特許第6024902号(P6024902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024902
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】発電システム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/00 20060101AFI20161107BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20161107BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20161107BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   F23L17/00 601Z
   H01M8/04 J
   H01M8/00 Z
   F23J15/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-548653(P2012-548653)
(86)(22)【出願日】2011年12月13日
(86)【国際出願番号】JP2011006958
(87)【国際公開番号】WO2012081236
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年8月28日
(31)【優先権主張番号】特願2010-276898(P2010-276898)
(32)【優先日】2010年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】行正 章典
(72)【発明者】
【氏名】森田 純司
(72)【発明者】
【氏名】保田 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 篤敬
(72)【発明者】
【氏名】龍井 洋
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−210631(JP,A)
【文献】 米国特許第06000391(US,A)
【文献】 米国特許第04187833(US,A)
【文献】 特開2004−176976(JP,A)
【文献】 特開平08−293316(JP,A)
【文献】 特開2009−245768(JP,A)
【文献】 特開2010−262746(JP,A)
【文献】 特開2010−269954(JP,A)
【文献】 特開2002−329515(JP,A)
【文献】 特開平09−223510(JP,A)
【文献】 特開2006−253020(JP,A)
【文献】 特開2005−063697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/007
F23J 11/02
F23J 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を備える発電ユニットと、前記発電ユニットを収納する筐体と、前記筐体内を換気する換気器と、前記筐体外部に排出された前記換気器からの排ガスが流れる第1の排ガス流路とを備え、前記第1の排ガス流路は、前記筐体外部に設けられ、熱負荷に供給する熱を生成する燃焼装置からの燃焼排ガスが流れるとともに外気に対して開口したダクトと接続する第2の排ガス流路と、該第2の排ガス流路が前記ダクトに接続する前に合流しており、
前記換気器の吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも低くなると、前記燃焼装置の燃焼動作を停止する制御器を備える、発電システム。
【請求項2】
前記燃焼装置が燃焼動作を実行しているとき、前記換気器を動作させる制御器を備える、請求項1記載の発電システム。
【請求項3】
前記制御器は、前記換気器の吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも高くなるよう前記換気器の動作を制御する、請求項2記載の発電システム。
【請求項4】
前記換気器は、その吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも高くなるよう動作する、請求項1記載の発電システム。
【請求項5】
燃料電池を備える発電ユニットと、前記発電ユニットを収納する筐体と、前記筐体内を換気する換気器と、前記筐体外部に排出された前記換気器からの排ガスが流れる第1の排ガス流路と、前記筐体外部に設けられ、熱負荷に供給する熱を生成するための燃焼装置と、前記燃焼装置からの燃焼排ガスが流れる第2の排ガス流路とを備え、前記第2の排ガス流路は、外気に対して開口したダクトに接続されるとともに、前記第1の排ガス流路は、前記第2の排ガス流路が前記ダクトに接続する前に前記第2の排ガス流路と合流しており、
前記換気器の吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも低くなると、前記燃焼装置の燃焼動作を停止する制御器を備える、発電システム。
【請求項6】
前記燃焼装置が燃焼動作を実行しているとき、前記換気器を動作させる制御器を備える、請求項記載の発電システム。
【請求項7】
前記制御器は、前記換気器の吐出圧が、前記合流箇所における排ガスの圧力よりも高くなるよう前記換気器の動作を制御する、請求項記載の発電システム。
【請求項8】
前記換気器は、その吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも高くなるよう動作する、請求項記載の発電システム。
【請求項9】
燃料電池を備える発電ユニットと、前記発電ユニットを収納する筐体と、前記筐体内を換気する換気器と、前記筐体外部に排出された前記換気器からの排ガスが流れる第1の排ガス流路とを備え、前記第1の排ガス流路は、前記筐体外部に設けられ、熱負荷に供給する熱を生成する燃焼装置からの燃焼排ガスが流れるとともに外気に対して開口したダクトと接続する第2の排ガス流路と、該第2の排ガス流路が前記ダクトに接続する前に合流している発電システムの運転方法であって、
前記燃焼装置が燃焼動作を実行しているとき、前記換気器を動作させ、
前記換気器の吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも低くなると、前記燃焼装置の燃焼動作を停止させる、発電システムの運転方法。
【請求項10】
前記換気器は、その吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも高くなるよう動作する、請求項記載の発電システムの運転方法。
【請求項11】
燃料電池を備える発電ユニットと、前記発電ユニットを収納する筐体と、前記筐体内を換気する換気器と、前記筐体外部に排出された前記換気器からの排ガスが流れる第1の排ガス流路と、前記筐体外部に設けられ、熱負荷に供給する熱を生成するための燃焼装置と、前記燃焼装置からの燃焼排ガスが流れる第2の排ガス流路とを備え、前記第2の排ガス流路は、外気に対して開口したダクトに接続されるとともに、前記第1の排ガス流路は、前記第2の排ガス流路が前記ダクトに接続する前に前記第2の排ガス流路と合流している発電システムの運転方法であって、
前記燃焼装置が燃焼動作を実行しているとき、前記換気器を動作させ、
前記換気器の吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも低くなると、前記燃焼装置の燃焼動作を停止させる、発電システムの運転方法。
【請求項12】
前記換気器は、その吐出圧が、前記合流箇所におけるガスの圧力よりも高くなるよう動作する、請求項11記載の発電システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電併給装置において燃焼装置とともに用いられる発電システム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にコージェネレーションシステムは、発電した電力を需要家へ供給して電力負荷を賄うとともに、発電に伴う排熱を回収して蓄熱することで需要家の給湯負荷を賄うシステムである。このようなコージェネレーションシステムの一例として、燃料電池と給湯器とが同一の燃料で動作する燃料電池システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池システムでは、燃料電池と、燃料電池の動作にともなって発生する熱を回収する熱交換器と、熱交換器を循環して加熱された水を貯蔵する貯湯槽と、貯湯槽から流出する水を所定の温度まで加温する機能を有する給湯器とを有し、燃料電池と給湯器とが同一の燃料で動作するよう構成されている。
【0003】
また、建物の内部に配置された燃料電池で生じた排ガスの排出性能を向上することを目的として、上下方向に延びるダクトを具備する発電装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この発電装置では、上端部が建物の内部に位置するダクトが二重管であり、排ガス及び空気が当該ダクトの内側及び外側をそれぞれ個別に流通するように換気管及び排気管が当該ダクトにそれぞれ連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−248009号公報
【特許文献2】特開2008−210631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載された発電装置では、換気ファン及び燃料電池の排ガスがそれぞれ流れる排ガス流路を個別にダクトに接続するよう構成されている。しかしながら、特許文献1のように熱負荷に供給するための熱を生成する燃焼装置からの燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス流路を、ダクトに接続する際の適切な構成について、検討されていない。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、熱負荷に熱を供給するための燃焼装置からの燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス流路をダクトに接続する際に適切に構成された発電システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
燃焼装置からの燃焼排ガスをダクトに接続する構成において、燃焼装置で不完全燃焼が発生すると、ダクトに至るまでの燃焼排ガス流路内の、燃焼排ガスに可燃性ガスが含まれる可能性がある。燃焼排ガスに可燃性ガスが含まれているときに、燃焼排ガス流路からガス漏れが発生すると、好ましくない。そこで、本発明者は、換気器からの排ガスをダクトに流入する前の燃焼排ガス流路において合流させることで、上記可燃性ガスが希釈される点に着目した。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある形態(Aspect)に係る発電システムは、発電ユニットと、前記発電ユニットを収納する筐体と、前記筐体内を換気する換気器と、前記筐体外部に排出された前記換気器からの排ガスが流れる第1の排ガス流路とを備え、前記第1の排ガス流路は、熱負荷に供給する熱を生成する燃焼装置からの燃焼排ガスが流れるとともに外気に対して開口したダクトと接続する第2の排ガス流路と、該第2の排ガス流路が前記ダクトに接続する前に合流している。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、第1の排ガス流路及び第2の排ガス流路がそれぞれ個別にダクトに接続される場合に比べ、第2の排ガス流路に漏れが発生したときの安全性が向上する。
【0010】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は実施の形態1に係る発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、図1の発電システムにおける制御器の制御を示すフローチャートである。
図3図3は実施の形態2に係る発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図4図4は実施の形態1の変形例2に係る発電システムにおける制御器の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的に実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
実施の形態1の発電システムは、発電ユニットと、発電ユニットを収納する筐体と、筐体内を換気する換気器と、筐体外部に排出された換気器からの排ガスが流れる第1の排ガス流路とを備え、第1の排ガス流路は、熱負荷に供給する熱を生成する燃焼装置からの燃焼排ガスが流れるとともに外気に対して開口したダクトに接続する第2の排ガス流路と、第2の排ガス流路がダクトに連結する前に合流している。ここで、第2の排ガス流路がダクトに「接続する」とは、第2の排ガス流路の下流端がダクトに開口する態様と、第2の排ガス流路がダクト内に導入されて当該ダクト内を延び、当該ダクトの外気への開口から外部へと導出される態様とを含む。
【0014】
かかる構成により、燃焼装置からの燃焼排ガスに換気器からの筐体内の雰囲気ガスが混合されるので、第2の排ガス流路内の燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれていても、これが希釈される。従って、第1の排ガス流路及び第2の排ガス流路がそれぞれ個別にダクトに接続される場合に比べ、第2の排ガス流路に漏れが発生したときの安全性が向上する。
【0015】
また、発電システムは、燃焼装置が燃焼動作を実行しているとき、換気器を動作させる制御器を備えてもよい。
【0016】
かかる構成により、燃焼装置より燃焼排ガスが排出されている間において、燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれていても、これが希釈される。
【0017】
ここで、上記換気器の動作は、連続的及び間欠的のいずれであっても、構わない。これは、連続的動作及び間欠的動作のいずれであっても、燃焼排ガス中の可燃性ガスが含まれている場合、これが希釈される。つまり、連続的動作及び間欠的動作のいずれであっても、第1の排ガス流路及び第2の排ガス流路がそれぞれ個別にダクトに接続される場合に比べ、安全性が向上するからである。
【0018】
また、以下に説明する発電システムは、発電ユニットが発電運転中であるときに、換気器を動作させる形態を採用しているが、これに限定されるものではない。これは、発電ユニットが発電運転しているか否かに依らず任意に換気器を動作させても、燃焼装置の燃焼動作中において、換気器が動作する時間帯が生じる可能性が高いからである。
【0019】
[構成]
図1は実施の形態1に係る発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、発電システム101Aは、燃焼装置5と第2の排ガス流路6と共に用いられる。
【0021】
発電システム101Aは、発電ユニット1と、発電ユニット1を収納する筐体2と、筐体2の内部を換気する換気器3と、筐体2の外部に排出された換気器3からの排ガスが流れる第1の排ガス流路4とを備えている。燃焼装置5からの燃焼排ガスが流れる第2の排ガス流路6は、その一端が外気に対して開口したダクト11に接続されている。第1の排ガス流路4は、第2の排ガス流路6がダクト11に接続する前に、当該第2の排ガス流路6と合流している。
【0022】
発電ユニット1は、燃料を用いて発電する発電ユニットであり、燃料電池、ガスエンジン発電機等を含む。発電ユニット1では、発電動作において図示されない燃焼器が燃料を燃焼し、排出する。この燃焼排ガスは、筐体2の外部に排出されるが、その排出経路は任意である。
【0023】
換気器3は、筐体2の内部を換気できればよく、筐体2の任意の部位に設置することができる。換気器3により換気用の気体を筐体2への取り込む構成は特に限定されない。例えば、筐体2が設置されたスペースにおいて、筐体2に設けられた吸気孔から換気用の気体を筐体2に取り込むように構成してもよい。あるいは、第1の排ガス流路4と吸気用の気体の流路とを二重管で構成し、当該二重管の一方の側(例えば、外側)の管路を介して筐体2に換気用の気体を取り込むように構成してもよい。また、この場合、第2の排ガス流路6も同様に、二重管で構成し、第1の排ガス流路4と同じ側の管路を介して、燃焼装置への燃焼空気を取り込むよう構成してもよい。換気器3は、例えばファン等で構成される。
【0024】
第1の排ガス流路4は、筐体2の内部の気体を換気器3から第2の排ガス流路6に導くように設けられ、第2の排ガス流路6に合流している。なお、第1の排ガス流路4には、第2の排ガス流路6からのガスの逆流を防止する逆流防止機構(図示せず;逆止弁等)が設けられることが好ましい。
【0025】
燃焼装置5は、燃料ガスを燃焼させて、熱負荷(図示せず)に供給するための熱を発生する装置である。燃焼装置5として、給湯器(boiler)が例示される。燃焼装置5は、動作すると燃料ガスを燃焼させて燃焼排ガス(以下、燃焼装置5からの燃焼排ガスを単に「燃焼排ガス」という)を排出する。燃焼装置5で不完全燃焼が発生すると燃焼排ガスに可燃性ガスが含まれる可能性がある。熱負荷(図示せず)としては、暖房、風呂、シャワー等が例示される。
【0026】
第2の排ガス流路6は、燃焼排ガスを燃焼装置5から外部へ排出するように設けられている。第2の排ガス流路6の形態は、燃焼排ガスが燃焼装置5から外部へ排出される限り、任意である。なお、第2の排ガス流路6には、第1の排ガス流路4からのガスの逆流を防止する逆流防止機構(図示せず;逆止弁等)が設けられることが好ましい。
【0027】
発電システム101Aは、さらに、制御器22を備えている。制御器22は、燃焼装置5が燃焼動作を実行しているとき、換気器3を動作させるよう構成されている。具体的には、制御器22は、換気器3の動作を制御する。制御器22には、後述する所定時間x(秒)が設定される。制御器22は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。例えば、制御器22は、マイクロコントローラ、PLC(Programmable Logic Controller) 等が例示される。また、演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリが例示される。制御器22は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。なお、制御器22の設置場所は任意である。例えば、図1に示すように筐体2に収納されていてもよく、筐体2の外面に取り付けられてもよく、筐体2から離隔して設置されていてもよい。
【0028】
また、発電システム101Aは、燃焼装置5のON(燃焼動作の実行)を検知する、図示されないON検知器を備える。ON検知器は、例えば、燃焼装置5から出力される燃焼装置5のON信号を取得する信号取得器、燃焼装置5から排出される燃焼排ガスの圧力を検知する圧力検知器等で構成される。
【0029】
[動作]
次に、以上のように構成された発電システム101Aにおける制御器22の制御を、図2を用いて説明する。
【0030】
図2図1の発電システム101Aにおける制御器22の制御を示すフローチャートである。
【0031】
この制御は、発電システム101Aの運転状態に依らず任意に実行されるが、運転状態に応じて実行の有無が制御される形態を採用しても構わない。ここで、上記運転状態とは、例えば、発電システム101Aの起動動作、発電運転、停止動作、及び待機状態等が挙げられる。ここで、待機状態とは、発電システム101Aの停止動作が完了して、次の起動を待機している状態を言う。発電システム101Aが起動されると、発電ユニット1は発電を行なう。
【0032】
一方、図2に示すように、制御器22は、ON検知器(図示せず)の検出値に基づき燃焼装置5がONしているか否か判定する(ステップS1)。燃焼装置5がONしている場合(ステップS1においてYES)には、制御器22は換気器3をONさせる(ステップS4)。これにより、筐体2の外部に排出された換気器3からの排ガスが第1の排ガス流路4を流れて第2の排ガス流路6を流れる燃焼排ガスに混合される。燃焼排ガスには、燃焼装置5の不完全燃焼により可燃性ガスが含まれる可能性がある。一方、換気器3からの排ガスは筐体内の雰囲気ガスであるので、燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれていても、当該可燃性ガスが雰囲気ガスによって希釈される。
【0033】
制御器22による制御は、換気器3をONさせた後、スタートに戻り、ステップS1以降の各ステップを繰り返す。
【0034】
一方、ステップS1において、燃焼装置5がONしていない場合(ステップS1においてNO)には、制御器22は、燃焼装置5がOFFしてから所定時間x秒が経過したか否か判定する(ステップS2)。この所定時間x秒は、燃焼装置5から排出された燃焼排ガスが第2の排ガス流路6から外気に排出されるのに必要な時間に設定され、実験等により適宜決定される。
【0035】
所定時間x秒が経過していない場合(ステップS2においてNO)には、制御器22は換気器3をONし、その後、制御器22による制御はスタートに戻る。
【0036】
所定時間x秒が経過している場合(ステップS2においてYES)には、制御器22は換気器3をOFFする。その後、制御器22による制御はスタートに戻る。
【0037】
なお、上記フローのステップS2を設けているが、ステップS2を設けず、ON検知器により燃焼装置の燃焼動作の停止が検知されると、そのまま換気器3の動作を停止するよう制御しても、構わない。換気器3が動作している期間については、燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれていても、これが希釈される。従って、第1の排ガス流路4及び第2の排ガス流路6がそれぞれ個別にダクトに接続される場合に比べ、安全性が向上するので、必ずしも燃焼排ガスが流れる全期間において、換気器3を動作させなくても構わない。
【0038】
次に本実施の形態1における変形例を説明する。
【0039】
<変形例1>
本変形例1の発電システム101Aは、上記実施の形態1の燃料電池システム101Aについて、以下の特徴をさらに備えることを特徴とする。そして、以下の特徴により、燃焼装置から排出される燃焼排ガスの圧力が変動しても、換気器からの排ガスを燃焼装置からの燃焼排ガスに好適に混合させることができ、その結果、第2の排ガス流路を流れる燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれていても、これを希釈することができる。
【0040】
第1の構成例として、換気器3は、その吐出圧が、合流箇所21におけるガスの圧力よりも高くなるよう動作する。つまり、換気器3は、その仕様として、その吐出圧が、合流箇所21におけるガスの圧力よりも高くなるよう動作するように設計されている。従って、換気器3の吐出圧が、合流箇所21におけるガスの圧力よりも高くなるよう換気器3の動作を、制御器22により制御する必要はない。
【0041】
第2の構成例として、発電システム101Aは、制御器30が、換気器3の吐出圧が第1の排ガス流路4と第2の排ガス流路6との合流箇所21における排ガスの圧力よりも高くなるよう換気器3の動作を制御するよう構成されている。
【0042】
この第2の構成例では、発電システム101Aには、例えば、合流箇所21よりも上流の第1の排ガス流路4に排ガスの逆流を検知する逆流検知器又は合流箇所21よりも上流の第1の排ガス流路4を流れるガスの流量(flow rate)を直接的又は間接的に検知する流量検知器(図示せず)が設けられる。
【0043】
一方、合流箇所21における逆流検知器又は流量検知器と換気器3の操作量との関係が予め求められて制御器22に記憶される。そして、制御器22は、逆流検知器又は流量検知器の検知出力と、換気器3の吐出圧と換気器3の操作量との関係とに基づいて換気器3に所定の操作量を出力し、それにより、換気器3の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力よりも高くなるよう換気器3の動作を制御する。
【0044】
逆流検知器として、排ガスの圧力を検知する圧力センサ、Oの濃度を検知するOセンサ、COの濃度を検知するCOセンサ、排ガスの温度を検知する温度センサ、排ガスの湿度を検知する湿度センサが例示される。
【0045】
上記で例示された逆流検知器を用いた逆流検知方法は以下の通りである。
【0046】
第2の排ガス流路6からの排ガスが第1の排ガス流路4に逆流すると第1の排ガス流路4の圧力が上昇する。そこで、発電システム101Aは、第1の排ガス流路4の圧力を検知する圧力センサを備え、制御器22は、圧力センサによる検知圧力の上昇により排ガスの逆流を検知するよう構成されていてもよい。
【0047】
第2の排ガス流路6からの排ガスが第1の排ガス流路4に逆流すると第1の排ガス流路4のO濃度が低下する。そこで、発電システム101Aは、第1の排ガス流路4のO濃度を検知するOセンサを備え、制御器22は、OセンサによるOの検知濃度の低下により排ガスの逆流を検知するよう構成されていてもよい。
【0048】
第2の排ガス流路6からの排ガスが第1の排ガス流路4に逆流すると第1の排ガス流路4のCO濃度が上昇する。そこで、発電システム101Aは、第1の排ガス流路4のCO濃度を検知するCOセンサを備え、制御器22は、COセンサによるCOの検知濃度の上昇により排ガスの逆流を検知するよう構成されていてもよい。
【0049】
第2の排ガス流路6からの排ガスが第1の排ガス流路4に逆流すると第1の排ガス流路4の温度が上昇する。そこで、発電システムは、第1の排ガス流路4の温度を検知する温度センサを備え、制御器22は、温度センサによる検知温度の上昇により排ガスの逆流を検知するよう構成されていてもよい。
【0050】
第2の排ガス流路6からの排ガスが第1の排ガス流路4に逆流すると第1の排ガス流路4の湿度が上昇する。そこで、発電システムは、第1の排ガス流路4の湿度を検知する湿度センサを備え、制御器22は、湿度センサによる検知湿度の上昇により排ガスの逆流を検知するよう構成されていてもよい。
【0051】
流量検知器として、第1の排ガス流路4の流量を検知する流量センサ、換気器3の作動電流を検知する電流センサ、換気器3の回転数を検知する回転数センサが例示される。
【0052】
上記に例示される流量検知器を用いた第1の排ガス流路4を流れる流量の低下の検知方法は以下の通りである。
【0053】
換気器3の吐出圧(P1)と合流箇所21の圧力(P2)との差圧(P1−P2)が低下すると第1の排ガス流路4の排ガスの流量が低下する。そこで、発電システム101Aは、第1の排ガス流路4に流量センサを備え、制御器22は、流量センサによる検知流量の低下により第1の排ガス流路4を流れるガスの流量の低下を検知するよう構成されていてもよい。
【0054】
上記差圧が低下すると、第1の排ガス流路4の排ガスの流量が低下する。このとき、換気器3の作動電流は減少する。そこで、発電システムは、換気器3の作動電流を検知する電流センサを備え、制御器22は、電流センサによる換気器3の作動電流の減少により、第1の排ガス流路4の排ガスの流量の低下を検知するよう構成されていてもよい。
【0055】
上記差圧が低下すると、第1の排ガス流路4の排ガスの流量が低下する。このとき、換気器3の回転数は増加する。そこで、発電システム101Aは、換気器3の回転数を検知する回転数センサを備え、制御器22は、回転数センサによる換気器3の回転数の増加により、第1の排ガス流路4の排ガスの流量の低下を検知するよう構成されていてもよい。
【0056】
なお、上記逆流検知器及び流量検知器は、上記差圧の低下を直接的又は間接的に制御器22が把握する形態の一例であり、その形態は任意である。上記例以外にも、例えば、燃焼装置5に、燃焼に用いられるガスを供給するガス供給器(図示せず)に制御器22が出力する操作量により上記差圧の低下を制御器22が間接的に把握する形態を採用しても構わない。具体的には、制御器22から図示されない燃焼空気供給器への操作量の増加で上記差圧の低下が間接的に把握される。
【0057】
<変形例2>
本変形例2では、実施の形態1及び変形例1のいずれかの発電システムにおいて、換気器の吐出圧が合流箇所におけるガスの圧力よりも低くなると、燃焼装置の燃焼動作を停止する制御器を備える。
【0058】
かかる構成により、換気器の吐出圧が合流箇所におけるガスの圧力より低くても、燃焼装置の燃焼動作を停止しない発電システムに比べ、第2の排ガス流路から第1の排ガス流路への燃焼排ガスの逆流を抑制し得る。
【0059】
具体的には、本変形例2の発電システム101Aのハードウエアは、例えば、変形例1の発電システム101Aのように構成される。そして、制御器22によって、以下のように制御される。
【0060】
図4は本変形例2における制御器22の制御を示すフローチャートである。
【0061】
制御器22は、燃焼装置5を動作させる(ステップS11)。そして、換気器3の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力より低いか否か判定する(ステップS12)。
【0062】
換気器3の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力より低くない場合(ステップS12でNO)には、制御器22は、ステップS12を繰り返し、換気器3の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力より低くいか否かを監視する。
【0063】
換気器3の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力より低くい場合(ステップS12でYES)には、制御器22は、燃焼装置5の動作を停止し、この制御を終了する。
【0064】
ステップS12で監視する換気器3の吐出圧と合流箇所21におけるガスの圧力との高低関係は、換気器3の吐出圧(P1)と合流箇所21のガスの圧力(P2)との差圧(P1−P2)を検知する検知器で検知する。この検知器としては、例えば、差圧を間接的に検知する変形例1の逆流検知器又は流量検知器を用いてもよい。
【0065】
例えば、逆流検知器を用いる場合には、逆流検知器の検知出力に基づきガスの逆流を検知すると、ステップS13を実行し、逆流を検知しないと、再度、ステップS12を実行する。
【0066】
また、流量検知器を用いる場合は、検出値と所定の閾値を比較し、換気器3の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力より低くいと判定されると、ステップS13を実行する。また、検出値と所定の閾値を比較し、換気器3の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力より高いと判定されると、再度、ステップS12を実行する。なお、上記所定の閾値は、換気器3の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力より低くいと判定するための基準値である。
【0067】
(実施の形態2)
実施の形態2の燃料電池システムは、発電ユニットと、発電ユニットを収納する筐体と、筐体内を換気する換気器と、筐体外部に排出された換気器からの排ガスが流れる第1の排ガス流路と、筐体外部に設けられ、熱負荷に供給する熱を生成するための燃焼装置と、燃焼装置からの燃焼排ガスが流れる第2の排ガス流路とを備え、第2の排ガス流路は、外気に対して開口したダクトに接続されるとともに、第1の排ガス流路は、第2の排ガス流路が前記ダクトに接続する前に第2の排ガス流路と合流している。
【0068】
かかる構成により、燃焼装置からの燃焼排ガスに換気器からの筐体内の雰囲気ガスが混合されるので、第2の排ガス流路内の燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれていても、これが希釈される。従って、第1の排ガス流路及び第2の排ガス流路がそれぞれ個別にダクトに接続される場合に比べ、第2の排ガス流路に漏れが発生したときの安全性が向上する。
【0069】
燃焼装置が燃焼動作を実行しているとき、換気器を動作させる制御器を備える。
【0070】
かかる構成により、燃焼装置より燃焼排ガスが排出されている間において、燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれていても、これが希釈される。
【0071】
ここで、上記換気器の動作は、連続的及び間欠的のいずれであっても、構わない。これは、連続的動作及び間欠的動作のいずれであっても、燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれている場合、これが希釈される。つまり、連続的動作及び間欠的動作のいずれであっても、第1の排ガス流路及び第2の排ガス流路がそれぞれ個別にダクトに接続される場合に比べ、安全性が向上するからである。
【0072】
また、以下に説明する発電システムは、燃焼装置が燃焼動作を実行しているときに、換気器を動作させる形態を採用しているが、これに限定されるものではない。これは、燃焼装置の燃焼動作に依らず任意に換気器を動作させても、燃焼装置の燃焼動作中において、換気器が動作する時間帯が生じる可能性が高いからである。
【0073】
図3は実施の形態2に係る発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【0074】
図3に示すように、本実施の形態の発電システム101Bは、燃焼装置5及び第2の排ガス流路6を備える点が、実施の形態101Aの発電システム101Aと異なる。
これ以外の点は、本実施の形態2の発電システム101Bは、実施の形態1の発電システム101Aと同じであるので、その説明を省略する。
【0075】
また、発電システム101Bにおける制御器22による換気器3の制御については、実施の形態1の発電システム101Aと同様であるのでその説明を省略する。
<変形例3>
本変形例3の発電システムは、実施の形態2の発電システムにおいて、上記変形例1の発電システムと同様に、換気器の吐出圧が第1の排ガス流路の第2の排ガス流路との合流箇所におけるガスの圧力よりも高くなるよう構成されている。
【0076】
かかる構成により、燃焼装置から排出される燃焼排ガスの圧力が変動しても、換気器からの排ガスを燃焼装置からの燃焼排ガスに混合させることができ、その結果、第2の排ガス流路を流れる燃焼排ガス中に可燃性ガスが含まれていても、これを希釈することができる。
【0077】
なお、換気器3の吐出圧力が合流箇所21におけるガスの圧力よりも高くなる構成例については、変形例1と同様であるので、その説明を省略する。
<変形例4>
本変形例4の発電システムは、実施の形態2及び変形例2の発電システムにおいて、上記変形例2の発電システムと同様に、換気器の吐出圧が合流箇所21におけるガスの圧力よりも低くなると、燃焼装置の燃焼動作を停止する制御器を備える。
【0078】
かかる構成により、換気器の吐出圧が合流箇所におけるガスの圧力より低くても、燃焼装置の燃焼動作を停止しない発電システムに比べ、第2の排ガス流路6から第1の排ガス流路4への燃焼排ガスの逆流を抑制し得る。
【0079】
なお、本変形例4の構成及び動作は、変形例2と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
上記説明から、当業者にとっては、多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る発電システム及びその運転方法は、第1の排ガス流路及び第2の排ガス流路がそれぞれ個別にダクトに接続される場合に比べ、燃焼排ガスからの水の凝縮量が低減し、第2の排ガス流路の腐食が抑制されるので、有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 発電ユニット
2 筐体
3 換気器
4 第1の排ガス流路
5 燃焼装置
6 第2の排ガス流路
11 ダクト
21 合流箇所
22 制御器
101A 発電システム
101B 発電システム
101C 発電システム
図1
図2
図3
図4