【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、送信機と受信機を備えた電子式電力量計用検査システムに関する。そして、前記送信機は、電子式電力量計の筐体に取り付けるための取付部と、系統から需要家負荷に向かう潮流発生時に前記電子式電力量計から出力される赤外線信号を受信する赤外受光部と、前記赤外受光部において前記赤外線信号を受信すると無線信号を送信する無線信号送信部と、を備える。また、前記受信機は、前記無線信号を受信する無線信号受信部と、前記無線信号受信部において前記無線信号が受信されると、所定の表示出力を行う第1表示出力部とを備える。
【0014】
このような構成としたとき、作業員は送信機と受信機を携帯して検査対象となる電子式電力量計の設置現場に出向く。そして、送信機の取付部を電子式電力量計の筐体に取り付ける。この時、電子式電力量計から出力される赤外線信号が、送信機の赤外受光部によって受光できるような位置関係となるように配置する。
【0015】
そして、作業員は受信機を携帯して需要家負荷が設置されている領域(例えば屋内)に入り、この需要家負荷を系統に接続する。これにより、電子式電力量計が正しく配線されている場合、系統から電子式電力量計を介して需要家負荷に向かう潮流が発生する。このとき、電子式電力量計は赤外線信号の出力を開始する。
【0016】
送信機は、赤外受光部においてこの赤外線信号を検知すると、無線信号送信部から無線信号を送信する。このとき、作業員が携帯している受信機は、無線信号受信部においてこの無線信号を検知し、第1表示出力部において所定の表示出力が行われる。作業員は、携帯している受信機のこの表示出力を目視にて確認することで、電子式電力量計が正しく配線されていることを認識することができる。
【0017】
つまり、この検査システムによれば、作業員は、需要家負荷を系統に接続すべく、需要家負荷が設置されている領域に入った後、電力
量計の前に戻ってから、更に需要家負荷を切りに屋内へ戻ることなく電子式電力量計の配線検査を行うことができる。これにより、作業員の作業工数と作業時間の短縮化が図れる。
【0018】
この構成の下、前記送信機が、当該送信機に予め付された識別情報を付した前記無線信号を前記無線信号送信部から送信し、前記受信機は、前記送信機から送信される前記無線信号に含まれる前記識別情報が、予め受信機において対応付けられている場合に限り、前記第1表示出力部が前記表示出力を行う構成としても構わない。
【0019】
この構成は、例えば大規模マンションなどにおいて、複数の作業員が同時に別の部屋で電子式電力量計の配線検査を行う場合などにおいて有用である。つまり、万一、受信機が別の部屋の電子式電力量計に設置された送信機からの無線信号を受信したとしても、この信号に付された識別情報が当該受信機に対応付けられていないものである場合には、その信号に基づいて第1表示出力部において表示出力がされるおそれがなくなる。
【0020】
よって、このような態様とすることで、別の送信機からの無線信号の受信可能なエリア内において電子式電力量計の配線検査を行う場合であっても、検査対象である電子式電力量計に付された送信機からの無線信号に基づく検査を正しく行える。
【0021】
上記構成において、第1表示出力部を光源(例えばLEDなど)で構成してもよい。
【0022】
光源で構成した場合、作業員は、受信機の光源の点灯を確認することで、電子式電力量計の配線確認が行える。これにより、確認の簡素化とエビデンスとしての写真撮影の容易化が実現できる。
【0023】
なお、この場合において、受信機の電源がONされたときの点灯色と、識別情報が対応付けられている送信機からの無線信号を正しく検知した場合の点灯色を変化させるものとしても構わないし、それぞれで点灯する光源を個別に備えても構わない。
【0024】
また、上記構成において、前記送信機は、前記赤外受光部が前記電子式電力量計から出力される赤外線信号を受信すると所定の表示出力を行う第2表示出力部を備えるものとしても構わない。
【0025】
このような構成とすることで、例えば送信機の無線信号送信部又は受信機に何らかのトラブルがあった場合であっても、作業員が電子式電力量計の前まで行って当該第2表示出力部の表示出力を目視で確認することで、電子式電力量計が正しく配線されていることを認識することができる。
【0026】
なお、上記構成において、第2表示出力部を光源(例えばLEDなど)で構成してもよい。
【0027】
この場合において、送信機の電源がONされたときの点灯色と、赤外受光部が電子式電力量計からの赤外線信号を検知した場合の点灯色を変化させるものとしても構わないし、それぞれで点灯する光源を個別に備えても構わない。
【0028】
本発明に係る電子式電力量計の検査方法は、系統から電子式電力量計を介して需要家負荷に電力が供給される形態の電力需要家に設置された電子式電力量計の検査方法であって、上述した前記電子式電力量計用検査システムを用いるものであり、
前記送信機の前記赤外受光部によって前記電子式電力量計から出力される赤外線信号の受信が可能な位置に設定した状態で、前記送信機の前記取付部を前記電子式電力量計の前記筐体に取り付ける第1工程と、
前記第1工程の後に、前記需要家負荷を前記系統に接続する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記受信機の前記第1表示出力部に前記所定の表示出力がなされているか否かを確認する第3工程とを有することを特徴とする。
【0029】
ここで、第1工程〜第3工程にかけて、前記受信機が携帯されるものとして構わない。また、第2工程〜第3工程において、受信機を屋内等に置いて利用しても構わない。一例として、受信機の電源が内蔵の電池式又は乾電池で構成されていれば、第1工程〜第3工程にかけて受信機が携帯されるものとすることができる。また、受信機が商用電源を電源とする構成であれば、第2工程〜第3工程において、屋内等に受信機を置いた状態で利用されるものとしてよい。
【0030】
また、電子式電力量計の筐体に取り付けるための取付部と、系統から需要家負荷に向かう潮流発生時に前記電子式電力量計から出力される赤外線信号を受信する赤外受光部と、前記赤外受光部が前記電子式電力量計から出力される赤外線信号を受信すると、所定の表示出力を行う表示出力部とを備えた電子式電力
量計用検査器を2つ用いて、余剰電力の逆潮流が発生し得る分散型電源を備えた需要家における電子式電力量計の検査を以下の方法で行うことができる。
【0031】
すなわち、系統から電力供給用電子式電力量計及び余剰電力用電子式電力量計をこの順に介して需要家負荷に向かう潮流が発生すると共に、分散型電源における発電電力が消費電力を上回っている場合に前記分散型電源から前記余剰電力用電子式電力量計及び前記電力供給用電子式電力量計をこの順に介して前記系統に向かう逆潮流が発生し得る受電形態の需要家に対する電子式電力量計の検査方法において、
前記電力供給用電子式電力量計は、前記系統から前記需要家負荷に向かう潮流発生時に赤外線信号を出力し、前記余剰電力用電子式電力量計は、前記分散型電源から前記系統に向かう逆潮流発生時に赤外線信号を出力する構成であって、
一方の前記電子式電力
量計用検査器を、前記電力供給用電子式電力量計から出力される赤外線信号の受信が可能となるように前記電力供給用電子式電力量計の筐体に取り付け、他方の前記電子式電力
量計用検査器を、前記余剰電力用電子式電力量計から出力される赤外線信号の受信が可能となるように前記余剰電力用電子式電力量計の筐体に取り付けた状態で、前記余剰電力用電子式電力量計の負荷側に負荷を接続する。
【0032】
この方法により、2つの電子式電力
量計用検査器の表示出力部の表示態様を確認するだけで2つの電力量計が正しく配線されているかどうかの検査ができる。すなわち、電力供給用電子式電力量計の筐体に取り付けられた電子式電力
量計用検査器の表示出力部にのみ表示出力がなされ、余剰電力用電子式電力量計の筐体に取り付けられた電子式電力
量計用検査器の表示出力部には表示出力がなされていない場合には正しく配線されている。そして、これ以外の表示出力態様である場合は、正しく配線されていない可能性が高い。
【0033】
分散型電源を備えた需要家においては、電力供給用電子式電力量計と余剰電力用電子式電力量計の2つの電力量計を設置する必要がある。しかも、前者は系統から需要家負荷に向かう潮流の発生時に電力量の計測が行われるように配線する必要があり、後者は、分散型電源から系統に向かう逆潮流の発生時に電力量の計測が行われるように配線する必要がある。このように、電力量計の配線が複雑化するため、分散型電源を備えない通常の需要家の場合と比較して誤配線の可能性が高くなる。
【0034】
上記方法によれば、作業員は、単に2つの電力量計に設置された検査器の表示出力部の表示出力態様を目視で確認するだけでこのような複雑な配線の検査が行えるため、作業内容が簡素化される。特に、この表示出力部をLEDで構成した場合、電力供給用電子式電力量計側のLEDのみが点灯していることが確認されれば正しい配線がされていることの確認ができる。