(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
生体に装着され、運動する生体の体動等の情報を検出する生体情報検出装置が種々提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
例えば、特許文献1には、水泳を行うユーザーの手首に装着される装置本体と、装置本体に内蔵された加速度センサと、を備えた生体情報検出装置が記載されている。また、特許文献2には、加速度センサを備えた水泳用のゴーグルが記載されている。
特許文献1および特許文献2に記載の生体情報検出装置は、加速度センサにより検出される加速度の変化から、ユーザーの水泳の開始や終了、ターン(方向転換)等の体動を検出している。また、生体情報検出装置により検出された体動は、ユーザーの運動状況の観察等に使用される。
【0003】
ところで、水泳の場合において、水泳の開始や終了、方向転換等の大きな体動に加えて、例えば平泳ぎとクロールとの違い等、泳法の違いによる体動を検出し、ユーザーの運動状況についてさらに詳細な観察を行いたいという要望がある。
ここで、平泳ぎは、ユーザーの身体の正中線に対して左右の手足を対称的に動かして水をかき泳ぐ泳法である。したがって、ユーザーの体幹(身体のうち頭部、首および四肢を除いた部分)には、正中線を中心軸とした回動運動の体動(以下、「体幹の回動体動」という。)が発生しにくい。
これに対して、クロールは、ユーザーの両手を回転させて交互に水をかくとともに、両足を交互に上下に動かして水をかき泳ぐ泳法である。したがって、ユーザーの体幹には、正中線を中心軸とした回動体動が発生しやすい。
したがって、平泳ぎとクロールとの泳法の違いを検出するためには、ユーザーの体動のうち、正中線を中心軸とした体幹の回動体動を検出することが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、生体情報検出装置の配置のいかんによっては、正中線を中心軸とした体幹の回動体動を検出できないおそれがある。具体的には、従来技術のように、手首や頭部等に生体情報検出装置が装着されている場合、生体情報検出装置の加速度センサは、体幹の回動体動に対応して正中線周りに回動できない。また、体幹の回動体動の中心軸となる正中線上に生体情報検出装置の加速度センサが配置された場合においても、生体情報検出装置の加速度センサは、体幹の回動体動に対応して正中線周りに回動できない。これにより、生体情報検出装置の加速度センサは、ユーザーの体幹の回動体動に起因する加速度を検出できないため、詳細なユーザーの運動状況の観察が正しく行われないおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、運動の開始や終了、方向転換等の大きな体動に加えて、正中線を中心軸とした体幹の回動体動を検出できる生体情報検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る生体情報検出装置は、生体の体幹に装着される装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記生体の加速度を検出する3軸加速度センサと、を備えた生体情報検出装置であって、前記生体を正面から見たとき、前記装置本体は、前記生体の正中線と重なるように前記生体に装着可能とされているとともに、前記3軸加速度センサは、前記生体の正中線の少なくとも一方側に配置されていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、3軸加速度センサは、生体の正中線の少なくとも一方側に配置されているので、体幹が正中線を中心軸として回動体動したときに、正中線を中心軸として3軸加速度センサも回動できる。したがって、正中線を中心軸とした体幹の回動体動(例えば、上半身をひねる体動)を精度よく検出できる。
【0009】
また、前記装置本体は、前記生体の胸郭に装着可能とされていることを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、装置本体は、体幹のうち胸郭に装着可能とされているので、ユーザーが体幹のうち背部に装置本体を装着する場合よりも容易に装着できる。
【0011】
また、前記3軸加速度センサを2個備え、前記生体を正面から見たとき、前記2個の3軸加速度センサは、前記生体の正中線を挟んで両側にそれぞれ配置されていることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、生体の正中線を挟んで両側に2個の3軸加速度センサをそれぞれ配置することで、体幹が回動体動したときに2個の3軸加速度センサから異なる出力信号を得ることができる。したがって、2個の3軸加速度センサの出力を比較することで、体幹の回動体動の発生を容易に把握できる。これにより、生体情報検出装置は、わずかな体幹の回動体動であっても精度よく検出できる。
【0013】
また、前記装置本体には、前記生体の表面に接触する電極を有する生体信号検出部が設けられていることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、装置本体に生体信号検出部を設けることで、電極から心臓の鼓動に伴って発生する心電信号を検出し、生体の心拍数を計測できる。したがって、生体情報検出装置は、ユーザーの体動の情報に加えて、ユーザーの心拍数の情報を検出できるので、ユーザーの運動状況をさらに詳細に観察できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、3軸加速度センサは、生体の正中線の少なくとも一方側に配置されているので、体幹が正中線を中心軸として回動体動したときに、正中線を中心軸として3軸加速度センサも回動できる。したがって、正中線を中心軸とした体幹の回動体動(例えば、上半身をひねる体動)を精度よく検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る生体情報検出装置1をユーザーUが装着した状態を示す説明図である。なお、以下の説明では、ユーザーUの左右方向をX方向とし、ユーザーUから見て右手側(
図1における紙面左方)を+X側とし、ユーザーUから見て左手側(
図1における紙面右方)を−X側とする。また、ユーザーUの正中線Oに沿う方向をY方向とし、ユーザーUの頭部側(
図1における紙面上方)を+Y側とし、
図1における脚部側(
図1における紙面下方)を−Y側とする。また、X方向およびY方向と直交する方向をZ方向とし、ユーザーUの腹部側(
図1における紙面表側)を+Z側とし、ユーザーUの背部側(
図1における紙面裏側)を−Z側として説明する。また、ユーザーUが行う運動のうち、水泳を例に説明する。
【0018】
図1に示すように、生体情報検出装置1は、運動するユーザーUの身体のうち、頭部、首および四肢を除いた部分である体幹に装着されるものであり、ユーザーUの体幹のうち胸郭(胸部)の表面に装着される。生体情報検出装置1は、水泳するユーザーUの生体情報を取得する。取得される生体情報は、ユーザーUの水泳の開始や終了、方向転換、平泳ぎやクロール等の各泳法の違いによる体動の情報、およびユーザーUの心臓の鼓動に伴って発生する心拍又は心拍の状態を表す心拍情報を含んでいる。
【0019】
(生体情報検出装置)
図2は、生体情報検出装置1の斜視図である。
図3は、生体情報検出装置1の分解斜視図である。
生体情報検出装置1は、
図2に示すように、装置本体2と、
図3に示すように、装置本体2と一体的に形成されている生体信号検出部3と、装置本体2の内部の検出回路基板30上に設けられた3軸加速度センサ32と、装置本体2および生体信号検出部3をユーザーU(
図1参照)の胸郭に装着するための固定バンド4とを備えている。
【0020】
(装置本体)
装置本体2は、外形状が略円板状に形成されているケース7を備えている。ケース7には、ユーザーUに接触する面とは反対側の面に嵌合凸部5が形成されている。この嵌合凸部5は、固定バンド4に装置本体2を取り付けるためのものである。なお、ケース7の外形状は、略円板状に限られるものではなく、さまざまな外形状を採用することができる。例えば、ケース7の外形状を矩形板状にすることも可能である。ケース7の内部には、後述する検出回路基板30が収納されている。
図1に示すように、装置本体2は、生体情報検出装置1をユーザーUの体幹に装着したとき、Z方向から見て、装置本体2のY方向に沿う中心線が正中線Oと一致するように装着される。これにより、装置本体2は、Z方向から見たとき、ユーザーUの正中線Oと重なるように装着される。
【0021】
(生体信号検出部)
図3に示すように、生体信号検出部3は、一対の電極6a,6bにより構成されている。電極6a,6bは、例えば帯状の導電エラストマーにより形成されており、長手方向一端が装置本体2を挟んで両側に連結されている。そして、電極6a,6bと装置本体2に収納された検出回路基板30とが電気的に接続されている。なお、導電エラストマーとしては、例えば、カーボンブラックを配合した導電シリコーンゴムやカーボンブラックを配合した導電ゴム、カーボンブラックを配合した導電ポリウレタンゴム等を用いることができる。
【0022】
図4は、検出回路基板30の平面図である。なお、
図4において、装置本体2を二点鎖線で図示している。
図4に示すように、検出回路基板30は、Z方向から見て略矩形状に形成されており、ケース7に収納可能な大きさとなっている。また、検出回路基板30は、装置本体2をユーザーUに装着したとき、Z方向から見てユーザーUの正中線Oに対して略対称形状に形成されている。
検出回路基板30は、CPU(Central Processing Unit)31と、メモリ33と、心拍検出手段34と、通信手段35と、制御手段36と、報知手段37と、3軸加速度センサ32と、を備えている。
【0023】
図5は、生体情報検出装置1のブロック図である。
図5に示すように、CPU31は、メモリ33、心拍検出手段34、通信手段35、制御手段36、報知手段37および3軸加速度センサ32と電気的に接続されており、各手段により検出された生体情報の演算等を行っている。
メモリ33は、例えば不図示のRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等により構成されており、CPU31によるプログラムの読み出しや書き込み等に用いられる。
【0024】
心拍検出手段34は、生体信号検出部3の電極6a,6b(
図3参照)によって検出された心電信号に基づいて、心拍信号を検出している。
通信手段35は、心拍検出手段34により検出された心拍信号を、不図示の生体情報処理装置に無線で送信するものである。なお、生体情報処理装置は、例えばパーソナルコンピュータである。生体情報処理装置は、取得した生体情報を視認できるように表示している。
制御手段36は、各手段を制御するための制御信号をCPU31に対して送信している。
報知手段37は、ユーザーU(
図1参照)の水泳の開始や終了、方向転換、平泳ぎやクロール等の各泳法の違いによる体動の情報、およびユーザーUの心臓の鼓動に伴って発生する心拍又は心拍の状態を、例えば音声出力等によりユーザーUに報知するものである。
【0025】
(3軸加速度センサ)
3軸加速度センサ32は、相互に直交する直交座標系の3本の感度軸(不図示)を有する加速度センサであり、例えば、ピエゾ抵抗型の加速度センサである。ここで、感度軸とは、加速度を検知可能な方向に沿う軸のことをいう。3軸加速度センサ32の3本の感度軸(X軸、Y軸およびZ軸)のうち、X軸はユーザーU(
図1参照)の左右方向(すなわちX方向)に向いており、Y軸はユーザーUの正中線O(
図1参照)に沿う方向(すなわちY方向)に向いており、Z軸はユーザーUの前後方向に沿う方向(すなわちZ方向)に向いている。これにより、3軸加速度センサ32は、ユーザーUのXYZ方向の加速度を検出できる(
図1参照)。
図1に示すように、Z方向から見て、ユーザーUの正中線Oと重なるように生体情報検出装置1をユーザーUの体幹に装着したとき、3軸加速度センサ32は、正中線Oの+X側に配置される。したがって、後述するように、ユーザーUがクロールにより水泳し、ユーザーUの体幹が正中線Oを中心軸として回動体動したとき、3軸加速度センサ32は、正中線Oを中心軸として正中線O周りに回動する。したがって、正中線Oを中心軸としたユーザーUの体幹の回動体動を精度よく検出できる。
【0026】
(固定バンド)
固定バンド4は、ユーザーUの胸郭の全周にわたって装着可能なように、略環状に形成されている。
図3に示すように、固定バンド4は、略帯状に形成され伸縮性を有する伸縮ストラップ8と、帯状に形成され非伸縮性のベルト9とを有し、伸縮ストラップ8の長手方向両端に跨るようにベルト9が連結されている。
伸縮ストラップ8の長手方向略中央には、伸縮ストラップ8の長さを調整するための長さ調整具10が設けられている。
伸縮ストラップ8の長手方向の一端側には、伸縮ストラップ8とベルト9とを着脱可能とするため、フック部12aを備えたストラップ着脱具12が設けられている。
伸縮ストラップ8の長手方向の他端側には、伸縮ストラップ8とベルト9とを連結するためのストラップ連結具13が設けられている。
【0027】
ベルト9は、例えば繊維素材により、装置本体2および生体信号検出部3を外側から覆うように略帯状に形成されたものである。ベルト9は、ホルダ部20と、ホルダ部20を挟んで両側からそれぞれ伸縮ストラップ8の両端に向かって延出する一対のバンド部16a,16bとが一体成形されている。
ホルダ部20には、中央の大部分に嵌合孔17が形成されている。この嵌合孔17の内径は、装置本体2の嵌合凸部5の直径よりもやや小さく設定されている。このため、嵌合孔17に装置本体2の嵌合凸部5を押し込むと、嵌合孔17に嵌合凸部5が内嵌固定され装置本体2とベルト9とが連結される。
一方のバンド部16aの先端には、ストラップ係合具19が設けられている。ストラップ係合具19は、略環状に形成されており、伸縮ストラップ8に設けられたストラップ着脱具12のフック部12aと係脱可能に構成されている。また、他方のバンド部16bの先端は、ストラップ連結具13を介して伸縮ストラップ8と連結されている。
【0028】
図1に示すように、装置本体2および生体信号検出部3は、固定バンド4によってユーザーUの胸郭に装着される。具体的には、ストラップ着脱具12とストラップ係合具19との係合を解除した状態(
図2参照)で、固定バンド4をユーザーUの胸部に巻き付ける。この際、Z方向から見たとき、ユーザーUの胸郭であって正中線Oと重なるように、装置本体2を配置する。この後、ストラップ着脱具12のフック部12aとストラップ係合具19とを係合する。以上により、装置本体2は、Z方向から見たとき、正中線Oと重なるようにユーザーUの体幹に装着されるとともに、ユーザーUの正中線Oの+X側に、3軸加速度センサ32が配置される。
なお、生体情報検出装置1は、装置本体2がユーザーUの体幹のうち上半身(腰部よりも+Y側)に装着されるのが望ましく、胸郭に装着されるのが特に好ましい。ユーザーUの胸郭に生体情報検出装置1の装置本体2を装着することで、体幹のうち背部に装着する場合よりも容易に装着できる。
【0029】
(泳法の違いによる作用)
続いて、ユーザーUが平泳ぎおよびクロールにより水泳したときの泳法の違いによる作用について説明をする。
図6は、ユーザーUが平泳ぎで泳いでいるときの説明図であり、
図7は、ユーザーUがクロールで泳いでいるときの説明図である。なお、
図6および
図7において、ユーザーUは、+Z側の腹部を鉛直下方に向け、−Z側の背部を鉛直上方に向けた状態で、プールP内の水を+Y側(
図6および
図7における紙面表側)に向かって進行している状態を図視している。
また、
図8は、ユーザーUが泳いでいるときに検出されたX軸の加速度データのグラフであり、
図8(a)はユーザーUが平泳ぎで泳いでいるときのX軸の加速度データのグラフであり、
図8(b)はユーザーUがクロールで泳いでいるときのX軸の加速度データのグラフである。
【0030】
図6に示すように、平泳ぎの場合、ユーザーUは、身体の正中線Oに対して左右の手足を対称的に動かして水をかき泳ぐ。このため、ユーザーUは、正中線Oを中心軸とした体幹の回動体動がほぼ発生することなく、+Y側に向かって進行する。したがって、
図8(a)に示すように、平泳ぎで泳いでいるときに3軸加速度センサ32(
図6参照)により検出されるX方向の加速度の変動は比較的小さい。
これに対して、
図7に示すように、クロールの場合、ユーザーUは、両手を回転させて交互に水をかくとともに、両足を交互に上下に動かして水をかき泳ぐ。このため、ユーザーUは、正中線Oを中心軸とした体幹の回動体動をしながら、+Y側に向かって進行する。これにより、3軸加速度センサ32は、正中線Oを中心軸とした体幹の回動体動に連動して、正中線Oを中心軸として正中線O周りを回動する。したがって、
図8(b)に示すように、クロールで泳いでいるときに3軸加速度センサ32(
図7参照)により検出されるX方向の加速度の変動は、
図8(a)に示す平泳ぎで泳いでいるときのX方向の加速度の変動よりも大きくなる。
【0031】
(効果)
本実施形態によれば、3軸加速度センサ32は、ユーザーUの正中線OよりもユーザーUの+X側に配置されているので、ユーザーUの体幹が正中線Oを中心軸として回動体動したときに、正中線Oを中心軸として3軸加速度センサ32も回動できる。したがって、3軸加速度センサ32は、正中線Oを中心軸としたユーザーUの体幹の回動体動を精度よく検出できる。これにより、生体情報検出装置1は、正中線Oを中心軸とした回動体動が発生しにくい平泳ぎ(
図6参照)と、正中線Oを中心軸とした回動体動が発生しやすいクロール(
図7参照)との泳法の違いを精度よく検出できるので、ユーザーUの運動状況の観察を正しく行うことができる。
【0032】
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0033】
実施形態では、生体情報検出装置1の装置本体2は、ユーザーUの体幹のうち胸郭に装着されていたが、装置本体2の装着部位は、実施形態に限定されることはない。例えば、ユーザーUの腹部に装置本体2を装着してもよいし、ユーザーUの背部に装置本体2を装着してもよい。ただし、装置本体2を胸郭に装着することで、装置本体2を腹部に装着した場合と比較してズレが発生しにくい点、および装置本体2を背部に装着した場合と比較して装着が容易である点で、実施形態に優位性がある。
【0034】
実施形態では、3軸加速度センサ32は、Z方向から見て、ユーザーUの正中線Oの+X側に配置されていた。これに対して、3軸加速度センサを2個設け、Z方向から見て、ユーザーUの正中線Oを挟んで+X側および−X側に配置されていてもよい。これにより、ユーザーUの体幹が回動体動したときに、2個の3軸加速度センサから異なる出力信号を得ることができる。ここで、2個の加速度センサ間の距離をdとしたとき、一方の加速度センサのX軸出力A1xと、他方の加速度センサのX軸出力A2xの差分は以下の式で表される。
A1x−A2x=d(ωy
2+ωz
2)・・・(1)
ここで、ωyおよびωzは、それぞれY軸まわりの回転角速度、Z軸まわりの回転角速度を示している。このX軸加速度の差分は、ユーザーUの回動体動による体幹の前傾・後傾によって生じるX軸まわりの回転、すなわちピッチ動作を含まない成分の遠心加速度を意味する。泳動作中のωyとωzとを比較すれば、クロール泳、背泳ぎにおいては、著しく、ωyが大きく、これはユーザーのローリングによるため、加速度センサを用いて、ユーザーの回動体動を容易に把握できる。この方法をもってすれば、回動体動による体幹のY方向まわりの傾きによる重力加速度成分によらずして、回動体動を捉えることができるため、より高い精度でローリング動作を判定できる。したがって、2個の3軸加速度センサの出力から、体幹の回動体動を容易に把握できるので、生体情報検出装置1は、わずかな体幹の回動体動であっても精度よく検出できる。ただし、生体情報検出装置1を低コストに形成できる点で、実施形態に優位性がある。
【0035】
実施形態では、装置本体2に設けられた生体信号検出部3は、心電信号を検出してユーザーUの心拍数を計測していた。これに対して、生体信号検出部3により計測される生体信号は、ユーザーUの心拍数に限定されることはなく、例えばユーザーUの血圧や体温、筋電位等であってもよい。
【0036】
実施形態では、XYZ各方向の加速度を測定可能な1個の3軸加速度センサ32によって、ユーザーUの体動を検出していた。これに対して、例えば、感度軸が相互に直交するXYZの各方向に沿って配設された3個の1軸加速度センサによって、XYZ各方向の加速度を測定し、ユーザーUの体動を検出してもよい。ただし、生体情報検出装置1を小型かつ低コストに形成できる点で、実施形態に優位性がある。
【0037】
実施形態では、種々の運動のうち水泳を一例として説明をし、特に平泳ぎとクロールとの泳法の違いの検出を行ったが、本発明の適用は水泳に限定されることはない。正中線Oを中心軸とした体幹の回動体動が発生する運動であれば、水泳に限定されることはなく、種々の運動に本実施形態の生体情報検出装置1を適用できる。