(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施例1〕
[ブレーキ液圧回路の構成]
図1は実施例1のブレーキ装置の液圧回路図である。液圧回路は、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの間に設けられた液圧制御ユニット30内に形成されている。このブレーキ液圧制御装置は、ブレーキコントローラBCUからのVehicle Dynamics Control(以下VDC)、Anti-lock Brake System(以下ABS)の要求液圧に加え、車両全体の走行状態を制御する統合コントローラCUの回生協調制御に伴う要求液圧に応じて液圧制御を行う。
【0010】
液圧制御ユニット30は、P系統のブレーキ液圧回路とS系統のブレーキ液圧回路の2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造となっている。P系統には、左前輪のホイルシリンダW/C(FL)、右後輪のホイルシリンダW/C(RR)が接続されており、S系統には、右前輪のホイルシリンダW/C(FR)、左後輪のホイルシリンダW/C(RL)が接続されている。液圧制御ユニット30と各ホイルシリンダW/Cとは、ハウジングの上面に穿設されたホイルシリンダポート19(19RL,19FR,19FL,19RR)に接続されている。また、ポンプユニットはP系統、S系統それぞれに、ギヤポンプPPとギヤポンプPS(以下、総称してギヤポンプPとも記載する。)とが設けられモータMによって駆動されるタンデムギヤポンプである。
【0011】
マスタシリンダM/Cと液圧制御ユニット30とは、ハウジングのポート接続面に穿設されたマスタシリンダポート20P,20Sを介して液路18P,18Sに接続されている。この液路18とギヤポンプPの吸入側とは、液路10P,10Sによって接続されている。液路10上には、常閉型のソレノイドバルブであるゲートインバルブ1P,1S(総称してゲートインバルブ1とも記載する。)が設けられている。液路18P上であって、マスタシリンダポート20Pと、液路10Pとの接続部との間にはマスタシリンダ圧センサ22と温度センサ23とが設けられている。
ギヤポンプPの吐出側と各ホイルシリンダW/Cとは、液路11P,11Sによって接続されている。この各液路11上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型のソレノイドバルブである増圧バルブ3FL,3RR,3FR,3RL(総称して増圧バルブ3とも記載する。)が設けられている。また各液路11上であって、各増圧バルブ3とポンプユニットPとの間にはチェックバルブ6P,6Sが設けられている。各チェックバルブ6は、ギヤポンプPから増圧バルブ3へ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0012】
更に各液路11には、各増圧バルブ3を迂回する液路16FL,16RR,16FR,16RLが設けられており、液路16には、チェックバルブ9FL,9RR,9FR,9RLが設けられている。この各チェックバルブ9は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
マスタシリンダM/Cと液路11とは液路12P,12Sによって接続されており、液路11と液路12とはギヤポンプPと増圧バルブ3との間において合流している。この各液路12上には、常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ2P,2S(総称してゲートアウトバルブ2とも記載する。)が設けられている。また各液路12には、各ゲートアウトバルブ2を迂回する液路17P,17Sが設けられており、この液路17には、チェックバルブ8P,8Sが設けられている。この各チェックバルブ8は、マスタシリンダM/C側からホイルシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0013】
ギヤポンプPの吸入側にはリザーバ15P,15Sが設けられており、このリザーバ15とギヤポンプPとは液路14P,14Sによって接続されている。リザーバ15とギヤポンプPとの間にはチェックバルブ7P,7S(総称してチェックバルブ7とも記載する。)が設けられている。ホイルシリンダW/Cと液路14とは液路13P,13Sによって接続されており、液路13と液路14とはチェックバルブ7とリザーバ15との間において合流している。この各液路13にそれぞれ、常閉型のソレノイドバルブである減圧バルブ4FL,4RR,4FR,4RL(総称して減圧バルブ4とも記載する。)が設けられている。
【0014】
例えば、VDC制御において、ある輪のホイルシリンダに対して増圧要求がなされると、ゲートインバルブ1を開き、ゲートアウトバルブ2を閉じ、増圧バルブ3を開き、減圧バルブ4を閉じ、ギヤポンプPを駆動する。これにより、ギヤポンプPはマスタシリンダM/Cからゲートインバルブ1を介してブレーキ液を吸入・吐出し、ホイルシリンダを増圧することで車両挙動制御を行う。また、統合コントローラCUから回生協調制御に伴う要求液圧が設定されると、駆動輪のホイルシリンダに対応する増圧バルブ3を閉じ、減圧バルブ4を開いて減圧し、ギヤポンプPを駆動することでリザーバ15内に貯留されたブレーキ液をマスタシリンダ側に還流する。このとき、ゲートアウトバルブ2を釣り合い制御することでペダルフィーリングの悪化を回避する。
【0015】
図2は実施例1の電磁弁であるゲートアウトバルブを表す断面図である。ボディーインナ101は、円筒状の磁性材料部材であり、
図2中上方に延在され磁路形成部材として機能する第1円筒部110と、ハウジングHに対してカシメ固定される拡径された被カシメ部120と、ハウジングH内に形成された電磁弁用孔H1内に挿入される第2円筒部130と、を有する。第1円筒部110の内周には貫通孔111aが穿設され、第2円筒部130の内周には貫通孔111aよりも僅かに大径の貫通孔113aが穿設されている。第1円筒部110の上端には、貫通孔111aに向けてすり鉢状に凹んだ凹状傾斜面111bが形成されている。第2円筒部130には径方向油路113bが複数形成され、ハウジングH内に形成された第1油路L1と連通している。
【0016】
第2円筒部130の貫通孔113a内にはシート部材60が圧入固定されている。シート部材60は、
図1中上方側において後述するプランジャ先端が当接する御椀状に凹んだバルブシート61と、バルブシート61の中央に形成され軸方向に伸びる流路62と、流路62よりも大径であってハウジングH内に形成された第2油路L2と連通する流路63とを有する。
【0017】
第2円筒部130の外周には径方向油路113bを取り囲むフィルタfが取り付けられ、流体内のコンタミ等がプランジャ40やバルブシート61にかみ込むことを防止している。また、シート部材60の外周にはカップシール80が取り付けられている。このカップシール8は、(流路L2の液圧)>(流路L1の液圧)のときは、流路L2側から流路L1側への流体の漏れをシールし、(流路L2の液圧)<(流路L1の液圧)のときは、流路L1側から流路L2側への流体の流れを許容することで、チェック弁の機能を果たしている。
【0018】
例えば、ブレーキ制御装置のゲートアウト弁に適用する場合、マスタシリンダと流路L1とを接続し、ホイルシリンダと流路L2を接続する。これにより、運転者のブレーキペダル踏み込みによりマスタシリンダ圧がホイルシリンダ圧より高圧となったときは、ゲートアウト弁が閉じた状態でもホイルシリンダ側にブレーキ液圧を作用させることで安全性を確保する。
【0019】
第1円筒部110の上方には、シリンダ部材102が溶接にて接合されている。シリンダ部材102はドーム形状の頂部壁102aと、頂部壁102aから連続して形成された円筒部102bを有し、円筒部102bは第1円筒部110の外周を覆うように挿入された状態で全周に亘って第1円筒部110に対しレーザー溶接されている。シリンダ部材102及び第1円筒部110は、ハウジングH表面から飛び出した状態とされ、その外周を覆うようにコイル70が配置されている。コイル70は、ボビン71に巻回されたソレノイド72と、その外周を断面コの字状に覆う磁性体のヨーク73から構成されている。
【0020】
シリンダ部材102の内部は中空とされており、この中空内には、上下方向にストロークする磁性体からなるアーマチュア103が設けられている。アーマチュア103は、ヨーク73の上部と略同じ高さ位置まで大径とされた大径部32と、ヨーク73の上部より上方において大径部32の上端32aを起点としてテーパ形状に形成されたアーマチュア頭部35と、ヨーク73の上部より下方において大径部32の下端32bを起点として連続して形成された小径部33と、小径部33の下端33a側から略中心に穿設された凹部34とを有する。
【0021】
アーマチュア頭部35の頭頂部には、上方から下方に向けて略円筒状に穿設されたスプリング収装部35bを有する。また、頂部壁102aの内壁とスプリング収装部35bの底部35cとの間には所定のセット荷重を持ってコイルスプリング50が縮設されている。また、非通電時において、アーマチュア頭部35の上方端部35aは頂部壁102a内周と当接している。また、小径部33の下端33aと凹部34との間には、凹状傾斜面111bの傾斜角よりも緩やかな傾斜を持って凸形状に形成された皿バネ当接面36が形成されている。
【0022】
そして、皿バネ当接面36と凹状傾斜面111bとは、凹凸の関係になっており、両面の間には所定のセット荷重を持って皿バネ51が縮設されている。この皿バネ51は、皿バネ当接面36と凹状傾斜面111bとの傾斜角が違うことにより生じる隙間内において弾性変形可能に設定されている。皿バネ51は、傾斜角が違うことにより生じる隙間内で弾性変形可能であれば、テーパ面を有する形状であってもよいし、単に平坦な平板形状であってもよい。テーパ面の傾斜方向も目的とする特性に合わせて適宜変更すればよい。
【0023】
ここで、コイルスプリング50のセット荷重をf1、皿バネ51とのセット荷重をf2としたとき、f1<f2とされている。すなわち、非通電時は、f2とf1との差分の付勢力によりプランジャ40及びアーマチュア103を上方に付勢することで先端部43とバルブシート61とを離間させ、第1油路L1と第2油路L2とを連通状態としている(ノーマルオープンタイプ)。
【0024】
大径部32は、ヨーク73と略同じ高さ位置まで形成することで効率的に磁路を形成する。また、小径部33を形成することでシリンダ部材102の内周面との間の面接触を回避する。また、アーマチュア103の外周には軸方向に伸びる溝31が形成されており、シリンダ部材102内部でアーマチュア103がストロークする際、流体の移動をスムーズに達成してストロークする際の流体抵抗を抑制する。
【0025】
アーマチュア103の凹部34及び第1円筒部110の内部には、プランジャ40が設けられている。プランジャ40は、凹部34内において嵌め合うことでアーマチュア103と一体とされる嵌合部44と、嵌合部44より小径の第1軸部41と、第1軸部41より小径の第2軸部42と、第2軸部42の先端に形成されバルブシート61と接触・離間するドーム形状の先端部43とを有する。
【0026】
次に、電磁弁としての開閉作用を説明する。コイル70に所定の電流が通電されると、ヨーク73、アーマチュア103、第1円筒部110に磁路が形成され、アーマチュア103の下端面と、第1円筒部110の上端面との間に吸引力が発生する。この吸引力によってアーマチュア103は下方に押し下げられる。それに伴ってプランジャ40を押し下げ、先端部43とバルブシート61とが接触し、先端部43の全周においてバルブシート61と接触すると、流路62が完全に閉塞され、第1油路L1と第2油路L2とが遮断される。また、コイル70への通電量をPWM制御によって制御し、吸引力を比例制御することで、先端部43とバルブシート61との間の隙間(流路断面積)を制御することができ、これにより所望の流量(液圧)に制御する。
【0027】
(皿バネとコイルスプリングとの関係について)
次に、皿バネを採用する理由について説明する。
図3はばね剛性の違いによる制御電流と流量との関係を表す特性図である。コイルスプリングのように、力の入力に対する変形量が大きい特性、すなわちばね剛性が弱い特性の場合、少ない電流で流量制御ができるというメリットがある。しかし、目標電流に対して実電流がばらついた場合、電流変化に対する流量変化が大きいため、電流ばらつきに対する流量ばらつきも大きくなってしまうという問題がある。
一方、皿バネの変形初期や特に撓み量の最大値間際に力の入力に対する変形量が小さい特性、すなわちばね剛性が強い特性の場合、電流変化に対する流量変化が小さいため、目標電流に対して実電流がばらついた場合、電流変化に対する流量変化が小さいため、電流ばらつきに対する流量ばらつきも小さくなるため制御精度が向上するというメリットがある。しかし、ばね剛性が強いため、大きな電流で流量制御をしなければならないという問題がある。
【0028】
そこで、実施例1では、プランジャ40に対し、皿バネ51が開弁方向に荷重を付与し、コイルスプリング50が閉弁方向に荷重を付与する構成とし、皿バネ51の荷重がコイルスプリング50の荷重よりも大きくすることで非通電時における開弁状態を維持し、少ない電流で閉弁を開始可能とすると共に、電流変化に対する流量変化を小さくしていることによって制御精度を向上させることとしたものである。以下、比較例を用いて説明する。
【0029】
(実施例1と比較例との対比)
次に、実施例1の構成におけるコイルスプリング50と皿バネ51とによって達成される特性について比較例を用いて説明する。
図4は実施例1と比較例とにおける部分断面図、
図5は実施例1と比較例とにおけるプランジャストローク量とバネ力との関係を表す特性図である。
図4(a)は実施例1のプランジャ40部分の断面を表し、
図4(b)は比較例のプランジャ部分の断面を表す。実施例1では、プランジャ40に対し、皿バネ51が開弁方向に荷重を付与し、コイルスプリング50が閉弁方向に荷重を付与し、皿バネの荷重がコイルスプリングの荷重よりも大きいため、非通電時において開弁状態を維持している。一方、比較例では、
図4(b)に示すように、プランジャ40に対し、皿バネ及びコイルスプリングが共に開弁方向に荷重を付与する。
【0030】
図5には、皿バネ及びコイルスプリングの弾性係数が実施例1と比較例とで同じものを用いた場合の特性図を示す。
図5中、細い実線は皿バネのストローク量に対する弾性力の関係及びコイルスプリングのストローク量に対する弾性力の関係を示し、一点鎖線は比較例のストローク量に対する弾性力の関係を示し、二点鎖線は実施例1のストローク量に対する弾性力の関係を示す。コイルスプリングの弾性特性は、ストローク量に対して線形に弾性力が大きくなる。一方、皿バネの弾性特性は、開弁状態から閉弁し始める初期においてストローク量の増大に対する弾性力の増大勾配が小さいが、閉弁するに従って増大勾配が大きくなる特性を有する。
【0031】
比較例の場合、皿バネの弾性特性にコイルスプリングの弾性特性が加算されるため、開弁時における弾性力も大きく、閉弁するに連れて非常に大きな力がプランジャに作用することが分かる。よって、消費電力が大きく、コイルの大型化等を招くおそれもある。
これに対し、実施例1の場合、皿バネの弾性特性からコイルスプリングの弾性特性が減算されるため、開弁時における弾性力が小さく、閉弁するに連れて皿バネの弾性力は大きくなるものの、コイルスプリングによる力も大きくなるため、比較例に比べて十分に小さな弾性力に抑制されていることが分かる。
【0032】
また、一般に開弁状態から閉弁を開始するときには応答性が重視され、閉弁状態に近づくにつれ微妙な開度が流量に影響を与えることから制御精度が重視される。このとき、皿バネの特性を活用しているため、開弁状態付近の領域にあってはストロークに対する弾性力変化が小さい。よって、少ない電流変化によって流量を大きく変化させることができ、応答性が確保される。一方、閉弁状態付近の領域にあってはストロークに対する弾性力変化が大きいため、大きな電流変化がなければ流量を大きく変化できない。言い換えると、電流のばらつきに対して流量変化が起きにくく、流量の制御精度を高めることができる。
【0033】
以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果が得られる。
(1-1)コイル70が巻かれたボビン71,ソレノイド72,ヨーク73(ソレノイド部)と、
ソレノイド部の内周に配置され、非磁性体からなるシリンダ部材102(筒状部材)と、
コイル70に通電したときに発生する電磁力によってシリンダ部材102内を軸方向に移動するアーマチュア103(磁性体)と、
アーマチュア103の一端側に配置され磁性体からなる中空部を備えたボディーインナ101(ボディ)と、
中空部内に配置され、アーマチュア103の軸方向の移動に伴ってアーマチュア103と一体的に軸方向に移動するプランジャ40(弁体)と、
プランジャ40が当接することで閉塞する流路を備えたシート部材60と、
プランジャ40を開弁方向に付勢する皿バネ51(第1弾性体)と、
皿バネ51による付勢力を打ち消す方向に付勢力を発生させてアーマチュア103を付勢するコイルスプリング50(第2弾性体)と、
を備え、
皿バネ51はコイルスプリング50のセット荷重より大きなセット荷重でセットされていることを特徴とする電磁弁。
よって、第1弾性体である皿バネ51の特性を得つつ第2弾性体であるコイルスプリング50によって弾性力を小さくすることができるため、低電流化を図ることができる。
【0034】
(1-2)上記(1-1)に記載の電磁弁において、
コイルスプリング50は、シリンダ部材102とアーマチュア103との間に縮設されていることを特徴とする電磁弁。
よって、アーマチュア103をシリンダ部材102に挿入する際に容易にコイルスプリング50を装着できる。
【0035】
(1-3)上記(1-1)に記載の電磁弁において、
コイルスプリング50はアーマチュア103のスプリング収装部35b(他端側)とシリンダ部材102との間に縮設されていることを特徴とする電磁弁。
よって、アーマチュア103をシリンダ部材102に挿入する際に容易にコイルスプリング50を装着できる。
【0036】
(1-4)上記(1-3)に記載の電磁弁において、
アーマチュア103の他端側にはコイルスプリング50を収容するためのスプリング収装部35b(凹部)が形成されていることを特徴とする電磁弁。
よって、コイルスプリング50の一部がスプリング収装部35b内に収容されることで軸方向寸法を短縮できる。
【0037】
(1-5)上記(1-1)に記載の電磁弁において、
アーマチュア103とプランジャ40とを一体的に構成し、皿バネ51はアーマチュア103の一端側面とボディーインナ101との間に縮設されていることを特徴とする電磁弁。
よって、シリンダ部材102にアーマチュア103及びプランジャ40を挿入し、皿バネ51を挿入した後にボディーインナ101を組み付けるという簡単な組み付け工程により皿バネ51を配置することができる。
【0038】
(1-6)上記(1-5)に記載の電磁弁において、
皿バネ51は円盤部材であることを特徴とする電磁弁。
コイルスプリングに比べて軸方向寸法を短縮化できる。
【0039】
(1-7)上記(1-6)に記載の電磁弁において、
アーマチュア103の一端側面とボディーインナ101のアーマチュア103と対向する面とが凹凸の関係になる凹状傾斜面111b(傾斜面)を備え、
皿バネ51の外周部は、ボディーインナ101に当接し、内周部はアーマチュア103に当接して縮設されていることを特徴とする電磁弁。
よって、アーマチュア103とボディーインナ101との間の吸引面積を確保することで制御性を向上すると共に、皿バネ51を容易に配置することができる。
【0040】
(1-8)コイル70が巻かれたボビン71,ソレノイド72,ヨーク73(ソレノイド部)と、
ソレノイド部の内周に配置され、非磁性体からなるシリンダ部材102(筒状部材)と、
コイル70に通電したときに発生する電磁力によってシリンダ部材102内を軸方向に移動するアーマチュア103(磁性体)と、
アーマチュア103の一端側に配置され磁性体からなる中空部を備えたボディーインナ101(ボディ)と、
中空部内に配置され、アーマチュア103の軸方向の移動に伴ってアーマチュア103と一体的に軸方向に移動するプランジャ40(弁体)と、
プランジャ40が当接することで閉塞する流路を備えたシート部材60と、
アーマチュア103の他端側に配置されアーマチュア103をボディーインナ101に向けて付勢するコイルスプリング50(弾性体)と、
アーマチュア103の一端側とボディーインナ101との間にコイルスプリング50のセット荷重より大きなセット荷重で弾性変形可能に狭持された皿バネ51(円盤部材)と、
を備えたことを特徴とする電磁弁。
よって、第1弾性体である皿バネ51の特性を得つつ第2弾性体であるコイルスプリング50によって弾性力を小さくすることができるため、低電流化を図ることができる。
【0041】
(1-9)上記(1-8)に記載の電磁弁において、
コイルスプリング50は、シリンダ部材102とアーマチュア103との間に縮設されていることを特徴とする電磁弁。
よって、アーマチュア103をシリンダ部材102に挿入する際に容易にコイルスプリング50を装着できる。
【0042】
(1-10)上記(1-8)に記載の電磁弁において、
アーマチュア103の他端側にはコイルスプリング50を収容するためのスプリング収装部35b(凹部)が形成されていることを特徴とする電磁弁。
よって、コイルスプリング50の一部がスプリング収装部35b内に収容されることで軸方向寸法を短縮できる。
【0043】
(1-11)上記(1-10)に記載の電磁弁において、
シリンダ部材102はカップ状部材であり、
弾性体はコイルスプリング50であり、該コイルスプリング50の一端はシリンダ部材102(カップ状部材)の底部に支持され、他端はスプリング収装部35bの底部35cに支持されていることを特徴とする電磁弁。
よって、コイルスプリング50の一部がスプリング収装部35b内に収容されることで軸方向寸法を短縮できる。
【0044】
(1-12)上記(1-8)に記載の電磁弁において、
皿バネ51は円盤部材であることを特徴とする電磁弁。
コイルスプリングに比べて軸方向寸法を短縮化できる。
【0045】
(1-13)上記(1-8)に記載の電磁弁において、
アーマチュア103の一端側面とボディーインナ101のアーマチュア103と対向する面とが凹凸の関係になる凹状傾斜面111b(傾斜面)を備え、
皿バネ51の外周部は、ボディーインナ101に当接し、内周部はアーマチュア103に当接して縮設されていることを特徴とする電磁弁。
よって、アーマチュア103とボディーインナ101との間の吸引面積を確保することで制御性を向上すると共に、皿バネ51を容易に配置することができる。
【0046】
(1-14)ホイルシリンダW/Cの液圧をコントロールするマスタシリンダM/CもしくはポンプP(液圧源)及びゲートアウトバルブ2を備えたブレーキ装置であって、
ゲートアウトバルブ2は、コイル70が巻かれたボビン71,ソレノイド72,ヨーク73(ソレノイド部)と、
ソレノイド部の内周に配置され、非磁性体からなるシリンダ部材102(筒状部材)と、
コイル70に通電したときに発生する電磁力によってシリンダ部材102内を軸方向に移動するアーマチュア103(磁性体)と、
アーマチュア103の一端側に配置され磁性体からなる中空部を備えたボディーインナ101(ボディ)と、
中空部内に配置され、アーマチュア103の軸方向の移動に伴ってアーマチュア103と一体的に軸方向に移動するプランジャ40(弁体)と、
プランジャ40が当接することで閉塞する流路を備えたシート部材60と、
プランジャ40を開弁方向に付勢する皿バネ51(第1弾性体)と、
皿バネ51による付勢力を打ち消す方向に付勢力を発生させてアーマチュア103を付勢するコイルスプリング50(第2弾性体)と、
を備え、
皿バネ51はコイルスプリング50のセット荷重より大きなセット荷重でセットされていることを特徴とするブレーキ装置。
よって、第1弾性体である皿バネ51の特性を得つつ第2弾性体であるコイルスプリング50によって弾性力を小さくすることができるため、低電流化を図ることができる。
【0047】
(1-15)上記(1-14)に記載のブレーキ装置において、
皿バネ51は円板部材であることを特徴とするブレーキ装置。
コイルスプリングに比べて軸方向寸法を短縮化できる。
【0048】
(1-16)上記(1-15)に記載のブレーキ装置において、
アーマチュア103の一端側面とボディーインナ101のアーマチュア103と対向する面とが凹凸の関係になる凹状傾斜面111b(傾斜面)を備えたことを特徴とするブレーキ装置。
よって、アーマチュア103とボディーインナ101との間の吸引面積を確保することで制御性を向上できる。
【0049】
(1-17)上記(1-15)に記載のブレーキ装置において、
皿バネ51(円盤部材)は平板であることを特徴とする電磁弁。
コイルスプリングに比べて軸方向寸法を短縮化できる。
【0050】
(1-18)上記(1-17)に記載のブレーキ装置において、
皿バネ51の外周部は、ボディーインナ101に当接し、内周部はアーマチュア103に当接して縮設されていることを特徴とするブレーキ装置。
よって、皿バネ51を容易に配置することができる。
【0051】
(1-19)上記(1-14)に記載のブレーキ装置において、
ゲートアウトバルブ2は、プランジャ40に高圧のブレーキ液圧が作用する上流側と低圧側のブレーキ液圧が作用する下流側の差圧の大きさに対応した電流がソレノイド72に通電されて弁体の位置が調整されることを特徴とするブレーキ装置。
よって、プランジャ40のストロークと電流との関係を安定させることができ、制御性を向上できる。
【0052】
(1-20)上記(1-19)に記載のブレーキ装置において、
ゲートアウトバルブ2は高圧のブレーキ液圧がプランジャ40を開弁方向に作用するように配置されていることを特徴とするブレーキ装置。
よって、差圧によって開弁が阻害されるといったことがなく、ストロークと電流との関係を安定させることができ、制御性を向上できる。
【0053】
〔実施例2〕
次に実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
図6は実施例2のプランジャ部分の断面図である。実施例1ではアーマチュア103の頂部壁102a側にスプリング収装部35bを設けた。これに対し、実施例2では、アーマチュア103の中間部分の側面にコイルスプリング50aを保持する構成としたものである。
【0054】
すなわち、実施例2のアーマチュア103は、小径部321と、小径部321より更に細く形成されたくびれ部322と、くびれ部322に接続され小径部321よりも大径の大径部331とを有する。そして、くびれ部322と大径部331との接続部に段部332が形成されている。また、シリンダ部材102は、内部で小径部321がストロークする小径筒部102b1と、内部で大径部331がストロークする大径筒部102b2と、小径筒部102b1と大径筒部102b2とを接続する絞り部102b3とを有する。そして、絞り部102b3と段部332とが軸方向から見て重なるように配置され、この段部332と絞り部102b3との間にコイルスプリング50aを縮設したものである。これにより、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0055】
〔実施例3〕
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
図7は実施例3のプランジャ部分の断面図である。実施例1ではアーマチュア103の頂部壁102a側にスプリング収装部35bを設けた。これに対し、実施例3では、プランジャ40の先端付近にコイルスプリング50bを保持する構成としたものである。
【0056】
すなわち、実施例3のボディーインナ101の貫通孔111aの下方には、プランジャ40の第1軸部41が貫通すると共にプランジャ40を保持する縮径段部121が形成されている。この縮径段部121は、中心部に貫通孔121aが形成されると共に、シート部材60側にはリテーニング面121bが形成されている。
プランジャ40の先端付近であって、第1軸部41と第2軸部42との接続部分には第1軸部41よりも拡径された円環プレート状のスプリング保持部42aが形成されている。そして、リテーニング面121bは、プランジャ40の軸方向から見てスプリング保持部42aと重なるように形成されている。このリテーニング面121bとスプリング保持部42aとの間にはコイルスプリング50bが縮設されている。よって、閉弁方向に向けてコイルスプリング50bの弾性力が作用する。これにより、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0057】
以上、実施例に基づいて本願発明を説明したが、上記構成に限らず、発明の範囲であれば適宜変更可能である。実施例では、皿バネとして円環状の平板を用いたが、所望の弾性係数特性が得られる形状であれば、板厚に変化があってもよいし、傾斜が付いていても構わない。また、コイルスプリングを備えた例を示したが、コイルスプリングに限らず他の弾性体(例えば、ゴムや樹脂等)を用いて構成してもよい。さらに、第2弾性体をコイルスプリングに変え、皿バネを直列に配置するなどして、第1弾性体としての皿バネとの付勢力の関係を得るようにしても良い。また、実施例ではブレーキ装置のゲートアウトバルブに適用したが、ノーマルオープン型であって比例制御が要求されるような部分、例えばブレーキバイワイヤ装置の増減圧弁等に採用してもよい。