(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024637
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】籾摺選別機
(51)【国際特許分類】
B02B 7/02 20060101AFI20161107BHJP
B02B 5/02 20060101ALI20161107BHJP
B02B 7/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
B02B7/02 104
B02B5/02 104
B02B7/00 101Z
B02B7/02 108
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-209336(P2013-209336)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-73909(P2015-73909A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年8月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】近本 正幸
(72)【発明者】
【氏名】二宮 伸治
(72)【発明者】
【氏名】八塚 浩一
【審査官】
中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−107618(JP,A)
【文献】
特開2013−173121(JP,A)
【文献】
特開2009−262085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺部と、揺動選別板と、揺動選別板で選別された玄米を機外排出するか機内循環するかを切り換える循環/排出切換弁を備え、
籾摺運転の開始後に、揺動選別板の選別状態が安定すると循環/排出切換弁が自動的に機内循環から機外排出に切換わり玄米を機外に排出する仕上排出工程に移行し、該仕上排出工程中に籾摺部で籾摺りする籾が設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなると、循環/排出切換弁が自動的に機外排出から機内循環に移行し、設定時間後に循環/排出切換弁が自動的に機内循環から機外排出に切換わる残米処理工程に移行する籾摺選別機において、
循環/排出切換弁を手動で機内循環と機外排出を切り換える循環/排出切換スイッチを設け、循環/排出切換スイッチを操作して機内循環から機外排出に切り換えた場合には、再度、循環/排出切換スイッチを操作しなくても、その後の工程は自動による制御に移行する構成とし、
循環/排出切換スイッチを操作して機外排出から機内循環側に切り換えた場合には、再度、循環/排出切換スイッチを操作するまでは、機内循環状態を継続させることを特徴とする籾摺選別機。
【請求項2】
籾摺部と、揺動選別板と、揺動選別板で選別された玄米を機外排出するか機内循環するかを切り換える循環/排出切換弁と、揺動選別板に供給する籾及び玄米からなる混合米を貯留する混合米タンクと、運転用の操作レバーを備え、
前記操作レバーを初期位置から籾摺選別位置に操作して籾摺選別運転を開始し、
運転開始後に混合米タンクの混合米量が設定量以上になると、循環/排出切換弁が自動的に機内循環側から機外排出側に切り換わり玄米を機外に排出する仕上排出工程に移行し、
仕上排出工程中に籾摺部で籾摺りする籾が設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなったことを検出すると、循環/排出切換弁が自動的に機外排出から機内循環へ切換わり、次いで、設定時間後に自動的に機内循環から機外排出に切換わり残米を排出する残米処理工程を行うものであって、
循環/排出切換弁を手動で機内循環側と機外排出側に切り換える循環/排出切換スイッチを設け、
仕上排出工程中に混合米タンクが設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなったことを検出する前に循環/排出切換スイッチを操作して循環/排出切換弁を機外排出から機内循環に切り換えた場合には、前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、再度、循環/排出切換スイッチを操作するまで機内循環を継続する構成とし、
運転開始後に混合米タンクが設定量以上を検出する前に循環/排出切換スイッチを操作して循環/排出切換弁を機内循環から機外排出に切り換え仕上排出工程に移行した場合には、籾摺部で籾摺りする籾が設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなったことを検出すると、前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、自動的に前記残米処理工程に移行することを特徴とする籾摺選別機。
【請求項3】
籾摺部と、揺動選別板と、揺動選別板で選別された玄米を機外排出するか機内循環するかを切り換える循環/排出切換弁と、メインモータの負荷電流値を検出する負荷電流値検出センサと、運転用の操作レバーを備え、
前記操作レバーを初期位置から籾摺選別位置に操作して籾摺選別運転を開始し、
運転開始後に負荷電流センサが設定値以上の負荷電流値を検出すると、循環/排出切換弁が自動的に機内循環側から機外排出側に切り換わり玄米を機外に排出する仕上排出工程に移行し、
仕上排出工程中に負荷電流値検出センサが設定値以下の負荷電流値を検出すると、前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、循環/排出切換弁が自動的に機外排出から機内循環へ切換わり、次いで、設定時間後に自動的に機内循環から機外排出に切換わり残米を排出する残米処理工程を行うものであって、
循環/排出切換弁を手動で機内循環側と機外排出側に切り換える循環/排出切換スイッチを設け、
仕上排出工程中に負荷電流値検出センサが設定値以下の負荷電流値を検出する前に循環/排出切換スイッチを操作して循環/排出切換弁を機外排出から機内循環に切り換えた場合には、前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、再度、循環/排出切換スイッチを操作するまで機内循環を継続する構成とし、
運転開始後に負荷電流値検出センサが設定値以上の負荷電流値を検出する前に循環/排出切換スイッチを操作して循環/排出切換弁を機内循環から機外排出に切り換え仕上排出工程に移行した場合には、籾摺部で籾摺りする籾が設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなったことを検出すると、前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、自動的に前記残米処理工程に移行することを特徴とする籾摺選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、籾摺運転開始後に混合米タンクが設定量以上貯留されていることを検出すると、循環排出切換弁を機内循環側から機外排出側に切換わり、仕上げ玄米を機外に排出する仕上排出工程に移行し、仕上排出工程中に、混合米タンク内の混合米量が減少すると、籾摺りする籾が無くなったと判定し、機内の残米を設定時間機内循環させて未脱ぷ籾を脱ぷしてから機外に排出する籾摺選別機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−254461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、混合米タンク内に設定量以上の混合米が貯留されないと玄米は機外に排出されないため、混合米が貯留されるまでその分時間を要する。オペレータの中には、籾摺選別運転の開始後に、迅速に玄米を機外に取り出すことを希望する場合がある。
【0005】
本発明は、籾摺運転開始後に、迅速に仕上玄米を機外に排出できるものでありながら、仕上米排出工程以後の処理を円滑に行うことができる籾摺選別機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するために次のような技術的手段を講ずる。
請求項1記載の発明は、籾摺部(3)と、揺動選別板(12)と、揺動選別板(12)で選別された玄米を機外排出するか機内循環するかを切り換える循環/排出切換弁(18)を備え、籾摺運転の開始後に、揺動選別板(18)の選別状態が安定すると循環/排出切換弁(18)が自動的に機内循環から機外排出に切換わり玄米を機外に排出する仕上排出工程に移行し、該仕上排出工程中に籾摺部で籾摺りする籾が設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなると、循環/排出切換弁(18)が自動的に機外排出から機内循環に移行し、設定時間後に循環/排出切換弁(18)が自動的に機内循環から機外排出に切換わる残米処理工程に移行する籾摺選別機において、循環/排出切換弁(18)を手動で機内循環と機外排出を切り換える循環/排出切換スイッチ(34)を設け、循環/排出切換スイッチ(34)を操作して機内循環から機外排出に切り換えた場合には、再度、循環/排出切換スイッチ(34)を操作しなくても、その後の工程は自動による制御に移行する構成とし、循環/排出切換スイッチ(34)を操作して機外排出から機内循環側に切り換えた場合には、再度、循環/排出切換スイッチ(34)を操作するまでは、機内循環状態を継続させることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、
籾摺部と、揺動選別板と、揺動選別板で選別された玄米を機外排出するか機内循環するかを切り換える循環/排出切換弁と、揺動選別板に供給する籾及び玄米からなる混合米を貯留する混合米タンク
と、運転用の操作レバーを備え、
前記操作レバーを初期位置から籾摺選別位置に操作して籾摺選別運転を開始し、
運転開始後に混合米タンクの混合米量が設定量以上になると、循環/排出切換弁が自動的に機内循環側から機外排出側に切り換わり玄米を機外に排出する仕上排出工程に移行し、
仕上排出工程中に籾摺部で籾摺りする籾が設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなったことを検出すると、循環/排出切換弁が自動的に機外排出から機内循環へ切換わり、次いで、設定時間後に自動的に機内循環から機外排出に切換わり残米を排出する残米処理工程を行う
ものであって、
循環/排出切換弁を手動で機内循環側と機外排出側に切り換える循環/排出切換スイッチを設け、
仕上排出工程中に混合米タンクが設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなったことを検出する前に循環/排出切換スイッチを操作して循環/排出切換弁を機外排出から機内循環に切り換えた場合には、
前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、再度、循環/排出切換スイッチを操作するまで機内循環を継続する構成とし、
運転開始後に混合米タンクが設定量以上を検出する前に循環/排出切換スイッチを操作して循環/排出切換弁を機内循環から機外排出に切り換え仕上排出工程に移行した場合には、籾摺部で籾摺りする籾が設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなったことを検出すると、
前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、自動的に前記残米処理工程に移行することを特徴とする
籾摺選別機とする。
これにより、1回の操作レバーの操作で籾摺選別運転を行うことができる。簡単な操作でオペレータの意図に沿う籾摺選別運転を行うことができる。
【0008】
請求項3記載の発明によると、
籾摺部と、揺動選別板と、揺動選別板で選別された玄米を機外排出するか機内循環するかを切り換える循環/排出切換弁と、メインモータの負荷電流値を検出する負荷電流値検出センサ
と、運転用の操作レバーを備え、
前記操作レバーを初期位置から籾摺選別位置に操作して籾摺選別運転を開始し、
運転開始後に負荷電流センサが設定値以上の負荷電流値を検出すると、循環/排出切換弁が自動的に機内循環側から機外排出側に切り換わり玄米を機外に排出する仕上排出工程に移行し、
仕上排出工程中に負荷電流値検出センサが設定値以下の負荷電流値を検出すると、
前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、循環/排出切換弁が自動的に機外排出から機内循環へ切換わり、次いで、設定時間後に自動的に機内循環から機外排出に切換わり残米を排出する残米処理工程を行う
ものであって、
循環/排出切換弁を手動で機内循環側と機外排出側に切り換える循環/排出切換スイッチを設け、
仕上排出工程中に
負荷電流値検出センサが設定値以下の負荷電流値を検出する前に循環/排出切換スイッチを操作して循環/排出切換弁を機外排出から機内循環に切り換えた場合には、
前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、再度、循環/排出切換スイッチを操作するまで機内循環を継続する構成とし、
運転開始後に負荷電流値検出センサが設定値以上の負荷電流値を検出する前に循環/排出切換スイッチを操作して循環/排出切換弁を機内循環から機外排出に切り換え仕上排出工程に移行した場合には、籾摺部で籾摺りする籾が設定量以下に減少するか、あるいは籾が無くなったことを検出すると、
前記操作レバーが籾摺選別位置の状態で、自動的に前記残米処理工程に移行することを特徴とする
籾摺選別機とする。
これにより、1回の操作レバーの操作で籾摺選別運転を行うことができる。簡単な操作でオペレータの意図に沿う籾摺選別運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の循環/排出切換スイッチ(34)は、オペレータが循環/排出切換弁(18)を機外排出から機内循環に切り換える操作を行った場合には、再度、オペレータが機内循環から機外排出に切り換える操作を行うまでは、機内循環状態を継続することで、オペレータの意図に反して機外排出を行わないので、多量の籾が混入した仕上玄米を機外に排出する等の不具合を防止できる。
【0010】
また、機内循環から機外排出に切り換える操作を行った場合には、オペレータは意図的に迅速に仕上げ玄米を機外排出することが可能になると共に、次の工程で機内循環に切換わるときには自動的に切換わるのでオペレータの操作性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態の籾摺選別機について、以下説明する。
機体左右一側には籾を収容する籾ホッパ1と、開閉シャッタ2と、籾摺りする籾摺ロール3と、籾摺ロール3で籾摺りされた籾・玄米の混合米を移送する移送棚5と、メインモータ21を備える。
【0013】
機体の左右中央部には移送棚5で移送された混合米を風選する風選部6及び籾殻を吸引ファン7と、混合米を移送する混合米ラセン8と、混合米を揚穀する混合米用昇降機9を備えている。機体左右他側には混合米用昇降機9で揚穀された混合米を貯留する混合米タンク10と、混合米タンク10から混合米を移送する渡し樋11と、混合米を籾と玄米に分離する揺動選別板12を設けている。揺動選別板12の穀物排出側には揺動選別板12で選別される籾層を仕切る籾仕切板13と、玄米層を仕切る玄米仕切板14を設ける。揺動選別板12の穀物排出側の下方には玄米仕切板14で仕切られた玄米が通過する玄米通路19と、玄米仕切板14と籾仕切板13の間を通過した混合米が通過する混合米通路17と、籾仕切板13で仕切られた籾が通過する籾通路15を設ける。籾通路15を通過した籾はスロワ16で籾ホッパ1に戻され、混合米通路17を通過した混合米は混合米ラセン8に供給され、玄米通路19を通過した玄米は玄米用昇降機20に供給される。
【0014】
符号18は循環/排出切換弁で、玄米仕切板14で仕切られた玄米を玄米通路19側に供給する(機外排出)か混合米通路17側に供給する(機内循環)かを切り換える。
籾摺選別機は
図1に示すように、符号では示さないが外観を外装カバーで覆う構成であり、機体左右中央部には操作盤26を設け、操作盤26の上方に操作レバー22を設けている。
【0015】
図6に示すように、操作盤26には、運転を開始する運転スイッチ35と運転を停止する停止スイッチ40を設けている。そして、操作盤26の内部には制御部36を内蔵する。
【0016】
操作レバー23は
図5に示すように操作案内ガイド41に沿って左右方向に操作可能に構成し、初期位置である第一位置37又は籾摺選別位置である第二位置38のいずれかに操作する構成で、それぞれ操作レバー第一位置検出センサ32及び操作レバー第二位置検出センサ33で操作レバー23の操作位置を検出する。
【0017】
図3に示すように、操作レバー23は開閉シャッタ2とメカ的に連結されると共に、揺動選別板12の揺動入切クラッチ24とワイヤ28で連結される。開閉シャッタ2は穀物の収容量に応じて上下動する混合米タンク10とリンク機構27で連結される。これにより、混合米タンク10の混合米量が多くなり、混合米タンク10が下がるにつれて開閉シャッタ2が閉側になることで、籾摺ロール3へ供給する籾量を減少させる。また、混合米タンク10の混合米量が少なくなり、混合米タンク10が上がるにつれて開閉シャッタ2が開側になることで、籾摺ロール3へ供給する籾量を増加させる。
【0018】
混合米タンク10が設定量以上下降する、すなわち、混合米タンク10内に収容される混合米量が設定量以上になることを混合米タンク第一センサ30で検出する構成とする。そして、混合米タンク10が設定量以下上昇する、すなわち、混合米タンク10内に収容される混合米量が設定量以下になることを混合米タンク第二センサ31で検出する構成とする。
【0019】
循環/排出切換弁18は循環/排出切換モータ25で機内循環側と機外排出側に切換わる。循環/排出切換弁18は制御部36で自動的に切換わるが、循環/排出切換スイッチ34でオペレータが手動で切り換えることも可能である。
【0020】
次に、
図7から
図9に基づいて籾摺選別作業について説明する。
電源を入れて運転スイッチ35を操作すると、メインモータ21が駆動を開始すると共に、ロール間隙モータ4が駆動を開始し、籾摺ロール4のロール間隙を籾摺位置に調節する(初期調節)。この初期調節が終了した後、オペレータが操作レバー22を初期位置37から籾摺選別位置38に操作すると、開閉シャッタ2が開操作されて籾摺ロール3による籾摺作業が開始されると共に、揺動入切クラッチ24が入り揺動選別板12が揺動を開始する。
【0021】
籾摺ロール3を通過した籾と玄米の混合米は移送棚5、風選部6、混合米ラセン8、混合米昇降機9を経て混合米タンク10内に収容される。混合米タンク10から設定量ずつの混合米が渡し樋13を経て揺動選別板12に供給され、選別作業が行われる。揺動選別板12から排出された混合米は、当初は機内循環状態となる(循環工程)。そして、混合米タンク10に収容される混合米量が増加し、混合米タンク第一センサ30が混合米タンク10の下降を検出すると循環/排出切換モータ25が駆動し、循環/排出切換弁18が排出側に切換わり、選別された玄米が玄米用昇降機20に供給されて機外排出される(仕上排出工程)。循環工程から仕上排出工程への移行のタイミングとしては混合米タンク10の下降以外に、メインモータ21の負荷電流値を検出する負荷電流値検出センサ29が設定値以上の負荷電流値を検出したときに循環/排出切換弁18が自動的に切換わる構成にしても良い。
【0022】
混合米タンク10内の混合米量が設定量以上貯留されるころには揺動選別板12の籾と玄米の選別状態が安定しているので、このタイミングで機内循環から機外排出に切換わるのである。
【0023】
なお、循環工程中にオペレータが混合米タンク10の設定以上の下降の検出の前に、揺動選別板12の選別状態を視認し、選別状態が安定したと判断したら循環/排出切換スイッチ34を操作し、循環/排出切換弁18を機内循環から機外排出に切り換えて仕上排出工程に移行して仕上玄米を機外に排出することができる。これにより、迅速に仕上玄米を機外に排出することが可能となる(S101)。
【0024】
仕上排出工程が継続され、籾ホッパ1内の籾が無くなると、混合米タンク10内の混合米量が減少し、混合米タンク10が上昇する。そして、混合米タンク第二センサ31が混合米タンク10の上昇を検出すると循環/排出切換弁18が排出側から循環側へ切換わり、残米を処理する残米処理工程へ移行する。残米処理工程への移行は混合米タンク第二センサ31で検出する以外にメインモータ21の負荷電流値を検出する負荷電流値検出センサ29が設定値以下を検出することで籾ホッパ1内の籾無を判定しても良い。
【0025】
残米処理工程とは、残米に含まれる未脱ぷの籾を設定時間機内循環させることで籾摺ロール3で籾摺りして玄米にしてから機外排出する工程のことである。
なお、オペレータの循環/排出切換スイッチ34の手動操作により機内循環から機外排出に切り換えて仕上排出工程へ移行した場合においても、仕上排出工程から残米処理工程への移行は自動的に行う。それにより、オペレータは特別な操作を行うことなく仕上排出工程から自動的に残米処理工程に移行できるので操作性が良好になる。また、仕上排出工程中にオペレータが循環/排出切換スイッチ34を操作して循環/排出切換弁18を機外排出から機内循環に切り換えた場合には、オペレータが再度、循環/排出切換スイッチ34を操作するまでは循環工程が継続する(S102)。これにより、オペレータの意図に反して機外排出に切換わることを防止し、仕上玄米に多量の籾が混入して排出される等の不具合を防止することができる。これは、例えば、揺動選別板12の選別状況が不安定になったとオペレータが判断した場合や、オペレータが一時的に仕上玄米の取り出しを中断する場合に行われるものである。
【0026】
残米処理工程が設定時間経過すると(S1)、循環/排出切換弁18が循環側から排出側に切換わり(S2)残米を機外排出する。当該機外排出が設定時間経過すると(S3)、循環/排出切換弁が循環側に切換わり(S4)メインモータ21が停止する(S5)。
【0027】
前述の残米処理工程中に負荷電流値検出センサ29が一時的な負荷電流値の上昇(すなわち籾有りから籾無し)を検出すると(S6)残米処理工程の設定時間をリセットする(S7)。これは、籾摺選別作業の終了間際にオペレータが端量の籾を籾ホッパ1に投入すると一時的に負荷電流値の上昇が生じる。これにより、端量の籾を改めて残米処理して機外排出することができる。このとき、籾有りから籾無しへを検出せず、籾有り状態が設定時間が経過(S1)すると、循環/排出切換弁18が排出側へ切換わり(S2)、次いで、混合米タンク第一センサ30が混合米タンク10内に設定量以上の混合米量を収容したことを検出する(S8)と、仕上排出工程へ移行する。これは、オペレータが残米処理工程中に端量ではなく、例えば次の乾燥機の籾を投入したときに円滑に籾摺選別作業を継続できるものである。
【0028】
なお、残米処理工程の機外排出時にオペレータが循環/排出切換スイッチ34を操作して循環/排出切換弁18を機外排出から機内循環に切り換えると、オペレータが再度、循環/排出切換スイッチ34を操作するまでは機内循環が継続する。
【0029】
本実施の形態の籾摺選別機の特徴についてさらに説明する。
本実施の形態の籾摺選別機は操作レバー22が初期位置37と籾摺選別位置38の2箇所であり、操作レバー22を籾摺選別位置に操作すると、以後は運転停止まで操作が不要である点に特徴がある。すなわち、機内循環から機外排出、すなわち、仕上米排出工程への移行時、及び仕上米工程から残米処理工程への移行時、残米処理工程後の運転停止に至るまで、操作レバー22は籾摺選別位置38の状態で良い。また、手動の停止スイッチ40を操作する必要も無い。オペレータは運転停止後に操作レバー22を初期位置37に戻せば、次の籾摺選別作業を開始できるもので、操作回数が少なく、操作性が良い。
【0030】
操作レバー22の操作案内ガイド41の籾摺選別位置38側には循環/排出切換弁18を手動で切り換える循環/排出切換スイッチ34を設ける。
循環/排出切換スイッチ34は操作案内ガイド41の籾摺選別位置38側に設けていることで、揺動選別板12の状況を見ながら操作しやすいというメリットもある。
【0031】
本実施の形態は籾摺ロールによる籾摺選別機で説明しているが、いわゆるインペラ式の籾摺選別機でも利用できる。
本実施の形態では、仕上排出工程中に混合米タンク10に収容される混合米量が設定量以下であることを検出すると、籾摺ロール3で籾摺りする籾が籾ホッパ1に無し、又は籾ホッパ1内の籾が設定量以下になっていると判定しているが、籾ホッパ1に籾検出センサ(図示せず)を設け、籾検出センサが籾無しを検出すると籾無し、又は籾が設定量以下になったと判定しても良い。
【符号の説明】
【0032】
3 籾摺部
10 混合米タンク
12 揺動選別板
18 循環/排出切換弁
21 メインモータ
29 負荷電流値検出センサ
34 循環/排出切換スイッチ