特許第6025039号(P6025039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025039
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】ブロー成形容器と内層の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20161107BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20161107BHJP
   B65D 23/08 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B65D1/02 111
   B65D1/02 221
   B65D1/00 120
   B65D23/08 B
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-241289(P2012-241289)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-91530(P2014-91530A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−091280(JP,A)
【文献】 特開平08−026241(JP,A)
【文献】 特開2005−075414(JP,A)
【文献】 国際公開第99/005035(WO,A1)
【文献】 米国特許第07017761(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00− 1/48
B65D23/00−25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻を形成する外層(2)と、内容物を収容する潰れ減容変形自在な内層(3)とを、剥離可能に積層した、有底筒状の胴部(4)の上端に肩部を介して口筒部(9)を連設したボトル本体(1)と、該ボトル本体(1)の胴部(4)に巻き締め状に外装される外装体(11)とから構成され、前記胴部(4)の中心軸に対して軸対称位置に、前記内層(3)の外層(2)からの離脱を規制する規制機能部(5)を、前記胴部(4)の略全高さ範囲に亘って設け、少なくとも一方の前記規制機能部(5)を、隣接した複数の縦溝部(7)で構成し、該縦溝部(7)溝幅減少した押し潰し変形形状とされ、前記縦溝部(7)の溝壁である挟持壁(6)で内層(3)挟持されており、前記外装体(11)、前記胴部(4)巻き締めている構成により、前記縦溝部(7)に対して押し潰し力作用していることを特徴とするブロー成形容器。
【請求項2】
軸対称に位置した両規制機能部(5)を、隣接した複数の縦溝部(7)で構成した請求項1に記載のブロー成形容器。
【請求項3】
軸対称に位置した両規制機能部(5)の一方を、隣接した複数の縦溝部(7)で構成し、他方を、ボトル本体(1)の全高さ範囲に亘って設けられて、外層(2)と内層(3)を接着固定する、細い縦帯状の接着層(8)で構成した請求項1に記載のブロー成形容器。
【請求項4】
規制機能部(5)を、二つの縦溝部(7)を並列に隣接させて構成した請求項1〜3のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
【請求項5】
規制機能部(5)を構成する縦溝部(7)を、V字状溝構造とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
【請求項6】
外装体(11)を、シュリンクラベルとした請求項1〜5のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
【請求項7】
外殻を形成する外層(2)と、内容物を収容する潰れ減容変形自在な内層(3)とを、剥離可能に積層した、有底筒状の胴部(4)の上端に肩部を介して口筒部(9)を連設してボトル本体(1)を構成し、該ボトル本体(1)の胴部(4)の中心軸に対して軸対称位置に、前記内層(3)の外層(2)からの離脱を規制する規制機能部(5)を、前記胴部(4)の略全高さ範囲に亘って設け、少なくとも一方の前記規制機能部(5)を、隣接した複数の縦溝部(7)で構成し、前記規制機能部(5)の縦溝部(7)を押し潰し変形させて、前記内層(3)を挟持した状態で、前記内層(3)を潰れ変形させて外層(2)から剥離させる剥離処理を行なってから、潰れ変形した内層(3)を膨らませて潰れ変形からの戻し処理を行なうことを特徴とする内層の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外殻を形成する外層内に、内容物を収容する潰れ減容変形自在な内層を、剥離可能に積層し、外気を吸引することなく、内容物の注出使用を可能とした、積層剥離ボトルであるブロー成形容器の構造、およびこの積層剥離ボトルの内層を、予め外層から剥離させておく内層の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層剥離ボトルにあっては、内容物の注出使用に従って、内層が、外層から離れて潰れ変形する潰れ現象が発生するが、この潰れ現象は、内容物の重量の関係から、内層の上側から下に向かって進行する。
【0003】
内層における潰れ現象は、内層の大気圧による、単純な潰れ変形であるので、その潰れ変形形態を予測することはできず、全横幅範囲に亘って略密着状態で潰れ変形する内層部分が増えることにより、内容物の注出が行い難くなる、と云う不都合が発生する。
【0004】
この不都合を解消する手段として、積層剥離ボトルの全高さ範囲に亘って、外層と内層とを接着結合する、細い縦帯状の一つの接着層を設け、この接着層により内層の一部を外層に接着固定して、内層の潰れ変形形態を規制し、この規制により、内層部分の略密着状態での潰れ変形が起り難くし、内容物の注出が行い難くなるのを防止するようにしたものがある。
【0005】
このものは、確かに内層部分の略密着状態での潰れ変形を起り難くすることができるのであるが、一つの接着層による内層に対する変形規制が必ずしも充分ではないので、潰れ現象が進行すると、不規則に潰れ変形する箇所が多くなり、このため注出不良が発生すると云う新たな不都合があった。
【0006】
この不都合を解消する従来技術として、外層と内層の何れか一方又は両方に層面形状が局部的に変化する形状変化部を設けることにより難剥離部を形成し、この難剥離部を、中心軸に対して軸対称に設けて積層剥離ボトルを構成した技術がある。
【特許文献1】特開平08−198233号公報
【0007】
この従来技術は、一対の軸対称に配置された難剥離部が接着層的に働き、これにより内層の潰れ変形形態を、ほぼ一定に規制することを可能とし、内容物の注出不良の発生をなくすものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、難剥離部の、他の部分に比べた剥離のし難さは、決して大きいものではなく、内容物の波打ち程度の外力の作用により、容易に剥離してしまい、内層に対する安定した変形形態規制作用を発揮することができない、と云う問題があった。
【0009】
また、積層剥離ボトルに対する内容物の注入充填処理に先立って、内層に円滑で適正な潰れ現象を得るため、予め内層を外層から剥離させておくのが一般であるが、上記した従来技術にあっては、この内層の外層からの剥離処理により、難剥離部も容易に剥離してしまい、以後の適正な潰れ現象を得ることが難しくなる、と云う問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、軸対称に位置して内層の潰れ変形形態を規制する両規制機能部の少なくとも一方を、内層に対して挟持保持力を発揮するものとすることを技術的課題とし、もって潰れ現象の進行に関わりなく、最後まで内容物の安定した注出動作を得ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術的課題を解決する本発明の第1の手段の主たる構成は、
外殻を形成する外層と、内容物を収容する潰れ減容変形自在な内層とを、剥離可能に積層した、有底筒状の胴部の上端に肩部を介して口筒部を連設したボトル本体と、このボトル本体の胴部に巻き締め状に外装される外装体とから構成されること、
ボトル本体の胴部の中心軸に対して軸対称位置に、内層の外層からの離脱を規制する規制機能部を、胴部の略全高さ範囲に亘って設けること、
軸対称に設けられた規制機能部の内、少なくとも一方の規制機能部を、隣接した複数の縦溝部で構成し、この縦溝部溝幅減少した押し潰し変形形状とされ、縦溝部の溝壁である挟持壁で内層挟持されていること、
外装体、ボトル本体の胴部巻き締めている構成により、ボトル本体の縦溝部に対して押し潰し力作用していること、
にある。
【0012】
少なくともボトル本体の胴部における内層は、両規制機能部により外層からの離脱が規制されているので、両規制機能部により両側部を不動に保持された状態で潰れ変形が行われる。すなわち、内層は、両規制機能部を不動部分としているので、基本的には、両規制機能部で保持された部分を不動箇所として、両横方向から押し潰される形態で潰れ変形することになる。
【0013】
このように、内層の潰れ変形の基本的な方向性を規制することにより、内層の潰れ変形が規則性を持って進行し、これにより内容物の通路が確実に確保されて、最後まで内容物の安定して良好な注出動作を得ることができる。
【0014】
また、少なくとも一方の規制機能部は、押し潰し変形した縦溝部の溝壁である挟持壁で、内層の一部を挟持するものであるので、この規制機能部における外層による内層の離脱阻止力を強力なものとすることができる。
【0015】
外装体は、ボトル本体の胴部に対する巻き締め力を、規制機能部の縦溝部に対する押し潰し力として常に作用させるので、挟持壁による挟持力を内層に対して常に作用させていることになる。
【0016】
本発明の第1の手段の別の構成は、上記した主たる構成における軸対称に位置した両規制機能部を、隣接した複数の縦溝部で構成した、ものである。
【0017】
両規制機能部を、隣接した複数の縦溝部で構成したものにあっては、両規制機能部を、ブロー成形処理で成形することのできる縦溝部で構成することができるので、ブロー金型に縦溝部成形用の成形型面を形成するだけで、通常のブロー成形により規制機能部を成形することができる。
【0018】
また、本発明の第1の手段の別の構成は、上記した主たる構成における軸対称に位置した両規制機能部の一方を、隣接した複数の縦溝部で構成し、他方を、ボトル本体の全高さ範囲に亘って設けられて、外層と内層を接着固定する、細い縦帯状の接着層で構成した、ものである。
【0019】
両規制機能部の一方を複数の縦溝部で構成し、他方を接着層で構成したものにあっては、外装体からの押し潰し変形力を、縦溝部で構成した一方の規制機能部に集中させて作用させることができるので、その押し潰し変形力は強力なものとなる。
【0020】
また、本発明の第1の手段の別の構成は、上記した主たる構成における規制機能部を、二つの縦溝部を並列に隣接させて構成した、ものである。
【0021】
規制機能部を、二つの縦溝部で構成したものにあっては、複数の縦溝部で構成される規制機能部の構造を最も単純なものとすることができる。
【0022】
また、本発明の第1の手段の別の構成は、上記した主たる構成における規制機能部を構成する縦溝部を、V字状溝構造とした、ものである。
【0023】
機能部を構成する縦溝部を、V字状溝構造としたものにあっては、複数の縦溝が隣接して連設されることにより、規制機能部の周方向に沿った壁構造が蛇腹状となり、これにより押し潰し変形し易いものとなる。
【0024】
また、本発明の第1の手段の別の構成は、上記した主たる構成における外装体を、シュリンクラベルとした、ものである。
【0025】
外装体を、シュリンクラベルとしたものにあっては、胴部に外装されたシュリンクラベルの強力な巻き締め力を、そのまま規制機能部の縦溝部に対する押し潰し変形力として作用させることができる。
【0026】
上記技術的課題を解決する本発明の第2の手段の主たる構成は、
外殻を形成する外層と、内容物を収容する潰れ減容変形自在な内層とを、剥離可能に積層した、有底筒状の胴部の上端に肩部を介して口筒部を連設してボトル本体を構成し、このボトル本体の胴部の中心軸に対して軸対称位置に、内層の外層からの離脱を規制する規制機能部を、胴部の略全高さ範囲に亘って設け、少なくとも一方の規制機能部を、隣接した複数の縦溝部で構成すること、
規制機能部の縦溝部を押し潰し変形させて、内層を挟持した状態で、内層を潰れ変形させて外層から剥離させる剥離処理を行なってから、潰れ変形した内層を膨らませて潰れ変形からの戻し処理を行なうこと、
にある。
【0027】
規制機能部の縦溝部を押し潰し変形させて、内層を挟持した状態では、内層は規制機能部から離脱することができず、このため内層の外層からの剥離処理は、規制機能部に保持された内層部分を不動箇所として、両横方向から潰れる形態で進行することになる。それゆえ、潰れ変形により剥離処理の完了した内層の潰れ変形は、縦方向の縮小変形を規制された、略両側方向からの潰れ変形の制限されたものとなる。
【0028】
このため、潰れ変形した内層を膨らませて行われる戻し処理は、内層を、規制機能部に保持された内層部分を不動箇所として、略両側方向に膨らませる単純な変形形態となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の第1の手段にあっては、内層の潰れ変形の基本的な方向性が規制されて、内層の潰れ変形が規則性を持って進行し、これにより内容物の注出通路が確保し易くなるので、最後まで内容物の円滑で良好な注出動作をえることができる。
【0030】
また、少なくとも一方の規制機能部は、挟持壁で内層の一部を挟持するものであるので、この規制機能部における外層による内層の離脱阻止力を強力なものとすることができ、これにより内容物の注出通路の確保が安定する。
【0031】
さらに、外装体は、ボトル本体の胴部に対する巻き締め力を、規制機能部の縦溝部に対する押し潰し力として常に作用させるので、挟持壁による挟持力を内層に対して常に作用させていることになり、これにより挟持壁による内層の離脱不能な挟持固定を安定して維持することができる。
【0032】
両規制機能部を、隣接した複数の縦溝部で構成したものにあっては、通常のブロー成形により規制機能部を成形することができ、これによりボトル本体に対する両規制機能部の付形が容易となる。
【0033】
両規制機能部の一方を複数の縦溝部で構成し、他方を接着層で構成したものにあっては、外装体からの押し潰し変形力を、縦溝部で構成した一方の規制機能部に集中させて作用させることができるので、その押し潰し変形力は強力なものとすることができ、これにより規制機能部により内層に対して、安定して強力な挟持力を作用させることができる。
【0034】
規制機能部を、二つの縦溝部で構成したものにあっては、複数の縦溝部で構成される規制機能部の構造を最も単純なものとすることができるので、ブロー成形金型の構成を簡単なものとすることができる。
【0035】
機能部を構成する縦溝部を、V字状溝構造としたものにあっては、規制機能部の周方向に沿った壁構造が蛇腹状となり、これにより潰れ変形し易いものとなるので、縦溝部に作用する押し潰し力を、無駄なく内層の挟持力として機能させることができる。
【0036】
外装体を、シュリンクラベルとしたものにあっては、胴部に外装されたシュリンクラベルの強力な巻き締め力を、そのまま規制機能部の縦溝部に対する押し潰し変形力として作用させることができるので、縦溝部による内層に対する挟持力を充分に強力なものとすることができる。
【0037】
本発明の第2の手段にあっては、潰れ変形により剥離処理の完了した内層の潰れ変形は、縦方向の縮小変形を規制された、略両側方向からの潰れ変形の制限されたものとなると共に、潰れ変形した内層を膨らませて行われる戻し処理は、略両側方向に膨らませる単純な変形形態となるので、剥離処理および戻し処理の途中で、内層が規制機能部から離脱する不都合の発生を、確実に防止することができ、これにより安定して剥離処理および戻し処理を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態例を示す、一部破断全体側面部である。
図2図1中、A−A線に沿って切断矢視した平断面図で、(a)は第1実施例、(b)は第2実施例である。
図3図2中の丸印した部分の拡大図で、(a)は丸印B部分、(b)は丸印C部分の拡大図である。
図4図1に示したボトル本体の、挟持状態前の全体側面図である。
図5図4中、D−D線に沿って切断矢視した平断面図で、(a)は第1実施例、(b)は第2実施例である。
図6図5中の丸印した部分の拡大図で、(a)は丸印E部分、(b)は丸印F部分の拡大図である。
図7図1に示したボトル本体の、挟持状態後の全体側面図である。
図8図7中、G−G線に沿って切断矢視した平断面図で、(a)は第1実施例、(b)は第2実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0040】
本発明の積層剥離ボトルであるブロー成形容器は、外殻を形成する外層2と、内容物を収容する潰れ減容変形自在な内層3とを、剥離可能に積層して構成され、有底円筒状の胴部4の上端に、上方に縮径した肩部を介して口筒部9を連設したボトル本体1と、このボトル本体1の胴部4に巻き締め状に外装される外装体11とから構成されている。
【0041】
ボトル本体1の胴部4には、中心軸に対して軸対称に規制機能部5を設けており、この規制機能部5は、少なくとも胴部4の略全高さ範囲に亘って設け(図4および図7参照)られており、この規制機能部5における内層3の外層2からの離脱を規制している。
【0042】
規制機能部5は、隣接した複数(図示の場合、二つ)のV字状溝構造となった縦溝部7で構成された構造例(図3(a)および図6(a)参照)と、ボトル本体1の全高さ範囲に亘って外層2と内層3を接着固定する、細い縦帯状の接着層8で構成された構造例(図3(b)および図6(b)参照)を有しており、両規制機能部5を隣接した複数の縦溝部7で構成した構造例とした第1実施例(図2(a)、図5(a)参照)と、一方の規制機能部5を隣接した複数の縦溝部7で構成し、他方の規制機能部5を接着層8で構成した構造例とした第2実施例(図2(b),図5(b)参照)とがある。
【0043】
隣接した複数の縦溝部7で構成された規制機能部5の場合、ボトル本体1の成形時には、図5(a)および図6(a)に示すように、縦溝部7は、周方向に沿って蛇腹状の壁構造を構成し、隣接した縦溝部7の溝壁である一対の挟持壁6が、内方に開いた状態となっている。この状態から規制機能部5に対して、縦溝部7の溝幅を減少させる押し潰し力を作用させると、図2(a)および図3(a)に示すように、縦溝部7が押し潰されて一対の挟持壁6により、間に位置している内層3部分が強固に挟持され、これにより規制機能部5からの内層3の離脱が規制される。この際、複数の縦溝部7で構成された規制機能部5は、蛇腹状の壁構造となっているので、押し潰し力の作用により容易に潰れ変形して、内層3の一部を確実に挟持する。
【0044】
接着層8で構成された規制機能部5の場合、図6(b)に示すように、ボトル本体1の成形当初から、規制機能部5における内層3は外層2に接着固定され、これにより規制機能部5からの内層3の離脱が規制される。
【0045】
口筒部9の、接着層8を避けた外層2部分に、外気を外層2と内層3の間に導入させる吸気孔10(図1図4図7参照)を開設している。この吸気孔10は、軸対称に一対設けるのが望ましい。これは、両規制機能部5で二つに区画されるそれぞれの胴部4部分に対して、外気を均等に導入可能とし、これにより胴部4における良好な潰れ現象を得ることが可能となる。
【0046】
ボトル本体1の胴部4に巻き締め状に外装される外装体11は、胴部4に対する巻き締めにより、規制機能部5の縦溝部7に対して押し潰し力を作用させる状態を維持できるものであればよい。それゆえ、胴部4に巻き締め状に外装されるラベルを利用するのが有効であり、特にラベルとしてシュリンクラベルを利用するのが、最も望ましい。すなわち、外装体11としてシュリンクラベルを利用した場合は、胴部4に対するシュリンクラベルの組付けに際しての、シュリンクラベルの熱収縮に伴う胴部4に対する巻き締め力が、縦溝部7に対して押し潰し力として作用するので、きわめて好都合である。
【0047】
また、複数の縦溝部7で構成される規制機能部5は、縦溝部7を押し潰した挟持状態(図3(a)参照)で、縦溝部7の一部が胴部4の外表面に突出することがないので、胴部4に対する外装体11の巻き付き外装状態の外観を不体裁にするおそれがない。それゆえ、外装体11としてラベルを利用した場合には、このラベルに施された表示を不都合なく表すことができる。
【0048】
次に、成形されたボトル本体1における内層3の外層2に対する剥離処理、および剥離された内層3の戻し処理を順に説明する。
ブロー成形されたボトル本体1(図4図6参照)の胴部4に対して押圧力を作用させて(図7の矢印参照)、規制機能部5の縦溝部7を押し潰し変形(図2図3図8参照)させ、押し潰し変形した縦溝部7の挟持壁6により、この規制機能部5に位置した内層3部分を挟持(図3(a)参照)させる。
【0049】
この内層3の一部を挟持壁6が挟持した状態のまま、内層3内をバキュームする等の手段により、内層3を潰れ変形(図3の点線図示、および図8参照)させて、内層3の外層2からの剥離処理を行なう。この内層3の剥離処理に引き続いて、潰れ変形している内層3内に空気を圧入する等して、この内層3に対して潰れ変形から戻し処理を施し、内層3を胴部4内面に略倣った戻り状態(図2および図3の一点鎖線図示参照)にする。
【0050】
ボトル本体1内への内容物の注入充填は、内層3が戻り状態となっていると共に、胴部4に対して押圧力を作用させて、規制機能部5の縦溝部7により内層3の一部を挟持した状態を維持しながら実施される。これは、内容物の注入充填時に、規制機能部5の縦溝部7による内層3に対する挟持が無いと、内層3への内容物の充填動作に伴う変動力により、縦溝部7から内層3が離脱する不都合の発生を防止するためである。
【0051】
なお、内容物のボトル本体1内からの吐出は、口筒部9に逆止弁を有する吐出キャップやポンプ等を組付け、胴部4を押圧して吐出キャップから吐出するとか、ポンプを操作してポンプのノズルから吐出する。また、縦溝部7で構成される規制機能部5は、割金型である一対のブロー金型からの離型動作に適合すべく、パーティングラインから外れた箇所、具体的にはパーティングラインに対して、中心角が90度ずれた箇所設けるのが望ましい。また、吸気孔10は、口筒部9以外の、外層2の適当な箇所に開設することが可能である。
【0052】
以上、実施形態例に沿って本発明の構成とその作用効果を説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態例に限定されるものではなく、ボトル本体1の胴部4は楕円筒状、長円筒状、さらには角筒状であってもよい。また、規制機能部5を構成する縦溝部7は、二つ以上設けて内層3の挟持箇所を増やして、その分、内層3に対する挟持力を強めるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のブロー成形容器および内層の処理方法は、積層剥離ボトルにおける内層の適正で安全な動作を得ることができ、積層剥離ボトルとして広い分野での適用を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ; ボトル本体
2 ; 外層
3 ; 内層
4 ; 胴部
5 ; 規制機能部
6 ; 挟持壁
7 ; 縦溝部
8 ; 接着層
9 ; 口筒部
10; 吸気孔
11; 外装体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8