特許第6025029号(P6025029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025029
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】携帯式津波救命具
(51)【国際特許分類】
   B63C 9/13 20060101AFI20161107BHJP
   B63C 11/22 20060101ALI20161107BHJP
   B63C 9/20 20060101ALI20161107BHJP
   A41D 13/012 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B63C9/13 200
   B63C11/22
   B63C9/20 F
   B63C9/20 G
   A41D13/012 105
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-182729(P2012-182729)
(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公開番号】特開2014-31154(P2014-31154A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】504196492
【氏名又は名称】株式会社 ▲高▼▲橋▼監理
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲橋▼ 龍夫
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03246350(US,A)
【文献】 実開昭58−135423(JP,U)
【文献】 実開昭60−130196(JP,U)
【文献】 特開平04−218174(JP,A)
【文献】 特開2006−015958(JP,A)
【文献】 米国特許第03695262(US,A)
【文献】 特開2005−247034(JP,A)
【文献】 実開昭62−142371(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 9/08、9/13、9/20
B63C 11/22
A41D 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
津波や水害の際に頭部に被って避難するための水難用救命具において、透明の樹脂素材で形成され人間の頭部が入るお椀形の頭部カバーと、前記頭部カバーの下部に溶着され内側にエアーバックが一体で形成された首回りエアーバックカバーと、前記首回りエアーバックカバーに取り付けられる肩紐と、を備え、緊急時には人間が頭部に被ってエアーバックに息を吹込みエアーバックを膨らます事により、首回りにエアーバックが密着すると共に、酸素吸入口が取り付けられた酸素の充填量が10リットルの小型の酸素ボンベと、人間が外気を呼吸するための呼吸装置と、前記酸素吸入口と前記呼吸装置とを同時に口に銜える事が出来るように固定する口当て止水カバーと、をさらに備え、前記呼吸装置は、給排気口に内蔵される笛と、先端部に取り付けられるLED点滅灯とを有し、前記呼吸装置の給排気筒を縮めた際、前記給排気筒の先端部に取り付けられるLED点滅灯の外部カバーが前記給排気筒と密接し、前記呼吸装置の内部へ水の浸入を防ぐと共に、前記給排気筒は前記口当て止水カバーに回動自在に取り付けられ、さらに前記酸素吸入口をエアーバックの息吹込口に接続する事により、前記小型の酸素ボンベを利用してエアーバックを膨らませることも可能とした事を特徴とする携帯式津波救命具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波や水害時に、頭部を含む身体全体が水にのみ込まれて息が出来無くなる様な危機的状態に陥っても、頭部に装着し、水上に頭部を浮上させる事により呼吸を可能とし、安全に避難する事が出来る水難用救命具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水害時に、生命を守り安全に避難するための救命具に関しては、救命胴衣や浮輪等の救命用具が数多く提案されており、その中でもライフジャケットは一般に周知されているが、平時に携帯して持ち歩く事を想定せず作られており、そのため外出時に津波や洪水等の水害に遭遇し、頭部が水中に水没して呼吸が出来なくなるといった事態には対応できなかった。
【0003】
さらに、水中で長時間にわたり作業をしたり、スクーバーダイビングで使用するための本格的なエアータンクやレギュレーターは市販されているが、津波や洪水等で身体が水中に水没した場合、水中で一時的に呼吸する事が出来る、小型ボンベを使用した呼吸器具は市販されていなかった。
【0004】
また、津波のような危機的状態で避難する場合、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせるための笛や非常点滅灯が装着された水難用救命具はなかった。
【0005】
このような事から、万一の水害時に備えて、常に携帯する事が可能で、非常時に簡単に装着でき、津波等の災害に対応できる避難具が必要であるが、現実的には、実用化されていないのが現状である。
【0006】
従来から、水害等で避難する際に、例えば特許文献1のように、ガスボンベとエアーバックを装着し、水難時には自動的に救命袋が膨らむ水難用救命具が発明されている。
【特許文献1】特開平9−301272
【0007】
さらに、特許文献2のように、携帯する事ができる携帯用救命浮袋も発明されている。
【特許文献2】特開平9−240584
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したような水難用救命具の場合には、身体を水面に浮かべる事は出来たが、津波や水害で避難する場合には、一時的に身体全体が水中に水没して水を多量に飲み込み気絶して死亡する場合が多く、従来の水難用救命具において、頭部が水中に水没して呼吸困難に陥る事態を想定して作られている製品は無かった。
【0009】
さらに、水難用救命具を使用する際に煩わしい動作を伴うため、身体への装着が正しい手順で行われないと、水難用救命具が機能どおりの能力を発揮出来なくなったり、使用中に救命具が身体から外れたりする事があり、不適切に使用すると人命に関わるといった問題があった。
【0010】
さらに、上記したような水難用救命具の場合でも、エアーバックを膨満ためのガスボンベは水難用救命具に装着されていたが、身体が水中に水没した場合、人間が水中で呼吸するために使用する小型ボンベは水難用救命具に装備されていなかった。
【0011】
また、従来から一般販売されている本格的な水難用救命具は、サイズが大きくて重く、ふだん持ち歩く小型バック等に収納する事が出来ないため、外出先で津波や洪水等に遭遇した場合においては、その場で水難用救命具を装着して避難する事が出来なかった。
【0012】
本発明は、上記の問題の解決を図るもので、小型で持ち運びが簡単で小型バックの中にも収納でき、津波や水害で避難する際に、頭部を水上へ浮上させると共に、頭部が水中に水没した場合でも呼吸する事ができ、水中で呼吸している場合でも笛と非常点滅灯が避難者の位置を確実に知らせる事が出来る水難用救命具を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、津波や水害の際に頭部に被って避難するための水難用救命具において、透明の樹脂素材で形成され人間の頭部が入るお椀形の頭部カバーと、前記頭部カバーの下部に溶着され内側にエアーバックが一体で形成された首回りエアーバックカバーと、前記首回りエアーバックカバーに取り付けられる肩紐と、を備え、緊急時には人間が頭部に被ってエアーバックに息を吹込みエアーバックを膨らます事により、首回りにエアーバックが密着すると共に、酸素吸入口が取り付けられた酸素の充填量が10リットルの小型の酸素ボンベと、人間が外気を呼吸するための呼吸装置と、前記酸素吸入口と前記呼吸装置とを同時に口に銜える事が出来るように固定する口当て止水カバーと、をさらに備え、前記呼吸装置は、給排気口に内蔵される笛と、先端部に取り付けられるLED点滅灯とを有し、前記呼吸装置の給排気筒を縮めた際、前記給排気筒の先端部に取り付けられるLED点滅灯の外部カバーが前記給排気筒と密接し、前記呼吸装置の内部へ水の浸入を防ぐと共に、前記給排気筒は前記口当て止水カバーに回動自在に取り付けられ、さらに前記酸素吸入口をエアーバックの息吹込口に接続する事により、前記小型の酸素ボンベを利用してエアーバックを膨らませることも可能とした事を特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、津波や水害の際に頭部に被って避難するための水難用救命具において、透明の樹脂素材で形成され人間の頭部が入るお椀形の頭部カバーと、前記頭部カバーの下部に溶着され内側にエアーバックが一体で形成された首回りエアーバックカバーと、前記首回りエアーバックカバーに取り付けられる肩紐と、を備え、緊急時には人間が頭部に被ってエアーバックに息を吹込みエアーバックを膨らます事により、首回りにエアーバックが密着すると共に、酸素吸入口が取り付けられた酸素の充填量が10リットルの小型の酸素ボンベと、人間が外気を呼吸するための呼吸装置と、前記酸素吸入口と前記呼吸装置とを同時に口に銜える事が出来るように固定する口当て止水カバーと、をさらに備え、前記呼吸装置は、給排気口に内蔵される笛と、先端部に取り付けられるLED点滅灯とを有し、前記呼吸装置の給排気筒を縮めた際、前記給排気筒の先端部に取り付けられるLED点滅灯の外部カバーが前記給排気筒と密接し、前記呼吸装置の内部へ水の浸入を防ぐと共に、前記給排気筒は前記口当て止水カバーに回動自在に取り付けられ、さらに前記酸素吸入口をエアーバックの息吹込口に接続する事により、前記小型の酸素ボンベを利用してエアーバックを膨らませることも可能とした事により、お椀形で作成した頭部カバーが視界を良好に保つと共に、首回りカバーにエアーバックを一体で溶着したため、エアーバックが救命具の内部で位置がずれる事なく安定し、頭部を含む身体全体が津波や洪水等にのみ込まれて息が出来なくなる様な危機的状態に陥っても、水が鼻や口から大量に体内に入って窒息死するような事態を防ぐ事が可能となった。
【実施例1】
【0031】
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0032】
図1及至図9には、この発明の実施の形態1を示す。
【0033】
図1は、本発明の携帯式津波救命具1を人間8が頭部3に装着した状態を、前方向(図1a)と横方向(図1b)で示す。
【0034】
携帯式津波救命具1の頭部3に被る部分は、頭部カバー2と首回りエアーバックカバー4と肩紐5で構成され、図2aは頭部カバー2を前方向から見た状態を示す。頭部カバー2は、人間8の頭より多少大きな大きさで、お椀を逆さにした形状の透明樹脂で成型され、人間8が頭部カバー2を頭に被った際、頭部カバー2の顔側の下部が、概ね鼻の下から耳の下に位置するように形成されると共に、頭部カバー2の後頭部は、概ね首と高頭部の中間に位置するように構成される。首回りエアーバックカバー4は、図2bで示すように、くち面カバー15と、くち開閉カバー21と、くち面カバー15の上にもう1枚の樹脂フィルムを重ね、エアーバック溶着面16を溶着する事により一体形成されたエアーバック9で構成され、図2aで示す頭部カバー2の下部14に、図2bで示す首回りエアーバックカバー4の、くち面カバー15の上部が溶着され、図2cで示すように頭部カバー2と首回りエアーバックカバー4が隙間なく一体形成される。このように一体形成された携帯式津波救命具1を人間8が頭3に被り、息吹込口12から息を吹込む事によりエアーバック9を膨らませ、エアーバック9の先端を重ねて面ファスナー19を面ファスナー18に貼り付ける事により首回りと頤下部にエアーバック9が食い込むように装着され、さらに、図2dで示すように、くち開閉カバー21の面ファスナー20を面ファスナー17に貼り付ける事により津波や水害で避難する際、携帯式津波救命具1の内部に水が浸入するのを防ぐ。
【0035】
図3は、図2で説明した、頭部カバー2と首回りエアーバックカバー4を溶着した津波救命具1を人間8が頭部3へ被った状態を横方向から示す。図3aは頭部カバー2を横方向から見た状態を示す。図3bは、図2bで説明した首回りエアーバックカバー4を、頭部カバー2の形状に合わせて丸めた状態を横方向から示す。図3cは頭部カバー2の下部と首回りエアーバックカバー4を溶着部11で溶着した状態を示す。図3dは携帯式津波救命具1を人間8が頭部3に被った状態を示す。このように構成された携帯式津波救命具1の首回りエアーバックカバー4の下部に肩紐5が取付けられ、肩紐5を両方の脇で抱え込むようにして携帯式津波救命具1を頭部3に被り、肩紐5の長さを調整して携帯式津波救命具1を両脇に固定する事により、身体が水中に水没するような状態においても携帯式津波救命具1が頭部3から抜け落ちる事なく安全に避難する事ができる。
【0036】
さらに、図1の人間8の胸部には、胸回りをベルト7で固定した胸当てエアーバック6が装着され、胸当てエアーバック6の息吹込口10から息を吹込む事により胸当てエアーバック6を膨らませ、津波や水害で避難する際に、携帯式津波救命具1と共に人間8を水面に浮上させる役目を果たす。
【0037】
図4は、図2bで説明した、くち開閉カバー21が携帯式津波救命具1を構成する上で、どのような役割を果たすのかを説明する。
【0038】
図4aは、携帯式津波救命具1を人間8が頭部3に被り、くち開閉カバー21を閉じず、開放した状態を前方向と横方向から示す。図4aでは、くち開閉カバー21が閉じられていないため、くち部切れ目26から指を入れ、図1で説明した息吹込口12を指で摘んで口元に持っていく事が出来るようになると共に、図5で説明する呼吸装置27の給排気口31と酸素給気口33を、くち部切れ目26から挿入して口に銜えさせる事が出来るようになる。
【0039】
図4bは、図4aで説明した、くち部切れ目26をくち開閉カバー21で塞ぎ、くち開閉カバー21に取付けられた面ファスナー20を首回りエアーバックカバー4に取付けられた面ファスナー17に貼り付けて、くち部切れ目26を塞いだ状態を示す。
【0040】
このように、津波や水害で避難する際、くち部切れ目26を開けて、図5で説明する呼吸装置27を口に銜えて避難する事を可能とすると共に、呼吸装置27を紛失した場合には、くち開閉カバー21を閉じる事により、くち部切れ目26から水の浸入を防ぎ、水中でも数分の時間であればエアーバック9の中の空気を呼吸して避難する事も可能となる。この場合、図1のエアーバック9の息吹込口12には、エアーバック9の空気が抜けないように逆止弁(図示せず)が取付けられているが、逆止弁が取付けられた息吹込口を前歯で少し咬む事により逆止弁が開いて呼吸を容易にする事が出来るように、前歯と唇の間に挿入して息吹込口が口から抜け落ちないように形成した、薄い楕円形の抜け落ち防止が取付けられた自噛式給排気口を使用する事が必要である。
【0041】
図5図8は、津波や水害で避難する場合に、水中で人間が呼吸するために使用する呼吸装置27を示す。図5は、呼吸装置27を正面図(図5a)と側面図(図5b)で示す。呼吸装置27は小型酸素ボンベ35と、小型酸素ボンベ35から人間に酸素を供給するための酸素給気口33と、酸素給気口33を小型酸素ボンベ35に固定するための小型酸素固定バンド36と、避難する際に人間が外気を呼吸するための給排気口31と、給排気口31と酸素給気口33を支える口当て止水カバー34と、給排気口31から伸びる下部給排気筒30と、抜け落ち防止キャップ29と、図8で示す上部給排気筒48と、その上部給排気筒48の上部に固定される笛・LED点滅灯49で構成され、酸素給気口33の先端にはエアーバック9の息吹込口12に接続する事が出来るようにエアーバック接続口32が形成され、給排気口31は口当て止水カバー34に対して回動自在に固定される。このように構成して、小型酸素ボンベ35に取付けられたバルブ開閉ボタン37を指で押す事により、小型酸素ボンベ35の中の酸素を酸素給気口33から供給する事が出来るようになる。なお、当社が本発明で使用する小型酸素ボンベ35は、酸素の充填量が約10リットルで、人間が呼吸(息を吸ったり吐いたりする動作)を続けた場合、人間により一度に呼吸する量が異なるが、バルブ開閉ボタン37を押離操作する事により約12〜15分間呼吸する事が可能である。
【0042】
図8の部品図で示した笛・LED点滅灯49は、上部にLEDキャップ28、その下に電池とLEDとLED制御基盤が収納されたLED点滅灯46、さらに、その下部が笛47で構成され、笛47の下部が上部給排気筒48に挿入されて固定され、笛47の下部の息吹込口45から息を吹込む事により笛47が鳴ると共に、人間が笛47から外気を給気する事も出来るように構成されている。このように構成する事により、人間が津波や水害で避難する際、LED点滅灯46のスイッチを入れる事によりLED点滅灯46を点滅させ、給排気口31で呼吸をする事により笛47が鳴り、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせる事が出来るようになった。
【0043】
図5は、図8で説明した呼吸装置27の上部給排気筒48を下部給排気筒30に収納した状態を示す。図8で説明した笛・LED点滅灯49のLEDキャップ28を抜け落ち防止キャップ29に当接させる事により、笛47より水が下部給排気筒30の内部に侵入するのを防止すると共に、上部給排気筒48を下部給排気筒30に収納した事により呼吸装置27を小型にする事が可能となった。さらに、図5bで示すように、給排気口31の口で銜え込む部分の形状を横長の楕円形状とする事により、口で給排気口31と酸素給気口33の両方を銜えた際、給排気口31と酸素給気口33を迷う事がないように形状を変えている。
【0044】
図8で示す抜け落ち防止キャップ29は、上部給排気筒48と下部給排気筒30を繋ぎ、上部給排気筒48が下部給排気筒30より抜けるのを防止するため、抜け落ち防止キャップ29の内側には螺旋状のネジ(図示せず)が刻まれ、抜け落ち防止キャップ29を回す事により、抜け落ち防止キャップ29の内部に挿入された伸縮自在なリング(図示せず)が上部給排気筒48を締め付け、上部給排気筒48が下部給排気筒30より抜けるのを防止する。
【0045】
図6は、図5で説明した呼吸装置27の下部給排気筒30を180度回転させた状態を示す。このように回転させる事により、下部給排気筒30を小型酸素ボンベ35に沿わせる事が出来るようになり、呼吸装置27の全長を短く小型化する事が可能となる。
【0046】
図7は、図6で説明した呼吸装置27を芯にして、図3で説明した肩紐5と、頭部カバー2と首回りエアーバックカバー4が溶着されて一体となった携帯式津波救命具1を丸めて小型にする過程を示す。図7aは頭部カバー2と首回りエアーバックカバー4が溶着され、肩紐5が取付けられた状態を示し、矢印Aと矢印Bで示した線上で携帯式津波救命具1を折り畳む事により、携帯式津波救命具1は図7bに示すように概ね半分の大きさとなる。さらに、図7bで示すように首回りエアーバックカバー4の上に呼吸装置27を置き、呼吸装置27を芯にして酸素給気口33と給排気口31を小型酸素ボンベ35に巻き付けながら丸める事により、図7cで示すように、外形サイズが直径約6cm長さ約20cmとなり、小型バックの中に収納して持ち歩く事が可能となる。この場合、酸素給気口33と給排気口31と口当て止水カバー34を小型酸素ボンベ35と共に丸めるため、酸素給気口33と給排気口31と口当て止水カバー34は柔らかい樹脂で成型する事が必要である。
【0047】
図9は、呼吸装置24の使用方法を示す。図9aは、人間8が呼吸装置27を手で持った状態を横方向から示す。図9bは、その呼吸装置27を人間8が口に銜えた状態を横方向から示す。図9bで示すように笛・LED点滅灯49を部給排気筒30から引き出し、図8で説明した給排気口31と酸素給気口33を、くち部切れ目26から口に差し込み、口当て止水カバー34で、くち部切れ目26を塞ぎ、人間8が給排気口31を使って呼吸する事により、笛47で息を給排気する事が出来るようになると共に、息を排気する際には、笛47から「ピュー」と言う高音が発せられ、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせる事が出来る。さらに身体が水中に水没しているような状態においては、図9aのように、呼吸装置27の笛・LED点滅灯49を下部給排気筒30の中に縮め、呼吸装置27の給排気口31と酸素給気口33をくち部切れ目26から口に挿入し、小型酸素ボンベ35のバルブ開閉ボタン37を押して小型酸素ボンベ35から酸素を酸素給気口33に供給する事により、水中でも呼吸する事が可能となる。なお、図9においては、呼吸装置27が携帯式津波救命具1に対して、どのような位置関係で使用されるのかを明確に示すため、図1で説明した息吹込口12、胸当てエアーバック6を省略して表示している。さらに、呼吸装置27の各部の名称についても省略して表示している。
【実施例2】
【0048】
以下、この発明の実施の形態2について説明する。
[発明の実施の形態2]
【0049】
図10は、この発明の実施の形態2を示す。上記発明の実施の形態1では、図8において、下部給排気筒30に対して上部給排気筒48を伸縮自在に挿入し、上部給排気筒48を下部給排気筒30に収納出来るように構成し、さらに上部給排気筒48の上部に笛・LED点滅灯49を挿入して固定していたのに対して、この発明の実施の形態2では、下部給排気筒60と上部排気筒58の間に中部給排気筒59を設け、上部排気筒58と中部給排気筒59を下部給排気筒60に収納させるように構成した事により、給排気筒を収納した際、給排気筒の長さを短くする事が可能となり、携帯式津波救命具を小型化する事が可能となった。その他の構造については、この発明の実施の形態1と同様である。
【実施例3】
【0050】
以下、この発明の実施の形態3について説明する。
[発明の実施の形態3]
【0051】
図11は、この発明の実施の形態3を示す。上記発明の実施の形態1では、図8において、下部給排気筒30に対して上部給排気筒48を伸縮自在に挿入し、上部給排気筒48に笛・LED点滅灯49を挿入して固定していたのに対して、この発明の実施の形態3では、下部給排気筒73を短くすると共に、下部給排気筒73と上部給排気筒79との間をジャバラ式給排気筒81で構成した事により、ジャバラ式給排気筒81を収縮した際は、図11bで示すように給排気筒の長さを短くする事が可能となり、携帯式津波救命具を小型化する事が可能となった。その他の構造については、この発明の実施の形態1と同様である。
【実施例4】
【0052】
以下、この発明の実施の形態4について説明する。
[発明の実施の形態4]
【0053】
図12は、この発明の実施の形態4を示す。上記発明の実施の形態1では、人間が外気を呼吸するための呼吸装置27は、図9で説明したように、小型酸素ボンベ35と共に、人間8が手50で持って給排気口31を口に銜えて呼吸をしたが、この発明の実施の形態4では、外気を呼吸するための呼吸装置90は携帯式津波救命具91の頭部カバー102の上部に固定して取付けられ、呼吸装置90は、給排気筒94と、その給排気筒94に収納される笛・LED点滅灯92で構成されると共に、津波や水害で頭部が水中に水没した際には、図12aで示すように、笛・LED点滅灯92を給排気筒94に収納する事により、LEDキャップ104が給排気筒94と当接し、密接部103から携帯式津波救命具91の内部に水が浸入しないようになると共に、小型酸素ボンベ110に取付けられた酸素給入口111を、くち部切れ目109から挿入して口で銜え、小型酸素ボンベ110の酸素を吸って避難する。また、頭部が水上に浮かんだ場合は、図12bで示すように、笛・LED点滅灯92を給排気筒94より引き出し、笛・LED点滅灯92に接続したエアーホース96の先端の給排気口89を口に銜えて息をする事により、笛・LED点滅灯92に取付けられた笛108で息を給排気する事が出来るようになると共に、息を排気する際には、笛47から「ピュー」と言う高音が発せられ、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせる事が出来るようになる。なお、図12bで示すLED点滅灯107は、携帯式津波救命具91を頭部に装着する際、スイッチを入れるようにする。本発明で使用するLED点滅灯107は、約2日間、連続して点滅させる事が可能である。その他の構造については、この発明の実施の形態1と同様である。
【実施例5】
【0054】
以下、この発明の実施の形態5について説明する。
[発明の実施の形態5]
【0055】
図13は、この発明の実施の形態5を示す。上記発明の実施の形態1では、人間が外気を呼吸するための呼吸装置27は、図9で説明したように、小型酸素ボンベ35と共に、人間8が手50で持って給排気口31を口に銜えて呼吸をしたが、この発明の実施の形態5では、携帯式津波救命具113の頭部カバー114の上部にホース取付口120が取付けられ、ホース取付口120の上口部には自在に曲がる事が出来る樹脂性のエアーホース119が取付けられ、そのエアーホース119の先端には呼吸装置115が取付けられる。
【0056】
呼吸装置115は、フロート118と、そのフロート118に取付けられた笛117とLED点滅灯116で構成され、フロート118は津波や水害で避難する際に、人間が水中に水没した場合でも呼吸装置115が水面に浮かんで呼吸する事が出来るように、息吹込口128から息を吹込む事により、フロート118が風船状態になるように柔らかい樹脂等で作られる。さらに、ホース取付口120の下口部にはエアーホース119が取付けられ、エアーホース119の先端が口元の近くに配置される。このように呼吸装置115を構成し、給排気口129を口に銜えて呼吸する事により、呼吸装置115に取付けられた笛117で息を給排気する事が出来るようになると共に、息を排気する際には、笛117から「ピュー」と言う高音が発せられ、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせる事が出来るようになる。なお、図13で示すLED点滅灯116は、携帯式津波救命具113を頭部に装着する際、スイッチを入れるようにする。本発明で使用するLED点滅灯は、約2日間、連続して点滅させる事が可能である。その他の構造については、この発明の実施の形態1と同様である。
【実施例6】
【0057】
以下、この発明の実施の形態6について説明する。
[発明の実施の形態6]
【0058】
図14図15は、この発明の実施の形態6を示す。上記発明の実施の形態1では、図1図2図3で説明したように、携帯式津波救命具1を人間8が頭部3に被り、息吹込口12から息を吹込む事により首回りと頤下にエアーバック9が食い込むように装着され、津波や水害等で避難する際、携帯式津波救命具1の内部に水が浸入するのを防いでいたのに対して、この発明の実施の形態6では、図15dで示すように、エアーバック136は耳と頤をカバーするように構成されている。このように構成する事により、津波や水害で避難する際、水の中の漂流物から頭部を保護する事が出来るようになり、安全に避難する事が可能となる。
【0059】
上記のように携帯式津波救命具141を構成するため、図14a(前から見た状態)、図15a(横から見た状態)で示すように、頭部カバー131を、前顔部(口部)から後頭部にかけて斜めに裁断すると共に、その頭部カバー131の形状に合わせて首回りカバー132を形成する事により耳と頤を安全にカバーする事が出来るようになる。その他の構造については、この発明の実施の形態1と同様である。
【実施例7】
【0060】
以下、この発明の実施の形態7について説明する。
[発明の実施の形態7]
【0061】
図16は、この発明の実施の形態7を示す。上記発明の実施の形態1では、図1図2図3で説明したように、頭部カバー2はお椀を逆さにした形状の透明樹脂で成型されていたのに対して、この発明の実施の形態7では、図16aで示すように、頭部カバー152を四葉のクローバーのように裁断された四枚の柔らかい樹脂で溶着し、図16bで示すような、お椀形の頭部カバー152を形成している。このように形成する事により、安価な樹脂フィルムで頭部カバー152を作成する事が出来ると共に、顔に面する部分以外を赤色等の蛍光色で着色する事により、避難する際、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせる事が可能となる。さらに、頭部カバー152と、くび回りエアーバックカバー160と顔面カバー167を別々に作成して溶着する事により、立体感のある携帯式津波救命具172を作る事が可能となる。その他の構造については、この発明の実施の形態1と同様である。
【0062】
以上の実施の形態に基づいて、本発明に係る携帯式津波救命具について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0063】
図2において、エアーバック9を一体形の1つの袋として示したが、エアーバック9の袋は1つに限定されず、エアーバック9の後頭部を縦に溶着し、エアーバック9を左右2体に分け、それぞれのエアーバックに息吹込口を取付ける事も、もちろん可能である。さらに、エアーバック9の上下中間部で横に溶着し、エアーバック9を上下2体に分け、それぞれのエアーバックに息吹込口を取付ける事も、もちろん可能である。このように構成する事により、一方のエアーバックがトラブルで膨らまない場合でも、安全に避難する事が出来る。
【0064】
図10において、給排気筒は、下部給排気筒60、中部給排気筒59、上部給排気筒58の3本で構成されているが、給排気筒は3本に限定されず、3本以上の本数で構成する事も、もちろん可能である。
【0065】
図16において、頭部カバー152は、四葉のクローバーのような裁断された四枚の柔らかい樹脂を溶着してお椀形の頭部カバー152を構成しているが、四枚に拘らず複数枚の樹脂を溶着して頭部カバーを作ることも、もちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】この発明の実施の形態1に係る、携帯式津波救命具を人間が頭部に被った状態を、人間の正面と横方向から見た状態を示す。
図2】同実施の形態に係る、携帯式津波救命具を正面から見た展開図で示す。
図3】同実施の形態に係る、携帯式津波救命具を側面から見た展開図で示す。
図4】同実施の形態に係る、くち部の開閉カバーを閉じた状態と開いた状態を示す。
図5】同実施の形態に係る、呼吸装置の正面図と側面図を示す。
図6】同実施の形態に係る、図5で示した呼吸装置の給排気筒を折畳んだ状態を示す。
図7】同実施の形態に係る、携帯式津波救命具を携帯可能なサイズに収納した状態を示す。
図8】同実施の形態に係る、呼吸装置の笛・LED点滅灯を伸ばした状態を示す。
図9】同実施の形態に係る、呼吸装置を人間が使用している状態を示す。
図10】この発明の実施の形態2に係る、呼吸装置の笛・LED点滅灯を伸ばした状態と収納した状態を示す。
図11】この発明の実施の形態3に係る、呼吸装置の収縮部をジャバラ式給排気筒で構成した状態を示す。
図12】この発明の実施の形態4に係る、呼吸装置を頭部カバーに取付けた状態を示す。
図13】この発明の実施の形態5に係る、呼吸装置を頭部カバーに取付けたホース取付口からエアーホースで接続した状態を示す。
図14】この発明の実施の形態6に係る、携帯式津波救命具を正面から見た展開図で示す。
図15】同実施の形態に係る、携帯式津波救命具を側面から見た展開図で示す。
図16】この発明の実施の形態7に係る、携帯式津波救命具を正面から見た展開図で示す。
【符号の説明】
【0067】
1 携帯式津波救命具
2 頭部カバー
3 頭部
4 首回りエアーバックカバー
5 肩紐
6 胸当てエアーバック
7 ベルト
8 人間
9 エアーバック
10 息吹込口
11 溶着部
12 息吹込口
14 下部
15 くち面カバー
16 エアーバック溶着面
17 面ファスナー
18 面ファスナー
19 面ファスナー
20 面ファスナー
21 くち開閉カバー
26 くち部切れ目
27 呼吸装置
28 LEDキャップ
29 抜け落ち防止キャップ
30 下部給排気筒
31 給排気口
32 エアーバック接続口
33 酸素給気口
34 口当て止水カバー
35 小型酸素ボンベ
36 小型酸素ボンベ固定バンド
37 バルブ開閉ボタン
38 密接部
41 折畳んだ状態
42 丸めた状態
45 息吹込口
46 LED点滅灯
47 笛
48 上部給排気筒
49 笛・LED点滅灯
50 手
55 笛・LED点滅灯
56 呼吸装置
57 LEDキャップ
58 上部給排気筒
59 中部給排気筒
60 下部給排気筒
61 給排気口
62 酸素給気口
63 口当て止水カバー
64 小型酸素ボンベ
65 バルブ開閉ボタン
66 抜け落ち防止キャップ
67 抜け落ち防止キャップ
68 笛
69 LED点滅灯
70 密接部
73 下部給排気筒
74 笛・LED点滅灯
75 ジャバラ式呼吸装置
76 LEDキャップ
77 LED点滅灯
78 笛
79 上部給排気筒
80 抜け落ち防止キャップ
81 ジャバラ式給排気筒
82 給排気口
83 酸素給気口
84 口当て止水カバー
85 小型酸素ボンベ
86 小型酸素ボンベ固定バンド
87 バルブ開閉ボタン
88 密接部
89 給排気口
90 呼吸装置
91 携帯式津波救命具
92 笛・LED点滅灯
93 抜け落ち防止キャップ
94 給排気筒
95 頭部
96 エアーホース
97 エアーバック
98 人間
99 肩紐
100 首回りエアーバックカバー
101 溶着部
102 頭部カバー
103 密接部
104 LEDキャップ
105 酸素給入装置
106 手
107 LED点滅灯
108 笛
109 くち部切れ目
110 小型酸素ボンベ
111 酸素給入口
113 携帯式津波救命具
114 頭部カバー
115 呼吸装置
116 LED点滅灯
117 笛
118 フロート
119 エアーホース
120 ホース取付口
121 エアーホース
122 頭部
123 溶着部
124 エアーバック
125 肩紐
126 人間
127 酸素給入装置
128 息吹込口
130 エアーバック溶着面
131 頭部カバー
132 首回りエアーバックカバー
133 くち部カバー
134 エアーバック重ね部
135 面ファスナー
136 エアーバック
137 面ファスナー
138 エアーバック重ね部
139 くち部カバー
140 息吹込口
141 携帯式津波救命具
142 人間
143 頭部
144 溶着部
150 カット面
151 カット面
152 頭部カバー
153 カット面
154 カット面
155 カット面
156 カット面
157 カット面
158 カット面
159 溶着部
160 首回りエアーバックカバー
161 エアーバック重ね部
162 面ファスナー
163 エアーバック
164 面ファスナー
165 エアーバック重ね部
166 息吹込口
167 顔面カバー
168 切れ込み
169 頭部
170 人間
171 溶着部
172 携帯式津波救命具
174 下部
175 上部
176 上部
177 顔面カバー左側
178 顔面カバー右側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16