特許第6025102号(P6025102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025102
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 31/03 20060101AFI20161107BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20161107BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20161107BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20161107BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161107BHJP
【FI】
   F21V31/03 400
   F21V29/76
   F21S2/00 381
   H01L33/00 L
   F21Y115:10 300
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-51739(P2013-51739)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-179212(P2014-179212A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】海路 博司
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−62420(JP,U)
【文献】 特開平9−161528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/00 − 99/00
F21S 2/00
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の第1筒部、並びに筒状であって前記第1筒部を内部に収める第2筒部を有する本体と、前記第1筒部の内底面に配設される光源と、前記第1筒部の前面開口を塞ぐとともに前記光源から放射される光を透過するパネルと、前記パネルの周縁部分を保持し且つ前記第2筒部の前面開口を塞ぐように前記本体に取り付けられる取付枠とを備え、
前記取付枠は、前記第1筒部の外側であり且つ前記第2筒部の内側である第1空間と、前記パネルの前方の第2空間とを繋ぐ1乃至複数の通路を有し、
前記本体は、前記第1筒部の底面側において前記第1空間を外部に開放する排水孔を有することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記取付枠は、前記第1空間内へ突出し且つ前記第1筒部の軸方向に交差する方向から見て前記通路と重なる突片を有することを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記本体は、前記第1筒部及び前記第2筒部の後方に設けられ、前記光源が発する熱を外部に放熱する放熱部を備え、前記排水孔が前記放熱部の近傍に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に設置される照明器具は、光源を収納した有底筒状の本体と、本体の開口を塞いで光源の光を透過するパネルと、パネルを本体に取り付ける取付枠と、取付枠と本体の隙間を塞ぐ防水パッキンとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−127111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、主に防水とパネルの保護を目的として、取付枠とパネルとの間に防水パッキンが設けられている。そのため、取付枠は、防水パッキンを介してパネル前面との間に段差が形成されている。したがって、パネル前面に付着した雨水が前記段差に溜まり易く、溜まった雨水でパネル前面が汚れるなどの不具合が生じていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、パネル前面に付着した雨水による不具合の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明器具は、有底筒状の第1筒部、並びに筒状であって前記第1筒部を内部に収める第2筒部を有する本体と、前記第1筒部の内底面に配設される光源と、前記第1筒部の前面開口を塞ぐとともに前記光源から放射される光を透過するパネルと、前記パネルの周縁部分を保持し且つ前記第2筒部の前面開口を塞ぐように前記本体に取り付けられる取付枠とを備え、前記取付枠は、前記第1筒部の外側であり且つ前記第2筒部の内側である第1空間と、前記パネルの前方の第2空間とを繋ぐ1乃至複数の通路を有し、前記本体は、前記第1筒部の底面側において前記第1空間を外部に開放する排水孔を有することを特徴とする。
【0007】
この照明器具において、前記取付枠は、前記第1空間内へ突出し且つ前記第1筒部の軸方向に交差する方向から見て前記通路と重なる突片を有することが好ましい。
【0008】
この照明器具において、前記本体は、前記第1筒部及び前記第2筒部の後方に設けられ、前記光源が発する熱を外部に放熱する放熱部を備え、前記排水孔が前記放熱部の近傍に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明器具は、取付枠に設けられた通路を通して、第2空間から第1空間へ水滴が移動し、さらに、第1筒部の底面側において第1空間を開放する排水孔から水滴が排水されるため、パネルの前面に付着した雨水(水滴)がパネルと取付枠との間の段差に溜まり難くなり、その結果、パネル前面に付着した雨水による不具合の発生を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る照明器具の実施形態を示す断面斜視図である。
図2】同上の一部省略した正面図である。
図3】同上の断面図である。
図4】同上における取付枠を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図5】同上の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の技術思想を屋外設置型のスポットライトに適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明の技術思想が適用可能な照明器具はスポットライトに限定されるものではない。
【0012】
本実施形態は、図1図3に示すように本体1、光源2、パネル3、取付枠4、電源ユニット5、アーム6、反射板7などを備える。なお、以下の説明においては、特に断りの無い限り、図1において上下左右前後の各方向を規定する。
【0013】
光源2は、LEDユニット20と、台座210と、LEDユニット20を保持するホルダ211と、複数の固定ばね22とを有する。LEDユニット20は、矩形平板状の実装基板201と、実装基板201の前面に実装されたLED(発光ダイオード)200とを有する。LED200は、例えば、青色光を放射するLEDチップをシリコーン樹脂などの透光性を有する封止材で封止し、封止材に混入された蛍光体で青色光の一部を黄色光に変換して青色光と混色することにより、白色光を放射する。
【0014】
台座210は、放熱シート等の熱伝導材(図示せず)を介して実装基板と接する金属体(アルミダイカスト)からなる。ホルダ211は、PBT樹脂などの合成樹脂材料によって矩形枠状に形成され、LED200を前方に露出させるようにして台座210の前面側に取り付けられ、台座210にねじ止めされた3つの固定ばね22によって台座210に固定される。つまり、LEDユニット20は、ホルダ211と台座210に挟まれるようにして固定される。
【0015】
電源ユニット5は、商用の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路(図示せず)と、電力変換回路を内部に収納した金属製のケース50とを有する。なお、ケース50から引き出される電線(図示せず)が光源2のLEDユニット20に接続され、当該電線を介して電源ユニット5からLEDユニット20へ直流電力が供給される。
【0016】
本体1は、アルミダイカスト製であって、第1筒部10、第2筒部11、収納部12、放熱部13、カバー14などで構成される。第1筒部10は、前面が開口した有底円筒形状に形成されている。第1筒部10の内底面には、光源2(ホルダ21)の後端部が嵌め込まれる凹所100が設けられている。光源2は、ホルダ21が凹所100に嵌め込まれることで第1筒部10の内底面に固定される。
【0017】
第1筒部10の内部に反射板7が収納される。反射板7は、PBT樹脂などの合成樹脂材料により、回転軸方向の両端(前端及び後端)が開口した回転放物面形状に形成されている。ただし、反射板7の内周面にはアルミが蒸着されており、その内周面が光源2の放射する光を反射する反射面となっている。また、反射板7は、外周面の前端側から外向きに突出するフランジ70が一体に形成されている。このフランジ70は、第1筒部10の内周面における前端側に形成された段部101に前方から当接することで位置決めされる。
【0018】
第2筒部11は、前後両面が開口し且つ後方に向かって縮径する円筒形状に形成され、内部に第1筒部10を収めている。第2筒部11は、前後方向に沿った幅細の突条からなる連結部102によって第1筒部10と連結されている。ただし、連結部102は、第1筒部10の周方向に沿って等間隔に3つ設けられている。つまり、3つの連結部102を除いて、第1筒部10の外周面と第2筒部11の内周面との間に空間(第1空間)15が形成されている。なお、第2筒部11の後端面が開口しているため、第1空間15は、第1筒部10の底面側において第2筒部11の後端面の開口を通して外部に開放されている。すなわち、第2筒部11の後端面の開口が後述する排水孔16となる。
【0019】
収納部12は、第1筒部10の後端と繋がった円筒形状の部分と、円筒形状の部分から下方へ突出する矩形箱状の部分とが第1筒部10と一体に形成され、その内部に電源ユニット5を収納する。ただし、収納部12は、電源ユニット5を内部に収めるために後端面が開放されている。
【0020】
放熱部13は、収納部12を構成する円筒形状の部分に設けられている。つまり、前記円筒形状の部分の外周面に、円弧状の多数の突条が前後方向に間隔を空けて突設されており、これら複数の突条(放熱フィン)が放熱部13に相当する。故に、光源2や電源ユニット5から放射される熱が本体1を伝って放熱部13から放熱されるため、光源2及び電源ユニット5の温度上昇を抑えることができる。
【0021】
カバー14は、アルミダイカスト製であって、収納部12の後端面と同一の形状に形成されており、収納部12の後端面にねじ止めされて収納部12を閉塞する。なお、カバー14と収納部12と間には防水パッキン140が介装されている。
【0022】
収納部12は、電源ケーブル(図示せず)を引き込むための引き込み口120が下面に設けられている。引き込み口120は、収納部12の下面から下向きに突出する円筒形に形成され、円筒形状の防水パッキン(図示せず)を内部に収納し、アルミダイカスト製のキャップ121が先端(下端)に取り付けられる。電源ケーブルは、キャップ121と防水パッキンを介して引き込み口120から収納部12内に引き込まれ、電源ユニット5に接続される。
【0023】
また、収納部12の内外の気圧を平衡させるため、収納部12の下面に通気孔122が貫通している。ただし、通気孔122は活性炭フィルタ123によって異物の混入が防止されている。
【0024】
さらに、収納部12は、左右両側の外側面に円筒形のアーム固定部124がそれぞれ突設されている。アーム6は、先端部分がアーム固定部124に回動自在に固定される一対の支持片60と、左右両端からそれぞれ支持片60が起立する固定片61とが金属板(例えば、溶融亜鉛めっき鋼板)を加工することによって一体に形成されてなる。
【0025】
支持片60の先端部分にはボルト挿通孔(図示せず)が貫通している。故に、ボルト挿通孔に挿通されるボルト17は、アーム固定部124に設けられる雌ねじ1240(図5参照)と螺合する。故に、アーム6は、ボルト17を軸として本体1に対して回動自在となり、ボルト17を締め付けることで本体1に固定される。
【0026】
固定片61は、円形の第1ボルト挿通孔610と、第1ボルト挿通孔610を中心とする半円弧状の第2ボルト挿通孔611とが厚み方向に貫通している。すなわち、固定片61は、2つのボルト挿通孔610,611にそれぞれ挿通される2本のボルトが地面や壁面に埋め込まれた雌ねじ(図示せず)にねじ込まれて固定される。そして、第2ボルト挿通孔611に挿通されたボルトを緩めれば、第1ボルト挿通孔610に挿通されたボルトを軸としてアーム6を回動することができる。つまり、固定面(地面や壁面など)に対してアーム6を回動し、さらに、アーム6に対して本体1を回動することにより、照射範囲を調整することができる。
【0027】
パネル3は、強化ガラスにより、第1筒部10の外径よりも僅かに大きい直径寸法の円板状に形成され、第1筒部10の前面開口を塞いでいる。なお、パネル3は、取付枠4によって本体1に取り付けられる。
【0028】
取付枠4は、図4に示すように枠部40、ボス41、周壁42などがアルミダイカストによって一体に形成されてなる。枠部40は、幅広の円環状に形成され、裏面(後面)に3つのボス41と周壁42が設けられている。ボス41は、ねじ挿通孔410が貫通し、枠部40の周方向に沿って等間隔に配設されている。周壁42は、枠部40のほぼ全周にわたって後方に突出するように設けられている。周壁42の内側にはパネル3が嵌め込まれる。ただし、パネル3の周縁部分にはシリコーンゴム製の防水パッキン8が嵌合されている。
【0029】
取付枠4は、防水パッキン8が嵌合されたパネル3を周壁42の内側に嵌め込んだ状態で第1筒部10の前面に取り付けられる。そして、3つのボス41の各ねじ挿通孔410に取付ねじ103を挿通し、これら3本の取付ねじ103を連結部102に形成されている雌ねじ1020にねじ込むことで取付枠4が本体1に取り付けられる。このとき、パネル3は、取付枠4と第1筒部10の前端との間で挟持され、取付枠4及び第1筒部10とパネル3との隙間が防水パッキン8によって閉塞される。
【0030】
ここで、取付枠4の枠部40には、径方向に沿った複数(図示例では3つ)の溝43が設けられている。各溝43は、径方向における内側が開放されているが、径方向における外側は突片44で塞がれている。突片44は、枠部40の後面における外周縁から後方に突出する薄い板状に形成されている。なお、周壁42は各溝43において分断されている。
【0031】
取付枠4が第1筒部10の前面に取り付けられると、パネル3の前方の空間(第2空間30)と第1空間15とが各溝43を通して繋がることになる(図1及び図3参照)。すなわち、本実施形態では、溝43が通路となる。したがって、パネル3の前面に付着した雨水(水滴)は、自重で下方に移動し、枠部40に設けられている溝43を通して第1空間15に排出される。このとき、溝43の下に突片44が存在しているので、溝43を通過した水滴は、突片44に滴下し、さらに、突片44から第2筒部11の内周面に滴下する。
【0032】
ここで、光源2の光軸を水平よりも上に向けた姿勢で本体1が設置されている場合、第2筒部11の内周面に滴下した水滴は、第1空間15内を後方へ移動して排水孔16から本体1の外に排水される。なお、光源2の光軸を水平又は水平よりも下に向けた姿勢で本体1が設置されている場合、第2筒部11の内周面に滴下した水滴は、第2筒部11の内周面と取付枠4との隙間を通して本体1の前方へ排水される。
【0033】
上述のように本実施形態では、取付枠4に設けられた溝(通路)43を通して、第2空間30から第1空間15へ水滴が移動し、さらに、第1筒部10の底面側において第1空間15を開放する排水孔16から水滴が排水される。そのため、パネル3の前面に付着した雨水(水滴)がパネル3と取付枠4との間の段差に溜まり難くなる。その結果、溜まった雨水でパネル3の前面が汚れるなどの不具合の発生を抑制することができる。また、排水孔16は放熱部13の近傍に配置されているので、排水孔16の周囲に付着した水滴が蒸発し易くなるという利点がある。
【符号の説明】
【0034】
1 本体
2 光源
3 パネル
4 取付枠
10 第1筒部
11 第2筒部
15 第1空間
16 排水孔
30 第2空間
43 溝(通路)
図1
図2
図3
図4
図5