(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1〜
図4において符号1は鉄筋結束機を示す。鉄筋結束機1は、結束機本体2に設けられた収納室3に、鉄筋結束用のワイヤ5を巻き付けたワイヤリール4を装着し、上記ワイヤリール4を回転させながらワイヤ5を送り出して、当該ワイヤ5を鉄筋6の周囲に巻き回した後に捩って上記鉄筋6を結束するものである。
【0042】
結束機本体2にはワイヤリール4から引き出されたワイヤ5を通す案内管7が設けられている。案内管7の一端7aは収納室3に開口し、他端は後述のガイド部11の手前に位置している。案内管7の中途部には、ワイヤ5の送り手段として1対の送りギア8が配設されている。送りギア8と一体に形成された送りローラにワイヤ5を挟んだ状態になっており、電動モータ(図示せず)によりワイヤ5を前方に送り出すようになっている。
【0043】
トリガ10によってスイッチがONすると、電動モータが回転してワイヤ送りギア8が回転する。そして、ワイヤ送りギア8の回転により、収納室3内に収納されたワイヤリール4に巻かれているワイヤ5が案内管7を通じて結束機本体2の前方に送られる。
【0044】
案内管7の先には、結束機本体2に送り込まれたワイヤ5がカール状に出て行くように巻き癖を付けるガイド部11が形成されている。ガイド部11の先端は、円弧状に湾曲しており、ここで巻き癖を付けて下部ガイド12との間で鉄筋6の回りにループ状に巻き回すようになっている。
【0045】
また、ガイド部11には、ワイヤ切断手段(図示せず)が配設されている。ワイヤ切断手段は、ワイヤ5の送り量が所定量に達すると、ワイヤ5を切断するように構成されている。
【0046】
結束機本体2の鉄筋6に向けられる前端部の下部に、鉄筋6に当てられる当て板部13が一対形成され、一対の当て板部13の間には、先端部に捩り用フック14を設けたワイヤ捩り装置17が配設されている。
【0047】
ワイヤ捩り装置17は、フック14を開閉自在に枢着したスリーブ15を電動モータ16aにより前進移動させてフック14を閉じ作動させることにより、当て板部13に係合した鉄筋6のまわりにループ状に巻き回されたワイヤ5を把持した後、スリーブ15とともにフック14を回転させてワイヤ5を捩って鉄筋6を結束し、その後フック14を逆回転させるとともにスリーブ15を後退移動させてワイヤ5から離脱させて初期位置に戻すようにしたものである。なお、ワイヤの捩り装置17が作動すると、前進したスリーブ15がその移動途中でワイヤの切断手段を駆動してワイヤが切断され、その直後にワイヤ5の捩りが行われる。
【0048】
なお、上記送りギア8の回転によるワイヤの送り装置は電動モータ16a(
図1参照)によって駆動され、捩り装置17は電動モータ16b(
図4参照)によって駆動される。ワイヤの送り装置、捩り装置17の作動等は、
図11に示されるように、制御回路によってシーケンス制御されている。また、電動モータ16aには回転検出センサが設けられて送りギア8の回転量が検出され、その信号が制御回路にフィードバックされるように構成されている。
【0049】
次に、結束機本体2の後部には、後述するワイヤリール4の収納室3が形成されている。収納室3は、
図2、
図3、
図5、
図6等に示すように、結束機本体3と結束機本体に設けられた壁部材18の間に設けられた前壁21と、底壁22と、側壁23、24とによって構成されている。一方の側壁23は結束機本体2側に形成され、他方の側壁24は壁部材18に形成されている。結束機本体2側の側壁23の中央部には、円形凸部25が形成されている。これに対し、壁部材18には、円形凸部25に対応する位置にリール取付軸20が収納室3側に出没自在に設けられている。円形凸部25とリール取付軸20は同軸上に配置され、ワイヤリール4を回転自在に支持している。なお、壁部材18は
図6のように開閉できるが、通常はネジで結束機本体3に固定されている。これに対応して、ワイヤリール4が装着できるように、リール取付軸20が出没自在に設けられ、収納室3に突出した状態でロックできるようになっている。
【0050】
ところで、
図5〜
図8に示されるように、上記両側壁23、24には透過型フォトセンサ26が配置されている。フォトセンサ26は、発光素子27と受光素子28とからなり、発光素子27は壁部材18のリール取付軸20の近傍位置に、また、受光素子28は結束機本体2側の円形凸部25に設けられている。円形凸部25がワイヤリールの環状凹部47(
図5参照)に嵌合するので、外乱光が受光素子28に入り込むことが防止される。
【0051】
また、
図4、
図6〜
図9に示されるように、収納室3の一方の側壁23には、円形凸部25の上方の開口部39(
図7参照)に、接触センサ32が設けられている。接触センサ32は機械式スイッチであって、
図4のように、支軸33に揺動自在に設けられた揺動部材34と、揺動部材34の先端に設けられた接触片35と、接触片35をワイヤリール4側に付勢する弾性部材(図示せず)と、揺動部材34の他端に設けられたマグネット部37と、弾性部材によってマグネット部37が接触するホールIC38とから構成されている。
【0052】
接触センサ32は結束機本体2内に設けられ、側壁23に貫通形成された開口から収納室3内に突出して可動接触片35と、可動接触片35の室内側に設けられたマグネット部37と、ホールIC38とから構成されている。可動接触片35にはワイヤリール4に設けられた突起41、42(
図9、
図10参照)が接触可能に設けられている。これにより、接触センサ32は、可動接触片35が突起41、42に接触すると、揺動部材34が弾性部材の弾性に抗して揺動し、マグネット部37がホールIC38から離間して突起41、42を検出する。
【0053】
なお、
図8に示されるように、接触センサ32の可動接触片35は円形凸部25の真上に位置し、透過型フォトセンサ26の受光素子28はほぼ真下に配置されている。
【0054】
ところで、上記フォトセンサ26の出力信号は
図11に示す制御回路に送信される。接触センサ32も上記制御回路に接続され、ホールIC38の電圧の変化による出力信号も制御回路に送信される。
【0055】
また、収納室3の前壁21には、上記ワイヤリール4と係合可能な弾性片54が設けられている。弾性片54は、ワイヤ送りが終了したとき、電動モータによりワイヤリール4に係合して回転を停止させるものである。
【0056】
次に、ワイヤリール4を
図12〜
図19に基づいて詳述する。ワイヤリール4は、摩耗や曲げに対して耐性のすぐれたABS樹脂・ポリエチレン・ポリプロピレン等のプラスチックによって形成され、外乱光が入り込まないように、黒色のプラスチックで構成されている。ワイヤリール4は結束機本体2に設けられた収納室3に着脱可能に設けられ(
図2参照)、ワイヤ5を巻き付けるハブ部43と、ハブ部43の両側に設けられた円板状のフランジ44、45とからなる。ハブ部43は円筒形状に形成されており、一対のフランジ44、45と一体成形されている。一方のフランジ44の外周には、上記収納室3のブレーキ用弾性片54に係合可能な係合爪46が形成されている。
【0057】
フランジ45には、鉄筋結束機1の円形凸部25に嵌合可能な環状凹部47が形成され、環状凹部47を囲むようにしてリング状のボス部48が形成されている。ボス部48は、外周縁にテーパ面50が形成されている。環状凹部47の底部は、次に示す内筒40の端面近くまで延びている。さらに、ボス部48の外周縁50には、一対の台形状の突起41、42が内筒40をはさんで互いに反対側に形成されている。突起41、42の両側には傾斜縁55(
図10参照)が形成されている。
【0058】
ハブ部43の中央部には、ハブ部43と略同一軸心の内筒40が形成され、内筒40の内側に鉄筋結束機1の壁部材18のリール取付軸20に嵌合可能な取付孔56(
図5参照)が形成されている。
図15に示されるように、内筒40とハブ部43とは側壁60によって連結されている。
【0059】
内筒40の肉厚は均一ではない。
図15に示すように、中間よりもフランジ44側が厚く、フランジ45側が肉薄に形成されている。これは、ワイヤリール4にワイヤを巻き付けるときは、内筒40のフランジ44側の端部に形成された歯57に巻き付け装置(図示せず)の回転軸を噛合してワイヤリール4を強制的に巻き回すため、強度を確保するために歯57側部分58の肉を厚くしているのである。側壁60は肉厚部58と肉薄部59との境界に形成されている。このため、側壁60は中間よりもややフランジ45側寄りに位置し、内筒40とハブ部43の内側面によって円形の凹部47が形成されている。なお、フランジ44、45の外周縁部には補強リブ61が形成されている。
【0060】
また、フランジ44には、
図18及び
図19に示されるように、外周縁からハブ部43側に延びるワイヤ挿通開口部62が形成されている。ワイヤ挿通開口部62には、ワイヤ5の巻き付け終了端が係止保持される。ハブ部43と内筒40には、ワイヤ挿通孔63が形成されている。ワイヤ挿通孔63には、ワイヤ5の巻き付け開始端部が挿入保持される。ワイヤ5を巻き付ける際には、ワイヤ挿通孔63にワイヤ5の巻き付け開始端部を挿入し、内筒40内で巻回して巻き付け開始端部がワイヤ挿通孔63から抜け出ないようにし、この状態でハブ部43の円周面に巻き付けを開始する。また、ワイヤ5に巻き付け方向の力が強く作用しても、その引っ張り力をワイヤ挿通孔63の縁部で受け止めることができる。
【0061】
また、側壁60には、
図12〜
図14に示すように、ワイヤリール4の回転位置やワイヤの種別を検出するための透光部として透過孔64が形成されている。これらの透過孔64は、結束機本体2に設けられた透過型フォトセンサ26(
図5参照)の発光素子27からの光を透過させるもので、ワイヤリール4の軸心、つまり内筒40の軸心を中心とする円周上に形成されている。
【0062】
ところで、
図9及び
図15に示されるように、発光素子27と受光素子28は、取付上の制約から、発光素子27は上記ワイヤリール4の軸心Pに対し遠く、受光素子28は上記軸心Pから近くなるように配置され、ワイヤリール4の軸心Pに対して光軸65がずれている。また、ワイヤリール4の回転時にも、発光素子27から発せられる光の光軸65はワイヤリール4の回転方向又は径方向にずれる可能性がある。
【0063】
そこで、光軸65のずれと、回転時に発生するずれに対応するため、上記透過孔64はワイヤリール4の軸心Pから径方向に長いスリット状の長孔として形成されている。透過孔64の幅は高い分解能を得るとともに、回転方向のずれに対応するため、幅1.5mm
〜2.5mm程度が必要である。
図15のように、透過孔64を径方向に長く形成することによって発光素子27から受光素子28に向かって発せられる光軸65の径方向のずれに対応することができる。また、ワイヤリール4と収納室3との間に遊びがあるために生じる光軸65のずれも吸収することができる。
【0064】
なお、円形の透過孔でも径を小さくすることにより分解能を持たせることができるが、上述のように光軸がずれているので、光軸に対応する位置、つまりワイヤリール4の軸心側寄りに透過孔を形成すればよい。
【0065】
なお、透過孔64を透過する光は広がるから、
図17に一点鎖線で示すように、透過孔64が内筒40の内壁66に近すぎると、発光素子27から発して広がった光は透過孔64に至る前に内壁66に当たって反射し、反射した光が受光素子28に届くことがあり、誤検出の原因になる。また同図に点線で示すように、透過孔64がストレートに形成されていると、発光素子27からの光の一部は、その内面67に当たって反射する可能性がある。この場合も、反射した光が受光素子に届くと、誤検出の原因になる。
【0066】
これらの反射を防ぐためには、
図16に示されるように、透過孔64はその手前の面での反射光を受けないように内筒40の外壁66から離隔するとともに、透過孔64の開口端をなるべく小さくして反射光が入りにくいようにするのが好ましい。また、透過孔64の内面67で反射しないように、内面67を透過孔64の開口端から入り込んだ入射光の角度とほぼ同じ角度になるように、面取りをして回転方向の断面はテーパ状に形成するのがよい。さらに、透過孔64を形成した側壁60の位置は発光素子27と受光素子28との間の中間よりもやや受光素子28側に近い位置に形成されている。これらにより、透過孔64を透過した光はあまり広がらずに受光素子28に達するので、誤検出が生じにくい。
【0067】
鉄筋結束機の収納室3内にワイヤリール4を収納して装填するときは、
図5に示す壁部材18のリール取付軸20を収納室3から退避させておいてワイヤリール4を収納室3に入れ、ワイヤリール4の環状凹部47を収納室3の側壁24に形成した円形凸部25に嵌合し、上記リール取付軸20をワイヤリール4の取付孔56に挿入させてロックすればよい。
【0068】
上述の構成によれば、鉄筋結束機の収納室の両側壁の一方に発光素子、他方に受光素子を備えた透過型フォトセンサを設け、上記ワイヤリールには、上記発光素子から発せられる光を透過するとともにワイヤリールに複数の透過孔を形成し、ワイヤリールの回転時に上記フォトセンサによって検出した透過孔の数によってワイヤリールの回転情報を判断する制御回路を設けた構成であるから、発光素子で発生し、ワイヤリールに設けた透過孔を透過した光を受光素子で検出するため、ワイヤリール表面の凹凸に影響されることなく検出が可能となり、回転情報の検出精度が向上する。
【0069】
また、発光素子で発生した光を受光素子で直接検出するため、反射型のフォトセンサと比較して検出部分が小さくても十分な光量を受光素子で受けることができ、センサの分解能を向上させることができる。
【0070】
さらに、センサの分解能が向上することにより、リールの回転量から換算したワイヤの送り量検出の精度も向上し、ワイヤ送り量の低下を検出することが可能となる。
【0071】
上記透過孔を上記ワイヤリールの径方向に長いスリット状の長孔としたから、作動時の振動等により受光素子と発光素子の軸がぶれて完全に一致しなくても、検出が可能となる。
【0072】
さらに、発光素子と受光素子は、取付上の制約から、ワイヤリールの軸心に対して光軸がずれて平行にならない位置に配置せざるを得ないことがある。また、ワイヤリールの回転時にも、発光素子から発せられる光の光軸はワイヤリールの回転方向又は径方向にずれる可能性がある。しかし、上記発光素子から発せられる光を透過する透過孔は、ワイヤリールの径方向に長いスリット状に形成されているので、光軸の径方向のずれに対応することができる。換言すれば、上記ワイヤリールの軸心に対し、上記発光素子と受光素子の一方を他方よりも近くなるように配置することができ、発光素子からの光軸を必ずしもワイヤリールの軸心に平行に設ける必要がないので、設計の自由度が増す。
【0073】
ところで、ワイヤリール4には、
図20に示されるように、透過型フォトセンサによって検出される2つの情報検出域が形成されている。一方の情報検出域(第1の情報検出域S1)には3個の透過孔64が形成され、他方の情報検出域(第2の情報検出域S2)には1個の透過孔64が形成されている。情報検出域S1、S2は、2つの突起41、42が接触センサ32によって検出されて出力される2つの信号間で透過孔64を検出することが可能な領域のことで、第1の情報検出域S1の3個の透過孔64は、第1の情報検出域S1と第2の情報検出域S2との境界線Qとの間に互いに40°をなす線上に形成されている。これに対し、第2の情報検出域S2の透過孔64は、図の右側寄りに形成されている。
【0074】
そこで、検出の精度を確認するため、接触センサ32と透過型フォトセンサ26によりワイヤリール4の突起41と透過孔64とを検出したところ、
図21に示す検出波形が得られた。これによれば、透過孔64を透過した光だけを検出するため、ワイヤリール4の表面の凹凸の影響を受けることがなく、検出の精度が向上する。すなわち、透過型フォトセンサ26では、被検出部の直径は8mm程度なければならないが、透過型フォトセンサ26では、幅2mm程度の透過孔64でも検出可能となる。このため、センサの分解能が約40°に向上する。したがって、上述の実施形態では第1の情報検出域S1に40°の回転角度毎に3個の透過孔64が設けられているが、4個の透過孔64を設けても十分に高い分解能を発揮することができる。
【0075】
次に、突起41、42を検出することによって得られた検出信号を基準にすると、第1の情報検出域S1と第2の情報検出域S2とには互いに異なる数の透過孔64が設けられているから、2つの情報検出域S1、S2で異なる意味をもつ情報を検出することが可能となる。例えば、後述のように、ワイヤリール4の第1の情報検出域S1は透過孔64の数を固定して回転量の検出を行い、第2の情報検出域S2の透過孔64の数をワイヤリール4の種別に応じて変化させることにより、ワイヤリール4の種別の検出を行うことができる。このため、フォトセンサ26の分解能が上がることで、ワイヤリール4の情報量が増え、透過孔64の配列方法によりワイヤリール4の回転量を検出するメジャーとしての情報、ワイヤリール4の種別を識別するための情報など、異なる情報を与えることができる。
【0076】
そこで、上記2種類のセンサとこれに対応する突起と透過孔64の配列に基づいてワイヤリール4の回転量を検出する方法について説明する。
【0077】
ワイヤリール4の回転量を検出するためには、2種類のセンサによって回転開始位置と回転停止位置とを検出する必要がある。
【0078】
ところで、
図20に示されるように、上半分の第1の情報検出域S1と下半分の第2の情報検出域S2を半周ずつ回転する毎に接触センサ32による突起41、42の検出信号が出力される。この検出信号が基準のタイミング信号となり、
図21に示されるように、基準信号R1から次の基準信号R2が出力されるまでの間、つまりワイヤリール4が半周する毎にフォトセンサ26によって検出される透過孔64の数に応じて情報検出域S1にある3個の検出信号s1、s2、s3又は情報検出域S2にある1個の検出信号s4が出力される。そこで、ワイヤリール4の回転開始位置と停止位置は次のようにして検出することができる。
【0079】
以下、
図22のフローチャートを参照しながら説明する。
【0080】
初めに、結束機本体にワイヤリール4を装着して回転させると、接触センサ32かフォトセンサ26のいずれかが先に被検出部である突起41、42又は発光素子27の透過光を検出する(ステップ101)。すなわち、ワイヤリール4が回転し、接触センサ32の可動接触片35にワイヤリール4の突起41又は42が接触すると、可動接触片35が揺動し、マグネット部37がホールIC38から離間し、電圧の変化によるパルス信号が
図11の制御回路に送信される。また、発光素子27から照射された光が透過孔64を透過して受光素子28が検出すると、検出信号が制御回路に送信される。制御回路は、上記検出信号により発生したセンサ32又は26からの出力電圧の変動を検出し、突起41、42または透過孔64の数を算出する。
【0081】
そこでまず、接触センサ32よりも先にフォトセンサ26の方を先に検出したときは、
図22の左側のフローのように進む。まず、ワイヤリール4は
図20のA、B、C又はEの領域にあることになる。Dの位置にあるときは、先に接触センサ32の方が先に突起41又は42を検出する(ステップ102)ので、このケースには当てはまらない。
【0082】
そこで、制御回路は次の突起42又は41を検出するまでに透過光を何回検出したかを見る(ステップ103)。1回であるときは、検出開始位置がC領域又はE領域である。もしもE領域であるときは、その一端から他端までの回転角度は180°であるから、回転量を検出するには誤差が大きい。C領域かE領域かは判別できないので、この場合は回転を検出しない(ステップ104)。
【0083】
これに対し、2回又は3回検出したときは、検出開始位置がA領域又はB領域である。この場合は、フォトセンサ26の2回又は3回という検出回数、つまり検出開始位置がA領域であるかB領域であるかを記憶する(ステップ105)。
【0084】
次のステップ106では、ワイヤリール4が停止するまで結束作業を続ける(ステップ106)。
【0085】
そして、接触センサ32による検出回数が累計で12回以上回転するまで、つまりワイヤリール4が6回転以上回転するまで回転の検出をしない(ステップ107、108)。その理由は、回転の初期、中期段階では、ワイヤリール4の回転量とワイヤ5の送り量との関係が不安定だからである。つまり、回転の初期及び中期の段階では、ワイヤ5がワイヤリール4に緩みをもって巻きまわされている可能性が高く、この場合はワイヤ5の送り量に比べてワイヤリール4の回転量は少なくなってしまうからである。これに対し、回転末期の段階では、ワイヤ5はワイヤリール4に対して密に巻き回されているので、ワイヤリール4の回転量に基づいてワイヤの送り量を正確に算出することができるのである。
【0086】
接触センサ32による検出回数が累計で12回以上回転すると、ワイヤリール4が回転を停止するまで待ち、接触センサ32が最後に突起を検出してからフォトセンサ26が透過光を何回検出したかを見る(ステップ109)。それが3回であれば、ワイヤリール4はDの領域で停止したことになる。この場合は、Aの状態を確認して(ステップ110)ワイヤリール4の回転を検出する(ステップ111)。検出回数が2回であるときは、Cの領域で停止したことになる。これらの場合は、Aの状態を確認して(ステップ112)ワイヤリール4の回転を検出する(ステップ113)。
【0087】
これに対し、検出回数が1回のときは、ワイヤリール4の停止位置がC領域又はE領域である。また、0回のときは、ワイヤリール4の停止位置がA領域又はE領域である。いずれもE領域が含まれるので、上述の理由によって回転の検出はしない(ステップ114)。
【0088】
次に、フォトセンサ26よりも先に接触センサ32の方を先に検出したときは、
図22の右側のフローのように進む。まず、突起41又は42を先に検出したときは、検出開始位置がD領域又はE領域にあるときである(ステップ115)。
【0089】
さらに、次の突起42又は41を検出するまでに透過光を何回検出したかを見る(ステップ116)。3回検出していれば、検出開始位置がE領域にあるときであるから、この場合は回転を検出しない(ステップ117)。
【0090】
0回又は1回検出したときは、検出開始位置がD領域のときであるから、この場合はワイヤリール4が停止するまで結束作業を続ける(ステップ118)。
【0091】
そして、接触センサ32の検出回数が累計で12回以上回転するまで待ち(ステップ119)、つまりワイヤリール4が6回転以上回転するまで回転の検出をしない(ステップ120)。
【0092】
接触センサ32の検出回数が累計で12回以上回転すると、ワイヤリール4が回転を停止するまで待ち、接触センサ32が最後に突起41又は42を検出してからフォトセンサ26が透過光を何回検出したかを見る(ステップ121)。それが0回又は1回であれば、ワイヤリール4はE領域、A領域又はB領域のいずれかで停止したことになる。この場合はE領域が含まれるので、上述の理由によって回転の検出はしない(ステップ122)。
【0093】
これに対し、2回又は3回のときは、C領域又はD領域で停止したことになる。これらの場合は、ワイヤリール4の回転を検出する(ステップ123)。
【0094】
以上をまとめると、回転検出可能な範囲は、
図23に示されるように、接触センサ32よりも先にフォトセンサ26の方を検出したときは2パターンで、4種類の回転検出態様があり、フォトセンサ26よりも先に接触センサ32の方を先に検出したときは、1パターンで2種類の回転検出態様が得られる。
【0095】
このように、結束機本体に装着された全てのワイヤリールの回転量が検出できるわけではないが、
図23に示された回転開始と回転停止の位置が読み取れたときには、ワイヤリール4の回転数を検出することができる。そして、回転末期のワイヤリール4の回転数を検出することができれば、この回転量からワイヤの送り量を換算することができる。
【0096】
そして、上記透過型センサ26によれば、ワイヤリール4の回転量検出を40°ピッチで検出することが可能となる。信号間隔が40°となっているため、ワイヤリール4の回転開始直後と停止直前で回転検出ができない範囲がそれぞれ40°存在する。そのため、1結束あたり最大で80°の回転検出の誤差が発生する。この誤差はワイヤリール4の回転末期においてワイヤ送り量の検出誤差はおよそ24mmとなる。これに対し、ワイヤの送り量が不足して結束不良が生じるのは、40mm以上不足する場合である。したがって、この程度の分解能があれば、送り低下量40mmを検出して、十分に送り量の補正を行うことができる。
【0097】
すなわち、ワイヤの送り量は送りモータ16aの回転により測定されているが、送りギア8は繰り返し使用しているうちに摩耗するので、常に所定の送りが確保できるとは限らない。そこで、
図11に示されるように、制御回路がワイヤの送り装置を構成する送りモータ16aの回転によって得られたワイヤ5の送り量とワイヤリール4の回転量から換算されたワイヤ5の送り量とを比較し、送りギア8による送り量が不足していると判断したときは、送りモータ16aの回転数を増やして送り不足分を補うようにする。このような処理により、ワイヤの送りを二重にチェックし、常に良好な結束状態を維持することができる。
【0098】
次に、ワイヤの種別を判別するときは、第2の情報検出域S2に図示形態のように1個の透過孔64を形成したワイヤリール4と、透過孔64を形成しないワイヤリール4とを設け、透過孔64が検出されるか検出されないかによって2種類のワイヤを判別することができる。なお、第2の情報検出域S2かどうかは、2つの突起により出力された信号間に透過孔64による信号が2個以上あるかどうかによって認識することができる。ワイヤの種類が識別されたときは、制御回路がその種類に応じて、瞬時にワイヤ送りギア8の回転数(回転角)によるワイヤ5の送り量や電動モータ16bの供給電力によるねじりトルクを設定する。
【0099】
上述のように、ワイヤリール4のハブ部の内側の側壁を情報検出域とし、この情報検出域には結束機本体に設けられた透過型フォトセンサからの光を透過させる複数の透過孔を形成したから、ワイヤリール4が回転しただけで、透過孔の配列によりリールの回転量を検出するメジャーとしての情報、リールの種別を識別するための情報など、異なる意味を持つ回転情報を与えることが可能となる。
【0100】
なお、ワイヤリール4の回転量を検出する基準信号を発信するセンサは、上述のような機械的センサに限定されない。例えば、
図24、
図25に示すように、側壁60のフランジ45側の側面68に、上記
図10に示した突起41、42と対応するように、一対の白色のマーク51、51を設け、これを結束機本体2側の円形凸部25に設けた反射型フォトセンサ26で検出するようにしてもよい。
【0101】
また、第1の情報検出域S1における透過孔64の数は上述の形態に限定されない。透過孔を1個増やせば、回転の始終位置の読み取り頻度をさらに上げることができ、ワイヤも3種類以上の種別を判別することができる。
【0102】
また、情報検出域も半周に分割される形態に限定されない。例えば、ワイヤリール4の回転数を検出する回転数情報検出域を120°とし、ワイヤの種類を識別する種別情報検出域を60°に設定してもよい。回転情報の数と分解能に応じて適宜決めればよい。
【0103】
さらに、各情報検出域には互いに異なる数の透過孔を形成する必要はない。
図26のように、回転量検出用の情報検出域S1の透過孔64とリール種別判定用の情報検出域S2の透過孔64とを同数だけ形成してもよい。この場合、回転量検出の数を決めておけば他方が種別情報となる。
【0104】
同様に、情報検出領域も2つに分割する形態に限定されない。必要とする情報の種類に応じて設ければよいから、3つ以上の情報領域に分割してもよい。
【0105】
なお、透過孔はスリット状であることに限定されない。例えば、
図27(a)に示されるように円形の透過孔64aであってもよく、あるいは正方形の透過孔であってもよい。ワイヤの種別が2、3種類しかないような場合、これらを判別するには必ずしも高い分解能を必要としない。このような場合は、円形や方形の透過孔であってもよい。また、同図(b)に示されるように、円形の透過孔64aとスリット状の透過孔64とを組み合わせてもよい。
【0106】
なお、上述の形態においては、透光部は光を透過する透過孔として説明されているが、透光部は孔に限定されない。また、透光部は発光素子27から受光素子28に向かって光が透過する部位に限定して形成される必要はない。例えば、
図29(a)(b)(c)に示されるように、透光部64bを発光素子から受光素子に向かって光が透過する透過部位71からワイヤリール4の外周縁に向かって延出形成してもよい。この場合、同図のように、透光部64bの端部がワイヤリール4の一方のフランジの外周縁70に開口するように形成してもよい。また、透光部は真直状に形成されていなくてもよい。曲がっていてもよい。
【0107】
同様に、
図30(a)(b)(c)に示されるように、透光部64cをワイヤリール4の中心に向かって延出形成してもよい。この場合も、同図のように、透光部64cの端部がワイヤリール4の内筒40に開口するように形成してもよく、曲がってもよい。
【0108】
また、上記各透光部64dは、
図31に示されるように、上記ワイヤリール4に形成した開口部72を透光材73で塞いだ構成であってもよい。
【0109】
さらに、透光部の数は、発光素子から受光素子に向かって光を透過する部位の数であり、
図32のように、3個の透光部64eが上記発光素子から上記受光素子に向かって光を透過する部位71を除く部分で連結部74を介して連続して見掛け上1個に見えるようなことがあっても、透光部は1個ではなく、3個である。