(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
射出圧縮成形を行う場合、キャビティ内の容積が変更可能な圧縮成形金型が用いられる。より具体的には、特許文献1の薄肉成形品の成形金型に記載されるように、本体部に固定されキャビティ主面を形成するコアブロックおよびランナ形成面を形成するセンターブロックと、本体部に対してバネを介して取付けられる可動枠ブロックからなり、コアブロック及びセンターブロックと可動枠ブロックは型開閉方向に相対的に位置変更可能な金型が用いられる。そして前記成形金型において可動枠部はいくつかの部分から分割して形成される。しかしながら前記成形金型の場合、バネを用いて可動枠ブロックおよびセンターブロックに対してコアブロックを相対的に位置変更させながらキャビティ内の溶融樹脂を圧縮するので、射出開始前から成形金型に対して最大限の型締力にかけ続けていると圧縮代が確保できない構造となっている。
【0003】
そして成形される薄肉成形品が導光板の場合、近年では携帯電話やスマートフォンの大画面化および軽量化に伴い板の薄肉化に伴い、導光板もより一層、大判で薄肉のものが求められている。そして比較的大判で薄肉の導光板を成形する場合は、主として次のような成形がなされることが多い。即ち射出装置の側では、射出速度をより一層高速にしてキャビティ内への射出充填を図る。また型締装置(金型)の側では、キャビティの厚みが薄いとキャビティ内への溶融樹脂の射出充填に不利なので、キャビティの容積を大きく(キャビティの厚みを厚く)した状態で射出を行う射出プレス成形(射出圧縮成形の一類型)が採用される。このような射出プレス成形では、射出前に可動金型を所定の位置に停止させるので、射出前から金型に及ぼされる型締力は小さいものとならざるを得ない。
【0004】
また特許文献1においては、ランナのみを形成するセンターブロックはコアブロックとともに本体部に対して固定し、可動枠ブロックに対して相対的に移動させることが記載されている。また一方センターブロックは、可動枠ブロックと同様にコアブロックに対してバネにより相対的に位置変更可能にも設けることも可能であると記載されている。しかしながらランナのみを形成するセンターブロックをコアブロックとともに本体部に対して固定すると可動枠ブロックとの間の摺動部が増えることから、金型の高精度な調整が必要となり、バリが発生することが増えるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前記の金型において、ランナ形成面を形成するセンターブロックの部分を可動枠ブロックと同様にコアブロックに対してバネにより相対的に位置変更可能とした場合には、射出時に最初にランナ形成面の部分が射出圧を受けるので、バネの付勢力に打ち勝ってこのセンターブロックの部分だけが僅かに後退することが発生する。そして可動金型のセンターブロックの部分が後退すると固定金型との間に隙間ができてバリが発生するという問題があった。その結果ランナにバリが発生すると、細かいバリが成形品に混入して成形品に不良が発生するという問題もあった。これらの問題は、近年の成形品の薄肉化に伴い射出速度が高速化するにつれてより一層顕著になっている。
【0007】
前記問題に対してキャビティ間のランナを形成するセンターブロックの部分のバネの付勢力を強くすることも考えられるが、一般的な携帯電話やスマートフォン用の導光板の2個取りの金型では、前記センターブロックの部分の幅は非常に狭い。その理由は、前記センターブロックの幅を広げるとランナの長さが長くなってしまい、ランナを通過する溶融樹脂の冷却が進んでしまうためキャビティ内での溶融樹脂の延展が妨げられるからである。また前記の現象を防止するためにセンターブロックの幅を広げるとともにランナの部分を厚肉化すると冷却時間が長くなるという問題がある。更には導光板等の光学製品では、ランナ部分は再生材として後の成形にリサイクルできないので、ランナの大型化に伴い材料ロスが増加するという問題があった。しかし溶融樹脂の流動性や冷却速度を優先してセンターブロックの幅が狭く設けられたままであると、センターブロックの裏側に一定の大きさ以上の強力なバネを取り付けることはできない。また1個取り金型の場合やその他の金型の場合もランナ形成面やゲートの位置が偏っていると、射出時の圧力が強く及ぼされる可動枠とそうでない可動枠が発生するので、センターブロックの場合と同じ問題が発生する。そしてまた可動枠が分割されていないで一体に形成される圧縮成形金型であっても、可動枠のうちの射出圧を受ける部分のみに撓みが発生するので、バリが形成されるという問題はまったく発生しないというわけではない。
【0008】
更には金型の一部の可動枠を付勢する押圧手段については、バネに替えて油圧シリンダを金型内に組み込むことも考えられるが、油圧シリンダはバネ以上にスペースを取る場合が多く簡単に組み込むことは難しいという問題があった。更には全ての金型に油圧シリンダを組み込むことはコストアップに繋がるという問題もあった。このように可動金型内において、可動枠のうち射出圧を主に受けるセンターブロックの部分の後退を防止する機構を設けようとすると種々の困難性があり、金型形状の自由度が少なくなったり金型の形状変更の困難性を伴ったりコストアップに繋がったりする。
【0009】
本発明では上記の問題を鑑みて、キャビティ主面を構成するコアブロックが可動ブロックに対して型開閉方向に相対的に移動可能な圧縮成形金型において、比較的コストを掛けずに可動ブロックの後退によるバリの発生を防止することにできる射出圧縮成形機のサポートプレートと、射出圧縮成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の射出圧縮成形機のサポートプレートは、キャビティ主面を構成するコアブロックが
他方の金型との当接面を備える複数の可動ブロックに対して型開閉方向に相対的に移動可能な圧縮成形金型と射出圧縮成形機の台盤の間に取付けられ、前記可動ブロックのうち射出圧を相対的に強く受ける
ランナ形成面も備えるブロック
のみを前方に向けて押圧する押圧機構が備えられたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に記載の射出圧縮成形機のサポートプレートは、請求項1において、前記ランナを形成するブロックは、
2面のコアブロックの中間に設けられたセンターブロックであることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に記載の射出圧縮成形機は、キャビティ主面を構成するコアブロックが
他方の金型との当接面を備える複数の可動ブロックに対して相対的に移動可能な圧縮成形金型が台盤に取付けられ、前記台盤または前記台盤に付設される部材
(金型を除く部材)に前記可動ブロックのうち射出圧を相対的に強く受ける
ランナ形成面も備えるブロック
のみを前方に向けて押圧する押圧機構が備えられたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に記載の射出圧縮成形機は、
請求項3において、前記押圧機構は、成形品の突出機構を兼用したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の射出圧縮成形機のサポートプレートは、キャビティ主面を構成するコアブロックが
他方の金型との当接面を備える複数の可動ブロックに対して型開閉方向に相対的に移動可能な圧縮成形金型と射出圧縮成形機の台盤の間に取付けられ、前記可動ブロックのうち射出圧を相対的に強く受ける
ランナ形成面も備えるブロック
のみを前方に向けて押圧する押圧機構が備えられているので、比較的コストを掛けずに可動ブロックの後退によるバリの発生を防止することにできる。また本発明の射出圧縮成形機は、キャビティ主面を構成するコアブロックが
他方の金型との当接面を備える複数の可動ブロックに対して相対的に移動可能な圧縮成形金型が台盤に取付けられ、前記台盤または前記台盤に付設される部材
(金型を除く部材)に前記可動ブロックのうち射出圧を相対的に強く受ける
ランナ形成面も備えるブロック
のみを前方に向けて押圧する押圧機構が備えられているので、比較的コストを掛けずに可動ブロックの後退によるバリの発生を防止することにできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態の射出圧縮成形機11について、
図1を参照して説明する。射出圧縮成形機11は、射出成形機の一種であって、ベース12上の一側に設けられた型締装置13とその他側に設けられた射出装置14から基本的な部分が構成される。射出装置14は前後進および回転可能なスクリュを内蔵した加熱筒16の前方にノズル17が固定され、図示しない射出機構とスクリュ回転機構を備える。射出装置14は、高速・高圧射出を可能とするものであり、一例として600mm/sec〜1500mm/secの速度でも射出充填が可能となっている。また射出圧力は、一例として100MPa〜350MPaでも射出充填が可能となっている。射出装置の駆動機構は、電動モータを用いたものでも油圧を用いたものでもよい。
【0017】
型締装置13は、固定金型19が取付けられ台盤の一方を構成する固定盤15が配設されている。また固定盤15に対して一側寄り(反射出装置側)のベース12上には受圧盤18が配設されている。固定盤15と受圧盤18はそれぞれの四隅近傍がナットにより固定されたタイバ20により連結されている。また固定盤15と受圧盤18との間には、可動金型22が取付けられ台盤の他方を構成する可動盤21が型開閉方向に移動可能に設けられている。そして固定盤15に対する可動盤21の位置は図示しないセンサにより検出可能となっている。
【0018】
受圧盤18には型締機構と型開閉機構を兼ねた型締シリンダ23が取付けられ、型締シリンダ23のラム24が可動盤21の背面に固定されている。そして圧縮時の型締力は、型締シリンダ23に取付けられた図示しない油圧センサにより検出されるようになっている。なお型締力は、歪センサ等により検出されるものでもよい。また型締装置13の型締機構と型開閉機構はトグル機構によるものでもよく、トグル機構の駆動機構も電動モータであってもよい。また型締機構と型開閉機構は別個の機構からなるものでもよく、その場合、型締機構の駆動源は油圧を用い、型開閉機構の駆動源に電動モータを用いたものでもよい。
【0019】
次に射出圧縮成形機11に取付けられる圧縮成形金型25について
図2ないし
図4により説明する。圧縮成形金型25は一例として携帯電話やスマートフォンに用いられる導光板成形用の成形金型であって導光板の2個取りが可能な金型である。なお導光板の取り数は2個に限定されず1個または複数(2個〜8個、更に好ましくは2〜4個)であってもよい。圧縮成形金型25は、少なくとも一方の金型において、キャビティ主面26aを構成するコアブロック26が可動ブロック27に対して型開閉方向Xに相対的に移動可能となっている。圧縮成形金型25のうちの固定金型19は、固定盤15に取付けられる金型本体(母型)28の中央にスプル29が設けられ、金型本体28の中央であってスプル29の周囲にはランナ形成面を有するセンターブロック30が設けられている。またセンターブロック30は固定金型19の表面側は、ランナを形成するランナ形成面と可動金型22のセンターブロック37と当接される当接面となっている。また金型本体28の前面には、センターブロック30に接続される形でキャビティ主面31aを形成するキャビティ形成ブロック31が2個形成され、その周囲に可動金型22の外枠ブロック27と当接する当接ブロック32が設けられている。本実施形態では、固定金型19側のブロック30,31,32は相対的な位置が変更されないので、それぞれのブロック30,31,32は一体に設けてもよく別の組合せで設けてもよい。また固定金型19のキャビティ形成ブロック31やスプル29の周囲などには冷却媒体が送られる流路が必要に応じて形成される。
【0020】
圧縮成形金型25のうちの可動金型22は、可動盤21に取付けられる金型本体(母型)33が設けられている。そして金型本体33の中央部には空洞部33aが形成されている。前記空洞部33aにはセンターブロック押圧用スリーブ34が型開閉方向に移動可能に設けられている。そしてセンターブロック押圧用スリーブ34の中心の孔34aにはエジェクタピン35が型開閉方向Xに移動可能に設けられている。またセンターブロック押圧用スリーブ34の前端面には可動ブロック27のうちのセンターブロック37の背面37cに当接されるように取付けられている。また上記したセンターブロック押圧用スリーブ34の後端面は型開閉方向Xに対して直交した平面からなり、可動金型22の金型本体33の背面と同じ高さの面となっている。なおここではセンターブロック押圧用スリーブ34は円筒形であるが、長方体など別の形状のものでもよい。またエジェクタピン35は必須のものではなく、センターブロック37全体が前進してランナーの部分を押出すようにしてもよく、エア等の手段により成形品である導光板やランナの部分を押出すようにしてもよい。
【0021】
図3に示されるようにセンターブロック37は正面視矩形のほぼ長方体の部材であり、ランナ形成面37aの部分が凹部となっている。なお固定金型19のセンターブロック30のランナ形成面を凹部とする場合は、センターブロック37は平面でもよい。またセンターブロック37の前面のうちランナ形成面37a以外の部分は、固定金型19のセンターブロック39の当接面と当接される当接面37bとなっている。そしてランナ形成面37aの中央部には前記エジェクタピン35の前端面が臨むように設けられている。また特に
図4に示されるようにセンターブロック37の背面37cは金型本体33に設けられたバネ36が当接され、前方に向けて付勢されている。なおセンターブロック37は図示しない当止めにより前進限の位置が規制されている。
【0022】
センターブロック37の両側にはコアブロック26が配置される。コアブロック26は、金型本体33に固定的に取付けられ、キャビティ主面26aを構成するブロックである。前記コアブロック26のキャビティ主面26aまたは固定金型19のキャビティ形成ブロック31のキャビティ主面31aは微細な凹凸からなる転写面を加工するかスタンパが取付けられるものでもよい。またコアブロック26の三方を取り囲むように可動ブロック27のうちの外枠ブロック38が複数設けられている。外枠ブロック38は、金型本体33に対して複数のバネ39を介して取付けられ、コアブロック26に対して型開閉方向Xに相対的に移動可能となっている。そして外枠ブロック38の前面は固定金型19の当接ブロック32の当接面と当接される当接面38aとなっている。可動ブロック27である外枠ブロック38の側面およびセンターブロック37の側面と、コアブロック26の周囲の面の間はそれぞれ摺動面となっている。なお外枠ブロック38はコアブロック26に向けてバネにより押し付けられるようにしてもよい。センターブロック37と外枠ブロック38の数および分割方法は限定されず、センターブロック37が外枠ブロック38を兼ねるものでもよい。また可動金型22のコアブロック26等には冷却媒体が送られる流路が必要に応じて形成される。
【0023】
コアブロック26に対してセンターブロック37と外枠ブロック38を型開閉方向Xに相対的に移動させるのは弾発体であるバネ36,39であるが、バネの種類は限定されない。しかし前記バネ36,39に替えて油圧シリンダ等のシリンダを用いてもよい。ただしセンターブロック37の背面37cの部分は幅(面積)が狭いので、強力なバネ36や大径のシリンダが配設できないことは「発明が解決しようとする課題」欄に記載した通りである。
【0024】
次に圧縮成形金型25と射出圧縮成形機11の台盤である可動盤21の間に取付けられる射出圧縮成形機のサポートプレート41について説明する。サポートプレート41を圧縮成形金型25と射出圧縮成形機11の可動盤21の間に取付ける目的は、「発明が解決しようとする課題」欄に記載したように射出時、特に射出速度が高速のときに圧縮成形金型25の可動ブロック27であるセンターブロック37のバネ36が退縮しセンターブロック37が他の可動ブロック27よりも後退して固定金型19との間にバリが発生することを防止するためである。または可動金型22の金型本体33とセンターブロック37の間にバネ36を有さない場合であっても、センターブロック37のうちの射出圧を相対的に強く受ける部分が後方側に向けて撓んで固定金型19との間にバリが発生することを防止するためである。
【0025】
サポートプレート41は、好ましくは可動金型22よりも型開閉方向Xに直交する方向の断面積の大きい長方体の部材であり、ボルト(図示せず)により可動盤21に固定されるようになっている。またサポートプレート41の前面に形成されたボルト穴(図示せず)に可動金型22のうちの金型本体33の部分がボルト(図示せず)により固定されるようになっている。サポートプレート41の中央には空洞部42が設けられ、両ロッドタイプの油圧シリンダ43が設けられている。そして油圧シリンダ43のピストン44を貫通して中空のスリーブ状のロッド45が両方向に向けて固定されている。そしてロッド45の前端面は、型開閉方向Xに対して直交する面となっており、前記油圧シリンダ43のピストン44が後退限にあるときサポートプレート41の前面41aと同じ高さとなっている。またロッド45の後端面も、型開閉方向Xに対して直交する面となっており、前記油圧シリンダ43のピストン44が後退限にあるときサポートプレート41の後面41bと同じ高さとなっている。そして油圧シリンダ43の前進側油室43aと後退側油室43bへは外部の図示しない油圧源から圧力制御可能な弁およびサポートプレート41内部の管路46a,46bを経て作動油が供給されるようになっている。本発明では、サポートプレート41のピストン44,ロッド45等を含む油圧シリンダ43が押圧機構47を構成している。
【0026】
また中空のロッド45の中心の軸線方向の孔45aには、サポートブロック41のエジェクタロッド48が挿入されている。そしてエジェクタロッド48の後端は、ロッド部分よりも径が大きいフランジ48aが固定されている。そして前記ロッド45の後端面とフランジ48aの面の間にはバネ49が取付けられ、エジェクタロッド48は後方(可動盤側)に向けて付勢されている。
【0027】
可動盤21の内部または可動盤21(台盤)に付設される部材である型締シリンダ23のラム24の内部には成形品の突出機構50が設けられている。突出機構50が型締シリンダ23のラム24の内部に設けられるときは、可動盤21の中央に孔が形成され、突出機構50の駆動部のロッド51が侵入するようになっている。そして突出機構50が前進しないときは、駆動部のロッド51と前記エジェクタロッド48のフランジ48aの後端面が僅かな間隔を隔てて位置するようになっている。
【0028】
なお本実施形態では、サポートプレート41の押圧機構47は、油圧シリンダ43からなる駆動手段であるが、エアシリンダを用いたものでもよく、電動モータや電磁石を用いたものでもよい。またサポートプレート41内に強力なバネを取り付けてセンタースリーブ34の背面を押圧するようにしたものでもよい。この場合バネの付勢力は、外枠ブロック38のバネ39の付勢力よりも強力であることが望ましい。そしてサポートプレート41の取付け前はバネの前端またはバネの前端に取付けられるブロックはサポートプレート41の前面41aよりも突出しており、ボルトにより可動金型22をサポートプレート41に取付けた際にバネが退縮して付勢力が発生されるように構成される。
【0029】
次に本実施形態の射出圧縮成形機11による導光板等の薄板の成形について説明する。まず可動盤21の前面にボルト等を用いてサポートプレート41を取付け、サポートプレート41の管路46a、46bと図示しない油圧源を配管により接続する。そしてサポートブロック41の前面41aにボルト等を用いて可動金型22を取付ける。また固定盤15の前面にも固定金型19を取付ける。またこれら圧縮成形金型25には、図示しない温調装置から冷却媒体が送られるよう配管を接続する。
【0030】
本実施形態ではサポートプレート41の油圧シリンダ43は、前進側油室43aに僅かに圧が立てられ、ロッド45、センターブロック押圧用スリーブ34を介して、センターブロック37の背面37cを押圧している。
【0031】
成形サイクルが開始されると型締機構と型開閉機構を兼ねた型締シリンダ23を作動させ、固定盤15に取付けられた固定金型19に向けて可動盤21にサポートプレート41を介して取付けられた可動金型22を前進させ、型同士を当接させる。この際に可動金型22の外枠ブロック38の当接面38aと固定金型19の当接ブロック32の当接面が当接して内部に容積可変のキャビティCが形成される。また可動金型22のセンターブロック37の当接面37bも固定金型19のセンターブロック30または当接ブロック32の当接面と当接する。この際に一旦、可動ブロック27であるセンターブロック37および外枠ブロック38のバネ36,39が圧縮されるまで型締してから可動盤21および可動金型22のコアブロック26を後退させる制御方式と、最初からコアブロック26に対して可動ブロック27が最適な位置を保つように型締シリンダ23を制御して可動盤21等を前進させる制御方式があり、どちらも採用可能である。また成形完了時と同じ位置までコアブロック26を前進させておいてから射出を行う方式も採用可能である。いずれにしてもセンターブロック37の後退に応じて油圧シリンダ43のロッド45も後退する。
【0032】
そして所定の位置または所定の型締力(油圧シリンダの油圧値を含む)に可動盤21、サポートプレート41、および可動金型22のコアブロック26を停止した状態で、サポートプレート41の油圧シリンダ43の前進側油室43aに作動油を供給して、射出時にセンターブロック37が射出圧に負けて他の可動ブロック27以上に後退しないように前進側に向けて押圧する。そして次に射出工程を開始する。一例として成形される成形品が対角寸法4〜7インチ、平均板厚が0.25〜0.50mmの導光板の場合、射出装置14は、射出速度600mm/sec〜1500mm/sec、射出圧力100〜350MPaで射出充填を行う。この射出充填の際にスプル29を通じて圧縮成形金型25内に導入された溶融樹脂は最初に可動金型22のセンターブロック37に衝突するため、センターブロック37が他の外枠ブロックと比較して相対的に最も強く射出圧を受ける。
【0033】
しかし本発明では、サポートブロック41の押圧機構47である油圧シリンダ43の油圧力によりスリーブ状のロッド45が前進側(固定金型側)に押圧され、ロッド45に当接されるセンターブロック押圧用スリーブ34も前進側に押圧されているので、センターブロック37が最も強く射出圧を受けたとしても、センターブロック37のみが他の可動ブロック27よりも後退することはない。その結果センターブロック37の当接面37bと固定金型19側のセンターブロック30等の当接面との間に形成されるパーティング面が開いてしまって溶融樹脂がバリとなって入り込むことがない。(なお本発明の目的は、センターブロック37を全く後退させないことではなく、他の可動ブロック27である外枠ブロック38と同様の位置(高さ)を保つことである。従って射出時にセンターブロック37を含む可動ブロック27に対してコアブロック26を相対的に後退させる制御を行う場合も有り得る。)
【0034】
そしてセンターブロック37のランナ形成面37aを介してキャビティC内に溶融樹脂が到達すると、射出充填中または射出充填後に型締シリンダ23を作動させてコアブロック26を前進させてキャビティCの容積を圧縮させ、キャビティC内の溶融樹脂を圧縮する。またこの際に型締シリンダ23により及ぼされる力は、外枠ブロック38を前進側に押圧するバネ39の付勢力と、センターブロック37を前進側に押圧するための油圧シリンダ43の力およびバネ36の付勢力を加算した力よりも大きいため、外枠ブロック38とセンターブロック37はコアブロック26に対して相対的に後退する。なおこの際にサポートブロック41の油圧シリンダ43の圧力を低下させて外枠ブロック38とセンターブロック37が同じ位置へ急速に後退しキャビティC内の溶融樹脂が急速に圧縮できるようにすることが好ましい。
【0035】
その状態で必要に応じて射出装置14の側からは保圧がなされ、成形品の冷却が完了すると型締シリンダ23により型開がなされる。その後に突出機構50の駆動機構のロッド51が前進して、サポートブロック41のエジェクタロッド48の後端面に当接して押圧し、前進したエジェクタロッド48の前端面が可動金型22内のエジェクタピン35の後端面に当接してエジェクタピン35を前進させ、ランナとスプルの部分を押圧して、ランナとスプルと成形品である導光板が一体となった成形物を突き出す。なお本実施形態では押圧機構47によるセンターブロック37の押圧力を可変に制御する例について記載したが、油圧シリンダ43には一定の圧力を付与して、センターブロック37の押圧力を一定に制御してもよい。
【0036】
次に
図5に示される別の実施形態の圧縮成形金型61にサポートブロック41を用いた場合について相違点を中心に説明する。
図5に示される圧縮成形金型61は、ゲートカッタ62によりゲートカットを行うことができるものである。可動金型63に設けられるゲートカッタ62はセンターブロック64のランナ形成面64aとコアブロック65のキャビティ主面65aの間に形成され、ゲートカッタ62の金型内部の部分はブロック66を介して、エジェクタピン67と固定されている。またゲートカッタ62はセンターブロック64に対してバネ68により後退方向に付勢されている。
【0037】
そして可動金型63と可動盤21の間にサポートブロック41を装着し、油圧シリンダ43によりスリーブ状のロッド45を前進方向に駆動させることにより、ロッド45の前端面がセンターブロック押圧用スリーブ70の後端面に当接し、センターブロック押圧用スリーブ70の前端面がセンターブロック64の背面に当接して射出充填時のセンターブロック64の後退を抑制する点は、上記した
図2ないし
図4に記載した実施形態と同じである。そして射出充填後に型締シリンダ23によるキャビティC内の溶融樹脂の圧縮が完了すると、サポートブロック41の油圧シリンダ43を駆動させロッド45を前進させる。その結果センターブロック押圧用スリーブ70が押圧されて前進され、ブロック6を介してゲートカッタ62を前進されて、ランナと導光板の間のゲートをカットする。
【0038】
また型開後には突出機構50を駆動させ、エジェクタロッド48を介してエジェクタピン67を前進させ、ランナとスプルをセンターブロック64のランナ形成面64aから離型させる。なお成形品の部分は突出機構50による離型力が及ばないので、エアを用いたり、取出ロボットの吸着および移動により成形品をコアブロック65のキャビティ主面65aから離型する。なお
図5の実施形態は、突出機構50によりゲートカッタ62を作動させてゲートカットを行う圧縮成形金型61であるが、ゲートカッタ62は、専用の駆動機構により作動させるものや、サポートプレート41の油圧シリンダ43に加えて突出機構50の前進力を併用するものでもよい。
【0039】
次に
図6に示される更に別の実施形態の圧縮成形金型71にサポートブロック41を用いた場合について相違点を中心に説明する。
図6に示される圧縮成形金型71は、射出圧縮成形機11の側からも射出時の射出圧によりセンターブロック72が後退しないようにサポートを行うものである。そして可動金型73と可動盤21の間に押圧機構47を備えたサポートブロック41を装着する点は、上記した
図2ないし
図4に記載した実施形態と同じである。そして
図6の実施形態では、突出機構74は可動金型73の内部に組み込まれた油圧シリンダ75とそのロッド76、エジェクタピン77と該エジェクタピン77を後方に向けて付勢するバネ78等からなる。
【0040】
また
図6に示される更に別の実施形態では、射出圧縮成形機11の側にも押圧機構が設けられている。即ち可動盤21や可動盤21に付設される部材であるラム24等に設けられる突出装置50を押圧機構として使用する。そして少なくとも射出開始前には突出装置50の駆動機構のロッド51の前端面が、サポートプレート41の油圧シリンダ43のスリーブ状のロッド45の後端面に当接して前記ロッド45を前方へ押圧する。また前記ロッド45もまた、油圧シリンダ43の駆動力により押圧機構47の役割を有し、両者の力を合わせてセンターブロック押圧用ブロック79の後端面を押圧する。そしてセンターブロック押圧用ブロック79の前端面とセンターブロック72の背面が当接されることからセンターブロック72を前方に向けて押圧し、射出圧によるセンターブロック72の後退を防止するようになっている。
【0041】
なお
図2ないし
図6の例においては、射出圧縮成形機11の可動盤22と可動金型22,63,73の間に押圧機構47を備えたサポートプレート41を取付ける例について説明した。しかし
図7に示されるように、射出圧縮成形機11の側のみに前記可動ブロック27のうちのセンターブロック37を前方に向けて押圧する押圧機構81の機能を設け、サポートプレート41を設けないものでもよい。その場合センターブロック37を前方に向けて押圧する押圧機構81は、可動金型73が可動盤21(台盤)に直接に取付けられるか、前記可動盤21または前記可動盤21に付設される部材である型締シリンダ23や別のアングルに取付けられる。また押圧機構81については、油圧シリンダが望ましいが、エアシリンダ、電動機、電磁石を用いたもの、またはバネを用いたものでもよい。そして押圧機構81のロッド82が可動金型73のセンターブロック押圧用ブロック79の後端面を押圧し、センターブロック押圧用ブロック79を介してセンターブロック72を前方に向けて押圧することにより、射出圧によるセンターブロック72の後退を防止するようになっている。
【0042】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。上記の実施形態では可動盤21と可動金型22,63,73の間にサポートブロック41を設ける例について記載した。しかし固定金型19の側にセンターブロックを含む可動ブロックが設けられる場合は、固定盤15と固定金型19の間に押圧機構を有するサポートブロックを設けるかまたは固定盤に押圧機構が設けられる。
【0043】
また上記した本実施形態では、キャビティ主面26aを形成する2面のコアブロック26の間に可動ブロック27であるセンターブロック37が配置される例について説明したが、キャビティ主面26aの面数は限定されない。即ちキャビティ主面が一面であって一方にゲートが形成される圧縮成形金型では、ゲートの側の外枠ブロック(可動ブロック)のほうが他方の側よりも射出圧を相対的に強く受けるので、ゲートの側の外枠ブロックの後方側に押圧機構を設けてもよい。またサポートブロック41に設けられる押圧機構は1個の例について記載したが圧縮成形金型の構造によっては押圧機構を複数設けてもよい。更に本発明は、横型の射出圧縮成形機のみならず、縦型の射出圧縮成形機にも適用可能である。また上記ではスマートフォン用の導光板の例について説明したが、薄板状の成形品全般の成形に適しており、一例として自動車の窓部品など大型の成形品についても適用可能である。