特許第6024590号(P6024590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024590
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】光通信システムおよび光通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/079 20130101AFI20161107BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20161107BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   H04B9/00 179
   H04B9/00 272
   H04L12/44 200
   H04L12/44 M
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-102326(P2013-102326)
(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公開番号】特開2014-222849(P2014-222849A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】金杉 高志
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−194983(JP,A)
【文献】 特開平11−004193(JP,A)
【文献】 特開2011−029883(JP,A)
【文献】 特開2009−5220(JP,A)
【文献】 特開2006−211113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々に電力量計が接続される複数の光通信装置と、前記複数の光通信装置から送信される光信号を時分割多重して上位側の装置に伝送する光通信システムにおいて、
前記光通信装置は、
前記複数の光通信装置で時分割多重された予め決められた送信時刻から予め決められた送信期間の固定の通信帯域で、前記電力量計の設置場所の固有情報や電力量の計測データを含む固定長のデータを第1波長の光信号により、前記上位側の装置に定期的に送信する第1送信部と、
前記第1送信部とは別に、送信データ量を前記上位側の装置に通知して前記上位側の装置から割り当てられる動的な通信帯域により前記上位側の装置にデータを送信する第2送信部と、
前記第1送信部が前記送信時刻以外の時刻に前記第1波長の光信号の送信を開始した場合、前記第1送信部が前記送信期間以外の期間に光信号を送信している場合、の少なくとも一方の送信条件を満たしているか否かを監視して、前記第1送信部が前記送信条件を外れた場合に、前記第1送信部から前記第1波長の光信号を送信しないように制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記第1送信部の前記第1波長の光信号を停止した場合に、前記第2送信部により、前記第1送信部が送信する予定の前記電力量計の計測データを前記上位側の装置を介して課金サーバに少なくとも1回送信し、
前記電力量計の計測データは、前記上位側の装置を介して前記電力量計の計測データを収集して使用電力量に応じた課金処理を行う前記課金サーバに送信され
ことを特徴とする光通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の光通信システムにおいて、
前記複数の光通信装置が光信号を送信する時間間隔は、前記制御部が前記送信期間の終了後から継続して送信されている光信号を検出するまでの時間よりも大きく設定される
ことを特徴とする光通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の光通信システムにおいて、
前記制御部は、接続される端末装置から入力する送信データの長さが予め設定されたデータ長に一致するか否かを判別し、前記送信データが予め設定された前記データ長と異なる場合に、当該送信データを前記第1送信部から送信しないように制御する
ことを特徴とする光通信システム。
【請求項4】
請求項1または請求項に記載の光通信システムにおいて、
前記第1送信部が送信する光信号の有無をモニタするモニタ部を更に設け、
前記制御部は、前記モニタ部が前記第1送信部から送信される光信号の前記送信時刻が予め決められた設定時刻に合致しているか否かの第1条件と、前記モニタ部が前記第1送信部から光信号が送信されている前記送信期間が予め決められた設定期間に合致しているか否かの第2条件と、の少なくとも一方の条件を判別し、少なくとも一方の条件を満たさない場合に、前記第1送信部が送信する光信号を停止する
ことを特徴とする光通信システム。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光通信システムにおいて、
前記第1送信部は、波長が異なる光信号を波長多重した複数の送信チャネルのうち特定の送信チャネルにより、予め設定された時刻から予め決められた期間に定期的に光信号を送信し、
前記制御部は、前記特定の送信チャネルに対して、前記第1送信部が光信号を前記送信条件で送信しているか否かを監視して、前記第1送信部が前記送信条件を外れた場合に、前記第1送信部から前記特定の送信チャネルの光信号を送信しないように制御する
ことを特徴とする光通信システム。
【請求項6】
送信する光信号を他の装置から送信される光信号と時分割多重して上位側の装置に伝送する電力量計が接続された光通信装置において、
複数の前記光通信装置で時分割多重された予め決められた送信時刻から予め決められた送信期間の固定の通信帯域で、前記電力量計の設置場所の固有情報や電力量の計測データを含む固定長のデータを第1波長の光信号により、前記上位側の装置に定期的に送信する第1送信部と、
前記第1送信部とは別に、送信データ量を前記上位側の装置に通知して前記上位側の装置から割り当てられる動的な通信帯域により前記上位側の装置にデータを送信する第2送信部と、
前記第1送信部が前記送信時刻以外の時刻に前記第1波長の光信号の送信を開始した場合、前記第1送信部が前記送信期間以外の期間に光信号を送信している場合、の少なくとも一方の送信条件を満たしているか否かを監視して、前記第1送信部が前記送信条件を外れた場合に、前記第1送信部から前記第1波長の光信号を送信しないように制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記第1送信部の前記第1波長の光信号を停止した場合に、前記第2送信部により、前記第1送信部が送信する予定の前記電力量計の計測データを前記上位側の装置を介して課金サーバに少なくとも1回送信し、
前記電力量計の計測データは、前記上位側の装置を介して前記電力量計の計測データを収集して使用電力量に応じた課金処理を行う前記課金サーバに送信され
ことを特徴とする光通信装置。
【請求項7】
請求項に記載の光通信装置において、
前記第1送信部が光信号を送信する時間間隔は、前記制御部が前記送信期間の終了後から継続して送信されている光信号を検出するまでの時間よりも大きく設定される
ことを特徴とする光通信装置。
【請求項8】
請求項6または請求項に記載の光通信装置において、
前記制御部は、接続される端末装置から入力する送信データの長さが予め設定されたデータ長に一致するか否かを判別し、前記送信データが予め設定された前記データ長と異なる場合に、当該送信データを前記第1送信部から送信しないように制御する
ことを特徴とする光通信装置。
【請求項9】
請求項6または請求項に記載の光通信装置において、
前記第1送信部が送信する光信号の有無をモニタするモニタ部を更に設け、
前記制御部は、前記モニタ部が前記第1送信部から送信される光信号の前記送信時刻が予め決められた設定時刻に合致しているか否かの第1条件と、前記モニタ部が前記第1送信部から光信号が送信されている前記送信期間が予め決められた設定期間に合致しているか否かの第2条件と、の少なくとも一方の条件を判別し、少なくとも一方の条件を満たさない場合に、前記第1送信部が送信する光信号を停止する
ことを特徴とする光通信装置。
【請求項10】
請求項から請求項のいずれか一項に記載の光通信装置において、
前記第1送信部は、波長が異なる光信号を波長多重した複数の送信チャネルのうち特定の送信チャネルにより、予め設定された時刻から予め決められた期間に定期的に光信号を送信し、
前記制御部は、前記特定の送信チャネルに対して、前記第1送信部が光信号を前記送信条件で送信しているか否かを監視して、前記第1送信部が前記送信条件を外れた場合に、前記第1送信部から前記特定の送信チャネルの光信号を送信しないように制御する
ことを特徴とする光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムおよび光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバーを用いたブロードバンドアクセスサービスとして、1本の光ファイバーを複数の加入者で共有するPON(Passive Optical Network)システムが広く普及している。PONシステムは、局側装置としてOLT(Optical Line Terminal)が配置され、加入者側装置としてONU(Optical Network Unit)が配置される。PONシステムは、1台のOLTに複数のONUが接続されるシステムで、複数のONUとOLTとの間の通信は、データフレームが衝突しないように時分割方式で行われる。このため、いずれかのONUが故障などによって光信号を送信する時刻を誤ったり、決められた光信号の送信期間を過ぎても光信号が送信されたままの状態になる場合がある。このような場合、他の正常なONUから送信される光信号を阻害するので、最悪の場合、PONシステム全体の通信が困難な状態に陥ってしまう、という問題が生じる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−112746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターネットアクセスなどのベストエフォート型の通信サービスでは、データが誤ったり一時的に通信が難しい状態になったとしても、ある程度は利用者に許容される。ところが、電力、ガス、水道などの使用量を計測して課金するシステムなどに用いられる通信サービスは、一部のONUが故障しても他のONUの通信に影響を与えにくいシステムが求められる。
【0005】
本件開示の光通信システムおよび光通信装置は、複数の光通信装置の光信号を時分割多重して伝送するシステムにおいて、予め決められた時間外に光信号を送信する故障が発生した場合の他の光通信装置の通信への影響を回避する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの観点によれば、各々に電力量計が接続される複数の光通信装置と、複数の光通信装置から送信される光信号を時分割多重して上位側の装置に伝送する光通信システムにおいて、光通信装置は、複数の光通信装置で時分割多重された予め決められた送信時刻から予め決められた送信期間の固定の通信帯域で、電力量計の設置場所の固有情報や電力量の計測データを含む固定長のデータを第1波長の光信号により、上位側の装置に定期的に送信する第1送信部と、第1送信部とは別に、送信データ量を上位側の装置に通知して上位側の装置から割り当てられる動的な通信帯域により上位側の装置にデータを送信する第2送信部と、第1送信部が送信時刻以外の時刻に第1波長の光信号の送信を開始した場合、第1送信部が送信期間以外の期間に光信号を送信している場合、の少なくとも一方の送信条件を満たしているか否かを監視して、第1送信部が送信条件を外れた場合に、第1送信部から第1波長の光信号を送信しないように制御する制御部とを有し、制御部は、第1送信部の第1波長の光信号を停止した場合に、第2送信部により、第1送信部が送信する予定の電力量計の計測データを上位側の装置を介して課金サーバに少なくとも1回送信し、電力量計の計測データは、上位側の装置を介して電力量計の計測データを収集して使用電力量に応じた課金処理を行う課金サーバに送信されることを特徴とする。
【0007】
一つの観点によれば、送信する光信号を他の装置から送信される光信号と時分割多重して上位側の装置に伝送する電力量計が接続された光通信装置において、複数の光通信装置で時分割多重された予め決められた送信時刻から予め決められた送信期間の固定の通信帯域で、電力量計の設置場所の固有情報や電力量の計測データを含む固定長のデータを第1波長の光信号により、上位側の装置に定期的に送信する第1送信部と、第1送信部とは別に、送信データ量を上位側の装置に通知して上位側の装置から割り当てられる動的な通信帯域により上位側の装置にデータを送信する第2送信部と、第1送信部が送信時刻以外の時刻に第1波長の光信号の送信を開始した場合、第1送信部が送信期間以外の期間に光信号を送信している場合、の少なくとも一方の送信条件を満たしているか否かを監視して、第1送信部が送信条件を外れた場合に、第1送信部から第1波長の光信号を送信しないように制御する制御部とを有し、制御部は、第1送信部の第1波長の光信号を停止した場合に、第2送信部により、第1送信部が送信する予定の電力量計の計測データを上位側の装置を介して課金サーバに少なくとも1回送信し、電力量計の計測データは、上位側の装置を介して電力量計の計測データを収集して使用電力量に応じた課金処理を行う課金サーバに送信されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本件開示の光通信システムおよび光通信装置は、複数の光通信装置の光信号を時分割多重して伝送するシステムにおいて、予め決められた時間外に光信号を送信する故障が発生した場合の他の光通信装置の通信への影響を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】PONシステムの一例を示す図である。
図2】PONシステムの応用例を示す図である。
図3】ONUが故障した場合の動作例を示す図である。
図4】電力量計が故障した場合の動作例を示す図である。
図5】波長λ3の回線を流れる光信号の一例を示す図である。
図6】波長λ3の回線を流れる光信号のその他の例を示す図である。
図7】ONUの一例を示す図である。
図8】ONUの送信処理の一例を示す図である。
図9】ONUのその他の例を示す図である。
図10】ONUの送信処理のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。
【0011】
図1は、PONシステム100の一例を示す。図1において、PONシステム100は、ONU101(a)、101(b)、101(c)および101(d)と、OLT102と、光カプラ103とを有する。ここで、複数のONU101のうち特定のONU101を指す場合は、符号に(アルファベット)を付加して、例えばONU101(a)のように表記する。また、ONU101(a)からONU101(d)までの4台の装置に共通する内容を説明する場合は、(アルファベット)を省略してONU101と表記する。尚、同じ機能を有する複数の装置がある場合についても上記のONU101の表記と同様に記載する。
【0012】
OLT102は、局側装置として下位側に接続される複数の加入者側装置(ONU101)と通信を行うと共に、ONU101の動作を制御する。図1の例では、1台のOLT102が4台のONU101(ONU101(a)からONU101(d))に光カプラ103を介して接続される。尚、図1のPONシステム100は、4台のONU101を有するが、複数台のONU101であれば本実施形態と同様の効果が得られる。
【0013】
図1において、OLT102は、複数のONU101が送信する上り回線のデータを上位側のネットワーク104に転送し、ネットワーク104側から受信する下り回線のデータをONU101に転送する。ここで、PONシステム100は、上り回線として波長λ1と波長λ3との2つの回線を有し、下り回線として波長λ2の1つの回線を有する。
【0014】
各ONU101は、インターネット端末としてパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称す)151と、計測端末として電力量計152とに接続されている。パソコン151は、ネットワーク104を介して上位側のWebサーバ153などに接続され、電子メールやインターネットアクセスを行うベストエフォート型の回線(波長λ1の回線)を用いる。ベストエフォート型の回線は、回線の状態に応じて遅延や通信エラーなどを許容する回線である。これに対して、電力量計152は、ONU101が設置されている家庭の電力使用量を定期的に計測し、ネットワーク104を介して上位側の課金サーバ154に電力使用量などを送信する。このため、電力量計152のデータを伝送する回線(波長λ3の回線)は、確実に通信することが求められる重要な回線である。尚、OLT102からONU101への下り回線(波長λ2の回線)は、4台のONU101へのデータフレームが時分割多重して送信され、波長λ1の上り回線と対になるベストエフォート型の回線である。
【0015】
ここで、ONU101からOLT102への波長λ1の上り回線において、OLT102は、複数のONU101から送信されるデータフレームが衝突しないように各ONU101の通信帯域を制御する。通信帯域の制御は、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation)方式によって行われる。DBA方式は、複数のONU101から要求されるデータ量に応じて、上り回線の全通信帯域を動的に割り当てる技術である。例えば、各ONU101は、ユーザ端末が送信しようとするデータ量をOLT102に通知してデータを送信するための通信帯域を要求する。OLT102は、他のONU101が送信するデータ量を考慮して、新たに通信帯域の要求を受けたONU101がデータを送信するための通信帯域を通知する。ここで、通信帯域は、例えば送信データにより変調された光信号の送信を開始する時刻(送信時刻)と、光信号を送信している期間(送信期間)とで決められる。尚、複数のONU101に割り当てる通信帯域の合計は、上り方向の全通信帯域以内に設定される。また、波長λ1の上り回線は、ベストエフォート型の回線であり、送信データの長さや他のONU101に応じて光信号の送信時刻や送信期間が変化する。このため、他のONU101の送信データ量が多い場合は、十分な通信帯域が得られず、データの送信に時間が掛かったり、通信プロトコルによってはタイムアウトでデータが破棄され、再送信や通信エラーになることもある。波長λ2の下り回線についても、同様に、データ量に応じてデータの長さが変化し、遅延やデータロスなどが生じることもある。
【0016】
図1の例では、ONU101(a)は、パソコン151(a)から入力するデータAを波長λ1の光信号に変調して光カプラ103を介してOLT102に送信する。この時、ONU101は、OLT102からDBAにより割り当てられた送信時刻および送信期間でデータAをOLT102に送信する。また、ONU101(b)は、OLT102からDBAにより割り当てられた送信時刻および送信期間でデータBをOLT102に送信する。同様に、ONU101(c)はパソコン151(c)のデータCを、ONU101(d)はパソコン151(d)のデータDを、それぞれDBAにより割り当てられた送信時刻および送信期間で各データが重複しないようにOLT102に送信する。
【0017】
波長λ2の下り回線では、各ONU101宛てのデータが時分割で多重されてOLT102から送信される。図1の例では、OLT102は、ONU101(a)宛てのデータW、ONU101(b)宛てのデータX、ONU101(c)宛てのデータY、ONU101(d)宛てのデータZ、を波長λ2の光信号に変調して光カプラ103経由で各ONU101に送信する。そして、各ONU101は、自装置宛のデータを取り出して他のデータを破棄する。図1の例では、ONU101(a)は、パソコン151(a)宛てのデータWを取り出して、パソコン151(a)に出力し、その他のデータX,Y,Zを破棄する。同様に、ONU101(b)はデータXを、ONU101(c)はデータYを、ONU101(d)はデータZを、それぞれ取り出して、パソコン151(b)、パソコン151(c)およびパソコン151(d)にそれぞれ出力する。ここで、波長λ2の下り回線では、OLT102は、各ONU101へのデータを一括して送信するので、送信時刻や送信期間は任意に調整できる。
【0018】
一方、波長λ3の上り回線では、各ONU101は、予め決められた送信時刻から予め決められた送信期間だけ、固定長のデータ(設置場所の固有情報や電力量の計測データなど)を定期的に送信する。
【0019】
図1の例では、ONU101(a)は、電力量計152(a)から入力するデータaを波長λ3の光信号に変調して光カプラ103を介してOLT102に予め決められた送信時刻から予め決められた送信期間だけ送信する。また、ONU101(b)は、電力量計152(b)から入力するデータbを波長λ3の光信号に変調してOLT102に送信する。同様に、ONU101(c)は電力量計152(c)から入力するデータcを、ONU101(d)は電力量計152(d)から入力するデータdを、それぞれ波長λ3の光信号に変調してOLT102に送信する。ここで、各ONU101が波長λ3の上り回線にデータを送信する送信時刻は異なり、それぞれの送信期間が重複しないように予め設定されている。尚、送信時刻および送信期間の設定は、ONU101の設置時や保守時に行ってもよいし、PONシステム100を管理する監視装置155からネットワーク104を介して遠隔操作で各ONU101に設定するようにしてもよい。
【0020】
このようにして、PONシステム100は、ONU101からOLT102への上り回線として、波長λ1のベストエフォート型の回線と、波長λ3の重要回線とを有し、各ONU101から出力される送信データは衝突することなく、OLT102に送信される。
【0021】
ここで、図1の例において、2つの上り回線および下り回線は、互いに波長が異なるようにしたが、ベストエフォート型の通信を行う波長λ1の上り回線と波長λ2の下り回線とを同じ波長で時分割多重するようにしてもよい。
【0022】
図2は、PONシステム100の応用例を示す。図2に示したPONシステム100aは、ベストエフォート型の上り回線と下り回線とを同じ波長λ1で時分割多重している。尚、波長λ3の重要回線は、図1に示したPONシステム100と同じである。PONシステム100aにおいて、OLT102aは、波長λ1の下り回線のデータを送信する期間を除いて各ONU101aに通信帯域の割り当てを行うことにより、上り回線の通信期間と下り回線の通信期間とを時分割で多重する。さらに、OLT102aは、上り回線の通信期間内を各ONU101aからのデータ(データA,B,C,D)を時分割多重して各ONU101aに通信帯域を割り当てる。同様に、OLT102aは、下り回線の通信期間内に各ONU101aへのデータ(データW,X,Y,Z)を時分割多重して送信する。
【0023】
次に、ONU101が故障した場合の動作について説明する。
【0024】
図3は、ONU101が故障した場合の動作例を示す。図3において、ONU101(a)は、光信号の出力をオンオフする制御回路やレーザーダイオードなどの故障により、常に光信号が出力されたままの状態になっている。このため、ONU101(a)が出力する波長λ3の光信号は、予め設定された送信期間を過ぎてもオフにならず、光カプラ103で他のONU101が出力する光信号と重複して合流することになる。これにより、ONU101(b)、ONU101(c)およびONU101(d)が出力するデータb、データcおよびデータdに誤りが生じたり、最悪の場合は通信が困難な状態になる。特に、波長λ3の回線は、電力量計152から使用電力量の情報を定期的に収集して課金サーバ154で課金処理を行っているので、通信が困難な状態に陥った場合、システム利用者に多大な損害を与えることになる。図3は、4世帯から電力量の計測データを収集する例を示してあるが、実際には数百世帯や数千世帯の電力使用量のデータが1つのOLT102を介して課金サーバ154に収集されることもある。このような場合は、1台のONU101の故障によって他の多くの装置に影響を与えるため、故障発生時の影響を最小限に抑えることが望まれている。
【0025】
尚、電力量計152が計測した電力使用量のデータを課金サーバ154に送信する方法として、次の2つの方法が考えられる。
(1)ONU101が主体となって、ONU101が電力量計152から予め決められた日時に定期的に電力使用量のデータを読み出して予め設定された送信時刻および送信期間でOLT102に送信する方法。
(2)電力量計152が主体となって、電力量計152が予め決められた日時に定期的に電力使用量のデータをONU101に出力して、ONU101は、電力量計152から入力するデータをそのままOLT102に送信する方法。この場合、電力量計152がデータの送信時刻や送信期間を制御する。
【0026】
図4は、電力量計152(a)が故障した場合の動作例を示す。図4において、電力量計152(a)は、上記の(2)の方法に対応し、故障により、ONU101へのデータが常に出力されたままの状態になっている。このため、ONU101(a)は、電力量計152(a)から入力するデータをそのまま光信号に変調してOLT102に送信し続けるので、図3の場合と同様に、他のONU101から送信される光信号に影響を与えることになる。
【0027】
本実施形態に係るPONシステム100は、図3図4で説明したような故障が発生した場合に、故障していないONU101の通信に与える影響を低減することができる。
【0028】
図5は、波長λ3の回線を流れる光信号の一例を示す。図5(a)は、障害が発生していない正常時の光信号の様子を示している。ONU101(a)は、時刻t11にデータaの送信を開始し、送信期間T1後の時刻t12までデータaの送信を行う。また、ONU101(b)は、時刻t13にデータbの送信を開始し、送信期間T1後の時刻t14までデータbの送信を行う。同様に、ONU101(c)は時刻t15から時刻t16までの送信期間T1でデータcを、ONU101(d)は時刻t17から時刻t18までの送信期間T1でデータdを、それぞれ送信する。
【0029】
このようにして、データaからデータdの4つのデータは、互いに重複することなく、時分割多重してONU101からOLT102に送信される。尚、各データの送信を開始する送信時刻および送信期間は、先に述べた2つの方法に応じて、ONU101または電力量計152に予め設定されている。
【0030】
一方、図5(b)は、図3または図4で説明したような障害が発生した時の光信号の様子を示している。この場合、ONU101(a)は、送信期間T1が終了する時刻t12を過ぎても光信号が出力されたままになっているので、データb、データcおよびデータdと重複してデータ誤りや通信が困難な状態に陥ってしまう。
【0031】
そこで、本実施形態に係るPONシステム100は、故障によって光信号が出力されたままの状態に陥らないようにすることができる。図5(c)は、故障によって光信号が出力されたままの状態に陥った場合に、光信号を停止する様子を示している。図5(c)は図5(b)に対応する図で、ONU101(a)は光信号が出力されたままの状態になる。しかし、図5(c)の場合、ONU101(a)は、送信期間T1が終了する時刻t12を経過後から、ONU101(b)がデータbの送信を開始する時刻t13より前のガードバンド期間Tg内の時刻t12aに光信号の出力を停止する。ここで、ガードバンド期間Tgは、いずれのONU101もOLT102に光信号を送信していない期間である。これにより、ONU101(a)は、ONU101(b)が送信するデータbに与える影響を回避することができる。尚、時刻t12から時刻t12aまでの期間は、送信終了時刻からONU101(a)が光信号の予期しない送信を検出して光信号を停止するまでの処理を行う時間である。ここで、各ONU101間のガードバンド期間をTg、送信終了時刻から各ONU101が光信号の予期しない送信を検出して光信号を停止するまでの処理時間をTp、とする。この場合、各ONU101が電力量などのデータを課金サーバ154に送信する送信時刻と送信期間は、(式1)の条件を満たすように設定するのが好ましい。
Tp < Tg ・・・(式1)
(式1)の条件を満たすことにより、ONU101のいずれかが故障して光信号が出力されたままの状態に陥った場合でも、他のONU101が光信号の送信を開始するまでに故障したONU101の光信号は停止する。この結果、他のONU101は、正常に使用電力量などの重要なデータを課金サーバ154に送信することができる。
【0032】
図5の例は、送信期間が終了後も光信号を送信し続ける故障について説明したが、ONU101や電力量計152の時計機能が故障して、予め設定された送信時刻や送信期間以外の時刻に光信号を送信する場合について説明する。
【0033】
図6は、波長λ3の回線を流れる光信号のその他の例を示す。図6(a)は、図5(a)と同じ図で、障害が発生していない正常時の光信号の様子を示している。
【0034】
一方、図6(b)は、予め設定された送信時刻や送信期間以外の時刻に光信号を送信する障害が発生した時の光信号の様子を示している。この場合、ONU101(a)は、予め設定された送信時刻t11から送信終了時刻t12までの送信期間T1に光信号を出力せず、時刻t23に光信号の送信を開始し、送信期間T1が終了する時刻t34まで光信号を出力している。このため、時刻t13に光信号の送信を開始するONU101(b)のデータbと重複して、ONU101(b)は、データ誤りや通信が困難な状態に陥ってしまう。
【0035】
そこで、本実施形態に係るPONシステム100は、予め設定された送信時刻や送信期間以外の時刻に光信号を送信する障害が発生した場合でも、他のONU101の通信に与える影響を軽減することができる。図6(c)は、故障によって設定外の時刻に光信号の送信が行われた場合に、光信号の出力を停止する様子を示している。図6(c)は図6(b)に対応する図であり、ONU101(a)は、時刻t23に光信号の送信を開始している。しかし、図6(c)の場合、ONU101(a)は、ONU101(b)が光信号の送信を開始する時刻t13までの時刻t23aに光信号の出力を停止する。尚、時刻t23から時刻t23aまでの期間Tqは、ONU101(a)が異常発光を検出して光信号を停止するまでの処理を行う時間である。ここで、図6(c)の場合、ONU101(a)は、ガードバンド期間Tg内に異常送信の開始と検出と光信号の停止とを行っているので、ONU101(b)が送信するデータbと重複する部分はない。これに対して、図6(d)に示すように、データbの送信中にONU101(a)が異常発光する場合もある。このような場合でも、ONU101(a)は、光信号の予期しない送信を検出してから時間Tqで光信号を停止するので、図6(b)と比較して重複時間が短くなり、データbに与える影響を低減できる。
[ONU101の一例]
次に、本実施形態に係るPONシステム100におけるONU101の一例について説明する。
【0036】
図7は、ONU101の一例を示す。図7において、ONU101は、LANIF(Local Area Network InterFace)201と、ONU制御部202と、λ1送信部203と、光カプラ204とを有する。さらに、ONU101は、λ2受信部205と、計測IF(InterFace)206と、監視制御部207と、テーブル208と、λ3送信部209と、モニタ部210と、を有する。
【0037】
LANIF201は、LANのインターフェース回路を有し、パソコン151などのベストエフォート型の通信を行うインターネット端末などが接続される。
【0038】
ONU制御部202は、OLT102との間でPON規格に従って通信制御を行う。例えば、ONU制御部202は、パソコン151から送信されるデータ量に応じてOLT102に通信帯域を要求し、OLT102から割り当てられた通信帯域でデータを送信する処理を行う。
【0039】
λ1送信部203は、ONU制御部202から出力されるパソコン151の送信データを波長λ2の光信号に変換して光カプラ204を介してOLT102に送信する。
【0040】
光カプラ204は、パソコン151がインターネットなどにアクセスする際に、λ1送信部203が送信する波長λ1の光信号をOLT102側に出力し、OLT102から受信する波長λ2の光信号をλ2受信部205に出力する。また、光カプラ204は、電力量計152の計測データなどをOLT102に送信する際にλ3送信部209が送信する波長λ3の光信号をOLT102側に出力する。尚、光カプラ204とOLT102との間は、1本の光ファイバーで接続され、波長λ1、λ2およびλ3の光信号は、波長多重されている。
【0041】
λ2受信部205は、OLT102から受信する光信号を受信データに変換し、ONU制御部202を介してパソコン151に出力する。
【0042】
計測IF206は、電力量計152を接続するためのインターフェース回路である。尚、計測IF206と電力量計152の間の接続は、専用線でもよいし、LANでもよい。また、計測IF206と電力量計152の接続方法は、有線でもよいし、無線でもよい。
【0043】
監視制御部207は、時計機能を有し、計測IF206を介して入力する電力量などの計測データを予め設定された送信時刻から予め設定された送信期間でOLT102に送信する処理を行う。また、監視制御部207は、モニタ部210が出力する波長λ3の光信号の有無の検出結果に応じて、λ3送信部209の光信号の送信を強制的に停止する処理を行う。例えば、テーブル208に予め設定された送信時刻から予め設定された送信期間以外の時間に光信号を出力している場合、監視制御部207は、λ3送信部209のレーザーダイオードの電源を強制的にオフするなどの制御を行い、光信号の出力を停止する。
【0044】
テーブル208は、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶媒体に1つのファイルとして記憶される。そして、テーブル208には、ONU101毎に予め決められた送信時刻および送信時間が書き込まれている。尚、テーブル208に記憶された波長λ3の回線の送信時刻および送信時間は、固定されており、波長λ1のベストエフォート型の回線のように、送信毎に異なる送信時刻や送信時間がOLT102から割り当てられることはない。但し、電力量計152が新たに設置された場合など、PONシステム100が変更された場合は、テーブル208に記憶された波長λ3の回線の送信時刻および送信時間は、変更される。
【0045】
λ3送信部209は、監視制御部207から出力される電力量計152の計測データを波長λ3の光信号に変換してモニタ部210および光カプラ204を介してOLT102に送信する。
【0046】
モニタ部210は、λ3送信部209が出力する波長λ3の光信号の有無を検出し、検出結果を監視制御部207に出力する。
【0047】
以上、説明したように、本実施形態に係るPONシステム100は、ベストエフォート型の通信を行うインターネット端末が送受信するデータを波長λ1および波長λ2の光信号に変調してONU101とOLT102との間で送受信することができる。さらに、ONU101は、予め設定された送信条件(送信時刻および送信期間)に従って、電力量計152などの重要な計測データを波長λ3の光信号でOLT102に送信することができる。
【0048】
そして、ONU101は、予め決められた送信条件を外れて計測データの送信が行われている場合、λ3送信部209からの光信号の送信を強制的に停止することができる。これにより、本実施形態に係るPONシステム100は、図5および図6で説明したような他のONU101の通信に及ぼす影響を回避または低減することができる。
【0049】
図8は、ONU101の送信処理の一例を示す。尚、図8は、図7に示したONU101の監視制御部207により実行される処理である。
【0050】
ステップS101において、監視制御部207は、内部の時計機能により、テーブル208に予め設定された送信時刻になったか否かを判別する。そして、監視制御部207は、送信時刻になるまで待機し、送信時刻になった場合はステップS102の処理に進む。
【0051】
ステップS102において、監視制御部207は、電力量計152から使用電力量などの計測データを読み取る。この時、監視制御部207は、電力量計152の識別情報(製造番号、契約者番号など)を併せて読み取るようにしてもよいし、識別情報を監視制御部207の内部のメモリやテーブル208に、予め登録しておいてもよい。
【0052】
ステップS103において、監視制御部207は、電力量計152から読み取った計測データや識別情報を課金サーバ154に送信する。尚、データの送信は、電力量計152からデータを読み出しながら行ってもよいし、電力量計152から全てのデータを読み出した後で一括して行ってもよい。
【0053】
ステップS104において、監視制御部207は、内部の時計機能により、テーブル208に予め設定された送信期間が経過したか否かを判別する。そして、監視制御部207は、送信期間が経過した場合はステップS105の処理に進み、送信期間が経過していない場合はステップS102の処理に戻って残りのデータを送信する。尚、図8において、監視制御部207は、電力量計152から全てのデータを一括して読み出した後で送信する場合、ステップS102ではなく、ステップS103の処理に戻って残りのデータを送信する。
【0054】
ステップS105において、監視制御部207は、モニタ部210の検出結果により光信号の有無を判別する。そして、監視制御部207は、モニタ部210の検出結果が光信号「有り」の場合はステップS106の処理に進み、検出結果が光信号「無し」の場合はステップS101の処理に戻って次の送信時刻まで待機する。
【0055】
ステップS106において、監視制御部207は、λ3送信部209の光信号の送信を強制的に停止する。そして、監視制御部207は、ステップS101の処理に戻って次の送信時刻まで待機する。尚、監視制御部207は、λ3送信部209の光信号の送信を強制的に停止したことをONU制御部202およびλ1送信部203を介して監視装置155に通知するようにしてもよい。
【0056】
このように、本実施形態に係るPONシステム100は、予め決められた送信条件を外れて計測データの送信が行われている場合、ONU101のλ3送信部209からの光信号の送信を強制的に停止することができる。
【0057】
次に、本実施形態に係るPONシステム100におけるONU101のその他の例について説明する。
【0058】
図9は、ONU101のその他の例を示す。尚、図9において、図7と同符号のブロックは、同一または同様の機能を有するブロックである。図9において、図7と動作が少し異なるブロックは、電力量計152aおよび監視制御部207aである。電力量計152aは、内部に時計機能を有し、予め設定された時刻に計測データを出力する。そして、監視制御部207aは、電力量計152aから計測データを入力する度にリアルタイムでλ3送信部209に出力し、λ3送信部209は、計測データを光信号に変換してOLT102側に送信する。ここで、監視制御部207aは、テーブル208に予め設定された送信時刻および送信期間の条件に合致するか否かを判別する。例えば、監視制御部207aは、電力量計152aから計測データを入力した時刻および計測データを入力している期間がテーブル208に設定された条件に合致しているか否かを判別する。そして、判別結果が偽の場合、監視制御部207aは、λ3送信部209の光信号の送信を強制的に停止する。
【0059】
このように、ONU101は、予め決められた送信条件を外れて計測データの送信が行われている場合、λ3送信部209からの光信号の送信を強制的に停止することができる。これにより、本実施形態に係るPONシステム100は、図5および図6で説明したように、いずれかのONU101が故障して予定外の時刻に光信号を出力した場合に、他のONU101の通信に及ぼす影響を回避または低減することができる。
【0060】
図10は、ONU101の送信処理のその他の例を示す。尚、図10は、図9に示したONU101の監視制御部207aにより実行される処理である。
【0061】
ステップS201において、監視制御部207aは、電力量計152aから使用電力量などの計測データが入力されたか否かを判別する。尚、電力量計152aは、時計機能を有し、予め設定された送信時刻に計測データを自動的に出力する機能を有する。また、図8で説明したように、電力量計152aは、識別情報(製造番号、契約者番号など)を併せて出力するようにしてもよいし、これらの識別情報を監視制御部207aの内部のメモリやテーブル208に予め登録しておいてもよい。
【0062】
ステップS202において、監視制御部207aは、内部の時計機能により、テーブル208に予め設定された送信時刻および送信期間とで設定された送信可能な期間であるか否かを判別する。そして、監視制御部207aは、送信可能な期間である場合はステップS203の処理に進み、送信可能な期間ではない場合はステップS204の処理に進む。
【0063】
ステップS203において、監視制御部207aは、電力量計152aから入力した計測データや識別情報を課金サーバ154に送信する。尚、データの送信は、電力量計152からデータを入力しながら行うので、ステップS201に戻って次のデータを入力する処理を行う。
【0064】
ステップS204において、監視制御部207aは、λ3送信部209の光信号の送信を強制的に停止する。そして、監視制御部207aは、ステップS201の処理に戻って次のデータを入力するまで待機するが、送信可能期間外の場合は、ステップS203の処理を行わないので、λ3送信部209の光信号の送信は停止された状態になる。尚、監視制御部207aは、λ3送信部209の光信号の送信を強制的に停止したことをONU制御部202およびλ1送信部203を介して監視装置155に通知するようにしてもよい。
【0065】
このように、本実施形態に係るPONシステム100は、予め決められた送信条件を外れて計測データの送信が行われている場合、或いは、送信を行おうとしている場合、ONU101のλ3送信部209からの光信号の送信を強制的に停止することができる。
【0066】
尚、図7または図9は、ONU制御部202と監視制御部207または監視制御部207aとが独立して動作するものとして説明した。しかしながら、図7および図9において、ONU制御部202と監視制御部207または監視制御部207aとが、各図の点線矢印で示したように、連携して動作するようにしてもよい。例えば、図7において、監視制御部207は、λ3送信部209の光信号の送信を強制的に停止した場合、ONU制御部202により、λ1送信部203から電力量計152の計測データを課金サーバ154に送信するようにしてもよい。これにより、ONU101は、λ3送信部209から電力量計152の計測データを課金サーバ154に送信できなくなっても、λ1送信部203によって課金サーバ154に計測データを送信することができる。同様に、図9の場合においても、監視制御部207aは、λ3送信部209の光信号の送信を強制的に停止した場合、ONU制御部202により、λ1送信部203から電力量計152aの計測データを課金サーバ154に送信するようにしてもよい。これにより、電力量計152aの計測データが課金サーバ154に送信されない問題を回避できる。尚、波長λ1の回線は、ベストエフォート型の回線なので、ONU101は、複数回、同じ計測データを送信するようにしてもよい。これにより、計測データが何らかの原因で破棄された場合でも、課金サーバ154に計測データを届けることができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係るPONシステム100は、複数のONU101の光信号を時分割多重して伝送する通信システムで、いずれかのONU101が光信号を出力したままの状態に陥った場合に有効である。本実施形態に係るPONシステム100では、各ONU101から光信号を送信する条件(送信時刻および送信期間)を予め決めておき、条件を外れた光信号の送信を停止することで、時分割多重している他のONU101の通信への影響を回避することができる。また、本実施形態に係るPONシステム100は、電力量計152や電力量計152aなどの計測データを送信するための重要回線において、より効果的である。
【0068】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0069】
100・・・PONシステム;101・・・ONU;102・・・OLT;103・・・光カプラ;104・・・ネットワーク;151・・・パソコン;152・・・電力量計;153・・・Webサーバ;154・・・課金サーバ;155・・・監視装置;201・・・LANIF;202・・・ONU制御部;203・・・λ1送信部;204・・・光カプラ;205・・・λ2受信部;206・・・計測IF;207・・・監視制御部;208・・・テーブル;209・・・λ3送信部;210・・・モニタ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10