(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイドプレートの前記ノズルプレートと反対側の面に接触することで前記ノズルを覆うキャッピング状態と、前記ガイドプレートの前記ノズルプレートと反対側の面から離れたアンキャッピング状態のいずれかの状態を選択的に取ることができるように構成されたノズルキャップをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
前記ノズルキャップは、前記キャッピング状態で、前記ガイドプレートの前記ノズルプレートと反対側の面と対向しているとともに、前記複数の突出部にまたがって連続に延びており、前記複数の突出部に形成された前記ノズルを一度に覆うものであることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
前記ガイドプレートの前記ノズルプレートと反対側に配置され、前記液体吐出ヘッドに対して、前記ガイドプレートの面方向に沿った所定の一方向に相対移動することによって、前記複数の突出部の前記流路形成体と反対側の面に付着した液体を一度に拭き取るワイパをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出装置。
前記ガイドプレートは、前記貫通孔の前記ノズルプレートと反対側の開口の、前記所定の一方向における下流側の縁となる部分が面取りされていることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
前記複数の突出部の前記所定の一方向における下流側の端と、前記貫通孔の前記所定の一方向における下流側の端とが、前記所定の一方向に互いに離隔して配置されていることにより、前記貫通孔の、前記所定の一方向における前記突出部よりも下流側の部分に、前記ワイパで拭き取った液体を逃がすための溝が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
前記プレート接合工程の後、前記複数の突出部に前記複数の流路形成体を接合する流路形成体接合工程をさらに備えていることを特徴とする請求項7又は8に記載の液体吐出装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載されているようにノズルプレートを複数のインク噴射ヘッドが接合される長尺のものとした場合には、ノズルプレートの剛性が低くなる。そのため、短尺状インク噴射ヘッドを駆動してノズルからインクを吐出させるときにノズルプレートが変形して、ノズルの位置が変動してしまう虞がある。また、剛性の低いノズルプレートは、短尺状インク噴射ヘッドとの接合時等におけるハンドリング性にも問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1に記載されているような長尺のノズルプレートの剛性を高くするために、ノズルプレートのノズルの開口面に、特許文献2に記載されているようなガイドプレートを接合することが考えられる。このとき、特許文献1に記載されているような長尺のノズルプレートの剛性を十分に高くするためには、ガイドプレートの厚みをある程度大きくする必要がある。しかしながら、ノズルプレートにガイドプレートを接合した場合には、ノズルプレートのノズルの開口面と被記録媒体との距離が、ガイドプレートの厚みの分大きくなってしまう。そのため、ガイドプレートの厚みを大きくすると、ノズルプレートのノズルの開口面と被記録媒体との距離が大きくなりすぎ、ノズルから吐出されたインクの被記録媒体における着弾位置精度が悪くなってしまう虞がある。
【0007】
本発明の目的は、ノズルプレートの剛性を十分に高くするためにガイドプレートの厚みを大きくしつつも、ノズルと液体の吐出対象との距離が大きくなるのを極力抑えることが可能な液体吐出装置及び液体吐出装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る液体吐出装置は、複数のノズルを有する液体吐出装置であって、前記ノズルに連通する液体流路がそれぞれ形成された複数の流路形成体と、前記複数の流路形成体と接合されたプレートであって、屈曲していることによって、前記複数の流路形成体と重なる複数の部分が、前記流路形成体と反対側に突出した複数の突出部となっており、前記複数の突出部に
それぞれ複数の前記ノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの前記複数の流路形成体と反対側の面に接合され、前記複数の突出部と重なる部分に複数の貫通孔が形成されたガイドプレートと、を備え、前記突出部のノズルプレートの他の部分に対する突出量よりも、前記ガイドプレートの厚みが大きい。
【0009】
本発明によると、ノズルプレートは、屈曲していることによって、複数の流路形成体と重なる部分が、流路形成体と反対側に突出した複数の突出部となっている。したがって、ノズルプレートの剛性を高くするために、ノズルプレートに接合するガイドプレートの厚みを大きくしつつも、ノズルと、ノズルから液体が吐出される対象との距離を短くすることができる。これにより、上記対象における液体の着弾精度が向上する。また、ガイドプレートの厚みが複数の突出部のノズルプレートの他の部分に対する突出量よりも大きくなっているため、ガイドプレートによりノズルを保護することもできる。
【0010】
第2の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記ガイドプレートの前記ノズルプレートと反対側の面に接触することで前記ノズルを覆うキャッピング状態と、前記ガイドプレートの前記ノズルプレートと反対側の面から離れたアンキャッピング状態のいずれかの状態を選択的に取ることができるように構成されたノズルキャップをさらに備えている。
【0011】
本発明によると、厚みの大きいガイドプレートはノズルプレートよりも剛性が高いため、ノズルキャップをガイドプレートのノズルプレートと反対側の面に接触させたときの、ノズルキャップとガイドプレートとの密着性が高くなる。これにより、ノズルの乾燥を確実に防止することができる。また、ノズルキャップがノズルプレートに直接接触しないので、ノズルプレートの流路形成体と反対側の面を傷つけてしまうのを防止することができる。
【0012】
第3の発明に係る液体吐出装置は、第2の発明に係る液体吐出装置において、前記ノズルキャップは、前記キャッピング状態で、前記ガイドプレートの前記ノズルプレートと反対側の面と対向しているとともに、前記複数の突出部にまたがって連続に延びており、前記複数の突出部に形成された前記ノズルを一度に覆うものである。
【0013】
本発明によると、ガイドプレートのノズルプレートと反対側の面は、複数の流路形成体や突出部に共通の面であり、平面度が高い。したがって、ノズルキャップを、複数の突出部に形成されたノズルを一度に覆うものとしても、各突出部に形成されたノズルの乾燥を確実に防止することができる。
【0014】
第4の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第3のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記ガイドプレートの前記ノズルプレートと反対側に配置され、前記液体吐出ヘッドに対して、前記ガイドプレートの面方向に沿った所定の一方向に相対移動することによって、前記複数の突出部の前記流路形成体と反対側の面に付着した液体を一度に拭き取るワイパをさらに備えている。
【0015】
本発明によると、ガイドプレートのノズルプレートと反対側の面は、複数の流路形成体や突出部に共通の面であり平面度が高い。したがって、ワイパを、液体吐出ヘッドに対して、ガイドプレートの面方向に沿った所定の一方向に相対移動させることにより、複数の突出部の流路形成体と反対側の面に付着した液体を一度に拭き取ることができる。
【0016】
第5の発明に係る液体吐出装置は、第4の発明に係る液体吐出装置において、前記ガイドプレートは、前記貫通孔の前記ノズルプレートと反対側の開口の、前記所定の一方向における下流側の縁となる部分が面取りされている。
【0017】
本発明によると、ガイドプレートの、貫通孔のノズルプレートと反対側の開口の、所定の一方向における下流側の縁を形成する部分が面取りされているため、突出部の流路形成体と反対側の面に付着した液体をワイパで拭き取ったときに、突出部の流路形成体と反対側の面から、ガイドプレートのノズルプレートと反対側の面に液体がスムーズに流れる。これにより、拭き取った液体が、突出部の流路形成体と反対側の面に残ってしまうのを防止することができる。
【0018】
第6の発明に係る液体吐出装置は、第4の発明に係る液体吐出装置において、前記複数の突出部の前記所定の一方向における下流側の端と、前記貫通孔の前記所定の一方向における下流側の端とが、前記所定の一方向に互いに離隔して配置されていることにより、前記貫通孔の、前記所定の一方向における前記突出部よりも下流側の部分に、前記ワイパで拭き取った液体を逃がすための溝が形成されている。
【0019】
本発明によると、貫通孔の所定の一方向におけるノズル形成部よりも下流側の部分に、ワイパで拭き取った液体を逃がすための溝が形成されているため、突出部の流路形成体と反対側の面に付着した液体をワイパで拭き取ったときに、拭き取った液体が突出部の流路形成体と反対側の面に残ってしまうのを防止することができる。
【0020】
第7の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、複数のノズルを有する液体吐出ヘッドを備え、前記液体吐出ヘッドが、前記ノズルに連通する液体流路がそれぞれ形成された複数の流路形成体と、前記複数の流路形成体と接合されたプレートであって、前記複数の流路形成体と重なる部分に、ぞれぞれ、前記ノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの前記複数の流路形成体と反対側の面に接合されたガイドプレートと、を備えた液体吐出装置の製造方法であって、前記ノズルプレートとなる第1板状部材を、前記複数の流路形成体と接合されたときに、前記複数の流路形成体と重なる複数の部分が、前記流路形成体が接合されるのと反対側に突出した複数の突出部となるように屈曲させる屈曲工程と、前記ガイドプレートとなる、前記複数の突出部の前記第1板状部材の他の部分に対する突出量よりも厚みの大きい第2板状部材の、前記第1板状部材と接合されたときに前記複数の突出部と重なる部分に、複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記第1板状部材と前記第2板状部材とを接合するプレート接合工程と、を備えている。
【0021】
複数の流路形成体が接合されるノズルプレートの流路形成体が接合されるのと反対側の面にガイドプレートを接合することにより、ノズルプレートの剛性を十分に高くすることができる。また、ノズルプレートの流路形成体と重なる部分が、流路形成体が接合されるのと反対側に突出するように、ノズルプレートを屈曲させるため、ノズルプレートにガイドプレートが接合されたことによって、ノズルと、液体が吐出される対象との距離が大きくなってしまうのを防止することができる。
【0022】
第8の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、第7の発明に係る液体吐出装置の製造方法において、前記屈曲工程において、前記ノズルが形成される前の状態の前記第1板状部材を屈曲させ、前記屈曲工程の後、前記第1板状部材の前記複数の突出部に前記ノズルを形成するノズル形成工程をさらに備えている。
【0023】
本発明によると、ノズルプレートを屈曲させてからノズルプレートにノズルを形成するため、ノズルの位置精度を高くすることができる。
【0024】
第9の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、第7又は第8の発明に係る液体吐出装置の製造方法において、前記プレート接合工程の後、前記複数の突出部に前記複数の流路形成体を接合する流路形成体接合工程をさらに備えている。
【0025】
本発明によると、ノズルプレートとガイドプレートとを接合してから、ノズルプレートに、流路形成体を接合するため、ノズルプレートと流路形成体とを接合する際の、ノズルプレートのハンドリング性が高くなる。
【0026】
第10の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、第9の発明に係る液体吐出装置の製造方法において、前記プレート接合工程において、屈曲される前の状態の前記第1板状部材を前記第2板状部材に接合し、前記貫通孔形成工程、及び、前記プレート接合工程の後に、前記複数の流路形成体を、前記第1板状部材の前記第2板状部材と反対側の面の前記貫通孔と重なる部分に配置するとともに、前記第1板状部材に押し付けることで、前記第1板状部材を屈曲させつつ、前記複数の流路形成体を前記第1板状部材に接合する、ことによって前記屈曲工程と前記流路形成体接合工程とを同時に行う。
【0027】
本発明によると、ノズルプレートの屈曲と、ノズルプレートと流路形成体の接合とを、同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ノズルプレートの剛性を十分に高くするために、ノズルプレートに接合するガイドプレートの厚みを大きくしつつも、ノズルと、ノズルから液体が吐出される対象との距離を短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0031】
図1、
図2に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1は、インクジェットヘッド2、用紙搬送ローラ3、パージユニット4、ワイパユニット5等を備えている。なお、以下では、
図1に示すように用紙幅方向、及び、用紙幅方向の右側及び左側を定義して説明を行う。
【0032】
インクジェットヘッド2は、用紙幅方向に記録用紙Pの全長にわたって延びており、その下面に形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、インクジェットヘッド2は、ノズルプレート11と、ガイドプレート12と、補強プレート13と、4つのヘッドユニット14とを備えている。
【0033】
ノズルプレート11は、ステンレスなどの金属材料からなる、用紙幅方向に記録用紙Pの全長にわたって延びた略矩形状の薄板状の部材である。また、ノズルプレート11は、4つの突出部11aを有している。突出部11aは、ノズルプレート11が屈曲されることによって形成された、ノズルプレート11の他の部分よりも下側に突出した部分である。4つの突出部11aは、用紙幅方向に沿って2列に配列されている。これら2列のうち一方の列を形成する2つの突出部11aと、他方の列を形成する2つの突出部11aとは、用紙幅方向にずれている。そして、一方の列を形成する突出部11aと、他方の列を形成する突出部11aとが、搬送方向に部分的に重なっている。また、各突出部11aには、用紙幅方向に沿って配列された複数のノズル10が形成されている。
【0034】
ガイドプレート12は、ステンレスなどの金属材料からなる板状体であり、ノズルプレート11の下面に接合されている。ガイドプレート12には、4つの突出部11aと重なる部分に、略矩形の4つの貫通孔12aが形成されている。これにより、突出部11aは、貫通孔12aに入り込んでおり、突出部11aの下面が貫通孔12aから露出している。また、突出部11aのノズルプレート11の他の部分に対する突出量H1は、ガイドプレート12の厚みH2よりも小さくなっている。これにより、突出部11aの下端は、ガイドプレート12の下面よりも上方に位置している。また、ガイドプレート12は、各貫通孔12aの下側の開口12a1の縁を形成する部分12bがその全周にわたって面取りされている。
【0035】
補強プレート13は、ステンレスなどの金属材料などからなる板状体であり、ノズルプレート11の上面に接合されている。補強プレート13には、4つの突出部11aと重なる部分に、それぞれ、貫通孔13aが形成されている。これにより、突出部11aの上面が、貫通孔13aから露出している。
【0036】
ヘッドユニット14は、
図3、4に示すように、流路形成体201と、圧電アクチュエータ202と、フレーム203とを有している。流路形成体201は、3枚のプレート221〜223が互いに積層されることによって形成されている。3枚のプレート221〜223は、ステンレスなどの金属材料によって構成されている。
【0037】
プレート221には、複数のノズル10に対応する、複数の圧力室210が形成されている。圧力室210は、搬送方向を長手方向とする略楕円の平面形状を有している。また、複数の圧力室210は、複数のノズル10と同様、用紙幅方向に沿って2列に配列されている。プレート222には、複数の圧力室210の長手方向の両端部と重なる部分に、略円形の複数の貫通孔212、213が形成されている。
【0038】
プレート223には、2本のマニホールド流路211が形成されている。2本おマニホールド流路211は、各圧力室210の列を形成する複数の圧力室210にまたがって用紙幅方向に延びており、搬送方向における圧力室210の貫通孔212側の略半分と重なっている。また、2本のマニホールド流路211は、用紙幅方向における左側の端部において互いに接続されている。そして、2本のマニホールド流路211には、互いに接続された部分に設けられたインク供給口208からインクが供給される。また、プレート233には、複数の貫通孔213と重なる部分に略円形の複数の貫通孔214が形成されている。
【0039】
そして、流路形成体201は、貫通孔214が複数のノズル10とが重なるように位置合わせされて、ノズルプレート11の上面に接合されている。
【0040】
圧電アクチュエータ202は、インク分離層231と、圧電層232、233と、共通電極234と、複数の個別電極235とを備えている。
【0041】
インク分離層231は、ステンレスなどの金属材料からなり、複数の圧力室210の上端の開口を塞ぐように、流路形成体201の上面に配置されている。インク分離層231は、圧電層232が圧力室210内のインクと接触してしまうのを防止するためのものである。
【0042】
圧電層232、233は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛の混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、互いに積層され、インク分離層231の上面に配置されている。また、圧電層232、233は、複数の圧力室210にまたがって連続的に延びている。
【0043】
共通電極234は、圧電層232と圧電層233との間にその全域にわたって配置されている。共通電極234は図示しないドライバICにより常にグランド電位に保持されている。複数の個別電極235は、圧力室210よりも一回り小さい略楕円の平面形状を有し、圧電層233の上面に、複数の圧力室210の略中央部と重なるように配置されている。また、個別電極235の搬送方向における貫通孔212側の端部は、圧力室210と重ならない部分まで延び、その先端部が接続端子235aとなっている。接続端子235aには、図示しない配線部材が接続されている。また、複数の個別電極235には、図示しないドライバICにより、グランド電位、及び、所定の駆動電位のいずれかが選択的に付与される。
【0044】
また、共通電極234及び複数の個別電極235がこのように配置されているのに対応して、圧電層233の個別電極235と共通電極234とに挟まれた部分は、その厚み方向に分極されている。
【0045】
ここで、圧電アクチュエータ202を駆動して、ノズル10からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ202では、予め全ての個別電極235がグランド電位に保持されている。この状態から、ある個別電極235の電位を所定の駆動電位に切り換えると、個別電極235と共通電極234との電位差により、圧電層233のこれらの電極に挟まれた部分に、分極方向と平行な電界が発生する。すると、圧電層233の当該部分が水平方向に収縮し、圧電層232、233及びインク分離層231の圧力室210と重なる部分が全体として圧力室210側に凸となるように変形する。これにより、圧力室210の容積が低下して、圧力室210内のインクの圧力が上昇し、圧力室210に連通するノズル10からインクが吐出される。
【0046】
フレーム203は、ステンレスなどの金属材料からなる板状の部材であり、流路形成体201の上面に配置されている。フレーム203の略中央部には、略矩形の貫通孔203aが形成されている。そして、流路形成体201の上面に配置された圧電アクチュエータ202の圧電層232、233は、貫通孔203の中に位置している。また、フレーム203は、用紙幅方向の両側に、補強プレート13の貫通孔13aと重ならない位置まで延びている。そして、フレーム203は、ボルト15によって、用紙幅方向の両端部が補強プレート13に固定されている。
【0047】
ここで、貫通孔12a、13a及びヘッドユニット14の長さの関係について説明する。本実施の形態では、上述したようにノズルプレート11が屈曲されることによって形成された突出部11aが、貫通孔12a内に入り込んでいる。そのため、貫通孔12aの用紙幅方向の長さLbは、突出部11aの用紙幅方向の長さよりも長い。一方、ヘッドユニット14は、突出部11aの上面に接合されている。そのため、ヘッドユニット14の用紙幅方向の長さLhは、突出部11aの用紙幅方向の長さよりも短い。以上のことから、
図2に示すように、ヘッドユニット14の用紙幅方向の長さLhは、貫通孔12aの用紙幅方向の長さLbよりも短い。また、ヘッドユニット14は、貫通孔13a内に配置されていることから、ヘッドユニット14の用紙幅方向の長さLhは、貫通孔13aの用紙幅方向の長さLtよりも短い。また、本実施の形態では、貫通孔12aの用紙幅方向の長さLbと、貫通孔13aの用紙幅方向の長さLtとがほぼ同じとなっている。なお、ここでは、用紙幅方向における貫通孔12a、13a及びヘッドユニット14の長さの大小関係について説明したが、搬送方向における貫通孔12a、13a及びヘッドユニット14の長さについても、同様の大小関係となっている。
【0048】
用紙搬送ローラ3は、記録用紙Pを用紙幅方向と直交する搬送方向に搬送する。そして、プリンタ1では、記録用紙Pを用紙搬送ローラ3により搬送方向に搬送しつつ、インクジェットヘッド2からインクを吐出することにより、記録用紙Pに印刷を行う。
【0049】
パージユニット4は、ノズルキャップ21と吸引ポンプ22とを備えている。
【0050】
ノズルキャップ21は、上下方向においてインクジェットヘッド2よりも下方に配置されている。ノズルキャップ21は、合成樹脂材料などからなる、用紙幅方向を長手方向とする略矩形の部材である。また、ノズルキャップ21は、移動機構23の上面に配置されている。移動機構23は、ガイドレール24に沿って用紙幅方向に移動する。これにより、ノズルキャップ21は、
図1に示すように、ガイドプレート12の下面と対向しないアンキャッピング位置と、
図5(a)に示すように、ガイドプレート12の下面と対向するキャッピング位置との間で用紙幅方向に移動可能となっている。そして、ノズルキャップ21は、キャッピング位置に位置している状態では、上記4つの突出部11aにまたがって連続的に延びている。
【0051】
また、ノズルキャップ21の上面には、ゴム材料などからなる4つのリップ25が設けられている。4つのリップ25は、ノズルキャップ21がキャッピング位置に位置している状態で、ガイドプレート12の4つの貫通孔12aをその全周にわたって取り囲むように配置されている。また、ノズルキャップ21は移動機構23により昇降可能となっている。そして、ノズルキャップ21は、キャッピング位置に位置している状態では、移動機構23によって上昇され、リップ25の上端がガイドプレート12の下面に密着する。これにより、4つの突出部11aに形成された複数のノズル10が、ノズルキャップ21によって一度に覆われ、ノズル10内のインクの乾燥が防止される。
【0052】
吸引ポンプ22は、4本チューブ26を介してノズルキャップ21のリップ25に囲まれた4つの空間と接続されている。また、吸引ポンプ22は、チューブ27を介して廃液タンク28と接続されている。そして、パージユニット4では、ノズルキャップ21をキャッピング位置に位置させた状態で、吸引ポンプ22を駆動させると、ノズル10からインクジェットヘッド2内のインクが吸引される、いわゆる吸引パージが行われる。これにより、インクジェットヘッド2から、インク中の気泡などが排出される。吸引パージによってインクジェットヘッド2から排出されたインクは、廃液タンク28に貯留される。
【0053】
ワイパユニット5は、基材31とワイパ32とを備えている。基材31は、移動機構33の上面に配置されている。移動機構33は、移動機構23と共通のガイドレール24に沿って用紙幅方向に移動可能となっている。ワイパ32は、ゴム材料などからなる薄板状の部材であり、基材31の上面に取り付けられている。ワイパ32は、搬送方向にガイドプレート12の全長にわたって延びているとともに、上下方向に延びている。これにより、基材31が、移動機構33によって用紙幅方向に移動されると、
図5(b)に示すように、ワイパ32の上端部が、ガイドプレート12の下面、及び、貫通孔12aから露出した突出部11aの下面に接触しつつ、用紙幅方向に移動する。これにより、4つの突出部11aの下面に付着したインクが一度に拭き取られる。
【0054】
次に、プリンタ1の製造方法について説明する。ただし、以下では、主にインクジェットヘッド2の製造方法について説明する。なお、インクジェットヘッド2の製造中においては、プレート11〜13、ヘッドユニット14等は、任意の向きに配置され得るが、
図6では、便宜上、
図1〜
図5に合わせて用紙幅方向を示している。
【0055】
インクジェットヘッド2を製造するためには、まず、
図6(a)に示すように、ノズルプレート11となる金属材料からなる第1板状部材111をプレス加工などにより屈曲させることにより、第1板状部材111に4つの突出部11aを形成する。続いて、
図6(b)に示すように、レーザ加工などにより、突出部11aに複数のノズル10を形成する。
【0056】
また、
図6(a)、(b)の工程と並行して、
図6(c)に示すように、ガイドプレート12となる第2板状部材112に、貫通孔12aを形成する。また、このとき、第2板状部材112の貫通孔12aの下側の開口12a1の縁を形成する部分12bをその全周にわたって面取り加工する。
【0057】
続いて、
図7(a)に示すように、第1板状部材111と第2板状部材112とを、対応する突出部11aと貫通孔12aとが重なるように位置合わせして接合する。続いて、
図7(b)に示すように、第1板状部材111の上面に、予め作製しておいた補強プレート13を接合する。続いて、
図7(c)に示すように、予め作製しておいたヘッドユニット14を、貫通孔13aから露出した突出部11aの上面に接合するとともに、ヘッドユニット14をボルト15で補強プレート13に固定する。このとき、ボルト15のどの程度締めるかを調整することによって、ヘッドユニット14の高さ、すなわち、ヘッドユニット14とノズルプレート11との密着の程度を調整して、各ヘッドユニット15に対応するノズル10からのインクの吐出速度などを調整することができる。
【0058】
本実施の形態では、以上の工程によりインクジェットヘッド2が作製される。そして、この後、インクジェットヘッド2をプリンタ1に組み付ける等、プリンタ1の製造のための次の工程に進む。
【0059】
以上に説明した実施の形態によると、4つのヘッドユニット14が接合される薄板状のノズルプレート11の下面にガイドプレート12が接合されている。これにより、ノズルプレート11の剛性を高くすることができる。したがって、ノズル10からインクを吐出させるときに、ノズルプレート11が変形してノズル10の位置が変位してしまうのを防止することができる。
【0060】
ここで、ノズルプレート11の剛性を十分に高くするためには、ガイドプレート12のある程度厚みの大きなものとする必要がある。ガイドプレート12の厚みが大きい場合に、本実施の形態とは異なり、ノズルプレート11のヘッドユニット14と重なる部分が突出部11aになっていないとすると、ガイドプレート12の厚みの分だけ、ノズル10と記録用紙Pとの距離が大きくなる。その結果、ノズル10から吐出されたインクの記録用紙Pにおける着弾位置精度が悪くなってしまう虞がある。
【0061】
これに対して、本実施の形態では、ノズルプレート11は、4つのヘッドユニット14と重なる部分が下側に突出した突出部11aとなっており、突出部11aにノズル10が形成されている。これにより、ノズルプレート11の剛性を高くするためにガイドプレート12の厚みを大きくしつつも、ノズル10と記録用紙Pとの距離が大きくなってしまうのを極力抑えることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、突出部11aの突出量H1が、ガイドプレート12の厚みH2よりも小さいため、突出部11aは、ガイドプレート12よりも下方にはみ出していない。したがって、ガイドプレート12によりノズル10を保護することができる。これにより、搬送ローラ4に搬送される記録用紙Pがノズルプレート11の下面に接触したり、ワイパ32でノズルプレート11の下面に付着したインクを拭き取る際に、ワイパ32の上端部がノズルプレート11の下面に強く押し当てられたりして、ノズル10が傷つけられてしまうのを防止することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、厚みの大きいガイドプレート12はノズルプレート11よりも剛性が高いため、リップ25をガイドプレート12の下面に接触させたときに、リップ25とガイドプレート12との密着性が高くなる。これにより、ノズル10の乾燥を確実に防止することができる。また、リップ25がノズルプレート11の下面に直接接触しないので、ノズルプレート11の下面を傷つけてしまうのを防止することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、したがって、ノズルキャップ21が、キャッピング状態で、ガイドプレートのノズルプレートと反対側の面と対向するとともに、4つの突出部11aにまたがって連続的に延び、4つの突出部11aに形成されたノズル10を一度に覆うものである。これに対して、リップ25が接触するガイドプレート12の下面は、4つの突出部11aに共通の面であり、平面度が高い。したがって、上述したように、ノズルキャップ21を、4つの突出部11aに形成されたノズル10を一度に覆うものとしても、各突出部11aに形成されたノズル10の乾燥を確実に防止することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、上述の通り、ガイドプレート12の下面は、4つの突出部11aに共通の面であり平面度が高い。したがって、ワイパ32を、ガイドプレート12の面方向に沿った用紙幅方向に移動させることにより、4つの突出部11aの下面に付着した液体を一度に拭き取ることができる。
【0066】
さらに、本実施の形態では、ガイドプレート12の貫通孔12aの下側の開口12a1の縁を形成する部分12bがその全周にわたって面取りされている。したがって、突出部11aの下面に付着したインクをワイパ32で拭き取ったときに、
図5(b)に矢印Aで示すように、突出部11aの下面からガイドプレート12の下面にスムーズにインクが流れる。これにより、拭き取ったインクが、突出部11aの下面に残ってしまうのを防止することができる。さらに、ワイパ32が、ガイドプレート12の貫通孔12aの開口12a1の縁を通過するときの、ワイパ32とガイドプレート12との接触面積を大きくすることができ、ワイパ32の寿命を長くすることができる。
【0067】
また、本実施の形態では、ノズルプレート11を屈曲させてからノズルプレート11にノズル10を形成する。したがって、ノズルプレート11にノズル10を形成してからノズルプレート11を屈曲させる場合よりもノズル10の位置精度を高くすることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、ノズルプレート11とガイドプレート12とを接合してから、ノズルプレート11に、ヘッドユニット14を接合する。したがって、ノズルプレート11とヘッドユニット14とを接合する際の、ノズルプレート11のハンドリング性が高くなる。
【0069】
なお、本実施の形態では、プリンタ1が本発明に係る液体吐出装置に相当する。また、
図6(a)の工程が、本発明に係る屈曲工程に相当する。また、
図6(b)の工程が、本発明に係るノズル形成工程に相当する。また、
図6(c)の工程が、本発明に係る貫通孔形成工程に相当する。また、
図7(a)の工程が、本発明に係るプレート接合工程に相当する。また、
図7(c)の工程が、本発明に係る流路形成体接合工程に相当する。
【0070】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成については、適宜その説明を省略する。
【0071】
上述の実施の形態では、ノズルプレート11が金属材料によって構成されたものであったが、これには限られない。ノズルプレート11は、ポリイミドなどの合成樹脂材料によって構成されたものであってもよい。例えば、一変形例(変形例1)では、
図8に示すように、ポリイミドなどの合成樹脂材料からなるノズルプレート11と、補強プレート13との間に、流路プレート41が配置されている。流路プレート41は、ノズルプレート11の全域にわたって延びた金属材料からなる板状の部材である。また、流路プレート41は、屈曲されることによって、突出部11aと重なる部分が下方に突出した突出部41aとなっている。そして、ヘッドユニット14は、突出部41aの上面に接合されている。また、突出部41aには、複数のノズル10と、ヘッドユニット14に形成されたインク流路を連通させるためのインク流路42が形成されている。インク流路42の径は、ノズル10の径よりも大きい。
【0072】
次に、変形例1におけるインクジェットヘッドの製造手順について説明する。変形例1では、インクジェットヘッドを製造するために、
図9(a)に示すように、まず、流路プレート41となる第3板状部材141に、エッチングなどによりインク流路42を形成する。続いて、
図9(b)に示すように、第3板状部材141をプレス加工等により屈曲させて、突出部41aを形成する
【0073】
続いて、
図9(c)に示すように、屈曲させた第3板状部材141の下面に、第1板状部材111を接合する。これにより、第1板状部材111は、第3板状部材141と同様に屈曲され、第1板状部材111には、突出部41aと重なる部分に突出部11aが形成される。続いて、
図9(d)に示すように、第1板状部材111の突出部11aにレーザ加工などにより、複数のノズル10を形成する。そして、この後、
図6(c)および
図7(a)〜(c)と同様の手順で、インクジェットヘッドを製造する。
【0074】
ノズルプレート11がポリイミドなどの合成樹脂材料によって構成されている場合にはプレス加工によって、第1板状部材111を単独で屈曲させるのが困難なことがある。そこで、変形例1では、インクジェットヘッドを、ノズルプレート11と補強プレート13との間に流路プレート41が配置された構成としている。そして、上述したように、屈曲された第3板状部材141の下面に第1板状部材111を接合することで、第1板状部材111を屈曲させる。すなわち、変形例1では、
図9(c)の工程が、本発明に係る屈曲工程に相当する。
【0075】
ここで、変形例1では、第3板状部材141にインク流路42を形成してから、第3板状部材141を屈曲させているため、第3板状部材141を屈曲させる際に、インク流路42の位置が多少変位してしまう虞がある。一方で、変形例1では、インク流路42の径がノズル10の径よりも大きいため、インク流路42とノズル10とが多少ずれたとしても、ノズル10とインク流路42とは連通する。したがって、第3板状部材141にインク流路42を形成してから、第3板状部材141を屈曲させたとしても、この後、屈曲されたノズルプレート11に正確にノズル10を形成すれば、ノズル10の位置精度が悪くなることはない。
【0076】
なお、ノズルプレート11が合成樹脂材料によって構成されている場合であっても、プレス加工などにより、ノズルプレート11を単独で屈曲させることが可能な場合には、インクジェットヘッドを上述の実施の形態と同様の構成とし、上述の実施の形態と同様の手順でインクジェットヘッドを製造してもよい。
【0077】
また、上述の実施の形態では、第1板状部材111を屈曲させることにより突出部11aを形成した後に、突出部11aに複数のノズル10を形成したが、これには限られない。上述の実施の形態とは逆に、第1板状部材111の突出部11aとなる部分に複数のノズル10を形成した後に、第1板状部材111を屈曲させて突出部11aを形成してもよい。あるいは、プレス加工によって、第1板状部材111の屈曲と第1板状部材111へのノズル10の形成とを同時に行ってもよい。
【0078】
また、上述の実施の形態では、第1板状部材111と第2板状部材112とを接合した後に、第1板状部材111の突出部11aの上面にヘッドユニット14を接合したが、これには限られない。第1板状部材111の突出部11aにヘッドユニット14を接合した後に、第1板状部材111と第2板状部材112とを接合してもよい。例えば、上述の実施の形態で、
図7(a)の工程よりも前に、第1板状部材111の突出部11aにヘッドユニット14を接合してもよい。
【0079】
また、上述の実施の形態では、屈曲後の第1板状部材111の上面にヘッドユニット14を接合したが、これには限られない。別の一変形例(変形例2)では、
図10(a)に示すように、屈曲される前の状態の第1板状部材111の突出部11aとなる部分に複数のノズル10を形成する。続いて、
図10(b)に示すように、第1板状部材111を屈曲させないまま、第1板状部材111の下面に第2板状部材112を接合し、第1板状部材111の上面に補強プレート13を接合する。
【0080】
続いて、第1板状部材111の上面の貫通孔13aから露出した部分、又は、ヘッドユニット14の下面に接着剤を塗布したうえで、
図10(c)に示すように、第1板状部材111の上面の貫通孔13aから露出した部分に、ヘッドユニット14を配置する。そして、
図10(d)に示すようにヘッドユニット14を下方に押し付けることにより、第1板状部材111を屈曲させて突出部11aを形成するとともに、ヘッドユニット14を第1板状部材111に接合する。
【0081】
この場合には、第1板状部材111の屈曲とヘッドユニット14の第1板状部材111への接合とを同時に行うことができる。すなわち、変形例2では、
図10(c)、
図10(d)に示す工程が、本発明に係る屈曲工程と流路形成体接合工程とを同時に行う工程に相当する。なお、変形例2では、ノズルプレート11の屈曲と、ヘッドユニット14のノズルプレート11との接合を同時に行う前に、ノズルプレート11に複数のノズル10を形成していたが、これには限られない。ノズルプレート11の屈曲と、ヘッドユニット14のノズルプレート11との接合を同時に行った後に、ノズルプレート11にノズル10を形成してもよい。
【0082】
また、上述の実施の形態では、ガイドプレート12の貫通孔12aの下側の開口12a1の縁を形成する部分12bがその全周にわたって面取りされていたが、これには限られない。別の一変形例(変形例3)では、
図11に示すように、ガイドプレート12の貫通孔12aの下側の開口12a1の縁を形成する部分のうち、用紙幅方向の左側の縁を形成する部分12cのみが面取りされている。この場合でも、上述の実施の形態と同様、ワイパ32によって拭き取られたインクは、突出部11aの下面からガイドプレート12の下面にスムーズに流れる。なお、変形例3では、ガイドプレート12の上記部分12cが、本発明の、所定の一方向における下流側の縁となる部分に相当する。
【0083】
また、ガイドプレート12の貫通孔12aの下側の開口12a1の縁を形成する部分が面取りされていることにも限られない。一変形例(変形例4)では、
図12に示すように、貫通孔12aが、上述の実施の形態よりも用紙幅方向の左側まで延びている。これにより、突出部11aの左端と、貫通孔12aの左端とが用紙幅方向に互いに離隔して配置される。その結果、貫通孔12aの突出部11aよりも用紙幅方向左側の部分に、インク逃がし溝51が形成される。
【0084】
この場合には、ワイパ32によって拭き取られたインクは、
図12に矢印Bで示すように、突出部11aの下面からインク逃がし溝51に流れ込む。これにより、インクが突出部11aの下面に残ってしまうのを防止することができる。なお、変形例4では、貫通孔12aの突出部11aよりも左側の部分が、本発明の所定の一方向における突出部よりも下流側の部分に相当する。
【0085】
さらには、上述の面取りやインク逃がし溝51のような、ワイパ32によって拭き取られたインクが、突出部11aの下面に残ってしまうのを防止するための構成は設けられていなくてもよい。
【0086】
また、上述の実施の形態では、ワイパ32が、搬送方向にインクジェットヘッド2の全長にわたって延びており、4つの突出部11aに付着したインクを一度に拭き取るようになっていたが、これには限られない。例えば、上述したように2列に配列された突出部11aの各列に対応する2つのワイパが設けられていてもよい。あるいは、4つの突出部11aに対して個別にワイパが設けられていてもよい。
【0087】
また、上述の実施の形態では、4つの突出部11aに対応して、ノズルキャップ21に4つのリップ25が形成されていたが、これには限られない。例えば、ノズルキャップ21に、キャッピング位置に位置している状態で4つの突出部11aに形成された全てのノズル10を取り囲む1つのリップが形成されていてもよい。上述したように、ガイドプレート12の下面の平面度は高いため、この場合でも、リップがガイドプレート12の下面に確実に密着する。
【0088】
また、上述の実施の形態では、ノズルキャップ21が、4つの突出部11aに形成されたノズル10を一度に覆うものであったが、これには限られない。例えば、4つの突出部11aに対して、個別に昇降可能なノズルキャップが設けられていてもよい。
【0089】
また、上述の実施の形態では、ノズルキャップ21は、キャッピング位置に位置している状態で、リップ25がガイドプレート12の下面に接触するものであったが、これには限られない。例えば、ノズルキャップ21は、キャッピング位置に位置している状態で、リップ25が突出部11aの下面に接触するものであってもよい。
【0090】
また、上述の実施の形態では、フレーム203の用紙幅方向の両端部が、ボルト15によって補強プレート13に固定されていたが、これには限られない。例えば、フレーム203の用紙幅方向の両端部が、UV接着剤等によって補強プレート13に接合されていてもよい。なお、この場合には、フレーム203と補強プレート13との接着面積を大きくするという観点から、貫通孔12a、13aの用紙幅方向の長さLb、Lt、及び、貫通孔12a、13aの搬送方向の長さは、できるだけ短いことが好ましい。また、この場合には、フレーム203をボルト15によって補強プレート13に固定する場合とは異なり、ヘッドユニット14とノズルプレート11との密着の程度を調整することは困難である。しかしながら、この場合でも、各ヘッドユニット14において、個別電極235に付与する駆動電位を調整するなどすれば、各ヘッドユニット14に対応する複数のノズル10からのインクの吐出速度を調整することができる。
【0091】
また、上述の実施の形態では、ノズルプレート11の上面に補強プレート13が接合されていたが、補強プレート13はなくてもよい。この場合でも、ガイドプレート12に十分な厚みがあれば、ノズルプレート11の剛性を高くすることができる。
【0092】
また、上述の実施の形態では、ノズルプレート11の上面に4つのヘッドユニット14が接合されていたが、これには限られない。ノズルプレート14の上面に2つ、3つ、あるいは5つ以上のヘッドユニット14が接合させていてもよい。
【0093】
また、以上では、ノズルからインクを吐出することによって印刷を行うインクジェットプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。ノズルからインク以外の液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた、インクジェットプリンタ以外の液体吐出装置及び液体吐出装置の製造方法に本発明を適用することも可能である。