特許第6024941号(P6024941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6024941レンズの固着機構及びそれを備えたカメラ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024941
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】レンズの固着機構及びそれを備えたカメラ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20161107BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20161107BHJP
   G03B 17/00 20060101ALI20161107BHJP
   G03B 17/14 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G02B7/02 Z
   G03B17/02
   G03B17/00 P
   G03B17/14
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-9750(P2012-9750)
(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公開番号】特開2013-148754(P2013-148754A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】壷井 良隆
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−331683(JP,A)
【文献】 特開2000−215495(JP,A)
【文献】 特開平03−172809(JP,A)
【文献】 特開2008−175946(JP,A)
【文献】 実開平02−051304(JP,U)
【文献】 特開2007−171726(JP,A)
【文献】 特開2012−194265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 17/00
G03B 17/02
G03B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子とレンズホルダとレンズを有するレンズ鏡筒とを少なくとも備え、前記レンズホルダに設けたレンズ鏡筒嵌合孔に前記レンズ鏡筒を取り付けるレンズの固着方法において、
前記レンズ鏡筒嵌合孔の内壁面に同一径で幅を有する円弧摺動面を設けるとともにこの円弧摺動面より内方に突出した係止突起を設け、
前記レンズ鏡筒の外壁面に、所定の間隔をおいて前記円弧摺動面に密接して摺動する少なくとも2個以上の摺動案内部を幅をもって設け
ともに幅を有する前記レンズ鏡筒の摺動案内部と前記レンズ鏡筒嵌合孔の円弧摺動面とを前記レンズの光軸が傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したまま挿入して前記レンズ鏡筒と撮像素子との距離を調整してレンズと撮像素子のフォーカスを調整し、
前記レンズ鏡筒を水平回転して前記摺動案内部の頂部から隣接する摺動案内部の立ち下がり部分まで順次径方向に小径となる少なくとも2個以上の係止テーパー面に、前記係止突起を圧接して係止し、
前記レンズ鏡筒嵌合孔に前記レンズ鏡筒が挿入されたときのレンズの光軸を中心としたときの前記レンズ鏡筒嵌合孔の最小径をa、最大径をb及び同中心から前記係止テーパー面までの最小径をr1、最大径をr2としたときに、それぞれの大小関係はr1<a<r2≦bであり、かつ前記中心から前記係止テーパー面までの径は前記レンズ鏡筒を水平回転して前記係止突起を圧接して係止する回転方向と逆方向に連続して増大させ、前記レンズ鏡筒を水平回転して前記係止突起を前記係止テーパー面に食い込み固定するようにしたことを特徴とするレンズの固着方法
【請求項2】
前記レンズホルダの前記レンズ鏡筒嵌合孔の内壁に、前記円弧摺動面と前記係止突起を1対として2対以上を円周方向に等間隔で設け、前記レンズ鏡筒の外壁に、前記摺動案内部と前記係止テーパー面を1対として2対以上を円周方向に等間隔で設けたことを特徴とする請求項1記載のレンズの固着方法
【請求項3】
撮像素子とレンズホルダとレンズを有するレンズ鏡筒とを少なくとも備え、前記レンズホルダに設けたレンズ鏡筒嵌合孔に前記レンズ鏡筒を取り付けるレンズの固着方法において、
前記レンズ鏡筒の外壁面に同一径で幅を有する円弧摺動面を設けるとともにこの円弧摺動面より外方に突出した係止突起を設け、
前記レンズ鏡筒嵌合孔の内壁面に、所定の間隔をおいて前記円弧摺動面に密接して摺動する少なくとも2個以上の摺動案内部を幅をもって設け、
ともに幅を有する前記レンズ鏡筒の円弧摺動面と前記レンズ鏡筒嵌合孔の摺動案内部とを前記レンズの光軸が傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したまま挿入して前記レンズ鏡筒と撮像素子との距離を調整してレンズと撮像素子のフォーカスを調整し、
前記レンズ鏡筒を水平回転して前記摺動案内部の頂部から隣接する摺動案内部の立ち上がり部分まで順次径方向に大径となる少なくとも2個以上係止のテーパー面に、前記係止突起を圧接して係止し、
前記レンズ鏡筒嵌合孔に前記レンズ鏡筒が挿入されたときのレンズの光軸を中心としたときの前記レンズ鏡筒嵌合孔の最小径をa、最大径をb及び同中心から前記円弧摺動面までの最小径をr1、最大径をr2としたときに、それぞれの大小関係はr1<a<r2≦bであり、かつ前記中心から前記係止テーパー面までの径は前記レンズ鏡筒を水平回転して前記係止突起を圧接して係止する回転方向と同一方向に連続して減少させ、前記レンズ鏡筒を水平回転して前記係止突起を前記係止テーパー面に食い込み固定するようにしたことを特徴とするレンズの固着方法
【請求項4】
前記レンズ鏡筒の外壁に、前記円弧摺動面と前記係止突起を1対として2対以上を等間隔で設け、前記レンズホルダの前記レンズ鏡筒嵌合孔の内壁に、前記摺動案内部と前記係止テーパー面を1対として2対以上を円周方向に等間隔で設けたことを特徴とする請求項3記載のレンズの固着方法
【請求項5】
複数の前記円弧摺動面は、前記レンズの光軸を中心とする同一径としたことを特徴とする請求項2又は4記載のレンズの固着方法
【請求項6】
係止突起を硬質材料とし、係止テーパー面を前記係止突起より軟質材料としたことを特徴とする請求項1乃至5記載のレンズの固着方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラやボードカメラなどの撮像素子とレンズユニットのフォーカス調整とレンズホルダへの固着を簡単に、かつ、確実にできるようにしたレンズの固着機構及びそれを備えたカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラやボードカメラにおいて、レンズホルダの交換時やレンズホルダのないカメラを製造する場合に、レンズホルダの取り付け取り外しを容易にする発明が提案されている(特許文献1)。
これは、図5において、基板18の上にCCDなどの撮像素子17が載置され、CCDカバー15が固定ねじ19にて基板18に固定され、CCDカバー15には、レンズホルダ13がこのレンズホルダ13のねじ溝14とCCDカバー15のねじ山16で螺合されている。レンズ10を有するレンズ鏡筒11は、外周のねじ山12が前記レンズホルダ13の内周のねじ溝14に螺合される。レンズホルダ13を交換する場合には、レンズホルダ13を回してCCDカバー15から取り外し、他のレンズホルダ13と交換する。レンズ10と撮像素子17のフォーカス調整は、レンズ鏡筒11を回転させ上下に移動させることにより撮像素子17との距離を調整することで行う。
【0003】
また、光学ディスク記憶装置におけるレンズ鏡筒11をレンズホルダ13にフォーカス調整をしつつ固定する発明が提案されている(特許文献2)。
これは、図6(a)〜(f)に示されている。(a)(b)に示すように、レンズ鏡筒11の外周に、少なくとも120度の間隔で3箇所に突起20を設けておき、(c)に示すように、レンズホルダ13の内側の隙間22に圧入し、フォーカス調整をしつつ固定する。すると、拡大図(d)に示すように、突起20がレンズホルダ13の内壁で押しつぶされて変形し固定される。
また、(e)に示すように、レンズホルダ13の内側の突起20に対応した位置に溝21を設けてレンズホルダ13の内側の溝21に圧入し、フォーカス調整をしつつ固定する。すると、拡大図(f)に示すように、突起20がレンズホルダ13の内側の溝21で変形し固定されることで、レンズ鏡筒11が回転することなく押し込み固定される、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−111777号公報
【特許文献2】特開2000−215495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、レンズ10と撮像素子17のフォーカス調整が、レンズ鏡筒11をレンズホルダ13にねじ込み回転させ上下に移動させることで比較的簡単にできるが、レンズ鏡筒11とレンズホルダ13との間が固定されていないために、ねじ部分でガタつきが発生し、振動や衝撃により光軸ずれやフォーカスのずれが発生するおそれがあるという問題がある。
また、特許文献2では、レンズ鏡筒11の突起20をレンズホルダ13の内壁に圧入するため、比較的強固に固定できるが、微妙なフォーカスの調整ができない。また、レンズ鏡筒11を押し込みすぎると、レンズホルダ13の内部から押し戻さなければならず、押し込みすぎたときの再調整が不可能か、極めて困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は、レンズユニットと撮像素子とのフォーカス調整及びレンズユニットとレンズホルダへの固着を簡単に、かつ、確実にできるようにしたレンズの固着装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施例1では、撮像素子33とレンズホルダ25とレンズ23を有するレンズ鏡筒24とを少なくとも備え、前記レンズホルダ25に設けたレンズ鏡筒嵌合孔32に前記レンズ鏡筒24を取り付けるレンズの固着機構において、前記レンズ鏡筒嵌合孔32の内壁面に、円弧摺動面26と、この円弧摺動面26より突出した係止突起27を設け、前記レンズ鏡筒24の外壁面に、所定の間隔をおいて前記円弧摺動面26に密接して摺動する少なくとも2個以上の摺動案内部28と、前記レンズ鏡筒24を前記レンズ鏡筒嵌合孔32に嵌合してレンズ鏡筒24を水平回転して前記係止突起27を圧接して係止する少なくとも2個の以上の係止テーパー面29を設け、前記レンズ鏡筒嵌合孔32に前記レンズ鏡筒24が挿入されたときのレンズ23の光軸を中心としたときの前記レンズ嵌合孔32の最小径をa、最大径をb及び同中心から前記係止テーパ面までの最小径をr1、最大径をr2としたときに、それぞれの大小関係はr1<a<r2≦bであり、かつ前記中心から前記係止テーパ面29までの径は、前記レンズ鏡筒24を水平回転して前記係止突起を圧接して係止する回転方向と逆方向に連続して増大させたことを特徴とする。
【0008】
実施例2では、撮像素子側33とレンズホルダ25とレンズ23を有するレンズ鏡筒24とを少なくとも備え、前記レンズホルダ25のレンズ鏡筒嵌合孔32に前記レンズ鏡筒24を取り付けるレンズの固着機構において、前記レンズ鏡筒24の外壁面に、円弧摺動面26と、この円弧摺動面26より突出した係止突起27を設け、前記レンズ鏡筒嵌合孔32の内壁面に、所定の間隔をおいて前記円弧摺動面26に密接して摺動する少なくとも2個以上の摺動案内部28と、前記レンズ鏡筒24を前記レンズ鏡筒嵌合孔32に嵌合してレンズ鏡筒24を水平回転して前記係止突起27を圧接して係止する少なくとも2個以上の係止テーパー面29を設け、前記レンズ鏡筒嵌合孔32に前記レンズ鏡筒24が挿入されたときのレンズ23の光軸を中心としたときの前記レンズ嵌合孔32の最小径をa、最大径をb及び同中心から前記係止テーパ面までの最小径をr1、最大径をr2としたときに、それぞれの大小関係はr1<a<r2≦bであり、かつ前記中心から前記係止テーパ面29までの径は、前記レンズ鏡筒24を水平回転して前記係止突起を圧接して係止する回転方向と同一方向に連続して増大させたことを特徴とする。
【0009】
複数の円弧摺動面26は、レンズ23の光軸を中心とする同一径とすることができる。
前記レンズ鏡筒24に設けた摺動案内部28と係止テーパー面29又は円弧摺動面26と係止突起27は、光軸方向に幅をもって形成する。
係止固着に際し、食い込む側の前記係止突起27を硬質材料とし、食い込まれる側の係止テーパー面29を前記係止突起27より軟質材料とする。これらの特徴を有したレンズホルダ25とレンズ鏡筒24及び撮像素子33等からカメラ装置34が構成される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、
撮像素子とレンズホルダとレンズを有するレンズ鏡筒とを少なくとも備え、前記レンズホルダに設けたレンズ鏡筒嵌合孔に前記レンズ鏡筒を取り付けるレンズの固着方法において、
前記レンズ鏡筒嵌合孔の内壁面に同一径で幅を有する円弧摺動面を設けるとともにこの円弧摺動面より内方に突出した係止突起を設け、
前記レンズ鏡筒の外壁面に、所定の間隔をおいて前記円弧摺動面に密接して摺動する少なくとも2個以上の摺動案内部を幅をもって設け
ともに幅を有する前記レンズ鏡筒の摺動案内部と前記レンズ鏡筒嵌合孔の円弧摺動面とを前記レンズの光軸が傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したまま挿入して前記レンズ鏡筒と撮像素子との距離を調整してレンズと撮像素子のフォーカスを調整し、
前記レンズ鏡筒を水平回転して前記摺動案内部の頂部から隣接する摺動案内部の立ち下がり部分まで順次径方向に小径となる少なくとも2個以上の係止テーパー面に、前記係止突起を圧接して係止し、
前記レンズ鏡筒嵌合孔に前記レンズ鏡筒が挿入されたときのレンズの光軸を中心としたときの前記レンズ鏡筒嵌合孔の最小径をa、最大径をb及び同中心から前記係止テーパー面までの最小径をr1、最大径をr2としたときに、それぞれの大小関係はr1<a<r2≦bであり、かつ前記中心から前記係止テーパー面までの径は前記レンズ鏡筒を水平回転して前記係止突起を圧接して係止する回転方向と逆方向に連続して増大させ、前記レンズ鏡筒を水平回転して前記係止突起を前記係止テーパー面に食い込み固定するようにしたことを特徴とするレンズの固着方法としたので、摺動案内部と円弧摺動面の直径が同一で、かつ、摺動案内部と円弧摺動面は幅をもっているため、レンズの光軸は傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したままレンズ鏡筒がレンズホルダに挿入され、レンズ鏡筒と撮像素子との距離を調整してレンズと撮像素子のフォーカスを調整できる。フォーカス調整したら、摺動案内部と円弧摺動面が密接して回動し、回動により係止突起は、係止テーパー面に食い込んで固定され、撮像素子の中心に対するレンズの光軸がずれることなくフォーカス調整し、調整後にレンズ鏡筒をレンズホルダに容易、かつ、確実に固着することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、前記レンズホルダの前記レンズ鏡筒嵌合孔の内壁に、前記円弧摺動面と前記係止突起を1対として2対以上を円周方向に等間隔で設け、前記レンズ鏡筒の外壁に、前記摺動案内部と前記係止テーパー面を1対として前記レンズホルダと同様に2対以上を円周方向に等間隔で設けたので、レンズホルダ側の複数個の円弧摺動面に、それぞれ対応するレンズ鏡筒側の摺動案内部が光軸を変位させることなく摺動案内され、レンズホルダ側の複数個の係止突起がそれぞれ対応するレンズ鏡筒側の係止テーパー面に確実に食い込み固定される。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、
撮像素子とレンズホルダとレンズを有するレンズ鏡筒とを少なくとも備え、前記レンズホルダに設けたレンズ鏡筒嵌合孔に前記レンズ鏡筒を取り付けるレンズの固着方法において、
前記レンズ鏡筒の外壁面に同一径で幅を有する円弧摺動面を設けるとともにこの円弧摺動面より外方に突出した係止突起を設け、
前記レンズ鏡筒嵌合孔の内壁面に、所定の間隔をおいて前記円弧摺動面に密接して摺動する少なくとも2個以上の摺動案内部を幅をもって設け、
ともに幅を有する前記レンズ鏡筒の円弧摺動面と前記レンズ鏡筒嵌合孔の摺動案内部とを前記レンズの光軸が傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したまま挿入して前記レンズ鏡筒と撮像素子との距離を調整してレンズと撮像素子のフォーカスを調整し、
前記レンズ鏡筒を水平回転して前記摺動案内部の頂部から隣接する摺動案内部の立ち上がり部分まで順次径方向に大径となる少なくとも2個以上係止のテーパー面に、前記係止突起を圧接して係止し、
前記レンズ鏡筒嵌合孔に前記レンズ鏡筒が挿入されたときのレンズの光軸を中心としたときの前記レンズ鏡筒嵌合孔の最小径をa、最大径をb及び同中心から前記円弧摺動面までの最小径をr1、最大径をr2としたときに、それぞれの大小関係はr1<a<r2≦bであり、かつ前記中心から前記係止テーパー面までの径は前記レンズ鏡筒を水平回転して前記係止突起を圧接して係止する回転方向と同一方向に連続して減少させ、前記レンズ鏡筒を水平回転して前記係止突起を前記係止テーパー面に食い込み固定するようにしたことを特徴とするレンズの固着方法としたので、摺動案内部と円弧摺動面の直径が同一で、かつ、摺動案内部と円弧摺動面は幅をもっているため、レンズの光軸は傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したままレンズ鏡筒がレンズホルダに挿入され、レンズ鏡筒と撮像素子の距離を調整してレンズと撮像素子のフォーカスを調整できる。フォーカス調整したら、摺動案内部と円弧摺動面が密接して回動し、回動により係止突起は、係止テーパー面に食い込んで固定され、撮像素子の中心に対するレンズの光軸がずれることなくフォーカス調整し、調整後にレンズ鏡筒をレンズホルダに容易、かつ、確実に固着することができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、前記レンズ鏡筒の外壁に、前記円弧摺動面と前記係止突起を1対として2対以上を等間隔で設け、前記レンズホルダの前記レンズ鏡筒嵌合孔の内壁に、前記摺動案内部と前記係止テーパー面を1対として前記レンズ鏡筒と同様に2対以上を等間隔で設けたので、レンズ鏡筒側の複数個の円弧摺動面に、それぞれ対応するレンズホルダ側の摺動案内部が光軸を変位させることなく摺動案内され、レンズ鏡筒側の複数個の係止突起がそれぞれ対応するレンズホルダ側の係止テーパー面に確実に食い込み固定される。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、複数の円弧摺動面は、レンズの光軸を中心とする同一径としたので、レンズ鏡筒側の複数個のいずれの円弧摺動面に、レンズホルダ側のいずれの摺動案内部を嵌合しても、レンズの光軸のずれが生ずることなく摺動案内させることができる。
【0015】
請求項6記載の発明によれば、係止突起を硬質材料とし、係止テーパー面を前記係止突起より軟質材料としたので、撮像素子の中心に対するレンズの光軸のずれが生じず確実にレンズ鏡筒をレンズホルダのレンズ鏡筒嵌合孔に固着できる。
【0016】
請求項7記載の発明によれば、撮像素子の中心にレンズの光軸を確実に一致させ、かつ振動や衝撃により光軸ずれやフォーカスずれの発生のないカメラ装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1を図1及び図2(a)(b)に基き説明する。
プリント基板31には、図5と同様に、CCD等の撮像素子33が設けられており、この撮像素子33に臨ませてレンズホルダ25の台座部30が取り付けられカメラ装置34が形成されている。このレンズホルダ25にレンズ23を内蔵したレンズ鏡筒24がフォーカス調整した後、本発明特有の機構によって取り付けられて固定され、カメラ装置34が形成されている。
【0019】
前記レンズホルダ25には、中心部に前記レンズ鏡筒24を取り付けるためのレンズ鏡筒嵌合孔32が前記撮像素子33に向かって穿設されている。このレンズ鏡筒嵌合孔32の内壁には、120度の間隔で内方に突出した係止突起27が3個設けられ、これら3個の係止突起27の間には、同一径の円弧摺動面26が設けられている。
前記レンズ鏡筒24の外壁には、このレンズ鏡筒24の筒の長さの約2分の1の幅をもち、120度の間隔で摺動案内部28が突出して形成されており、この摺動案内部28は、一側面が径方向に垂直に立ち下がり、他側面が摺動案内部28の頂部から隣接する摺動案内部28の立ち下がり部分まで順次径方向に小径となる係止テーパー面29が形成されている。前記摺動案内部28の頂部は、前記レンズホルダ25の円弧摺動面26に密接して摺動するように円弧摺動面26の直径と同一に形成されている。
図2(a)に示すように、前記レンズ鏡筒嵌合孔32に前記レンズ鏡筒24が挿入されたときのレンズ23の光軸を中心としたときの前記レンズ鏡筒嵌合孔32の最小径をa、最大径をb及び同中心から前記係止テーパ面29までの最小径をr1、最大径をr2としたときに、それぞれの大小関係はr1<a<r2≦bであり、かつ前記中心から前記係止テーパ面29までの径は、前記レンズ鏡筒24を水平回転して前記係止突起を圧接して係止する回転方向と逆方向に連続して増大させている。
【0020】
以上のような構成において、レンズ鏡筒24をレンズホルダ25のレンズ鏡筒嵌合孔32に取り付けるために嵌合するが、図2(a)に示すように、レンズ鏡筒24の摺動案内部28がレンズホルダ25の円弧摺動面26に密接し、また、レンズホルダ25の係止突起27がレンズ鏡筒24の係止テーパー面29にわずかに隙間をもっている位置で嵌合する。摺動案内部28と円弧摺動面26の直径が同一で、かつ、摺動案内部28と円弧摺動面26は幅をもっているため、レンズ23の光軸は傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したままレンズ鏡筒24がレンズホルダ25に挿入される。レンズ鏡筒24と撮像素子33との距離を調整してレンズ23と撮像素子のフォーカスを調整したら、図2(b)に示すようにレンズ鏡筒24を左方向(矢印方向)に回転させる。ここで、係止突起27は硬質材料(例えばアルミニウム)で係止テーパー面29は軟質材料(例えばポリカーボネート)を用いると、係止突起27は、係止テーパー面29に食い込んで固定される。レンズ鏡筒24を回転させても摺動案内部28と円弧摺動面26は3点で常に密接しているので撮像素子33に対するレンズ23の光軸が変化することはない。
【実施例2】
【0021】
本発明の実施例2を図3(a)(b)に基き説明する。
前記実施例1では、レンズホルダ25の内壁に係止突起27と円弧摺動面26を形成し、レンズ鏡筒24の外壁に摺動案内部28と係止テーパー面29を形成したが、実施例2では、図3(a)に示すように、レンズホルダ25の内壁に摺動案内部28と係止テーパー面29を形成し、レンズ鏡筒24の外壁に係止突起27と円弧摺動面26を形成したものである。
図3(a)に示すように、前記レンズ鏡筒嵌合孔32に前記レンズ鏡筒24が挿入されたときのレンズ23の光軸を中心としたときの前記レンズ鏡筒嵌合孔32の最小径をa、最大径をb及び同中心から前記円弧摺動面までの最小径をr1、最大径をr2としたときに、それぞれの大小関係はr1<a<r2≦bであり、かつ前記中心から前記係止テーパー面29までの径は、前記レンズ鏡筒24を水平回転して前記係止突起を圧接して係止する回転方向と同一方向に連続して減少させている。
【0022】
以上のような構成において、図3(a)に示すように、レンズホルダ25の摺動案内部28がレンズ鏡筒24の円弧摺動面26に密接し、また、レンズ鏡筒24の係止突起27がレンズホルダ25の係止テーパー面29にわずかに隙間をもっている位置で嵌合する。摺動案内部28と円弧摺動面26の直径が同一で、かつ、摺動案内部28と円弧摺動面26は幅をもっているため、レンズ23の光軸は傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したままレンズ鏡筒24がレンズホルダ25に挿入される。レンズ鏡筒24と撮像素子33との距離を調整してレンズ23と撮像素子のフォーカスを調整したら、図3(b)に示すようにレンズ鏡筒24を左方向(矢印方向)に回転させる。ここで、係止突起27を形成したレンズ鏡筒24は硬質材料で、係止テーパー面29を形成したレンズホルダ25は軟質材料を用いると、係止突起27は、係止テーパー面29に食い込んで固定される。レンズ鏡筒24を回転させても摺動案内部28と円弧摺動面26は常に密接しているので撮像素子33に対するレンズ23の光軸が変化することはない。
【実施例3】
【0023】
前記実施例1及び実施例2では、3箇所で係止されるようにしたが、実施例3では、図4(a)(b)に示すように2箇所で係止する例を示しており、レンズホルダ25には、レンズ鏡筒嵌合孔32の内壁に180度の間隔で内方に突出した係止突起27が設けられ、これら2個の係止突起27の間は、同一径の円弧摺動面26で連続して設けられている。
前記レンズ鏡筒24の外壁には、180度の間隔で摺動案内部28が突出して形成されており、この摺動案内部28は、一側面が径方向に垂直に立ち下がり、他側面が摺動案内部28の頂部から隣接する摺動案内部28の立ち下がり部分まで順次径方向に小径となる係止テーパー面29が形成されている。前記摺動案内部28の頂部は、前記レンズホルダ25の円弧摺動面26に密接して摺動するように円弧摺動面26の直径と同一に形成されている。
【0024】
以上のような構成において、レンズ鏡筒24をレンズホルダ25のレンズ鏡筒嵌合孔32に取り付けるために嵌合するが、図4(a)に示すように、レンズ鏡筒24の摺動案内部28がレンズホルダ25の円弧摺動面26に密接し、また、レンズホルダ25の係止突起27がレンズ鏡筒24の係止テーパー面29にわずかに隙間をもっている位置で嵌合する。摺動案内部28と円弧摺動面26の直径が同一で、かつ、摺動案内部28と円弧摺動面26は幅をもっているため、レンズ23の光軸は傾くことなく撮像素子の中心と一致した状態を保持したままレンズ鏡筒24がレンズホルダ25に挿入される。レンズ鏡筒24のと撮像素子33との距離を調整してレンズ23と撮像素子のフォーカスを調整したら、図4(b)に示すようにレンズ鏡筒24を左方向(矢印方向)に回転させる。ここで、係止突起27は硬質材料で係止テーパー面29は軟質材料を用いると、係止突起27は、係止テーパー面29に食い込んで固定される。レンズ鏡筒24を回転させても摺動案内部28と円弧摺動面26は2点で常に密接しているので撮像素子33に対するレンズ23の光軸が変化することはない。
この実施例3においては、円弧摺動面26に接しながら摺動する摺動案内部28の面積はできるだけ広くすることで、撮像素子33に対するレンズ23の光軸のずれがなくなる。
また、この実施例3において、実施例2と同様に、レンズホルダ25の内壁に摺動案内部28と係止テーパー面29を形成し、レンズ鏡筒24の外壁に係止突起27と円弧摺動面26を形成することもできる。
【0025】
前記実施例1、実施例2及び実施例3では、撮像素子33に対するレンズ23の光軸のずれをなくすために、円弧摺動面26と摺動案内部28の接触摺動箇所は、3箇所と2箇所の例を示したが、これに限られるものではなく、4箇所以上でもよい。
【0026】
実施例1、実施例2及び実施例3において、複数個所の円弧摺動面26は、光軸からの半径を全て同一とし、かつ、複数個所の摺動案内部28も光軸からの半径を全て同一としたことにより、レンズ鏡筒24をレンズホルダ25にどの位置で嵌合してもよいようになっている。しかし、1対の円弧摺動面26と摺動案内部28の組み毎に一致させれば必ずしもすべてを一致させる必要はない。ただし、この場合は、嵌合位置が予め決められる。
【符号の説明】
【0027】
10…レンズ、11…レンズ鏡筒、12…ねじ山、13…レンズホルダ、14…ねじ溝、15…CCDカバー、16…ねじ山、17…撮像素子、18…基板、19…固定ねじ、20…突起、21…溝、22…隙間、23…レンズ、24…レンズ鏡筒、25…レンズホルダ、26…円弧摺動面、27…係止突起、28…摺動案内部、29…係止テーパー面、30…台座部、31…プリント基板、32…レンズ鏡筒嵌合孔、33…撮像素子、34…カメラ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6