(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6024980
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】ロードポートユニット及びEFEMシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-40496(P2013-40496)
(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公開番号】特開2014-112631(P2014-112631A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-240327(P2012-240327)
(32)【優先日】2012年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 宏
【審査官】
鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−284428(JP,A)
【文献】
特許第4343253(JP,B2)
【文献】
特開平05−109863(JP,A)
【文献】
特許第4476457(JP,B2)
【文献】
米国特許第06106213(US,A)
【文献】
特許第4226469(JP,B2)
【文献】
特開平07−086370(JP,A)
【文献】
特開2002−076093(JP,A)
【文献】
特開2006−261502(JP,A)
【文献】
特開2004−200669(JP,A)
【文献】
特開2009−065113(JP,A)
【文献】
特開2002−043391(JP,A)
【文献】
特開2002−151563(JP,A)
【文献】
特開2012−204645(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/133441(WO,A1)
【文献】
特開平08−279546(JP,A)
【文献】
特許第4921741(JP,B2)
【文献】
特許第4553574(JP,B2)
【文献】
特開平11−63604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を収容したポッドより蓋を取外し、前記収容物の前記ポッドから受渡しゾーンへ取出しを可能とするロードポートユニットであって、
前記受渡しゾーンを外部空間と隔置する壁を構成するベースと、
前記ベースに設けられる開口部と、
前記開口部の開閉、及び前記ポッドに対する蓋の固定及び固定の解除を行って前記ポッドからの前記蓋の取外し及び取付け、可能なドアと、
前記ドアと前記ベースにおける前記受渡しゾーンでの密着及び前記受渡しゾーンの前記外部空間に対する密閉を担保する第一のシール部材と、
前記ポッドと前記ベースにおける前記外部空間での密着を担保する第二のシール部材と、を有し、
前記第二のシール部材におけるシール領域により形成される仮想面に対して前記ドアの前記外部空間側の面が前記外部空間側に突出し、
前記第二のシール部材は、前記蓋と前記ドアとが当接後に前記受渡しゾーンに向けて移動することにより、前記ポッドと前記ベースにおける前記外部空間に対する密着をなすことを特徴とするロードポートユニット。
【請求項2】
前記ドアが前記蓋と当接して前記蓋を保持した後の前記ドアの動作に同期して前記ポッドを前記開口部に向けて駆動させる同期制御手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載のロードポートユニット。
【請求項3】
収容物に対して処理を行う処理室に対して処理室側インターフェースを介して接続されるEFEMシステムであって、
前記処理室側インターフェースと、
前記収容物を収容したポッドより蓋を取外し、前記収容物の前記ポッドから受渡しゾーンへ取出しを可能とするロードポートユニットであって、
前記受渡しゾーンを外部空間と隔置する壁を構成するベースと、
前記ベースに設けられる開口部と、
前記開口部の開閉、及び前記ポッドに対する蓋の固定及び固定の解除を行って前記ポッドからの前記蓋の取外し及び取付け、可能なドアと、
前記ドアと前記ベースにおける前記受渡しゾーンでの密着及び前記受渡しゾーンの前記外部空間に対する密閉を担保する第一のシール部材と、
前記ポッドと前記ベースにおける前記外部空間での密着を担保する第二のシール部材と、を有し、
前記第二のシール部材におけるシール領域により形成される仮想面に対して前記ドアの前記外部空間側の面が前記外部空間側に突出するロードポートユニットと、
前記受渡しゾーンに対してファンフィルタユニットを介して循環させて不活性ガスを供給するEFEMユニットと、を有することを特徴とするEFEMシステム。
【請求項4】
前記ロードポートユニットにおいて、前記ドアが前記蓋と当接して前記蓋を保持した後の前記ドアの動作に同期して前記ポッドを前記開口部に向けて駆動させる同期制御手段を更に有することを特徴とする請求項3に記載のEFEMシステム。
【請求項5】
前記受渡しゾーンに供給する不活性ガスの供給量が過剰な場合に、過剰な不活性ガスを排出可能なリリース弁を更に有することを特徴とする請求項3又は4に記載のEFEMシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持されたウエハを半導体処理装置に移載する、或いはウエハを該半導体処理装置より該ポッドに移載する際に用いられる所謂EFEM(Equipment front end module、以下EFEMと称する。)システム、及び該システムにおいてポッドの蓋の開閉等を実際に行うロードポートユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、近年では各種処理装置の内部、ウエハを収容して各処理装置間でのウエハ搬送を可能とするポッド、及び該ポッドより各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間、の3空間のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。このようなポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。また、該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。
【0003】
この微小空間には、フィルタを用いてその外部周辺に存在する空気を清浄化し、これを導入することとしている。前述したポッドの蓋の開閉装置、微小空間及び該微小空間に配置されるウエハの搬送機構等はEFEMシステムとして総称される。このフィルタを介したクリーンエアの使用によって、EFEMシステムにおいては該微小空間のクリーン度を所定のレベルとしている。しかし、近年の半導体の小型化高性能化に伴って半導体において用いられる配線パターンがより微細化し、パターンの酸化の影響をより厳密に排除することが求められている。このため、例えば特許文献1又は2に示されるように、該微小空間を密閉空間とし、且つ当該空間を所定のレベル以上の純度を維持した窒素雰囲気下とする様式の採用が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−340874号公報
【特許文献2】特許第4251580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、微小空間を密閉化し且つ適切な量の窒素の導入或いは循環を行うことによって特許文献1に例示されるように、微小空間内の残留酸素濃度やクリーン度の所定レベルでの維持は容易に達成される。しかし、ポッドに関してはクリーン度に劣る外部空間を搬送されてロードポートユニットに載置されることから、当該ポッドの蓋開閉に伴う微小空間への塵等の侵入或いは酸素濃度の上昇が懸念される。特許文献1に例示されるように、このような懸念への取り組みは現状為されていない。特許文献2に開示される構成では該微小空間とは異なる空間を形成し、且つ該空間を介してポッドの蓋の開閉を行うことから微小空間への塵の持込等は生じない。しかし、装置構成が複雑となり、コスト、設置面積、更には窒素の使用量等において改善されるべき点が存在している。
【0006】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであり、ポッドの蓋を開閉する際に微小空間に侵入する塵等を低減し、よりクリーン度の高いインターフェースであるロードポートユニット及び該ロードポートユニットを有するEFFMシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るロードポートユニットは、収容物を収容したポッドより蓋を取外し、前記収容物の前記ポッドから受渡しゾーンへ取出しを可能とするロードポートユニットであって、前記受渡しゾーンを外部空間と隔置する壁を構成するベースと、前記ベースに設けられる開口部と、前記開口部の開閉、及び前記ポッドに対する蓋の固定及び固定の解除を行って前記ポッドからの前記蓋の取外し及び取付け、可能なドアと、前記ドアと前記ベースにおける前記受渡しゾーンでの密着及び前記受渡しゾーンの外部空間に対する密閉を担保する第一のシール部材と、前記ポッドと前記ベースにおける前記外部空間での密着を担保する第二のシール部材と、を有し、前記第二のシール部材におけるシール領域により形成される仮想面に対して前記ドアの前記外部空間側の面が前記外部空間側に突出
し、前記第二のシール部材は、前記蓋と前記ドアとが当接後に前記受渡しゾーンに向けて移動することにより、前記ポッドと前記ベースにおける前記外部空間に対する密着をなすことを特徴とする。
【0008】
上述したロードポートユニットにおいて、前記ドアが前記蓋と当接して前記蓋を保持した後の前記ドアの動作に同期して前記ポッドを前記開口部に向けて駆動させる同期制御手段を更に有することが好ましい。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るEFEMシステムは、収容物に対して処理を行う処理室に対して処理室側インターフェースを介して接続されるEFEMシステムであって、前記処理室側インターフェースと、先に記載してロードポートユニットと、前記受渡しゾーンに対してファンフィルタユニットを介して循環させて不活性ガスを供給するEFEMユニットと、を有することを特徴とする。また、該EFEMシステムにおいて、前記受渡しゾーンに供給する不活性ガスの供給量が過剰な場合に、過剰な不活性ガスを排出可能なリリース弁を更に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポッドの蓋開放時において微小空間に持ち込まれる塵等を抑制することが可能となり、よりクリーン度の高い環境下においてポッド-半導体処理装置間でのウエハの搬送を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るEFEMシステムの外観を示す図であって、各々(a)はシステム正面図、(b)はシステム左側面図、(c)はシステム右側面図、(d)はシステム上面図となる。
【
図2】
図1に示す切断面A−Aに沿ってEFEM部を切断した際の断面の構成を模式的に示す図である。
【
図3】
図1に示す実施形態について、ロードポート部におけるポートドア、ベース部材、及びポッドの関係を模式的に示す図である。
【
図4】
図3に示す構成において、ポートドアがポッドの蓋を取り外す工程を(a)から(d)に順次示す図である。
【
図5】本発明との比較であって、従来構成での蓋取り外し工程を
図4と同様の様式にて示す図である。
【
図6】本発明におけるEFEMシステムにおける主要な回路構成を示すブロック図である。
【
図7】ガス供給に際しての切換工程の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、以下に図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るEFEMシステム100の外観を示すものであって、
図1(a)は該EFEMシステムを正面から見た状態を、(b)は左側面から見た状態を、(c)は右側面図から見た状態を、(d)上面からこれを見た状態を各々示している。また、
図2は、
図1(d)に示される断面A−Aにおいて見られるEFEM部の内部構造を模式的に示す図である。
【0013】
本形態におけるEFEMシステム100は、主たる構成としてEFEM部1、ロードポート部3及び制御部5を有する。制御部5は、EFEM部1及びロードポート部3に付いて後述する各駆動要素等の動作を制御する。
図6は当該EFEMシステム100の主要な回路構成を示すブロック図である。ロードポート部3は、後述するようにLPUドア312とLPU載置台316とを動作する構成として有する。LPUドア312の開閉及び当該LPUドア312によるポッドの蓋402の保持開放の動作はドア駆動機構322により行われ。ポッド402が載置され且つその状態で該ポッド402のLPU開口部315に対する接近及び離間を行う載置台316の動作は載置台駆動機構326により行われる。制御部5はこれら駆動機構の動作を制御するCPU511を有すると共に、後述するこれら動作の同期を為すための同期制御手段511も有する。CPU511は、同時にEFEM部1における後述する窒素供給等に関する制御も実行する。
【0014】
EFEM部1は、窒素循環路と該循環路に含まれる略密閉された空間である受渡しゾーン11とを有し、窒素供給部23よりこれら空間に対して窒素が供給される。窒素はマスフローコントローラ等の流量制御器519(
図6参照)により供給量が制御され、該EFEM部1の内部空間における酸素濃度を1%以下で維持する。具体的には、EFEM部1の稼動初期には例えば300L/min前後の供給量にて窒素濃度を急激に増加させ、所定のレベルの窒素濃度となった後は例えば50L/min前後の供給量にて環境の維持が為される。また、過剰供給された窒素はリリース弁25によって排出される。即ち、本発明において、窒素等に例示されるガス供給を為すガス供給手段(本実施形態では窒素供給部23)は、酸素濃度を低下させるための大流量と低酸素濃度状態を維持するための小流量との、少なくとも2種類の流量で逃す供給が可能となっている。なお、この流量は、EFEM部1の内部空間の酸素濃度を効果的に抑制するために、後述する酸素濃度の測定結果に応じてより細かくガス供給を行なえるように、より細分化する或いは可変とすることも可能である。この窒素供給部23は後述する流量制御器519(
図6参照)を含めて、本発明における所定のガスを該循環路に供給し且つその流量を変化可能なガス供給系を構成する。
【0015】
EFEM部1に供給された窒素は窒素循環路に配置されるFFU(ファンフィルタユニット、以下FFUと称する。)13によって吸引されて、該窒素循環路を構成する第一の通路15及び第二の通路17を経て当該FFU13に至る。該FFU13によって塵等が排除された状態の窒素は、該FFU13によりダウンフローの様式にて受渡しゾーン11に向けて送り出され、更にイオナイザ27を経ることによって静電除去されて受渡しゾーン11の清浄度の維持に用いられる。なお、本実施形態では窒素を用いることとしているが、酸素濃度を低下させ且つ配線等の金属に影響を及ぼさない所謂不活性ガスであれば種々のものが使用可能である。また、本実施形態ではイオナイザ27を用いる態様を例示しているが、要求されるクリーン度等に応じてこれを無くすることも可能である。
【0016】
前述した窒素供給部23は、窒素循環路において流路断面積が最も小さくなる第一の通路15に接続され、当該第一の通路15に対して窒素の供給を行なう。当該第一の通路15は断面積が小さいことから気体の流速は他の通路等と比較して流速が大きくなり、窒素の逆流が生じる可能性が小さく、且つ通路内での窒素の好適な拡散も期待される。また、受け渡しゾーン11には酸素濃度測定ポート29及び圧力測定ポート31が接続されている。より詳細には、これらポート29、31は当該受け渡しゾーン11において搬送される不図示のウエハの搬送高さと一致する位置、或いは後述するポッドを開放した際に該ポッド内の下側に配置されるウエハに対応する位置に開口しており、当該位置の酸素濃度及び圧力を測定している。酸素濃度測定ポート29及び圧力測定ポート31は、各々酸素濃度計515及び圧力計517に接続されている。これにより、ウエハが置かれる環境を直接測定することが可能となる。
【0017】
制御部511には、判定手段521及び切換手段523が配置される。EFEM部11内の酸素濃度を測定する酸素濃度計515及び圧力計517の計測結果は、制御部5内に包含される判定手段521に送られ、予め設定されている複数の閾値と比較される。反転手段521での比較結果は後段の切換手段523に送られ、該切換手段523は前述した閾値に応じて流量制御器519において設定されている流量にて窒素が流されるようにその設定を切り換える。このような切換工程の一例についてのフローを
図7に示す。まずEFEM部1の立ち上げ時に、大気における酸素濃度レベル(21%)にあるEFEM1の内部に対して大流量の窒素を供給する。この状態を維持しながら所定の時間間隔にて酸素濃度の測定を繰り返し、酸素濃度が第二の閾値である80ppm以下であることが判定手段521により確認されると、切換手段により流量制御器519から供給される窒素量が小流量に切り換えられる。再度この状態にて酸素濃度の測定が繰り返される。なお、繰り返し時間は先の時間間隔に対して変更されても良い。当該時間間隔の変更も、酸素濃度に応じ切換手段により為されることが好ましい。
【0018】
時間の経過と共に、ポッド等の開閉操作に伴う大気の流入とうにより酸素濃度は上昇するが、その値が第一の閾値としての100ppmを超えたことが判定手段521により検知されると、再度大流量での窒素供給に切り換えられる。ここで第一の閾値は第二の閾値より大きく設定されている。これにより酸素濃度は低下するが、前述した閾値50ppmを下回るとまた窒素供給が小流量で行われるように切換の操作が為される。このような構成を配置することにより、窒素の供給量を抑制しつつEFEM1の内部の酸素濃度を好適に維持することが可能となる。なお、ここで示した窒素流量、及び閾値は例示であり、実際の半導体製造工程で要求される酸素濃度、及びEFEM部1の内容積等に応じて適宜改変されることが好ましい。なお、圧力計517により測定される圧力に関しても、酸素濃度と同様に閾値が設定されており、当該閾値に応じてリリース弁25の開閉が実行される。
【0019】
受渡しゾーン11と外部空間との間に、インターフェースとしてロードポート部3が配される。本実施形態では、ロードポートユニット3には3台のLPU(ロードポートユニット以下LPUと称する。)301が配され、該LPU301各々によりポッド(
図3等のポッド401参照)の蓋402の開放によるポッド401の内部空間と受渡しゾーン11との連通が為される。LPU301各々は、前述した第一の開口部としてのLPUベース開口部315(上述した開口部)が配されて受渡しゾーン11の一壁面として機能するLPUベース311、LPUベース開口部315を開閉するLPUドア312、及びポッド401が載置可能であって該ポッド401のLPUベース開口315への接近及び離間と行うLPU載置台316を有する。即ち、LPUベース311は外部空間と受渡しゾーン11とを隔置する壁を構成する。LPUドア312は、前述したLPUベース開口部315の開閉と共に、ポッド401に対する蓋402の固定及び固定の解除を行って該ポッド401からの蓋402の取外し及び取付けを行う。
【0020】
収容物たるウエハ等を収容したポッド401の蓋402の開閉、即ち蓋402の取外しはLPUドア312により行われる。即ち、LPUドア312はポッド401の蓋402を保持可能であり、これを保持した状態でLPUベース開口部315を開放することにより、ポッド401の内部と受渡しゾーン11とを連通させる。これにより、ポッド401から受渡しゾーン11への収容物の取出しが可能となる。受渡しゾーン11の内部には、LPUドア312を駆動してLPUベース開口部315の開閉を行う不図示のドア駆動機構、及びポッド401の内部に対し、不図示のウエハの挿脱を行う搬送用ロボット21が配されている。該搬送用ロボット21は受渡しゾーン11におけるFFU13の直下にてウエハの搬送を行い、更に不図示のウエハを処理室側インターフェース19より、不図示の処理室に対するウエハの挿脱を行う。なお、本実施形態においては搬送用ロボット21には所謂スカラー型と一軸型とを併用しているが、本発明はこれに限定されず種々のロボットの使用が可能である。
【0021】
本実施形態において、EFEM部1内の窒素雰囲気のレベルの低下を防ぐために、LPUベース開口部315の外周であってLPUドア312とLPUベース311との間には第一のシール部材としての第一のOリング314aが配される。当該第一のOリング314aにより、EFEM部内部の受渡しゾーン11は外部空間に対して密閉される。また、LPUベース開口部315の外周であって、LPUベース311の外部空間側の壁には、ポッド401のポッドシール面401aと対応する第二のOリング314bが配される。
【0022】
第二のOリング314bは、本発明における第二のシール部材に対応する。該シール面が第二のOリング314bに当接してLPUベース312とともにこれを挟持することにより、蓋402を開放した場合に該ポッド401の内部を外部空間より空間的に隔絶する。即ち、ポッド401が蓋開閉位置にいない場合には第一のOリング314aによってEFEM部1は外部空間と分離され、ポッド401が蓋開閉位置にいる場合には第二のOリング314bによってEFEM部1及びポッド401内が外部空間と分離される。換言すれば、第一のシール部材314aは、LPUドア312とLPUベース311における受渡しゾーン11での密着を担保し、第二のシール部材314bはポッド401とLPUベース311における外部空間での密着を担保する。なお、本実施形態ではシール部材として所謂Oリングを用いているが、同様のシール機能を呈する部材であればこれに限定されない。
【0023】
次に、LPUドア312について述べる。本発明においては、
図3に示されるように、LPUドア312の蓋401へ当接する面であるLPUドア当接面312aが、第二のシール部材314bにおけるポッド401のポッドシール面401aと当接する部分により構成される仮想面よりもポッド401側に突き出している。或いは、第二のシール部材314bにおけるシール領域により形成される仮想面に対して、LPUドア312の外部空間側の面となる当接面312aが、外部空間側に突出する。
【0024】
当該構成からなるLPU301に対して、実際にポッド401を載置、固定し蓋402を取り外す工程を説明する。
図4(a)〜(d)はこの一連の工程を模式的に示している。通常、ポッド401は所謂クリーンルーム内を搬送されてLPU載置台316上に載置される。しかし、ポッド401が搬送されるクリーンルーム内のクリーン度は、受渡しゾーン11と比較すると劣るため、例えば
図4(a)に示すように、塵等411の態様で、汚染物が外表面に付着或いはその近傍に浮遊している。
【0025】
この塵等411が付着した状態で従来のロードポート部を用いて蓋402を開放する場合について
図5を用いて説明する。
図5(a)〜(d)は、
図4と同様の態様で蓋の取り外し工程を順次示している。従来では前述した第二のシール部材314bにより構成される仮想面はポッド401に対してLPUドア312よりも突き出すように構成されている。
図5(a)の状態から蓋402の表面402aをLPUドア312の外表面に接近させると、
図5(b)に示すようにLPUドア312の表面312a、蓋表面402a及び第二のシール部材314bによって閉鎖された空間に蓋402表面に付着した或いは表面近傍に浮遊した塵等411が捕集される。
【0026】
ポッド401が更にLPUドア312に接近して蓋表面402aがLPUドア表面312aに当接すると、これら捕集された塵等はLPUドア312の外周面と第一及び第二のシール部材314a、314bによって閉鎖される微小隙間に移動し、
図5(c)にしめすように当該隙間に更に集まってしまう。この状態からLPUドア312が蓋402をポッド401から外して受渡しゾーン11内に後退させると、
図5(d)に示すように微小隙間に集められた塵等411は、受渡しゾーン11に引き込まれ、当該受渡しゾーン11内を汚染する可能性が出てきてしまう。
【0027】
これに対して、本発明においては第二のシール部材314bにより構成される前述した仮想面よりも、LPUドア312の蓋402との当接面312aがポッド401側に突き出すように配置されている。従って、ポッド401をLPUドア312に接近させると、まず蓋402がLPUドア312接近し、その間隔を狭めていったうえで互いに当接する。その際、
図4(a)において蓋402の表面近傍等に漂っていた塵等411は、間隔の狭まりに応じて蓋402の外周から外部空間に押し出され、
図4(b)に示すように蓋表面402a-LPUドア当接面312a間の塵等411が排除された状態でこれらが当接する。
【0028】
図4(b)に示す当接状態において、LPUドア312が有する不図示のラッチ開閉機構(ドア駆動機構322により駆動される)により、蓋402をポッド401に固定する不図示のラッチ機構の解除が為され、同時にLPUドア312による蓋402の保持が為される。続いて、ドア駆動機構322によるLPUドア312の受渡しゾーン11への後退(以降単に後退と称する。)と、同期制御手段513を介した載置台駆動機構326による該後退動作に同期したポッド401の前進の操作が行われる。
【0029】
LPUドア312の後退は、
図4(d)に示すように、LPUドア312に保持された蓋402が受渡しゾーン11内に収容されるまで行われる。またLPU載置台316のLPUドア312の後退に同期したポッド401の前進動作は、ポッド401のポッドシール面401aが第二のシール部材314bと当接するまで行われる。即ち、同期制御手段513は、ドア駆動機構322及び載置台駆動機構326を介して、LPUドア314が蓋402と当接して蓋402を保持した後のLPUドア312の動作に同期して、ポッド401をLPUベース開口部315に向けて駆動させる。
【0030】
以上の構成により受渡しゾーン11に引き込まれる塵等411は常時開放状態にある蓋402の外周面上の僅かの領域及びその周辺に存在するものだけとなり、従来構成に比して大幅に低減される。なお、本実施形態では同期制御手段513が制御部に配置されてプログラム的に同期制御を行うこととしたが、本発明はこれに限定されない。例えばLPU301に配置されてLPUドア312の後退動作に準じたタイマー的な構成から成るものとしても良く、メカニカルな構造から成るものとしても良い。また、第一のシール部材314aはLPUドア312に配することとしているが、これをLPUベース311に配することとしても良い。第二のシール部材314bは、搬送時の汚染がシール部材に関与することを防止する観点から本形態が好ましいが、これをポッド401に配することも可能である。また、この同期制御手段513は、前述した判定手段521及び切換手段523と同期させることとしても良い。即ち、酸素濃度が予め設定された閾値以下であることが検知された場合のみ、この同期制御手段が機能することとすることが好ましい。これにより、EFEM部1の内部の環境が好適な作業環境となった場合のみウエハの搬送等が実行されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上述べたように、本発明は半導体処理装置に対して好適に用いるロードポートユニット、及びこれを有するEFEMシステムに関している。しかしながら、本発明の利用可能性は当該処理装置に限定されず、例えば液晶ディスプレイのパネルを扱う処理装置等、半導体に準じた各種処理が行われる種々の処理装置に用いられる所謂ロードポートユニット及びこれを有するEFEMシステムに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1:EFEM部、 3:ロードポート部、 5:制御部、 11:受渡しゾーン、 13:ファンフィルタユニット(FFU)、 15:第一通路、 17:第二通路、 19:処理室側インターフェース、 21:搬送用ロボット、 23:窒素供給部、 25:リリース弁、 27:イオナイザ、 29:酸素濃度測定ポート、 31:圧力測定ポート、 100:EFEMシステム、 301:ロードポート部(LPU)、 311:LPUベース、 312:LPUドア、 312a:LPUドア当接面、 314a:第一のシール部材、 314b:第二のシール部材、 315:LPUベース開口部、 316:LPU載置台、 322:ドア駆動機構、 326:載置台駆動機構、 401:ポッド、 401a:ポッドシール面、 402:蓋、 402a:蓋当接面、 411:塵等、 511:CPU、 513:同期制御手段、 515:酸素濃度計、 517:圧力計、 519:流量制御器、 521:判定手段、 523:切換手段