(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
乾燥により被膜を形成する熱可塑性樹脂希釈液中に導電性粒子が分散している粒子分散液の塗膜を乾燥させることにより、その乾燥塗膜に該熱可塑性樹脂希釈液の乾燥被膜で被覆された被覆導電性粒子が単層で固着している導電性粒子含有層を形成し、導電性粒子含有層を絶縁性樹脂層と積層する異方性導電フィルムの製造方法。
粒子分散液における熱可塑性樹脂の固形分濃度を、熱可塑性樹脂希釈液の2〜15wt%に調整することにより、被覆導電性粒子の粒子間距離を1〜6μmに制御する請求項2記載の異方性導電フィルムの製造方法。
溶媒に導電性粒子を分散し、その分散液に、乾燥により被膜を形成する熱可塑性樹脂を配合して粒子分散液を調製する請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電フィルムの製造方法。
導電性粒子含有層に絶縁性樹脂フィルムをラミネートすることにより、導電性粒子含有層を絶縁性樹脂層と積層する請求項1〜5のいずれかに記載の異方性導電フィルムの製造方法。
熱可塑性樹脂希釈液の乾燥塗膜に、該熱可塑性樹脂希釈液の乾燥被膜で被覆された被覆導電性粒子が単層で固着されている導電性粒子含有層と、絶縁性樹脂層とが積層している異方性導電フィルムであって、複数の導電性粒子が、規則的なパターンで導電性粒子群を形成している異方性導電フィルム。
第1の電子部品が実装部品であり、第2の電子部品が基板類であり、第1の電子部品と異方性導電フィルムと第2の電子部品の加熱加圧を、第1の電子部品の上から加熱ツールで行う請求項13記載の接続方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の異方性導電フィルムの製造工程では、2軸延伸可能なフィルム上に粘着層を形成し、その上に導電性粒子を複数層に敷き詰め、余分な導電性粒子をスクレバーで掻き落として単層に配置するため、導電性粒子にダメージを与えるおそれがあり、工法的にも難易度が高い。また、導電性粒子を単層に配置するにあたり、導電性粒子に均一な粒子間隔を確保することも難しく、ファインピッチの接続に対応できる異方性導電フィルムを安定生産することが困難となる。
【0005】
このような従来技術の問題点に対し、本発明は、導電性粒子が単層で一様に配置され、ファインピッチの接続に対応することのできる異方性導電フィルムを工業的に容易な方法で安定生産できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、乾燥により被膜を形成する熱可塑性樹脂の希釈液中に導電性粒子が分散している粒子分散液の塗布層を乾燥させると、その乾燥塗膜上に、その熱可塑性樹脂の被膜で被覆された導電性粒子が単層で一様に分散した状態で固着すること、このような樹脂希釈液の乾燥膜化を利用することにより、導電性粒子が単層で、導電性粒子の粒子間距離が制御された異方性導電フィルムを容易に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、乾燥により被膜を形成する熱可塑性樹脂希釈液中に導電性粒子が分散している粒子分散液の塗膜を乾燥させることにより、その乾燥塗膜に該熱可塑性樹脂希釈液の乾燥被膜で被覆された被覆導電性粒子が単層で固着している導電粒子含有層を形成し、導電粒子含有層を絶縁性樹脂層と積層する異方性導電フィルムの製造方法を提供する。ここで、導電性粒子含有層は、規則的なパターンを有する転写型を用いて形成することができる。
【0008】
また、本発明は、熱可塑性樹脂希釈液の乾燥塗膜に、該熱可塑性樹脂希釈液の乾燥被膜で被覆された被覆導電性粒子が単層で固着されている導電性粒子含有層と、絶縁性樹脂層とが積層している異方性導電フィルムを提供する。
【0009】
さらに、本発明は上述の異方性導電フィルムを用いて第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを異方性導電接続する接続方法であって、
第2の電子部品上に、上述の異方性導電フィルムを仮貼りし、
仮貼りした異方性導電フィルム上に第1の電子部品を仮設置し、
次いで、第1の電子部品と異方性導電フィルムと第2の電子部品とを加熱加圧する接続方法を提供し、この接続方法による第1の電子部品と第2の電子部品との接続体を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の異方性導電フィルムの製造方法によれば、導電性粒子が単層で一様な粒子間距離に配置された異方性導電フィルムを容易に製造することができ、また、その粒子間距離を容易に制御することができるので、ファインピッチに対応した異方性導電フィルムを工業的に安定生産することが可能となる。
【0011】
そして、この製造方法で得られた異方性導電フィルムは、例えば、接続すべき導体端子間のスペースが5μm〜15μmというファインピッチであっても、電気的接続を良好にし、かつ隣接する端子間の絶縁性を向上させることができる。また、導電粒子の配列をパターン化させることで、ファインピッチの導体端子間の電気的接続をより良好に行うことができる。なお、設計によってはより広いピッチの導体端子間の電気的接続に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
<<本発明の異方性導電フィルムの製造方法A>>
図1は、本発明の一実施例の異方性導電フィルムの製造方法の工程説明図である。以下に工程毎に説明する。
【0015】
<粒子分散液の調製工程>
まず、
図1(a)に示すように、この実施例では、まず、乾燥により被膜を形成する熱可塑性樹脂希釈液2中に、導電性粒子3が分散している粒子分散液1を調製する。
【0016】
ここで、導電性粒子3としては、例えば、公知の異方性導電フィルムに用いられる導電性粒子とすることができ、樹脂製のコアにニッケル・金等のめっきを施した金属被覆樹脂粒子、ニッケル、コバルト、金、銀、銅、パラジウム等の金属粒子等を挙げることができ、これらの一種又は複数種を組み合わせて使用することができる。また、導電性粒子3の大きさとしては、金属粒子の場合、好ましくは粒径0.2〜5μmの球状粒子、又は厚さ0.2〜0.4μmで直径1〜10μmのフレーク状粒子などを使用することができ、金属被覆樹脂粒子の場合、好ましくは粒径1〜20μm、より好ましくは3〜10μmの球状、フレーク状、ラグビーボール状等とすることができる。
【0017】
粒子分散液1における導電性粒子3の配合量は、1〜20wt%が好ましい。導電性粒子の配合量が多すぎると、ファインピッチの異方性導電接続に対応した異方性導電フィルムを得ることが難しくなる。反対に、配合量が少なすぎると、粒子捕捉率が低下し、端子間を確実に接続することが難しくなる。
【0018】
一方、熱可塑性樹脂希釈液2は熱可塑性樹脂と溶媒を含有する。熱可塑性樹脂希釈液2において、熱可塑性樹脂は膨潤、溶解又は懸濁している。熱可塑性樹脂としては、溶媒の乾燥により析出して被膜を形成し易く、また、導電性粒子3を容易に被覆できるものが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂としては、異方性導電フィルムで端子間を接続する場合の導通性の確保の観点から、熱可塑性樹脂は軟化点が50〜90℃で、端子間接続時の加熱により流動性を有するものが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル酸エステル樹脂等を挙げることができる。好ましくはEVAである。
【0019】
熱可塑性樹脂希釈液2に使用する溶媒としては、熱可塑性樹脂希釈液2の塗膜の乾燥により容易にその乾燥被膜を形成できるように、当該熱可塑性樹脂の貧溶媒を含有させることが好ましい。より具体的には、当該熱可塑性樹脂の種類にもよるが、トルエン、MEK等の良溶媒と、エタノール、IPA等の貧溶媒を適宜混合したものなどを使用することができる。
【0020】
熱可塑性樹脂希釈液2における熱可塑性樹脂の固形分濃度は、異方性導電フィルムにおける導電性粒子の粒子間距離を所定の大きさにするために適宜設定することができる。本発明の異方性導電フィルムにおいて、導電性粒子3が熱可塑性樹脂の乾燥被膜6bで被覆された被覆導電性粒子4の粒子間距離L2(
図1(c))は、絶縁性確保の点から、0.5〜10μmが好ましく、1〜6μmがより好ましいので、熱可塑性樹脂希釈液2における熱可塑性樹脂の固形分濃度は、0.1〜30wt%が好ましく、2〜15wt%がより好ましい。
【0021】
一方、熱可塑性樹脂希釈液2における導電製粒子3の濃度の観点から見ると、その濃度が高くなるにつれ、被覆導電性粒子4の粒子間距離L2が大きくなる傾向がある。従って、熱可塑性樹脂希釈液2における導電性粒子3の濃度を調整することにより被覆導電性粒子4の粒子間距離L2の制御が可能となる。
【0022】
粒子分散液1の調製方法としては、まず、熱可塑性樹脂の溶液を調製すると共に、熱可塑性樹脂の貧溶媒に導電性粒子3を分散させた分散液を得、その分散液に熱可塑性樹脂の溶液を徐々に加えて分散させることが好ましい。これに対し、まず熱可塑性樹脂希釈液を得、次に、この希釈液に導電性粒子を分散させると、導電性粒子が凝集した状態となる。ここで「凝集した状態」とは、個々の粒子の距離が適度に保たれた集合体のことを指し、本発明は、粒子各々が非接触で且つ距離を設けられた群になった状態のものを包含する。また、簡単には、溶媒に導電性粒子を分散し、その分散液に、乾燥により被膜を形成する熱可塑性樹脂を配合して粒子分散液を調製してもよい。
【0023】
図1に示した実施例では、上述の粒子分散液1を、PETフィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)、OPP(2軸延伸ポリプロピレンフィルム)等の剥離基材5に塗布する(同図(b))。この場合、塗布方法は、バーコーター、ロールコーター等を用い、塗膜の厚さ方向に被覆導電性粒子が重なり合わず、被覆導電性粒子が単層となるように塗布することが好ましい。また、この場合の塗布量は、乾燥、膜化の点から、導電性粒子3が存在する部分の塗膜の厚さL1として、1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0024】
なお、粒子分散液1を剥離基材5に塗布した際に、粒子分散液1の塗膜に、別の剥離フィルムをラミネートすることにより、塗膜を拡げさせ、粒子の被膜が円盤状などの異方的な形状になることで、平面方向への導電性粒子の移動を抑制することができる。この別の剥離フィルムは、塗膜を拡げさせた後には剥離することができる。
【0025】
<粒子分散液の塗膜乾燥工程>
次に、剥離基材5上の粒子分散液1の塗膜を乾燥させる。これにより剥離基材5上の熱可塑性樹脂希釈液の乾燥塗膜6aに、その熱可塑性樹脂希釈液の乾燥被膜6bで導電性粒子3が被覆された被覆導電性粒子4が、粒子同士が塗膜の厚さ方向に重なり合わない単層で固着した導電性粒子含有層7が形成される(同図(c))。この導電性粒子含有層7においては、被覆導電性粒子4が熱可塑性樹脂希釈液の乾燥塗膜6a上に一様に分散し、それらの粒子間距離のばらつきが著しく抑制されたものとなる。
【0026】
ここで、粒子分散液1の塗膜の乾燥温度は、熱可塑性樹脂の軟化点より高く、かつ溶媒の沸点以下の温度とすることが好ましい。これにより、剥離基材5上の熱可塑性樹脂希釈液の乾燥塗膜6aに、被覆導電性粒子4を融着させることができ、導電性粒子含有層7における被覆導電性粒子4の均質な分散状態を安定化させることができる。
【0027】
<絶縁性樹脂層の積層工程>
次に、導電性粒子含有層7上に絶縁性樹脂層8を積層することにより、導電性粒子含有層7と絶縁性樹脂層8が積層している実施例の異方性導電フィルム10を得ることができる(同図(d))。
【0028】
この絶縁性樹脂層8は、公知の異方性導電フィルムにおいて使用されている、膜形成樹脂、硬化成分、硬化剤などを含む絶縁性樹脂層形成用塗料から形成することができる。また、絶縁性樹脂層8としては、タック性を有するものが好ましい。なお、被覆導電性粒子の被覆物もタック性発現に寄与させることが好ましい。この場合、寄与させるには溶剤や親和性の高いモノマーを微量に残存ないしは混合させる等をすればよい。
【0029】
ここで、膜形成樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることができ、これらの2種以上を併用することができる。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の観点から、フェノキシ樹脂を好ましく使用することができる。
【0030】
硬化成分としては、液状エポキシ化合物、アクリルモノマーなどを挙げることができる。このうち、液状エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、それらの変性エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物などを挙げることができ、これらの2種以上を併用することができる。この場合、硬化剤としては、ポリアミン、イミダゾール等の熱又は光アニオン系硬化剤やスルホニウム塩などの熱又は光カチオン系硬化剤、フェノール系硬化剤等の熱又は光潜在性硬化剤を挙げることができる。
【0031】
また、アクリルモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。この場合、硬化剤(熱又は光ラジカル重合開始剤)としては、有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
【0032】
導電性粒子含有層7と絶縁性樹脂層8との積層方法としては、例えば、予め絶縁性樹脂フィルムを作製しておき、それを導電性粒子含有層7にラミネートする。この場合、絶縁性樹脂フィルムとしては、例えば、上述の(i)膜形成樹脂、(ii)タック性を発揮する硬化成分、及び(iii)硬化成分の硬化剤を含む絶縁性樹脂層形成用塗料を用いて塗膜を形成し、その塗膜を硬化させたものを使用することができる。
【0033】
<<本発明の異方性導電フィルムの製造方法B>>
本発明の異方性導電フィルムは、導電性粒子含有層を規則的なパターンを有する転写型、例えば、
図3A又は
図3Bに示すような転写型30A、30Bを用いて形成することで製造することもできる。粒子間距離の確保が容易となり、また、粒子間距離ピッチを広くすることが可能となる。
【0034】
図3Aは、線状の溝31が形成されている転写型30Aの平面図であり、
図3Bは、正方形の島状の凹部32が形成されている転写型30Bの平面図である。これらの転写型のA−A断面の溝31又は凹部32の形状は、
図3Cに示すように、転写型40(転写型3Aと3Bとを併せて転写型40を称する)の片面に例えば幅5〜200μmで深さ5〜40μmの矩形形状(以下窪み41と称する)である。このような転写型を用いて異方性導電フィルムを製造する場合には、好ましくは以下に説明するような工程を経る。断面図をベースに説明する。なお、転写型の形状は任意に設計できるが、短絡防止をより確実にするため、複数の導電性粒子から導電性粒子群を構成し、そのような導電性粒子群を線状・島状・点状などの、不連続的な独立したパターン形状で形成することが望ましい。また、この形状は直線には限定されない。パターン形状における最短距離は、被膜粒子が1〜2個存在できるスペースであればよい。被膜粒子が1個入る程度のスペースでは、粒子が存在しなくなる欠落領域の出現頻度が高まるためである。このようにパターンを用いることは、確実な絶縁領域を確保する上で信頼性の向上に効果的に作用することになる。また、生産上の観点からも、パターンを用いることで検査そのものが行いやすくなり、不良抽出が容易になることで品質向上につながるメリットがある。
【0035】
<粒子分散液の調製工程>
まず、
図1(a)に示すように、この実施例でも、まず、乾燥により被膜を形成する熱可塑性樹脂希釈液2中に、導電性粒子3が分散している粒子分散液1を調製する。
【0036】
<転写型への粒子分散液の塗布工程>
転写型40上に、所定厚の粒子分散液1の塗膜を形成し、公知のワイパーで転写型40の表面上の粒子分散液1を掻き取る(
図4A)。これにより、窪み41中に導電性粒子3が分散している熱可塑性樹脂希釈液2が充填される。窪み41中に入り込む導電性粒子3の数は、導電性粒子3のサイズ、窪み41の幅や深さ、粒子分散液中の導電性粒子3の濃度等に応じて異なるが、通常は複数の導電性粒子3が単層で充填され、導電性粒子群43が構成される。
【0037】
<導電性粒子群43の剥離フィルムへの転写、乾燥工程>
次に、転写型40の窪み41形成面に剥離フィルム50を載せ押圧して(
図4B)、被覆導電粒子群43を剥離フィルム50上に転写し(
図4C)、乾燥させる。これにより剥離フィルム50上に、導電性粒子3が熱可塑性樹脂44で固定された線状又は島状の被覆導電性粒子群パターン45が形成される(
図4D)。
【0038】
<絶縁性樹脂層の積層工程>
次に、被覆導電性粒子群パターン45上に絶縁性樹脂層8を積層し、剥離フィルム50を取り去ることにより、被覆導電性粒子群パターン45と絶縁性樹脂層8とが積層している実施例の異方性導電フィルム46を得ることができる(
図4E)。
【0039】
<<本発明の異方性導電フィルムの製造方法C>>
本発明の異方性導電フィルムの製造方法は更に種々の態様をとることができる。例えば、導電性粒子含有層7の形成にあたり、予め絶縁性樹脂層8を形成しておき、その絶縁性樹脂層8上に粒子分散液1を塗布し、乾燥して導電性粒子含有層7を形成してもよい。これにより、剥離基材5を使用することなく、導電性粒子含有層7と絶縁性樹脂層8とが積層した異方性導電フィルム10を得ることができる。
【0040】
この他、
図1に示したように導電性粒子含有層7を形成した後、絶縁性樹脂層形成用塗料を、導電性粒子含有層7に直接塗布して乾燥又は硬化させることにより異方性導電フィルム10を製造してもよい。
【0041】
<<本発明の異方性導電フィルムを使用した異方性導電接続並びに接続体>>
本発明の異方性導電フィルムは、第1の電子部品(例えば、ICチップ、ICモジュールなどの実装部品)と、第2の電子部品(例えば、フレキシブル基板、ガラス基板などの基板類)とを異方性導電接続する際に好ましく適用することができる。この場合、第2の電子部品に異方性導電フィルムを仮貼りし、第2の電子部品上に仮貼りした異方性導電フィルム上に第1の電子部品を仮設置し、次いで、第1の電子部品と異方性導電フィルムと第2の電子部品とを加熱加圧もしくは光照射することが好ましく、より好ましくは、加熱加圧を第1の電子部品の上から行い、もしくは光照射を第2電子部品の下から行う。これらの加熱加圧と光照射とは同時に行うこともできるが、加熱加圧開始後、遅れて光照射を行うこともできる。
【0042】
このように本発明の異方性導電フィルムを用いる接続方法や、この接続方法により得られた第1の電子部品と第2の電子部品との接続体も、本発明は包含する。
【実施例】
【0043】
以下、本発明をより具体的に実施例により説明する。
【0044】
実施例1〜5、比較例1、2
(1)粒子分散液の調製
導電性粒子として、平均粒子径4μmの樹脂コアNiAuメッキ粒子(積水化学工業株式会社、AUL704)を使用し、この導電性粒子1.5gをエタノール50mLに分散させた。一方、乾燥により被膜を形成する熱可塑性樹脂としてエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)(住友化学株式会社、エバテート、型番:D2045、ビカット軟化温度83℃)を使用し、EVAのトルエン溶液を表1に示すように3通りの固形分濃度で調製し(2wt%、8wt%、15wt%)、このEVAのトルエン溶液5mLを、上述の導電性粒子の分散液に滴下しながら超音波ホモジナイザーで10分間分散させ、粒子分散液を得た。
【0045】
(2)導電性粒子含有層の形成
(1)で得た粒子分散液を、PETフィルムにバーコーターで、表1に示す、塗膜の厚さ(乾燥前)L1(
図1(b)参照)に塗布し、100℃で3分間熱風乾燥させ、導電性粒子含有層を形成した。乾燥後の導電性粒子含有層における、EVAで被覆された導電性粒子の粒子間距離L2(
図1(c)参照)を表1に示す。なお、乾燥前の粒子分散液の塗膜の厚さL1と、乾燥後の粒子間距離L2は、金属顕微鏡(倍率×100)を用いて、100μm角の任意の領域内における導電性粒子(N=20)について塗膜の厚さL1と粒子間距離L2を測定し、その平均値とした。
【0046】
(3)異方性導電フィルムの作製
表1に示す絶縁性樹脂層の原料成分を混合し、それをPETフィルムにバーコーターで塗布し、70℃で5分熱風乾燥して絶縁性樹脂フィルムを作製し、この絶縁性樹脂フィルムを上述の導電性粒子含有層にラミネーター(ロール表面温度45℃)でラミネートし、PETフィルム上に、層厚L3(
図1(d)参照)が20μmの異方性導電フィルム10を作製した(実施例1〜5)。
【0047】
一方、表1に示す絶縁性樹脂層の原料成分の混合物100質量部に対して、実施例と同様の導電性粒子20質量部を使用し、特許第4789738号に記載の2軸延伸法に準じて、導電性粒子を単層に配置した、層厚20μmの異方性導電フィルムを作製した(比較例1)。
【0048】
また、表1に示す絶縁性樹脂層の原料成分の混合物100質量部に、実施例と同様の導電性粒子20質量部を添加したものを調製し、これをPETフィルムにバーコーターで塗布し、70℃で5分熱風乾燥し、層厚20μmの異方性導電フィルムを作製した(比較例2)。
【0049】
図2に示すように、比較例2の異方性導電フィルムでは、PETフィルム5上の絶縁性樹脂層8に導電性粒子3がランダムに複数層に分散しており、その層厚L3が20μmである。
【0050】
実施例6〜11
(1)粒子分散液の調製
実施例1で調製したものと同じ粒子分散液を調製した。
【0051】
(2)被覆導電性粒子群パターンの形成
(1)で得た粒子分散液を、深さ10μmで表1に示すパターン幅(溝巾又は凹部巾)を有する
図3A(実施例6〜8)又は
図3の転写型にバーコーターで、表1に示す塗膜の厚さ(乾燥前)L1(
図1(b)参照)となるように塗布し、更に、溝又は凹部に入らなかった粒子分散液をワイパーで除去した後、剥離PETフィルムに溝又は凹部に充填された粒子分散液を転写した。これを100℃で3分間熱風乾燥し、被覆導電性粒子群パターンを形成した。乾燥後の被覆導電性粒子群における、EVAで被覆された導電性粒子の粒子間距離L2(
図1(c)参照)を表1に示す。なお、乾燥前の粒子分散液の塗膜の厚さL1と、乾燥後の粒子間距離L2は、金属顕微鏡(倍率×100)を用いて、100μm角の任意の領域内における導電性粒子(N=20)について塗膜の厚さL1と粒子間距離L2を測定し、その平均値とした。
【0052】
(3)異方性導電フィルムの作製
表1に示す絶縁性樹脂層の原料成分を混合し、それをPETフィルムにバーコーターで塗布し、70℃で5分熱風乾燥して絶縁性樹脂フィルムを作製し、この絶縁性樹脂フィルムを上述の被覆導電性粒子群パターンにラミネーター(ロール表面温度45℃)でラミネートし、PETフィルム上に、層厚L3(
図1(d)参照)が20μmの異方性導電フィルムを作製した(実施例6〜11)。
【0053】
<<異方性導電フィルムの特性評価>>
(イ)ショート発生率
実施例及び比較例の各異方性導電フィルムをそれぞれ35mm×20mmにカットし、ITOガラス(t=0.7mm)に貼り付け、アライメント実装設備にて、IC(1.5mm×13mm、t=0.5mm、Au−plated bump 25μm×140μm、h=15μm、Bump間スペース7.5μm)を圧着した(圧着条件:180℃、70Mpa 5秒、緩衝材 ポリテトラフルオロエチレン t=50μm)。こうして得られた接続体を、85℃、85%RHで250時間保管し、保管の前後のショートの発生率を求めた。結果を表1に示す。実用上、100ppm以下であることが望ましい。ショート発生率は、「ショートの発生数/7.5μmスペース総数」で算出される。
【0054】
(ロ)導通抵抗
実施例及び比較例の各異方性導電フィルムをそれぞれ35mm×24mmにカットし、ITOガラス(t=0.7mm)に貼り付け、アライメント実装設備にて、IC(1.8mm×20mm、t=0.5mm、Au−plated bump 30μm×85μm、h=15μm)を圧着した(圧着条件:180℃、70Mpa 5秒、緩衝材 ポリテトラフルオロエチレン t=50μm)。こうして得られた接続体を、85℃、85%RHで250時間保管し、保管の前後の導通抵抗を測定した。結果を表1に示す。実用上、10Ω以下であることが望ましい。導通抵抗は、ICのバンプとパネル電極との間の抵抗を測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から、実施例1〜11の異方性導電フィルムが、2軸延伸法により導電性粒子を単層に配置した比較例1の異方性導電フィルムや、導電性粒子がランダムに複数層に分散している比較例2の異方性導電フィルムと同様に導通抵抗が低く、かつ、これらよりもショートの発生率が低いことがわかる。このことは、実施例の異方性導電フィルムは、粒子間距離のばらつきが少ないことを示している。以上により、本発明の実施例によれば、ショート発生率を低減しつつ、低い導通抵抗を得られる。
【0057】
また、実施例1〜3の結果から、EVAの固形分濃度を変えることにより、導電性粒子間の粒子間距離を変えられることがわかる。また、実施例2、4、5の結果から、絶縁性樹脂の硬化系がラジカル系、アニオン系、カチオン系であるかに関わらず、ショート発生率と導通抵抗とについて同様な結果が得られることがわかる。更に、実施例6〜11の結果から、異方性導電フィルム製造時に線状パターン又は島状パターンの転写型を使用するか否かにかかわらず、ショート発生率と導通抵抗とについて同様な結果が得られることがわかる。なお、パターン巾が広くなると導通抵抗値が低下する傾向があることがわかる。また、異方性導電フィルム製造時に線状パターン又は島状パターンの転写型を使用すると、転写型を使用しない実施例2の場合に比べ、L1とL2が若干増大する傾向があることがわかる。圧力の影響を受け易くなるためであると考えられる。