(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記障害状態が検出された相手方の無線装置の自律リセット後に、当該相手方の無線装置の障害状態が前記監視部によって検出される場合に、前記制御部は、当該相手方の無線装置の電源供給停止指示を出力する
請求項1又は2に記載の基地局装置。
他の無線装置によって形成される第1周波数帯が使用される第1セルと重畳する第2セルを形成し、前記他の無線装置とともに無線制御装置と接続される無線装置であって、
前記他の無線装置の障害状態を監視する監視部と、
前記監視部が前記他の無線装置の障害状態を検出した場合に前記第2セルに対する送信
出力を低下させる制御部とを含む
無線装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は零時であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
[実施形態1]
<システム構成>
【0013】
図1は、実施形態に係る基地局装置を含むシステム構成例を示す。
図1において、基地局装置(eNode Bと呼ばれる)10は、BBU11と、BBU11に接続された複数のデ
ュアルバンドRRH(Dual Band RRH:以下、DB−RRHと表記)12とを含む。DB
−RRH12は、異なる周波数帯を使用する2つのRRH13が1つの筺体に収容された装置である。
図1には、3つのDB−RRH12(DB−RRH12A,DB−RRH12B,DB−RRH12C)が例示されている。
【0014】
DB−RRH12Aは、第1の周波数帯(周波数帯f1)を使用する第1のRRH13
(RRH13A)と、第2の周波数帯(周波数帯f2)を使用する第2のRRH13(RRH13B)とを含んでいる。DB−RRH12Bは、DB−RRH12Aと同一の構成を有し、第1の周波数帯(周波数帯f1)を使用する第1のRRH13(RRH13C)と、第2の周波数帯(周波数帯f2)を使用する第2のRRH13(RRH13D)とを含んでいる。DB−RRH12Cも、DB−RRH12Aと同一の構成を有し、第1の周波数帯(周波数帯f1)を使用する第1のRRH13(RRH13E)と、第2の周波数帯(周波数帯f2)を使用する第2のRRH13(RRH13F)とを含んでいる。
【0015】
ここに、BBU11は、無線制御装置の一例である。DB−RRH12に含まれた周波数帯f1を使用するRRH13(RRH13A,RRH13C,RRH13Eのそれぞれ)は、第1無線装置の一例であり、周波数帯f2を使用するRRH13(RRH13B,RRH13D,RRH13Fのそれぞれ)は第2無線装置の一例である。なお、BBU11は、S1インタフェースを介して基地局装置10の上位装置であるMME/UPE( Mobile Management Entity/User Plane Entity)14に接続される。MME/UPE14
は、コアネットワークに配置されるコアネットワーク装置であり、移動端末の位置登録、コアネットワークと外部ネットワーク(例えばIP網)との接続処理を行う。S1インタフェースは、BBU11とMME/UPE14を結ぶ伝送路上に設けられる。伝送路は、例えば、イーサネット(登録商標)のようなLAN(Local Area Network)である。
【0016】
各DB−RRH12に含まれる二つのRRH13は、周波数帯の異なる、重畳(オーバレイ)した二つのセル(セクタ)を形成する。本明細書において、「セル」は、セクタを含む概念である。
【0017】
図2は、基地局装置10によって形成されるセルの様子を例示する。
図2に示す例では、DB−RRH12Aが、RRH13Aによって形成され、且つ周波数帯f1が使用されるセルC1と、RRH13Bによって形成され、セルC1と重畳(オーバレイ)し、且つ周波数帯f2が使用されるセルC2とを形成する。DB−RRH12Bも、同様に、RRH13C及びRRH13Dによって、周波数帯f1が使用されるセルC3と、周波数帯f2が使用されるセルC4とを形成する。DB−RRH12Cも、同様に、RRH13E及びRRH13Fによって、周波数帯f1が使用されるセルC5と、周波数帯f2が使用されるセルC6とを形成する。なお、キャリアアグリゲーションが実施される場合には、上記のセルC1及びC2の組、セルC3及びC4の組、セルC5及びC6の組は、同一のセルとして扱われるが、本明細書では、説明のために別のセルとして説明する。
【0018】
セルC3及びC4、セルC5及びC6は、それぞれ重畳している。セルC3及びC5は、セルC1に対する隣接セル(周辺セル)として機能し、セルC4及びC6は、セルC2に対する隣接セルとして機能するように、それぞれセル間での重複領域を有している。本明細書において、重畳(オーバレイ)の語は、一部重複(オーバーラップ)を含む。
【0019】
各セルC1〜C6に在圏する移動端末は、セルを形成するRRH13に接続することで、基地局装置10と接続される。基地局装置10に接続された移動端末は、コアネットワークを通じてIP(Internet Protocol)網やインターネット(登録商標)に接続された
端末や、セルに在圏する他の移動端末と通信を行うことができる。なお、BBU11に接続されるDB−RRH12(RRH)の数は、BBU11での収容が許容される限り、2以上の数字の1つを選択できる。また、BBU11に接続された隣接セルを形成するRRHは、DB−RRHに限定されず、通常のRRHを適用可能である。
<基地局装置における送信電力制御方法>
【0020】
図1及び
図2に示した基地局装置10の構成において、例えば、セルC1を形成するRRH13Aに障害(異常)が発生する場合を仮定する。例えば、RRH13Aに含まれる
RFアンプに障害が生じた場合を想定する。
【0021】
この場合、セルC1に在圏する各移動端末と、RRH13Aとの無線リンクが切断される。セルC1から切断された各移動端末は、セルサーチを実行し、他のセルへの接続を試行する。セルサーチによって、複数のセルが見つかった場合には、所望の無線品質を確保可能なセルの一つが接続先として選択される。
【0022】
ここで、セルサーチの結果、セルC2だけでなく、隣接セルC3〜C6が見つかることが起こり得る。この場合、所定の選択基準(例えば、電波強度)に照らして、2以上のセルから1つのセルが接続先として決定される。
【0023】
電波強度の測定結果によっては、セルC1から切断された移動端末の大半がセルC2を接続先として決定することが起こり得る。この場合、各移動端末からRRH13Bへの接続要求が集中的に発生する。この結果、BBU11においてセルC2との接続に係る処理(ランダムアクセス処理)が輻輳し、BBU11の過負荷を要因とするエラーが生じる虞があった。
【0024】
本実施形態では、
図3に示すように、セルC1を形成するDB−RRH12AのRRH13Aの障害時(セルC1を破線で図示)に、DB−RRH12AのRRH13Bに対する送信電力制御、すなわち、送信電力の低下を行う。送信電力が低下することで、セルC2のサイズ(セル半径)が縮小する。セルC2のサイズが縮小することによって、隣接セルとの境界に位置していたセルC1の移動端末20は、再接続先として、隣接セル(セルC3〜C6のいずれか)を選択する。従って、セルC2への接続に係る信号処理(ランダムアクセス処理等)の量が、送信電力制御が行われない場合に比べて減少することが期待される。すなわち、BBU11の負荷軽減が図られる。
<<複数周波数帯を選択的に使用可能な移動端末に係るシーケンス>>
【0025】
図4及び
図5は、複数の周波数帯(例えば周波数帯f1及びf2)を選択的に使用可能な移動端末(UE:User Equipment)20に関する送信電力制御のシーケンスを示す。
図4において、移動端末20は、周波数帯f1を使用し、セルC1と接続されていると仮定する。
【0026】
セルC1を形成するDB−RRH12AのRRH13A(DB-RRH#1(Band f1))で異常
(障害)が発生すると(
図4<1>)、障害通知がDB−RRH12AのRRH13B(DB-RRH#1(Band f2))に送られる(
図4<2>)。その後、RRH13Aは、セルC1に
対する送信出力を停止する(
図4<3>)。但し、障害によって停止の意図なく送信出力が停止されることもあり得る。
【0027】
ここに、DB−RRH12に収容される二つのRRH13の一方(例えば、RRH13A)は、他方のRRH13(RRH13B)を相手方とし、他方のRRH13Bは、一方のRRH13Aを相手方として、相互監視を行う。監視の結果、相手方であるRRH13Aからの障害通知が検出されることで、RRH13BにてRRH13Aの障害が検出される(
図4<4>)。
【0028】
障害を検出したRRH13Bは、送信電力を変更する(
図4<5>)。すなわち、RRH13Bは、送信電力を低下させる。これによって、セルC2のサイズが縮小する(セル半径が狭められる)。
図6は、送信電力変更の説明図である。
【0029】
図6には、RRHからの距離と、無線品質と、所望の無線品質(通信品質)が確保される閾値との関係を示すグラフが示されている。グラフにおいて、送信電力の低下が図られ
る前では、閾値に対するRRHからの最長距離はAである。これに対し、送信電力低下が実行されると、閾値に対するRRHからの最長距離はBとなる。
【0030】
従って、セルC2を形成するRRH13Bとの距離が距離Aと距離Bとの間にある移動端末20は、セルサーチによってセルC2を発見できないか、セルC2と接続した場合の無線品質は、閾値を下回る。このため、距離Aと距離Bとの間に位置する移動端末20は、再接続先としてセルC2を選択することはなく、他のセルを接続先として決定することになる。これによって、セルC1への送信出力停止によって発生するセルC2への接続要求の数を減らすことができる。
【0031】
なお、閾値と対比される無線品質の指標として、例えば、受信信号強度(Received Signal Strength Indication:RSSI),信号対干渉比(Signal to Interference Ratio:SIR),伝搬損失の少なくとも1つを適用することができる。
【0032】
図4に戻って、RRH13Bは、BBU11にRRH13Aの障害情報を送信する(
図4<
6>及び<7>)。このように、障害通知を受信したRRH(障害が発生していない側のRRH)が相手方の障害情報をBBU11に送信することによって、確実に障害情報をBBU11に伝達することができる。
【0033】
BBU11は、障害情報を検出すると(
図4<8>)、選択的な処理として、以下の処理を行うことができる。すなわち、BBU11は、BBU11の内部リソース調整を行う(
図4<9>)。
【0034】
RRH13Aにて送信出力が停止されることによって、RRH13Aで送受信される信号処理用の内部リソース(セルC1用の内部リソース)は、事実上未使用状態となる。このため、BBU11は、セルC1用の内部リソースを、他のセルC2〜C6の少なくとも1つに割り当てることができる。内部リソースは、例えば、各セルC2〜C6に対する信号処理の負荷状況に応じて調整(分配)することができる。また、セルC2のサイズが縮小されることで、セルC2に接続する移動端末の数が確実に減少することが明らかである場合には、セルC2用の内部リソースの一部を他のセル用に割り当てることも可能である。これによって、内部リソースの有効利用を図ることができる。
【0035】
なお、BBU11は、内部リソースの割り当て変更を行った場合には、変更前の状態を記憶し、RRH13Aが障害状態から復旧に合わせて内部リソースの割り当て状態を元の状態に戻す。
【0036】
ところで、セルC1に在圏する移動端末(UE:User Equipment)20であって、RRH13Bとの距離が
図5に示した距離Aと距離Bとの間に位置する移動端末20は、RRH13Aの送信出力が停止されることによって、RRH13Aからの電波を受信できなくなる。このため、移動端末20は、受信電力低下を検出する(
図4<10>)。すると、移動端末20は、所望の通信品質(無線品質)が確保されているか否かを判定する(
図4<11>)。
【0037】
すなわち、移動端末20は、測定した無線品質の指標値が予め保持する所定の閾値未満となるか否かを判定する。指標値が閾値以上の場合(
図4<11>のY)には、移動端末20は、現在のセル(現状セル)との接続を継続する(
図4<12>)。但し、
図4のシーケンスでは、セルC1からの電波を受信できなくなるため、無線品質は閾値未満となる(
図4<11>のN)。
【0038】
無線品質が閾値未満の場合では、移動端末20は、セルC1との切断処理を行い、セル
サーチ処理を起動する(
図4<13>)。
図4では、セルサーチによって、RRH13B(セルC2)からのセルサーチ情報が受信される(
図4<14>)。また、RRH13C,RRH13D(セルC3,セルC4)からのセルサーチ情報が受信される(
図4<15>)。
【0039】
移動端末20は、各セルサーチ情報に含まれる周波数帯情報を参照して、移動端末20が使用していた周波数帯(周波数帯f1)と同一周波数帯のセルがあるか否かを判定する(
図4<16>)。同一周波数帯のセルがある場合には(<16>のY)、処理が
図5の<29>へ進む。例えば、移動端末20が、RRH13Cからのセルサーチ情報を受信できた場合に、処理が<29>へ進む。
これに対し、同一周波数帯のセルがない場合には(<16>のN)、移動端末20は、周波数帯f1と異なる他の周波数帯(周波数帯f2)のセルがあるか否かを判定する(
図4<16A>)。このとき、他の周波数帯(周波数帯f2)のセルがなければ(
図4<16A>のN)、セルサーチが継続される(セルからの電波の待ち受け状態となる)。
【0040】
移動端末20は、RRH13B及びRRH13Dからのセルサーチ情報に基づき、他の周波数帯f2のセルがあると判定することができた場合には(<16A>のY)、セルの品質測定処理を行う(
図4<17>)。すなわち、移動端末20は、RRH13B(セルC3)及びRRH13D(セルC4)からの無線電波に対する無線品質指標値の測定を行う。続いて、移動端末20は、移動(接続)可能なセルがあるか否かを判定する(
図4<18>)。
【0041】
上記したように、移動端末20が距離Aと距離Bとの間に位置する場合には、所望の無線品質を確保できない(無線品質が閾値を上回らない)ため、RRH13BのセルC2が再接続先として選択されることが回避される。ここで、RRH13Dからの電波が所望の無線品質を確保できる(閾値以上)場合には、隣接セル(周辺セル)であるRRH13DのセルC4が接続先として選択される。なお、RRH13B及びRRH13Dからの電波の無線品質がともに閾値以下の場合には、セルサーチが継続される。
【0042】
図4の例では、例えば、RRH13Dからの電波の無線品質が閾値以上となり、セルC4への移動が可能と判定される。移動端末20は、BBU11から送信された報知情報をRRH13Dを通じて受信し(
図4<19>)、セルC4への接続処理であるランダムアクセス処理を開始する(
図4<20>)。
【0043】
移動端末20は、セルC4への接続要求としてのランダムアクセス要求メッセージを送信する(
図4<21>)。ランダムアクセス要求メッセージは、RRH13Dを通じてBBU11で受信される(
図4<22>及び<23>)。ランダムアクセス要求受信を契機として、移動端末20とBBU11との間の無線リンクを確立するための処理手順であるランダムアクセス手順がBBU11とMME/UPE14との間で実施される。そして、BBU11からランダムアクセス応答メッセージが送信され(
図4<24>)、移動端末20で受信される(
図4<25>)ことで、BBU11と移動端末20との間の無線リンクが確立される(
図4<26>,<27>)。
【0044】
ところで、同一周波数帯の周辺セルがある場合(<16>のY)には、移動端末20は、周辺セルの品質測定処理を行う(
図5<29>)。すなわち、移動端末20は、RRH13C(セルC3)からの無線電波に対する無線品質指標値の測定を行う。
【0045】
続いて、移動端末20は、当該周辺セル(セルC3)へ移動(接続)可能か否かを判定する(
図5<30>)。例えば、移動端末20は、無線品質指標値が、閾値を上回る場合に、周辺セルへ移動(接続)可能と判定する。なお、無線品質指標値が閾値未満の場合に
は、移動端末20はセルサーチを継続する。
【0046】
図5の例では、例えば、セルC3からの電波の無線品質が閾値を上回り、セルC3への移動が可能と判定される場合を仮定する。この場合、移動端末20は、BBU11から送信された報知情報をRRH13Cを通じて受信し(
図5<31>)、セルC3への接続処理であるランダムアクセス処理を開始する(
図5<32>)。
【0047】
移動端末20は、セルC3への接続要求としてのランダムアクセス要求メッセージを送信する(
図5<33>)。ランダムアクセス要求メッセージは、RRH13Cを通じてBBU11で受信される(
図5<34>及び<35>)。ランダムアクセス要求受信を契機として、ランダムアクセス手順がBBU11とMME/UPE14との間で実施される。そして、BBU11からランダムアクセス応答メッセージが送信され(
図5<36>)、移動端末20で受信される(
図5<37>)ことで、BBU11と移動端末20との間のRRH13Cを通じたリンクが確立される(
図5<38>,<39>)。
【0048】
なお、上記例では、切断前に使用していた周波数帯f1と同一の周波数帯に対するセルサーチが先に実施されている。但し、周波数帯f1と異なる周波数帯f2に対するセルサーチが先に実施されるようにしても良い。この場合、RRH13Dからの電波の無線品質が閾値を超える場合には、セルC4への接続処理が行われる。逆に、RRH13Dからの電波の無線品質が閾値未満の場合には、周波数帯f1に対するセルサーチが実施され、移動端末20の位置に応じてセルC3又はセルC5への接続が試行される。
<<キャリアアグリゲーションサポート端末の場合のシーケンス>>
【0049】
セルC1に在圏する移動端末は、上記したような複数の周波数帯を選択的に使用可能な移動端末だけでなく、複数の周波数帯を一つの帯域として利用するキャリアアグリゲーション技術をサポート可能な移動端末(キャリアアグリゲーションサポート端末)も含まれ得る。このようなキャリアアグリゲーションサポート端末は、周波数帯f1及びf2(セルC1及びセルC2,セルC3及びセルC4,セルC5及びセルC6)を用いたキャリア
アグリゲーションで通信を行うことができる。このようなキャリアアグリゲーション
サポート端末でも、制御チャネルが格納されている周波数帯(例えば周波数帯f1)とのリンクが切断された場合には、切断されたリンクの周波数帯f1と異なる周波数帯f2を使用するセルへの再接続を試行する。
【0050】
このとき、結果として、周波数帯f2を使用する複数のセルの中から、セルC2が選択されると、セルC2への接続要求が輻輳する要因となる。このため、キャリアアグリゲーションサポート端末においても、隣接セル(周辺セル)への接続を促すべく、
図4に示したシーケンスにおける処理と同様の処理が、基地局装置10にて実行される。
【0051】
図7は、キャリアアグリゲーションサポート端末である移動端末20Aに対するシーケンス例を示す。移動端末20Aは、セルC1及びセルC2に接続し、周波数帯f1及び周波数帯f2を用いたキャリアアグリゲーションによる通信を行っていると仮定する。さらに、移動端末20AとRRH13Bとの距離が、
図6に示した距離Aと距離Bとの間にあると仮定する。
【0052】
図7における基地局装置10(RRH13A,RRH13B,BBU11)の動作(
図7<1>〜<9>)は、
図4に示した<1>〜<9>の動作と同様であるため説明を省略する。
【0053】
移動端末20Aは、RRH13Aの送信出力が停止されることによって、セルC1からの電波の受信電力低下(送信出力断)を検出し、セルC1との切断処理を行う(
図7<1
0>)。続いて、RRH13Bが送信電力を低下したことを原因として、移動端末20Aは、RRH13Bからの受信電力低下を検出する(
図7<11>)。
【0054】
すると、移動端末20Aは、通信品質が確保されるか否かを判定する(
図7<12>)。すなわち、移動端末20Aは、RRH13Bに関して測定した無線品質の指標値が閾値未満となるか否かを判定する。指標値が閾値以上の場合(
図7<12>のY)には、移動端末20Aは、現在のセル(現状セル)との接続を継続する(
図7<13>)。しかし、
図7のシーケンスでは、送信出力低下によって、無線品質は閾値未満となる(
図7<12>のN)。
【0055】
このため、移動端末20Aは、隣接セル(周辺セル)のセルサーチ処理を起動する(
図7<14>)。セルサーチによって、RRH13C,RRH13D(セルC3,セルC4)からのセルサーチ情報が受信される(
図7<15>)。
【0056】
移動端末20Aは、各セルサーチ情報に含まれるセルC3,セルC4の情報を用いて、RRH13C,RRH13Dからの電波の無線品質の指標値を測定する(
図7<16>)。続いて、移動端末20Aは、無線品質の指標値の測定結果に基づき、セルC3及びセルC4への移動(接続)が可能か否かを判定する(
図7<17>)。当該判定は、上述したように測定された指標値と閾値との対比によって行われる。このとき、セルC3及びセルC4の無線品質が閾値未満の場合(
図7<17>のN)には、セルサーチが継続される。
【0057】
これに対し、セルC3及びセルC4の無線品質がともに閾値以上である場合(
図7<17>のY)には、移動端末20Aは、BBU11から送信される、セルC3及びセルC4の報知情報をRRH13C及びRRH13Dを通じて受信する(
図7<18>)。そして、移動端末20Aは、セルC3及びセルC4への接続処理であるランダムアクセス処理を開始する(
図7<19>)。
【0058】
移動端末20Aは、セルC3及びセルC4のそれぞれに対するランダムアクセス要求メッセージを送信する(
図7<20>)。セルC3に係るランダムアクセス要求メッセージは、RRH13Cを通じてBBU11に受信され、セルC4に係るランダムアクセス要求メッセージは、RRH13Dを通じてBBU11で受信される(
図7<21>)。
【0059】
ランダムアクセス要求受信を契機として、移動端末20とBBU11との間のセルC3及びC4に係る二つの無線リンクを確立するための処理手順であるランダムアクセス手順が、BBU11とMME/UPE14との間でそれぞれ実施される。
【0060】
そして、BBU11からセルC3及びセルC4のそれぞれに係るランダムアクセス応答メッセージが送信され(
図7<23>)、移動端末20Aで受信される(
図7<24>)。これによって、BBU11と移動端末20Aとの間の二つの無線リンクが確立される(
図7<25>,<26>)。移動端末20Aは、セルC3及びセルC4の接続を用いて、キャリアアグリゲーションを用いた通信を行うことができる。
【0061】
このように、キャリアアグリゲーションサポート端末(移動端末20A)は、セルC2の縮小によって無線品質が閾値未満となる位置に存している場合には、RRH13Aの送信出力停止を契機として、強制的に隣接セルに再接続することになる。よって、セルC2への接続要求の数が減るため、BBU11の負荷が軽減される。
【0062】
あるいは、移動端末20Aの位置によっては、
図7<17>の処理において、隣接セルへの移動ができないと判定される場合がある。この場合には、移動端末20Aは、他のセルへの接続を行うことができない状態となる。但し、この場合でも、BBU11における
セルC2用の処理の増加が回避されるので、BBU11での処理の輻輳回避、過負荷回避が図られる。
【0063】
以上のように、本実施形態では、移動端末として、既存の複数の周波数帯を選択的に利用可能な移動端末、及び既存のキャリアアグリゲーションサポート端末を適用することができる。
【0064】
なお、
図4,5,7に示したシーケンスでは、セルC1(RRH13A)に着目したが、セルC2(RRH13B)の障害時には、セルC1(RRH13A)の送信出力低下が実行され、セルC1のセル半径が狭められる。DB−RRH12B,DB−RRH12Cのそれぞれは、
図4,5,7に示したDB−RRH12Aの動作と同様の動作を行うことができる。
【0065】
なお、
図4,5,7に示したシーケンスにおいて、セルC1に単一の周波数帯(周波数帯f1)のみを使用可能な移動端末が在圏していた場合には、当該移動端末は、セルC1に係る送信出力が停止されることによって、同一の周波数帯f1が使用される隣接セルをサーチし、無線品質を満たす隣接セルが見つかった場合には、当該隣接セルへ接続する。
<BBUの構成>
【0066】
次に、BBU11の構成例について説明する。
図8は、BBU11の機能ブロック構成例を示す図であり、
図9は、BBU11のハードウェア構成例を示す図である。
【0067】
図8において、BBU11は、伝送路インタフェース111と、伝送路インタフェース111に接続されたベースバンド(BB)処理部112と、ベースバンド処理部112と接続された電気/光(E/O)変換部113とを含んでいる。また、BBU11は、伝送路インタフェース111に接続されたタイミング制御部115と、伝送路インタフェース111,ベースバンド処理部112,タイミング制御部115と接続された制御部114とを含む。さらに、BBU11は、電源(Power Supply: PS)部116を含んでいる。
【0068】
伝送路インタフェース111は、S1インタフェース(MME/UPE14とのインタフェース)及びX2インタフェース(他基地局とのインタフェース)の回線終端処理、及びIPレイヤのプロトコル処理を行う。伝送路インタフェース111には、LAN(例えばイーサネット(登録商標))のような伝送路が接続され、IPパケットの送受信を行う。
【0069】
ベースバンド処理部112は、伝送路インタフェース111で送受信されるIPパケットと、RRH−移動端末間の無線リンクで送受信されるOFDM(Orthogonal Frequency
Division Multiplexing)信号との変換(変復調)処理を行う。
【0070】
具体的には、ベースバンド処理部112は、無線リンク制御(Radio Link Control:RLC),パケットデータ収束(Packet Data Convergence Protocol:PDCP),メディアアクセス制御(Media Access Control),物理(PHY)のような各レイヤのプロトコル処理を行う。また、ベースバンド処理部112は、IPパケットをOFDM信号(ベースバンド信号:IQ信号とも呼ばれる)に変換するための多値変調処理やOFDM処理を行う。
【0071】
また、ベースバンド処理部112は、BBU−RRH間インタフェースプロトコルに係る処理も行う。BBU−RRH間インタフェースとして、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)が適用される。ベースバンド処理部112は、CPRIプロトコ
ルに係る処理を実行する。例えば、ベースバンド処理部112は、ベースバンド信号をI
Q信号としてCPRIインタフェース上へマッピングしてCPRIインタフェース信号を生成する処理、及びCPRIインタフェース信号をベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0072】
さらに、ベースバンド処理部112は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)処理のような物理(PHY)インタフェースにおける信号処理を行う。ベースバンド処理部112における各種の処理は、RRH(セル)単位で実行される。
【0073】
E/O変換部113は、DB−RRH12と接続された光回線(光ファイバ)を収容する。E/O変換部113は、CPRIインタフェース上にIQ信号としてマッピングされたベースバンド信号(OFDM信号)であるCPRIインタフェース信号を光信号に変換(E/O変換)してDB−RRH12へ送出する処理、及び光ファイバから受信された光信号をCPRIインタフェース信号に変換(O/E変換)する処理を行う。
【0074】
制御部114は、呼制御処理や、装置内障害情報収集のような監視制御処理を行う。監視制御処理の一つとして、制御部114は、ベースバンド処理部112で行われる信号処理用の内部リソースの割当制御を行う。
【0075】
タイミング制御部115は、伝送路インタフェース111で抽出されたクロック信号、或いはGPS(Global Positioning System)信号から生成した基準タイミング信号を元
に、伝送路インタフェース111,ベースバンド処理部112,E/O変換部113,制御部114へ分配するクロック信号を生成する。
電源部116は、動作用電力を伝送路インタフェース111,ベースバンド処理部112,E/O変換部113,制御部114に供給する。
【0076】
図9に示すように、
図8に示した伝送路インタフェース111は、例えば、PHY及びLANの収容機能111A、レイヤ2スイッチ(L2SW)機能111Bを実現する電子回路(インタフェース回路)によって実現することができる。例えば、伝送路インタフェースとして既存のネットワークカード(ネットワークインタフェースカード:NIC)を適用することができる。
【0077】
また、ベースバンド処理部112は、上記した各処理を実行するFPGA(Field Programmable Gate Array)112A及びDSP(Digital Signal Processor)112Bと、
メモリ112Cとで形成することができる。メモリ112Cは、RAM,DRAMのような揮発性記憶媒体と、ROM,EEPROMのような不揮発性記憶媒体とを含むことができる。メモリ112Cは、FPGA112AやDSP112Bによって実行される各種のプログラム,プログラムの実行時に使用されるデータを格納する。また、メモリ112Cは、FPGA112
AやDSP112Bの作業領域として使用される。
【0078】
E/O変換部113は、電気−光変換モジュール(E/Oモジュール)及び光−電気変換(
O/E)モジュールとしての電気−光間変換装置によって実現される。なお、本実施形態では、BBU−RRH間は光インタフェース(CPRI)で接続される例を示しているが、BBU−RRH間で電気信号が送受信されるようにしても良い。
【0079】
制御部114は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)114A及
びメモリ114Bによって実現される。メモリ114Bは、メモリ112Cと同様に、不揮発性記憶媒体と揮発性記憶媒体とを含み、CPU114Aによって実行される各種のプログラムやプログラム実行時に使用されるデータの格納領域、及びCPU114Aの作業領域として使用される。CPU114Aがメモリ114Bに格納されたプログラムを実行することによって、呼制御機能や監視制御機能(OAM(operation administration and
maintenance)機能を含む)が実現される。監視制御機能の一つとして、上記した内部リソースの調整処理が実行される。
【0080】
タイミング制御部115は、GPS受信機であるGPSモジュール115Aや、発振器(例えばVCXO)115Bの適用によって実現される。電源部116は、電源(PS)モジュール(電源装置)を用いて実現される。
【0081】
上記したDSP112B、CPU114Aは、プロセッサの一例であり、メモリ112C、メモリ114Bは、記憶装置の一例である。なお、上記したBBU11を構成する各種のハードウェアは、汎用ハードウェアを適用することができる。但し、ベースバンド処理部112,制御部114は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
のような専用ハードウェア、或いは専用ハードウェアと汎用ハードウェアとの組み合わせによって実現可能である。
【0082】
BBU11におけるユーザデータに対する処理は、大略して、以下の通りである。ダウンリンクのユーザデータは、IPパケットとして、伝送路インタフェース111にて受信される。IPパケットは、伝送路インタフェース111からベースバンド処理部112に転送される。
【0083】
ベースバンド処理部112では、多値変調処理やOFDM処理によってIPパケットをOFDM信号(ベースバンド信号)に変換する。ベースバンド信号はCPRI処理においてCPRIインタフェース上にIQ信号としてマッピングされる。CPRI処理によって生成されたCPRIインタフェース信号は、E/O変換部113において光信号に変換され、光ファイバを通じて目的のDB−RRH12へ送信される。
【0084】
一方、E/O変換部113は、各RRH13から光ファイバを介して受信される光信号をCPRI処理を通じてベースバンド信号に変換し、ベースバンド処理部112に送る。ベースバンド処理部112は、ベースバンド信号をIPパケットに変換し、伝送路インタフェース111に送り、伝送路インタフェースはIPパケットを伝送路へ送出する。
【0085】
また、制御部114は、監視制御(OAM含む)用のデータ(本明細書では、ユーザデータ以外のデータをまとめて「制御データ」と称する)を格納したIPパケットをベースバンド処理部112に送る。ベースバンド処理部112はIPパケットをベースバンド信号に変換し、CPRI処理によりCPRIインタフェース信号を得る。E/O変換部113でCPRIインタフェース信号が光信号に変換されて宛先のRRH13へ送信される。RRH13へ送られる制御データは、
図4及び
図7で示したシーケンス中のセルサーチ情報、報知情報、ランダムアクセ
ス応答メッセージを含むことができる。
【0086】
また、RRH13からは、制御データを含む光信号がE/O変換部113で受信され、ベースバンド信号に変換される。ベースバンド信号は、ベースバンド処理部112でIPパケットに変換され、制御部114に供給される。このようにして、制御部114は、制御データを受信することができる。RRH13から送られる制御データは、
図4及び
図7で示したシーケンスで示した障害情報、ランダムアクセス要求メッセージを含む。
<DB−RRHの構成>
【0087】
次に、DB−RRH12の構成例について説明する。
図10は、DB−RRH12の機能的な構成例を示し、
図11は、DB−RRH12のハードウェア構成例を示す。
【0088】
図11に示すように、DB−RRH12は、二系統の無線処理部を有し、第1のRRH13である無線処理部131と、第2のRRH13である無線処理部132とを含む。D
B−RRH12は、無線処理部131及び無線処理部132が電気的に接続されるE/O変換・多重分離部133と、無線処理部131,無線処理部132,及びE/O変換・多重分離部133に動作用電力を供給する電源部134とを含んでいる。
【0089】
無線処理部131と、無線処理部132とは同じ構成を有するので、無線処理部131を代表として説明する。無線処理部131は、E/O変換・多重分離部133と接続されたCPRIインタフェース部135と、CPRIインタフェース部135と接続された直交変復調器136とを含む。また、無線処理部131は、直交変復調器136と接続されたアップコンバータ137と、アップコンバータ137に接続された送信増幅器138と、送信増幅器138と接続されたデュプレクサ139とを含む。デュプレクサ139には、送受信アンテナ140が接続されている。さらに、無線処理部131は、デュプレクサ139に接続された受信増幅器141と、受信増幅器141及び直交変復調器136と接続されたダウンコンバータ142と、CPRIインタフェース部135と接続された制御部143とを含む。
【0090】
E/O変換・多重分離部133は、BBU11との間で送受信されるCPRIインタフェース信号のE/O変換又はO/E変換処理を行い、BBU11との間で通信を行う。また、E/O変換・多重分離部133は、二系統(無線処理部131及び132)に係る信号の分離・多重を行う。すなわち、E/O変換・多重分離部133は、BBU11−無線処理部131間で送受信される信号とBBU11−無線処理部132間で送受信される信号との多重又は分離処理を行う。
【0091】
CPRIインタフェース部135は、CPRIプロトコルに基づく処理をベースバンド信号に対して行う。例えば、CPRIインタフェース部135は、ベースバンド信号をIQ信号としてCPRIインタフェース上へマッピングすることによってCPRIインタフェース信号を生成する。また、CPRIインタフェース部135は、CPRIインタフェース信号をベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0092】
直交変復調部136は、直交変復調を通じてベースバンド信号と無線信号(RF(Radio Frequency))信号:アナログ信号)との変換処理を行う。
【0093】
アップコンバータ137は、直交変復調部136からのRF信号を電波として送信するための周波数に変換する。送信増幅器138は、アップコンバータ137で周波数が変換されたRF信号を増幅する。
【0094】
デュプレクサ139は、送信増幅器138からのRF信号を送受信アンテナ140から送信する。また、デュプレクサ139は、送受信アンテナ140で受信されたRF信号を受信増幅器141へ送る。
【0095】
受信増幅器141は、RF信号を増幅した後、ダウンコンバータ142に送る。ダウンコンバータ142は、RF信号を直交変復調部136での処理に応じた周波数に変換する。
【0096】
制御部143は、無線処理部131全体の制御を司る。例えば、無線処理部131の各部の状態(正常、異常(障害))を監視し、障害の検出を行う。制御部143は
、送信増幅器138の送信電力の制御を行う。例えば、他系監視部144から相手方(他系)の状態情報を受け取り、状態情報の内容に応じて自無線処理部の送信増幅器138の送信電力を増減させる処理を行う。
【0097】
他系監視部144(他系監視部144a)は、内部回線(内部通信経路)を介して無線処理部132の他系監視部144(他系監視部144b)と接続されており、他系(相手方)の状態を監視する。監視は、相手方の他系監視部144から送信される相手方の無線処理部(RRH)の状態情報を他系監視部114で受信し、制御部1
43で状態を検出することによって行われる。
【0098】
状態情報は、少なくとも無線処理部の正常,異常(障害)を少なくとも示すことができ
る。正常又は異常を
図4,7のシーケンスで示した障害情報は、状態「異常」を示す状態情報である。このように、無線処理部131と無線処理部132とは、他系監視部144a及び他系監視部144bによって、相手方の無線処理部の状態を相互に監視する。なお、状態情報は、異常の状態を示す場合に、異常箇所を特定する情報を含むことができる。この場合、状態情報の受信側において、異常箇所に応じて送信電力制御を行うか否かを判定することができる。例えば、少なくとも送信増幅器138の異常時には送信電力制御(低下)を実施する設定が行われる。
【0099】
図11のハードウェア構成例に示すように、E/O変換・多重分離部133は、E/Oモジュール,O/Eモジュール、信号の多重/分離回路の組み合わせ(
図11中のブロック133A)で実現可能である。また、電源部134は、電源装置(PSモジュール)を用いて実現される。
【0100】
無線処理部131(132)における直交変復調器13
6及びCPRIインタフェース部13
5は、FPGAを用いて実現することができる。送信増幅器138は、パワーアンプ138Aで実現され、受信増幅器141は、ローノイズアンプ141Aで実現される。
【0101】
制御部143は、各種のプログラムを実行するCPUと、及びCPUによって実行されるプログラム、及びプログラムの実行に際して使用されるデータを記憶するメモリで実現される。CPUはプロセッサの一例であり、メモリを作業領域として使用する。
【0102】
他系監視部144は、FPGAとフォトカプラとを含んで実現され、CPUからの指示に従って状態情報を生成し、フォトカプラにより状態情報を光信号の形式で相手方の他系監視部144へ送る。また、他系監視部144は、図示しない受光器を有し、相手方の他系監視部144から到達した光信号を受光器で受光することによって状態情報を取得し、制御部143に渡す。状態情報は、上記のように他系監視部144が生成してもよく、制御部143が生成した状態情報を他系監視部144が受け取るようにしてもよい。
【0103】
なお、他系監視部144間の信号は、光信号で送受信されるようにしているが、電気信号で送受信されるようにしても良い。また、状態情報の解釈は、制御部143で実施しても良く、他系監視部144で実施し、結果を制御部143に伝えるようにしても良い。
【0104】
上記のようなDB−RRH12のハードウェア構成は例示であり、CPRIインタフェース部135、直交変復調部136、制御部143、他系監視部144は、ASIC等のような専用のハードウェアで実現されることもできる。
<送信電力制御の動作例>
(動作例1)
【0105】
図12は、送信電力制御の動作例を示すフローチャートである。
図12において、無線処理部131の制御部143は、他系(無線処理部132)の監視中(001)に、無線処理部131内の異常(障害)を検出すると、他系監視部144aを制御して障害を示す状態情報を他系監視部144bへ送る(002)。
【0106】
制御部143は、送信増幅器138(パワーアンプ138A)を制御して送信出力を停止する(003)。続いて、制御部143は、無線処理部13
1の自律リセット(再起動処理)を行う(004)。障害の状態がソフトエラーである場合、再起動処理によってエラーが解消する可能性があるからである。
【0107】
制御部143は、再起動処理によって無線処理部131が正常に起動したか否かを判定する(005)。無線処理部131が正常に起動しなかった場合には、制御部143は、送信増幅器138の制御により送信増幅器138の動作を停止して、送信出力を停止する(006)。送信出力停止は、送信増幅器138の動作をオフにするのでも、送信増幅器138への電力供給を停止するのでも良い。
【0108】
これに対し、無線処理部131が正常に起動した場合には、運用を再開する(007)。運用再開によって、他系監視部144aが他系監視部144bに正常を示す状態情報を送る。
【0109】
一方、無線処理部132では、他系(無線処理部131)の監視中(008)に、他系監視部144bから異常(障害)を示す状態情報を受け取った場合には、無線処理部132の異常(障害)を検出する(009)。
【0110】
すると、無線処理部132の制御部143は、送信増幅器138を制御して、送信出力を低下させる(010)。その後、制御部143は、他系監視部144bから受け取る状態情報を監視して、無線処理部131の状態遷移が発生するのを待つ(011)。すなわち、制御部143は、自律リセット後の状態情報が送信されてくるのを待つ。なお、本実施形態では、自律リセットによって、自律リセット後の自系の状態情報が相手方に送信される構成が適用されており、これによって、状態情報の受信側は、他系の自律リセットを知ることができる。
【0111】
制御部143は、自律リセット後の状態情報が異常状態の継続を示さない(正常を示す)場合(012のNo)には、送信増幅器138を制御して、送信電力を元に戻す(013)。これに対し、状態情報が異常を示す場合には、送信出力の低下状態を維持し続ける。
(動作例2)
【0112】
動作例1では、正常時の送信出力レベルと異常時の送信出力レベルとの二つで送信電力制御を行う例を示した。動作例2では、送信出力を段階的に制御する例について説明する。
【0113】
図13は、段階的な送信出力制御の例を示す。
図13には、無線処理部131について、以下のような動作が例示されている。すなわち、時刻t1で無線処理部131に異常が発生し、時刻t2で送信出力が停止される。その後、所定の時刻t3で自律リセット(再起動)が行われ、正常状態に遷移すると、時刻t4で、送信出力が元の状態に回復する(再開される)。
【0114】
一方、無線処理部132では、以下の動作が行われる。すなわち、時刻t5で、無線処理部131の障害通知を受けて、制御部143は、送信出力を低下させる。その後、時刻t6になると、制御部143は、所定量だけ送信出力を上昇させる。さらに、時刻t7になると、制御部143は、所定量だけ送信出力を上昇させる。
【0115】
このように、動作例2では、相手方の障害通知を受け取った無線処理部132が、所定のレベルまで送信出力を低下させ、その後、段階的に送信出力を上昇させる。これによって、無線処理部131の送信出力停止直後に無線処理部132側に移動端末からの接続要求が集中するのを緩和することができる。そして、段階的に送信出力を上げていくことで、無線
処理部132に接続できる移動端末の地理的範囲(セル半径)を元の状態に近づけ
ていくことができる。時刻t2で、例えばセルC1と切断された或る移動端末が、セルC2にも隣接セルにも再接続できなかった場合には、当該移動端末は移動しない限り通信を再開できない。これに対し、段階的に送信出力が上昇し、セル半径が拡大することで、当該移動端末は、セルC2へ接続することが可能となる。
【0116】
なお、送信出力制御は、障害側の無線処理部131の動作と無関係に(非同期)で実行される。
図13の例では、無線処理部131の運用再開後の時刻t8で、無線処理部132の送信出力レベルが元のレベルに戻っている。
また、
図14に示すように、送信出力制御は、相手方の障害が検出されてから、段階的に所定のレベルまで低下するように実行することができる。
<作用効果>
【0117】
実施形態1によれば、DB−RRH12において、無線処理部131の異常発生によって無線処理部132への接続要求が集中することによる輻輳状態を回避することができる。
[実施形態2]
次に、実施形態2について説明する。実施形態2は、実施形態1と共通の構成を有するので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。
【0118】
図15は、実施形態2に係るDB−RRHの構成例を示し、
図16は、
図15に示したDB−RRHのハードウェア構成を示す。実施形態1(
図10、
図11)との相違点は以下の通りである。
【0119】
すなわち、実施形態2では、DB−RRH12は、電源制御部150をさらに含む。電源制御部150は、各無線処理部131及び132からの制御信号に従って、電源部134から供給される各部向けの電力の供給又は供給停止を行う。
【0120】
電源制御部150は、
図16に示すように、フォトカプラを用いて形成される。各制御部143は、図示しないフォトカプラを有し、他系(相手方)の電力供給停止を示す光信号を生成し、電源制御部150へ与える。電源制御部150は、受光器で光信号を受信し、電力供給を停止する無線処理部を特定し、電源部134から特定した無線処理部への電力供給を遮断することで電力供給を停止させる。
【0121】
このように、実施形態2では、DB−RRH12にて、各無線処理部131,132に他系監視部144を設けるとともに、監視情報(状態情報)を相互に伝達することで、無線処理部131、132同士が相互に状態監視を行うことができる。
【0122】
さらに、他系(相手方)の無線処理部(例えば無線処理部131)に異常が発生した場合に、無線処理部132が、検出した異常内容から判断して自己の送信電力出力を自律的に下げる処理を行う。
【0123】
また、異常となった無線処理部131は、自己判断のために自律リセットを実行する。自律リセット後も異常状態の検出が無線処理部132で継続する場合には、無線処理部132が電源制御部135に対して無線処理部13
1への電源供給停止の指示を行う。
【0124】
図17は、実施形態2における動作例を示すフローチャートである。
図17に示す001〜012の動作は、
図12に示した実施形態1の動作と同じであるので説明を省略する。012で、無線処理部132の制御部143は、自律リセット後の状態情報異常を示す
場合には、電源制御部150に、無線処理部131への電力供給を停止する旨の制御信号を供給する(014)。これによって、電源制御部150は、無線処理部131への電力供給を停止する。
【0125】
実施形態2によれば、自律リセット後も異常が継続する場合に、無線処理部132によって、無線処理部131への電力供給が停止される。これによって省電力が図られる。
【0126】
なお、上記した実施形態1,2では、無線処理部131(第1のRRH13)で障害が発生し、無線処理部132(第2のRRH13)で送信電力(送信出力)制御を行う例について説明したが、無線処理部132(第2のRRH13)で障害が発生した場合には、無線処理部131(第1のRRH13)で送信電力(送信出力)制御が行われる。すなわち、逆の動作が行われる。
<変形例>
【0127】
上記した実施形態1,2では、DB−RRH12を適用した基地局装置10について説明したが、DB−RRH12の機能は、二つの独立したRRHで同様の機能が実現されるようにすることができる。例えば、
図18に示すように、RRH41とRRH42との組、RRH43とRRH44との組、及びRRH45とRRH46との組が、それぞれDB−RRH12A,DB−RRH12B,及びDB-RRH12Cとして機能する構成を適
用することができる。
【0128】
RRH41,43及び45のそれぞれは、周波数帯f1を使用し、RRH42,44及び46のそれぞれは、周波数帯f2を使用する。各RRHの組とBBU11との接続形態は、
図18に示すように、組をなすRRH(RRH41とRRH42)のうちの一方(RRH42)がBBU11と接続され、他方(RRH41)は一方(RRH42)を介してBBUと接続されるデイジーチェーン型を適用することができる。或いは、組をなす各RRH(
図18では、RRH43及び44の組,RRH45及び46の組)がそれぞれBBU11に接続されるスター型を適用することができる。
【0129】
各RRH41〜46は、例えば、
図15に示した無線処理部131と、電源部134とを有する。但し、RRH43,44,45,46のそれぞれは、E/O変換部をそれぞれ個別に有し、BBU11は、各RRH43,44,45,46向けのCPRIインタフェース信号を生成して各RRH43〜46に送る。
【0130】
一方、RRH41、42は、E/O変換・多重分離部133をそれぞれ有する。そして、RRH42のE/O変換・多重分離部133で受信されるCPRIインタフェース信号がRRH42を介してRRH41へ送信され、RRH41のE/O変換・多重分離部133で受信されるように構成する。
【0131】
もっとも、RRH42のE/O変換・多重分離部133とRRH41とが接続されて、分離後のRRH41向けの信号がRRH41へ送信され、RRH42のE/O変換・多重分離部133で多重されるべきCPRI信号がRRH41から供給されるようにしても良い。
【0132】
また、組をなすRRH間には、監視情報(状態情報)を相互に伝達するためのRRH間インタフェースが設けられる。すなわち、組をなすRRHのそれぞれは、他系監視部144の代わりのRRH間インタフェース回路50を有し、当該インタフェース回路50間が通信回線で接続される。各インタフェース回路50は、自局の制御部143に接続される。
【0133】
上述した状態情報は、RRH間インタフェース回路50間で所定の通信形式に変換され、送受信される。また、実施形態2で説明したような電源制御部150は、組をなすRRHのそれぞれが有し、電源供給停止指示は、RRH間インタフェース回路50を介して相手方に伝達される。電源供給停止指示を受け取った制御部143は、電源制御部150を制御して、自系の電力供給を停止する。