(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている防振技術がファンによる騒音発生の防止に適した技術であるため、加湿用ローターを駆動させるモーターを有する加湿装置に特許文献1に記載されているような技術を適用してもモーターに起因する騒音の発生を十分に抑制するのは難しい。
【0005】
本発明の課題は、加湿装置の加湿用ローターを駆動させるモーターに起因する振動音を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る加湿装置は、水の吸水と脱水とを繰り返す加湿エレメントを含む加湿用ローターと、
モーターを保持し、加湿用ローターの回転軸に脱着可能に装着され
て加湿用ローターの回転軸にモーターのトルクを伝達するための回動部品を有するモーター保持体と、モーター保持体を支持する固定フレームと、固定フレームとモーター保持体との間に介装される防振部材群と、を備え、防振部材群が、少なくとも第1防振部材及び第2防振部材を含み、加湿用ローターの回転軸方向をX方向、互いに直交するとともに共にX方向に直交する2つの方向をY方向及びZ方向とした場合に、第1防振部材がX方向、Y方向及びZ方向のうち2つの方向の振動を減衰し、第2防振部材が第1防振部材で減衰されない残り1つの方向を含む1つ又は2つの方向の振動を減衰する。
【0007】
第1観点の加湿装置では、第1及び第2防振部材それぞれに異なる方向の減衰を行なわせることによってX,Y,Z方向の減衰を行わせるので、第1防振部材がモーター保持体について減衰させる振動のモードと、第2防振部材がモーター保持体について減衰させる振動のモードとが異なるものとなる。
【0008】
本発明の第2観点に係る加湿装置は、第1観点の加湿装置であって、第1防振部材は、第2防振部材よりも下方に配置されている、ものである。
【0009】
第2観点の加湿装置では、第1防振部材が第2防振部材よりも下方に配置され、第1防振部材と第2防振部材とが上下に離れて配置される。このように第1及び第2防振部材が上下に離れて配置されることにより、第1防振部材が介装される位置と第2防振部材が介装される位置とを結ぶ直線の周りに生じ易い回転振動の方向が、加湿用ローターの回転軸の方向やそれに直交する方向に対して大きくずらすことができる。
【0010】
本発明の第3観点に係る加湿装置は、第2観点の加湿装置であって、第1防振部材は、少なくとも鉛直方向を減衰させ、第2防振部材は、少なくとも水平方向の一方向を減衰させる、ものである。
【0011】
第3観点の加湿装置では、第1防振部材が少なくとも鉛直方向を減衰させ、第2防振部材が水平方向の一方向を減衰させるので、第1防振部材によって下方からモーター保持体を支えさせながら振動の減衰を行わせることができる。
【0012】
本発明の第4観点に係る加湿装置は、第3観点の加湿装置であ
って、第1防振部材は、モーターよりも下方に配置され、第2防振部材は、モーターよりも上方に配置されている、ものである。
【0013】
第4観点の加湿装置では、比較的重いモーターを挟んでモーターよりも下方に第1防振部材が配置され、上方に第2防振部材が配置されている。比較的重いモーターの上方のみに第1及び第2防振部材が配置される場合及び下方のみに第1及び第2防振部材が配置される場合に比べて、比較的重いモーターの振動方向を規制し易くなる。
【0014】
本発明の第5観点に係る加湿装置は、第4観点の加湿装置であ
って、第1防振部材は、回動部品の回転軸と直交する鉛直線上に配置され、モーター保持体の下端部を支持し、第2防振部材は、鉛直線上に配置され、モーター保持体の上端部と固定フレームとの間に介装されている、ものである。
【0015】
第5観点の加湿装置では、第1及び第2防振部材が回転軸に直交する鉛直線上に配置されることで回動部品が回転軸と鉛直線を含む面内で振動するのを効果的に抑制できる。
【0016】
本発明の第6観点に係る加湿装置は、第1観点から第5観点のいずれかの加湿装置であって、第1防振部材及び第2防振部材は、それぞれ少なくとも2方向の減衰が可能な第1防振ゴム及び第2防振ゴムからなる、ものである。
【0017】
第6観点の加湿装置では、第1防振部材及び第2防振部材をそれぞれ構成する第1防振ゴム及び第2防振ゴムが2方向の減衰が可能な防振ゴムであることから、比較的安価に第1及び第2防振部材を形成できる。
【0018】
本発明の第7観点に係る加湿装置は、第1観点から第6観点のいずれかの加湿装置であって、モーター保持体は、加湿用ローターの回転軸にトルクを伝達するためのギアが設けられているギアケースを有する、ものである。
【0019】
第7観点の加湿装置では、モーター保持体がギアケースを有するので、モーターの配置位置の自由度が高くなり、加湿装置の設計の自由度を高めることができる。また、ギアケースにはギアがあって遊び部分で振動に弱いという欠点があるが、振動に弱いという欠点は第1防振部材及び第2防振部材によって補うことができる。
【0020】
本発明の第8観点に係る加湿装置は、第1観点から第7観点のいずれかの加湿装置であって、固定フレームは、一方の角部と他方の角部とを結ぶ板状部分の中央でモーター保持体を支持する、ものである。
【0021】
第8観点の加湿装置では、モーター保持体が固定フレームの中央で支持されることで、加湿用ローターの回転軸、ひいては加湿用ローターを加湿装置の略中央に配置し易くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1観点に係る加湿装置では、第1防振部材と第2防振部材が介装されている位置での振動モードが異なったものとなり、共振が生じがたくなり、加湿用ローターを駆動させるモーターに起因する振動音を抑制することができる。
【0023】
本発明の第2観点に係る加湿装置では、加湿用ローターが振動し易い回転軸に沿う方向や回転軸に直交する鉛直方向に対する振動成分を小さくすることができ、モーターに起因する振動を抑制し易くなる。
【0024】
本発明の第3観点に係る加湿装置では、振動音を抑制するためのモーター保持体の支持とモーター保持体の振動の減衰を実現し易くなる。
【0025】
本発明の第4観点に係る加湿装置では、モーターに起因する振動を抑制し易くなり、モーターに起因する振動音を抑制し易くなる。
【0026】
本発明の第5観点に係る加湿装置では、モーター保持体の下端部と上端部に第1及び第2防振部材が介装されることにより、回転軸と鉛直線を含む面内で回動部品の振動抑制の効果を十分に発揮させることができる。
【0027】
本発明の第6観点に係る加湿装置では、モーターに起因する振動音を比較的安価に抑制することができる。
【0028】
本発明の第7観点に係る加湿装置では、加湿装置の設計に自由度を高めながら、同時にモーターに起因する振動音を抑制することができる。
【0029】
本発明の第8観点に係る加湿装置では、加湿用ローターに対する風量を確保し易くなる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(1)加湿機能付き空気清浄機の概要
本発明の一実施形態に係る加湿装置は、加湿機能付き空気清浄機の中に設置されている。以下、一実施形態の加湿装置を内蔵する加湿機能付き空気清浄機について図を用いて説明する。
図1は、一実施形態に係る加湿機能付き空気清浄機の正面図である。以下の説明では、
図1に示されている空気清浄機10を床面に設置したときの鉛直方向をZ方向、Z方向に直交する方向のうち左右方向をX方向、前後方向をY方向と呼ぶものとする。これらX方向、Y方向及びZ方向が
図1において矢印で示されている。
図2には、空気清浄機10のY方向の中央で切断したときの断面が示されている。
図3には、
図2に示されている断面における構成が模式的に示され、それらを通過する空気の流れが矢印で示されている。
【0032】
図1乃至
図3に示されている空気清浄機10は、本体ケーシング11、プレフィルター12、シロッコファン13、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルターなどの集塵フィルター14、脱臭フィルター15及び加湿装置20を備えている。空気清浄機10において、外気は、本体ケーシング11の左右側面の下方に配置されている吸込グリル11a,11bからプレフィルター12を通して吸込まれる。プレフィルター12から吸込まれた外気は、シロッコファン13によって上方に吹き上げられる。シロッコファン13の上方であって空気清浄機10のZ方向の略中央部には、集塵フィルター14がXY平面と平行になるように配置されている。シロッコファン13から吹き上げられる外気は、全て集塵フィルター14を通過する。集塵フィルター14を通過した外気は、集塵フィルター14によって塵埃が除去されて清浄な空気となる。
【0033】
集塵フィルター14の上には集塵フィルター14と平行に配置されている脱臭フィルター15がある。集塵フィルター14を通過した清浄な空気は、脱臭フィルター15を通過する。脱臭フィルター15を通過した清浄な空気は、脱臭フィルター15によって臭気が除去されてさらに清浄な空気となる。脱臭フィルター15の上方で且つ吹出グリル11cの手前には、加湿装置20が配置されている。吹出グリル11cが本体ケーシング11の上面に設けられており、加湿装置20を通過した清浄な空気は、吹出グリル11cから本体ケーシング11の上方に向かって吹出される。加湿装置20を動作させるか否かは、本体ケーシング11の上部に配置されている操作パネル11dによってユーザが選択できるように構成されている。加湿装置20が動作していると、清浄な空気が加湿装置20を通過する際に清浄な空気に対して加湿が行われる。しかし、加湿装置20が動作していなければ、加湿装置20から清浄な空気への加湿は行なわれない。
【0034】
(2)加湿装置20の詳細
(2−1)加湿装置20の概略構成
図2及び
図3に示されているように、加湿装置20は、本体21、加湿トレー22、加湿タンク23、加湿用モーター24及び加湿用ローター25を備えている。本体21には加湿トレー22が着脱可能に設置されている。加湿トレー22には加湿タンク23が着脱可能に取り付けられている。また、加湿トレー22に加湿用ローター25が回転可能に取り付けられている。本体21には加湿用モーター24が取り付けられている。そして、加湿用ローター25は、加湿用モーター24によって駆動される。
【0035】
加湿トレー22を空気清浄機10から取り出すときには、加湿用モーター24と加湿用ローター25とは分離され、加湿用モーター24が本体21に残り、加湿用ローター25が加湿トレー22と一緒に取り出される。また、加湿タンク23には、本体ケーシング11の右上部側板11eが固定されている。さらに、右上部側板11eの下に位置する右中段側板11fは、加湿トレー22の一部と兼用されている。
【0036】
加湿用ローター25には、左右方向(Y方向)に重なるように2枚の加湿エレメント25bが取り付けられている。加湿エレメント25bは、例えば不織布や織布で形成される。これら加湿エレメント25bは、水分を含んだ状態で空気を通過させることができる。加湿用ローター25の一部は、加湿タンク23から加湿トレー22に供給される水の水面下に没するように構成されている。もし、加湿装置20が動作していなければ、加湿用ローター25の回転が停止して、加湿エレメント25bにおける吸水領域と脱水領域が固定されるため、脱水領域の水分が無くなって清浄な空気への加湿が行なわれなくなる。
【0037】
(2−2)加湿装置20のメンテナンス
図4及び
図5には、メンテナンス時の加湿装置20の着脱方法の概要が示されている。
図4(a)は、メンテナンス前の空気清浄機10の外観を示す斜視図である。
図5(a)には、
図4(a)に示されている状態の空気清浄機10の上部断面が拡大して示されている。
図4(b)は、空気清浄機10から加湿タンク23を取り出している状態が示されている。加湿タンク23を取り出すときは、加湿タンク23の取っ手23aを持って取り出す。
図4(b)の状態からさらに加湿タンク23を取り出した状態が
図5(b)に示されている状態である。
図4(c)に示されているのが
図5(b)に示されている状態の次の状態であって、この状態では完全に加湿タンク23が空気清浄機10から取り出されている。
図4(d)及び
図5(c)に示されているように、加湿タンク23が取り出された後に、加湿トレー22と一緒に加湿用ローター25を引き出すことができるように構成されている。このとき、
図5(c)に示されているように、加湿用モーター24は本体21に取り付けられた状態のままである。加湿トレー22を引き出すときは、加湿トレー22の取っ手22aを持って引き出す。
【0038】
図5(b)と
図5(c)とを見比べて分かるように、加湿トレー22を引き出すときに、加湿用モーター24から加湿用ローター25に動力を伝達するためのカップリングが切断される。
図5(c)及び
図6に示されている軸部品31が軸受部品32から外れることによって、カップリングが切断される。
【0039】
メンテナンスが終了して空気清浄機10を運転可能な状態に戻すときは、上述の手順とは逆の作業が行なわれる。メンテナンス後、まず、加湿用ローター25と一緒に加湿トレー22が本体ケーシング11内にある加湿装置20の本体21に取り付けられる。本体21に加湿トレー22が取り付けられるときには、加湿トレー22の前後方向(Y方向)に突出している2本のガイドピン22bが本体21の2つのガイド溝21bに嵌め込まれる。ただし、
図6には、本体21の一部が破断して示されており、一方のガイド溝21bのみが示されている。本体21に加湿トレー22が取り付けられると、加湿用モーター24から加湿用ローター25に動力を伝達するためのカップリングも回復する(
図5(b)の状態)。次に、
図4(c)及び
図4(b)並びに
図5(b)に示されている上述の操作と反対の操作を行って、加湿タンク23を加湿トレー22に取り付ける。加湿トレー22への加湿タンク23の取り付けが完了すると、
図4(a)及び
図5(a)に示されているように、右上部側板11eが本体ケーシング11の右側面と面一になる。
【0040】
(2−3)加湿装置20の動力伝達機構
図4及び
図5を使って、加湿装置20のメンテナンス時の操作によって、加湿装置20の加湿用モーター24から加湿用ローター25に動力を伝達するためのカップリングが切断されたり、回復されたりすることを説明した。次に、
図7乃至
図11を用いてさらに詳細に、加湿装置20の動力伝達機構を説明し、加湿用モーター24に起因する振動音の抑制について説明する。
【0041】
図7には、空気清浄機10から取り外された状態の加湿装置20の断面が示されている。なお、
図7には、加湿用ローター25の回転軸25aを支える軸支持部26(
図4(c)及び
図6参照)が取り外された状態が示されている。
図8には、軸部品31と軸受部品32の周囲を拡大した断面が示されている。
【0042】
加湿用モーター24と加湿用ローター25との間には、加湿用モーター24の動力を加湿用ローター25に伝達するための動力伝達機構30が形成されている。動力伝達機構30は、加湿用ローター25の回転軸25aを構成する軸部品31、軸部品31とカップリング可能な軸受部品32、軸受部品32に加湿用モーター24の回転を伝えるギア33、軸受部品32を回転可能に支えるとともにギア33を回転可能に保持しているギアケース34、及びギアケース34と本体21との間に介装されている防振ゴム35を備えている。
【0043】
軸部品31は、円盤状の加湿用ローター25の中心に固定されており、加湿用ローター25と一緒に回転する。軸部品31は、加湿用ローター25を挟んだ両側にある2箇所を軸支持部26で支持されるが、軸支持部26に支持さえられる箇所が単に軸支持部26に載置されているだけである。そのため、加湿トレー22が本体21から外された状態で、加湿用ローター25を手で持って上に引き上げれば、加湿用ローター25が軸部品31と一緒に軸支持部26から簡単に外れる。
【0044】
加湿トレー22が本体21に取り付けられた
図7及び
図8の状態では、軸受部品32の凹部32aに軸部品31の凸部31aが嵌合している。軸受部品32の凹部32aに軸部品31の凸部31aが嵌合することにより、加湿用モーター24から加湿用ローター25に動力を伝達できるように軸部品31と軸受部品32とがカップリングされる。この軸受部品32がギア33を介して加湿用モーター24に接続されているので、加湿用モーター24の回転力は、ギア33と軸受部品32と軸部品31とを介して加湿用ローター25に伝達される。
図8において、破線で示されている平面PL1は、回転軸25aに垂直な平面であって、軸部品31と軸受部品32とが接触して嵌合している部分を通っている。
【0045】
軸受部品32は、ギアケース34に回転可能に軸支されている駆動軸である。ギアケース34には、ギア33だけでなく、加湿用モーター24も収納されている。このギアケース34は、防振ゴム35を介して本体21に取り付けられている。
【0046】
(2−3−1)本体21
本体21は、プラスチック製であり、左側面部21cの前後に前板21d及び後板21eを有し、これらの上側に上面部21fを有し、これらの下側に底部21gを有する。
図3を用いて説明したように、気流が下から上に向かって加湿装置20に吹き込むので、その気流の向きを加湿用ローター25の方向に変えさせるために導風板21hが、左側面部21cの内側に形成されている。加湿装置20に下から吹き込んだ気流は、前板21dと後板21eと導風板21hに三方を囲まれた空間から加湿用ローター25を通過して、加湿タンク23の左側面23bに沿って上方に導かれる。
【0047】
本体21には、ギアケース34が取り付けられる。つまり、加湿装置20の本体21がギアケース34の固定フレームでもある。本体21には、ギアケース34を取り付けるための収納部21aが左側面部21cの略中央に形成されている。具体的には、本体21は、第1角部21mと第2角部21nとを結ぶ板状部分21caの中央でギアケース34を支持する。この第1角部21mは、左側面部21cと前板21dの接続部分であり、この第2角部21nは、左側面部21cと後板21eの接続部分である。
【0048】
本体21には、第1防振ゴム41及び第2防振ゴム42を取り付けるための支持棒21p,21qが形成されている。支持棒21pは、収納部21a内の下方に配置され、支持棒21qは収納部21a外の上方に配置されている。さらに詳細に言えば、駆動軸である軸受部品32の回転中心30aと直交する鉛直線30bの上に支持棒21p,21qが配置されている。従って、第1防振ゴム41及び第2防振ゴム42も鉛直線30bの上に配置される。そして、支持棒21pは、X方向に突出しており、支持棒21qはZ方向に突出している。これら支持棒21p,21qの突出方向に対応して、第1防振ゴム41がX方向にスライドして差し込まれ、第2防振ゴム42がZ方向にスライドして差し込まれる。
【0049】
(2−3−2)ギアケース34
ギアケース34は、プラスチック製であり、軸受部品32を回転可能に支持しており、軸受部品32に噛み合わされるギア33を収納しており、さらにギア33を駆動する加湿用モーター24を保持している。つまり、ギアケース34は、軸受部品32を介して、加湿用ローター25の回転軸である軸部品31に対して着脱可能に装着されるモーター保持体である。
【0050】
ギアケース34には、加湿用モーター24がビス24aで固定されている。加湿用モーター24の回転軸にはギア33が固定されており、加湿用モーター24の回転が直接ギア33に伝わる。ギア33の回転は、ギア33と噛み合っている軸受部品32のギア部32dに伝達される。軸受部品32は、ギアケース34の支持軸34aに回転可能に取り付けられている。
【0051】
ギアケース34の下端部には、第1防振ゴム41に嵌合される第1嵌合部34pが形成されており、ギアケース34の上端部には、第2防振ゴム42に嵌合される第2嵌合部34qが形成されている。第1嵌合部34p及び第2嵌合部34qは、C字型の形状を持ち、それらの内周面の直径が第1防振ゴム41及び第2防振ゴム42の被嵌合部の外周面の直径に等しくなるように形成されている。
【0052】
このようなプラスチック製のギアケース34に対して加湿用モーター24の重量が大きいため、加湿用モーター24から遠いギアケース34の上端部や下端部が大きく振動し易くなっている。そのため、ギアケース34の上端部や下端部の振動を減衰させることで、加湿用モーター24に起因する振動音を効果的に減少させることができる。
【0053】
(2−3−3)第1防振ゴム41と第2防振ゴム42
図11に示されているように、第1防振ゴム41には、被嵌合部41aの両端に鍔部41bが形成されている。被嵌合部41aの長さ、つまり鍔部41bの間隔は、ギアケース34の第1嵌合部34pの長さに等しい。このような構造によって、ギアケース34の第1嵌合部34pが第1防振ゴム41の被嵌合部41aに嵌合すると、第1防振ゴム41に対する第1嵌合部34pのX方向への相対的な移動は、鍔部41bによって規制される。その結果、ギアケース34の下端部は、X方向に移動しないように第1防振ゴム41によって固定される。
【0054】
同様に、第2防振ゴム42には、被嵌合部42aの両端に鍔部42bが形成されている。被嵌合部42aの長さ、つまり鍔部42bの間隔は、ギアケース34の第2嵌合部34qの長さに等しい。このような構造によって、ギアケース34の第2嵌合部34qが第2防振ゴム42の被嵌合部42aに嵌合すると、第2防振ゴム42に対する第2嵌合部34qのZ方向への相対的な移動は、鍔部42bによって規制される。その結果、ギアケース34の上端部は、Z方向に移動しないように第2防振ゴム42によって固定される。
【0055】
なお、第1防振ゴム41は、例えば平座金付きのビス21paに当たって支持棒21pから抜けないように平座金との間に隙間を設けて止められ、第2防振ゴム42は、例えば平座金付きのビス21qaに当たって支持棒21qから抜けないように平座金との間に隙間を設けて止められる。
【0056】
第1防振ゴム41は、X方向に突出している支持棒21pに嵌め込まれ、下方に切り欠きの入ったC字型の第1嵌合部34pに嵌合している。このような支持棒21pと第1嵌合部34pとの間に介装されている第1防振ゴム41は、主に、ギアケース34のZ方向の振動とY方向の振動を減衰させる。
【0057】
第2防振ゴム42は、Z方向に突出している支持棒21qに嵌め込まれ、右側に切り欠きの入ったC字型の第2嵌合部34qに嵌合している。このような支持棒21qと第2嵌合部34qとの間に介装されている第2防振ゴム42は、主に、ギアケース34のX方向の振動とY方向の振動を減衰させる。
【0058】
(3)特徴
(3−1)
以上説明したように、加湿装置20は、本体21(固定フレームの例)と加湿用ローター25とギアケース34(モーター保持体の例)と第1防振ゴム41(防振部材群に含まれる第1防振部材の例)と第2防振ゴム42(防振部材群に含まれる第2防振部材の例)とを備えている。ギアケース34は、本体21に支持されており、加湿用ローター25の軸部品31(回転軸の例)に脱着可能に装着される。第1防振ゴム41及び第2防振ゴム42からなる防振部材群は、本体21の支持棒21p,21qとギアケース34の第1嵌合部34p及び第2嵌合部34qとの間にそれぞれ介装されている。
【0059】
このように構成された加湿装置20において、第1防振ゴム41がZ方向及びY方向の2つの方向の振動を減衰し、第2防振ゴム42が第1防振ゴム41で減衰されないX方向に加えてY方向の振動を減衰する。このように第1防振ゴム41及び第2防振ゴム42にそれぞれに異なる方向の減衰を行なわせることによってX,Y,Z方向の減衰を行わせるので、第1防振ゴム41がギアケース34について減衰させる振動のモードと、第2防振ゴム42がギアケース34について減衰させる振動のモードとが異なるものとなる。その結果、第1防振ゴム41と第2防振ゴム42が介装されている位置での振動モードが異なったものとなり、共振が生じがたくなり、加湿用ローター25を駆動させる加湿用モーター24に起因する振動音が効果的に抑制される。
【0060】
特に、第1防振ゴム41が鉛直方向(Z方向)を減衰させ、第2防振ゴム42が水平方向の一方向(X方向)を減衰させるので、下方からギアケース34を支えさせながら第1防振ゴム41に振動の減衰を行わせることができる。その結果、振動音を抑制するためのギアケース34の支持とギアケース34の振動の減衰を実現し易くなっている。
【0061】
(3−2)
第1防振ゴム41は、第2防振ゴム42よりも下方に配置され、第1防振ゴム41と第2防振ゴム42とが上下に離れて配置されている。このように第1防振ゴム41と第2防振ゴム42とが上下に離れて配置されることにより、第1防振ゴム41が介装される位置と第2防振ゴム42が介装される位置とを結ぶ直線の周りに生じ易い回転振動の方向が、加湿用ローター25の回転軸の方向やそれに直交する方向に対して大きくずらすことができる。加湿用ローター25が軸支持部26の上に載置されているだけのため、加湿用ローター25が回転軸に沿う方向(X方向)や回転軸に直交する鉛直方向(Z方向)振動し易くなっている。しかし、第1防振ゴム41と第2防振ゴム42とが上下に離れて配置されることで、これらの方向に対する振動成分を小さくすることができ、加湿用モーター24に起因する振動を抑制し易くなる。
【0062】
そして、ギアケース34は、加湿用モーター24を保持しており、第1防振ゴム41は、加湿用モーター24よりも下方に配置され、第2防振ゴム42は、加湿用モーター24よりも上方に配置されている。つまり、比較的重い加湿用モーター24を挟んで加湿用モーター24よりも下方に第1防振ゴム41が配置され、上方に第2防振ゴム42が配置されている。それにより、比較的重い加湿用モーター24の上方のみに第1及び第2防振ゴム42が配置される場合及び下方のみに第1及び第2防振ゴム42が配置される場合に比べて、比較的重い加湿用モーター24の振動方向を規制し易くなり、加湿用モーター24に起因する振動を抑制して振動音を抑制し易くなる。
【0063】
また、ギアケース34は、加湿用ローター25の回転軸に加湿用モーター24のトルクを伝達するための軸受部品32(回動部品の例)をさらに有し、第1防振ゴム41が軸受部品32の回転中心と直交する鉛直線30b上に配置されてギアケース34の下端部を支持し、第2防振ゴム42が鉛直線30b上に配置されてギアケース34の上端部と本体21との間に介装されている。そのため、第1防振ゴム41及び第2防振ゴム42が鉛直線30b上に配置されることで軸受部品32が回転中心30aと鉛直線30bを含む面内で振動するのを効果的に抑制できる。
【0064】
(3−3)
第1防振ゴム41及び第2防振ゴム42は、それぞれ少なくとも2方向の減衰が可能な防振ゴムであることから、比較的安価に第1防振部材及び第2防振部材を形成でき、加湿用モーター24に起因する振動音を比較的安価に抑制することができる。
【0065】
(3−4)
ギアケース34には、加湿用ローター25の回転軸である軸部品31にトルクを伝達するためのギア33が設けられている。そのため、加湿用モーター24の配置位置の自由度が高くなり、加湿装置20の設計の自由度を高めることができる。また、ギアケース34にはギア33があって遊び部分で振動に弱いという欠点があるが、振動に弱いという欠点は第1防振ゴム41及び第2防振ゴム42によって補うことができる。その結果、加湿装置20の設計に自由度を高めながら、同時に加湿用モーター24に起因する振動音を抑制することができる。
【0066】
(3−5)
本体21は、一方の第1角部21mと他方の第2角部21nとを結ぶ板状部分21caの中央でギアケース34を支持する、ものである。ギアケース34が本体21の中央で支持されることで、加湿用ローター25の軸部品31を加湿装置20の略中央に配置し易くなり、ひいては加湿用ローター25を加湿装置20の略中央に配置し易くなる。その結果、加湿用ローター25に対する風量を確保し易くなる。
【0067】
(4)変形例
(4−1)変形例1A
上記実施形態では、加湿用モーター24によって加湿用ローター25が回転する場合について説明したが、加湿用ローター25は、回転以外にシーソーのように往復運動をする回動動作を行うものであってもよく、加湿用ローター25の動作は回転以外の回動動作であってもよい。
【0068】
(4−2)変形例1B
上記実施形態では、防振部材群が第1防振ゴム41と第2防振ゴム42の2つの防振ゴムからなる場合について説明したが、防振ゴムの数は3つ以上であってもよい。
【0069】
(4−3)変形例1C
上記実施形態では、第1防振ゴム41がZ方向とY方向の振動を主に減衰させ、第2防振ゴム42がX方向とY方向の振動を主に減衰させる場合について説明した。しかし、振動の減衰方向の組み合わせはこれだけに限られるものではない。また、XYZ座標以外の座標で表現してもよく、2つ以上の防振部材で3次元の振動の減衰が行えればよい。