(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーを示す消費エネルギー情報、該エネルギーが消費された時間帯を示す時間情報、及び各エネルギーが消費された箇所を識別する識別情報を取得する取得部と、
該取得部が取得した消費エネルギー情報、時間情報及び識別情報に基づいて、前記所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーの総和を示す総エネルギーが所定値以上であるときに各箇所で消費されるエネルギー、及び前記総エネルギーが前記所定値未満であるときに各箇所で消費されるエネルギーから得られる値を前記複数箇所毎に演算する演算部と、
該演算部による演算結果を出力する出力部と
を備える消費エネルギー分析装置。
所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーを示す消費エネルギー情報、該エネルギーが消費された時間帯を示す時間情報、及び各エネルギーが消費された箇所を識別する識別情報を取得し、
取得した消費エネルギー情報、時間情報及び識別情報に基づいて、前記所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーの総和を示す総エネルギーが所定値以上であるときに各箇所で消費されるエネルギー、及び前記総エネルギーが前記所定値未満であるときに各箇所で消費されるエネルギーから得られる値を前記複数箇所毎に演算し、
演算結果を出力する
消費エネルギー分析方法。
所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーを示す消費エネルギー情報、該エネルギーが消費された時間帯を示す時間情報、及び各エネルギーが消費された箇所を識別する識別情報をコンピュータに分析させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
複数の時間帯毎に前記所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーの総和を示す総エネルギーを算出する総消費エネルギー算出部、
該総消費エネルギー算出部にて算出された総エネルギーが所定値以上であるときの消費エネルギー情報と、前記総エネルギーが前記所定値未満であるときの消費エネルギー情報とを分類する分類部、
前記総エネルギーが前記所定値以上であるときの消費エネルギーを前記複数箇所毎に積算する第1積算部、
前記総エネルギーが前記所定値未満であるときの消費エネルギーを前記複数箇所毎に積算する第2積算部、及び
前記第1積算部が積算した積算値と、前記第2積算部が積算した積算値とを前記複数箇所毎に比較する比較部
として機能させるコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーを示す消費エネルギー情報、該エネルギーが消費された時間帯を示す時間情報、及び各エネルギーが消費された箇所を識別する識別情報を取得する取得部と、該取得部が取得した消費エネルギー情報、時間情報及び識別情報に基づいて、前記所定域内
の複数箇所でそれぞれ消費される
エネルギーの総和を示す総エネルギーが所定値以上であるときに各箇所で消費されるエネルギー、及び前記総エネルギーが前記所定値未満であるときに各箇所で消費されるエネルギーから得られる値を前記複数箇所毎に演算する演算部と、該演算部による演算結果を出力する出力部とを備える消費エネルギー分析装置である。
【0014】
本実施形態にあっては、取得部は所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーを示す消費エネルギー情報、該エネルギーが消費された時間帯を示す時間情報、及び各エネルギーが消費された箇所を識別する識別情報を取得する。所定域内はエネルギーが消費される箇所を複数含む領域である。所定域内は例えば家、ビル、ビル内のフロア、工場等であり、該所定域内は物理的に離隔した複数の領域を含んでも良い。消費されるエネルギーは、例えば、電力、熱、ガス、光等であり、エネルギーを担うものであれば特に限定されない。消費エネルギー情報は、複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーを示すものであり、消費エネルギーを示す態様は特に限定されない。消費エネルギー情報としては、例えば電力、熱量、ガス流量、二酸化炭素排出量、金額等が挙げられる。また、時間情報が示す時間帯の幅は特に限定されるものでは無く、秒単位であっても良い。取得部は、例えば外部装置から送信された消費エネルギー情報、時間情報及び識別情報を受信する通信部である。また、取得部には、記憶装置に蓄積された消費エネルギー情報、時間情報及び識別情報を読み出す読出部が含まれる。更に取得部には、消費エネルギーを計測する計器、時計等から消費エネルギー情報、時間情報及び識別情報を直接的に取得する構成が含まれる。
演算部は、所定域内で消費される総エネルギーが所定値以上であるときに各箇所で消費されるエネルギーと、前記総エネルギーが所定値未満であるときに各箇所で消費されるエネルギーとから得られる値を演算する。該演算部によって得られる値は、所定域内で消費される総エネルギーが大きいときに各箇所で消費されるエネルギーと、所定域内で消費される総エネルギーが小さいときに各箇所で消費されるエネルギーとの比較結果に相当する情報である。つまり、演算部によって得られる値は、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所を示している。
出力部は演算部による演算結果を出力する。所定域内でエネルギーを消費しているユーザは、出力部から出力された演算結果を参照することによって、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所を把握することが可能になる。出力部は、例えば演算結果をユーザが認識できる態様で出力する表示装置である。また、出力部には、外部の表示装置へ演算結果の情報を送信する構成が含まれる。
【0015】
(2)実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記演算部は、複数の時間帯毎に前記所定域内で消費される総エネルギーを算出する総消費エネルギー算出部と、該総消費エネルギー算出部にて算出された総エネルギーが前記所定値以上であるときの消費エネルギー情報と、前記総エネルギーが前記所定値未満であるときの消費エネルギー情報とを分類する分類部と、前記総エネルギーが前記所定値以上であるときの消費エネルギーを前記複数箇所毎に積算する第1積算部と、前記総エネルギーが前記所定値未満であるときの消費エネルギーを前記複数箇所毎に積算する第2積算部と、前記第1積算部が積算した積算値と、前記第2積算部が積算した積算値とを前記複数箇所毎に比較する比較部とを備える。
【0016】
本実施形態にあっては、演算部は、前記総エネルギーが所定値以上であるときに各箇所で消費されるエネルギーと、前記総エネルギーが所定値未満であるときに各箇所で消費されるエネルギーとを比較して得られる値を以下の方法で演算する。複数の時間帯毎に所定域内で消費される総エネルギーが算出され、該総エネルギーが所定値以上のときの消費エネルギー情報と、所定値未満のときの消費エネルギー情報とに分類される。そして、第1積算部は、所定域内における総エネルギーの消費量が大きいときに、各箇所で消費されるエネルギーを積算する。同様に、第2積算部は、所定域内における総エネルギーの消費量が小さいときに、各箇所で消費されるエネルギーを積算する。比較部は、第1及び第2積算部によって積算された各積算値を比較する。比較部による比較結果は、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所を示している。
【0017】
(3)本実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記第1積算部が積算した各箇所の積算値の総和に対する、前記第1積算部が積算した各箇所の積算値の割合を算出する第1割合算出部と、前記第2積算部が積算した各箇所の積算値の総和に対する、前記第2積算部が積算した各箇所の積算値の割合を算出する第2割合算出部とを備え、前記比較部は、前記第1割合算出部が算出した割合と、前記第2割合算出部が算出した割合との差分を前記複数箇所毎に算出する差分算出部を備える。
【0018】
本実施形態にあっては、第1及び第2積算部にて得られる積算値の大きさは、総エネルギーの分類結果によって変動する。例えば、所定域内で消費される総エネルギーが所定値以上である時間が長いと、第1積算部にて得られる積算値の値が大きくなり、所定域内で消費される総エネルギーが所定値未満である時間が長いと、第2積算部にて得られる積算値の値が大きくなる。
そこで、第1割合算出部は、第1積算部が積算した各箇所の積算値の総和に対する、前記第1積算部が積算した各箇所の積算値の割合を算出する。同様に、第2割合算出部は、第2積算部が積算した各箇所の積算値の総和に対する、前記第2積算部が積算した各箇所の積算値の割合を算出する。つまり、各積算値を割合で表現する。第1及び第2積算部にて得られる積算値を割合で示すことにより、各箇所における消費エネルギーの比較が容易になる。差分算出部は、第1及び第2割合算出部が算出した割合の差分を複数箇所毎に算出する。差分は、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所を示している。
【0019】
(4)本実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記差分算出部が前記複数箇所毎に算出した差分を表すグラフを生成する差分グラフ生成部を備える。
【0020】
本実施形態にあっては、差分算出部にて記複数箇所毎に算出される差分を表すグラフが生成される。該グラフによって、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所が視覚的に把握することが可能である。前記グラフは、例えば棒グラフ、折れ線グラフ、パイグラフ、レーダーチャート等であるが、特にその種類が限定されるものでは無い。他のグラフも同様にて、その種類が限定されるものでは無い。
【0021】
(5)本実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記総消費エネルギー算出部が算出した複数の総エネルギーを昇順又は降順に配列した棒グラフを生成する総消費エネルギーグラフ生成部を備える。
【0022】
本実施形態にあっては、複数の時間帯毎に算出された総エネルギーを昇順又は降順に配列した棒グラフが生成される。該棒グラフによって、所定域内で消費される総エネルギーの最大値、最小値、総エネルギーの大小の割合などの様子を視覚的に把握することが可能である。
【0023】
(6)本実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記所定値以上の複数の総エネルギーを昇順又は降順に配列した棒グラフを生成する超過総消費エネルギーグラフ生成部を備える。
【0024】
本実施形態にあっては、所定値以上の複数の総エネルギーを昇順又は降順に配列した棒グラフが生成される。該棒グラフによって、総エネルギーが大きいときに所定域内で消費される総エネルギーの大小の割合などの様子を把握することが可能である。
【0025】
(7)本実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記所定値未満の複数の総エネルギーを昇順又は降順に配列した棒グラフを生成する非超過総消費エネルギーグラフ生成部を備える。
【0026】
本実施形態にあっては、所定値未満の複数の総エネルギーを昇順又は降順に配列した棒グラフが生成される。該棒グラフによって、総エネルギーが小さいときに所定域内で消費される総エネルギーの大小の割合などの様子を把握することが可能である。
【0027】
(8)本実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記第1積算部又は前記第2積算部が前記複数箇所毎に積算した積算値を表すグラフを生成する積算値グラフ生成部を備える。
【0028】
本実施形態にあっては、第1積算部又は前記第2積算部にて前記複数箇所毎に積算された積算値を表すグラフが生成される。該グラフによって、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所が視覚的に把握することが可能である。
【0029】
(9)本実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記演算部が前記複数箇所毎に演算した値を表すグラフを生成するグラフ生成部を備える。
【0030】
本実施形態にあっては、演算部にて前記複数箇所毎に演算された値を表すグラフが生成される。該グラフによって、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所が視覚的に把握することが可能である。
【0031】
(10)本実施形態に係る消費エネルギー分析装置は、前記所定域内における前記複数箇所を表す域内画像を記憶する記憶部と、前記演算部が前記複数箇所毎に演算した値に係る画像を前記域内画像上に表す画像を生成する画像生成部とを備える。
【0032】
本実施形態にあっては、演算部にて前記複数箇所毎に演算された値に係る画像を域内画像上に表す画像が生成される。生成された画像によって、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所が視覚的に把握することが可能である。
【0033】
(11)本実施形態に係る消費エネルギー分析方法は、所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーを示す消費エネルギー情報、該エネルギーが消費された時間帯を示す時間情報、及び各エネルギーが消費された箇所を識別する識別情報を取得し、取得した消費エネルギー情報、時間情報及び識別情報に基づいて、前記所定域内
の複数箇所でそれぞれ消費される
エネルギーの総和を示す総エネルギーが所定値以上であるときに各箇所で消費されるエネルギー、及び前記総エネルギーが前記所定値未満であるときに各箇所で消費されるエネルギーから得られる値を前記複数箇所毎に演算し、演算結果を出力する。
【0034】
本実施形態によれば、所定域内で消費される総エネルギーが所定値以上であるときに各箇所で消費されるエネルギーと、前記総エネルギーが所定値未満であるときに各箇所で消費されるエネルギーとから得られる値を演算する。演算によって得られる値は、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所を示している。
【0035】
(12)本実施形態に係るコンピュータプログラムは、所定域内の複数箇所でそれぞれ消費されるエネルギーを示す消費エネルギー情報、該エネルギーが消費された時間帯を示す時間情報、及び各エネルギーが消費された箇所を識別する識別情報をコンピュータに分析させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、複数の時間帯毎に前記所定域内
の複数箇所でそれぞれ消費される
エネルギーの総和を示す総エネルギーを算出する総消費エネルギー算出部、該総消費エネルギー算出部にて算出された総エネルギーが所定値以上であるときの消費エネルギー情報と、前記総エネルギーが前記所定値未満であるときの消費エネルギー情報とを分類する分類部、前記総エネルギーが前記所定値以上であるときの消費エネルギーを前記複数箇所毎に積算する第1積算部、前記総エネルギーが前記所定値未満であるときの消費エネルギーを前記複数箇所毎に積算する第2積算部、及び前記第1積算部が積算した積算値と、前記第2積算部が積算した積算値とを前記複数箇所毎に比較する比較部として機能させる。
【0036】
本実施形態によれば、比較部による比較結果は、所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所を示している。
【0037】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は消費エネルギー分析システムの一構成例を示す概念図である。消費エネルギー分析システムは、家A、ビルB、工場C等の複数の所定域内で消費されるエネルギーをそれぞれ分析する消費エネルギー分析装置1を備える。所定域内で消費されるエネルギーとしては、電力、熱、ガス、光等が挙げられる。以下、エネルギーが電力の場合を例にして実施形態を説明する。各所定域内には、電力の供給経路として複数の系統が設けられている。各系統には一又は複数の設備が接続されており、該設備で電力が消費される。つまり、所定域内の複数箇所で電力が消費される。また、所定域内には、該所定域内で消費される電力の情報を収集する情報収集装置3が設けられている。情報収集装置3は通信網Nを介して消費エネルギー分析装置1に接続されており、情報収集装置3は収集した各種情報を消費エネルギー分析装置1へ送信する。消費エネルギー分析装置1は、情報収集装置3から送信された情報を受信し、受信した情報に基づいて、各所定域内で消費される電力を分析する。消費エネルギー分析装置1は、分析結果を、通信網Nを介して表示端末2へ送信する。表示端末2は、例えばタブレット端末、スマートフォン、携帯型のコンピュータ、ゲーム機、電話等であり、前記分析結果を表示する。
【0038】
図2は消費エネルギー分析装置1の一構成例を示すブロック図である。消費エネルギー分析装置1は、例えば、該消費エネルギー分析装置1の各構成部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部11を備えたコンピュータである。制御部11には、バスを介して、ROM12、RAM13、通信部14、記憶部15及び時計16が接続されている。
【0039】
ROM12は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性メモリであり、コンピュータの初期動作に必要な制御プログラムを記憶している。
【0040】
RAM13は、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)等のメモリであり、制御部11の演算処理を実行する際にROM12及び記憶部15から読み出された制御プログラム及び後述のコンピュータプログラム17a、又は制御部11の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。
【0041】
通信部14は、外部の情報収集装置3との間で各種情報を送受信するためのインタフェースであり、通信部14による各種情報の送受信は制御部11によって制御される。情報収集装置3は、後述するように、該情報収集装置3が設置された所定域内の複数の系統でそれぞれ消費される電力を示す消費電力情報、該電力が消費された時間帯を示す時間情報、該電力が消費されたときの環境情報及び各電力が消費された系統を識別する系統ID、所定域内を識別する施設IDを受信する。以下、通信部14が受信する各情報をまとめて適宜、消費電力情報等という。
【0042】
記憶部15は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の読み出しが可能なディスクドライブ、及び可搬式の記録媒体17からデータの読み出しが可能なCD−ROMドライブ等の装置である。記憶部15は、域内で消費される電力を分析するためのコンピュータプログラム17aを記憶している。コンピュータプログラム17aは、コンピュータ読み取り可能に記録された可搬式メディアであるCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray Disc)等の記録媒体17を介すなどしてハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等に記録されている。なお、光ディスクは、記録媒体17の一例であり、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、半導体メモリ等にコンピュータプログラム17aをコンピュータ読み取り可能に記録しても良い。また、通信網Nに接続されている図示しない外部コンピュータから本実施形態に係るコンピュータプログラム17aをダウンロードするようにしても良い。
また、記憶部15は、消費電力の分析に用いられる消費電力DB15a、施設DB15b、ビル平面図画像データ15c及び地図画像データ15dを記憶している。ビル平面図画像データ15c及び地図画像データ15dはビルB、工場C等の所定域内における複数の系統を表す画像データである。消費電力DB15a及び施設DB15bの詳細は後述する。
制御部11は、コンピュータプログラム17aが記録された記録媒体17又は記憶部15から、コンピュータプログラム17aをRAM13に読み出し、実行することにより、コンピュータを消費エネルギー分析装置1として機能させる。
【0043】
時計16は、年月日及び時刻を計時しており、制御部11は該時計16から現在の年月日及び時刻などの時間情報を取得することができる。
【0044】
図3は情報収集装置3の一構成例を示すブロック図である。情報収集装置3は、例えば、該情報収集装置3の各構成部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部31を備えたコンピュータである。制御部31には、バスを介して、ROM32、RAM33、通信部34、記憶部35、時計36及び収集部37が接続されている。情報収集装置3の各部のハードウェア構成は消費エネルギー分析装置1と同様である。
【0045】
収集部37は外部の消費電力計測部4、4、…及び環境計測部5、5、…から出力された信号ないし情報が入力するインタフェースである。消費電力計測部4、4、…は所定域内の複数の系統それぞれに設けられている。各消費電力計測部4、4、…は、該消費電力計測部4、4、…が設けられている各系統で消費される電力を計測し、計測した電力を示す消費電力情報を収集部37へ出力する。消費電力計測部4、4、…は例えば、系統を流れる電流及び電圧を検出するセンサを有し、該センサにて検出した電流及び電圧の値から得られる消費電力情報を出力する。系統に供給される電圧が一定である場合、電圧を検出するセンサは不要であり、消費電力計測部4、4、…は、電流の値から得られる消費電力情報を収集部37へ出力する。また、消費電力計測部4、4、…は、系統を流れる電流及び電圧の値を収集部37へ出力し、制御部31が電流及び電圧の値に基づいて消費電力を算出することにより、消費電力情報を得るように構成しても良い。
環境計測部5、5、…は、所定域内の複数の系統又は該系統の周辺に設けられている。環境計測部5、5、…は、例えば温度計であり、該温度計で計測した温度の情報を収集部37へ出力する。なお、温度は環境情報の一例であり、消費電力に影響を及ぼす各種情報が含まれる。例えば、環境情報として、天気、光量、風速、湿度、雨量等の情報を用いることもできる。
収集部37は、各系統に設けられた消費電力計測部4、4、…及び環境計測部5、5、…から、消費電力情報及び環境情報を収集する。
【0046】
制御部31は、収集した消費電力情報、環境情報、各情報を計測した系統を識別する系統ID、自身が設置されている所定域内を示す施設ID、並びに各情報を収集した年月日及び時刻を含む時間情報を対応付けて記憶部35に記憶させ、又は通信部34を介して消費エネルギー分析装置1へ送信する。施設IDは記憶部35が記憶している。施設ID、系統ID、消費電力情報、時間情報及び環境情報の送信タイミングは特に限定されない。例えば、各情報を記憶部35に蓄積しておき、所定のタイミングで制御部31が該記憶部35から各情報を読み出し、読み出した各情報を消費エネルギー分析装置1へ送信しても良い。また、制御部31は各情報を記憶部35に蓄積しておき、消費エネルギー分析装置1から要求があった場合に、記憶部35が記憶する各情報を読み出し、通信部34を介して消費エネルギー分析装置1へ送信しても良い。更に、制御部31は、収集部37が各情報を収集する都度、収集した各情報を消費エネルギー分析装置1へ送信しても良い。
なお、施設IDを付加して消費エネルギー分析装置1へ送信する例を説明したが、言うまでも無く、消費エネルギー分析装置1側で消費電力情報等の送信元である所定域内を特定し、施設IDを付加するように構成しても良い。同様にして、時間情報についても、消費エネルギー分析装置1側で特定し、特定した時間情報と共に消費電力情報を記憶しても良い。
【0047】
通信部34は、消費エネルギー分析装置1との間で各種情報を送受信するためのインタフェースであり、通信部34による各種情報の送受信は制御部31によって制御される。通信部34は、制御部31の制御に従って、施設ID、系統ID、消費電力情報、時間情報及び環境情報を消費エネルギー分析装置1へ送信する。
【0048】
図4は消費電力DB15aの一例を示す概念図である。消費電力DB15aは、複数の列、例えば「データID」列、「施設ID」列、「系統ID」列、「消費電力(kW)」列、「年月日」列、「時刻」列及び「環境情報」列を有する。消費電力DB15aの各行には、情報収集装置3から送信された各種情報が各列に対応するように格納される。
「データID」列は、各行に格納される情報をそれぞれ識別するためのIDを格納する。
「施設ID」列は、電力が消費された所定域内を識別するための識別情報を格納する。
「系統ID」列は、電力が消費された系統を識別するための識別情報を格納する。
「消費電力(kW)」列は、対応する施設ID及び系統IDが示す所定域内及び系統における消費電力の値を格納する。本実施形態1では制御部11は、30分間隔で消費電力の値を消費電力DB15aに記憶させる。例えば、通信部14にて消費電力の瞬間値を受信している場合、制御部11は、30分間、受信した消費電力の瞬間値をRAM13又は記憶部15に記憶させ、30分間蓄積した消費電力の情報に基づいて消費電力の平均値を算出し、算出した平均値を消費電力DB15aに記憶させる。一方、情報収集装置3から30分間隔で消費電力の平均値が送信される場合、制御部11は、消費電力情報等を受信する都度、受信した消費電力の平均値を消費電力DB15aに記憶させる。
「年月日」列は、前記電力が消費された年月日を示す情報を格納する。
「時刻」列は、前記電力が消費された時刻を格納する。本実施形態1では30分間隔で消費電力を消費電力DB15aに記憶させる構成であるため、30分間隔で時刻を格納している。
「環境情報」列は、前記電力が消費された環境を示す情報、たとえば温度を格納する。
【0049】
図5は施設DB15bの一例を示す概念図である。施設DB15bは、複数の列、例えば「施設ID」列、「系統ID」列及び「設備」列を有する。施設DB15bの各行には、電力が消費される所定域内及び系統に関する情報が各列に対応するように格納される。施設DB15bは、施設を識別するための識別情報と、該施設が有する系統を識別する識別情報と、該系統を通じて電力が消費される設備の種類を示す情報とを対応付けて記憶している。
【0050】
図6は消費電力分析の処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、分析対象である一所定域内の複数の系統でそれぞれ消費される電力を示す消費電力情報、該電力が消費された時間帯を示す時間情報、該電力が消費されたときの環境情報、電力が消費された所定域内を示す施設ID、及び各電力が消費された系統を識別する系統IDを取得する(ステップS11)。
【0051】
そして、制御部11は、複数の時間帯毎に所定域内で消費される総消費電力を算出する(ステップS12)。総消費電力W
total は、下記式(1)で表される。
【0053】
次いで、制御部11は、記憶部15が予め記憶している目標消費電力を読み出し、ステップS11で算出された総消費電力が特定の目標消費電力以上になるときの消費電力情報と、前記総消費電力が前記目標消費電力未満になるときの消費電力情報とを分類する(ステップS13)。
【0054】
次いで制御部11は、総消費電力が前記目標消費電力以上であるときの消費電力を複数の系統毎に積算する(ステップS14)。また、制御部11は、総消費電力が前記目標消費電力未満であるときの消費電力を前記複数の系統毎に積算する(ステップS15)。ステップS14及びステップS15で算出される積算値W
i-G1及びW
i-G2は下記式(2)、(3)で表される。
【0056】
次いで、制御部11は、ステップS14で積算した各系統の積算値の総和に対する、ステップS14で積算した各系統の積算値の割合を算出する(ステップS16)。また、制御部11は、ステップS15で積算した各系統の積算値の総和に対する、ステップS15で積算した各系統の積算値の割合を算出する(ステップS17)。ステップS16及びステップS17で算出される割合P
i-G1及びP
i-G2は下記式(4)、(5)で表される。
【0058】
そして、制御部11は、ステップS16で算出した割合と、ステップS17で算出した割合との差分を前記複数の系統毎に算出することにより、比較を行う(ステップS18)。ステップS18で算出する差分ΔW
i は下記式(6)で表される。
【0060】
なお、差分W
i は所定域内で消費されるエネルギーの削減に効果的な箇所を示す数値の一例である。例えば、エネルギーの削減に効果的な箇所を示す数値として、ステップS14で積算した各系統の積算値と、ステップS15で積算した各系統の積算値との差を用いても良い。また、ステップS16で算出した割合を、ステップS17で除算したような値でも良い。
【0061】
図7は消費電力の差分を示す図表である。
図7は、5つの系統における消費電力の差分を示している。最上段の「系統」に示す「A」,「B」,「C」,「D」,「E」は5つの系統をそれぞれ示している。「系統」の下行は、総消費電力が目標消費電力を超過したときの各系統の消費電力の割合をパーセント表示している。更にその下行には、総消費電力が目標消費電力未満であるときの各系統の消費電力の割合をパーセント表示している。各行の割合の合計は100になる。最下段の「差分ΔW
i 」には、目標超過時の各系統の消費電力の割合から、目標非超過時の各系統の消費電力の割合を減算した差分ΔW
i が示されている。このため差分ΔW
i が大きい程、総消費電力の削減に効果的な系統であることが分かる。つまり差分ΔW
i が大きい系統の消費電力を削減した方が、他の系統の消費電力を削減するよりも、より効果的に所定域内の総消費電力を削減することができる。
【0062】
次いで、制御部11は、ステップS14〜ステップS18で行った演算結果を出力する(ステップS19)。
【0063】
図8は分析結果の出力処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、総消費エネルギーグラフの表示指示があったか否かを判定する(ステップS31)。ユーザは、表示端末2を操作することによって、各種表示指示を表示端末2から消費エネルギー分析装置1へ送信することができる。制御部11は、通信部14を介して表示指示を受信し、各種表示指示の有無を判定する。総消費エネルギーグラフの表示指示があったと判定した場合(ステップS31:YES)、制御部11は、総消費エネルギーグラフを生成する(ステップS32)。総消費エネルギーグラフは、例えば、ステップS12で算出した複数の総消費電力を降順に配列した棒グラフである。なお、総消費電力を昇順に配列した棒グラフを生成するように構成しても良い。
【0064】
図9は総消費電力を降順で示す棒グラフである。縦軸は消費電力、横軸は各時間帯の総消費電力の順位である。棒グラフの各棒は、所定域内で各時間帯に消費される総消費電力を示しており、右方へ降順に配列している。また、各棒は各系統で消費される消費電力を示す複数の棒部分を含む。例えば、A系統〜E系統で消費された消費電力を示す棒部分が下側から上方へ並び配されている。各棒部分は系統毎に異なる態様で表示される。例えば、各棒部分は異なる色で表示される。各棒部分を異なる態様で表示することによって、ユーザは、総消費電力の分布を把握すると共に、各系統における消費電力の分布傾向を視覚的に把握することができる。以下に説明する他のグラフについても、系統毎に異なる態様でグラフ表示を行うことにより同様の効果を奏する。
【0065】
ステップS32の処理を終えた場合、又はステップS31で総消費エネルギーグラフの表示指示が無いと判定した場合(ステップS31:NO)、制御部11は、目標超過時グラフの表示指示があったか否かを判定する(ステップS33)。目標超過時グラフの表示指示があったと判定した場合(ステップS33:YES)、制御部11は、目標超過分の総消費エネルギーグラフを生成する(ステップS34)。目標超過分の総消費エネルギーグラフは、例えば、目標消費電力以上の複数の総消費電力を降順に配列した棒グラフである。なお、目標消費電力以上の複数の総消費電力を昇順に配列した棒グラフを生成するように構成しても良い。
【0066】
図10は目標消費電力超過時の総消費電力を降順に示す棒グラフである。縦軸は消費電力、横軸は目標消費電力を超過した各時間帯の総消費電力の順位である。棒グラフの各棒は、総消費電力が目標消費電力以上の各時間帯において所定域内で消費される総消費電力を示しており、右方へ降順に配列している。棒グラフの各棒の詳細は
図9で示した棒グラフと同様である。
【0067】
次いで、制御部11は目標超過分の系統別消費エネルギーグラフを生成する(ステップS35)。目標超過分の系統別消費エネルギーグラフは、ステップS14で前記複数の系統毎に積算した積算値を表すグラフである。該グラフは例えば棒グラフである。
【0068】
図11は目標消費電力超過時における系統別消費電力を示す棒グラフである。縦軸は消費電力、横軸は系統を示している。棒グラフの各棒は、総消費電力が目標消費電力以上になった各時間帯の消費電力を系統別に積算した積算値を示しており、系統別に横方向に配列している。棒グラフの各棒は系統毎に異なる態様で表示される。例えば、各棒部分は異なる色で表示される。なお、
図11に示した各棒の表示態様と、
図9及び
図10に示す各棒部分の表示態様とは系統毎に統一すると良い。例えば、
図11に示すA系統の消費電力を示す棒の表示態様と、
図9及び
図10に示すA系統の消費電力に対応する棒部分の表示態様とを略同一にすると良い。他の系統についても同様である。
【0069】
ステップS35の処理を終えた場合、又は目標超過時グラフの表示指示が無いと判定した場合(ステップS33:NO)、制御部11は、目標非超過時グラフの表示指示があったか否かを判定する(ステップS36)。目標非超過時グラフの表示指示があったと判定した場合(ステップS36:YES)、制御部11は、目標非超過分の総消費エネルギーグラフを生成する(ステップS37)。目標非超過分の総消費エネルギーグラフは、例えば、目標消費電力未満の複数の総消費電力を降順に配列した棒グラフである。なお、目標消費電力未満の複数の総消費電力を昇順に配列した棒グラフを生成するように構成しても良い。
【0070】
図12は目標消費電力非超過時の総消費電力を降順に示す棒グラフである。縦軸は消費電力、横軸は目標消費電力未満の各時間帯の総消費電力の順位である。棒グラフの各棒は、目標消費電力未満である各時間帯において所定域内で消費される総消費電力を示しており、右方へ降順に配列している。棒グラフの各棒の詳細は
図9で示した棒グラフと同様である。
【0071】
次いで、制御部11は目標非超過分の系統別消費エネルギーグラフを生成する(ステップS38)。目標非超過分の系統別消費エネルギーグラフは、ステップS15で前記複数の系統毎に積算した積算値を表すグラフである。該グラフは例えば棒グラフである。
【0072】
図13は目標消費電力非超過時における消費電力を系統別に示す棒グラフである。縦軸は消費電力、横軸は系統を示している。棒グラフの各棒は、総消費電力が目標消費電力未満になった各時間帯の消費電力を系統別に積算した積算値を示しており、系統別に横方向に配列している。棒グラフの各棒は系統毎に異なる態様で表示される。
【0073】
ステップS38の処理を終えた場合、又は目標非超過時グラフの表示指示が無かったと判定した場合(ステップS36:NO)、制御部11は、比較結果の表示指示があったか否かを判定する(ステップS39)。比較結果の表示指示があったと判定した場合(ステップS39:YES)、制御部11は、ステップS18で記複数の系統毎に算出した差分を表す差分グラフを生成する(ステップS40)。差分グラフは、例えば棒グラフである。
【0074】
図14は目標消費電力超過時及び非超過時の消費電力の差分を系統別に示す棒グラフである。縦軸は目標消費電力超過時及び非超過時の消費電力の差分を示し、横軸は系統を示している。棒グラフの各棒は、目標消費電力を超過した時間帯の消費電力を系統別に積算した積算値の割合と、目標消費電力未満である各時間帯の消費電力を系統別に積算した積算値割合との差分を示しており、系統別に横方向に配列している。特に
図14では、目標消費電力超過時の前記割合から目標消費電力未満時の前記割合を減算した値が棒グラフで表示されている。各系統の内、差分の値が最大の棒は、他の棒と異なる態様で表示される。差分の値が最大の棒を他の棒と異なる態様で表示することにより、総消費電力の削減に効果的な系統を強調して表示することが可能になる。
【0075】
ステップS40の処理を終えた場合、又は比較結果の表示指示が無かった場合(ステップS39:NO)、制御部11は、地図の表示指示があったか否かを判定する(ステップS41)。地図の表示指示があったと判定した場合(ステップS41:YES)、制御部11は、比較結果の画像を生成する(ステップS42)。つまり、制御部11は、記憶部15からビル平面図画像データ15c又は地図画像データ15dを読み出し、複数の系統毎に算出した差分を示す節電効果表示画像6aをビル平面画像又は地図画像6(
図15参照)上に重畳した画像を生成する。
【0076】
図15は節電効果表示画像6aが重畳された地図画像6の一例を示す概念図である。地図画像6には敷地及び建物の画像が含まれており、電力が消費される系統の位置関係が分かるように、系統を示す画像が表示されている。また、目標消費電力超過時の消費電力の割合と、目標消費電力非超過時の消費電力との差分を示す節電効果表示画像6aが、対応する系統を示す画像の近傍に表示される。また、差分が最も大きい系統を示す画像の表示態様を、他の系統を示す画像と異なる態様で表示すると良い。総消費電力の削減に効果的な系統を強調して表示することが可能になる。なお、ここでは地図画像6を例示したが、ビル内の各系統における前記差分も、ビル平面画像を用いて同様に生成することができる。
【0077】
次いで、制御部11は、上述の処理で生成した各種グラフを表示し(ステップS43)、処理を終える。具体的には、制御部11は、上述の処理で生成した各種グラフの画像データを表示端末2へ送信する。表示端末2は消費エネルギー分析装置1から送信された画像データを受信し、受信した画像データに基づいて、上述の各種グラフを表示する。
【0078】
なお、本実施形態1では、説明の便宜上、消費電力の分析と、グラフ生成及び表示の処理を分けて説明したが、各処理の手順は特に限定されるものでは無い。例えば、制御部11は、表示指示がある都度、消費電力の分析、グラフ生成及び表示処理を実行しても良い。
【0079】
このように構成された消費エネルギー分析装置1、消費エネルギー分析方法及びコンピュータプログラム17aによれば、所定域内のどの系統の消費電力を削減すれば、域内全体の消費電力を効果的に削減することができるのかを把握することが可能になる。
【0080】
また、本実施形態によれば、目標消費電力超過時及び非超過時における各系統の消費電力を比較する際、各系統の消費電力の割合を算出し、算出された割合の差分をグラフ表示するように構成している。従って、目標消費電力超過時及び非超過時における総消費電力の差の大きさに拘わらず、各系統の消費電力を容易に行うことができる。
【0081】
更に、所定域内で総消費電力の削減に効果的な系統をグラフ表示することができる。従って、ユーザは総消費電力の削減に効果的な系統を視覚的に把握することができる。
【0082】
更にまた、所定域内で総消費電力の削減に効果的な系統をビル平面図又は地図画像6上に表示することができる。従って、ユーザは総消費電力の削減に効果的な系統及び位置を視覚的に把握することができる。
【0083】
更にまた、所定域内の総消費電力、目標消費電力超過時及び非超過時の総消費電力をグラフ表示することができる。また、目標消費電力超過時及び非超過時における各系統の消費電力の積算値をグラフ表示することができる。
【0084】
(実施形態2)
実施の形態2は、特定の時間帯及び環境を考慮した消費電力分析を行うことを可能にするものである。
図16は実施形態2に係る消費電力分析の処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、分析対象である一所定域内の消費電力情報等を取得する(ステップS211)。
【0085】
そして、制御部11は、現在の時間情報及び環境情報を取得する(ステップS212)。制御部11は、分析対象の所定域内に設けられた情報収集装置3に環境情報を要求し、要求に応じて情報収集装置3から送信された環境情報を取得すれば良い。また、時間情報は時計16から取得することができる。そして、制御部11は、ステップS211で取得した消費電力情報等の中から、現在と類似の時間帯及び環境で計測された消費電力情報等を選択する(ステップS213)。例えば、時間情報が示す月が現在の月と同一で、環境情報が示す温度が現在の温度から所定温度差の範囲にある消費電力情報等を選択する。
【0086】
次いで、制御部11はステップS213で選択した消費電力情報等に基づいて、実施形態1で説明したステップS12〜ステップS19と同様の処理をステップS214〜ステップS221で実行する。ステップS214〜ステップS221の処理内容は、演算に使用する消費電力情報等の内容が異なるのみであるため、詳細な説明を省略する。
【0087】
実施形態2の消費エネルギー分析装置1、消費エネルギー分析方法及びコンピュータプログラム17aによれば、現在の時間帯及び環境の下において、どの系統の消費電力を削減すれば、域内全体の消費電力を効果的に削減することができるのかを把握することが可能になる。
【0088】
(実施形態3)
実施の形態2は、一所定域内における消費電力情報等の蓄積が不十分な場合であっても消費電力分析を行うことを可能にするものである。
図17は実施形態3に係る消費電力分析の処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、分析対象である一所定域内の消費電力情報等を取得する(ステップS311)。
【0089】
次いで、制御部11は、ステップS311で取得した消費電力情報が所定量以上であるか否かを判定する(ステップS312)。所定量未満であると判定した場合(ステップS312:NO)、制御部11は、分析対象と類似の所定域を特定する(ステップS313)。分析対象と類似の所定域とは、例えば該分析対象の所定域内に設けられた設備と、類似の設備を略同一の割合で有する領域である。具体的には、所定域の特徴を特徴ベクトルで表現し、分析対象の特徴ベクトルと、比較対象の特徴ベクトルとの余弦を類似度として算出し、該類似度が所定値以上である場合、各所定域が類似すると判定すれば良い。特徴ベクトルは、例えば設備の種類を成分として有し、所定域に設けられた同一種類の設備の数を該成分の値とすれば良い。つまり、特徴ベクトルを(コンセント、照明、空調、・・・)のように表現すれば良い。なお、特徴ベクトルの余弦は類似度の一例であり、ユークリッド距離等の各種距離など、複数の所定域が有する設備の類似性を表現できる類似度であれば良く、特定の手法に限定されるものでは無い。
【0090】
そして、制御部11は類似の所定域の消費電力情報等を取得する(ステップS314)。制御部11は類似の所定域に対応する施設IDに基づいて、消費電力情報を選択的に取得することができる。
【0091】
制御部11は、ステップS314で取得した消費電力情報等が前記所定量以上であるか否かを判定する(ステップS315)。なお、ステップS312の判定処理に使用する所定量と、ステップS315の判定処理に使用する所定量とを異なる値にしても良い。
【0092】
ステップS314で取得した消費電力情報等が前記所定量未満であると判定した場合(ステップS315:NO)、制御部11は処理を終える。
【0093】
ステップS311で取得した消費電力情報等が前記所定量以上であると判定した場合(ステップS312:YES)、又はステップS314で取得した消費電力情報等が前記所定量以上であると判定した場合(ステップS315:YES)、制御部11は、前記所定量以上の消費電力情報等に基づいて、実施形態1で説明したステップS12〜ステップS19と同様の処理をステップS316〜ステップS323で実行する。ステップS316〜ステップS323の処理内容は、演算に使用する消費電力情報等の内容が異なるのみであるため、詳細な説明を省略する。
【0094】
実施形態3の消費エネルギー分析装置1、消費エネルギー分析方法及びコンピュータプログラム17aによれば、分析対象の消費電力情報等の蓄積量が不足していても、どの系統の消費電力を削減すれば、域内全体の消費電力を効果的に削減することができるのかを把握することが可能になる。
【0095】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。