(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
乗員が着座するシート座部(1)のパッド部材(2)と表皮部材(5,50)との間に荷重検出装置(4)を、前記パッド部材(2)の上面に刻設した凹溝(3)を横切るように設けた乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造において、
前記表皮部材(5,50)を前記凹溝(3)内へ引き込む吊り部材(10,100,101)と、
前記吊り部材(10,100,101)の前記表皮部材(5,50)と連結する連結線(24,240,241)の対辺に結合された二の吊り込み部材(9,90)と、
を備え、
前記吊り部材(10,100)は、前記各吊り込み部材(9,90)にそれぞれ結合される二のものであり、
前記連結線(24,240,241)の長さは、前記吊り部材(10,100)の前記各吊り込み部材(9,90)と結合する部分の長さよりそれぞれ長くなるよう構成するとともに、前記吊り部材(10,100)の前記吊り込み部材(9,90)が対向する側の切込部(11,110,111)で形成される開口を通して前記荷重検出装置(4)が配設されていることを特徴とする乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造。
前記切込部(11,110,111)で形成される開口の形状は、前記吊り込み部材(9,90)側に開いたV字状であることを特徴とする請求項1に記載の乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造。
前記吊り部材(101)における切込部(111)で形成された開口の前記各吊り込み部材(9,90)が対向する間隙を橋架する補助吊り込み部材(92)を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に装備されたシートベルトやエアバッグ等の各種安全装置の性能を向上させるため、車両シートに乗員が着座している状態を検知してこれらの安全装置をコントロールする技術がある。そして、このような乗員の着座状態を検知するのに適する荷重検出装置として、可撓性を有するフィルム状のメンブレンスイッチがある。車両シートの座部や背もたれ部は、一般にウレタン等で構成されたパッド部材に、布やビニールレザー、皮革等の表皮部材を被せて構成している。具体的には、パッド部材の表面に備えた凹溝に表皮部材を引き込み、引き込んだ表皮部材をパッド部材の内部で凹溝の近傍に配置された係留部材(ワイヤー又は樹脂棒)に固定具(固定環)によって固定し、パッド部材の表面の形状に表皮部材が沿うように構成している。
【0003】
このように構成した車両シートでは、凹溝が車両シート座部のパッド部材の着座部に位置していることが多いので、荷重検出装置(メンブレンスイッチ)の各検知部の間に設けられ検知部の信号を伝達する導通部が、凹溝を横切る状態となる。導通部が凹溝を横切った状態で車両シートに固定され取付けられると車両シートに荷重が加わった際に、凹溝の変形に伴い導通部が変形され断線する虞がある。そこで、断線を防止するため導通部はゆとりをもって凹溝部に配設され、導通部のたるんだ部分は凹溝内に収納されるように構成される。しかしながら、車両シートに乗員が着座したとき凹溝は深さ方向に圧縮されてその溝深さが浅くなる。そのため、導通部のたるんだ部分が凹溝底部や縁部で極度に屈曲したり、たるんだ部分同士が強く当接したりする状態になる。そのような状態が反復されると、荷重検出装置の導通部は断線する虞がある。
【0004】
このような導通部の断線を防止する技術として開示されたものは、例えば特許文献1がある。特許文献1の技術は、乗員が着座するシートのフォームと表皮との間に組み込まれてシート上に加わる荷重を検出する乗員着座センサを有し、この乗員着座センサの信号線がフォームに凹設されている吊り溝と交差して配される交差部において、凹溝内を表皮に取り付けられたワイヤが通り、そのワイヤの下側を信号線が潜り抜けて配されている乗員着座センサの取付け構造であって、信号線と交差している凹溝の底面を深く形成して深溝部を設け、且つ吊り溝に沿ってフォームに埋設されているワイヤを深溝部内から除去し、信号線の折り返し部を深溝部内に自由度を持たせて配設したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1によれば、信号線は凹溝をより深く形成した深溝部まで延長して吊り袋を迂回させているので、信号線が過剰に長くなりセンサのコスト上昇を招くとともに、センサのシートへの装着作業が困難になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、コストが低減された荷重検出装置を容易にシート座部に装着し得る乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、乗員が着座するシート座部(1)のパッド部材(2)と表皮部材(5,50)との間に荷重検出装置(4)を、前記パッド部材(2)の上面に刻設した凹溝(3)を横切るように設けた乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造において、前記表皮部材(5,50)を前記凹溝(3)内へ引き込む吊り部材(10,100,101)と、前記吊り部材(10,100,101)の前記表皮部材(5,50)と連結する連結線(24,240,241)の対辺に結合された二の吊り込み部材(9,90)とを備え、前記吊り部材(10,100)は、前記各吊り込み部材(9,90)にそれぞれ結合される二のものであり、前記連結線(24,240,241)の長さは、前記吊り部材(10,100)の前記各吊り込み部材(9,90)と結合する部分の長さよりそれぞれ長くなるよう構成するとともに、前記吊り部材(10,100)の前記吊り込み部材(9,90)が対向する側の切込部(11,110,111)で形成される開口
を通してに前記荷重検出装置(4)
が配設されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、荷重検出装置(4)は、吊り込み部材(9,90)よりも連結線(24,240,241)により近い切込部(11,110,111)の開口
を通して配設されているので、荷重検出装置(4)の長手方向の長さを短縮させることが可能になり、荷重検出装置(4)のコストを低減することができるとともに、過剰に長い荷重検出装置(4)を取り扱う必要がないので、荷重検出装置(4)をシート座部(1)に装着する作業が容易になるという優れた効果を奏する。更に、吊り部材(10,100)は、各吊り込み部材(9,90)にそれぞれ結合される二のものであるから、分割された吊り込み部材(9,90)間の間隙に起因する部分的な引張り力の低下を補って表皮部材(5,50)を効果的にむらなく引き込むことができる。
【0010】
また
、乗員が着座するシート座部(1)のパッド部材(2)と表皮部材(5,50)との間に荷重検出装置(4)を、前記パッド部材(2)の上面に刻設した凹溝(3)を横切るように設けた乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造において、前記表皮部材(5,50)を前記凹溝(3)内へ引き込む吊り部材(102)と、
前記吊り部材(102)の前記表皮部材(5,50)と連結する連結線(242)の対辺に結合された吊り込み部材(91)と、前記吊り部材(102)に設けられた開口部(23)とを備え、前記開口部(23)を通して前記荷重検出装置(4)が配設され
ていてもよい。
【0011】
この構成によれば、荷重検出装置(4)は、吊り込み部材(91)よりも連結線(242)により近い開口部(23)を挿通するので、荷重検出装置(4)の長手方向の長さを短縮させることが可能となり、荷重検出装置(4)のコストを低減することができるとともに、過剰に長い荷重検出装置(4)を取り扱う必要がないので、荷重検出装置(4)をシート座部(1)に装着する作業が容易になるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適時省略する。また、図面(特に断面図)においては、上下左右の縮尺を変更して表示する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、車両のシート座部1は、ウレタン等でシートの基体として構成されクッション性を有するパッド部材2と、布やビニールレザー、皮革等からなりパッド部材2の上面及び側面を包み込む表皮部材5,50と、パッド部材2と表皮部材5との間に介在される荷重検出装置4とを備える。
【0015】
パッド部材2の上面には、表皮部材5,50を引き込んでパッド部材2の表面形状に倣うようにするため、複数の凹溝3が刻設されている。表皮部材5,50を引き込む手段は、後述するが、吊り部材10,100、吊り込み部材9,90及び図示しない吊り込み部材の固定具による。また、パッド部材2の下面には、パッド部材2の下方に設置する通風ファン6の風をシート座部1の前部(
図1,2における左方)に導くための図示しない通路を設けることがある。
【0016】
荷重検出装置4は、
図3乃至
図5に示すように、第一フィルム部材14,19と第二フィルム部材15,20とを貼り合わせてなるメンブレンスイッチ状の検知部7及び導通部8並びにコネクタ12又はワイヤSUBにより構成される。
【0017】
第一フィルム部材14は、扁平なフィルム形状であって、可撓性を有する樹脂(例えばPEN等)を主として形成されている。第一フィルム部材14の一面側には、導電材料である銀(Ag)が印刷された銀層S1と、さらに銀層S1の一面側にカーボン(C)が印刷されたカーボン層S2が銀層S1を覆うように形成されている。第一フィルム部材14の他面側は、銀層S1およびカーボン層S2を覆う被覆層F1を構成している。つまり、第一フィルム部材14は、第一導電層(銀層S1およびカーボン層S2)と、被覆層F1と、を有している。
【0018】
第二フィルム部材15は、第一フィルム部材14と同様に、扁平なフィルム形状であって、可撓性を有する樹脂(例えばPEN等)を主として形成されている。第二フィルム部材15の一面側には、導電材料である銀が印刷された銀層S5と、さらに銀層S5の一面側にカーボンが印刷されたカーボン層S4が銀層S5を覆うように形成されている。第二フィルム部材15の他面側は、銀層S5およびカーボン層S4を覆う被覆層F2を構成している。つまり、第二フィルム部材15は、第二導電層(銀層S5およびカーボン層S4)と、被覆層F2と、を有している。
【0019】
スペーサ部材16は、扁平形状であって、可撓性を有する絶縁性の樹脂(例えばPET等)で形成されている。スペーサ部材16は、第一フィルム部材14の一面側(カーボン層S2)と、第二フィルム部材15の一面側(カーボン層S4)の間に配置されている。スペーサ部材16は、平面視においてドーナツ形状である。すなわち、スペーサ部材16は、平面視の略中央に貫通部17を有している。貫通部17は、スペーサ16の略中央を上下に貫通させて形成されている。貫通部17により第一導電層と第二導電層の間に空間層S3が形成されている。
【0020】
接着部材18は、粘着材であって、第一フィルム部材14の一面側(カーボン層S2)とスペーサ部材16の一面側、および、第二フィルム部材15の一面側(カーボン層S4)とスペーサ部材16の他面側を接着している。本実施形態では、接着部材18として、アクリル系粘着材を用いている。
【0021】
導通部8は、センサ本体41のうち検知部7以外の部位である。具体的に、導通部8は、検知部7と隣の検知部7、または、検知部7とコネクタ12とを電気的に接続する配線部分である。導通部8は、
図5に示すように、第一フィルム部材19と、第二フィルム部材20と、スペーサ部材21と、接着部材22と、を備えている。センサ本体41をパッド部材2に装着するときは、導通部8が凹溝3内に収納される。
【0022】
第一フィルム部材19は、扁平なフィルム形状であって、可撓性を有する樹脂(例えばPEN等)を主として形成されている。第一フィルム部材19は、検知部7の第一フィルム部材14と一体に形成されている。つまり、第一フィルム部材14,19は、1つのフィルム部材である。
【0023】
第一フィルム部材19の一面側には、導電材料である銀が印刷された銀層S1と、銀層S1を覆うカーボン層S2が形成されている。第一フィルム部材19の他面側は、銀層S1およびカーボン層S2を覆う被覆層F1を構成している。つまり、第一フィルム部材19は、検知部7と同様に、第一導電層(銀層S1およびカーボン層S2)と、被覆層F1と、を有している。
【0024】
第二フィルム部材20は、扁平なフィルム形状であって、可撓性を有する樹脂(例えばPEN等)を主として形成されている。第二フィルム部材20は、検知部7の第二フィルム部材15と一体に形成されている。つまり、第二フィルム部材15,20は、1つのフィルム部材である。
【0025】
第二フィルム部材20の一面側には、導電材料である銀が印刷された銀層S5と、銀層S5を覆うカーボン層S4が形成されている。第二フィルム部材20の他面側は、銀層S5およびカーボン層S4を覆う被覆層F2を構成している。つまり、第二フィルム部材20は、検知部7と同様に、第二導電層(銀層S5およびカーボン層S4)と、被覆層F2と、を有している。
【0026】
スペーサ部材21は、フィルム部材19,20と同様の扁平形状であって、可撓性を有する絶縁性の樹脂(例えばPET等)で形成されている。スペーサ部材21は、第一フィルム部材19の一面側(カーボン層S2)と、第二フィルム部材20の一面側(カーボン層S4)の間に配置されている。スペーサ部材21には、貫通部17は形成されていない。つまり、導通部8には空間層S3は存在しない。スペーサ部材21は、スペーサ部材16と一体で形成されている。つまり、スペーサ部材16,21は、一部品からなっている。
【0027】
接着部材22は、第一フィルム部材19の一面側とスペーサ部材21の一面側、および、第二フィルム部材20の一面側とスペーサ部材21の他面側を接着している。本実施形態では、接着部材22として、接着部材18と同様に、アクリル系粘着材を用いている。
【0028】
コネクタ12は、センサ本体41の一端部に接続され、センサ本体41とECUやシートベルトバックルスイッチなどの外部装置13との電気的な接続を行うものである。センサ本体41は、一端にコネクタ12が固定され、他端に検知部7が配置されている。センサ本体41は、一端から他端(他端から一端)に向かう方向が長手方向となっている。
【0029】
検知部7は、車両用シート座部1に乗員が着座すると、
図4において、第一フィルム部材14が下方に第二フィルム部材15が上方にそれぞれ押圧され、空間層S3において第一導電層のカーボン層S2と第二導電層のカーボン層S4が接触する。これにより、第一導電層S1、S2と第二導電層S4、S5が導通(電気的に接続)し、コネクタ12を介して導通(オン)情報が外部装置13に送信される。このようにして、荷重検出装置4は、乗員の着座を検知することができる。
【0030】
なお、センサ本体41の検知部7は、直線的に配設される例を示したが、導通部8を分岐させて枝状に配設してもよい。また、検知部7の個数と相互の間隔は、シート座部1の形状や体格に応じて任意に設定されるものである。
【0031】
(第1実施形態)
図2及び
図6に示すように、表皮部材5及び表皮部材50は、それらの端部同士が凹溝3の開口中央部で吊り部材10,100とともに突き合わされ連結線24,240を形成して吊り部材10,100に連結されている。吊り部材10,100は、織布等からなり、袋状に形成されるものであってもよい。
【0032】
吊り部材10の連結線24における対辺には吊り込み部材9が結合されている。一方、吊り部材100の連結線240における対辺には吊り込み部材90が結合されている。吊り込み部材9,90は、樹脂棒又は金属ワイヤ等でなり、吊り部材10,100が袋状であるときはその中に挿入される。吊り込み部材9の吊り込み部材90と対向する側で結合される吊り部材10は、吊り込み部材9の吊り部材10結合面から鈍角で立ち上がる切込部11を有している。そして、吊り込み部材9の吊り込み部材90と対向しない側では、吊り込み部材9の吊り部材10結合面から直角に吊り部材10が結合されている。一方、吊り込み部材90の吊り込み部材9と対向する側で結合される吊り部材100は、吊り込み部材90の吊り部材100結合面から鈍角で立ち上がる切込部110を有している。そして、吊り込み部材90の吊り込み部材9と対向しない側では、吊り込み部材90の吊り部材100結合面から直角に吊り部材100が結合されている。
【0033】
そのため、連結線24の長さは、吊り部材10の吊り込み部材9と結合する部分の長さより長くなる。また、連結線240の長さは、吊り部材100の吊り込み部材90と結合する部分の長さより長くなる。そして、吊り部材10,100の切込部11,110で形成される開口の形状は、吊り込み部材9,90側に開いたV字状となる。上述した切込部11,110の鈍角が直角に近い場合や吊り込み部材9と吊り込み部材90との対向間隙が大きい場合には、切込部11と切込部110との交点が生じないため、切込部11,110で形成される開口の形状は、V字状とはならない。しかしながら、分割された吊り込み部材によって、表皮部材5,50の吊り込みを効果的に実施するためには、開口の形状がV字状となることが好ましい。このV字状の開口
を通して荷重検出装置4の導通部8が
配設されている。
【0034】
(第2実施形態)
図2及び
図7に示すように、表皮部材5及び表皮部材50は、それらの端部同士が凹溝3の開口中央部で吊り部材101とともに突き合わされ連結線241を形成して吊り部材101に連結されている。吊り部材101は、織布等からなり、袋状に形成されるものであってもよい。
【0035】
吊り部材101の連結線241の対辺は、切込部111により切り欠かれている。吊り部材101における切込部111により分割された連結線241の対辺部は、それぞれ吊り込み部材9,90に結合されている。吊り込み部材9,90は、樹脂棒又は金属ワイヤ等でなり、吊り部材101が袋状であるときはその中に挿入される。切込部111の形状は、矩形として図示したが、吊り込み部材9,90側に開いたV字状であってもよい。いずれにしても、連結線241の長さは各吊り込み部材9,90の吊り部材101との結合部分の長さよりも長くなっている。切込部111で形成される開口
を通して、荷重検出装置4の導通部8が
配設されている。
【0036】
切込部111の形状が矩形である場合、表皮部材5,50の引き込み力が吊り部材101の切込部111に相当する位置において不足することがある。それを補う手段として、補助吊り込み部材92がある。補助吊り込み部材92は、吊り部材101における切込部111で形成された開口の吊り込み部材9と吊り込み部材90とが対向する間隙を橋架するものである。補助吊り込み部材92は、樹脂棒又は金属ワイヤ等でなり、吊り部材101に適宜な手段で固定される。補助吊り込み部材92は、荷重検出装置4の下方に設けるように図示したが、荷重検出装置4の上方に設けてもよい。
【0037】
(第3実施形態)
図2及び
図8に示すように、表皮部材5及び表皮部材50は、それらの端部同士が凹溝3の開口中央部で吊り部材102とともに突き合わされ連結線242を形成して吊り部材102に連結されている。吊り部材102は、織布等からなり、袋状に形成されるものであってもよい。
【0038】
吊り部材102の連結線242の対辺は、吊り込み部材91に結合されている。吊り込み部材91は、樹脂棒又は金属ワイヤ等でなり、吊り部材101が袋状であるときはその中に挿入される。矩形の吊り部材102の適宜な位置には長方形の開口部23が
設けられている。開口部23には、荷重検出装置4の導通部8が
当該開口部23を通して配設される。
【0039】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態の乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造は、前記表皮部材5,50を凹溝3内へ引き込む吊り部材10,100,101と、吊り部材10,100,101の表皮部材5,50と連結する連結線24,240,241の対辺に結合された二の吊り込み部材9,90とを備え、連結線24,240,241の長さは、吊り部材10,100の各吊り込み部材9,90と結合する部分の長さよりそれぞれ長くなるよう構成するとともに、吊り部材10,100の吊り込み部材9,90が対向する側の切込部11,110,111で形成される開口
を通して荷重検出装置4
が配設されているものである。
【0040】
この構成により、荷重検出装置4は、吊り込み部材9,90よりも連結線24,240,241により近い切込部11,110,111の開口
を通して配設されているので、荷重検出装置4の導通部8の長手方向の長さを短縮させることが可能となり、荷重検出装置4のコストを低減することができるとともに、過剰に長い荷重検出装置4を取り扱う必要がないので、荷重検出装置4をシート座部1に装着する作業が容易になるという優れた効果を奏する。
【0041】
また、吊り部材10,100は、各吊り込み部材9,90にそれぞれ結合される二のものであるから、分割された吊り込み部材9,90間の間隙に起因する部分的な引張り力の低下を補って表皮部材5,50を効果的にむらなく引き込むことができる。
【0042】
また、切込部11,110,111で形成される開口の形状は、吊り込み部材9,90側に開いたV字状であるから、表皮部材5,50を効果的にむらなく引き込むことができる。
【0043】
また、吊り部材101における切込部111で形成された開口の各吊り込み部材9,90が対向する間隙を橋架する補助吊り込み部材92を備えたことから、分割された吊り込み部材9,90間の間隙に起因する部分的な引張り力の低下を補って表皮部材5,50を効果的にむらなく引き込むことができる。
【0044】
さらに、本実施形態の乗員着座検知用荷重検出装置の取付け構造は、表皮部材5,50を凹溝3内へ引き込む吊り部材102と、吊り部材102の表皮部材5,50と連結する連結線242の対辺に結合された吊り込み部材91と、吊り部材102に
設けられた開口部23とを備え、開口部23
を通して荷重検出装置4
が配設されているものである。
【0045】
この構成により、荷重検出装置4は、吊り込み部材91よりも連結線242により近い開口部23
を通して配設されているので、荷重検出装置4の導通部8の長手方向の長さを短縮させることが可能となり、荷重検出装置4のコストを低減することができるとともに、過剰に長い荷重検出装置4を取り扱う必要がないので、荷重検出装置4をシート座部1に装着する作業が容易になるという優れた効果を奏する。
【0046】
なお、本発明は、当業者の知識に基づいて様々な変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものを含む。また、前記変更等を加えた実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りいずれも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0047】
例えば、上記実施形態においては、メンブレンスイッチ状のON/OFF式の検知部を配置したが、例えば感圧インク、圧電素子(ピエゾ素子)、ひずみゲージ(ストレインゲージ)などを用いた荷重検知式や静電容量の変化に基づいて乗員の着座や体格等を検知する静電容量式などのセンサを適用することもできる。また、上記実施形態においては、合計四つの検知部を配置したが、検知部の配置数は特に限定しない。また、凹溝の配置場所、配置数も特に限定しない。