料電池が、燃料電池本体と、その前段に位置する改質装置とを備えるものであり、
前記燃料電池本体の操業温度が550〜650℃であり、
前記改質装置の操業温度が660〜750℃であることを特徴とする、燃料電池の操業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池およびその操業方法であって、より具体的には、エネルギ効率に優れた燃料電池、およびその操業方法、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体電解質燃料電池(以下、燃料電池と記す)は、発電効率が高く、排熱を利用できるなどの利点を有するため、開発が進んでいる。燃料電池は、基本部分に、燃料極(アノード)/固体酸化物電解質/空気極(カソード)から構成される膜電極アセンブリもしくは膜電極複合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を備える。さらに、MEAの燃料極に接する燃料極集電体とその燃料極に水素等の燃料気体を供給する燃料極流路とを備え、対をなす空気極側にも同様に、空気極に接する空気極集電体と、その空気極に空気を供給する空気流路とを備える。通常、燃料極集電体および空気極集電体は、導電性の多孔体であって、多孔体の中を燃料気体もしくは水素、および、酸化性ガスもしくは空気が流される。すなわち各電極集電体は、集電体の機能を奏しながら気体の流路ともなっている。このため、電極集電体には、第1に、電気伝導性が高いこと、および気体流れの圧力損失を増大させないこと、が求められる。
一方、燃料電池における電気化学反応を、実用レベルの反応速度で進行させるには、MEAおよび燃料ガス等の温度は、常温よりも高く、というレベルではなく加熱装置を用いて加熱しなければならない。電気化学反応において生じるプロトンH等が固体電解質中を走行する時間を短縮するために、かつ電気化学反応自体を促進させるために、MEA等の温度は、通常700℃〜900℃程度とされる。当然、加熱に要する電力はエネルギ効率を低くする。外部から燃料電池の流路に導入される気体は、できるだけ入口に近い部分で昇温されることが電気化学反応の速度を高める上で重要である。このため気体を予熱する方法がとられるのが普通である。この場合、燃料電池を起動して内部(MEA、燃料気体流路など)が所定の温度に到達する時間が短いことが望ましい。起動後に燃料電池の内部が短時間で昇温されるためには、気体流路を構成する燃料極集電体等の熱伝導率を高くすることが決めてとなる。
【0003】
上記のように燃料電池では、高温に加熱されるため、燃料極集電体等を構成する材料には、耐高温酸化性が求められ、通常、ニッケル(Ni)等の材料が用いられる。圧力損失の増大を抑制し、電気伝導性および熱伝導性を確保するために、これまで、NiフェルトやNiメッシュを電極集電体に用いた例が開示されている(特許文献1、2,3)。さらにNiめっき多孔体等を燃料極集電体に適用した例も開示されている(特許文献4)。
上記の金属多孔体を用いることで、上記の諸特性をある程度満たす電極集電体を得ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−079258号公報
【特許文献2】特開2006−324025号公報
【特許文献3】特開2007−141743号公報
【特許文献4】特開2009−187887公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の材料はつぎの点で問題がある。まず、NiフェルトやNiメッシュを適用した場合、気孔率が低いため、圧力損失を抑えて気体を流すと、気体の供給量が過少となってしまう。また、Niフェルト等は電極との接触面積を十分とることができず、接触の電気抵抗が高くなることが避けられない。一方、Niめっき多孔体を用いた場合、気孔率(圧力損失)および導電性については、不都合はないが、熱伝導率が低いために、内部の昇温が迅速に進まない問題がある。
【0006】
本発明は、圧力損失、導電性、および熱伝導性の3点において満足すべき性能を有する電極集電体を用いることで、起動から稼働までの時間を短縮できる、高い発電効率および経済性の燃料電池およびその操業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の燃料電池は、水素を含む燃料気体から電気化学反応によって発電する。この燃料電池は、燃料極、固体電解質、および空気極から構成される膜電極アセンブリ(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、燃料極に接して集電する金属多孔体の燃料極集電体と、電力による加熱装置とを備え、固体電解質がプロトン透過性の固体酸化物電解質であり、燃料気体が燃料極集電体を流れるように、燃料気体流路が構成され、該燃料極集電体を構成する金属多孔体が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金から形成されていることを特徴とする。ここで、水素を含む燃料気体は、水素ガスそのものであってもよいし、メタン等を改質したあとの残存余成分が混入した水素主体の気体でもよく、また都市ガスでもよい。また、空気は酸素を対象にしており、酸化性気体という意味も含んでいる。
また、本発明の燃料電池は、燃料気体の導入口および空気の導入口、を備える装置である燃料電池本体と、該燃料電池本体の前段において燃料気体を改質する改質装置とを備え、燃料電池本体の操業温度が550〜650℃であり、改質装置の操業温度が660〜750℃であることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、燃料極集電体が金属多孔体であって、アルミニウムもしくはアルミニウム合金から構成されるので、たとえばニッケル等の金属多孔体に比べて熱伝導性を高めることができる。ニッケルの熱伝導率88.5W・m−1・K−1(0℃〜100℃)であるのに比べてアルミニウムの熱伝導率238W・m−1・K−1(0℃〜100℃)であり、約2.7倍高めることができる。これによって装置を起動後、短時間のうちに所定の操業温度に昇温することができる。これは、製品を使用する者にとっては極めて重要であり、製品を選択する際の重要な要素となる。たとえば、停電時の電力を燃料電池に依存している事務所、工場、家庭等では、起動から稼働までできるだけ短時間にすることが望まれる。停電の瞬間から燃料電池の稼働まで蓄電池でつなぐにしても、燃料電池の立ち上がり時間が短いほうが蓄電池を容量の小さいものとできる。また、安心・安全上好ましい。
なお、アルミニウム合金の熱伝導率およびこのあとで出てくる電気抵抗率は、アルミニウムとほぼ同じとみてよい。
本発明の燃料電池においては、操業温度は、燃料極集電体を形成しているアルミニウムもしくはアルミニウム合金が溶融しないように設定しなければならない。たとえば燃料電池を、Ni−Cr線、グラファイト等を発熱体とする炉内に収納する加熱形態をとった場合、操業温度はどの位置の温度とするかで変わってくる。しかし、どの位置の温度を操業温度とするにせよ、燃料極集電体の位置の温度は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の融点より低くなるようにしなければならない。アルミニウムの融点は約660℃(933.25K)である。アルミニウム合金の固相線温度は520℃〜590℃の範囲にあるので、それより低くしなければならない。このような低い温度で操業して、実用レベルの発電密度、発電効率等を得ることを可能にしたのは、固体電解質をプロトン透過性の固体酸化物電解質としたことの貢献が大きい。
なお、本発明の燃料電池においては、燃料気体の導入口および空気の導入口、を備える装置である燃料電池本体と、該燃料電池本体の前段において燃料気体を改質する改質装置とを備え、燃料電池本体の操業温度が550〜650℃であり、改質装置の操業温度が660〜750℃であることから、改質装置の適切な操業温度を維持しながら、アルミニウム等の燃料極集電体を含む燃料電池本体を安定的に操業することができる。
また、本発明においては、操業温度は、燃料電池本体(セルスタック)に配置された温度センサによる温度とする。たとえばセルスタックの最外層の燃料気体流路を形成する外側の部材に埋め込まれた熱電対などによる温度とする。
上記の熱伝導率の要因の他に、アルミニウムは電気抵抗率2.67μΩ・cm(20℃)であり、ニッケルの6.9μΩ・cm(20℃)に比べて半減する。このため燃料電池の電気システム全体の電気抵抗を減少させることができる。この電気伝導率の要因によって発電効率の向上に寄与することができる。
さらに、アルミニウム等は、ニッケルに比べて経済性に優れている。
【0009】
燃料極集電体を構成する金属多孔体を、アルミニウムもしくはアルミニウム合金のめっき多孔体とすることができる。
めっき多孔体は、発泡させた樹脂にその泡を連続化する気孔連続化処理を施して、次いで金属をめっきして、その後、樹脂を除くことで形成される。本発明の場合、アルミニウムもしくはアルミニウム合金のめっき処理を行う。これによって、気孔率が高いため圧力損失が小さく、電気抵抗が低い上に、焦点である熱伝導率を向上させためっき金属多孔体を得ることができる。
【0010】
燃料極集電体におけるアルミニウムもしくはアルミニウム合金が溶融しないように、加熱装置への投入電力、燃料気体の流量、および空気の流量、の少なくとも1つを制御する温度制御システムを備え、該温度制御システムが、燃料電池本体の温度をモニタする温度センサを有することができる。
ここで、燃料電池本体とは、(燃料極集電体/MEA/空気極集電体)を1単位として複数単位が積層されて組み上げられた、積層するのに必要な部材も含めた集合体である、セルスタックをいう。たとえばセルスタックの最上面もしくは最下面となるエンドプレートに埋め込まれた温度センサ(熱電対)は、燃料電池本体の温度をモニタする温度センサである。
これによって、アルミニウムもしくはアルミニウム合金で形成された燃料極集電体を溶融させずに安定して操業することができる。
【0011】
プロトン透過性の固体酸化物電解質が、ペロブスカイト構造またはペロブスカイト類似構造を有し、組成をABC酸化物と表示したとき、Aが(Ba、Sr)の1種または2種、Bが(Zr、Ce)の1種または2種、Cが(Y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、In、Gd)の1種以上を含むものとできる
【0012】
これによって、アルミニウム等を燃料極集電体に用いて、その融点未満の低温操業を行っても、十分な発電効率、発電密度等を得ることが可能になる。上記のプロトン透過性の固体酸化物電解質としては、バリウムを含む、BCY(イットリウム添加セリウム酸バリウム)、BZY(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)、これらの中間体であるBZCYなどがある。またストロンチウムを含む、SZY(イットリウム添加ジルコン酸ストロンチウム)、SCY(イットリウム添加セリウム酸ストロンチウム)、中間体であるSZCYなどがある。
【0013】
空気極に空気を導入する前段に、および/または、燃料極に燃料気体を導入する前段に、湿分を加える加湿装置を備えることができる。
これによって、上記のプロトン透過性固体電解質のプロトンの移動速度、もしくは移動するプロトン密度を低下させることなく作動させることができる。
【0014】
本発明の燃料電池の操業方法は、水素を含む燃料気体から電気化学反応によって発電する燃料電池の操業方法である。この操業方法では、燃料電池は、燃料極、プロトン透過性の固体酸化物電解質、および空気極から構成される膜電極アセンブリと、燃料極に接して集電するアルミニウムもしくはアルミニウム合金の金属多孔体からなる燃料極集電体と、電力による加熱装置とを備えており、燃料極集電体の温度が550℃〜650℃を超えないように、燃料気体および空気の流量、および加熱装置への電力投入、を制御することを特徴とする。
これによって、確実にアルミニウム等の融点未満の温度を維持して、安定的に発電を継続することができる。燃料極集電体の温度が550℃〜650℃を超えないようにするには、結局、燃料電池の本体部を収納する加熱装置の温度を従来よりも100℃以上は低い温度にすることになる。これによって発電にかかる電力量を節減できる。しかしそれだけでなく、より大きな経済性は、従来の800℃程度の加熱温度の場合、発電された電力を取り出す電極端子もしくはインターコネクタ等に耐高温酸化性のインコネルなど高価な合金を用いる必要があった。耐高温酸化合金の代わりに導電性セラミックスを用いる提案もあるが、この導電性セラミックスも高価である。本発明では650℃以下の加熱温度なので、SUS304等の汎用ステンレス鋼を用いることができ、この点で経済的な大きな利点を得ることができる。
また、本発明の燃料電池の操業方法は、燃料電池が、燃料電池本体と、その前段に位置する改質装置とを備えるものであり、燃料電池本体の操業温度が550〜650℃であり、改質装置の操業温度が660〜750℃であることを特徴とする。
【0015】
れよって、改質装置および燃料電池本体を安定的に高能率で操業することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、圧力損失、導電性、および熱伝導性の3点において、満足すべき性能を有する燃料極集電体を用いることで、発電効率、発電密度を実用レベル以上とした、燃料電池およびその操業方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態における燃料電池の全体を示す図である。
図2図1の燃料電池本体を示す斜視図である。
図3】燃料電池本体の断面図である。
図4】セル(発電素子)での電気化学反応を説明するための図である。
図5】燃料極集電体を形成するアルミニウムめっき多孔体を示し、(a)は気孔形態を示す走査型電子顕微鏡(SEM)像、(b)はシート状の製品、を示す図である。
図6】めっき多孔体の比表面積と孔径との関係を示す図である。
図7】実施例1の燃料電池の発電性能の評価結果を示す図である。
図8】実施例2の燃料電池の発電性能の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施の形態における燃料電池50を示す概要図である。燃料電池本体10に導入する燃料気体は、水素ガスそのもの、もしくは水素濃度が高い気体であることが望ましい。原料には、汎用性、経済性等の点からプロパン、メタン、メタノール等を用いる場合が多いが、これらの原料は、改質装置72によって改質して水素濃度を高めた燃料気体とする。工業レベルでの高純度の水素にしてもよいし、改質して生成する炭化水素等を相当程度含有する水素主体の気体であってもよい。図1では、燃料気体は、プロパン、メタン、メタノール、エタノール等の原料を収納するボンベ71から改質装置72を経て燃料電池本体(セルスタック)10に導入される。空気は、コンプレッサ75によって大気から取り込まれて、燃料電池本体10に導入される。図1において、改質装置72の操業温度Tが、燃料電池本体10の操業温度Tより高くすることができる。たとえば、燃料電池本体10は550℃〜650℃とし、改質装置72は660℃〜750℃とする。
また、原料は、都市ガスを、改質装置を通さずに直接、燃料電池本体10に導入してもよいし、都市ガスを改質装置72で改質して水素濃度を高めて燃料電池本体10に導入してもよい。
【0019】
図2は、燃料電池本体10もしくはセルスタック10を示す斜視図である。セルスタック10は、第1プレート(上エンドプレート)21と第2プレート(下エンドプレート)22の間に、発電素子であるセル5が積層されている。セル5は、このあと説明する、(燃料極集電体/MEA/空気極集電体)から構成され、燃料電池における発電の1単位である。炭化水素等が改質されて水素濃度を高めた燃料気体が上エンドプレートに設けられた入口61から導入される。また、コンプレッサを送り出された空気が入口62から導入される。電気化学反応を経た燃料気体および空気は、多くが水蒸気となって排出口63等から排出される。排出時に、可燃性気体の濃度が高い場合、燃料電池の中に燃焼部等を配置することができる。図2では、燃料気体および空気ともに、上エンドプレート21から導入されているが、下エンドプレート22にどちらか一方を振り当ててもよい。
【0020】
図3は、燃料電池本体10の断面図である。図3においてセル5は5層、重ねられているが、より多く、たとえば10層〜50層重ねてもよい。発電素子のセル5は、燃料極集電体7/膜電極アッセンブリ(MEA)/空気極集電体8、によって構成され、上下に隣接する隣のセルとは絶縁体13によって隔絶される。MEAは、このあと説明するが、燃料極(アノード)2と、固体電解質1と、空気極(カソード)3とが一体形成されている。
燃料気体は、燃料気体入口61から燃料極集電体7を構成するアルミニウムめっき体が占有する燃料気体流路11へと誘導される。また空気は空気入口62から、図示しない機構によって、空気極集電体8を構成する多孔質体(Niメッシュ等)が占有する空気流路12へと誘導される。
【0021】
燃料気体の流路11は、そのセル5内のMEAと上のセルとを隔てるセパレータ(インターコネクタ)13との間にはさまれた空間であり、燃料極集電体7を形成しているアルミニウムめっき多孔体に占有されている。また、空気の流路12は、そのセル5内のMEAと下のセルとを隔てるセパレータ(インターコネクタ)13との間にはさまれた空間であり、空気極集電体8を形成している金属多孔体で占有されている。
積層されたセル5はインターコネクタ13によって直列接続されている。セルスタック10で発電され集電された電力は、アノード端子7aと、カソード端子8aとによって外部に取り出される。セルスタック10は、上エンドプレート21と下エンドプレート22とに係止されるボルト等によって締結されている。
【0022】
図4は、発電素子のセル5で生じる電気化学反応を説明するための図である。水素等の燃料気体は、燃料気体流路11をふさぐように占有するアルミニウムめっき多孔体7の中を流れるとき、乱流状態とされる。乱流状態とされた水素は、燃料極2との接触機会、接触時間を増やされる。このため、燃料極2の触媒等に触発されて、燃料極(アノード)反応:H→2H+2eが大きな速度で進行する。燃料極で発生したプロトンHは、燃料極2から固体電解質1を通って空気極3へと流れてゆく。電子eは固体電解質1中を通ることができず、図示しない電気回路の配線中を流れて空気極(カソード)に到達する。空気極(カソード)3には、空気中の酸素Oが接していて、空気極3に到達したプロトンHおよび電子eは、空気極3の触媒作用の下、この酸素と反応して、空気極(カソード)反応:2H+2e+1/2O→HOが進行する。
【0023】
燃料極2の材料は、たとえば、NiおよびFe等の金属と、Se、Y等の希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のZrO系セラミック、CeO系セラミック等のセラミックのうちの少なくとも1種との混合物などがあげられる。また、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru、Rh、NiおよびFe等の金属をあげることができる。これらの金属は、1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。さらに、これらの金属、および/または、合金と、上記セラミックの少なくとも1種との混合物(サーメットを含む)でもよい。また、NiおよびFe等の金属の酸化物と、上記セラミックの少なくとも1種との混合物でもよい。
空気極3の材料は、たとえば、各種の金属、金属の酸化物、金属の複酸化物等を用いることができる。金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、RuおよびRh等の金属、またはこれらの2種以上を含有する合金をあげることができる。さらに、金属の酸化物としては、La、Sr、Ce、Co、MnおよびFe等の酸化物(La、SrO、Ce、Co、MnOおよびFeO等)を用いることができる。また、複酸化物としては、少なくともLa、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、FeおよびMn等を含有する複酸化物(La1−xSrCoO系複酸化物、La1−xSrFeO系複酸化物、La1−xSrCo1−yFe系複酸化物、La1−xSrMnO系複酸化物、Pr1−xBaCoO系複酸化物およびSm1−xSrCoO系複酸化物をあげることができる。
本発明において、固体電解質1の材料はきわめて重要である。燃料極集電体7にアルミニウムめっき多孔体を用いたので、燃料電池本体10の温度をアルミニウムの融点660℃未満に維持しなければならない。しかし、たとえば600℃に加熱して上記の電気化学反応が十分高い速度で進行して実用レベルに達するかどうかは、固体電解質に依存している。この点について、このあと加熱温度の項で説明する。
【0024】
本実施の形態の重要なポイントの一つは、燃料極集電体7をアルミニウムめっき多孔体によって形成することにある。すなわちアルミニウムめっき多孔体7は、燃料気体の流路11を塞ぐように占めている。アルミニウムめっき多孔体7特有の効果としてつぎの事項をあげることができる。
(A1)従来の金属多孔体と比べて、大きな利点として、アルミニウムで形成しているので、熱伝導率が高く、燃料電池50の起動から短時間で稼働が可能な点をあげることができる。この特性は、製品を使用する者にとっては極めて重要であり、製品を選択する際の重要な要素となる。たとえば、停電時の電力を燃料電池に依存する事務所、工場、家庭等では、起動から稼働までできるだけ短時間にすることが望まれる。この場合、停電の瞬間から燃料電池の稼働まで蓄電池でつなぐにしても、燃料電池の立ち上がり時間は短いほうが蓄電池を容量の小さいものとできるし、また安心・安全上からも非常に好ましい。
(A2)電気伝導度が高いため、もしくは電気抵抗が低いため、電気抵抗の低い燃料極(アノード)集電体として機能して、システム全体の電気抵抗を下げることができる。これによって燃料電池の発電効率を向上することができる。
【0025】
そのほかの利点は、アルミニウム以外のたとえばニッケルめっき多孔体でも得られるものである。それらは次のとおりである。
(B1)燃料気体の流れを乱流化して、燃料極(アノード)2の表面に接触する気体流の部分を絶えず剥ぎ取り、新たな水素を供給することができる。この結果、水素の分解効率を高めることができる。
(B2)めっき多孔体の存在によって、水素を未反応のまま素通りする割合を減らすことができる。
(B3)気孔率を高く、0.65以上0.99以下、たとえば0.95以上0.98以下にとることができる。したがって、すべてめっきで形成されたアルミニウムめっき多孔体7は、圧力損失の増大を抑制することができる。
【0026】
図5は、アルミニウムめっき多孔体を示し、(a)は気孔の形態、(b)はシート状の製品、を示す図である。図5(a)より、気孔率は高く、気効率0.95以上ということを裏付けているように見える。図5(b)は、10cm〜20cmの辺長さの矩形のシートを示す。ニッケル等の各種の金属のめっき多孔体が製品化されているが、図5(a),(b)はアルミニウムのめっき多孔体である。住友電気工業株式会社製の商品名セルメット(登録商標)で市販されている。
【0027】
アルミニウムまたはアルミニウム合金のめっき多孔体の製造方法は、次のとおりである。まずウレタン等の樹脂に発泡処理を施し発泡させたものを準備する。次いで、発泡した気孔を連続する気孔連続化処理を行う。気孔連続化処理は、除膜処理を主内容とする。孔の上に出来た薄膜を爆発処理等の加圧処理もしくは化学処理により除膜することで連続気孔化する。このあと、気孔内壁に、導電性炭素膜を付着させるか、または無電解めっき等により導電薄膜を形成する。次いで、電気めっきによって、金属めっき層を導電性炭素膜または導電薄膜上に形成する。この金属めっき層が立体網状金属体の骨格部となる。金属めっきはアルミニウムイオンを含むめっき液を用い、Alめっき層を形成する。次いで、熱処理によって樹脂を消散させて、金属めっき層のみを残して、Alめっき多孔体とする。
Alは、高い電気伝導度と熱伝導性を併せ持っているが、融点が660℃と低いため需要がほとんど見込めないと考えられてきた。このため、アルミニウムめっき多孔体が取り上げられることはなかった。
【0028】
上記の方法で製造しためっき多孔体7の、比表面積(y:m/m)と孔径(x:mm)との関係を図6に示す。図6において、実測データはNiめっき多孔体のデータであるが、Alめっき多孔体においても同じ製法により同じ数値が得られている。このため図6の関係はAlめっき多孔体のデータをみることができる。孔径0.05mm〜3.2mmにわたって、上記の方法で製造することができる。実測値は、ウレタンを用いた場合は、(x−0.3)y=400または600の双曲線に比して、同じ孔径において大きな比表面積を持つ。ここで双曲線の孔径の最小極限値(漸近線)の0.3mmは、ウレタンを用いた場合のものである。(x−0.3)yの値が大きいと、気体を乱流状態にして燃料極2が常に新しい気体と接触して反応できる機能を保持しながら、圧力損失を低くできる効果を生み出す。このため、400≦(x−0.3)y、とするのがよい。より好ましくは、600≦(x−0.3)y、とするのがよい。孔径をあまり大きくすると、燃料気体の素通りなどが生じるおそれがあるので、上限は3000程度、より好ましくは2000程度とするのがよい。
なお、ウレタンの代わりにメラミンを用いた場合には、孔径の最小極限値は0.05mmとなる。メラミンを用いて製作した骨格部については、孔径と比表面積との積の表式は示さないが、気孔率が0.6以上0.99以下の範囲に入れば、メラミンを用いて製作した金属多孔体も本発明の範囲に入る。
金属粉焼結体の場合、孔径は0.05mm〜0.3mmの範囲、より好ましくは0.10〜0.2mmの範囲にある。また、比表面積は、ウレタンの樹脂多孔体鋳型を用いて製作した図6に示す関係(x−0.3)y=400よりも、かなり小さい範囲にある。気孔率は、骨格の形状にも影響を受けるが、一般的に気孔率が高いものほど比表面積は大きい。したがって、Alめっき多孔体7は、同じ導電性、同じ乱流生成作用を得ながら、金属粉焼結体よりも圧力損失を低下することができる。
【0029】
空気極集電体8も、導電性の多孔体でなければならない。空気極3の側では、酸化性の気体である酸素が反応に参加するので、耐酸化性が重要となる。このため、空気極集電体は、Fe−Cr合金のメッシュ、Ptのメッシュなどが用いられる。メッシュは、細線の間隔を所定の間隔として、縦線と横線とから構成される編みメッシュでもよいし、金属板を打ち抜いた格子(メッシュ)状のものでもよい。Fe−Cr、Ptなどは、650℃程度以下で、十分高い耐酸化性を示す。
【0030】
<燃料電池本体の操業温度および固体電解質について>:
上記のとおり、本実施の形態では燃料極集電体7にアルミニウムめっき多孔体を用いたので、燃料電池本体10の温度をアルミニウムの融点660℃未満に維持しなければならない。このため、たとえば600℃に加熱して発電の電気化学反応が十分高い速度で進行して実用レベルに達しなければならない。それを可能にする重要な要因の一つが、固体電解質1をプロトン透過性とすることである。プロトンは、たとえば酸素イオン等と比べると固体電解質1中の移動速度は大きく、固体電解質1を通過する時間は短縮される。このため、従来のように700℃〜900℃に加熱しなくても、600℃程度で十分な発電効率および発電密度を得ることができる。
プロトン透過性の固体電解質は、ペロブスカイト構造またはペロブスカイト類似構造を有し、ABC酸化物と表示したとき、Aが(Ba、Sr)の1種または2種、Bが(Zr、Ce)の1種または2種、Cが(Y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、In、Gd)の1種以上を含むものとできる。この中でも、特に有力な固体電解質は、バリウムを含む、BCY(イットリウム添加セリウム酸バリウム)、BZY(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)、これらの中間体であるBZCYなどがある。またストロンチウムを含む、SZY(イットリウム添加ジルコン酸ストロンチウム)、SCY(イットリウム添加セリウム酸ストロンチウム)、中間体であるSZCYなどがある。
【0031】
燃料電池本体10の操業温度を550℃〜650℃を超えない温度とした場合、加熱に消費される電力を抑制してその分、発電効率を向上させることができる。その他に、大きな利点として、つぎのものがある。図3において、アノード端子7aおよびカソード端子8aの材料は、従来の700℃〜900℃の加熱温度では、耐高温酸化性が必要とされ、高合金のインコネルや導電性セラミックが用いられていた。しかしこれらの材料はいずれも非常に高価であり、燃料電池本体の製造費に占める比率が高かった。しかし、本実施の形態のように、550℃〜650℃の所定温度を超えない加熱温度とする場合、アノード端子7a等にインコネル等は不要であり、汎用のステンレス鋼SUS304等に置き換えることができる。これによって、燃料電池の製造費を大きく削減することができる。
【実施例】
【0032】
(実施例1−加熱温度の影響−):
アノードサポート型のMEAを製作して性能評価を行った。まず、NiOとBCY(イットリウム添加セリウム酸バリウム)をボールミリングした後、一軸成形加工によりシート状に成形した。これは燃料極(アノード)となるもので、Ni含有BCYのアノード2である。1000℃で仮焼結した後、固体電解質1となるBCYペーストを仮焼結したアノードにスクリーン印刷により塗布した。スクリーン印刷時に添加されたバインダを、750℃での脱バインダ処理によってとばして、1400℃で共焼結を行った。その後、共焼結体に空気極(カソード)3となるLSM(ランタンストロンチウムマンガナイト)を塗布し、1000℃で焼成する。燃料極2にアルミニウムめっき多孔体7を、また空気極3にFeCr合金線のメッシュ、またはPt線のメッシュを配置して、セル5を形成した。セル5の構成はつぎのとおりである。
(空気極集電体8(Fe−Cr合金またはPtのメッシュ)/空気極3(LSM)/固体電解質1(BCY)/燃料極2(Ni−BCY)/燃料極集電体7(アルミニウムめっき多孔体)
上記の積層体において、空気極3の厚み20μm〜30μm、固体電解質1の厚み30μm〜50μm、燃料極の厚み500μm〜1mm、である。
セルスタック10では、5層のセル5が積層されている。このセルスタック10を600℃、650℃、700℃、800℃の4温度に加熱して、発電性能を評価した。温度は上エンドプレート21に埋め込んだ熱電対によってモニタした。
【0033】
図7に評価結果を図示する。図7によれば、高温になるほど発電密度は高くなる傾向ははっきり認められる。しかし、600℃において、300mW・cm−2の発電密度が得られており、実用レベルを超えることが判明した。本実施例1では、アノードサポートのMEAとしたので、固体電解質の厚みを薄くしたため評価後に検査したところ、固体電解質の一部にクラックが認められた。このため、水素と空気の混合が生じ、発電密度がこのあと説明する実施例2に比べて比較的小さかったものと考える。
【0034】
(実施例2)
電解質サポートのMEAを製作して加湿の影響等を評価した。まず、BZY(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)粉末をボールミリングしたあと、1000℃で仮焼きし、さらにボールミリングにより再粉砕した。その後、一軸成形加工して酸素雰囲気下で1600℃24h熱処理を行って固体電解質1を得た。得られた固体電解質1に空気極となるLSCFを塗布し、1000℃で焼成した。燃料極2としては、銀(Ag)を無電解めっきで成膜して、MEAを製作した。この後、実施例と同様に電極集電体を配置した。セル5の構成はつぎのとおりである。
(空気極集電体8(Fe−Cr合金またはPtのメッシュまたはAgメッシュ)/空気極3(LSCF)/固体電解質1(BZY)/燃料極2(AgまたはNi−BZY、NiFe系合金)/燃料極集電体7(アルミニウムめっき多孔体)
固体電解質1の厚みは、実施例1では30μm〜50μmであったが、本実施例2では電解質サポートとしたので厚み275μmとした。空気極3の厚みは40μm、燃料極2の厚みは40μmとした。
【0035】
図8に評価結果を図示する。図8によれば、600℃においてカソード側加熱したとき160mWcm−2という大きな発電密度が得られた。また、加湿がない場合でも80mW・cm−2が得られた。加湿の効果は、固体電解質ではないが、プロトン導電性によって周知のナフィオン(登録商標)においても知られており、プロトン導電性において水分の重要性が、固体電解質でも確認することができた。
図8の評価結果は、プロトン導電性の固体電解質を選択し、加湿等を行うことで、600℃程度の加熱温度において十分実用にたえる発電効率を得られることを示している。
【0036】
上記開示された本発明の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、燃料極集電体にアルミニウムもしくはアルミニウム合金のめっき多孔体を用いることで、操業温度を650℃以下という従来にない低温度とした上で、起動から稼働までの時間を短縮することができる、発電効率等が高く、経済性に優れた燃料電池およびその操業方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 固体電解質、2 燃料極(アノード)、3 空気極(カソード)、5 セル(発電素子)、7 燃料極集電体、7a アノード端子、8 空気極集電体、8a カソード端子、10 燃料電池本体(セルスタック)、11 燃料気体流路、12 空気流路、13 インターコネクタ(セパレータ)、21 第1プレート(上エンドプレート)、22 第2プレート(下エンドプレート)、50 燃料電池、61 燃料気体入口、62 空気入口、63 出口、71 燃料気体の原料ボンベ、72 改質装置、75 コンプレッサ。
図1
図2
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図8