(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、例示的一実施形態に従って形成されたコネクタシステム100を示す。コネクタシステム100は、バッテリ106等のコンポーネントの電源端子104(
図2に示す)に終端接続した電源端子コネクタ102を含む。電源端子コネクタ102はケーブル108の端部に終端接続する。バッテリ106は車両に用いられる任意の電圧バッテリでよい。任意で、車両は電気自動車又はハイブリッド電気自動車でもよく、バッテリ106は電気自動車又はハイブリッド電気自動車用の電源システムの一部として用いられてもよい。
【0025】
電源端子コネクタ102は、電源端子104に容易且つ迅速に終端接続することができるクイックコネクト/クイックディスコネクト型のコネクタである。電源端子コネクタ102は、バッテリ106周囲の空間を節約するように非常に低背である。
【0026】
バッテリ106は、上面110、上面110に垂直な正面112、及び上面110及び正面112に垂直な側面114を含む。上面110、正面112、及び側面114は一般的にバッテリ106の角で交差する。例示的一実施形態では、バッテリ106はこの角に切欠き領域116を含む。切欠き領域116は、上面110の下方、正面112の背後、且つ側面114から内側に向かって設けられた凹みである。切欠き領域116は、上面110、正面112、及び側面114に沿って延在する平面によって画定される窓部又は外囲部(envelope)を画定する。
【0027】
電源端子104及び電源端子コネクタ102は切欠き領域116内に配置される。バッテリ106は切欠き領域116の底面に取付けパッド118を含む。電源端子104は取付けパッド118から延出している。取付けパッド118にはヘッダ120が結合される。ヘッダ120には電源端子コネクタ102が結合される。例示的一実施形態では、ヘッダ120は、それが上面110、正面112、又は側面114から突き出ないように切欠き領域116内に収容されている。電源端子コネクタ102は、それが上面110から(例えば上方に)突き出ないように電源端子104及びヘッダ120に結合される。電源端子コネクタ102は、それが側面114から(例えばその外側に)突き出ないように電源端子104及びヘッダ120に結合される。電源端子コネクタ102の一部及び/又はケーブル108が正面112から延出する。従って、他のバッテリ等その他のコンポーネントを、ヘッダ120又は電源端子コネクタ102に邪魔されることなく、側面114の真横に配置することができる。カバーや蓋のような他のコンポーネントはヘッダ120や電源端子コネクタ102に邪魔されることなく、上面110に沿って延在することができる。
【0028】
他の実施形態では、ケーブル108及び電源端子コネクタ102を正面112から延出させるのではなく、ケーブル108及び電源端子コネクタ102を側面114から延出させてもよい。かかる実施形態では、電源端子コネクタ102は、正面112から(例えばその前方へ)突き出てはならない。更に他の実施形態では、電源端子コネクタ102は、凹みが形成されない又はヘッダを含まないバッテリ又はその他のコンポーネントに結合されてもよい。
【0029】
図2は、切欠き領域116でバッテリ106に結合されたヘッダ120を備える切欠き領域116を示すバッテリ106の一部を示す。例示的一実施形態では、ヘッダ120は電源端子コネクタ102(
図1に示す)との接点を提供するバッテリ106の固定されたコネクタである。ヘッダ120は電源端子104を含む。
【0030】
電源端子104は、バスバー122と、バスバー122から延出しバスバー122に電気的に結合されたピン124を含む。ピン124は、正面112及び側面114とほぼ平行なピン軸126に沿って延在する。図示の実施形態では、バスバー122はほぼ平面状であり、上面110に平行に延在する。バスバー122は取付けパッド118に設けられる。
【0031】
ヘッダ120は、電源端子104を部分的に包囲するヘッダシュラウド128を含む。ヘッダシュラウド128は複数のシュラウド壁130を含む。例示的一実施形態では、シュラウド壁130は箱形状でもよい。ヘッダシュラウド128は、上部開口132及び正面開口134を有する。シュラウド壁130は、電源端子104の他の側面、例えば電源端子104の後側、内側、及び外側を包囲する。例示的一実施形態では、シュラウド壁130は、非導電性であり、電源端子104の不慮の接触から保護する。
【0032】
ピン124は外側接触表面136を含む。ピン124は先端138まで延出する。例示的一実施形態では、先端138に近接して溝140が画定される。ピンヘッド142は溝140の上方に画定され、ピン124が溝140の上方に直径の比較的大きな部分を有するようにする。溝140はピン124の直径が比較的小さな部分である。任意で、ピンヘッド142はピン124が安全に接触するようにプラスチックでもよい。
【0033】
組立中、電源端子コネクタ102は上部開口132を通ってヘッダシュラウド128内に装填される。電源端子コネクタ102が電源端子104に接続されると、電力端子コネクタ102は正面開口134を通ってヘッダシュラウド128から延出する。電源端子コネクタ102が電源端子104に結合されると、電源端子コネクタ102の一部が溝140に受容されて電源端子コネクタ102をピン124に固定する。例示的一実施形態では、電源端子コネクタ102は電源端子104から誤って外れることがない。むしろ、電源端子コネクタ102を溝104から外すためには意図的な動作が行われ、その後に電源端子コネクタ102がピンからピン軸126に平行な方向に持ち上げて外されることができる。
【0034】
図3は、電源端子コネクタ102の分解図である。電源端子コネクタ102は、電源端子104(
図2に示す)に電気的に接続されるように構成された端子本体150を含む。端子本体150は、ケーブル108の端部に終端接続するように構成される。電源端子コネクタ102は、端子本体150に受容されるコンタクトスプリング152を含む。コンタクトスプリング152は、端子本体150をピン124(
図2に示す)に電気的に接続するために使用される。電源端子コネクタ102は、端子本体150を少なくとも部分的に包囲するハウジング154を含む。ハウジング154は、人間や電源端子コネクタ102を傷つける可能性のある感電を引き起こしかねない、人間や工具による不慮の接触から端子本体150を保護する。電源端子コネクタ102は、電源端子コネクタ102をピン124に固定するために使用されるスプリングクリップ156を含む。電源端子コネクタ102は、端子本体150に回転可能に結合されるように構成されたキャップ158を含む。キャップ158は、以下により詳細に記述されるように、スプリングクリップ156を作動して電源端子コネクタ102をピン124からロック解除するために使用される。任意で、電源端子コネクタ102は、ケーブル108に結合され、端子本体150の一部を被覆するように構成されたスリーブ160を含んでもよい。スリーブ160は、ハウジング154と同様に、人間又は工具による不慮の接触から端子本体150を保護する。任意で、スリーブ160は熱収縮チューブでもよい。
【0035】
端子本体150は、終端部162と嵌合端部164との間に延在する。終端部162は、ケーブル108に終端接続するように構成される。例示的一実施形態では、終端部162は、ケーブル108に圧着されることができる圧着フェルールを含む。終端部162は、他の実施形態では他の手段によって、例えばケーブル108の端部に半田付けすることによって、ケーブル108に終端接続してもよい。端子本体150は、終端部162と嵌合端部164との間に延在する基部166を含む。
【0036】
嵌合端部164において、基部166からはソケット168が延出している。例示的一実施形態では、ソケット168は中空室170を含む。任意で、この中空室170は、ソケット168の下端部を通してピン124を受容するために、その両端部において開口してもよい。例示的一実施形態では、ソケット168の外表面は、中空室170を画定する内表面と共に、ほぼ円筒形である。他の実施形態ではその他の形状も可能である。例示的一実施形態では、中空室170は、コンタクトスプリング152及びピン124(
図2に示す)を収容するために、基部166で開口している。ソケット168の上部は中空室170に対して開口した開口171を含み、ピン124が開口171を貫通できるようにしている。ソケット168は、スプリングクリップ156の一部を受容するポケット172を含む。図示の実施形態では、ポケット172はソケット168の上部に設けられ、ソケット168の長手軸とほぼ平行に延在している。
【0037】
コンタクトスプリング152は、第1の端部174と第2の端部176との間に延在する。コンタクトスプリング152は第1の端部174に環状バンドを、第2の端部176に他の環状バンドを有する。第1及び第2の端部174,176の環状バンド間には複数のスプリングビーム178が延在する。図示の実施形態では、スプリングビーム178は、コンタクトスプリング152の中央内側に向かってテーパ状になっている。コンタクトスプリング152は、コンタクトスプリング152の中央で縮径される。コンタクトスプリング152はコンタクトスプリング152の中央部では比較的に小さい直径を有し、第1及び第2の端部174,176では比較的大きな直径を有する。コンタクトスプリング152の縮径部はピン124と係合するように構成される。第1及び第2の端部174,176は、コンタクトスプリング152が中空室170に装填されると、ソケット168と係合するように構成される。例示的一実施形態では、スプリングビーム178は可撓性であり、ピン124がコンタクトスプリング152に装填されると外側に向かって撓んでもよい。コンタクトスプリング152は、ピン124と端子本体150との間の電路を画定する。
【0038】
スプリングクリップ156は、曲線形状を有し、第1の端部180と第2の端部182との間に延在している。スプリングクリップ156は開口側184を有し、この開口側184の箇所で第1及び第2の端部180,182が互いに対向している。スプリングクリップ156は、開口側184の反対側に閉鎖側186を有する。スプリングクリップ156は、閉鎖側186の箇所で連結された第1のアーム188及び第2のアーム190を有する。第1のアーム188は第1の端部180まで延在している。第2のアーム190は第2の端部182まで延在している。第1と第2のアーム188,190間には開口191が形成されている。
【0039】
例示的一実施形態では、第1と第2の端部180,182は、第1と第2のアーム188,190を広げるように、互いに離れるように移動されてもよい。第1と第2のアーム188,190を広げると、第1と第2のアーム188,190間の開口191の大きさが拡大する。
【0040】
スプリングクリップ156は、ロック位置と逃げ位置との間を移動可能である。スプリングクリップ156は、ロック位置ではピン124と係合し、電源端子コネクタ102を電源端子104に固定するように構成される。スプリングクリップ156は、逃げ位置ではピン124から離脱されるように構成される。任意で、ロック位置では、第1及び第2の端部180,182は互いに比較的近接している。スプリングクリップ156がロック解除位置に移動すると、第1及び/又は第2の端部180,182は互いに離れるように移動してスプリングクリップ156の開口の大きさを拡大する。スプリングクリップ156がロック位置から逃げ位置に移動すると、スプリングクリップ156は弾性的に変形する。第1及び第2の端部180,182を離すことをやめると、スプリングクリップ156は通常のロック位置に戻る。
【0041】
例示的一実施形態では、第1の端部180は端子本体150に固定的に結合されるように構成される。例示的一実施形態では、第1の端部180がポケット172に受容されるように構成される。第1の端部180がポケット172に受容されると、第1の端部180がソケット168に対して所定の位置に固定される。第2の端部182はキャップ158に結合されるように構成される。キャップ158を回転させると、第2の端部182は、第1の端部180に対して、スプリングクリップ156をロック位置から逃げ位置に移動させるように移動される。
【0042】
図示の実施形態では、第2の端部182は半径方向外側に向かって延出しているのに対し、第1の端部180は軸方向外側に向かって延出している。第1の端部180は、第2の端部182に対してほぼ垂直方向を向いている。他の実施形態では、第1及び第2の端部180,182のその他の向きも可能である。第1の端部180は、他の実施形態では他の手段によって端子本体150に固定されてもよい。
【0043】
キャップ158は、上部192及び底部194を含む。キャップ158は中空であり、ソケット168に被せるように構成される。キャップ158は、底部194に周縁196を含む。キャップ158は、端子本体150に回転可能に結合されるように構成される。例示的一実施形態では、ハウジング154を使用して端子本体150及びスプリングクリップ156に対して所定の位置にキャップ158が固定される。キャップ158はハウジング154に対して回転可能である。
【0044】
ハウジング154は端子本体150に結合される。ハウジング154はプラスチック材料等の誘電材料から製造される。ハウジング154は端子本体150を包囲し、人間や、工具やワイヤ等のその他のコンポーネントによる端子本体150への不慮の接触を防止する。図示の実施形態では、ハウジング154は、主ハウジング200及びスペーサ202(
図4に示す)を含む2つの部品からなるハウジングである。スペーサ202は、終端部162に最も近い端子本体150上に配置される。スペーサ202は、基部166上のソケット168に隣接して配置されるように構成される。主ハウジング200は、端子本体150の反対側に結合され、基部166及びソケット168に沿って延在している。主ハウジング200は、キャップ158の周縁196を受容するように構成されたポケット204を含む。キャップ158は、ポケット204に捕捉され、端子本体150に固定される。キャップ158は、ポケット204内で回転可能である。
【0045】
図4は、電源端子コネクタ102の部分的な組立図である。組立中、熱収縮チューブ160は、ケーブル108の端部を覆うように供給される。端子本体150は、ケーブル108の端部に終端接続する。例えば、終端部162は、ケーブル108の端部に圧着されてもよい。次に、熱収縮チューブ160が、ケーブル108及び端子本体150の終端部162を覆うように配置される。熱収縮チューブ160は、終端部162とケーブル108との接点を被覆する。
【0046】
組立中、スプリングクリップ156は、ソケット168で端子本体150に結合される。例えば、スプリングクリップ156の第1の端部180が、ソケット168の上部のポケット172(
図3に示す)に装填される。任意で、スプリングクリップ156は、ソケット168の上部の真上に配置されてもよい。スプリングクリップ156の開口は、ソケット168の上部の開口171と整列する。
【0047】
組立中、スペーサ202は、端子本体150上の熱収縮チューブ160とソケット168との間に配置される。次に、キャップ158が端子本体150に取付けられてもよい。キャップ158はソケット168上に搭載される。スプリングクリップ156の第2の端部182はキャップ158に結合される。例えば、第2の端部182は、第2の端部182を保持するキャップ内のスロット又はチャネルに受容されてもよい。主ハウジング200は端子本体150に結合される。主ハウジング200は、端子本体150に結合されるとスペーサ202及びキャップ158を捕捉する。主ハウジング200は、例えば、締まり嵌めや、ラッチ機能部やその他の種類の固定機能部を使用することによって、端子本体150に固定される。例えば、端子本体150は、主ハウジング200と係合して端子本体150を主ハウジング200に固定するロッキングランス又はバーブを含む。
【0048】
図5は、電源端子104に結合される電源端子コネクタ102の断面図である。電源端子コネクタ102は、ピン軸126に沿ってピン124上に装填される。電源端子コネクタ102は矢印Aで示す装填方向に装填される。
【0049】
電源端子コネクタ102が組立てられると、スプリングクリップ156は端子本体150及びキャップ158に結合される。コンタクトスプリング152は、ソケット168の中空室170に装填される。例示的一実施形態では、コンタクトスプリング152は、締まり嵌めによって中空室170内に保持される。例えば、第1及び第2の端部174,176はソケット168に対して付勢されてもよい。スプリングビーム178は、中空室170の内側に向かって延出する。スプリングビーム178は、ピン124の接触面136と係合するように構成される。
【0050】
キャップ158は、ソケット168の上部を覆うように延在する。キャップ158の周縁196はポケット204内に捕捉される。例示的一実施形態では、キャップ158は、底部194から延出するタブ206を含む。タブ206は、スペーサ202内に形成されたチャネル208内に受容される。キャップ158が回転されてスプリングクリップ156を作動させると、チャネル208はタブ206を誘導する。
【0051】
例示的一実施形態では、端子本体150は、基部166から下方に延出するロッキングランス210を含む。ロッキングランス210は主ハウジング200の対応する開口内に延出し、端子本体150を主ハウジング200内に固定する。
【0052】
図6は、電源端子104に結合される電源端子コネクタ102の断面図である。
図6は組立の途中の段階を示す。電源端子コネクタ102は電源端子104に電気的に接続されているが、電源端子コネクタ102は非着座位置にある。電源端子コネクタ102は、適切に使用されるためには完全に着座されてロックされなければならない。
【0053】
非着座位置では、電源端子コネクタ102は、ピン124が中空室170内に受容されるようにピン124上に搭載される。接触面136は、コンタクトスプリング152のスプリングビーム178と係合する。ピン124はソケット168の上部開口171を貫通するが、ピン124の先端138はスプリングクリップ156に係合している。スプリングクリップ156は先端138と干渉し、ピン124が電源端子コネクタ102に完全に装填されることを阻止する。第1及び第2のアーム188,190間の開口191の幅は、先端138の直径よりも狭い。ピン124がスプリングクリップ156を通過し、電源端子コネクタ102を完全に着座する位置まで移動させることができるように、スプリングクリップ156は逃げ位置に移動されなければならない。キャップ158を回転させて、第2の端部182(
図3に示す)を、第1の端部180(
図3に示す)に対して、第2のアーム190を第1のアーム188から離れるように拡張するように移動させて開口191を拡げ、電源端子コネクタ102が電源端子104上に完全に着座することができるようにする。キャップ158を他の方法で移動させて電源端子コネクタ102を着座させるようにしてもよい。例えば、キャップ158を下方に押圧して垂直方向下向きの力を電源端子コネクタ102に加え、これによって、スプリングクリップ156が先端138を通過するまでスプリングクリップ156をピン124の大半径に沿ってスライドさせるようにしてもよい。スプリングクリップ156は、電源端子コネクタ102がピン124に対して垂直方向下方に押圧される時、ピン124との相互作用によって逃げ位置まで拡張されてもよい。
【0054】
図7は、着座及びロック位置にある電源端子コネクタ102及び電源端子104の断面図である。完全に着座した状態において、ピン124は中空室170に完全に装填される。コンタクトスプリング152は、ピン124の接触面136と係合する。コンタクトスプリング152は、ピン124と端子本体150を電気的に相互接続する。ピン124の先端138は、上部開口171とスプリングクリップ156を通ってキャップ158内に延出する。着座状態では、スプリングクリップ156は溝140内に捕捉される。
【0055】
スプリングクリップ156はロック位置にあり、この位置では第1及び第2のアーム188,190は、ピンヘッド142下方の、ピンヘッド142よりも小さい半径を有する溝140内に配置される。ピンヘッド142は、スプリングクリップ156を捕捉して電源端子104に対する電源端子コネクタ102の相対位置をロックする。
【0056】
図8は、電源端子104に対してロック解除位置にある電源端子コネクタ102の断面図である。ロック解除位置では、スプリングクリップ156は逃げ位置に移動されている。例えば、キャップ158を回転させ、ソケット168に対して所定の位置に固定された第1の端部180に対して第2の端部182(
図3に示す)を回転する。キャップ158の回転により、第2のアーム190を第1のアーム188から離れるように拡張させ、少なくともピンヘッド142と同程度に開口191を広げる。スプリングクリップ156は、逃げ位置ではピン124から離脱される。電源端子コネクタ102が一旦ロック解除位置になり、スプリングクリップ156が逃げ位置になると、矢印Bの方向等、ピン軸126に平行な方向に電源端子コネクタ102をピン124から持ち上げることによって、電源端子コネクタ102は電源端子104から切断されてもよい。
【0057】
図9及び10は、分かり易いようにキャップ158(
図3に示す)を取り外した状態の電源端子コネクタ102の一部の上面図である。
図9は、ロック状態の電源端子コネクタ102を示す。
図10は、ロック解除状態の電源端子コネクタ102を示す。
図9は、ロック位置にあるスプリングクリップ156を示す。
図10は、逃げ位置にあるスプリングクリップ156を示す。
【0058】
スプリングクリップ156の第2の端部182は、半径方向外側に延出し、キャップ158内に捕捉されるように構成される。例えば、キャップ158は、第2の端部182を受容するスロット220(
図9に透視で示す)を含んでもよい。第2の端部182は、キャップ158が回転されると第2の端部182がキャップ158と共に回転されるように、スロット220内に捕捉される。
【0059】
キャップ158が回転されると、スプリングクリップ156は変形する。例えば、図示の実施形態では、ロック位置において、スプリングクリップ156はほぼ楕円形であるが、逃げ位置では、スプリングクリップ156は側面が開いたリング形状である。開口191の幅は、スプリングクリップ156がロック位置から逃げ位置に移動されるにつれて増加される。
【0060】
スプリングクリップ156は、開口側184が閉鎖側186の反対側にあるように方向づけされる。第1及び第2のアーム188,190間の距離は、開口側184と閉鎖側186との間の距離よりも短い。図示の実施形態では、開口側184と閉鎖側186との間の距離はピンヘッド142の直径よりも長いが、開口側184と閉鎖側186との間の約中間にある第1及び第2のアーム188,190間の幅はピンヘッドの直径よりも短い。従って、第1及び第2のアーム188,190はピンヘッド142によって溝140(
図2に示す)内に捕捉される。ロック位置では、第1のアーム188はピン124の一方の側面226と係合し、第2のアーム190はピン124の他方の側面228と係合する。
【0061】
ロック位置では、第1及び第2の端部180,182は互いに対して比較的近接するように配置され、距離222だけ離間している。逃げ位置では、キャップ158を回転させると、第2の端部182が第1の端部180から離れるように移動する。第2の端部182は距離222よりも長い距離224だけ第1の端部180から離れて配置される。他の実施形態では、第1及び第2のアーム188,190を先端138の大きな半径に沿って強制的にスライドさせることによって、第1及び第2のアーム188,190を広げ、先端138を通過させてもよい。
【0062】
図11及び12は、電源端子コネクタ102の斜視図である。
図11は、非作動位置にあるキャップ158を示す。
図12は、作動位置にあるキャップ158を示す。キャップ158は、非作動位置と作動位置との間で回転される。キャップ158の回転により、スプリングクリップ156がロック位置から逃げ位置に移動する。
【0063】
キャップ158は、それから半径方向外側に向かって延出する停止部230を含む。停止部230はキャップ158の回転限界を定める。停止部230は、主ハウジング200の肩部232に係合してキャップ158の回転を停止する。図示の実施形態では、停止部230は互いに約90°離れて配置される。停止部230によって、キャップ158は約90°回転することが許容される。停止部230は、互いに任意の角度の位置に配置されることができる。停止部230はキャップ158の外部にあるように図示されているが、他の実施形態では停止部230はどこに配置されてもよい。例えば、停止部230は、底部194から下方に延出してスペーサ202及び/又は主ハウジング200と係合し、キャップ158の回転を制限するようにしてもよい。
【0064】
電源端子コネクタ102は、電源端子104(
図2に示す)に対して迅速に接続及び切断されるように構成されている。接続中、スプリングクリップ156を強制的にピンヘッド142の大きな半径に沿ってスライドさせて広げ、更にピン124に沿って下方に移動させて溝140に進入させ、溝140においてスプリングクリップ156がロック位置に弾発的に戻るようにすることができる。キャップ158の回転によって、ロック位置と逃げ位置との間のスプリングクリップ156の移動が容易になり、電源端子コネクタを電源端子104から取り外すことができるようになる。
【0065】
図13は、例示的一実施形態に従って形成された電源端子コネクタ302の分解図である。電源端子コネクタ302は電源端子104(
図2に示す)に結合されてもよい。電源端子コネクタ302は、電源端子コネクタ302を電源端子104に固定するためのスプリングクリップを作動させるための異なる手段を含む。
【0066】
電源端子コネクタ302は、電源端子104に電気的に接続されるように構成された端子本体350を含む。端子本体350は、ケーブル308の端部に終端接続するように構成される。電源端子コネクタ302は内部にコンタクトスプリングを含み、このコンタクトスプリングはコンタクトスプリング152(
図3に示す)と類似のものでもよい。電源端子コネクタ302は、端子本体350を少なくとも部分的に包囲するハウジング354を含む。ハウジング354は、人間や電源端子コネクタ302を傷つける可能性のある感電を引き起こしかねない、人間又は工具による不慮の接触から端子本体350を保護する。電源端子コネクタ302は、電源端子コネクタ302を電源端子104のピン124(
図2に示す)に固定するために使用されるスプリングクリップ356(
図14に示す)を含む。電源端子コネクタ302は、端子本体350に結合されるように構成されたキャップ358を含む。任意で、キャップ358は、ハウジング354を用いて端子本体350に結合されてもよい。キャップ358は、以下により詳細に記述されるように、スプリングクリップ356を作動して電源端子コネクタ302をピン124からロック解除するために使用される。
【0067】
ハウジング354は端子本体350に結合される。ハウジング354はプラスチック材料等の誘電材料から製造される。ハウジング354は端子本体350を被覆し、人間や、工具やワイヤ等の他のコンポーネントによる端子本体350への不慮の接触を防止する。図示の実施形態では、ハウジング354は、上部ハウジング360及び下部ハウジング362を含む2つの部品からなるハウジングである。上部ハウジングは、スプリングクリップ356及びキャップ358を保持及び支持する。
【0068】
図14は、スプリングクリップ356を示す。スプリングクリップ356は曲線形状を有し、第1の端部380と第2の端部382との間に延在している。スプリングクリップは、ピン124を受容するように構成されたリング384を有する。任意で、リング384は長尺状であってもよい。リング384は楕円形でもよい。スプリングクリップ356は、リング384の一方の側に、ピン124を受容するポケットを画定する閉鎖側386を有する。スプリングクリップ356は第1のアーム388及び第2のアーム390を有し、両アームとも閉鎖側386のほぼ反対側にあり、両アームとも互いに対してほぼ平行に延在し、互いから垂直方向に離間している。第1及び第2のアーム388,390は互いに対して移動可能であってもよい。第1及び第2のアーム388,390は、閉鎖側386からほぼ等距離の位置にあってもよい。第1のアーム388は第1の端部380まで延在している。第2のアーム390は第2の端部382まで延在している。図示の実施形態では、第1及び第2のアーム388,390は、第1及び第2の端部380,382が第1及び第2のアーム388,390の残りの部分に対してほぼ垂直に延在したL字形である。
【0069】
スプリングクリップ356は、ロック位置と逃げ位置との間を移動可能である。スプリングクリップ356は、ロック位置ではピン124と係合して電源端子コネクタ302を電源端子104に固定するように構成される。スプリングクリップ356は、逃げ位置ではピン124から離脱されるように構成される。スプリングクリップ356は、キャップ358(
図15に示す)を用いて第1及び第2のアーム388,390を押圧することによってロック位置から逃げ位置へ移動可能であり、それによってピン124に対するリング384の位置が変化し、リング384の幅が広い方の部分がピン124と整列し、スプリングクリップ356がピン124から持ち上げられるようになる。スプリングクリップ356は、スプリングクリップ356がロック位置から逃げ位置へ移動されると少なくとも部分的に弾性変形されてもよい。
【0070】
図15は、キャップ358を示す。キャップ358は、上部392及び底部394を含む。キャップは、上部392と底部394との間に作動端396を含む。キャップ358は、上部押し表面400及び下部押し表面402を含む。上部押し表面400は、前方壁404と、前方壁404から後方に傾斜した傾斜壁406とを含む。下部押し表面402は、前方壁408と、前方壁408から後方に傾斜した傾斜壁410とを含む。上部及び下部押し表面400,402は、各々第1及び第2のアーム388,390(
図14に示す)と係合する。
【0071】
図16及び17は各々、非作動位置及び作動位置にあるキャップ358及びスプリングクリップ356を示す電源端子コネクタ302の断面図である。キャップ358が非作動状態にある時、スプリングクリップ356はロック位置にある。キャップ358が作動されると、スプリングクリップ356は逃げ位置になる。例示的一実施形態では、キャップ358は、矢印Cの方向等、キャップ358を端子本体350に向かう方向に押圧することによって作動される。スプリングクリップ356はキャップ358と共に変位され、ピン124に対してスプリングクリップ356を移動させる。
【0072】
図18及び19は、電源端子104のピン124に結合された電源端子コネクタ302の断面図であり、各々非作動位置及び作動位置にあるキャップ358及びスプリングクリップ356を示す。ピン124に対するスプリングクリップ356の軌道は、
図18及び19において各々破線420,422によって示す。
【0073】
キャップ358が非作動状態にある時、スプリングクリップ356はロック位置にある。スプリングクリップ356の軌道420から分かるように、スプリングクリップ356は、ピンヘッド142(
図2に示す)の下の溝140内に位置している。キャップ358が作動されると、スプリングクリップ356は逃げ位置になる。スプリングクリップ356の軌道422から分かるように、スプリングクリップ356のリング384の幅の広い方の部分がピン124と整列し、スプリングクリップ356がピン124から持ち上げられるようになる。
【0074】
キャップ358が作動されると、上部押し表面400が第1のアーム388を押圧する。第1のアーム388の一部が前方壁404に沿って延在し、前方壁404によって押圧され、第1のアームの一部が傾斜壁406に沿って延在し、傾斜壁406によって押圧される。スプリングクリップ356が前方に向かって押圧されると、第1のアーム388は撓まされる。例えば、第1の端部380が上部ハウジング360に固定されているので、スプリングクリップ356を前方に向かって押圧されると第1のアーム388が屈曲される。キャップ358及びスプリングクリップ356を作動させると、スプリングクリップ356の形状が変化する。第2のアーム390(
図14に示す)も同様に傾斜し撓むが、第2の端部382がハウジングの反対側に固定されているので、反対方向に傾斜する。