特許第6024422号(P6024422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6024422走査装置、画像読取装置及び画像記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024422
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】走査装置、画像読取装置及び画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/50 20060101AFI20161107BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G03B27/50 A
   H04N1/04 105
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-262410(P2012-262410)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-109602(P2014-109602A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】森永 健
【審査官】 赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−221064(JP,A)
【文献】 特開2005−297297(JP,A)
【文献】 特開2008−030453(JP,A)
【文献】 特開平10−129069(JP,A)
【文献】 特開2000−037921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/50
H04N 1/04−1/20
B41J 19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材上を所定の走査方向に往復動するキャリッジと、
前記キャリッジを前記走査方向に往復動させる走査機構と、を備えた走査装置であって、
前記走査機構は、前記ベース部材における前記走査方向の一方側に位置し、回転駆動される駆動プーリと、
前記ベース部材における前記走査方向の他方側に位置し、従動回転する従動プーリと、
前記キャリッジと連結され、前記駆動プーリと前記従動プーリとに巻き掛けられたタイミングベルトと、
前記走査方向に変位可能に前記ベース部材に支持され、前記従動プーリを回転可能に支持するプーリホルダと、
前記ベース部材と前記プーリホルダとの間に設けられ、前記プーリホルダを前記他方側に向けて付勢する付勢部材と、を有し、
前記キャリッジは、前記駆動プーリの正回転及び逆回転により、前記走査方向に往復動可能であり、
前記プーリホルダは、前記一方側に変位して離脱位置に到達すれば前記ベース部材から離脱するように構成され、
前記ベース部材と前記プーリホルダとの間には、前記プーリホルダが前記離脱位置より前記他方側に変位することを許容する一方、前記プーリホルダが前記離脱位置に到達することを規制する規制手段が設けられ
前記規制手段は、前記プーリホルダに設けられ、前記一方側に向けて突出する突出部と、前記ベース部材に設けられ、前記突出部を前記一方側から当て止める当接部とを有していることを特徴とする走査装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、付勢軸心周りに前記一方側から前記他方側に揺動することにより、前記プーリホルダを前記他方側に向けて付勢するアーム部を有し、
前記プーリホルダは、前記アーム部に対して前記ベース部材側に位置する第1受け部と、前記アーム部に対して前記ベース部材とは反対側に位置する第2受け部とで前記アーム部を挟み込んで前記付勢部材からの付勢力を受けるように構成され、
前記突出部は、前記第1受け部から前記一方側に向けて突出している請求項記載の走査装置。
【請求項3】
前記プーリホルダは、前記アーム部に対して前記第2受け部側で前記従動プーリを回転可能に支持している請求項記載の走査装置。
【請求項4】
前記ベース部材には、前記走査方向に延びて、前記プーリホルダを前記走査方向に変位可能に支持する支持部が形成され、
前記走査方向において前記支持部が前記プーリホルダを前記離脱位置に対して前記他方側に最も離れた位置から前記離脱位置まで支持可能な距離は、前記走査方向において前記突出部と前記当接部とが最も離間する最大離間距離よりも長い請求項乃至のいずれか1項記載の走査装置。
【請求項5】
前記ベース部材には、前記キャリッジが前記走査方向に往復動する範囲に亘って延在する底壁部と、前記底壁部から前記キャリッジとは反対側に向けて凹む凹部とが形成され、
前記プーリホルダ及び前記付勢部材は、前記凹部内に配設され、
前記凹部の周囲を形成している側壁の一部が前記当接部を構成している請求項乃至のいずれか1項記載の走査装置。
【請求項6】
前記ベース部材には、前記走査方向に延びて、前記プーリホルダを前記走査方向に変位可能に支持する支持部が形成され、
前記支持部は、前記凹部内において前記当接部及び前記プーリホルダに対して前記他方側に位置し、
前記プーリホルダは、自己の前記他方側が前記凹部内に位置する一方、前記突出部が前記凹部外に位置するように傾斜する状態から、自己の前記他方側が前記支持部に装着されることで、前記突出部が前記凹部内に収まるように、前記走査方向の長さが設定されている請求項記載の走査装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項記載の前記走査装置と、
前記キャリッジに搭載され、前記走査方向に移動することにより被読取媒体の画像を読み取る画像読取手段と、を備えていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項記載の前記走査装置と、
前記キャリッジに搭載され、前記走査方向に移動することにより被記録媒体に画像を記録する画像記録手段と、を備えていることを特徴とする画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走査装置、画像読取装置及び画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の走査装置の例が開示されている。この走査装置は、ベース部材と、ベース部材上を所定の走査方向に往復動するキャリッジと、キャリッジを走査方向に往復動させる走査機構とを備えている。
【0003】
走査機構は、駆動プーリと、従動プーリと、タイミングベルトと、プーリホルダと、付勢部材とを有している。駆動プーリは、ベース部材における走査方向の一方側に位置し、回転駆動される。従動プーリは、ベース部材における走査方向の他方側に位置し、従動回転する。タイミングベルトは、キャリッジと連結され、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられている。プーリホルダは、走査方向に変位可能にベース部材に支持され、従動プーリを回転可能に支持している。付勢部材は、ベース部材とプーリホルダとの間に設けられ、プーリホルダを走査方向の他方側に向けて付勢している。キャリッジは、駆動プーリの正回転及び逆回転により、走査方向に往復動可能である。
【0004】
プーリホルダは、走査方向の一方側に変位して離脱位置に到達すればベース部材から離脱するように構成されている。
【0005】
ベース部材には、リブが凸設されている。リブは、付勢部材がプーリホルダを離脱位置より走査方向の他方側へ変位させようとする場合、付勢部材から離間してその変位を許容する。その一方、リブは、プーリホルダが走査方向の一方側へ変位し、付勢部材の付勢力に抗しつつ離脱位置に到達しようとする場合、付勢部材に当接してその変位を規制する。これにより、この走査装置では、衝撃等が作用してプーリホルダが走査方向の一方側に変位しても、リブにより、プーリホルダがベース部材から離脱したり、タイミングベルトが弛んで従動プーリから外れたりすることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−221064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の走査装置では、付勢部材がベース部材に凸設されたリブに当接することにより、衝撃等が作用して走査方向の一方側に変位するプーリホルダが離脱位置に到達することを間接的に規制する。このため、衝撃の程度が過大であると、付勢部材がリブに当接した後、付勢部材がリブよりプーリホルダ側で走査方向の一方側に撓んで、プーリホルダが離脱位置に到達してしまうおそれがある。より具体的に説明すると、上記従来の走査装置では、付勢部材が捩じりコイルバネであり、螺旋状に巻かれたコイル部から真っ直ぐ延びるアーム部がプーリホルダを走査方向の他方側に向けて付勢している。そして、そのアーム部がリブに当接することにより、衝撃等が作用して走査方向の一方側に変位するプーリホルダが離脱位置に到達することを間接的に規制する。このため、衝撃の程度が過大であると、アーム部がリブに当接した後、アーム部がリブよりプーリホルダ側で走査方向の一方側に撓んで、プーリホルダが離脱位置に到達してしまうおそれがある。この場合、プーリホルダがベース部材から離脱したり、タイミングベルトが弛んで従動プーリから外れたりするおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、衝撃等が作用してプーリホルダが走査方向の一方側に変位しても、プーリホルダがベース部材から離脱したり、タイミングベルトが弛んで従動プーリから外れたりすることを抑制できる走査装置、画像読取装置及び画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の走査装置は、 ベース部材と、
前記ベース部材上を所定の走査方向に往復動するキャリッジと、
前記キャリッジを前記走査方向に往復動させる走査機構と、を備えた走査装置であって、
前記走査機構は、前記ベース部材における前記走査方向の一方側に位置し、回転駆動される駆動プーリと、
前記ベース部材における前記走査方向の他方側に位置し、従動回転する従動プーリと、
前記キャリッジと連結され、前記駆動プーリと前記従動プーリとに巻き掛けられたタイミングベルトと、
前記走査方向に変位可能に前記ベース部材に支持され、前記従動プーリを回転可能に支持するプーリホルダと、
前記ベース部材と前記プーリホルダとの間に設けられ、前記プーリホルダを前記他方側に向けて付勢する付勢部材と、を有し、
前記キャリッジは、前記駆動プーリの正回転及び逆回転により、前記走査方向に往復動可能であり、
前記プーリホルダは、前記一方側に変位して離脱位置に到達すれば前記ベース部材から離脱するように構成され、
前記ベース部材と前記プーリホルダとの間には、前記プーリホルダが前記離脱位置より前記他方側に変位することを許容する一方、前記プーリホルダが前記離脱位置に到達することを規制する規制手段が設けられ
前記規制手段は、前記プーリホルダに設けられ、前記一方側に向けて突出する突出部と、前記ベース部材に設けられ、前記突出部を前記一方側から当て止める当接部とを有していることを特徴とする走査装置。
【0010】
本発明の走査装置では、規制手段がベース部材とプーリホルダとの間に設けられている。そして、規制手段は、プーリホルダが離脱位置より走査方向の他方側に変位することを許容する一方、プーリホルダが離脱位置に到達することを直に規制する。このため、この走査装置では、リブがプーリホルダを間接的に規制する上記従来の走査装置と比較して、規制手段がプーリホルダを規制した後、プーリホルダがさらに走査方向の一方側に変位し難い。このため、この走査装置では、プーリホルダの離脱位置への到達を確実に規制できる。
【0011】
したがって、本発明の走査装置では、衝撃等が作用してプーリホルダが走査方向の一方側に変位しても、プーリホルダがベース部材から離脱したり、タイミングベルトが弛んで従動プーリから外れたりすることを抑制できる。
【0012】
規制手段は、プーリホルダに設けられ、前記一方側に向けて突出する突出部と、ベース部材に設けられ、突出部を前記一方側から当て止める当接部とを有していることが望ましい。仮に、ベース部材に突出部が設けられている場合、プーリホルダより先にベース部材に組み付けられる部材に突出部が干渉し易くなり、突出部が組み付け作業の妨げになるおそれがある。この点、上記構成によれば、プーリホルダに突出部が設けられていることで、プーリホルダより先にベース部材に組み付けられる部材に突出部が干渉しなくなり、突出部が組み付け作業の妨げにならない。
【0013】
付勢部材は、付勢軸心周りに前記一方側から前記他方側に揺動することにより、プーリホルダを前記他方側に向けて付勢するアーム部を有していることが望ましい。プーリホルダは、アーム部に対してベース部材側に位置する第1受け部と、アーム部に対してベース部材とは反対側に位置する第2受け部とでアーム部を挟み込んで付勢部材からの付勢力を受けるように構成されていることが望ましい。そして、突出部は、第1受け部から前記一方側に向けて突出していることが望ましい。この構成によれば、第1受け部及び第2受け部により、プーリホルダが付勢部材からの付勢力を確実に受けることができるとともに、付勢部材のアーム部がプーリホルダから外れることを確実に抑制できる。
【0014】
プーリホルダは、アーム部に対して第2受け部側で従動プーリを回転可能に支持していることが望ましい。この構成によれば、タイミングベルトの張力が従動プーリに作用することにより、アーム部周りで、プーリホルダの第2受け部側を走査方向の一方側に接近させるようなモーメントがプーリホルダに作用する。このモーメントは、第1受け部から走査方向の一方側に向けて突出している突出部をベース部材に一層接近させるように作用するので、プーリホルダがベース部材から離脱することを一層確実に抑制できる。
【0015】
ベース部材には、走査方向に延びて、プーリホルダを走査方向に変位可能に支持する支持部が形成されていることが望ましい。そして、走査方向において支持部がプーリホルダを離脱位置に対して前記他方側に最も離れた位置から離脱位置まで支持可能な距離は、走査方向において突出部と当接部とが最も離間する最大離間距離よりも長いことが望ましい。この構成によれば、衝撃等が作用してプーリホルダが走査方向の一方側に変位し、当接部が突出部を走査方向の一方側から当て止めても、支持部がプーリホルダを支持するので、プーリホルダがベース部材から離脱することを一層確実に抑制できる。
【0016】
ベース部材には、キャリッジが走査方向に往復動する範囲に亘って延在する底壁部と、底壁部からキャリッジとは反対側に向けて凹む凹部とが形成されていることが望ましい。プーリホルダ及び付勢部材は、凹部内に配設されていることが望ましい。そして、凹部の周囲を形成している側壁の一部が当接部を構成していることが望ましい。この構成によれば、側壁の一部が当接部を兼ねているので、例えば、ベース部材にリブ形状の当接部を凸設する場合と比較して、ベース部材の形状を簡素化し易い。
【0017】
ベース部材には、走査方向に延びて、プーリホルダを走査方向に変位可能に支持する支持部が形成されていることが望ましい。支持部は、凹部内において当接部及びプーリホルダに対して前記他方側に位置していることが望ましい。そして、プーリホルダは、自己の前記他方側が凹部内に位置する一方、突出部が凹部外に位置するように傾斜する状態から、自己の前記他方側が支持部に装着されることで、突出部が凹部内に収まるように、走査方向の長さが設定されていることが望ましい。この構成によれば、プーリホルダを凹部内に容易に組み付けることができる。
【0018】
ベース部材には、走査方向に延びて、プーリホルダを走査方向に変位可能に支持する支持部と、キャリッジが走査方向に往復動する範囲に亘って延在する底壁部と、底壁部に対してキャリッジとは反対側に凹む凹部とが成形型内への樹脂注入により一体に形成されていることが望ましい。成形型は、支持部を形成するスライドコアを有していることが望ましい。そして、スライドコアは、樹脂注入の後に、前記一方側にスライドして、凹部内に抜けるように構成されていることが望ましい。
【0019】
仮に、スライドコアが樹脂注入の後に、走査方向の他方側にスライドして、ベース部材の外側に抜ける構成を採用する場合、ベース部材にスライドコアの抜き穴が形成されてしまう。この点、この構成によれば、スライドコアが凹部内に抜けるので、ベース部材にスライドコアの抜き穴が形成されない。その結果、ベース部材の外面を意匠面にし易くなる。
【0020】
本発明の画像読取装置は、請求項1乃至のいずれか1項記載の前記走査装置と、
前記キャリッジに搭載され、前記走査方向に移動することにより被読取媒体の画像を読み取る画像読取手段と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明の画像読取装置では、本発明の走査装置により、衝撃等が作用してプーリホルダが走査方向の一方側に変位しても、プーリホルダがベース部材から離脱したり、タイミングベルトが弛んで従動プーリから外れたりすることを抑制できるので、耐久性の向上を実現できる。
【0022】
本発明の画像記録装置は、請求項1乃至のいずれか1項記載の前記走査装置と、
前記キャリッジに搭載され、前記走査方向に移動することにより被記録媒体に画像を記録する画像記録手段と、を備えていることを特徴とする。
【0023】
本発明の画像記録装置では、本発明の走査装置により、衝撃等が作用してプーリホルダが走査方向の一方側に変位しても、プーリホルダがベース部材から離脱したり、タイミングベルトが弛んで従動プーリから外れたりすることを抑制できるので、耐久性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例の走査装置が用いられた画像読取装置の斜視図である。
図2】上記画像読取装置の模式側面図である。
図3】上記画像読取装置に係り、プラテンガラスを取り除いた状態のベース部材及び走査機構等を示す斜視図である。
図4】上記画像読取装置に係り、プラテンガラスを取り除いた状態のベース部材及び走査機構等を示す上面図である。
図5図5の一部を拡大した部分斜視図である。
図6図6に示された各部品を分解した状態を示す部分斜視図である。
図7図4の一部を拡大した部分上面図である。
図8図7のA−A断面を示す部分断面図である。
図9図7のB−B断面を示す部分断面図である。
図10図7のC−C断面を示す部分断面図である。
図11図9と同様の部分断面図であって、当接部が突出部を当て止めた状態を示す図である。
図12図9と同様の部分断面図であって、離脱位置にあるプーリホルダを示す図である。
図13】実施例の走査装置が用いられた画像記録装置の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。画像読取装置1には、図2図4に示すように、実施例の走査装置2が用いられている。走査装置2は、本発明の走査装置の具体的態様の一例である。図1では、操作パネル5が設けられた側を装置の前側と規定し、操作パネル5に向かった場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1の概略構成について説明した後、走査装置2について詳しく説明する。
【0027】
<概略構成>
図1及び図2に示すように、画像読取装置1は、本体部8と開閉部9とを備えている。本体部8は、扁平な略箱状体であり、上方に画像読取ユニットR、下方に画像記録ユニットFが収容されている。走査装置2は、画像読取ユニットRに搭載されている。本体部8の前側には、図1に示す操作パネル5が設けられている。本体部8の上面には、図示しないプラテンガラスが配設され、そのプラテンガラスの上面が図2に示す載置面8Aとされている。載置面8Aには、原稿を静止させた状態で読み取る際に、原稿が載置される。原稿は、用紙やOHPシート等の枚葉体である。原稿は、本発明の「被読取媒体」の一例である。
【0028】
図1に示すように、開閉部9は、本体部8の後面側上端縁に配設された図示しないヒンジにより、左右方向に延びる開閉軸心X9周りに揺動可能に本体部8に支持されている。開閉部9は、図1に実線で示すように、閉じた状態では載置面8Aを上方から覆っている。その一方、開閉部9は、図1に二点鎖線で示すように、その前側が上方かつ後方に変位するように開閉軸心X9周りに揺動することにより、載置面8Aの上方を開放する。これにより、ユーザは読取対象の原稿を載置面8Aに載置することができる。
【0029】
図1及び図2に示すように、開閉部9の上側には、原稿台9Aが開閉可能に設けられている。また、開閉部9内には、図2に示すように、自動原稿搬送機構4が配設されている。自動原稿搬送機構4は周知のものであるので説明は簡略するが、開いた状態の原稿台9Aに載置される複数枚の原稿を1枚ずつ分離し、搬送経路P1に沿って順次搬送する。
【0030】
画像読取ユニットR内には、読取部3が設けられている。読取部3は、本発明の「画像読取手段」の一例である。読取部3としては、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサが採用される。
【0031】
より詳しくは、画像読取ユニットRは、図3及び図4に示すように、ベース部材10と、ベース部材10によって自己の周縁が下側から保持される図示しないプラテンガラスと、そのプラテンガラスの周縁に上方から当接しつつ、ベース部材10に組み付けられる図示しない枠体とにより構成されている。ベース部材10内には、キャリッジ20と、走査機構30とが配設されている。
【0032】
走査機構30は、走査装置2の主要部であり、ベース部材10内においてキャリッジ20を左右方向に往復動させる。左右方向は、本発明の「走査方向」の一例である。
【0033】
読取部3は、キャリッジ20に搭載されている。読取部3は、キャリッジ20の往復動に伴って、キャリッジ20とともに左右方向に移動する。
【0034】
この画像読取装置1では、載置面8Aに載置された原稿を読み取る場合、図2に示すように、走査機構30が作動し、キャリッジ20に搭載された読取部3を画像読取ユニットR内における左端側から右端側に移動させる。これにより、読取部3は、載置面8Aに載置された原稿の画像を読み取る。その後、走査機構30は、読み取りを終えた読取部3を画像読取ユニットR内における右端側から左端側に移動させ、元の位置に復帰させる。
【0035】
また、この画像読取装置1では、原稿台9Aに載置される複数枚の原稿の画像を読み取る場合、図2及び図4に示すように、走査機構30が作動し、キャリッジ20に搭載された読取部3を画像読取ユニットR内における左端側の位置である固定位置に移動させる。そして、自動原稿搬送機構4が原稿台9Aに載置される原稿を搬送経路P1に沿って順次搬送すると、その原稿が固定位置にある読取部3の上側を通過するので、読取部3は、その通過する原稿の画像を読み取る。
【0036】
こうして、この画像読取装置1では、載置面8A又は原稿台9Aに載置された原稿の画像を読み取ることができる。次に、このような画像読取装置1の画像読取動作を実現する実施例の走査装置2について、詳しく説明する。
【0037】
<走査装置の詳細>
実施例の走査装置2は、ベース部材10と、キャリッジ20と、走査機構30とを備えている。
【0038】
図3及び図4に示すように、ベース部材10は、熱可塑性樹脂の射出成形品である。ベース部材10には、底壁部11、周壁12A、12B、12L、12R及び凹部13等が形成されている。
【0039】
底壁部11は、キャリッジ20の下側で、略平板形状をなして水平に延在している。周壁12A、12B、12L、12Rはそれぞれ、底壁部11の前後左右の端縁から上方に向けて突出して底壁部11を囲っている。
【0040】
底壁部11には、金属丸棒であるガイドシャフト29が配設されている。ガイドシャフト29は、底壁部11における前後方向の略中央に位置して、左右方向に延びている。ガイドシャフト29の左端は、左側の周壁12Lの下部に固定されている。ガイドシャフト29の右端は、右側の周壁12Rの下部に固定されている。
【0041】
図3図10に示すように、凹部13は、底壁部11からキャリッジ20とは反対側、すなわち下方に向けて凹んでいる。凹部13は、右側の周壁12Rに隣接し、かつ、ガイドシャフト29の右端に対して、後側に位置している。
【0042】
図6図10に示すように、凹部13には、支持部17と、収容部13Bと、バネ保持部18Aと、バネ係止部18Bとが形成されている。
【0043】
支持部17は、ガイド溝17Cと、一対の押さえ片17A、17Bとを有している。ガイド溝17Cは、右側の周壁12Rからガイドシャフト29に沿って左側に向けて延びている。ガイド溝17Cは、底壁部11に対して浅い溝状に凹んでいる。一対の押さえ片17A、17Bは、ガイド溝17Cの上方において、左右方向に延びている。また、押さえ片17Aと押さえ片17Bは、前後方向において隙間を有しつつ互いに対向している。
【0044】
凹部13は、ガイド溝17Cより左側に収容部13Bを有している。収容部13Bは、ガイド溝17Cより深く凹んでいるとともに、後方に向かって延びている。平面視した場合、収容部13Bは、略矩形状とされている。バネ保持部18Aは、収容部13Bの底面の略中央に形成されている。バネ保持部18Aは、収容部13Bの底面から上側に向けて円柱状に突出している。バネ保持部18Aは、上下方向に延びる付勢軸心X40を規定している。バネ係止部18Bは、収容部13Bの後側かつ右側の角部に形成されている。バネ係止部18Bは、左側に向けて突出する小片である。
【0045】
収容部13Bの周囲を形成している側壁13Aのうち、支持部17に対して左側から対向する側壁は、当接部15とされている。
【0046】
支持部17、底壁部11及び凹部13等は、ベース部材10の射出成形工程において、図示しない成形型内への樹脂注入により、ベース部材10に一体に形成されている。成形型は、図6に示すように、支持部17のガイド溝17C及び押さえ片17A、17Bを形成するスライドコア90を有している。スライドコア90は、樹脂注入の後に、二点鎖線矢印S1で示すように、左側にスライドして、収容部13B内に抜けるように構成されている。
【0047】
図3及び図4に示すように、キャリッジ20は、前後方向に細長い樹脂製部材であり、前後の周壁12A、12Bの近傍まで延びている。キャリッジ20は、ガイドシャフト29に案内されることにより、底壁部11の上側で、左側の周壁12Lの近傍から右側の周壁12Rの近傍まで左右方向に往復動可能となっている。換言すると、底壁部11は、キャリッジ20が走査方向に往復動する範囲に亘って延在している。
【0048】
キャリッジ20に搭載された読取部3は、走査方向に直交する副走査方向、すなわち、前後方向において、載置面8Aに載置される原稿(本装置が読取可能とする最大サイズの原稿)の前後幅を越える程度の長さを有している。
【0049】
走査機構30は、ベース部材10内にそれぞれ配設された駆動源30Mと、駆動プーリ31と、従動プーリ32と、タイミングベルト33と、プーリホルダ50と、捩じりコイルバネ40とを有している。捩じりコイルバネ40は、本発明の「付勢部材」の一例である。
【0050】
駆動源30Mは、電動モータと、その電動モータに噛み合う複数個のギヤ群とからなる。駆動源30Mは、左側の周壁12Lに隣接し、かつ、ガイドシャフト29の左端の近傍に位置している。駆動源30Mは、図示しない制御部に制御されて回転する。
【0051】
図4に破線で示すように、駆動プーリ31は、駆動源30Mのギヤ群のうち、電動モータから最も離れたギヤに一体成形されている。駆動プーリ31は、左側の周壁12Lに隣接し、かつ、ガイドシャフト29の左端に対して、後側に位置している。駆動プーリ31は、上下方向に延びる軸心周りに回転可能となっている。駆動プーリ31が隣接する左側の周壁12L側は、本発明の「ベース部材における走査方向の一方側」の一例である。
【0052】
図示しない制御部に制御されて、駆動源30Mの電動モータが回転すると、駆動プーリ31が回転駆動される。制御部が電動モータの回転方向を切り替えることにより、駆動プーリ31は、正回転又は逆回転する。駆動プーリ31について、図4の紙面に向かって反時計方向の回転を正回転とし、時計方向の回転を逆回転とする。
【0053】
図3図10に示すように、従動プーリ32は、右側の周壁12Rに隣接し、かつ、ガイドシャフト29の右端に対して、後側に位置している。従動プーリ32は、上下方向に延びる軸心周りに回転可能にプーリホルダ50に支持されている。従動プーリ32が隣接する右側の周壁12R側は、本発明の「ベース部材における走査方向の他方側」の一例である。
【0054】
タイミングベルト33は、駆動プーリ31と従動プーリ32とに巻き掛けられた無端ベルトである。図4に示すように、タイミングベルト33におけるガイドシャフト29に沿いながら左右方向に延びる部分は、連結部33Aによってキャリッジ20と連結されている。
【0055】
駆動プーリ31が正回転すると、タイミングベルト33の連結部33Aが左側から右側に移動し、キャリッジ20も左側から右側に移動する。その一方、駆動プーリ31が逆回転すると、連結部33Aが右側から左側に移動し、キャリッジ20も右側から左側に移動する。こうして、キャリッジ20は、駆動プーリ31の正回転及び逆回転により、左右方向に往復動可能となっている。
【0056】
図3図10に示すように、プーリホルダ50は、熱可塑性樹脂の射出成形品である。プーリホルダ50は、凹部13内に収容されている。プーリホルダ50には、軸受部59A、59Bと、被支持部58A、58Bと、第1受け部51と、第2受け部52と、突出部55とが形成されている。
【0057】
図6及び図8等に示すように、従動プーリ32には、上下方向に突出する上下一対の軸部32A、32Bが形成されている。下側の軸部32Aは、図8のみに図示している。軸受部59Aは、プーリホルダ50の下側に形成された矩形板状部に軸穴が形成されてなる。軸受部59Bは、軸受部59Aの左端縁から上側に向けて屈曲した後、右側に向けて屈曲する板状部に軸穴が形成されてなる。図8に示すように、軸受部59Aに従動プーリ32の下側の軸部32Aが挿通され、軸受部59Bに従動プーリ32の上側の軸部32Bが挿通されることにより、プーリホルダ50が従動プーリ32を回転可能に支持している。
【0058】
図7図9及び図10に示すように、被支持部58A、58Bは、軸受部59Aの前後の端縁から互いに離間する方向にリブ状に突出している。軸受部59Aが凹部13のガイド溝17Cに対して上方から当接し、かつ、被支持部58Aと被支持部58Bとがそれぞれ、押さえ片17Aと押さえ片17Bとに上方から押さえられることにより、プーリホルダ50は、上下方向において位置決めされ、かつ左右方向に変位可能にベース部材10に支持されている。
【0059】
図6及び図8等に示すように、第1受け部51は、プーリホルダ50における軸受部59Aより下側から左側に向けて突出している。第2受け部52は、プーリホルダ50における軸受部59Aより上側から左側に向けて突出している。つまり、プーリホルダ50の上下方向における第1受け部51と第2受け部52との間は、右側に向かって凹んでいる。
【0060】
突出部55は、第1受け部51の左端縁から、収容部13Bの底面に沿うように、左側に向けてテーパ状に突出している。
【0061】
プーリホルダ50が左側に変位して図11に示す位置に到達すると、当接部15が突出部55を左側から当て止めることより、プーリホルダ50の左側への変位が規制される。ここで、図12に示すように、被支持部58A、58Bの右端縁の下側には、上方に向けて凹む逃げ部58Cが形成されている。突出部55の左端側を若干撓ませながら上方に持ち上げつつ、突出部55を左側に引くと、プーリホルダ50も左側が持ち上げられて傾斜する。この際、逃げ部58Cにより、プーリホルダ50がある程度大きな角度で傾斜するので、突出部55が収容部13Bの上側まで変位する。これにより、プーリホルダ50をさらに左側に変位させることができる。そうすると、被支持部58Aと被支持部58Bとがそれぞれ、押さえ片17Aと押さえ片17Bとに上方から押さえられなくなるので、プーリホルダ50がベース部材10から離脱する。図12に示すプーリホルダ50の位置を離脱位置とする。すなわち、プーリホルダ50は、左側に変位して離脱位置に到達すればベース部材10から離脱するように構成されている。
【0062】
逆に、プーリホルダ50の右側を凹部13内に位置させ、突出部55が凹部13外に位置するように傾斜する状態とし、被支持部58Aと被支持部58Bとをそれぞれ、押さえ片17Aと押さえ片17Bとに対して下側に位置させて、プーリホルダ50を離脱位置から右側に変位させる。こうすることにより、プーリホルダ50が支持部17に装着される。
【0063】
ここで、図9に示すプーリホルダ50の左右方向の長さL50は、図12に示すように、プーリホルダ50の右側が凹部13内に位置する一方、突出部55が凹部13外に位置するように傾斜する状態から、プーリホルダ50の右側が支持部17に装着されることで、突出部55が凹部13内に収まる長さとなるように設定されている。
【0064】
図9は、左右方向において支持部17がプーリホルダ50を離脱位置に対して最も右側に離れた位置で支持する状態を示している。この場合、タイミングベルト33は弛みなく緊張している。支持部17がプーリホルダ50を支持可能な距離L1は、図9に示すように、被支持部58A、58Bを押さえること可能な押さえ片17A、17Bの左右方向の長さとほぼ等しい。距離L1は、左右方向において突出部55と当接部15とが最も離間する最大離間距離L2よりも長い。距離L1と最大離間距離L2とをこのような長さ関係とすることにより、突出部55が当接部15に当接する位置までプーリホルダ50が変位したとしても、押さえ片17A、17Bによる被支持部58A、58Bの支持状態が保たれるため、プーリホルダ50が支持部17から外れることがない。
【0065】
図5図9に示されているように、捩じりコイルバネ40は、ベース部材10とプーリホルダ50との間に設けられている。捩じりコイルバネ40は、凹部13内に配設されている。捩じりコイルバネ40は、コイル部43と、アーム部41と、被係止部42とを有している。コイル部43は、バネ保持部18Aに外挿されて、付勢軸心X40周りに螺旋状に巻かれている。アーム部41は、コイル部43から前側に向けて延びている。第1受け部51は、アーム部41の前端に対してベース部材10側に位置している。第2受け部52は、アーム部41の前端に対してベース部材10とは反対側に位置している。すなわち、アーム部41の前端は、プーリホルダ50の第1受け部51と第2受け部52とで上下から挟み込まれている。被係止部42は、コイル部43から後側に向けて延びている。被係止部42の後端は、バネ係止部18Bに係止されている。このような構成である捩じりコイルバネ40では、アーム部41が付勢軸心X40周りに左側から右側に揺動することにより、プーリホルダ50を右側に向けて付勢している。
【0066】
図8に示すように、プーリホルダ50は、アーム部41に対して第2受け部52側、すなわち上側で従動プーリ32を回転可能に支持している。タイミングベルト33の張力T1が従動プーリ32に作用することにより、アーム部41周りで、プーリホルダ50の第2受け部52側を左側に接近させるようなモーメントがプーリホルダ50に作用する。
【0067】
プーリホルダ50とベース部材10との間には、規制手段35が設けられている。規制手段35は、プーリホルダ50に形成された突出部55と、ベース部材10の凹部13を囲む側壁の一部である当接部15とを有して構成されている。
【0068】
<作用効果>
実施例の走査装置2では、ベース部材10とプーリホルダ50との間に設けられた規制手段35は、図8及び図9等に示すように、突出部55が当接部15に対して右側に離間することにより、プーリホルダ50が右側に変位することを許容する。その一方、規制手段35は、図11に示すように、当接部15が突出部55を左側から当て止めることにより、プーリホルダ50が図12に示す離脱位置に到達することを直に規制する。このため、この走査装置2では、リブがプーリホルダ50を間接的に規制する上記従来の走査装置と比較して、突出部55及び当接部15がプーリホルダ50を規制した後、プーリホルダ50がさらに左側に変位し難い。その結果、この走査装置2では、プーリホルダ50の離脱位置への到達を確実に規制できる。
【0069】
したがって、実施例の走査装置2では、画像読取装置1の落下や、画像読取装置1に対する障害物の衝突によって、走査装置2に衝撃等が作用し、その衝撃によりキャリッジ20及び読取部3に慣性力が作用し、タイミングベルト33に引っ張れてプーリホルダ50が左側に変位しても、プーリホルダ50がベース部材10から離脱したり、タイミングベルト33が弛んで従動プーリ32から外れたりすることを抑制できる。これにより、画像読取装置1について、耐久性の向上を実現できる。
【0070】
また、仮に、ベース部材10に突出部が設けられている場合、プーリホルダ50より先にベース部材10に組み付けられる部材に突出部が干渉し易くなり、突出部が組み付け作業の妨げになるおそれがある。この点、この走査装置2では、プーリホルダ50に突出部55が設けられていることで、プーリホルダ50より先にベース部材10に組み付けられる部材に突出部55が干渉しないので、突出部55が組み付け作業の妨げにならない。
【0071】
さらに、この走査装置2では、プーリホルダ50は、第1受け部51と第2受け部52とでアーム部41を上下から挟み込んで捩じりコイルバネ40からの付勢力を受ける。突出部55は、第1受け部51から収容部13Bの底面に沿って左側に向けて突出している。プーリホルダ50は、アーム部41に対して第2受け部52側で従動プーリ32を回転可能に支持している。これらにより、この走査装置2では、第1受け部51及び第2受け部52により、プーリホルダ50が捩じりコイルバネ40からの付勢力を確実に受けることができるとともに、捩じりコイルバネ40のアーム部41がプーリホルダ50から外れることを確実に抑制できる。また、図8に示すように、タイミングベルト33の張力T1によりモーメントM1がプーリホルダ50に作用し、このモーメントM1が突出部55を収容部13Bの底面に一層接近させるように作用するので、プーリホルダ50がベース部材10から離脱することを一層確実に抑制できる。
【0072】
また、この走査装置2では、図9に示すように左右方向において支持部17がプーリホルダ50を離脱位置に対して右側に最も離れた位置から、図12に示す離脱位置まで支持可能な距離L1は、左右方向において突出部55と当接部15とが最も離間する最大離間距離L2よりも長い。これにより、この走査装置2では、衝撃等が作用してプーリホルダ50が左側に変位し、当接部15が突出部55を左側から当て止めても、支持部17がプーリホルダ50を支持するので、プーリホルダ50がベース部材10から離脱することを一層確実に抑制できる。
【0073】
さらに、この走査装置2では、プーリホルダ50及び捩じりコイルバネ40が凹部13内に配設され、凹部13の周囲を形成している側壁13Aの一部が当接部15を兼ねているので、例えば、ベース部材10にリブ形状の当接部を凸設する場合と比較して、ベース部材10の形状を簡素化し易い。
【0074】
また、この走査装置2では、ベース部材10において、支持部17は、凹部13内において当接部15及びプーリホルダ50に対して右側に位置している。そして、プーリホルダ50は、自己の右側が凹部13内に位置する一方、突出55部が凹部13外に位置するように傾斜する状態から、自己の右側が支持部17に装着されることで、突出部55が凹部13内に収まるように、左右方向の長さL50が設定されている。この構成によれば、プーリホルダ50を凹部13内に容易に組み付けることができる。
【0075】
また、仮に、スライドコア90が樹脂注入の後に、右側にスライドして、ベース部材10の外側に抜ける構成が採用される場合、ベース部材10の右側の周壁12Rにスライドコア90の抜き穴が形成されてしまう。この点、この走査装置2では、スライドコア90が収容部13B内に抜けるので、ベース部材10の右側の周壁12Rにスライドコア90の抜き穴が形成されない。その結果、ベース部材10の右側の外面を意匠面にし易くなるので、ベース部材10の右側の外面を覆う意匠カバーを省略でき、ひいては、製造コストの低廉化を実現できる。
【0076】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0077】
本発明の走査装置は、画像記録ユニットFにも用いられ得る。図13に、実施例の走査装置2と同様の走査装置が画像記録ユニットFに用いられた変形例を示す。変形例の画像記録ユニットFは、本発明の画像記録装置の具体的態様の一例である。
【0078】
(変形例)
変形例では、画像記録ユニットFは、インクジェットプリンタである。画像記録ユニットFは、被記録媒体としてのシートSHを搬送させながらインク液滴を吐出することによりシートSHにカラー画像を形成する、いわゆるシリアル型のものである。
【0079】
画像記録ユニットFに用いられる走査装置は、ベース部材110と、キャリッジ120と、走査機構130とを備えている。
【0080】
ベース部材110は、一枚の金属板を所定形状に打ち抜きした後、上向き開放の箱状に折曲して形成されたものである。ベース部材110には、走査機構130が組み付けられている。
【0081】
キャリッジ120は、実施例の走査装置2における読取部3の代わりに、記録ヘッド103を搭載している。キャリッジ120のその他の構成は、実施例のキャリッジ20と同様であるので、図示は簡略する。
【0082】
走査機構130は、駆動源130Mと、駆動プーリ131と、従動プーリ132と、タイミングベルト133と、プーリホルダ150と、捩じりコイルバネ140とを有している。駆動源130M、駆動プーリ131、従動プーリ132、タイミングベルト133、プーリホルダ150及び捩じりコイルバネ140は、実施例の駆動源30M、駆動プーリ31、従動プーリ32、タイミングベルト33、プーリホルダ50及び捩じりコイルバネ40と同様であるので、図示は簡略する。走査機構130は、実施例の走査機構30と同様、タイミングベルト133がキャリッジ120に連結されており、駆動源130Mに駆動されて駆動プーリ131が正回転又は逆回転することにより、キャリッジ120を走査方向に往復動させる。
【0083】
プーリホルダ150とベース部材110との間には、規制手段135が設けられている。規制手段135も、実施例の走査装置2における規制手段35と同様であるので、図示は簡略する。規制手段135は、実施例の規制手段35と同様の作用効果を奏する。
【0084】
ベース部材110の上側には、キャリッジ120を支持するための第1ガイド部材111及び第2ガイド部材112が、キャリッジ120とともに往復動する記録ヘッド103の入り込むスペースを確保しつつ取り付けられている。これら各ガイド部材111、112は、ベース部材110を構成する部材の一部である。
【0085】
また、ベース部材110における上記各ガイド部材111、112には、それぞれガイドレール113、114が配置されている。これらガイドレール113、114は、シートSHの搬送方向に所定距離隔てられて対向しており、かつ走査方向に延設されている。キャリッジ120は、全体としては各ガイド部材111、112に支持されつつ、これらガイド部材111、112上でガイドレール113、114を跨ぐように載置されている。これにより、キャリッジ120は、各ガイドレール113、114に沿って走査方向に摺動可能となっている。
【0086】
記録ヘッド103は、ピエゾ素子への電圧印加を制御することによりインク流路に圧力を加えてノズルからインク液滴を吐出させる、いわゆるピエゾ方式のものである。本変形例では、記録ヘッド103とは別に配置された図示しないインクカートリッジから、チューブを通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。これら各色インクが、キャリッジ120が往復動する間に記録ヘッド103から微小なインク液滴として選択的に吐出されることにより、シートSHへの画像形成が行われる。
【0087】
このような構成である変形例の画像記録ユニットFでは、規制手段135が実施例の規制手段35と同様の作用効果を奏する。これにより、この画像記録ユニットFでは、衝撃等が作用しても、プーリホルダ150がベース部材110から離脱したり、タイミングベルト133が弛んで従動プーリ132から外れたりすることを抑制できるので、耐久性の向上を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、画像読取装置、画像記録装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1…画像読取装置、2…走査装置、3…画像読取手段(読取部)
10…ベース部材、20…キャリッジ、30…走査機構
31…駆動プーリ、32…従動プーリ、33…タイミングベルト
50…プーリホルダ、51…第1受け部、52…第2受け部
40…付勢部材(捩じりコイルバネ)、41…アーム部、X40…付勢軸心
35…規制手段、55…突出部、15…当接部
11…底壁部、13…凹部、17…支持部
L1…走査方向において支持部がプーリホルダを離脱位置に対して走査方向の他方側に最も離れた位置から離脱位置まで支持可能な距離
L2…走査方向において突出部と当接部とが最も離間する最大離間距離
13A…凹部の周囲を形成している側壁
L50…プーリホルダの走査方向の長さ
90…スライドコア
F…画像記録ユニット
R…画像読取ユニット
103…画像記録手段(記録ヘッド)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13