(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加工手段の面積設定値入力部にて前記設定値の最小値を入力し、穀粒の画像同士が重なることなく接した状態の集合画像を形成することを特徴とする請求項2に記載の穀粒外観測定装置。
前記加工手段にて形成する集合画像において、各穀粒の画像間に生じる隙間の部分を特定の色で表し保存及び/又は表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の穀粒外観測定装置。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ等の撮像装置を使用して穀粒を撮像し、撮像して得た画像情報を用いて前記穀粒の判別が行われている。例えば、特許文献1には、穀粒を撮像した画像情報から穀粒を一粒ずつ抽出し、抽出した前記穀粒を粒単位で判別し、判別した結果を粒単位で整列した状態で表示することが記載されている。この表示方法によれば、
図12に示すように判別後の各穀粒を表示させることができる。
【0003】
ところで、穀粒は、目視による検査が現在でも行われている。例えば、特許文献2に記載されているようなカルトンと呼ばれる穀粒鑑定皿を使用して目視により行われている。穀粒鑑定皿による目視検査は、前記穀粒鑑定皿上に投入された状態の穀粒により、一目でおおよその判別が可能である点が評価されている。
【0004】
このため、特許文献1に記載されているような光学的手段を使用して検査を行う場合であっても、前記検査に使用したサンプル穀粒を穀粒鑑定皿上に投入された状態の画像で保存及び表示を可能とすることが望まれている。
【0005】
しかし、スキャナ等の撮像装置で撮像した後のサンプル穀粒を穀粒鑑定皿上に投入し、投入後の穀粒鑑定皿を前記撮像装置とは異なる別の撮像手段(デジタルカメラ等)で撮像することは手間がかかる上に、互いの画像情報を関連づけて保存及び表示しなければならいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点にかんがみ、スキャナ等の撮像装置で撮像した画像情報を用いて穀粒の検査を行うとともに、その画像情報を使用して、穀粒観察皿上に穀粒を投入した状態を表す集合画像(疑似画像)を作成することで、光学的な検査を行うと同時に、穀粒観察皿による目視での検査を前記集合画像によって擬似的に行えるようにすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は上記問題を解決するために、複数の穀粒を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像した穀粒の画像情報を粒単位で分析する分析手段と、前記画像情報を加工して前記穀粒の集合画像を形成する加工手段と、前記集合画像を保存及び/又は表示する手段とから構成された穀粒外観測定装置において、前記加工手段は、前記画像情報から穀粒の画像を粒単位で抽出し、抽出した粒単位の各穀粒の画像を互いに
その一部分を隣接させて配置して
、それら各穀粒の画像の集合画像を形成する
とともに、該集合画像を穀粒鑑定皿上に穀粒を投入した状態を表す画像とするという技術的手段を講じた。
【0009】
また、前記加工手段に面積設定値入力部を設け、該面積設定値入力部から
、穀粒の画像同士
を隣接させて配置する際に重なる部分の面積の大きさを設定する設定値を入力し、前記面積の大きさに上限を設けるという技術的手段を講じた。
【0010】
さらに、前記加工手段の面積設定値入力部にて前記設定値の最小値を入力することで、穀粒の画像同士が重なることなく接した状態の集合画像を形成可能にするという技術的手段を講じた。
【0011】
その上、前記加工手段において、前記集合画像に外枠を設け、該外枠の形状を穀粒鑑定皿の穀粒載置面と同一形状にするという技術的手段を講じた。
【0012】
そして、前記加工手段にて形成する集合画像において、各穀粒の画像間に生じる隙間の部分を特定の色で表し保存及び/又は表示させるという技術的手段を講じた。
【発明の効果】
【0013】
本発明の穀粒外観測定装置は、穀粒の外観を光学的手法により検査できるとともに、該検査した穀粒を、目視検査に用いる穀粒鑑定皿に投入した状態を表す集合画像(疑似画像)で保存又は表示させることが可能である。このため、光学的な検査の結果を得ると同時に、穀粒鑑定皿による目視での検査を前記集合画像を用いて擬似的に行うことが可能になった。
【0014】
また、本発明の穀粒外観測定装置の加工手段において、穀粒の画像同士が重なる部分の面積の大きさが一定量以上とならないように上限を設けるので、穀粒鑑定皿に投入した状態の穀粒と同様の穀粒同士の重なりを表現することが可能である。
【0015】
さらに、前記集合画像において、穀粒の画像同士が重なることなく接した状態の集合画像を容易に作成することができ、その集合画像であれば穀粒の画像同士の重なりがないので、各穀粒の全ての画像を表示することが可能である。
【0016】
その上、前記集合画像の外枠を穀粒鑑定皿の穀粒載置面と同一形状とするので、前記集合画像による擬似的な目視検査を行いやすいという特徴がある。
【0017】
そして、前記集合画像における各穀粒間の隙間を、穀粒鑑定皿に使用される青、白又は黒等の特定の色で表すので、前記集合画像による擬似的な目視検査を行いやすいという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る穀粒外観測定装置1を示した図ある。
【0020】
図1に示されるように、穀粒外観測定1は、コンピュータ2と、該コンピュータ2に接続された「撮像装置」としてのカラースキャナ3とを含んで構成されている。
【0021】
前記コンピュータ2には、画像情報を分析する分析手段、前記画像情報を加工する加工手段、前記画像情報を保存する保存手段、前記画像情報を表示する表示手段、測定結果や画像情報等をネットワーク経由で配信する機能等が装備されている。また、コンピュータ2には後述する面積設定値入力部27の機能も備えられている。
【0022】
前記カラースキャナ3は、画像読取面4を上端面に有するスキャナ本体5と、このスキャナ本体5の画像読取面4を測定時に覆うカバー6とから構成されている。
【0023】
前記画像読取面4はガラス製であって、スキャナ本体5の上面に配設されている。画像読取面4はガラス板に限定されるわけではなく、アクリル板を使用してもよいし、それら以外の透明材料から成る板材を使用してもよい。上記構成の画像読取面4には、測定時に試料トレー20が載置される。
【0024】
前記スキャナ本体5内には、走査装置が配設されており、該走査装置は、試料トレー20の底面に対して光を照射する光照射部(光源)と、光照射部から照射されて穀粒表面で反射された反射光を受光する受光部とから構成されている。
【0025】
前記走査装置の受光部は、カラーCCD等で構成されており、画像読取面4に載置された穀粒からの反射光を例えばRGBの三色(赤色、緑色及び青色)の光毎に受光し、受光して得られた画像情報をコンピュータ2に出力するようになっている。
【0026】
前記カバー6の一辺はスキャナ本体5の上端一辺にヒンジ結合されているので、該ヒンジにより回動可能である。このため、測定時にはカバー6によってスキャナ本体5の画像読取面4をカバーすることができ、外部からの迷光を防止することができる。なお、カラースキャナ3には一般的なスキャナを用いることができる。
【0027】
次に、本実施形態の穀粒外観測定装置1の試料トレー20について説明する。図示しているように、試料トレー20は、平面視で矩形枠状に形成され、底板21と、この底板21の周辺部から上方に立ち上げられた側壁と、該側壁の二箇所に取り扱いやすいように設けられた把持部とによって構成されている。なお、前記底板21は、透明な板であって、例えば、アクリル樹脂等が用いられる。また、試料トレー20が画像読取面4の上面に載置された状態では、画像読取面4の上面に底面21が当接状態で載置されるようになっている。
【0028】
前記側壁に囲まれたスペースの一部分には、基準板22を設けてもよい。該基準板22は、カラースキャナ3での測定値を補正するための画像情報を取得するためのものである。基準板22を配置する位置は、前記スペース上であれば特に限定されることはなく、設計上都合の良い箇所に配置すればよい。また、形状についても特に限定されることはないが、設計するうえでは矩形状とするのが望ましい。本実施形態では、基準板22の形状を矩形状とし、該基準板22の長手方向の一端を側壁に接するように配置している。また、基準板22は、一つの色のみで形成するだけでなく、例えば、白と黒等の2色の基準板を組み合わせて構成することが望ましい。
【0029】
なお、試料トレー20は、カラースキャナ3で測定を行うので、試料トレー20本体からの反射光が前記測定時に影響することが考えられる。このため、少なくとも表面は光沢がないことが好ましく、黒体若しくは黒体に近い素材で試料トレー20を形成することが望ましい。
【0030】
本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態では検査対象の穀粒が玄米である場合について説明する。
【0031】
まず、試料トレー20の底面21上に、約千粒の玄米7を粒同士がそれぞれ重ならないように投入する。投入後、
図1に示すように、試料トレー20をカラースキャナ3の画像読取面4上に載置する。カラースキャナ3での測定時には、試料トレー20の底面21が光路となるので、指等と接触して底面21に汚れが付着することは好ましくない。なお、一回の測定で測定する穀粒の個数は、特に限定されることはなく、試料トレーの底面に載置可能な個数の範囲で自由に増減すればよい。
【0032】
前記試料トレー20を載置した後は、カバー6で試料トレー20の上面をカバーし、カラースキャナ3を用いて玄米7の画像を撮像する。具体的には、スキャナ本体5の走査装置を、画像読取面4の底面に沿って移動(二次元走査)させる。その際に、走査装置の光照射部から玄米7へ光が照射され、玄米7で反射した反射光が走査装置の受光部に受光される。受光した信号は、RGBの画像情報としてコンピュータ2に出力される。なお、カラースキャナ3で撮像する玄米7は、底面21に接する面、すなわち、粒の下側が撮像される。
【0033】
前記画像情報をコンピュータ2で解析することにより、測定した玄米の外観(整粒、砕米、死米、着色米、青未熟米、害虫被害米等)を光学的に高精度で検査し判別することができる。また、コンピュータ2において、前記画像情報を保存及び表示可能であって、
図11は、前記画像情報をコンピュータ2で表示する場合の一例を示している。
【0034】
前記コンピュータ2での解析は、一般的な解析手法を用いることができる。例えば、特開2011−242284号公報に記載されているような方法を用いることができる。また、本実施例では、玄米を整列させることなく測定を行っているが、例えば、中国にて公開されているCN101281112号公報(公開公報)に記載されているような画像処理を行うことで、各玄米を粒単位で識別させることが可能である。このため、
図12に示すように、測定した玄米7のそれぞれの画像を粒単位で整列させた状態で表示させることもできる。
【0035】
次に、前記画像情報を使用して、穀粒観察皿上に穀粒を投入した集合画像(疑似画像)を作成する方法について説明する。
図2は、集合画像作成の手順を示したフロー図である。
【0036】
まず、前記コンピュータ2の加工手段によって、測定した穀粒を粒単位でグループ分け(ステップ1)する。該グループ分けは、整粒、着色粒、青未熟粒、害虫被害粒、砕粒等の各穀粒の外観で行えばよい。本実施形態では、説明を容易にするため、整粒、着色粒及び害虫被害粒の3つのグループに分けた場合について説明する。ところで、グループ分けの方法は特に限定されることはなく、例えば、測定した各穀粒を256段階で色分けしてから複数のグループに分けるようにしてもよい。
【0037】
前記ステップS1にてグループ分けされた各穀粒の画像を、作成する集合画像の外枠25の内側に順に配置するために、配置する穀粒の画像を選択する(ステップS2)。穀粒の画像の選択においては、粒単位で抽出されている前記画像情報の各穀粒の画像を順に一つずつ選択していけばよく、例えば、
図12で示された画像情報では、図の左上から順に選択していけばよい。当然、一つの穀粒の画像が選択されるのは一度のみである。なお、集合画像の外枠25の形状は、穀
粒鑑定皿の穀粒載置面(底面)と同一の形状とすることが好ましく、通常は丸形であるが、四角形等、自由に設定すればよい。本実施形態では、外枠25を丸形としている。
【0038】
また、前記外枠25の大きさは、実物の穀
粒鑑定皿の穀粒載置面と同一とすればよいが、縮小してもよく、その際は、外枠25を縮小したのと同一の縮小を穀粒の画像についても行う必要がある。
【0039】
次に、前記ステップS2にて選択された穀粒の画像を配置する位置(座標)を決定するステップS3について説明する。
図3は、作成初期段階の集合画像を表している。最初に選択された一つ目(1番目)の穀粒の画像は、外枠25内に自由に配置することができる。しかし、2番目以降に選択された穀粒の画像は、既に配置済みの穀粒の画像と少なくとも一部が隣接するように配置する。その際の穀粒の画像上の角度は自由に設定すればよい。
図3は、外枠25内に4番目の穀粒の画像X4を配置する段階を示している。穀粒の画像X4は整粒の画像であって、その一部分が既に配置済みの穀粒の画像X3に少し重なった状態で隣接して配置されている。なお、本発明における穀粒の画像同士の「隣接」には、穀粒の画像の一部分が重なった状態も含まれるものとする。
【0040】
前記穀粒の画像X4の配置後、穀粒の画像X4が隣接している穀粒のグループを確認する。本発明では、目視での検査時に穀粒観察皿に穀粒が投入された状態の画像を疑似的に再現することを目的としているため、整粒以外の着色粒や害虫被害粒を前記集合画像内に分散させて配置する必要がある。このため、整粒同士は接触していてもよいが、着色粒同士、害虫被害粒同士又は着色粒と害虫被害粒とが接触して配置されないように、ステップS3における配置時に新たに配置する穀粒の画像が隣接する配置済みの穀粒の画像のグループを確認する(ステップS4)。
図3においては、穀粒の画像X4が整粒、着色粒及び害虫被害粒のいずれとも隣接可能な整粒であるので、穀粒の画像X4をこの位置に配置しても問題はない。なお、本実施形態ではステップS3とステップS4とを分けているが、ステップS3の時点でグループの確認も行うようにしてもよい。
【0041】
ここで、ステップS4(グループの確認)について、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、5番目の穀粒(着色粒)の画像X5に、6番目の穀粒(着色粒)の画像X6が隣接して配置された状態を示している。この場合、着色粒同士が隣接することになるので、穀粒の画像X6の配置する位置(座標)を変更して別の穀粒の画像と隣接する位置に配置し直すか、又は穀粒の画像X6の6番目での配置を中止し、前記画像情報から別の穀粒(この場合は整粒)の画像を選択(ステップS2)することになる。
図6では、穀粒の画像X6の配置する位置を変更した場合を示しており、穀粒の画像X6が配置される位置が、整粒である穀粒の画像X3及びX4と隣接する位置に変更され、着色粒同士の隣接が解消されている。
【0042】
また、前記ステップS3における配置時に、新たに配置した穀粒の画像が、配置済みの別の穀粒の画像と重なる部分の面積の大きさが、事前に設定した設定値を超えていないかを確認し、前記設定値を超えた大きさの面積の重なりが確認された場合は、その重なりを解消するために該当する穀粒の画像の位置を調整する必要があり、新たに配置する穀粒の画像又は既に配置済みの穀粒の画像のどちらか一方、若しくは両方の位置を調整することになる。
【0043】
前記設定値は、二つの穀粒の画像が重なる部分の面積の大きさは、単純にその面積の大きさで設定することができるが、本実施形態では、前記設定値を二つの穀粒の画像が重なる部分の面積の「割合」で設定しており、その割合は「穀粒の重なっている部分の面積/穀粒の画像の全面積」で求めている。そして、前記割合の値として25%を設定値としている。このため、穀粒の画像同士が重なる部分の面積の大きさは、穀粒の画像の全面積の25%までは許容される。ところで、前記設定値はコンピュータ2に設けられた面積設定値入力部27から入力する。
【0044】
なお、穀粒の大きさは穀粒毎に異なるので、当然、穀粒の画像の大きさも画像毎に異なることになる。したがって、新たに配置する穀粒の画像Y1が配置済みの穀粒の画像Y2の画像と重なる部分の面積が設定値(割合)以内であっても、例えば、配置済みの穀粒の画像Y2の画像の大きさが、新たに配置する穀粒の画像Y1の画像よりも小さい場合、穀粒Y2の画像については、穀粒の画像Y1と重なる部分の面積の割合が、設定値を超えることがあり得る。よって、既に配置済みの穀粒の画像についても、新たに配置される穀粒の画像と重なる部分の面積が設定値を超えないようにする必要がある。このため、既に配置済みの穀粒の画像についても、新たに配置される穀粒の画像と重なる部分の面積の大きさ又は割合を求め、前記設定値を超えていないかを確認し、設定値を超えている場合には、新たに配置する穀粒の画像又は該穀粒と重なる配置済みの穀粒の画像の位置調整をする必要がある。しかし、配置済みの穀粒の画像については、新たに配置される穀粒の画像と重なる部分を無視して集合画像を作成してもよいし、既に配置済みの穀粒の画像側にのみ設定値を超えた重なりが生じた場合であっても前記位置調整を省略してもよい。
【0045】
前記ステップS3の配置時において、新たに配置する穀粒の画像の面積と該穀粒の画像が既に配置されている穀粒の画像と重なる部分の面積との割合又は既に配置されている穀粒の画像の面積と該穀粒の画像が新たに配置される穀粒の画像と重なる部分の面積との割合は、全て25%とする必要はなく、25%以下となるように自由に前記割合を穀粒毎に決めればよい。また、0%〜25%の範囲内で複数段階の設定値を設け、穀粒毎に任意の設定値で重なりの大きさを決定することもできる。例えば、設定値として、0%、5%、10%、15%、20%及び25%の6個の設定値を設け、ステップS3の配置時に穀粒毎に任意の設定値を選択し、複数種類の重なり具合で穀粒の画像を集合画像上で再現するようにすることが好ましい。また、設定値の上限は25%に限定されるわけでなく、作成する集合画像の目的に合わせて随時任意の値を設定すればよい。さらに、前記設定値の幅も5%に限定されるわけでなく、作成する集合画像の目的に合わせて随時任意の値で前記幅を設定すればよい。ところで、前記設定値が0%の場合は、穀粒の画像同士が重なりなく接することになる。
【0046】
また、ステップS3の配置時において、穀粒の画像の一部分が外枠25の外側にはみ出る場合がある。その場合は、穀粒の画像の一部分が外枠25の外側にはみ出てよい面積の大きさ又は割合を設定値として設定して対応する。その設定値は、外枠25の外側にはみ出る部分の穀粒の画像の面積の大きさ又は割合で設定すればよく、該当する穀粒における前記割合は「外枠25の外側にはみ出る部分の面積/穀粒の画像の全面積」で求めればよい。本実施形態では、前記割合の25%を設定値としている。このため、穀粒の画像の一部分が外枠25の外側にはみ出る場合であっても前記割合が25%までは許容されることになる。なお、前記設定値が25%に限定されるわけではなく、作成する集合画像の目的に合わせて随時変更すればよい。また、穀粒の画像同士の重なりの場合と同様に、前記設定値を複数段階で設け、外枠25の外側にはみ出る面積を、任意の大きさに設定することも可能である。ちなみに、前記設定値が0%の場合は、穀粒の画像が外枠25の外側に表示されることはなく、前記画像の最外縁が外枠25と接することになる。
【0047】
ところで、穀粒の画像同士のその一部分を重ねる場合、一方の穀粒の画像がもう一方の穀粒の画像の上側又は下側に位置することになる。このため、穀粒の画像同士を重ねる場合、どちらを上側又は下側にするかの前記画像の上下関係を決定する必要があるが、この上下関係は、任意で自由に決定すればよい。あるいは特定の法則に基づいて前記上下関係を決定するようにしてもよい。
【0048】
前記ステップS4の後、さらに必要に応じて穀粒の画像の位置(座標)調整を行う。この位置調整では、
図3に示す隙間αを小さくする処理を行う(ステップS5)。具体的には
図4に示すように、穀粒の画像X4を穀粒の画像X3との隣接を維持しながら回転させ、別の穀粒の画像X2にも隣接するように位置を調整して隙間αを小さくする。目視による穀粒の検査では、穀
粒鑑定皿上に穀粒を隙間なく密集させた状態で行うので、作成する集合画像において密集状態の穀粒を表すために、ステップS5での隙間の削減処理が必要となる。
【0049】
前記ステップS5の隙間削減処理では、複数の穀粒の画像と隣接することになる(集合画像作成の初期段階は除く)。このため、隣接する穀粒の画像毎に重なる部分の面積の大きさ又は割合を求める必要が生じる。この大きさ又は割合については、前記ステップS3と同様に、穀粒の画像と穀粒の画像とが重なる部分の面積の大きさ又は割合によって設定値を設けて対応すればよい。本実施形態では、該当する穀粒の画像における前記割合を「穀粒の重なっている部分の面積/穀粒の画像の全面積」で求めている。ところで、ステップS3の設定値とステップS5の設定値は、共通の値としてもよいし、それぞれ個別に値を設けて管理してもよい。ステップS5の設定値も、コンピュータ2の面積設定値入力部27から入力する。
【0050】
なお、ステップS3と同様にステップS5においても、新たに配置する穀粒の画像Z1が配置済みの穀粒の画像Z2と重なる部分の面積が設定値(割合)以内であっても、例えば、配置済みの穀粒の画像Z2の大きさが、新たに配置する穀粒の画像Z1よりも小さい場合、穀粒の画像Z2については、穀粒Z1と重なる部分の面積の割合が、設定値を超えることがあり得る。よって、既に配置済みの穀粒の画像についても、新たに配置される穀粒の画像と重なる部分の面積が設定値を超えないようにする必要がある。
【0051】
このため、既に配置済みの穀粒の画像についても、新たに配置される穀粒の画像と重なる部分の面積の割合又は大きさを求め、前記設定値を超えていないかを確認し、設定値を超えている場合には、新たに配置する穀粒の画像又は該穀粒の画像と重なる配置済みの穀粒の画像の位置調整をする必要がある。しかし、配置済みの穀粒の画像については、新たに配置される穀粒の画像と重なる部分を無視して集合画像を作成してもよいし、既に配置済みの穀粒の画像側にのみ設定値を超えた重なりが生じた場合であっても前記位置調整を省略してもよい。
【0052】
本実施形態では、ステップS5における前記割合の値として25%を設定値にしている。このため、穀粒の画像同士が重なる部分の面積は、その穀粒の画像の全面積の最大25%までは許容される。なお、ステップS5において、位置調整する穀粒の画像が既に配置されている穀粒の画像と重なる部分の面積を、全て25%とする必要はなく、25%以下となるように自由に前記割合を穀粒毎に決めればよい。また、0%〜25%の範囲で複数段階の設定値を設け、穀粒毎に任意の設定値で重なりを決定するようにしてもよい。例えば、設定値として、0%、5%、10%、15%、20%及び25%の6個の設定値を設け、ステップS5の位置調整時に任意の設定値を選択し、複数種類の重なり具合で穀粒の画像を集合画像上で再現するようにすることが好ましい。また、設定値の上限は25%に限定されるわけでなく、作成する集合画像の目的に合わせて随時任意の値を設定すればよく、設定値の幅も5%に限定されるわけでなく、作成する集合画像の目的に合わせて随時任意の値で前記幅を設定すればよい。なお、前記設定値が0%の場合は、穀粒の画像同士が重なりなく接することになる。
【0053】
ところで、
図9に示すように、前記ステップS5の位置調整時に、ある穀粒の画像X(点線で表示)が複数の穀粒の画像と重なる場合、それぞれの前記穀粒の画像と個別に任意の割合で重なることになる。この場合、前記穀粒の画像Xが隣接する全ての穀粒の画像と重なる部分の総面積の割合が、穀粒の画像Xの面積の50%を超えることが考えられる。このため、ステップS5の位置調整時において、位置調整の対象である穀粒の画像が他の穀粒の画像と重なる総面積と、前記対象である穀粒の画像の面積との割合が一定の値を超えないように設定値を設け、該設定値を超える重なりが生じないようにすることが好ましい。ただし、穀粒の画像同士が重なる場合、上側に重なる穀粒の画像は集合画像において表示されるので、前記割合を求める際に、上側に重なる部分の面積を前記総面積から除いて計算してもよい。
【0054】
前記ステップS5までの作業は、前記画像情報の全ての穀粒の画像を集合画像上に配置させるまで繰り返し行う。全ての穀粒の画像の配置後、作成した集合画像を保存及び/又は表示する。
図7は作成後の集合画像を示した図である。また、
図8に示すように、集合画像の背景に穀
粒鑑定皿26の平面図を用いた画像を作成し保存及び/又は表示してもよい。作成後の集合画像は、前記コンピュータ2で表示させるだけでなく、インターネットを用いて閲覧可能とすることで、外国など離れた場所であっても穀粒の取引時にその場所で活用することができる。
【0055】
ところで、
図10は、穀粒の画像同士が重なることなく互いに接した状態の集合画像である。本発明では穀粒の画像同士の重なりの大きさ又は割合の設定値を最小(0又は0%)とすることで、前記集合画像を容易に作成することができる。
【0056】
なお、集合画像の作成最終段階において、一粒又は数粒の穀粒の画像を外枠25内に配置できるスペースが確保できない場合は、それら穀粒の画像を無理に配置する必要はなく、その時点での画像を最終的な集合画像とすればよい。
【0057】
また、前記隙間αは、任意の色で表示や保存すればよく、好ましくは穀
粒鑑定皿と同一の色にすればよく、例えば、青色、黒色又は白色等にすればよい。隙間αは、集合画像におけるバックグランド(背景)となるので、検査する穀粒毎に、検査しやすい色を自由に選択すればよい。
【0058】
ところで、上記実施例では、着色粒同士、害虫被害粒同士又は着色粒と害虫被害粒とが接触して配置しないように設定しているが、上記ステップS1及びステップS4を省略して、着色粒同士、害虫被害粒同士又は着色粒と害虫被害粒とが接触する場合もあり得る集合画像を作成してもよい。
【0059】
また、穀粒の画像を粒単位で取得できるのであれば、本発明の撮像装置として使用することが可能であり、例えば、特開2006−200945号公報に記載されているような、一粒ずつ穀粒を搬送して撮像する装置でも本発明は実施可能である。