(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プリント基板(16)の貫通孔(30)に挿入されるとともにはんだ(34)を介して前記プリント基板に接続され、コネクタ(20)を前記プリント基板に保持する保持部材であって、
前記プリント基板の一面(16a)及び該一面と反対の裏面(16b)のうち、前記一面上に配置され、前記コネクタに固定される基部(40)と、
前記基部から前記貫通孔に向けて延設された少なくとも1本の脚部(42)と、を備え、
1つの前記貫通孔に対して、1本の前記脚部が挿入され、
前記脚部として、前記はんだを介して前記プリント基板に接続されるとともに、その先端が前記裏面(16b)側に突出する第1脚部(44)を少なくとも1本有し、
前記第1脚部は、前記貫通孔に挿入される挿入部(46)と、該挿入部と前記基部を繋ぐ繋ぎ部(48)と、を有し、前記脚部が延設された延設方向において、前記一面と同一位置とされる第1端部(46a)から先端側の部分が、前記挿入部とされ、
前記挿入部において、前記第1端部の断面積をS1b、前記裏面と同一位置とされる第2端部(46b)の断面積をS1s、前記繋ぎ部において、断面積の最小値をS2s、前記基部の板厚方向及び前記延設方向の両方向に直交する幅方向の長さを幅とし、前記挿入部において、前記延設方向における任意の第1位置の幅をW1u、前記第1位置よりも前記基部に対して遠い任意の第2位置の幅をW1d、前記第1端部の幅をW1b、前記第2端部の幅をW1sとし、前記繋ぎ部において幅の最小値をW2sとすると、
S1b>S1s、S2s>S1s、W1u=W1d、W1b=W1s、及びW2s=W1b、を満たすように、前記第1脚部が形成されており、
前記第1脚部(44)は、前記板厚方向に段差を有しつつ前記延設方向に沿って設けられ、一部が前記貫通孔内に配置される段差部(54)を備え、
前記段差部は、前記第1端部と前記第2端部との間の所定位置から、前記繋ぎ部のうち、前記はんだにて被覆されない位置まで設けられており
前記貫通孔内において、前記第1脚部における前記段差部が設けられた部分が前記貫通孔の壁面に非接触とされ、且つ、前記第1脚部における前記段差部が設けられた部分の周囲に前記はんだが配置されていることを特徴とする保持部材。
前記第1端部(46a)の断面積S1bと前記繋ぎ部(48)における断面積の最小値S2sとが、S2s≧S1b、を満たすように、前記第1脚部(44)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保持部材。
前記挿入部(46)において、前記第1位置の断面積をS1u、前記第2位置の断面積をS1dとすると、S1u≧S1d、を満たすように、前記第1脚部(44)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の保持部材。
前記繋ぎ部(48)において幅の最大値をW2bとすると、前記最大値W2bと前記第1端部(46a)の幅W1bとが、W2b>W1b、を満たすように、前記第1脚部(44)が形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の保持部材。
前記脚部(42)として、前記第1脚部(44)とは別の貫通孔(30)に挿入され、前記プリント基板(16)に係止する係止部(58)を備えた第2脚部(56)を少なくとも1本有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の保持部材。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、基部に対する脚部の延設方向、換言すればプリント基板の厚み方向を、以下単に延設方向と示す。また、基部の板厚方向、換言すればコネクタにおける端子の配列方向を、以下単に板厚方向と示す。また、延設方向及び板厚方向の両方向に直交する方向を、以下単に幅方向と示す。板厚方向と幅方向は、ともにプリント基板の一面に対して平行となっている。
【0026】
(第1実施形態)
先ず、
図1を用いて、本実施形態に係る保持部材、コネクタを備えた電子制御装置の概略構成について説明する。
図1では、便宜上、筐体を分解した状態を図示している。
【0027】
図1に示す電子制御装置10は、非防水構造の電子制御装置として構成されており、例えば車両のエンジンECU(Electric Control Unit)として用いられる。電子制御装置10は、要部として、筐体12と、筐体12内に収容される回路基板14と、を備えている。
【0028】
筐体12は、アルミニウム、鉄等の金属材料や樹脂材料からなり、その内部に回路基板14を収容して、これを保護するものである。筐体12の構成部材の個数は特に限定されるものではなく、1つの部材から構成されても良いし、複数の部材から構成されても良い。
【0029】
本実施形態の筐体12は、
図1に示すように、延設方向において2分割され、一面が開口された底の浅い箱状のケース12aと、ケース12aの開口部位を閉塞するカバー12bとの2つの部材を有している。そして、ケース12aとカバー12bとが、例えばねじにより組み付けられると、回路基板14を収容する内部空間を備えた筐体12となる。
【0030】
回路基板14は、プリント基板16に、マイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子部品18が実装されて、回路が構成されたものである。電子部品18は、プリント基板16の一面16a及び該一面16aと反対の裏面16bのうち、少なくとも一方に配置される。本実施形態では、プリント基板16の両面16a,16bに電子部品18が実装されている。
【0031】
また、プリント基板16には、上記した電子部品18以外にも、回路基板14に構成された回路と、外部機器などとを電気的に中継するコネクタ20が実装されている。このコネクタ20は、導電材料からなる端子22と、樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成され、該端子22を保持するハウジング24と、を有している。
【0032】
本実施形態では、端子22が、プリント基板16に形成された図示しない貫通孔に挿入され、貫通孔壁面及び開口縁部に形成されたランドと、はんだを介して電気的に接続されている。また、端子22は挿入実装構造であるが、リフローはんだ付けされる。なお、表面実装構造の端子22も採用することができる。
【0033】
また、コネクタ20は、保持部材26を備えている。本実施形態では、
図2に示すように、板厚方向において間に複数の端子22を挟むように、ハウジング24の両方の端部24a付近に、保持部材26がそれぞれ固定されている。
【0034】
次に、
図3〜
図5を用いて、本実施形態の特徴部分である保持部材26について説明する。なお、
図3では、便宜上、ダミーランドを省略して図示している。
【0035】
保持部材26は、
図3に示すように、プリント基板16の対応する貫通孔30に挿入されてリフローはんだ付けされ、コネクタ20をプリント基板16に保持するものである。プリント基板16の貫通孔30の壁面及び開口縁部には、
図5に示すように、電気的な接続機能を提供しないダミーランド32が形成されている。本実施形態では、コネクタ20の端子22に対応するランド同様、銅メッキによりダミーランド32が形成されている。そして、保持部材26の一部が貫通孔30に挿入された状態で、はんだ34により、ダミーランド32と機械的に接続されている。
【0036】
この保持部材26は、
図4に示すように、所定の厚さを有する金属板を加工することで形成されており、基部40と、基部40から延設された少なくとも1本の脚部42と、を有している。
【0037】
基部40は、保持部材26におけるハウジング24への固定部分であり、プリント基板16の一面16a上に配置される。本実施形態では、基部40が平板状となっており、幅方向及び延設方向に沿う平面形状が略矩形とされた矩形部40aと、矩形部40aから幅方向に延設された二股部40bと、を有している。そして、ハウジング24の前面24b側に開口する溝部24cに対し、二股部40bを先頭にして基部40が挿入され、ハウジング24に固定されている。
【0038】
脚部42は、基部40における矩形部40aから貫通孔30に向けて、すなわち延設方向に延びて、形成されている。脚部42は、少なくとも第1脚部44を1本含んでいる。
【0039】
第1脚部44は、貫通孔30を挿通し、その一部が裏面16b側に突出するように設けられており、貫通孔30に挿入される挿入部46と、該挿入部46と基部40を繋ぐ繋ぎ部48と、を有している。挿入部46は、対応するダミーランド32にはんだ付けされた状態で、延設方向において一面16aと同一位置とされる第1端部46aから先端側の部分である。
【0040】
また、挿入部46は、
図3〜
図5に示すように、第1端部46aから裏面16bと同一位置とされる第2端部46bまでの部分、すなわち貫通孔30内に配置される部分と、裏面16b側に突出する突出部46cと、を有している。なお、本実施形態では、第1脚部44も平板状となっている。すなわち、保持部材26全体が、折曲箇所を有さない平板状となっている。
【0041】
ここで、挿入部46において、第1端部46aの断面積をS1bとし、第2端部46bにおける断面積をS1sとする。また、繋ぎ部48において、断面積の最小値をS2sとする。すると、第1脚部44は、少なくとも、S1b>S1s、及び、S2s>S1s、を満たすように形成されている。
【0042】
さらに本実施形態では、延設方向における任意の第1位置の断面積をS1u、第1位置よりも基部40に対して遠い任意の第2位置の断面積をS1dとすると、S1u≧S1d、も満たすように、第1脚部44が形成されている。すなわち、挿入部46のうち、貫通孔30内に配置される部分の断面積は、第1端部46aの断面積S1bが最大、第2端部46bの断面積S1sが最小となるように、第1脚部44が形成されている。また、S2s≧S1b、を満たすように、第1脚部44が形成されている。
【0043】
ここで、本実施形態では、第1脚部44が平板状となっており、板厚は一定とされ、板厚方向に段差も有していない。そこで、
図5に示すように、挿入部46において、上記した第1位置の幅をW1u、上記した第2位置の幅をW1d、第1端部46aの幅をW1b、第2端部46bの幅をW1sとする。また、繋ぎ部48において、幅の最小値をW2sとする。
【0044】
すると、第1脚部44は、上記した断面積の関係を満たすべく、幅について、W1u≧W1d、W1b>W1s、及びW2s≧W1b、を満たすように形成されている。また、貫通孔30の孔径は、第1端部46aの幅W1bよりも大きくされている。なお、便宜上、
図5において、幅の表記のあとに、対応する断面積を括弧書きで示している。
【0045】
具体的には、第1脚部44が延設方向に沿って一直線状に延びている。そして、繋ぎ部48における基部40との連結端から、貫通孔30の途中の部分まで、一定幅とされている。すなわち、繋ぎ部48の幅W2は、その全長で一定とされており、この幅W2がW2sとなっている。また、第1端部46aの幅W1bは、幅W2sと等しくなっている。
【0046】
また、挿入部46は、幅W1b(=W2s)の部分よりも先端の部分の幅が、幅W1bよりも狭い一定幅となっている。このため、貫通孔30内に配置される部分で、第1端部46aの幅W1bが最大の幅、第2端部46bの幅W1sが最小の幅となっている。すなわち、貫通孔30内に配置される部分で、第1端部46aの断面積S1bが最大の断面積、第2端部46bの断面積S1sが最小の断面積となっている。このように、挿入部46の幅は、貫通孔30内において2段階に変化しており、これにより、挿入部46は、幅方向及び板厚方向により規定される平面に平行な肩部50を有している。本実施形態では、挿入部46が、幅方向の両端側に肩部50を有し、肩部50に挟まれた中央部分から、裏面16b側に一定幅で延設されている。
【0047】
このような保持部材26に対し、はんだ34は、貫通孔30内に配置され、挿入部46のうち、第1端部46aから第2端部46bまでの部分、すなわち貫通孔30内に配置される部分、に接続されている。また、はんだ34は、プリント基板16の一面16a側にフィレットを有し、
図5に示すように、繋ぎ部48における第1端部46aとの連結端から一部分にも接続されている。また、はんだ34は、裏面16b側にもフィレットを有し、
図5に示すように、挿入部46における突出部46cの一部にも接続されている。
【0048】
次に、上記した保持部材26の固定方法、換言すれば回路基板14の形成方法、について簡単に説明する。
【0049】
先ず、金属板を打ち抜いて、所定形状の保持部材26を準備する。そして、別途準備したコネクタ20のハウジング24に保持部材26を固定する。
【0050】
次いで、後にはんだ34となるはんだペーストを、一面16a側から貫通孔30を含むダミーランド32上に、スクリーン印刷によって塗布する。このスクリーン印刷では、保持部材26に対応する貫通孔30(ダミーランド32)だけでなく、コネクタ20の端子22に対応する貫通孔(ランド)や、その他の電子部品18のランドにも、はんだペーストを塗布する。このように、保持部材26、コネクタ20、及び電子部品18について、一括でスクリーン印刷を実施する。
【0051】
次いで、保持部材26の第1脚部44を、はんだペーストを裏面16b側に押し込みながら、貫通孔30に挿入する。このとき、コネクタ20の端子22についても、対応する貫通孔に挿入する。また、電子部品18を、対応するランドのはんだペースト上に配置する。
【0052】
そして、保持部材26、コネクタ20、及び電子部品18について、一括でリフローを実施する。これにより、保持部材26がプリント基板16に固定される。また、コネクタ20の端子22が対応するランドに電気的に接続され、電子部品18も対応するランドに電気的に接続される。以上により、回路基板14を得ることができる。
【0053】
次に、本実施形態に係る保持部材26及びコネクタ20の特徴部分の作用効果について説明する。
【0054】
本実施形態では、1つの貫通孔30に1本の脚部42のみが配置される。したがって、第1脚部44が挿入される貫通孔30の孔径を小さくすることができる。これにより、貫通孔30の孔径と、他の部品の端子が挿入される貫通孔の孔径との差を小さくすることができる。具体的には、コネクタ20の端子22が挿入される貫通孔の孔径と、貫通孔30の孔径との差を小さくすることができる。例えば端子22の径0.5mm、端子22に対応する貫通孔の孔径0.9mmに対し、上記した第2端部46bの幅W1sを0.5mm、第1端部46aの幅W1bを1.1mm程度、貫通孔30の孔径を1.2mm〜1.4mm程度とすることができる。したがって、コネクタ20などの他の部品に対応する貫通孔と貫通孔30に対して、リフロー用のはんだペーストを、一括で塗布することができる。
【0055】
なお、孔径の差が大きい、すなわち貫通孔30の孔径が大きいと、スキージの走行距離が長い分、貫通孔30内により多くのはんだペーストが押し込まれ、貫通孔30からはんだペーストが脱落する虞がある。本実施形態によれば、上記の通り、孔径の差を小さくできるので、貫通孔30からのはんだペーストの脱落を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、貫通孔30の孔径を小さくしつつも、
図5に示すように、第1脚部44の幅が、W1b>W1s、となっており、これにより、第1脚部44の断面積が、S1b>S1s、となっている。したがって、例えば第2端部46bの幅W1sが、第1端部46aの幅W1bと等しい場合に較べて、挿入部46を貫通孔30に挿入する際に、裏面16b側へのはんだペーストの押し出しを抑制することができる。これにより、貫通孔30からのはんだペーストの脱落を抑制し、ひいては保持部材26とプリント基板16(ダミーランド32)とを接続するはんだ量が不足するのを抑制することができる。したがって、例えば第2端部46bの幅W1sが、第1端部46aの幅W1bと等しい場合に較べて、挿入部46を貫通孔30に挿入する際に、裏面16b側へのはんだペーストの押し出しを抑制することができる。これにより、貫通孔30からのはんだペーストの脱落を抑制し、ひいては保持部材26とプリント基板16(ダミーランド32)とを接続するはんだ量が不足するのを抑制することができる。
【0057】
また、S1b>S1s、となっているため、例えば第1端部46aの幅W1bが、第2端部46bの幅W1sと等しい場合に較べて、はんだ34との接触面積を増加させることができる。以上により、S1b>S1s、とすることで、保持部材26に十分なコネクタ保持強度を持たせることができる。
【0058】
特に本実施形態では、挿入部46が、W1u≧W1d、を満たしており、これにより、S1u≧S1d、を満たしている。そして、挿入部46のうち、貫通孔30内に配置される部分の断面積は、第1端部46aの断面積S1bが最大、第2端部46bの断面積S1sが最小となっている。したがって、例えば貫通孔30に配置される部分の断面積が全長においてS1bの場合に較べて、挿入部46を貫通孔30に挿入する際に、裏面16b側へのはんだペーストの押し出しを、より効果的に抑制することができる。また、裏面16b側に突出する突出部46cによるはんだペーストの押し出しも抑制することができる。このように、貫通孔30に配置される部分だけでなく、突出部46cを含めた挿入部46全体で、裏面16b側へのはんだペーストの押し出しを抑制することができる。
【0059】
また、S1u≧S1d、となっているため、例えば貫通孔30に配置される部分の断面積が全長においてW1s、すなわち断面積が全長でS1sの場合に較べて、はんだ34との接触面積を増加させることができる。これにより、保持部材26のコネクタ保持強度を向上することもできる。
【0060】
特に本実施形態では、挿入部46が裏面16b側に突出しており、裏面16b側に突出しない構成に較べて、挿入時にはんだペーストを押し出しやすいが、上記した幅、ひいては断面積の関係を満たすため、はんだペーストの脱落を抑制することができる。なお、脱落しなくとも、第1脚部44の先端付近に多くのはんだペーストが付着し、このはんだペーストが、リフロー後においても、貫通孔30内のはんだペーストと分離することも考えられる。これに対し、本実施形態では、第1脚部44が上記した幅、ひいては断面積の関係を満たすため、裏面16b側へのはんだペーストの押し出しを抑制し、ひいては、分離を抑制することができる。これによってもはんだ量を確保することができる。
【0061】
ところで、保持部材26において、基部40はコネクタ20に固定され、第1脚部44のうち、貫通孔30内に配置される部分及びその近傍部分は、はんだ34に接続される。このため、保持部材26に応力が作用すると、第1脚部44のうち、はんだ接続部分と基部40との間の部分、特に最も幅の狭い部分、に応力が集中する。これに対し、本実施形態では、S2s>S1s、を満たすように、第1脚部44が形成されている。このように、繋ぎ部48は第2端部46bよりも断面積が大きいので、繋ぎ部48におけるはんだ34に被覆されない部分に応力が集中しても、折損が生じるのを抑制することができる。
【0062】
特に本実施形態では、S2s≧S1b、を満たすように、第1脚部44が形成されている。具体的には、W2s=W1b、となっており、これにより、S2s=S1b、となっている。すなわち、繋ぎ部48は第1端部46aと断面積が等しくなっている。したがって、折損が生じるのをより効果的に抑制することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、第1脚部44の裏面16b上への突出高さが、コネクタ20の端子22における裏面16b上への突出高さよりも高くなっている。このため、コネクタ20の端子22を対応する貫通孔に挿入する前に、第1脚部44が貫通孔30に挿入されることとなる。したがって、第1脚部44は、端子22に対する位置決め効果を発揮する。これにより、端子22の曲がりや、ランドであるメッキ層の剥がれなどを抑制することができる。
【0064】
(第2実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した保持部材26、コネクタ20、及び電子制御装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0065】
本実施形態では、
図6に示すように、第1脚部44の少なくとも一部が、延設方向において、基部40から遠ざかるほど幅が狭くなるテーパ形状をなしている。また、第1脚部44のうち、テーパ形状とされた部分の少なくとも一部が、貫通孔30内に配置されている。本実施形態でも、第1脚部44は平板状となっている。なお、便宜上、
図6において、幅の表記のあとに、対応する断面積を括弧書きで示している。
【0066】
図6に示す例では、第1脚部44の先端から、基部40との連結端までの部分、すなわち挿入部46及び繋ぎ部48の全体が、テーパ形状となっている。このテーパ形状は、延設方向における単位長さあたりの幅の変化量が一定となっている。また、幅方向における両サイドがそれぞれテーパ形状とされ、互いの変化量がほぼ同じとされている。
【0067】
このようなテーパ形状を採用すると、繋ぎ部48の幅W2は、挿入部46との連結端で最小値であるW2sとなり、基部40に近づくほど広くなる。そして、幅W2は、図示を省略するが、基部40との連結端で最大の幅W2bとなっている。
【0068】
一方、挿入部46でも、基部40に近いほど幅が広くなっており、すなわち、その全長で、W1u>W1d、を満たしている。したがって、貫通孔30内に配置される部分において、第1端部46aの幅W1bが最大の幅、第2端部46bの幅W1sが最小の幅となっている。これにより、貫通孔30内に配置される部分で、第1端部46aの断面積S1bが最大の断面積、第2端部46bの断面積S1sが最小の断面積となっている。
【0069】
したがって、本実施形態においては、第1脚部44の幅が、W1u>W1d、W1b>W1s、W2s=W1b、となっており、これにより、第1脚部44の断面積が、S1u>S1d、S1b>S1s、S2s=S1b、となっている。また、W2b>W1b、となっており、これにより、繋ぎ部48における最大の断面積S2bは、S2b>S1b、を満たしている。
【0070】
このような保持部材26を採用すると、第1実施形態に記載の効果に加え、貫通孔30に挿入部46を挿入する際に、テーパ形状によって挿入部46の周囲にはんだペーストが逃げる。したがって、肩部50を有する第1脚部44に較べて、裏面16b側に押し出されるはんだペーストの量を低減することができる。これにより、保持部材26のコネクタ保持強度を向上することができる。
【0071】
なお、
図6では、第1脚部44全体がテーパ形状とされる例を示したが、第1脚部44の先端から、繋ぎ部48におけるはんだ34に被覆される部分までをテーパ形状としても、同様の効果を奏することができる。
【0072】
(第3実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した、保持部材26、コネクタ20、及び電子制御装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0073】
本実施形態では、
図7に示すように、第2実施形態同様、第1脚部44がテーパ形状の部分を有している。具体的には、挿入部46において、第1端部46aから、第2端部46bと第1端部46aとの間の所定位置52までの部分がテーパ形状となっている。また、所定位置52から第2端部46bまでの部分は、所定位置52における幅と同一の一定幅となっている。なお、以下において、所定位置52を、挿入部46において、テーパ形状の部分と一定幅の部分との連結部52と示す。また、第1実施形態同様、第1脚部44は平板状となっている。
図7では、便宜上、幅の表記のあとに、対応する断面積を括弧書きで示している。
【0074】
挿入部46において、連結部52よりも先端側の部分の幅は一定となっている。一方、連結部52から、繋ぎ部48におけるはんだ34に被覆されない所定位置までの部分は、第2実施形態同様のテーパ形状となっている。すなわち、繋ぎ部48のうち、第1端部46aから所定位置までの部分は、テーパ形状の第1繋ぎ部48aとなっている。そして、繋ぎ部48の残りの部分、すなわち基部40側の部分である第2繋ぎ部48bは、第1繋ぎ部48aの最大幅よりも幅の広い、一定幅の部分となっている。なお、
図7では、幅方向の中心が、挿入部46における一定幅の部分、テーパ形状の部分、及び第2繋ぎ部48bで一致している。
【0075】
このような第1脚部44において、繋ぎ部48の幅W2は、第1繋ぎ部48aにおける挿入部46との連結端で最小幅W2sとなり、第1繋ぎ部48aでは基部40に近づくほど広くなっている。そして、第2繋ぎ部48bで、最大の幅W2bとなっている。このため、最小幅W2sの部分で最小の断面積S2sとされ、最大幅W2bの部分で最大の断面積S2bとなっている。
【0076】
一方、挿入部46でも、第1端部46aから連結部52までは、基部40に近いほど幅が広く、連結部52よりも先端側では、一定幅となっている。すなわち、挿入部46では、W1u≧W1dとなっている。また、第2端部46bの幅W1sが、貫通孔30内に配置される部分の最小幅となっており、第1端部46aの幅W1bは、第2端部46bの幅W1sよりも広くなっている。
【0077】
したがって、本実施形態においては、第1脚部44の幅が、W1u≧W1d、W1b>W1s、W2s=W1b、となっており、これにより、第1脚部44の断面積が、S1u>S1d、S1b>S1s、S2s=S1b、となっている。また、W2b>W1b、とされ、これにより、S2b>S1b、となっている。
【0078】
このような保持部材26を採用すると、第1実施形態に記載の効果に加え、第2実施形態同様の効果を奏することができる。すなわち、貫通孔30に挿入部46を挿入する際に、テーパ形状によって挿入部46の周囲にはんだペーストが逃げる。したがって、肩部50を有する第1脚部44に較べて、裏面16b側に押し出されるはんだペーストの量を低減することができる。これにより、保持部材26のコネクタ保持強度を向上することができる。
【0079】
また、第2実施形態に示すように、第1脚部44の先端までテーパ形状とされる構成と較べて、第1端部46aでの幅W1b(断面積S1b)を同じとした場合の、貫通孔30内に配置される挿入部46の部分の体積を小さくすることができる。したがって、裏面16b側に押し出されるはんだペーストの量を低減することができる。これにより、保持部材26のコネクタ保持強度を、さらに向上することができる。
【0080】
(第4実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した、保持部材26、コネクタ20、及び電子制御装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0081】
本実施形態の特徴は、
図8〜
図11に示すように、第1脚部44が、板厚方向に段差を有しつつ延設方向に沿って設けられた段差部54を備えている。そして、この段差部54は、基部40側の端部がはんだ34にて被覆されない位置とされ、先端側の端部がはんだ34に被覆される位置となっていることにある。それ以外の構成は、第3実施形態と同じである。なお、
図10では、便宜上、幅の表記のあとに、対応する断面積を括弧書きで示している。
【0082】
図8〜
図11に示す例では、第1脚部44の幅が、W1u≧W1d、W1b>W1s、W2s=W1b、となっており、これにより、第1脚部44の断面積が、S1u>S1d、S1b>S1s、S2s=S1b、となっている。また、W2b>W1b、とされ、これにより、S2b>S1b、となっている。その上で、さらに、段差部54が設けられている。段差部54は、板厚方向において、一方側に突出し、反対側に凹んだ凸条となっている。特に本実施形態では、丸みを帯びた弧状断面の段差部54となっている。なお、凸条は、
図9に示すように、反対から見れば凹条である。
【0083】
また、段差部54は、延設方向において、基部40における第1脚部44との連結端と反対の端部から、基部40及び繋ぎ部48を跨いで、貫通孔30内に配置される位置、すなわち第1端部46aと第2端部46bの間の位置、まで延設されている。より詳しくは、連結部52の近傍まで延設されている。
【0084】
これによれば、第3実施形態に記載の効果に加え、板厚方向に段差部54を備えるため、幅が同じであれば、断面積を大きくすることができる。これにより、
図11に比較例として破線で示す段差なしの挿入部46に較べて、はんだ34との接触面積が増加し、コネクタ保持強度を向上することができる。なお、
図11では、同一厚さであり、幅が等しく、段差なしの挿入部46を、比較例として示している。
【0085】
一方、断面積を同じとするのであれば、段差部54を備える分、幅を狭くできるので、貫通孔30の径を小さくすることができる。これにより、コネクタ20の端子22などが挿入される貫通孔との孔径の差を、より小さくすることができる。
【0086】
また、本実施形態では、段差部54として、凸条を採用している。このような段差部54は、金属板をプレスすることで容易に形成することができる。
【0087】
なお、凸条の例としては、丸みを帯びた弧状断面に限定されるものではない。角張った形状としても良い。また、段差部54の個数としては、1つに限定されるものではない。幅方向に複数列設けられても良い。また、延設方向において、連続して形成されずに、断続的に形成されても良い。また、段差部54の形成範囲としては、S1u≧S1d、S1b>S1s、及びS2s≧S1bを満たす範囲であれば良い。上記したように、保持部材26に応力が作用すると、繋ぎ部48のうち、はんだ接続部分と基部40との間の部分、特に最も幅の狭い部分、に応力が集中する。したがって、段差部54は、好ましくは、貫通孔30内に配置される部分から、繋ぎ部48において、はんだ接続部分からある程度離れた位置まで、連続して形成されると良い。
【0088】
(第5実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した、保持部材26、コネクタ20、及び電子制御装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0089】
本実施形態の特徴は、
図12及び
図13に示すように、段差部54がクランク状となっていることにある。それ以外の構成は、第4実施形態と同じである。なお、
図13では、比較例として、同一厚さの金属板から形成され、幅が等しく、段差なしの挿入部46を、破線で示している。また、
図12では、便宜上、幅の表記のあとに、対応する断面積を括弧書きで示している。
【0090】
本実施形態でも、第1脚部44の幅が、W1u≧W1d、W1b>W1s、W2s=W1bとなっており、これにより、第1脚部44の断面積が、S1u>S1d、S1b>S1s、S2s=S1b、となっている。また、W2b>W1b、とされ、これにより、S2b>S1b、となっている。その上で、さらに、段差部54が設けられている。
【0091】
図12及び
図13に示すように、段差部54は、第1端部46aと第2端部46bの間の所定位置から、繋ぎ部48において、はんだ接続部分から離れた所定位置まで、延設されている。また、幅方向における第1脚部44の一部が、残りの部分に対して、板厚方向に平行移動されて、クランク状の段差部54となっている。このような段差部54は、第1実施形態に記載した肩部50を有するように金属板を打ち抜き、例えば肩部50の部分をプレスすることで形成することができる。
【0092】
このような段差部54を採用しても、第4実施形態に記載の段差部54と同等の効果を奏することができる。
【0093】
なお、
図13では、便宜上、クランク状における板厚方向にずれた繋ぎ部分を直角に示しているが、該繋ぎ部分を丸みを帯びたR形状、面取り形状などとしても良いのは言うまでもない。
【0094】
(第6実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した、保持部材26、コネクタ20、及び電子制御装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0095】
本実施形態の特徴は、
図14及び
図15に示すように、段差部54が折り曲げによって形成されていることにある。なお、
図14では、便宜上、幅の表記のあとに、対応する断面積を括弧書きで示している。
【0096】
本実施形態でも、第1脚部44の幅が、W1u≧W1d、W1b>W1s、W2s=W1b、となっており、これにより、第1脚部44の断面積が、S1u>S1d、S1b>S1s、S2s=S1b、となっている。また、W2b>W1b、とされ、これにより、S2b>S1b、となっている。その上で、さらに、段差部54が設けられている。
【0097】
図14及び
図15に示す保持部材26では、第1端部46aと第2端部46bの間の所定位置から、繋ぎ部48において、はんだ接続部分から離れた所定位置まで、段差部54が形成されている。また、段差部54は、幅方向における両端部分が、中央部分に対して折曲されてなる。このような段差部54は、
図16に破線で示す部分で谷折りとすることで、形成することができる。
【0098】
このような段差部54を採用しても、第4実施形態に記載の段差部54と同等の効果を奏することができる。
【0099】
なお、本実施形態では、幅方向の両端に段差部54を有する例を示したが、一端のみに段差部54を有する構成を採用することもできる。
【0100】
(第7実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した、保持部材26、コネクタ20、及び電子制御装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0101】
本実施形態の特徴は、
図17〜
図19に示すように、第1脚部44の幅がその全長で一定とされ、S1b>S1s、及び、S2s>S1s、を満たすように、第1脚部44における延設方向の一部分に、段差部54が形成されている点にある。なお、
図17では、便宜上、幅の表記のあとに、対応する断面積を括弧書きで示している。
【0102】
図17では、第1端部46aと第2端部46bの間の所定位置から、繋ぎ部48のうち、はんだ接続部分から離れた所定位置まで、段差部54として凸条が形成されている。また、段差部54の形成された部分の幅は、第1脚部44において、段差部54の形成されていない部分の幅とほぼ同じとなっている。したがって、同じ挿入部46の断面でも、
図18に示す段差部54ありの部分では、板厚方向において、一方側に突出し、反対側が凹んでおり、
図19に示す段差なしの部分では、矩形状となっている。
【0103】
すなわち、本実施形態では、第1脚部44の幅が、W1u=W1d、W1b=W1s、及びW2s=W1b、となっている。また、段差部54が設けられている部分の断面積が、延設方向全長で一定の断面積とされ、且つ、段差部54のない部分の断面積より大きくなっている。
図18,
図19では、第1位置を段差部54が設けられた部分とし、第2位置を段差部54のない部分とした場合の断面を示している。したがって、
図18,
図19では、S1u>S1d、となっている。また、S1b>S1s、及び、S2s=S1b、となっている。
【0104】
このように部分的に段差部54を設けることによっても、S1b>S1s、及び、S2s>S1s、を満たすように、第1脚部44を形成することができる。また、S1u≧S1d、S1b>S1s、及びS2s≧S1b、を満たすように、第1脚部44を形成することができる。
【0105】
(第8実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した、保持部材26、コネクタ20、及び電子制御装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0106】
本実施形態の第1の特徴は、保持部材26が、脚部42として、第1脚部44とともに、第2脚部56を備える点にある。また、第2の特徴は、脚部42として、第1脚部を1本と、第2脚部56を2本有し、幅方向において、一対の第2脚部56の間に、第1脚部44が配置されていることにある。また、一対の第2脚部56は、延設方向に対し、線対称となっている。
【0107】
図20に示す保持部材26は、第4実施形態に示した保持部材26において、基部40における矩形部40aを平面L字状のL字部40cに置換し、さらに一対の第2脚部56を追加した構造となっている。この第2脚部56は、基部40及び第1脚部44と同じ金属板を打ち抜き、曲げ加工することで、基部40及び第1脚部44と一体的に形成されている。
【0108】
また、上記したように、1つの貫通孔30につき、1本の脚部42が挿入される。したがって、第2脚部56は、第1脚部44とは別の貫通孔30に挿入されるとともに、一対の第2脚部56同士も、互いに異なる貫通孔30に挿入される。
【0109】
第2脚部56は、プリント基板16に係止される係止部58を備えている。すなわち、第2脚部56は、リフローはんだ付けする前に、保持部材26、ひいてはコネクタ20が、プリント基板16から脱落するのを抑制する機能を果たすものである。
【0110】
図20では、第2脚部56が対応する貫通孔30に挿入された状態で、第2脚部56の一部がプリント基板16の裏面16b側に突出する。そして、係止部58は、裏面16bにおいて、貫通孔30の開口縁部に係止されるように設けられている。このような第2脚部56は、本出願人による特許第4626680号公報において、第1脚部として詳細に説明されているため、以下においては、その説明を簡略化して説明する。
【0111】
各第2脚部56は、上記した係止部58以外に、第1繋ぎ部60、ばね部62、及び第2繋ぎ部64を有している。なお、第2脚部56は、自身の長手方向に直交する幅が、その全長で板厚よりも長くなっている。
【0112】
第1繋ぎ部60は、係止部58とばね部62とを繋ぐ部分である。
図20及び
図21に示すように、第1繋ぎ部60は、平面略L字状に形成されている。そして、L字状の第1繋ぎ部60のうち、長手辺側の端部に係止部58が連結され、短手辺側の端部にばね部62が連結されている。この第1繋ぎ部60における長手辺の少なくとも一部が貫通孔30内に配置される。この第1繋ぎ部60は、係止部58とともに、基部40や、第1脚部44における段差部54を除く部分と、板厚方向において同一位置となっている。
【0113】
ばね部62は、係止部58と第1繋ぎ部60の一部が貫通孔30を挿通し、裏面16bに係止するように変形する部分である。このばね部62は、例えば平面略コの字又はC字状に形成されている。そして、
図21に示す一点鎖線の部分を、基部40に対して谷折りすることで、一対のばね部62が互いに向かい合うように形成されている。なお、
図21に示す破線部分をプレスすることで段差部54が形成される。
【0114】
本実施形態では、略90度の角度をもってばね部62が基部40に対して折曲されている。このため、ばね部62の板厚方向は、幅方向と一致している。そして、ばね部62の一端に第1繋ぎ部60が連結され、他端には第2繋ぎ部64が連結されている。
【0115】
第2繋ぎ部64は、ばね部62と基部40とを連結する。基部40におけるL字部40cの一端には、第1脚部44と一対の第2脚部56が接続されている。
【0116】
このように構成される保持部材26の実装構造を、
図22〜
図24に示す。
図22及び
図23では、便宜上、ダミーランドを省略して図示している。第2脚部56は、第1脚部44同様にリフローはんだ付けされても良いし、リフローはんだ付けされなくとも良い。本実施形態では、リフローはんだ付けされる例を示す。
【0117】
3本の脚部42は、互いに異なる貫通孔30に挿入されている。これら貫通孔30は、
図24に示すように、板厚方向においてほぼ同じ位置であって、幅方向に所定の間隔を有して並んで形成されている。
【0118】
第1脚部44は真ん中の貫通孔30に挿入されている。第1脚部44は、第4実施形態同様、第1脚部44は凸条の段差部54を有しており、且つ、第1端部46aと第2端部46bとの間に連結部52が位置している。したがって、はんだ34に接続された状態で、第4実施形態に記載のように、コネクタ保持強度を向上することができる。また、折損を抑制することもできる。
【0119】
一方、第2脚部56は、両サイドの貫通孔30にそれぞれ挿入されている。各係止部58は裏面16bにおける貫通孔30の開口縁部に係止しており、第1繋ぎ部60の一部が貫通孔30内に配置されている。そして、この状態で、はんだ34と接続されている。このように、第2脚部56もはんだ34と接続されるようにすると、第2脚部56によっても、コネクタ保持強度を向上することができる。
【0120】
また、本実施形態では、第1脚部44とともに第2脚部56を有するので、複数本の脚部42により、リフロー前の状態で、コネクタ20に傾きが生じるのを抑制できる。特に一対の第2脚部56を有しているので、コネクタ20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0121】
また、第2脚部56が、裏面16bに係止する係止部58を有している。したがって、リフロー前の状態で、延設方向において貫通孔30から脚部42を引き抜く方向に外力が印加されても、係止部58により、引き抜きを阻止することができる。また、一対の係止部58が、幅方向において互いに逆向きに第1繋ぎ部60から延設されているので、コネクタ20のがたつきを抑制することができる。
【0122】
また、第2脚部56において、係止部58とばね部62とが互いに異なる位置に構成されており、ばね部62が一面16a上に位置している。すなわち、ばね部62は、それ自体の変形による反力で、貫通孔30の壁面に直接係止するのではなく、係止部58を貫通孔30内に挿入させるとともに裏面16bに係止させるものである。したがって、係止部58を貫通孔30内に挿入させる際に、係止部58が貫通孔30の壁面に強く当たるようなばね性は必要としない。これにより、貫通孔30に対する係止部58の挿入力を低減することができる。そして、ダミーランド32の損傷を抑制することができる。
【0123】
また、本実施形態では、第1脚部44の裏面16b上への突出高さが、第2脚部56の裏面16b上への突出高さよりも高くなっている。このため、第2脚部56を対応する貫通孔30に挿入する前に、第1脚部44が貫通孔30に挿入される。したがって、第1脚部44は、第2脚部56に対する位置決め効果を発揮するため、ばね部62を有する第2脚部56を、対応する貫通孔30に位置精度良く挿入させることができる。
【0124】
なお、第2脚部56がリフローはんだ付けされない場合でも、第1脚部44がはんだ付けされるため、引っ張りにより係止部58の係止状態が解除されるのを抑制することができる。
【0125】
また、本実施形態では、保持部材26が一対の第2脚部56を備える例を示したが、第1脚部44とともに、第2脚部56を1本のみ有する構成としても良い。
【0126】
また、本実施形態では、第4実施形態に示した保持部材26を基本として、第2脚部56が追加される例を示した。しかしながら、第4実施形態以外の実施形態、具体的には、第1実施形態〜第3実施形態、第5実施形態〜第7実施形態、に示した保持部材26を基本として、第2脚部56が追加された保持部材26を採用することもできる。
【0127】
(第9実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した、保持部材26、コネクタ20、及び電子制御装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0128】
本実施形態の特徴は、第2脚部56の係止部58が、ばねの反力により、貫通孔30の壁面に係止することにある。それ以外の点は、第8実施形態とほぼ同じである。異なる点は、第1脚部44が、折曲部66を有する点である。これにより、3本の脚部42は、板厚方向においてほぼ同じ位置で、互いに異なる貫通孔30に挿入されている。
【0129】
第1脚部44は、繋ぎ部48におけるテーパ形状の端部付近に折曲部66を有し、この折曲部66で、クランク状に折曲されている。
図25では、この折曲により、折曲部66よりも先端側の部分が、折曲部66よりも基部40側の部分に対して紙面手前側に持ち上がるとともに、基部40と平行とされている。そして、挿入部46の一部が貫通孔30に挿入された状態で、はんだ34に接続されている。
【0130】
第2脚部56は、その全長において、基部40に対して略90度の角度をもって折曲されている。そして、基部40側から、垂直部68、平行部70、及び挿入部72を有している。また、一対の第2脚部56で、延設方向に対し、線対称となっている。
【0131】
垂直部68は、自身の板厚方向が幅方向とほぼ一致しており、この垂直部68に対して、平行部70は略90度の角度をもって折曲されている。平行部70は、自身の板厚方向が延設方向とほぼ一致している。そして、挿入部72は、平行部70に対して折曲されている。
【0132】
一対の第2脚部56において、挿入部72は、略同一方向に延びているものの、互いに平行とはなっておらず、ゆるやかな曲面状となっている。具体的には、一対の挿入部72の幅方向の対向距離は、延設方向におけるほぼ中間位置で最大となっており、平行部70から中間位置に向かうに連れて長くなっている。また、中間位置よりも先端側では、先端に近いほど対向距離が短くなっている。つまり、第2脚部56の挿入部72は、これらの双方を一体として見た場合に、幅が、中間位置で最も広く、先端位置では細い形状となっている。そして、中間位置の部分が、係止部58となっている。
【0133】
そして、第2脚部56のばね反力により、係止部58が貫通孔30の壁面に接触した状態で、挿入部72の一部がはんだ34に接続されている。
【0134】
このような構成の保持部材26を採用しても、第8実施形態に記載の保持部材26と同等の効果を奏することができる。
【0135】
なお、第2脚部56がリフローはんだ付けされない場合にも、第1脚部44がはんだ付けされるため、引っ張りにより係止部58の係止状態が解除されるのを抑制することができる。
【0136】
また、本実施形態では、保持部材26が一対の第2脚部56を備える例を示したが、第1脚部44とともに、第2脚部56を1本のみ有する構成としても良い。この場合、第1脚部44も貫通孔30の壁面に接触することで、第1脚部44と第2脚部56により、幅方向のがたつきが抑制されることとなる。しかしながら、ダミーランド32のダメージを考慮すると、第1脚部44を壁面に接触させるよりは、一対の第2脚部56を備える構成としたほうが良い。
【0137】
また、本実施形態では、第4実施形態に示した保持部材26を基本とし、第2脚部56が追加される例を示した。しかしながら、第4実施形態以外の実施形態、具体的には、第1実施形態〜第3実施形態、第5実施形態〜第7実施形態、に示した保持部材26に対して、第2脚部56が追加された保持部材26を採用することもできる。
【0138】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0139】
保持部材26が、脚部42として、第1脚部44を1本含む例を示したが、第1脚部44の複数本含む構成としても良い。
【0140】
同一のコネクタ20に固定される保持部材26の個数は上記例に限定されるものではない。1つでも良いし、3つ以上としても良い。好ましくは、端子22の配列方向において、複数の保持部材26が固定されると良い。
【0141】
上記実施形態では、第1脚部44の断面積が、S1b>S1s、及び、S2s=S1b、となっている例を示した。しかしながら、第1脚部44は、少なくとも、S1b>S1s、及び、S2s>S1s、を満たすように形成されれば良い。
【0142】
例えば、第1実施形態に示す保持部材26に対し、一面16aと同一位置において幅が縮径され、これにより、S1b>S2s>S1s、とされた構成としても良い。これによっても、第1実施形態に記載したように、保持部材26のコネクタ保持強度を向上することができる。また、S2s>S1s、であるので、繋ぎ部48におけるはんだ34に被覆されない部分に応力が集中しても、折損が生じるのを抑制することができる。
【0143】
また、S2s>S1b、となるように第1脚部44が形成されても良い。例えば第1実施形態に示す保持部材26に対し、一面16aと同一位置に、もう1つ肩部50が設けられ、これによりW2s>W1b、を満たすように、第1脚部44が形成されても良い。すなわち、第1脚部44の幅が3段階で変化するようにしても良い。これによれば、S2s=S1b、に較べて、折損が生じるのをより効果的に抑制することができる。
【0144】
また、S1u≧S1d、を満たさない構成としても良い。例えば第1実施形態に示す保持部材26の挿入部46のうち、突出部46cにおける裏面16b近傍部位がわずかに凸とされ、該凸部分の断面積が、第2端部46bの断面積S1sよりもわずかに大きくされても良い。また、第1端部46aと第2端部46bの間に、第2端部46bよりも断面積の小さい部分を有しても良い。