特許第6025099号(P6025099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025099
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】圧縮機運転制御装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   F04B49/06 341L
【請求項の数】8
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2012-223694(P2012-223694)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-74395(P2014-74395A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】592120564
【氏名又は名称】折橋 治生
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100082728
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 健次
(72)【発明者】
【氏名】折橋 治生
(72)【発明者】
【氏名】折橋 健治
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−262386(JP,A)
【文献】 特開2005−048755(JP,A)
【文献】 特開昭57−044787(JP,A)
【文献】 特開2000−283053(JP,A)
【文献】 特開2004−218434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/00−51/00
F04C 23/00−29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバーターによって回転数を変更して圧縮空気を生成するインバーター圧縮機および一定の回転数で圧縮空気を生成する定速圧縮機それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機を並列運転させて生成した圧縮空気を合流させ、供給圧力を一定に保って供給先へ供給する圧縮空気供給装置の前記複数台の圧縮機を運転制御する圧縮機運転制御装置において、
前記インバーター圧縮機のうち所定の1台を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機の吐出風量に対する他の圧縮機それぞれの吐出風量の割合を各圧縮機それぞれの仮想容量とし、該仮想容量を用いて前記複数台の圧縮機の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置。
【請求項2】
インバーターによって回転数を変更して圧縮空気を生成するインバーター圧縮機および一定の回転数で圧縮空気を生成する定速圧縮機それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機を並列運転させて生成した圧縮空気を合流させ、供給圧力を一定に保って供給先へ供給する圧縮空気供給装置の前記複数台の圧縮機を運転制御する圧縮機運転制御装置において、
前記インバーター圧縮機のうち所定の1台を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機を最大風量で運転したときの負荷率を該基準圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機以外の他のインバーター圧縮機は、前記基準圧縮機を略最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第1負荷率とし、他のインバーター圧縮機の一つを最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第2負荷率とし、前記他のインバーター圧縮機の一つを最小風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第3負荷率として、
第1負荷率から第2負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
第1負荷率から第3負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最小負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機を略最大風量で運転させて、比較する定速圧縮機を運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第4負荷率とし、
第1負荷率から第4負荷率を減算した値を、比較した定速圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
運転中のインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量の合計から、運転中のインバーター圧縮機の実際の負荷率仮想容量である実負荷率仮想容量の合計の減算値を総無負荷仮想容量とし、
供給先での圧縮空気の使用量が増大して、前記総無負荷仮想容量が予め設定した起動仮想容量設定値以下になったときに起動信号が取得され、
供給先での圧縮空気の使用量が減少して、前記総無負荷仮想容量が、前記起動仮想容量設定値と予め設定した停止仮想容量設定値と前記インバーター圧縮機の停止予定機の実負荷仮想容量との合計以上になった場合および前記総無負荷仮想容量が、前記起動仮想容量設定値と予め設定した停止仮想容量設定値と前記定速圧縮機の停止予定機の実負荷仮想容量との合計以上になった場合に停止信号が取得され、
前記取得した起動信号および停止信号によって前記複数台の圧縮機の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置。
【請求項3】
インバーターによって回転数を変更して圧縮空気を生成するインバーター圧縮機および一定の回転数で圧縮空気を生成する定速圧縮機それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機を並列運転させて生成した圧縮空気を合流させ、供給圧力を一定に保って供給先へ供給する圧縮空気供給装置の前記複数台の圧縮機を運転制御する圧縮機運転制御装置において、
前記インバーター圧縮機のうち所定の1台を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機を最大風量で運転したときの負荷率を該基準圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機以外の他のインバーター圧縮機は、前記基準圧縮機を略最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第1負荷率とし、他のインバーター圧縮機の一つを最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第2負荷率とし、前記他のインバーター圧縮機の一つを最小風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第3負荷率として、
第1負荷率から第2負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
第1負荷率から第3負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最小負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機を略最大風量で運転させて、比較する定速圧縮機を運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第4負荷率とし、
第1負荷率から第4負荷率を減算した値を、比較した定速圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
運転中の定速圧縮機の最大仮想容量である運転最大仮想容量の合計と、実際に負荷を受けて運転中のインバーター圧縮機の実際の仮想容量である実負荷仮想容量の合計との加算値を総運転仮想容量とし、停止予定機が定速圧縮機にあっては停止予定機の最大仮想容量を停止予定機の仮想容量とし、停止予定機がインバーター圧縮機にあっては停止予定機の実負荷仮想容量を停止予定機の仮想容量とし、
運転中のインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量の合計から、運転中のインバーター圧縮機の実際の負荷率仮想容量である実負荷率仮想容量の合計の減算値を総無負荷仮想容量とし、
前記総運転仮想容量に対するパーセント表示の起動の率設定値および停止の率設定値を設定し、
起動の率設定値に1/100を乗算して得た値に前記総運転仮想容量を乗算して起動のための仮想容量を算出し、
該起動のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、起動のための仮想容量の方が大きいときに起動信号が取得され、
前記起動の率設定値と停止の率設定値とを加算して1/100を乗算した値を算出し、該算出値を前記総運転仮想容量から前記停止予定機の仮想容量を減算した仮想容量に乗算し、該乗算値に前記停止予定機の仮想容量を加算して停止のための仮想容量を算出し、
前記停止のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、前記停止のための仮想容量が前記総無負荷仮想容量よりも小さい場合に停止信号が取得され、
前記取得した起動信号および停止信号によって前記複数台の圧縮機の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置。
【請求項4】
インバーターによって回転数を変更して圧縮空気を生成するインバーター圧縮機および一定の回転数で圧縮空気を生成する定速圧縮機それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機を並列運転させて生成した圧縮空気を合流させ、供給圧力を一定に保って供給先へ供給する圧縮空気供給装置の前記複数台の圧縮機を運転制御する圧縮機運転制御装置において、
前記インバーター圧縮機のうち所定の1台を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機を最大風量で運転したときの負荷率を該基準圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機以外の他のインバーター圧縮機は、前記基準圧縮機を略最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第1負荷率とし、他のインバーター圧縮機の一つを最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第2負荷率とし、前記他のインバーター圧縮機の一つを最小風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第3負荷率として、
第1負荷率から第2負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
第1負荷率から第3負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最小負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機を略最大風量で運転させて、比較する定速圧縮機を運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第4負荷率とし、
第1負荷率から第4負荷率を減算した値を、比較した定速圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
運転中の定速圧縮機の最大仮想容量である運転最大仮想容量の合計と、実際に負荷を受けて運転中のインバーター圧縮機の実際の仮想容量である実負荷仮想容量の合計との加算値を総運転仮想容量とし、停止予定機が定速圧縮機にあっては停止予定機の最大仮想容量を停止予定機の仮想容量とし、停止予定機がインバーター圧縮機にあっては停止予定機の実負荷仮想容量を停止予定機の仮想容量とし、
運転中のインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量の合計から、運転中のインバーター圧縮機の実際の負荷率仮想容量である実負荷率仮想容量の合計の減算値を総無負荷仮想容量とし、
前記総運転仮想容量に対するパーセント表示の起動の率設定値および停止の率設定値を設定し、
起動の率設定値に1/100を乗算して得た値に前記総運転仮想容量を乗算して起動のための仮想容量を算出し、
該起動のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、起動のための仮想容量の方が大きいときに起動信号が取得され、
インバーター圧縮機の停止予定機にあっては、
前記起動の率設定値と停止の率設定値とを加算して1/100を乗算した値を算出し、該算出値を前記総運転仮想容量から前記インバーター圧縮機の停止予定機の実負荷仮想容量を減算した仮想容量に乗算し、該乗算値に前記停止予定機の実負荷仮想容量を加算して停止のための仮想容量を算出し、
前記停止のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、前記停止のための仮想容量が前記総無負荷仮想容量よりも小さい場合に停止信号が取得され、
定速型圧縮機の停止予定機にあっては、
前記起動の率設定値と停止の率設定値とを加算して1/100を乗算した値を算出し、
該算出値を前記総運転仮想容量から前記定速型圧縮機の停止予定機の仮想容量を減算した仮想容量に乗算し、該乗算値に前記停止予定機の仮想容量を加算して停止のための仮想容量を算出し、
前記停止のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、前記停止のための仮想容量が前記総無負荷仮想容量よりも小さい場合に停止信号が取得され、
前記取得した起動信号および停止信号によって前記複数台の圧縮機の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置。
【請求項5】
前記請求項2に記載された圧縮機運転制御装置における起動信号および停止信号を取得する取得機能と、前記請求項3に記載された圧縮機運転制御装置における起動信号および停止信号の取得機能とを備え、
2つの前記起動信号および停止信号の取得機能の少なくとも一方において起動信号取得の判断がされたときは起動信号が取得され、
2つの前記起動信号および停止信号の取得機能の双方で停止信号取得の判断がされたときに停止信号が取得され、
前記取得した起動信号および停止信号によって前記複数台の圧縮機の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置。
【請求項6】
定速圧縮機グループの起動予定機の最大仮想容量と起動仮想容量設定値と停止仮想容量設定値の合計した第1合計値を算出し、
運転しているインバーター圧縮機それぞれの圧力調整仮想容量を合計した総圧力調整仮想容量の値を算出し、
前記第1合計値が総圧力調整仮想容量の値よりも小さいときは、定速圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、
前記第1合計値が総圧力調整仮想容量の値以上であるときは、インバーター圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、
インバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量から最小負荷率仮想容量を減じたものを前記圧力調整仮想容量とし、運転中のインバーター圧縮機の中の停止予定のインバーター圧縮機を除いたものの各圧力調整仮想容量の合計を総圧力調整仮想容量として算出し、運転中の定速圧縮機の中で最大仮想容量の最も大きなものの最大仮想容量と、前記起動仮想容量設定値と前記停止仮想容量との合計である第2合計値を算出し、
第2合計値が総圧力調整仮想容量よりも小さいときは、インバーター圧縮機の停止予定機を停止指定機とし、
第2合計値が総圧力調整仮想容量以上のときは、定速圧縮機の停止予定機を停止指定機とすることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機運転制御装置。
【請求項7】
インバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量から最小負荷率仮想容量を減じたものを圧力調整仮想容量とし、運転中のインバーター圧縮機の中の停止予定のインバーター圧縮機を除いたものの各圧力調整仮想容量の合計を総圧力調整仮想容量として算出し、
起動の率設定値と停止の率設定値との加算値を100で除算した値を総運転仮想容量に乗算して該乗算値を算出し、該乗算値に起動予定機の定速圧縮機の最大仮想容量を加算した加算値を算出し、該加算値と現在運転中のインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量とを比較し、
前記最大仮想容量を加算した加算値が前記総圧力調整仮想容量よりも小さいとき、定速圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、前記最大仮想容量を加算した加算値が前記総圧力調整仮想容量以上のときインバーター圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、
起動の率設定値と停止の率設定値の合計を100で除算した除算値を算出し、運転中の定速圧縮機で最大仮想容量の最も大きな圧縮機の最大仮想容量を除く最大仮想容量合計値と運転中のインバーター圧縮機の総実負荷仮想容量とを加算した第3合計値に前記除算値を乗算して乗算値を算出し、該乗算値と運転中の定速圧縮機で最大仮想容量の最も大きな圧縮機の最大仮想容量の加算値αを算出し、該加算値αと運転中の停止予定のインバーター圧縮機以外のインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量の値βとを比較し、
αがβよりも小さいとき、インバーター圧縮機の停止予定機を停止指定機とし、
αがβ以上であるとき、定速圧縮機の停止予定機を停止指定機とすることを特徴とする請求項3に記載の圧縮機運転制御装置。
【請求項8】
前記請求項に記載された圧縮機運転制御装置における起動指定機および停止指定機を選択する指定機選択機能と、前記請求項に記載された圧縮機運転制御装置における起動指定機および停止指定機を選択する指定機選択機能とを備え、
起動機の指定については、前記指定機選択機能の双方で得られた選択が同じであれば、選択通りに起動機を指定し、前記指定機選択機能の少なくとも一方がインバーター圧縮機の起動予定機を選択したときはインバーター圧縮機を起動指定機とし、
停止機の指定については、前記指定機選択機能の双方で得られた選択が同じであれば、選択通りに停止機を指定し、少なくとも一方がインバーター圧縮機を選択したときはインバーター圧縮機の停止予定機を停止指定機として、前記複数台の圧縮機の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバーターによって回転速度を変更して圧縮空気を生成するインバーター型圧縮機および一定の回転速度で圧縮空気を生成する定速圧縮機それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機を並列運転させて生成した圧縮空気を合流集合させて供給する圧縮空気供給装置の前記複数台の圧縮機を運転制御する圧縮機運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧縮空気供給装置には、インバーターによって回転速度を変更して吐出風量を変えることができるインバーター型圧縮機と吐出風量が一定である定速圧縮機とを組み合わせた並列運転をし、効率よく省エネ運転をしようとするものがある。
【0003】
すなわち、定速圧縮機がベース風量を受け持ち、インバーター型圧縮機が変動する風量部分を受け持つようにして無駄のない省エネ運転を実現しようとするものである。例えば、特許文献1に開示されたようなコンプレッサの台数制御システムが知られている。
【0004】
この特許文献1では、図4に示されているように目標圧力からマイナス側へLLL(0.52MPa)までが下方の制御圧力幅となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−48755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、合流集合させた圧縮空気を圧縮空気需要機器に送る配管の圧力を検出してこの検出圧力によって制御する場合、制御圧力幅の下限値LLLを検出してから何らかの制御動作を行ったときに、制御上の動作遅れが生じ得るという問題点があった。
【0007】
この問題点を解消して最低供給圧力を保障するためには、下限値LLLに対してマイナス側に余裕圧力幅を設ける必要がある。ここで、前記目標圧力は、仮にHとLの中間値であると推定すると0.57MPaとなる。
【0008】
一般に供給圧力を0.1MPa下げると8%の消費電力が削減できるとされている。したがって、目標圧力を0.57MPaから例えば0.53MPaまで0.04MPa下げることができれば、3.2%の消費電力を削減できる。
【0009】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、制御圧力幅と余裕圧力幅の設定を不要にして消費電力を低減することができるようにした圧縮機運転制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]インバーターによって回転数を変更して圧縮空気を生成するインバーター圧縮機(210,211,220,230)および一定の回転数で圧縮空気を生成する定速圧縮機(310,320,330,331)それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)を並列運転させて生成した圧縮空気を合流させ、供給圧力を一定に保って供給先へ供給する圧縮空気供給装置(1)の前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)を運転制御する圧縮機運転制御装置(10)において、
前記インバーター圧縮機(210,211,220,230)のうち所定の1台を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機の吐出風量に対する他の圧縮機それぞれの吐出風量の割合を各圧縮機それぞれの仮想容量とし、該仮想容量を用いて前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置(10)。
【0011】
[2]インバーターによって回転数を変更して圧縮空気を生成するインバーター圧縮機(210,211,220,230)および一定の回転数で圧縮空気を生成する定速圧縮機(310,320,330,331)それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)を並列運転させて生成した圧縮空気を合流させ、供給圧力を一定に保って供給先へ供給する圧縮空気供給装置(1)の前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)を運転制御する圧縮機運転制御装置(10)において、
前記インバーター圧縮機(210,211,220,230)のうち所定の1台を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機を最大風量で運転したときの負荷率を該基準圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機以外の他のインバーター圧縮機は、前記基準圧縮機を略最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第1負荷率とし、他のインバーター圧縮機の一つを最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第2負荷率とし、前記他のインバーター圧縮機の一つを最小風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第3負荷率として、
第1負荷率から第2負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
第1負荷率から第3負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最小負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機を略最大風量で運転させて、比較する定速圧縮機を運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第4負荷率とし、
第1負荷率から第4負荷率を減算した値を、比較した定速圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
運転中のインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量の合計から、運転中のインバーター圧縮機の実際の負荷率仮想容量である実負荷率仮想容量の合計の減算値を総無負荷仮想容量とし、
供給先での圧縮空気の使用量が増大して、前記総無負荷仮想容量が予め設定した起動仮想容量設定値以下になったときに起動信号が取得され、
供給先での圧縮空気の使用量が減少して、前記総無負荷仮想容量が、前記起動仮想容量設定値と予め設定した停止仮想容量設定値と前記インバーター圧縮機(210,211,220,230)の停止予定機の実負荷仮想容量との合計以上になった場合および前記総無負荷仮想容量が、前記起動仮想容量設定値と予め設定した停止仮想容量設定値と前記定速圧縮機(310,320,330,331)の停止予定機の実負荷仮想容量との合計以上になった場合に停止信号を取得され、
前記取得した起動信号および停止信号によって前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置(10)。
【0012】
[3]インバーターによって回転数を変更して圧縮空気を生成するインバーター圧縮機(210,211,220,230)および一定の回転数で圧縮空気を生成する定速圧縮機(310,320,330,331)それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)を並列運転させて生成した圧縮空気を合流させ、供給圧力を一定に保って供給先へ供給する圧縮空気供給装置(1)の前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)を運転制御する圧縮機運転制御装置(10)において、
前記インバーター圧縮機(210,211,220,230)のうち所定の1台を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機を最大風量で運転したときの負荷率を該基準圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機以外の他のインバーター圧縮機は、前記基準圧縮機を略最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第1負荷率とし、他のインバーター圧縮機の一つを最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第2負荷率とし、前記他のインバーター圧縮機の一つを最小風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第3負荷率として、
第1負荷率から第2負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
第1負荷率から第3負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最小負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機を略最大風量で運転させて、比較する定速圧縮機を運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第4負荷率とし、
第1負荷率から第4負荷率を減算した値を、比較した定速圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
運転中の定速圧縮機の最大仮想容量である運転最大仮想容量の合計と、実際に負荷を受けて運転中のインバーター圧縮機の実際の仮想容量である実負荷仮想容量の合計との加算値を総運転仮想容量とし、停止予定機が定速圧縮機(310,320,330,331)にあっては停止予定機の最大仮想容量を停止予定機の仮想容量とし、停止予定機がインバーター圧縮機(210,211,220,230)にあっては停止予定機の実負荷仮想容量を停止予定機の仮想容量とし、
運転中のインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量の合計から、運転中のインバーター圧縮機の実際の負荷率仮想容量である実負荷率仮想容量の合計の減算値を総無負荷仮想容量とし、
前記総運転仮想容量に対するパーセント表示の起動の率設定値および停止の率設定値を設定し、
起動の率設定値に1/100を乗算して得た値に前記総運転仮想容量を乗算して起動のための仮想容量を算出し、
該起動のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、起動のための仮想容量の方が大きいときに起動信号が取得され、
前記起動の率設定値と停止の率設定値とを加算して1/100を乗算した値を算出し、該算出値を前記総運転仮想容量から前記停止予定機の仮想容量を減算した仮想容量に乗算し、該乗算値に前記停止予定機の仮想容量を加算して停止のための仮想容量を算出し、
前記停止のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、前記停止のための仮想容量が前記総無負荷仮想容量よりも小さい場合に停止信号が取得され、
前記取得した起動信号および停止信号によって前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置(10)。
[4]インバーターによって回転数を変更して圧縮空気を生成するインバーター圧縮機(210,211,220,230)および一定の回転数で圧縮空気を生成する定速圧縮機(310,320,330,331)それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)を並列運転させて生成した圧縮空気を合流させ、供給圧力を一定に保って供給先へ供給する圧縮空気供給装置(1)の前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)を運転制御する圧縮機運転制御装置(10)において、
前記インバーター圧縮機(210,211,220,230)のうち所定の1台を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機を最大風量で運転したときの負荷率を該基準圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機以外の他のインバーター圧縮機は、前記基準圧縮機を略最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第1負荷率とし、他のインバーター圧縮機の一つを最大風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第2負荷率とし、前記他のインバーター圧縮機の一つを最小風量で運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第3負荷率として、
第1負荷率から第2負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
第1負荷率から第3負荷率を減算した値を、前記他の一つのインバーター圧縮機の最小負荷率仮想容量とし、
前記基準圧縮機を略最大風量で運転させて、比較する定速圧縮機を運転させたときの基準圧縮機の負荷率を第4負荷率とし、
第1負荷率から第4負荷率を減算した値を、比較した定速圧縮機の最大負荷率仮想容量とし、
運転中の定速圧縮機の最大仮想容量である運転最大仮想容量の合計と、実際に負荷を受けて運転中のインバーター圧縮機の実際の仮想容量である実負荷仮想容量の合計との加算値を総運転仮想容量とし、停止予定機が定速圧縮機(310,320,330,331)にあっては停止予定機の最大仮想容量を停止予定機の仮想容量とし、停止予定機がインバーター圧縮機(210,211,220,230)にあっては停止予定機の実負荷仮想容量を停止予定機の仮想容量とし、
運転中のインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量の合計から、運転中のインバーター圧縮機の実際の負荷率仮想容量である実負荷率仮想容量の合計の減算値を総無負荷仮想容量とし、
前記総運転仮想容量に対するパーセント表示の起動の率設定値および停止の率設定値を設定し、
起動の率設定値に1/100を乗算して得た値に前記総運転仮想容量を乗算して起動のための仮想容量を算出し、
該起動のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、起動のための仮想容量の方が大きいときに起動信号が取得され、
インバーター圧縮機の停止予定機にあっては、
前記起動の率設定値と停止の率設定値とを加算して1/100を乗算した値を算出し、該算出値を前記総運転仮想容量から前記インバーター圧縮機の停止予定機の実負荷仮想容量を減算した仮想容量に乗算し、該乗算値に前記停止予定機の実負荷仮想容量を加算して停止のための仮想容量を算出し、
前記停止のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、前記停止のための仮想容量が前記総無負荷仮想容量よりも小さい場合に停止信号が取得され、
定速型圧縮機の停止予定機にあっては、
前記起動の率設定値と停止の率設定値とを加算して1/100を乗算した値を算出し、
該算出値を前記総運転仮想容量から前記定速型圧縮機の停止予定機の仮想容量を減算した仮想容量に乗算し、該乗算値に前記停止予定機の仮想容量を加算して停止のための仮想容量を算出し、
前記停止のための仮想容量と前記総無負荷仮想容量とを比較して、前記停止のための仮想容量が前記総無負荷仮想容量よりも小さい場合に停止信号が取得され、
前記取得した起動信号および停止信号によって前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置(10)。
【0013】
]前記[2]に記載された圧縮機運転制御装置(10)における起動信号および停止信号を取得する取得機能と、前記[3]に記載された圧縮機運転制御装置(10)における起動信号および停止信号の取得機能とを備え、
2つの前記起動信号および停止信号の取得機能の少なくとも一方において起動信号取得の判断がされたときは起動信号が取得され、
2つの前記起動信号および停止信号の取得機能の双方で停止信号取得の判断がされたときに停止信号が取得され、
前記取得した起動信号および停止信号によって前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置(10)。
【0014】
]定速圧縮機グループ(310,320,330,331)の起動予定機の最大仮想容量と起動仮想容量設定値と停止仮想容量設定値の合計した第1合計値を算出し、
運転している前記インバーター圧縮機それぞれの圧力調整仮想容量を合計した総圧力調整仮想容量の値を算出し、
前記第1合計値が総圧力調整仮想容量の値よりも小さいときは、定速圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、
前記第1合計値が総圧力調整仮想容量の値以上であるときは、インバーター圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、
インバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量から最小負荷率仮想容量を減じたものを前記圧力調整仮想容量とし、運転中のインバーター圧縮機の中の停止予定のインバーター圧縮機を除いたものの各圧力調整仮想容量の合計を総圧力調整仮想容量として算出し、運転中の定速圧縮機の中で最大仮想容量の最も大きなものの最大仮想容量と、前記起動仮想容量設定値と前記停止仮想容量設定値との合計である第2合計値を算出し、
第2合計値が総圧力調整仮想容量よりも小さいときは、インバーター圧縮機の停止予定機を停止指定機とし、
第2合計値が総圧力調整仮想容量以上のときは、定速圧縮機の停止予定機を停止指定機とすることを特徴とする前記[2]に記載の圧縮機運転制御装置(10)。
【0015】
]インバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量から最小負荷率仮想容量を減じたものを圧力調整仮想容量とし、運転中のインバーター圧縮機の中の停止予定のインバーター圧縮機を除いたものの各圧力調整仮想容量の合計を総圧力調整仮想容量として算出し、
起動の率設定値と停止の率設定値との加算値を100で除算した値を総運転仮想容量に乗算して該乗算値を算出し、該乗算値に起動予定機の定速圧縮機の最大仮想容量を加算した加算値を算出し、該加算値と現在運転中のインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量とを比較し、
前記最大仮想容量を加算した加算値が前記総圧力調整仮想容量よりも小さいとき、定速圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、前記最大仮想容量を加算した加算値が前記総圧力調整仮想容量以上のときインバーター圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、
起動の率設定値と停止の率設定値の合計を100で除算した除算値を算出し、運転中の定速圧縮機で最大仮想容量の最も大きな圧縮機の最大仮想容量を除く最大仮想容量合計値と運転中のインバーター圧縮機の総実負荷仮想容量とを加算した第3合計値に前記除算値を乗算して乗算値を算出し、該乗算値と運転中の定速圧縮機で最大仮想容量の最も大きな圧縮機の最大仮想容量の加算値αを算出し、該加算値αと運転中の停止予定のインバーター圧縮機以外のインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量の値βとを比較し、
αがβよりも小さいとき、インバーター圧縮機の停止予定機を停止指定機とし、
αがβ以上であるとき、定速圧縮機の停止予定機を停止指定機とすることを特徴とする前記[3]に記載の圧縮機運転制御装置(10)。
【0016】
]前記[]に記載された圧縮機運転制御装置(10)における起動指定機および停止指定機を選択する指定機選択機能と、前記[]に記載された圧縮機運転制御装置(10)における起動指定機および停止指定機を選択する指定機選択機能とを備え、
起動予定機の指定については、前記指定機選択機能の双方で得られた選択が同じであれば、選択通りに起動予定機を指定し、前記指定機選択機能の少なくとも一方がインバーター圧縮機の起動予定機を選択したときはインバーター圧縮機を起動指定機とし、
停止予定機の指定については、前記指定機選択機能の双方で得られた選択が同じであれば、選択通りに停止予定機を指定し、少なくとも一方がインバーター圧縮機を選択したときはインバーター圧縮機の停止予定機を停止指定機として、前記複数台の圧縮機(210,211,220,230,310,320,330,331)の起動および停止を制御することを特徴とする圧縮機運転制御装置(10)。
【0017】
前記本発明は次のように作用する。
前記[1]に係る圧縮機運転制御装置(10)によれば、1台のインバーター圧縮機を基準圧縮機として設定し、該基準圧縮機の吐出風量に対する他の圧縮機それぞれの吐出風量の割合を各圧縮機の仮想容量とし、該仮想容量を用いて前記複数台の圧縮機の起動および停止を制御するので、供給する圧縮空気の圧力変化の計測をすることなく圧縮機の運転制御が可能である。
【0018】
前記[2]、[3]および前記[]に係る圧縮機運転制御装置(10)によれば、圧縮機の起動および停止についてそれぞれ仮想容量に対する設定値を設定し、起動信号および停止信号の取得をするので、設定値を適宜に選択することにより、圧縮機の運転制御を最適に調整することができる。
【0019】
前記[]に係る圧縮機運転制御装置(10)によれば、仮想容量に対する設定値を種類の異なるもので設定することができるので、圧縮機の運転制御における起動信号および停止信号取得のための判断の態様を広げることができる。
【0020】
前記[]および前記[]に係る圧縮機運転制御装置(10)によれば、起動信号および停止信号の取得から起動予定機の指定および停止予定機の指定まで、供給圧縮空気の圧力を計測せずに種々の仮想容量と予め適宜に設定できる設定値とで行うので、圧縮機の運転制御をさらに最適に調整することができる。
【0021】
前記[]に係る圧縮機運転制御装置(10)によれば、起動信号および停止信号の取得から起動予定機の指定および停止予定機の指定まで、供給圧縮空気の圧力を計測せずに種々の仮想容量と予め適宜に設定できる設定値とで行い、仮想容量に対する設定値には種類の異なるもので設定することができるので、圧縮機の運転制御における起動信号および停止信号取得のための判断の態様をさらに広げることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る圧縮機運転制御装置によれば、供給する圧縮空気の圧力変化の計測を圧縮機の運転制御に用いることのない、圧力一定による制御であるから、圧縮機の起動時の吐出圧縮空気の遅延による圧力降下は、運転中のインバーター圧縮機の無負荷容量によって防ぐことができ、これによって供給圧力を供給先が必要としている圧力に限りなく近づけて送出することができるので、無駄な電力消費を無くして消費電力の削減をすることができる。
【0023】
また、圧縮機の追加起動時における、過剰な吐出容量は、インバーター圧縮機で吸収できるようインバーター圧縮機と定速圧縮機の起動や停止の順序を選択するので、圧力の上昇による電力の消費も防ぐことができる。
【0024】
また、基準圧縮機を定めて、仮想容量化をし、基準圧縮機と他の個々の圧縮機を並列運転して、基準圧縮機と他の圧縮機の吐出容量比を求めることで、基準圧縮機の仮想容量表現と他圧縮機の容量表現を統一しているので、運転最大仮想容量や運転仮想容量のそれぞれを合計することが可能となり、総無負荷仮想容量を用いた制御を可能にしている。さらに、容量の異なる複数台のインバーター圧縮機と容量の異なる複数台の定速圧縮機とを並列運転する制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施の形態に係る圧縮機運転制御装置の制御の全体の概略を示す制御フローである。
図2】本発明の一実施の形態に係る圧縮機運転制御装置によって制御される圧縮空気供給装置の構成の概略を示す概略構成図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る圧縮機運転制御装置の制御による起動予定機の選択を示すフローである。
図4】本発明の一実施の形態に係る圧縮機運転制御装置の制御による停止予定機の選択を示すフローである。
図5】実施例を概略して示す構成図である。
図6】実施例における圧縮機運転制御装置に表示されるシステム制御単位選択画面を示す画面図である。
図7】実施例における圧縮機運転制御装置に表示されるコンプレッサの機種と基準機の選択画面を示す画面図である。
図8】実施例における圧縮機運転制御装置に表示される1号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定画面を示す画面図である。
図9】実施例における圧縮機運転制御装置に表示される2号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定画面を示す画面図である。
図10】実施例における圧縮機運転制御装置に表示される3号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定画面を示す画面図である。
図11】実施例における圧縮機運転制御装置に表示される4号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定画面を示す画面図である。
図12】実施例における圧縮機運転制御装置に表示される5号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定画面を示す画面図である。
図13】実施例における圧縮機運転制御装置に表示されるコンプレッサ大中小容量設定と切替制御の設定の画面を示す画面図である。
図14】実施例における圧縮機運転制御装置に表示される設定の方法の説明を示す画面図である。
図15】実施例における運転最大電気仮想容量及び運転電気仮想容量の推移を示すグラフである。
図16】実施例における運転最大電気仮想容量及び運転電気仮想容量の推移を示すグラフである。
図17】実施例における運転最大電気仮想容量及び運転電気仮想容量の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施の形態を説明する。
各図は本発明の一実施の形態を示している。
図1は、本実施の形態に係る圧縮機運転制御装置10の制御の全体の概略を示す制御フローである。図2は、圧縮機運転制御装置10によって制御される圧縮空気供給装置1の概略を示す概略構成図である。
【0027】
圧縮空気供給装置1は、圧縮機に複数台のインバーター圧縮機20と複数台の定速圧縮機30を備えており、これら複数台の圧縮機20,30を並列運転させて圧縮空気を生成させる。駆動している圧縮機が生成した圧縮空気は、圧縮空気配管40を通って合流して空気槽50へ貯められてから供給先へ送り出される。
【0028】
インバーター圧縮機20は、インバーターによって回転数を変更することにより、吐出圧力を一定のままに吐出風量の調整が可能なものである。図2においては、2台の大容量のインバーター圧縮機210,211と、1台の中容量のインバーター圧縮機220と、1台の小容量のインバーター圧縮機230とが複数台のインバーター圧縮機20として例示されている。
【0029】
これらは、圧力検出手段、吐出圧力の設定手段、インバーター、モーター、空気圧縮装置等が一体型になった所謂パッケージ型コンプレッサと称されるものであり、空気圧縮装置の回転数が一定のスクリュー型コンプレッサで、スクリュー部にスライド弁構造を有しており、吐出圧力を一定のままで吐出風量が可変なものである。インバーターはPID制御がなされている。
【0030】
定速圧縮機30は、一定の回転数で圧縮空気を一定の吐出風量で生成するものである。図2においては、1台の大容量の定速圧縮機310と、1台の中容量の定速圧縮機320と、2台の小容量の定速圧縮機330,331とが複数台の定速圧縮機30として例示されている。
【0031】
定速圧縮機30は、回転数が一定で、吐出風量の調整には圧力変動を伴うものや回転数が一定で、吐出風量の調整に圧力スイッチにより吐出風量をON、OFFするものである。あるいは、圧力スイッチにより電動機をON、OFFするものである。
【0032】
なお、図2において、圧縮機運転制御装置10と各圧縮機20,30との間には所定の配線がされている。また、図2において、実践の矢印は後述する起動信号および停止信号を示し、細かい破線の矢印は各圧縮機から送られてくる負荷の状況を通知する信号を示し、もう一つの破線で示した矢印は運転中であることを通知する信号を示している。
【0033】
圧縮機運転制御装置10は、プログラマブルコントローラーを備えている。また、操作者が行う各種設定等を行うための操作部を備えている。制御の条件設定および運転状態の表示は、例えばタッチパネルによって行われる。
【0034】
プログラマブルコントローラーには、台数制御のための台数制御プログラムと制御条件を設定するための制御条件設定プログラムが組み込まれている。台数制御プログラムとしては、圧縮機を起動するための起動プログラム、運転中の圧縮機を停止させるための停止プログラム、インバーター圧縮機と定速圧縮機の運転台数制御の最適化プログラム、インバーター圧縮機と定速圧縮機のグループ分とそのグループ内のコンプレッサ容量別グループ化プログラム、起動予定機および停止予定機を小容量機あるいは小容量機グループから選択するための選択プログラム、圧縮空気供給装置1の初期運転をするための初期運転プログラム等である。
【0035】
制御条件の設定プログラムとしては、仮想容量単位の選択、コンプレッサ機種と基準機の選択、各コンプレッサの測定方法の選択と仮想容量の設定、起動信号のための設定、停止信号のための設定、停止信号取得時間の設定、コンプレッサの大中小容量の指定、インチング時間の設定、初期運転時間の設定、コンプレッサの運転選択(連続、自動、切の選択)、圧縮機運転制御装置の操作スイッチ(入、切)等の設定などを操作者に促し、操作者の操作を受けて各設定等をするためのプログラムである。
【0036】
次に、圧縮機運転制御装置10による制御を説明する。
本実施の形態では、複数台のインバーター圧縮機20の中から基準圧縮機を1台定めて仮想容量化(定義は後述する。)をし、選択した基準圧縮機と他の個々のコンプレッサを並列運転して、基準圧縮機と他の個々のコンプレッサの吐出容量比を求めることで、基準圧縮機の仮想容量表現と他の圧縮機の容量表現を統一し、これにより、定義を後述した運転最大仮想容量や運転仮想容量のそれぞれを合計することが可能となり、総無負荷仮想容量を用いた制御を可能にしている。
【0037】
ここで、上記の基準圧縮機の選択は、大容量のインバーター圧縮機210,211で吐出風量の割合を負荷率で示される機種を指定する。負荷率が示されないインバーター圧縮機を用いるときは、あらかじめ運転電流、消費電力、風量などの測定により負荷率を求めておけばよい。吐出風量と負荷率、運転電流値、あるいは消費電力値の関係はほぼ比例の関係にある。
【0038】
したがって、予め微細な圧力調整部の上限風量時(以下、「最大風量時」という。)と微細な圧力調整部の下限風量時(以下、「最小風量時)という。)それぞれの測定値を記録しておけば、2点の測定値により、運転中の電流測定値、電力測定値から実吐出風量を負荷率として算出することができる。
【0039】
[基準圧縮機の仮想容量化]
基準圧縮機の仮想容量化をするには、事業所等の始業前等、圧縮空気供給先の圧縮空気の負荷が一定のときに、基準圧縮機の吐出圧力を圧縮空気供給先の供給圧力に設定して基準圧縮機を運転させる。次に、圧縮空気の負荷の調整をして、最大風量時に運転させたときの負荷率を記録する。この最大風量時の負荷率を基準圧縮機の最大負荷率仮想容量と定義する。次に、圧縮空気の負荷の調整をして最小風量時に運転させたときの負荷率を記録する。この最小風量時の負荷率を基準圧縮機の最小負荷率仮想容量と定義する。
【0040】
[他のインバーター圧縮機の仮想容量化]
基準圧縮機以外のインバーター圧縮機を仮想容量化するには、基準圧縮機の吐出圧力を圧縮空気供給先の供給圧力に設定して基準圧縮機を略最大風量で運転させる。このときの基準圧縮機の第1負荷率を記録し、続いて、比較する他のインバーター圧縮機の一つを最大風量と最小風量で運転させる。このとき、最大風量で運転させたときの基準圧縮機の第2負荷率と最小風量で運転させたときの基準圧縮機の第3負荷率を記録する。
【0041】
ここで、第1負荷率−第2負荷率=比較したインバーター圧縮機の最大負荷率仮想容量
と定義する。
また、第1負荷率−第3負荷率=比較したインバーター圧縮機の最小負荷率仮想容量
と定義する。
【0042】
[定速圧縮機の仮想容量化]
前記と同様に、基準圧縮機を略最大風量で運転させたときの基準圧縮機の第1負荷率を記録し、続いて、比較する定速圧縮機を運転させたときの基準圧縮機の第4負荷率を記録する。
ここで、第1負荷率−第4負荷率=比較した定速圧縮機の最大負荷率仮想容量
と定義する。
【0043】
以上のような負荷率仮想容量は、基準圧縮機の最大吐出風量時が例えば100%や103%等として得られ、比較する圧縮機の吐出容量比が例えば80%や50%等として得られる。以下、このような負荷率のままで表現した仮想容量を「率(%)仮想容量」と称することにする。
【0044】
この率(%)仮想容量のままでも制御は可能であるが、圧縮機運転制御装置10の取扱者が理解しやすい概念表現として、電気仮想容量と風量仮想容量の2つの概念を用いることもできる。
【0045】
「電気仮想容量」とは、負荷率仮想容量の%表示の数値を小数点表示に変更した数値に、基準圧縮機の軸動力値(カタログ値)を乗算したものであり、単位はkWである。
「風量仮想容量」とは、負荷率仮想容量の%表示の数値を小数点表示に変更した数値に基準圧縮機の吐出風量値(カタログ値)を乗算したものであり、単位はm/分である。
なお、カタログ値とは、圧縮機のメーカーによって当該圧縮機について表示されている値である。
【0046】
[仮想容量による起動信号と停止信号の取得]
次に、圧縮機を起動させるための起動信号と圧縮機を停止させるための停止信号とを仮想容量を用いて取得する場合を説明する。
【0047】
ここで、総運転仮想容量と総無負荷仮想容量とを定義しておく。
「総運転仮想容量」とは、運転中の定速圧縮機の最大仮想容量である運転最大仮想容量の合計と、実際に負荷を受けて運転中のインバーター圧縮機の仮想容量である実負荷仮想容量の合計との加算値をいう。
【0048】
「総無負荷仮想容量」とは、運転中のインバーター圧縮機の最大仮想容量の合計から、運転中のインバーター圧縮機の実負荷仮想容量の合計の減算値をいう。
この総無負荷仮想容量に対して、「起動仮想容量設定値」と「停止仮想容量設定値」との設定を行い、起動仮想容量設定値と総無負荷仮想容量とを比較して起動信号を得て、起動仮想容量設定値、停止仮想容量設定値および圧縮機の仮想容量を加算したものと総無負荷仮想容量とを比較して停止信号を得る。停止信号の取得に対しては、停止信号取得待機時間の設定も行う。このための「停止信号取得待機時間設定値」は、停止の判断がされてから停止信号を得て停止を実行するまでの所定の時間を設定するものである。
【0049】
ここで、「起動仮想容量設定値」は、総無負荷仮想容量が該起動仮想容量設定値以上を保って、余裕をもって圧縮機を起動させることができる値に設定する。また「停止仮想容量設定値」は、圧縮機が停止後すぐに起動信号を得ないよう、停止後から起動信号検出までの間に総無負荷仮想容量を得られる値に設定する。この起動仮想容量設定値は、供給先の圧縮空気の使用変動や圧縮機の設備容量によって決める。
【0050】
図3は、起動予定機選択フローである。供給先での圧縮空気の使用量が増大して、総無負荷仮想容量が起動仮想容量設定値より小さくなったとき(ステップS11)起動信号が取得される(ステップS12)。
【0051】
なお、起動仮想容量設定値に大小の2つの設定値を設けて、大きい起動仮想容量設定値で起動信号を得たときの起動間隔時間を長く(3分間程度)設定し、小さい起動仮想容量設定値で起動信号を得たときの起動間隔時間を短く(30秒程度)設定することにより、緩やかな総無負荷仮想容量の減少に対応した通常の起動信号と、急激な総無負荷仮想容量の減少に対応した緊急の起動信号とに分けて起動信号を取得することができる。
【0052】
図4は、停止予定機選択フロー図である。供給先での圧縮空気の使用量が減少して、総無負荷仮想容量が、起動仮想容量設定値と停止仮想容量設定値と停止予定機の仮想容量の3つの合計より大きくなったとき停止許可信号が取得される。なお、停止予定機の仮想容量とは、定速圧縮機にあっては、停止予定機の最大仮想容量、インバーター圧縮機にあっては停止予定機の実負荷仮想容量である。停止の判断がされると、停止信号取得待機時間を経過した後、停止予定機の停止を実行する。停止の判断がされると、停止許可信号が出され、停止信号取得待機時間を経過した後、停止信号を取得し実行する。
【0053】
[率設定値による起動信号と停止信号の取得]
次に、率設定値を用いて起動信号と停止信号とを取得する場合について説明する。この場合は、総運転仮想容量に対する率(%)の設定値を設定する。この率設定値は%表示とする。ここで、「総運転仮想容量」とは、運転中の定速圧縮機の最大仮想容量の合計と運転中のインバーター圧縮機の実負荷仮想容量の合計の加算値である。このため、起動信号のための仮想容量と停止許可信号のための仮想容量が総運転仮想容量に比例して変動する。
【0054】
この総運転仮想容量に対する、停止の率設定値あるいは停止の率設定値の設定および停止信号についての停止信号取得待機時間の設定を行う。
パーセント表示の停止の率設定値に1/100を乗算して得られた値を総運転仮想容量に乗算して起動のための仮想容量を算出する。該起動のための仮想容量と総無負荷仮想容量を比較して、起動のための仮想容量の方が大きいときに起動信号が取得される。
【0055】
パーセント表示の停止の率設定値と停止の率設定値とを加算して1/100を乗算した値を算出する。この算出値を総運転仮想容量から停止予定機の仮想容量を減算した仮想容量に乗算し、この乗算値に停止予定機の仮想容量を加算して停止のための仮想容量を算出する。
【0056】
この停止のための仮想容量と総無負荷仮想容量を比較して、停止のための仮想容量が総無負荷仮想容量よりも小さいときに停止許可信号を得て、停止信号取得待機時間を経過後、停止信号が取得される。
【0057】
圧縮機の運転台数が少ないときに、率(%)設定値が小さいと、総無負荷仮想容量が少なく、圧縮機への起動信号が遅れる場合が想定される。また、圧縮機の運転台数が多いときに、率(%)設定値が大きいと、総無負荷仮想容量が大きくなりすぎて、無駄な運転が増えて省エネ運転に反することが想定される。
【0058】
そのようなことから、総運転仮想容量の最大値を想定して、総運転仮想容量に対する率(%)設定を行い、総運転仮想容量が小さいときは、パーセント表示でない起動仮想容量設定値による起動信号および停止信号の取得の判断と、停止仮想容量設定値による起動信号および停止信号の取得の判断とを組み合わせて使用することにより、より良い制御を実現することができる。
【0059】
この場合、起動信号にあっては、何れか一方によって起動信号を取得する判断がなされれば起動信号を取得し、停止信号にあっては、双方共に停止許可信号を取得する判断がなされた場合にのみ、停止信号取得時間が経過したときに停止信号を取得する。
【0060】
本実施の形態に係る圧縮機運転制御装置では、事前にインバーター圧縮機と定速圧縮機のグループ分けの設定をする。それぞれのグループ内は、起動予定機と停止予定機の輪番化を行う。輪番化は予め操作者が設定しておく。
【0061】
また、容量の異なる圧縮機があるとき、必要に応じてグループ内でさらに大容量機グループ、中容量機グループ、小容量機グループといった複数の大小容量グループ分けを行い、それぞれのグループ内の起動予定機と停止予定機を輪番化するとよい。待機中の圧縮機を起動させるときは、小容量圧縮機を優先起動させる。運転中の圧縮機を停止させるときは、小容量圧縮機を優先停止させる。これにより、省エネが図れる。
【0062】
次に、圧縮機運転制御装置10において、総無負荷仮想容量が減少して、起動信号の取得に至ったとき、インバーター圧縮機グループと定速圧縮機グループの両方に起動予定機があるとき、いずれのグループの次期起動予定機を起動指定機に選択するかについて説明する。
【0063】
起動信号が発生した直後では、インバーター圧縮機および定速圧縮機共に起動仮想容量設定値の総無負荷仮想容量を残してほぼ全負荷運転である。
仮に、次期起動予定機にインバーター圧縮機グループの起動予定機を指定して、当該圧縮機を起動したときの供給圧力に与える影響を考察すると、当該インバーター圧縮機の最大仮想容量の内、多くの部分の70〜90%は当該圧縮機の圧力調整機能部分であり供給圧力に影響を与えない。
【0064】
なお、インバーター型コンプレッサの吐出圧力を定速型コンプレッサの標準整備圧力以下に設定してインバーター型コンプレッサを運転させている状態で定速型コンプレッサを運転したときに、定速型コンプレッサは全負荷運転になる。ここで、定速型コンプレッサの「標準整備圧力」とは、モーター負荷が定格値となるように調整したメーカー指定の吐出圧力である。
【0065】
残る固定仮想容量(下限風量以下の仮想容量)30〜10%が過剰風量となる仮想容量である。この過剰風量は全負荷に近い仮想容量で運転中のインバーター圧縮機の負荷運転を減少させることで吸収される。
ここで、固定仮想容量の大きなインバーター圧縮機の起動予定機とそのインバーター圧縮機の固定仮想容量より小さい最大仮想容量の定速圧縮機が起動する場合については、まれなケースであるので考慮しない。
【0066】
本実施の形態に係る圧縮機運転制御装置10では、常識的な設備状態のインバーター圧縮機と定速圧縮機を対象としているので、インバーター圧縮機であればいつでも起動可能である。
【0067】
一方、定速圧縮機グループにあって、次期起動予定機に定速圧縮機グループを指定して、起動予定機の当該定速圧縮機が起動したときの、当該定速圧縮機の最大仮想容量の過剰風量による圧力上昇の有無と当該定速圧縮機が停止する場合に必要な総圧力調整仮想容量を考察する。ここで、「総圧力調整仮想容量」とは、「インバーター型圧縮機の最大仮想容量(最大負荷率仮想容量)−最小仮想容量(最小負荷率仮想容量)=圧力調整仮想容量」としたときに、インバーター型圧縮機が複数台運転しているときの個々の圧力調整仮想容量の合計をいう。
【0068】
起動信号が発生した直後では、インバーター圧縮機と定速圧縮機共に起動仮想容量設定値相当の総無負荷仮想容量を残してほぼ全負荷運転である。この条件はインバーター圧縮機が起動するときと同じ条件である。
【0069】
このとき、起動予定の定速圧縮機が起動すれば、当該定速圧縮機の最大仮想容量のほぼ全量が一時的に余剰風量となる。この余剰風量を運転中のインバーター圧縮機(複数台)の総圧力調整仮想容量によって吸収しなければならない。
【0070】
このとき、運転中のインバーター圧縮機の必要な総圧力調整仮想容量は、起動仮想容量設定値と起動した定速圧縮機の最大仮想容量の合計である。
その後、当該定速圧縮機が停止に至ったとき、停止演算に必要なインバーター圧縮機の必要総圧力調整仮想容量は、当該定速圧縮機の最大仮想容量と起動仮想容量と停止仮想容量の合計である。
【0071】
以上、起動信号取得と停止信号取得の必要総圧力調整仮想容量を比較すれば、起動時より停止のときの方が停止仮想容量設定値分大きい値の総圧力調整仮想容量が必要である。
【0072】
したがって、本発明では、当該定速圧縮機が起動する前に、現在運転中のインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量によって、起動予定機の定速圧縮機が起動したときの仮停止演算を行って定速圧縮機の停止の可否の判断を行う。判断の結果が停止可であるときは当該定速圧縮機を起動指定機とする。一方、総圧力調整仮想容量が不足して停止否の判断結果のときはインバーター圧縮機グループの起動予定機を起動指定機とする。
【0073】
[起動と停止の設定値が仮想容量の場合の起動グループの選択]
図3のステップS13に示したように、定速圧縮機グループの起動予定機の最大仮想容量と起動仮想容量設定値と停止仮想容量設定値の合計値を算出する。一方、運転しているインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量の合計を算出する。
【0074】
ここで、定速圧縮機グループの起動予定機の最大仮想容量と起動仮想容量設定値と停止仮想容量設定値の合計値(以下、第1合計値という。)が運転しているインバーター圧縮機の個々の圧力調整仮想容量の合計である総圧力調整仮想容量の値よりも小さいときは、定速圧縮機の起動予定機を起動指定機とする(ステップS14)。
【0075】
第1合計値が総圧力調整仮想容量の値以上であるときは、インバーター圧縮機の起動予定機を起動指定機とする(ステップS15)。なお、第1合計値が総圧力調整仮想容量の値と等しい場合は、定速圧縮機、インバーター圧縮機のどちらを起動指定しても良いが、本実施の形態では、確実に停止確認のできるインバーター圧縮機を選択した。
【0076】
[起動と停止の設定値が仮想容量の場合の停止グループの選択]
図4のステップS21〜S26に示したように、総無負荷仮想容量が増大して、停止許可信号を得るに至り、インバーター圧縮機グループと定速圧縮機グループの両方に停止予定機があるとき、いずれのグループの停止予定機を次期停止予定機とするかを説明する。
【0077】
停止許可信号が発生する状況下では、およそインバーター圧縮機は軽負荷運転をしており、定速圧縮機は、定格あるいは定格以下の吐出圧力で運転していることから、全負荷運転をしていることが想定される。
このとき、インバーター圧縮機は軽負荷で運転仮想容量(実負荷仮想容量)が小さく、全負荷運転している定速圧縮機に比べて停止させやすい。
【0078】
ただし、固定仮想容量の大きなインバーター圧縮機停止予定機とインバーター圧縮機の固定仮想容量より小さい最大仮想容量の定速圧縮機が停止予定機の場合について考察すべきであるが、そのようなケースは稀でありここでは考慮しない。
【0079】
本実施の形態では、常識的な設備状態のインバーター圧縮機と定速圧縮機を対象として、インバーター圧縮機であればいつでも停止可能といえる。本実施の形態では、停止のためにより多くの総圧力調整仮想容量を必要とする定速圧縮機の停止の可否を判断することによって停止予定機の選択を行う。
【0080】
その判断のために、先ず、停止予定のインバーター圧縮機を除く運転中のインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量を用いて運転中の定速圧縮機の中で、最大仮想容量の最も大きい圧縮機の停止の可否を判断する。
当該定速圧縮機が停止可のときは、インバーター圧縮機の停止予定機を次期停止指定機にする。また、当該定速圧縮機が停止否のときは定速圧縮機の停止予定機を次期停止指定機とする。
【0081】
[起動と停止の設定値が仮想容量による場合の停止グループの選択]
運転しているインバーター圧縮機で停止予定のインバーター圧縮機を除いたものの総圧力調整仮想容量を算出し、運転中の定速圧縮機の中で最大仮想容量が最も大きな圧縮機の最大仮想容量と起動仮想容量設定値と停止仮想容量設定値の合計値(以下、第2合計値という。)を算出する。
【0082】
第2合計値が総圧力調整仮想容量よりも小さいときは、最大仮想容量の最も大きい圧縮機の停止が可であるので、インバーター圧縮機の停止予定機が停止指定機とされて停止する(ステップS28)。第2合計値が総圧力調整仮想容量以上のときは、最大仮想容量の最も大きい圧縮機の停止が否であるので、定速圧縮機の停止予定機が停止指定機とされて停止する(ステップS29)。
【0083】
[起動と停止の設定値が率(%)による場合の起動グループの選択]
次に、起動と停止のための設定値に率(%)設定値を用いた場合において起動グループの選択をする場合について説明する。
【0084】
起動の率設定値と停止の率設定値との加算値を100で除算した値を総運転仮想容量に乗算して乗算値を算出し、該乗算値に起動予定機の定速圧縮機の最大仮想容量を加算した加算値を算出し、該加算値と現在運転中のインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量とを比較する。
【0085】
前記加算値が総圧力調整仮想容量よりも小さいとき、定速圧縮機の起動予定機を起動指定機とし、前記加算値が総圧力調整仮想容量以上のときインバーター圧縮機の起動予定機を起動指定機とする。
【0086】
なお、前記加算値と総圧力調整仮想容量が等しいときは、定速圧縮機、インバーター圧縮機のどちらを起動指定機に指定しても良いが、本実施の形態では、確実に停止確認のできるインバーター圧縮機を起動指定機とした。
【0087】
[起動と停止の設定値が率(%)による場合の停止グループの選択]
次に、起動と停止のための設定値に率(%)設定値を用いた場合において停止グループの選択をする場合について説明する。
【0088】
起動の率設定値と停止の率設定値の合計を100で除算した除算値を算出する。
運転中の定速圧縮機で最大仮想容量の最も大きな圧縮機の最大仮想容量を除く最大仮想容量の合計値と運転中のインバーター圧縮機の総実負荷仮想容量とを加算した第3合計値に前記除算値を乗算して乗算値を算出し、該乗算値と運転中の定速圧縮機で最大仮想容量の最も大きな圧縮機の最大仮想容量の加算値αを算出し、該加算値αと運転中の停止予定のインバーター圧縮機以外のインバーター圧縮機の総圧力調整仮想容量の値βとを比較する。
【0089】
αがβよりも小さいとき、インバーター圧縮機の停止予定機を停止指定機とする。αがβ以上であるとき、定速圧縮機の停止予定機を停止指定機とする。α=βのときは、定速圧縮機、インバーター圧縮機のどちらを停止指定にしても良いが、本実施の形態では、確実に停止確認のできる定速圧縮機を停止指定機に選択した。
【0090】
[起動と停止の設定値に仮想容量設定値と率(%)設定値を併用した場合の起動グループ選択]
仮想容量による設定値と率(%)による設定値との2種類の設定値を併用して、起動信号と停止信号とを取得できるようにした場合、仮想容量による設定値と率(%)による設定値とで異なる起動指定機および停止指定機の選択が発生し得る。
【0091】
この場合は、起動機の指定については、2つの設定で得られた結果が同じであれば指定の通りとする。また、少なくともいずれか一方がインバーター圧縮機の起動予定機を指定したときはインバーター圧縮機を起動指定機とする。
【0092】
また、停止機の指定については、2つの設定で得られた結果が同じであれば指定の通りとする。また、少なくともいずれか一方がインバーター圧縮機を停止指定したときはインバーター圧縮機の停止予定機を停止指定機とする。
【0093】
なお、基準圧縮機の圧力調整仮想容量を超えるような、他の圧縮機の仮想容量を求める場合は、すでに測定したインバーター圧縮機と基準圧縮機との複数台のインバーター圧縮機を運転させ、この複数台の圧縮機の圧力調整仮想容量を基準圧縮機の圧力調整仮想容量として測定する。
【0094】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【実施例】
【0095】
以下、本実施の形態に係る圧縮機運転制御装置を用いて実施した圧縮機運転制御を記載する。
[100]実施例に使用したコンプレッサ
1.1号機 75kWインバーター型コンプレッサ 1台
2.2号機 75kW定速型(オイル入り)コンプレッサ 1台
3.3号機 55kW定速型(オイル入り)コンプレッサ 1台
4.4号機 37kWインバーター型コンプレッサコンプレッサ 1台
5.5号機 37kW定速型(オイル入り)コンプレッサ 1台
【表1】
【表2】
このコンプレッサはいずれも定格吐出圧力0.69MPa。
圧縮機運転制御装置には、制御に必要な配線が接続されている。
【0096】
実施例の構成を図5に示す。
[101] インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの最適運転台数制御装置(以下略して、圧縮機運転制御装置と云う)は、プログラマブルコントローラーとタッチパネルにより構成されている。
プログラマブルコントローラーには次のプログラムが組み込まれている。
制御の条件設定および運転状態の表示はタッチパネルによって行われる。
圧縮機運転制御装置と各コンプレッサには所定の配線がされている。
【0097】
1.台数制御プログラム、
(1)起動プログラム
(2)停止プログラム
(3)インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数制御の最適化プログラム
(4)インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサのグループ分とそのグループ内のコンプレッサ容量別グループ化プログラム
(5)起動予定機および停止予定機を小容量機あるいは小容量機グループから選択プログラム
(6)初期運転プログラム
【0098】
2.制御条件の設定プログラム
(1)仮想容量単位の選択
(2)コンプレッサ機種と基準機の選択
(3)各コンプレッサの測定方法の選択と仮想容量の設定
(4)起動信号のための設定
(5)停止信号のための設定、停止信号取得時間の設定
(6)コンプレッサの大中小容量の指定
(7)インチング時間の設定
(8)初期運転時間の設定
(9)コンプレッサの運転選択(連続、自動、切の選択)
(10)圧縮機運転制御装置の操作スイッチ(入、切)
起動信号と停止信号は仮想容量設定値と率(%)設定値が併用される。
【0099】
[102]圧縮機運転制御装置への設定
[102−1]仮想容量の種別の選択
初期設定1 図6に示した「システム制御単位選択」画面の、率仮想容量、電気仮想容量、風量仮想容量、の中から、電気仮想容量を選択した。
【0100】
[102−2]コンプレッサの機種と基準機の選択
初期設定2 図7に示した「コンプレッサの機種と基準機の選択」画面に下記を選択設定した。
基準コンプレッサを選択すると他機は否の表示となる。
1号機75kWインバーター型コンプレッサ(inv) 基準コンプレッサは採用を選択
2号機75kW定速型コンプレッサ(normal) 基準コンプレッサは否を表示
3号機55kW定速型コンプレッサ(normal) 基準コンプレッサは否を表示
4号機37kWインバーター型コンプレッサ(inv) 基準コンプレッサは否を表示
5号機37kW定速型コンプレッサ(normal) 基準コンプレッサは否を表示
【0101】
[102−3]コンプレッサ運転による電気仮想容量の設定
以下[102−3−2]〜[102−3−6]項の「コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定」は、圧縮空気の使用量の変動のない事業所の休日を利用して行う。
実施例では、基準コンプレッサの仮想容量化を先に行い、その仮想容量に対する他のコンプレッサの仮想容量を求める。
【0102】
[102−3−1]設定画面の説明
(1)(初期設定3−1〜5画面) (図8〜12)「○号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定」画面の説明を行う。
(2)「機種の選択表示」は前記、初期設定2「コンプレッサの機種と基準機の選択」画面で選択したinv(インバーター型コンプレッサ)あるいはnormal(定速型コンプレッサ)が表示されている。
【0103】
(3)「基準コンプレッサの選択表示」は、前記、初期設定2「コンプレッサの機種と基準機の選択」画面で選択した採用が表示されている。
(4)画面中の※1(以下、※印付で示した符号は、画面中の符号を示す。)の「測定方法の選択」は、インバーター型コンプレッサのみ選択を行う。
初期設定2「コンプレッサの機種と基準機の選択」画面で定速型コンプレッサを選択したコンプレッサは否が表示される。
【0104】
(5)※2の「測定値の設定」では「最大風量時」「最小風量時」のとき※3で表示された値を書き込みする。
(6)※3は測定値の現在値が表示される。
(7)※4は、運転中のインバーター型コンプレッサの※7と※3の乗算値の合計値が表示される。
(実施の形態では運転仮想容量の合計を略して運転仮想容量としている。)
【0105】
(8)※5は、※4で「記憶1」を押したとき「インバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」が表示される。
(9)※6では、※5の「インバーター型コンプレッサと被測定コンプレッサが並列運転したときのインバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」のとき「記憶2」が押されたとき※5が固定された後、「計算」を押したとき※4から※5の減算値が※6に表示される。
【0106】
(10)※7は、※6に表示された仮想容量を書き込みする。
(11)「現在値の表示」および「最大仮想容量の設定」における単位は初期設定1「システム制御単位選択」画面の選択による電気仮想容量よりkWが表示されている。
【0107】
[102−3−2]1号機75kWインバーター型コンプレッサの電気仮想容量の設定
(1)「1号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定」画面を呼び出す。(初期設定3−1画面)(図8
(2)「機種の選択表示」にはinv(インバーター型コンプレッサ)が表示されている。
【0108】
(3)「基準コンプレッサの選択表示」には、採用が表示されている。
(4)※1の「測定方法の選択」は、負荷率(コンプレッサから送出される)を選択した。
(5)※7の「最大仮想容量の設定」に、基準コンプレッサは初期設定1で電気仮想容量を選択しているので、カタログ値の軸動力75kWの75を書き込みした。
【0109】
(6)基準コンプレッサに事業所に送出する吐出圧力の0.57MPaを設定した。
(7)基準コンプレッサを起動させて、圧縮空気の負荷を調整して最大吐出風量で運転させた。
そのとき※3の「現在測定値の表示」に100が表示された。
100を※2の「最大風量時」に記録した。このとき※4に75が表示された。
次に圧縮空気の負荷を調整して最小負荷で運転させた。
そのとき※3の「現在測定値の表示」に10が表示された。
10を※2の「最小風量時」に記録した。このとき※4に7.5が表示された。
【0110】
(8)基準コンプレッサの測定と記録は終了する。
(9)この基準コンプレッサでは測定値の負荷率100%のとき75kWである。
(10)基準インバーター型コンプレッサの圧力調整電気仮想容量は最大電気仮想容量から最小電気仮想容量を減算した67.5kWである。
【0111】
式を下記に示す。
【数1】
基準コンプレッサのみで最大仮想容量が67.5kWまでの被測定コンプレッサの測定ができる。
【0112】
[102−3−3]3号機55kW定速型コンプレッサの電気仮想容量の設定
2号機75kW定速型コンプレッサは、基準コンプレッサの圧力調整電気仮想容量が不足するので、3号機55kW定速型コンプレッサの電気仮想容量から設定を行う。
【0113】
(1)「3号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定」画面を呼び出す。(初期設定3−3画面)(図10
(2)「機種の選択表示」にはnormal(定速型コンプレッサ)が表示されている。
(3)「基準コンプレッサの選択表示」には否が表示されている。
【0114】
(4)※1の「測定方法の選択」には、すべて否が選択され表示されている。
(5)圧縮空気の負荷を調整して基準コンプレッサの電気仮想容量を増大させ、
※4の「インバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」を増やし、3号機55kW定速型コンプレッサの電気仮想容量55.0kWが十分収まる容量にする。
実施例では、※4の「インバーター型コンプレッサの運転電気仮想容量の合計」を70.0kWにした。
記録1を押して※4「インバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」を70.0kWを記録(固定)した。
記録1を押すことで、「インバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」が※4に表示されるようプログラムされている。
【0115】
(6)3号機55kW定速型コンプレッサを起動させて基準コンプレッサと並列運転させた。
※5の「インバーター型コンプレッサと被測定コンプレッサが並列運転した時のインバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」が17.1kWを示し、記録2を押して記録(固定)した。
【0116】
(7)計算を押して、※4から※5の減算値52.9kWを※6に得た。
※7に52.9を書き込みした。
3号機55kW定速型コンプレッサの最大電気仮想容量は52.9kWで演算される。
(8)リセットを押して記憶値と計算値を解除にした。
(8)定速型コンプレッサのためその他の測定はない。
【0117】
[102−3−4]5号機37kW定速型コンプレッサの電気仮想容量の設定
(1)「5号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定」画面を呼び出す。(初期設定3−5画面)(図12
(2)「機種選択の表示」には、normal(定速型コンプレッサ)が表示されている。
【0118】
(3)「基準コンプレッサの選択表示」には、で否が表示されている。
(4)※1の「測定方法の選択」には、すべて否が選択され表示されている。
(5)基準コンプレッサの※4の「インバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」は70.0kWを表示していた。
記録1を押して運転仮想容量の合計70.0kWを記録(固定)した。
【0119】
(6)5号機37kW定速型コンプレッサを起動させて基準コンプレッサと並列運転させた。
※5の「インバーター型コンプレッサと被測定コンプレッサが並列運転した時のインバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」が33.2kWを示し、記録2を押して記録(固定)した。
(7)計算を押して、※4から※5の減算値36.8kWを※6に得た。
※7に36.8を書き込みした。
5号機の最大電気仮想容量は36.8kWで演算される。
【0120】
(8)リセットを押して記憶値と計算値を解除にした。
(9)定速型コンプレッサのためその他の測定はない。
【0121】
[102−3−5]4号機37kWインバーター型コンプレッサの電気仮想容量の設定
(1)「4号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定」画面を呼び出す。(初期設定3−4画面)(図11
(2)「機種の選択表示」には、inv(インバーター型コンプレッサ)が表示されている。
【0122】
(3)「基準コンプレッサの選択表示」には、否が表示されている。
(4)「測定方法の選択」は負荷率を選択した。
(5)※4の「インバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」は70.0kWを表示していた。
記録1を押して運転仮想容量の合計70.0kWを記録(固定)した。
【0123】
(6)4号機37kWインバーター型コンプレッサを事業所に送出する吐出圧力0.57MPaの設定を行い、最大風量で運転させた。
そのとき※3の「現在測定値の表示」に105が表示された。
105を※2の「最大風量時」に記録した。
そのとき、※5の「インバーター型コンプレッサと被測定コンプレッサが並列運転した時のインバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」が31.9kWを示し、記録2を押して記録(固定)した。
【0124】
(7)計算を押して、※4から※5の減算値38.1kWを得た。
※7「最大仮想容量の設定」に38.1を書き込みした。
4号機37kWインバーター型コンプレッサの最大仮想容量は38.1kWで演算される。
【0125】
(8)次に圧縮空気の負荷を調整して最小風量で運転させた。
そのとき※3の「現在測定値の表示」に10が表示された。
10を※2の「最小風量時」に記録した。
(9)リセットを押して記憶値と計算値を解除にした。
【0126】
(10)4号機インバーター型コンプレッサの圧力調整電気仮想容量は34.48kWである。
式を下記に示す。
【数2】
インバーター型コンプレッサには、増風量型があって減圧運転したとき最大風量が100%を超える機種がある。
【0127】
[102−3−6]2号機75kW定速型コンプレッサの電気仮想容量の設定
(1)「2号機コンプレッサの測定方法の選択と運転による仮想容量の設定」画面を呼び出す。(初期設定3−2画面)(図9
(2)「機種の選択表示」には、normal(定速型コンプレッサ)が表示されている。
【0128】
(3)「基準コンプレッサの選択表示」には、否が表示されている。
(4)※1の「測定方法の選択」には、すべて否が選択され表示されている。
【0129】
(5)2号機定速型コンプレッサの最大電気仮想容量の設定は、インバーター型コンプレッサの1号機と4号機を運転させて、圧縮空気の負荷を調整して※4の「インバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」を95.0kWにした。
記録1を押して※4の「インバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」95.0kWを記録(固定)した。
(6)2号機75kW定速型コンプレッサを起動させてインバーター型コンプレッサと並列運転させた。
※5の「インバーター型コンプレッサと被測定コンプレッサが並列運転した時のインバーター型コンプレッサの運転仮想容量の合計」が16.6kWを示し、記録2を押して記録(固定)した。
【0130】
(7)計算を押して、※4から※5の減算値を73.4kWを※6に得た。
※7に78.4を書き込みした。
2号機の最大電気仮想容量は78.4kWで演算される。
(8)リセットを押して記憶値と計算値を解除にした。
(9)定速型コンプレッサのためその他の測定はない。
【0131】
[102−4]コンプレッサ大中小容量設定と大小切替制御の設定
初期設定4−1の「コンプレッサ大中小容量設定と大小切替制御の設定」画面(図13)を出す。
初期設定画面4−2の説明画面(図14)を参照しながら下記の設定を行う。
(1)機種と特性表示
初期画面2と初期画面3−1〜5で設定した内容が表示される。
(2)コンプレッサ容量選択
1号機 大容量機
2号機 大容量機
3号機 中容量機
4号機 小容量機
5号機 小容量機
【0132】
[102−5−1]起動信号の設定
初期設定5の「起動信号の設定」画面に下記を設定した。
(1)仮想容量の設定 10kW
(2)率の設定 6%
【0133】
[102−6]停止信号の設定
初期設定6の「停止信号の設定」画面に下記を設定した。
(1)仮想容量の設定値 10kW
(2)率の設定 6%
(3)停止信号取得時間の設定 180秒
【0134】
[102−7]号機別制御特性の設定
初期設定7の「インチング時間の設定」画面に下記を設定した。
1〜5号機共に15分間
インチング時間とは、コンプレッサが自動起動したとき、手動による停止と操業終了によるシステム停止以外のとき必ず運転させる時間を言う。
【0135】
[102−8] 初期運転とシステムの設定
初期設定8の「初期運転とシステムの設定」画面に下記を設定した。
(1)初期運転時間 10分間
(2)初期運転台数 2台
(3)インバーター型コンプレッサのみ大容量機から運転「採用」を選択
【0136】
[102−9]コンプレッサ運転選択の設定
「コンプレッサ運転選択」画面には、連続と自動と切とがある 。
1〜5号機のすべて自動を選択した。
【0137】
[103]コンプレッサの圧力調整
[103−1]インバーター型コンプレッサへの圧力設定
インバーター型コンプレッサへの圧力設定値を0.57MPaとして、本発明の形態に係る圧縮機運転制御装置によって制御される圧縮空気供給装置による事業所への供給圧力を0.57MPaとした。
[103−2]定速型コンプレッサの吐出圧力調整機能の説明
定速型コンプレッサは標準整備(最大風量時の吐出圧力が0.69MPa)のまま使用する。なお、実施の形態に関する記載中の段落0064に記載したように、インバーター型コンプレッサの吐出圧力を定速型コンプレッサの標準整備圧力以下に設定してインバーター型コンプレッサを運転させている状態で定速型コンプレッサを運転したときに、定速型コンプレッサは全負荷運転になる。
【0138】
[104]圧縮機運転制御装置の運転
実施例の運転最大電気仮想容量の合計(運転中のコンプレッサの最大電気仮想容量の合計)、および、総運転電気仮想容量(運転中のコンプレッサの電気仮想容量の合計)の推移と制御の内容をグラフの図15〜17に示す。
ここで説明する演算式の数値は、実際の運転では細かい数値まで分からないので、実施例の内容に基づき逆算したものを表現する。
【0139】
[104−1]初期運転 7時45分
初期運転は、初期充填と云われるもので、操業開始に備え、タンクと配管に圧縮空気を充填するものである。
実施例の初期運転は前記102−8]初期運転とシステムの設定で
(1)初期運転時間10分間
(2)初期運転台数 2台
(3)初期運転完了圧力 0.55MPa
(4)インバーター型コンプレッサのみ大容量機から運転
が設定されている。
【0140】
初期運転の最初の起動予定機は、インバーター型コンプレッサグループでは、1号機75kWコンプレッサであった。
定速型コンプレッサグループは5号機37kWコンプレッサであった。
どちらの起動予定機に起動信号を発するかは、インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数の最適化のプログラムにより1号機75kWインバーター型コンプレッサが選択された。
【0141】
その演算の内容を下記の[104−1−1]に示す。演算は選択された式のみ記載する。
7時45分「圧縮機運転制御装置操作スイッチ」画面の操作スイッチを入りした。
1号機75kWインバーター型コンプレッサが起動した。
続いての起動予定機は、インバーター型コンプレッサグループでは4号機37kWコンプレッサであった。
定速型コンプレッサグループでは5号機37kWコンプレッサであった。
どちらの起動予定機に起動信号を発するかは、インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数の最適化のプログラムにより5号機37kW定速型コンプレッサが選択された。
【0142】
その演算の内容を下記の[104−1−2]に示す。
1号機の起動に続いて5号機37kW定速型コンプレッサが起動した。
初期運転の起動は完了。
本管圧力が7時53分に0.55MPaになり初期運転が終了した。
操業の準備完了です。
初期充填中の運転最大電気仮想容量の合計は111.8kW、初期充填完了後の総運転電気仮想容量は75kWであった。
【0143】
[104−1−1]初期運転で1号機75kWインバーター型コンプレッサが起動予定機に指定された演算の内容
(1)−1 起動設定値が仮想容量による場合の起動グループ選択演算を式化する。
【0144】
【数3】
【0145】
上記式に数値を代入する。
【数4】
演算の結果、インバーター型コンプレッサグループの起動予定機が起動指定機に選択された。
【0146】
(1)−2 起動設定値が率(%)による場合の起動グループ選択演算を式化する。
【数5】
【0147】
上記式に数値を代入する。
【数6】
演算の結果、インバーター型コンプレッサグループの起動予定機が起動指定機に選択された。
【0148】
[104−1−2]初期運転で5号機37kW定速型コンプレッサが2台目の起動指定機に指定された演算
(1)−1起動設定値が仮想容量による場合の起動グループの選択演算を式化する。
【0149】
【数7】
【0150】
上記式に数値を代入する。
【数8】
演算の結果、定速型コンプレッサグループの起動予定機が起動指定機に選択された。
【0151】
(1)−2 起動設定値が率(%)による場合の起動グループの選択演算を式化する。
【数9】
【0152】
上記式に数値を代入する。
【数10】
演算の結果、定速型コンプレッサグループの起動予定機が起動指定機に選択された。
【0153】
[104−2]操業開始 8時00分
初期運転完了後は起動信号と停止信号のプログラム(コンプレッサ運転台数制御プログラム)が動作する。
初期運転完了後は、小容量機あるいは小容量機グループからの起動あるいは停止の指定になる。
初期運転中の大容量機から運転指定については、文献には無いが公知の技術として扱う。
操業を開始しても、操業の打ち合わせ、材料の準備、作業の準備などがあってすぐには使用風量が増えない。
【0154】
[104−3]追加起動 8時10分
8時10分に総運転電気仮想容量が101.801kWを超えたので、4号機37kWインバーター型コンプレッサ起動した。
起動に至った演算内容を[104−3−1]と[104−3−2]に示す。
【0155】
[104−3−1]4号機37kWインバーター型コンプレッサが起動するに至った経緯
圧縮機運転制御装置において、次の下記の5つの演算が行われた。
1.小容量機からの起動による起動予定機
インバーター型コンプレッサグループでは4号機37kWコンプレッサが起動予定機であった。
定速型コンプレッサグループでは3号機55kWコンプレッサが起動予定機であった。
【0156】
2.インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数の最適化のプログラムの演算の結果、4号機37kWインバーター型コンプレッサが次期起動予定機の指定を受けた。
演算の内容を[104−3−2−1〜2]に示す。
演算の結果は仮想容量設定値、率(%)設定値による演算もインバーター型コンプレッサグループを選択した。
【0157】
3.電気仮想容量設定値による起動
総運転電気仮想容量が101.801kWのときの総無負荷電気仮想容量9.999kWで起動信号を得た。
演算の内容を[104−3−3−1]に示す。
【0158】
4.率設定値による起動演算
総運転電気仮想容量が105.473kWのときの総無負荷電気仮想容量6.327kWで起動信号を得た。
演算の内容を[104−3−3−2]に示す。
【0159】
5.電気仮想容量による起動演算と率設定値による起動演算の併用
電気仮想容量による設定値と率(%)による設定値の2つの設定値により得られた起動信号は、いずれか先に起動信号を得た信号を採用することで、電気仮想容量の設定値による起動信号により起動した。
【0160】
[104−3−2]インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数の最適化のプログラムの演算式
[104−3−2−1]起動設定値が仮想容量による場合の起動グループの選択演算を式化する。
【数11】
【0161】
上記式に数値を代入する。
【数12】
演算の結果、インバーター型コンプレッサグループの起動予定機が起動指定機に選択された。
【0162】
[104−3−2−2]起動設定値が率(%)による場合の起動グループ選択演算を式化する。
【数13】
【0163】
上記式に数値を代入する。
【数14】
演算の結果、インバーター型コンプレッサグループの起動予定機が起動指定機に選択された。
【0164】
[104−3−3−1]起動設定値が仮想容量による起動信号演算
【数15】
【0165】
上記式に数値を代入する。
【数16】
電気仮想容量設定値では無負荷電気仮想容量が9.999kWのとき起動信号を取得した。
このときの運転仮想容量は101.801kWであった。
【0166】
[104−3−3−2]起動設定値が率(%)による起動信号演算を式化する。
【数17】
【0167】
上記式に数値を代入する。
【数18】
起動の率設定値では総無負荷電気仮想容量が6.327kWのとき起動信号を取得した。
このときの総運転仮想容量は105.473kWであった。
【0168】
[104−3]追加起動 8時22分
その後午前8時22分には3号機55kW定速型コンプレッサが起動した。
インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数の最適化のプログラムの演算では、インバーター型コンプレッサの起動予定機が無かったので、定速型コンプレッサが選択された。
【0169】
このときの起動信号は、起動設定値が電気仮想容量設定による起動信号の取得によるものであった。
このときの、総運転電気仮想容量は139.901kWで、総無負荷電気仮想容量は9.999kWのときであった。
(演算式は省略)
【0170】
[104−4]追加起動 8時35分 2号機75kW定速型コンプレッサの起動
その後午前8時35分には2号機の75kW定速型コンプレッサが起動した。
起動信号は、率(%)、起動設定値による起動信号の取得演算によるものであった。
このときの、総運転電気仮想容量は191.322kWで、総無負荷電気仮想容量は11.478kWであった。
(演算式は省略)
【0171】
[104−5]2号機75kW定速型コンプレッサ起動直後の総無負荷電気仮想容量の動き
2号機75kW定速型コンプレッサの起動時の余剰電気仮想容量は75kW定速型コンプレッサ最大仮想容量のほとんどが余剰風量となる。
このとき、インバーター型コンプレッサの総圧力調整仮想容量が101.98kWでそのうち圧力調整部の総実負荷仮想容量が88.161kWであった。
【0172】
2号機75kW定速型コンプレッサの起動により圧力調整部の総実負荷仮想容量が減少して20.66kWになった。
2号機75kW定速型コンプレッサの起動による大量の余剰風量は運転中のインバーター型コンプレッサに吸収されて、供給圧力の上昇はなかった。
【0173】
本発明のインバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数の最適化による起動では、事前に起動と停止の仮想容量と起動した定速型コンプレッサの最大仮想容量の合計仮想容量相当以上のインバーター型コンプレッサの総圧力調整仮想容量が有ることを確認して起動しているため、追加起動による余剰電気仮想容量による供給圧力の上昇はなかったのである。
【0174】
[104−6]2号機75kW定速型コンプレッサ起動後の停止演算
8時35分に2号機75kW定速型コンプレッサした直後に、およそ80kWの総無負荷電気仮想容量があって、次の3つの停止演算が行われた。
1.小容量機からの停止指定による停止予定機の選択演算
2.インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数制御の最適化の方法の演算
3.停止演算
【0175】
その演算の結果は下記であった。
(1)小容量機からの停止指定とインバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数制御の最適化の方法の演算において5号機37kW定速型コンプレッサが停止予定機になった。
その演算の内容を[104−6−2−1〜2]に示す。
(2)前記(1)の停止予定機の停止演算において停止可を得た。
演算の内容を[104−6−3−1〜2]に示す。
【0176】
上記の演算結果により、8時38分停止信号を得て、5号機37kW定速型コンプレッサは停止した。
【0177】
[104−6−1]インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの停止予定機
このとき、インチング防止時間を経過し、停止可能なコンプレッサは、
(1)1号機75kWインバーター型コンプレッサ
(2)3号機55kW定速型コンプレッサ
(3)5号機37kW定速型コンプレッサ
である。
【0178】
インバーター型コンプレッサグループの停止予定機は1号機75kWコンプレッサである。
定速型コンプレッサグループの停止予定機は5号機37kWコンプレッサである。
インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数制御の最適化のプログラムの演算により、定速型コンプレッサグループが指定され、5号機37kW定速型コンプレッサが停止指定機になった。
その演算内容を[104−6−2−1〜2]に示す。
【0179】
[104−6−2]インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数制御の最適化の方法の演算
[104−6−2−1]起動設定値と停止設定値が仮想容量による停止グループ選択演算を式化する。
【数19】
【0180】
上記式の下記に所定の数値を代入する。
【数20】
演算の結果、定速型コンプレッサグループの停止予定機が停止指定機に選択された。
【0181】
[104−6−2−2]起動設定値と停止設定値が率(%)による停止グループ選択演算を式化する。
【数21】
【0182】
上記式の下記に所定の数値を代入する。
【数22】
演算の結果、定速型コンプレッサの停止予定機が停止指定に選択された。
【0183】
[104−6−3]5号機37kW定速型コンプレッサの停止演算
[104−6−3−1]仮想容量設定値による5号機37kW定速型コンプレッサの停止演算を式化する。
【数23】
【0184】
上記式の下記に所定の数値を代入する。
【数24】
この停止演算での結果は停止可である。
【0185】
[104−6−3−2]率(%)設定値による5号機37kW定速型コンプレッサの停止演算を式化する。
【数25】
【0186】
上記式の下記に所定の数値を代入する。
【数26】
この停止演算の結果は停止可である。
【0187】
その後午前9時00分には5号機37kW定速型コンプレッサが起動した。
[104−7]10時00分から10時10分までの休憩時間
午前の休憩時間になり、圧縮空気の需要が減り、停止演算を行った。
停止指定機は5号機37kW定速型コンプレッサである。
10時01分ごろ、先に仮想容量設定値による停止許可を得、次に率設定値による停止許可を得て、停止信号取得待機時間3分の後の10時4分ごろ停止に至った。
【0188】
停止に至ったときの条件は下記であった。
総運転電気仮想容量 217.692kW
総無負荷電気仮想容量 58.508kW
休憩時間中の運転電気仮想容量は190kWまで減少した。
他のコンプレッサは停止にいたるまで減少することはなかった。
演算の内容は前[104−6]と同一である。
【0189】
[104-8]10時20分休憩時間後の起動
休憩時間後、圧縮空気の需要が増大して、次期起動予定機として、起動予定機と停止予定機を小容量機からあるいは小容量グループから選択する方法、および、インバーター型コンプレッサと定速型コンプレッサの運転台数制御の最適化、により5号機37kW定速型コンプレッサが選択された。
【0190】
10時20分ごろ、率設定値による起動信号の取得による起動であった。
起動の条件は下記であった。
総運転電気仮想容量 225.850kW
総無負荷電気仮想容量 13.550kW
【0191】
[104-9]10時20分以降
その後、総運転電気仮想容量は253kWまで上昇した。
[104−10]その後
図示のような起動や停止があって、15時10分に「圧縮機運転制御装置操作スイッチ」を切にして操業を終了した。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明は、インバーターによって回転速度を変更して圧縮空気を生成するインバーター型圧縮機および一定の回転速度で圧縮空気を生成する定速圧縮機それぞれを複数台備え、該複数台の圧縮機を並列運転させて生成した圧縮空気を合流集合させ、供給圧力を一定に保って工場や事業所等の供給先へ供給する圧縮空気供給装置の前記複数台の圧縮機を運転制御する圧縮機運転制御装置に関するが、工場や事業所等への圧縮空気の供給よりも規模の小さい実験や試験等をするためのシステムにおいても利用することができる。
【符号の説明】
【0193】
1…圧縮空気供給装置
10…圧縮機運転制御装置
20…複数台のインバーター圧縮機
30…複数台の定速圧縮機
40…圧縮空気配管
50…空気槽
210…インバーター圧縮機
211…インバーター圧縮機
220…インバーター圧縮機
230…インバーター圧縮機
310…定速圧縮機
320…定速圧縮機
330…定速圧縮機
331…定速圧縮機
図2
図3
図4
図5
図1
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17