特許第6025263号(P6025263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025263
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】ウイング車の荷台側部構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/08 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   B60J7/08 P
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-2125(P2014-2125)
(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-128970(P2015-128970A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 優一
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−094357(JP,A)
【文献】 特開2008−238877(JP,A)
【文献】 特開2002−301935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室を開閉自在なウイング車の荷台側部構造であって、
前記荷室の側方上部を区画する開閉自在な側方面体の下端縁部に固定されて前後方向に延びる側面下縁部材と、
前記荷室の床に対して回転自在に支持され、起立状態で前記荷室の側方下部を区画する煽りと、
前記荷室を閉じる閉状態に前記側方面体を保持するために前記側面下縁部材に取り付けられる平板状のロックプレートと、
前記側面下縁部材に取り付けられ、前記側方面体の前記閉状態において、前記起立状態の前記煽りの上面に弾性変形して密着する上シール部材と、を備え、
前記側面下縁部材は、下面と、該下面の車幅方向外縁部から下方へ延びる板状の張出部とを有し、
前記側面下縁部材の前記下面には、車幅方向外側のロックプレート挿入溝と、該ロックプレート挿入溝の車幅方向内側に隣接する上係合凹部とが、前記下面の前後方向の全域に亘って形成され、
前記ロックプレート挿入溝は、前記ロックプレートの上端部の板厚と略等しい溝幅で上下方向に直線状に延び、
前記ロックプレートは、車幅方向と略直交する姿勢で前記ロックプレート挿入溝に挿入される前記上端部と、前記上端部が前記ロックプレート挿入溝に挿入された状態で前記張出部の車幅方向内側に対向して前記張出部に車幅方向から締結固定される中間部とを有し、前記中間部が前記張出部に締結固定されることによって前記側面下縁部材に取り付けられ、
前記上シール部材は、前記上係合凹部に係合自在な係合部と、前記係合部の下面から下方へ突出して前記係合部との間に閉断面を形成するシール部材基部とを一体的に有し、
前記側面下縁部材の前記上係合凹部の幅は、該上係合凹部の前後方向の端面開口からの前記上シール部材の前記係合部のスライド係合を許容するように、前記係合部の幅よりも僅かに広く形成され、
前記側面下縁部材の前記上係合凹部には、前記係合部が前記上係合凹部にスライド係合する際に前記シール部材基部を下方に突出させる開口部が形成され、
前記上シール部材の前記係合部が前記側面下縁部材の前記上係合凹部に係合し、前記シール部材基部の下面部の外側から前記係合部に向けてタッピングネジが打ち込まれて該タッピングネジの頭部が前記シール部材基部の前記下面部を貫通した状態で、前記係合部が前記タッピングネジによって前記側面下縁部材に固定されている
ことを特徴とするウイング車の荷台側部構造。
【請求項2】
請求項1に記載のウイング車の荷台側部構造であって、
前記係合部の前記下面には、該係合部の中央部分の肉厚を部分的に薄くする円弧状の凹部が形成されている
ことを特徴とするウイング車の荷台側部構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のウイング車の荷台側部構造であって、
前記上シール部材は、前記シール部材基部から一体的に延び、前記側方面体の前記閉状態において、前記起立状態の前記煽りの上面に弾性変形して密着する舌部を有し、
前記係合部及び前記シール部材基部は、硬質な合成ゴム製であり、前記舌部は、前記係合部及び前記シール部材基部よりも軟質な合成ゴム製である
ことを特徴とするウイング車の荷台側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷室を開閉自在なウイング車の荷台側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウイング車のL型屋根の下側部材に、ロックプレートとガスケットとが取り付けられた構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−11158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ロックプレートの上部がL状に曲折して下側部材の下面にボルトによって締結固定されるとともに、ガスケットの上部の係合部が下側部材の下面の係合凹部(上係合凹部)に係合した状態が図示されている。
【0005】
このように、特許文献1の構造では、ロックプレートの上部をL状に曲折し下側部材の下面に締結固定するので、ロックプレートの固定領域を下側部材(側面下縁部材)の下面に広く設定する必要があり、上係合凹部の幅(車幅方向の長さ)がロックプレートの固定領域によって制限される。このため、上係合凹部の幅及びガスケット(上シール部材)の係合部の幅を狭く形成しなければならず、係合状態の安定化や係合作業の効率化を図ることが難しい。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑み、側面下縁部材の下面と上シール部材との係合状態の安定化及び係合作業の効率化を図ることが可能なウイング車の荷台側部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様は、荷室を開閉自在なウイング車の荷台側部構造であって、側面下縁部材と、煽りと、平板状のロックプレートと、上シール部材とを備える。側面下縁部材は、荷室の側方上部を区画する開閉自在な側方面体の下端縁部に固定されて前後方向に延びる。煽りは、荷室の床に対して回転自在に支持され、起立状態で荷室の側方下部を区画する。ロックプレートは、荷室を閉じる閉状態に側方面体を保持するために側面下縁部材に取り付けられる。上シール部材は、側面下縁部材に取り付けられ、側方面体の閉状態において、起立状態の煽りの上面に弾性変形して密着する。
【0008】
側面下縁部材は、下面と、下面の車幅方向外縁部から下方へ延びる板状の張出部とを有する。側面下縁部材の下面には、車幅方向外側のロックプレート挿入溝と、ロックプレート挿入溝の車幅方向内側に隣接する上係合凹部とが、下面の前後方向の全域に亘って形成される。ロックプレート挿入溝は、ロックプレートの上端部の板厚と略等しい溝幅で上下方向に直線状に延びる。
【0009】
ロックプレートは、車幅方向と略直交する姿勢でロックプレート挿入溝に挿入される上端部と、上端部がロックプレート挿入溝に挿入された状態で張出部の車幅方向内側に対向して張出部に車幅方向から締結固定される中間部とを有し、中間部が張出部に締結固定されることによって側面下縁部材に取り付けられる。
【0010】
上シール部材は、上係合凹部に係合自在な係合部と、係合部の下面から下方へ突出して係合部との間に閉断面を形成するシール部材基部とを一体的に有する側面下縁部材の上係合凹部の幅は、上係合凹部の前後方向の端面開口からの上シール部材の係合部のスライド係合を許容するように、係合部の幅よりも僅かに広く形成され、側面下縁部材の上係合凹部には、係合部が上係合凹部にスライド係合する際にシール部材基部を下方に突出させる開口部が形成されている。上シール部材の係合部が側面下縁部材の上係合凹部に係合し、シール部材基部の下面部の外側から係合部に向けてタッピングネジが打ち込まれてタッピングネジの頭部がシール部材基部の下面部を貫通した状態で、係合部がタッピングネジによって側面下縁部材に固定されている。
係合部の下面には、係合部の中央部分の肉厚を部分的に薄くする円弧状の凹部が形成されていてもよい。
また、上シール部材は、シール部材基部から一体的に延び、側方面体の閉状態において、起立状態の煽りの上面に弾性変形して密着する舌部を有してもよく、係合部及びシール部材基部は、硬質な合成ゴム製であってもよく、舌部は、係合部及びシール部材基部よりも軟質な合成ゴム製であってもよい。
【0011】
上記構成では、ロックプレート挿入溝は、ロックプレートの上端部の板厚と略等しい溝幅で上下方向に直線状に延びるので、ロックプレート挿入溝の形成領域を最小限に抑えて、上係合凹部の幅及び上シール部材の係合部の幅を広く形成することができ、係合状態の安定化や係合作業の効率化を図ることができる。
【0013】
また、長尺の上シール部材を上係合凹部の端面開口から挿入してスライド係合させることができるので、上シール部材の装着作業性が向上する。
【0014】
また、上係合凹部の幅が係合部の幅よりも僅かに広く形成されているので、上シール部材の長手方向(前後方向)において伸張する部位と収縮する部位とが発生し難く、偏りが少ない状態で上シール部材を側面下縁部材に装着することができる。
【0015】
本発明の第の態様は、第1の態様の荷台側部構造であって、側面下縁部材に取り付けられ、側方面体の閉状態において、起立状態の煽りの車幅方向の外側面に弾性変形して密着する横シール部材をさらに備える。
【0016】
側面下縁部材は、張出部の下縁から下方に延びる横シール部材取付部を有する。横シール部材取付部の車幅方向の内側面には、被係合部が横シール部材取付部の前後方向の全域に亘って形成され、横シール部材は、被係合部に係合することによって側面下縁部材に取り付けられる。被係合部は、側面下縁部材に取り付けられるロックプレートと干渉しないように、張出部の車幅方向の内側面よりも車幅方向外側に形成される。
【0017】
上記構成では、横シール部材と係合する被係合部を、側面下縁部材に取り付けられるロックプレートと干渉しないように張出部の車幅方向の内側面よりも車幅方向外側に形成しているので、ロックプレートの取付部分に対して被係合部を部分的に切除する等の加工を施す必要がなく、ロックプレートの取付作業性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、側面下縁部材の下面と上シール部材との係合状態の安定化及び係合作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の荷台を備えたキャブオーバートラックを模式的に示す斜視図である。
図2図1の荷台を前斜め下方から視た外観斜視図である。
図3図2の荷室の前端内側を後斜め下方から視た斜視図である。
図4図2の荷室の前端外側を前斜め上方から視た斜視図である。
図5】側方面体の下縁部の断面図である。
図6】前フレームに対するロックプレートのロック状態を示す平面図である。
図7】中柱に対するロックプレートのロック状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。各図において、FRは車両前方を、UPはウイングを閉じた状態での上方をそれぞれ示し、図5のINは車幅方向内側を示す。また、特に説明していない場合、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を示す。
【0021】
図1に示すように、キャブオーバートラックのウイング屋根式の荷台1は、床2と前壁(前方面体)3と後壁(後方面体)4とセンターフレーム5と左右一対のウイング6,6と左右一対の煽り7,7等から構成されている。
【0022】
前壁3は、車体フレームに固定される矩形枠状の前フレーム8と、周縁部が前フレーム8に固定される前パネル19とを備え、車両のキャブ20の後面20aに対向配置されて荷室21の前方を区画する。前フレーム8は、荷台1の前部の左右に立設された一対の前支柱9,9と、車幅方向に沿って配置されて左右の前支柱9,9の上端同士を連結するフロントアッパクロスフレーム10とを有する。
【0023】
後壁4は、車体フレームに固定される矩形枠状の後フレーム11と、後フレーム11に回転自在に支持されて荷台1の後方を開閉する左右の開閉扉12,12とを有し、荷室21の後方を区画する。後フレーム11は、荷台1の後部の左右に立設された一対の後支柱13,13と、車幅方向に沿って配置されて左右の後支柱13,13の上端同士を連結するリヤアッパクロスフレーム14とを有する。センターフレーム5は、前後方向に沿って配置され、フロントアッパクロスフレーム10の左右のほぼ中央とリヤアッパクロスフレーム14の左右のほぼ中央とを連結する。
【0024】
各ウイング6は、荷室21の上方を区画する天井面体17と、天井面体17の車幅方向外側の端縁から下方へ略垂直に延びて荷室21の側方上部を区画する側方面体18とを備えた略L状断面を有する。左右のウイング6,6は、センターフレーム5の左右両側に配置され、各ウイング6の天井面体17の車幅方向内側の端縁部(後述するルーフレールインナ30)がセンターフレーム5に回転自在に支持され、センターフレーム5を中心として左右対称に構成されている。フロントアッパクロスフレーム10及びリヤアッパクロスフレーム14と各ウイング6との間には、それぞれ開閉用油圧シリンダ16(図1には後方のみ図示、図5には前方右側を図示)が設けられ、開閉用油圧シリンダ16によって左右のウイング6,6が閉止位置と開放位置との間で開閉駆動される。走行時などの通常時は、各ウイング6を閉止位置に設定して荷室21を閉じ、フォークリフトなどによって荷室21の側方から荷役作業を行う場合は、各ウイング6を開放位置に設定して荷室21の側方を開く。
【0025】
図1及び図2に示すように、煽り7は、荷室21(荷台1)の床2の側縁部に対して複数のヒンジ22を介して回転自在に支持され、前後方向に沿って起立する起立状態で荷室21の側方下部を区画し、起立状態から略180度回転下方へ回転した倒れ状態で荷室21の側方下部を開放する。床2の側縁部の前後方向の略中央には、起立状態と倒れ状態とに設定可能な中柱24が煽り7と同様にヒンジ(図示省略)を介して回転自在に支持されている。煽り7は、中柱24を境界として前後に分割され、前側の煽り7と後側の煽り7とがそれぞれ独立して起立状態と倒れ状態とに設定される。
【0026】
図2図4に示すように、天井面体17は、ルーフレールインナ(天井内縁部材)30、ルーフレールアウタ(天井外縁部材)31、ルーフレールフロント(天井端縁部材)32、ルーフレールリヤ(天井端縁部材、図1参照)33、複数のクロスルーフフレーム34、及び複数のルーフシート(天井パネル)35等から構成される。
【0027】
ルーフレールインナ30、ルーフレールアウタ31、ルーフレールフロント32、ルーフレールリヤ33、クロスルーフフレーム34、及び上記センターフレーム5は、押出型に応じた断面形状が長手方向に連続するアルミ合金製の長尺の押出型材である。ルーフシート35は、アルミ合金製の平板状のパネル材である。
【0028】
ルーフレールインナ30及びルーフレールアウタ31は、天井面体17の車幅方向の内縁部及び外縁部にそれぞれ固定されて前後方向に延びる。ルーフレールフロント32及びルーフレールリヤ33は、天井面体17の前方及び後方の端縁部にそれぞれ固定されて車幅方向に延びる。ルーフレールフロント32の両端部は、ルーフレールインナ30の前端部及びルーフレールアウタ31の前端部にそれぞれ結合され、ルーフレールリヤ33の両端部は、ルーフレールインナ30の後端部及びルーフレールアウタ31の後端部にそれぞれ結合され、ルーフレールインナ30とルーフレールアウタ31とルーフレールフロント32とルーフレールリヤ33とは、矩形状のルーフ枠体を形成する。複数のクロスルーフフレーム34は、ルーフ枠体の内側を複数の同形状の矩形領域に分割するように前後方向に沿って略等間隔に並列配置され、各クロスルーフフレーム34の両端は、ルーフレールインナ30及びルーフレールアウタ31にそれぞれ結合される。複数(矩形領域と同数)のルーフシート35の各々は、ルーフ枠体の各矩形領域よりも僅かに大きい矩形板形状であり、車幅方向の内端縁部がルーフレールインナ30の上面に、外側端縁がルーフレールアウタ31の上面に、前端縁部がルーフレールフロント32又はクロスルーフフレーム34の上面に、後端縁部がクロスルーフフレーム34又はルーフレールリヤ33の上面にそれぞれ結合される。複数のルーフシート35は、複数の矩形領域をそれぞれ閉止して、全体として天井面体17の外面(上面)を構成する。天井面体17の内面(下面)には、木製の内装パネル(図示省略)が必要に応じて適宜固定される。
【0029】
側方面体18は、レールアッパサイド(側面上縁部材)40、レールロアサイド(側面下縁部材)41、ポストサイドフロント(側面端縁部材)42、ポストサイドリヤ(側面端縁部材、図1参照)43、複数のクロスサイドフレーム44、及び複数のサイドシート(側面パネル)45等から構成される。レールアッパサイド40がルーフレールアウタ31に結合されることによって、天井面体17と側方面体18とが略L状断面のウイング6を形成する。
【0030】
レールアッパサイド40とレールロアサイド41とポストサイドフロント42とポストサイドリヤ43とクロスサイドフレーム44とは、押出型に応じた断面形状が長手方向に連続するアルミ合金製の長尺の押出型材である。サイドシート45は、アルミ合金製の平板状又は波板状のパネル材である。
【0031】
レールアッパサイド40及びレールロアサイド41は、側方面体18の上縁部及び下縁部にそれぞれ固定されて前後方向に延びる。ポストサイドフロント42及びポストサイドリヤ43は、側方面体18の前方及び後方の端縁部にそれぞれ固定されて上下方向に延びる。ポストサイドフロント42の両端部は、レールアッパサイド40の前端部及びレールロアサイド41の前端部にそれぞれ結合され、ポストサイドリヤ43の両端部は、レールアッパサイド40の後端部及びレールロアサイド41の後端部にそれぞれ結合され、レールアッパサイド40とレールロアサイド41とポストサイドフロント42とポストサイドリヤ43とは、矩形状のサイド枠体を形成する。複数のクロスサイドフレーム44は、サイド枠体の内側を複数の同形状の矩形領域に分割するように前後方向に沿って略等間隔に並列配置され、各クロスサイドフレーム44の両端は、レールアッパサイド40及びレールロアサイド41にそれぞれ結合される。クロスルーフフレーム34とクロスサイドフレーム44とは同数であり、天井面体17から側方面体18に亘って連続するように前後方向において略同位置に配置される。複数(矩形領域と同数)のサイドシート45の各々は、サイド枠体の各矩形領域よりも僅かに大きい矩形板形状であり、上端縁部がレールアッパサイド40の外面に、下端縁部がレールロアサイド41の外面に、前端縁部がポストサイドフロント42又はクロスサイドフレーム44の外面に、後端縁部がクロスサイドフレーム44又はポストサイドリヤ43の外面にそれぞれ結合される。複数のサイドシート45は、複数の矩形領域をそれぞれ閉止して、全体として側方面体18の外面(側面)を構成する。
【0032】
左右のルーフレールインナ30,30の車幅方向の内縁部の上方のルーフシート35,35には、キャンバスシート23の車幅方向の外縁部が固着されている。キャンバスシート23は、軟質樹脂製のシート材であり、センターフレーム5の略全域において、センターフレーム5の上面及びセンターフレーム5とルーフレールインナ30との間隙を上方から覆う。
【0033】
次に、レールロアサイド41、ロックプレート50、上ガスケット51及び横ガスケット52について説明する。
【0034】
図5に示すように、レールロアサイド41には、荷室21を閉じる閉状態に側方面体18を保持するための平板状のロックプレート50と、側方面体18の閉状態において起立状態の煽り7の上面7aに弾性変形して密着する上ガスケット(上シール部材)51と、側方面体18の閉状態において起立状態の煽り7の車幅方向外側の外側面7bに弾性変形して密着する横ガスケット(横シール部材)52とが取り付けられる。
【0035】
レールロアサイド41には、サイドフレーム結合部60と、上ガスケット取付部61と、張出部62と、横ガスケット取付部(横シール部材取付部)63とが一体的に形成されている。
【0036】
サイドフレーム結合部60は、上方に開口するU状断面であり、サイドフレーム結合下面部(U状断面の底面部)64と、サイドフレーム結合下面部64の車幅方向の外縁部から上方へ延びるサイドフレーム結合外面部65と、サイドフレーム結合下面部64の車幅方向の内縁部から上方へ延びてサイドフレーム結合外面部65と対向するサイドフレーム結合内面部66とを有する。クロスサイドフレーム44の下端部は、サイドフレーム結合外面部65とサイドフレーム結合内面部66との間(U状断面の内側)に挿入されてサイドフレーム結合部60に結合される。
【0037】
上ガスケット取付部61は、サイドフレーム結合外面部65の下縁から下方へ延びる上ガスケット取付外面部67と、サイドフレーム結合内面部66の下縁から下方へ延びる上ガスケット取付内面部68と、上ガスケット取付外面部65の下縁部と上ガスケット取付内面部66の下縁部とを連結してサイドフレーム結合下面部64と対向するレールロアサイド下面部69とを有する。サイドフレーム結合下面部64と上ガスケット取付外面部67と上ガスケット取付内面部68とレールロアサイド下面部69とは、矩形状の閉断面70を形成し、レールロアサイド下面部69の下面はレールロアサイド41の下面となる。
【0038】
レールロアサイド下面部69(レールロアサイド41の下面)の車幅方向外側には、下方に開口するロックプレート挿入溝71が前後方向の全域に亘って形成され、レールロアサイド下面部69の車幅方向内側には、上ガスケット係合凹部(上係合凹部)72がロックプレート挿入溝71の車幅方向内側に隣接して前後方向の全域に亘って形成されている。ロックプレート挿入溝71は、その溝幅(車幅方向の幅)がロックプレート50の上端部50aの板厚と略等しく設定されて上下方向に直線状に延びる。
【0039】
上ガスケット51は、長手方向に沿って同一の断面形状が連続する長尺材であり、上ガスケット係合凹部72と係合可能な平板状の係合部73と、係合部73の下面の車幅方向の中央部分から下方へ突出して係合部73との間に矩形状の閉断面74を形成するガスケット基部75と、ガスケット基部75の車幅方向内側の下端部から下方へ延びて煽り7の上面7aに密着する湾曲板状の舌部76とを一体的に有する。係合部73及びガスケット基部75は、硬質な合成ゴム製であり、舌部76は、係合部73及びガスケット基部75よりも軟質な合成ゴム製である。
【0040】
上ガスケット係合凹部72の幅(車幅方向の幅)及び高さ(上下方向の高さ)は、上ガスケット係合凹部72の前後方向の端面開口からの上ガスケット51の係合部73のスライド係合を許容するように、係合部73の幅(車幅方向の幅)及び板厚(上下方向の厚さ)よりも僅かに広く形成され、上ガスケット係合凹部72の車幅方向の中央部分には、ガスケット基部75が下方に突出する中央開口部79が形成されている。係合部73の上面には円弧状凹部77が形成され、円弧状凹部77によって係合部73の車幅方向の中央部分の肉厚が車幅方向の外縁部及び内縁部に比べて薄肉となる。
【0041】
上ガスケット51の装着作業では、上ガスケット係合凹部72の前後方向の端面開口から係合部73をスライド係合させ、ガスケット基部75の下面部の外側(下方)から上方のレールロアサイド41(上ガスケット取付部61の円弧状凹部77)の下孔(図示省略)に向けてタッピングネジ78を打ち込む。下孔は雌ネジが形成されていない単なる貫通孔であり、打ち込まれたタッピングネジ78は、下孔に雌ネジを形成しながらレールロアサイド41に喰い込んでいく。タッピングネジ78は、その頭部がガスケット基部75の下面部を貫通してレールロアサイド41に打ち込まれ、上ガスケット51の係合部73の車幅方向の略中央部分を上ガスケット取付部61に固定する。
【0042】
張出部62は、レールロアサイド下面部の車幅方向外縁部から下方へ延びる平板状であり、張出部62の下縁から板状の横ガスケット取付部63が下方に連続して延びる。横ガスケット取付部63は、張出部62よりも車幅方向外側へ膨出するように曲折するU状断面を有する。横ガスケット取付部63の車幅方向の内側面(U状の底面)には、横ガスケット取付部63の前後方向の全域に亘って被係合部86が形成され、被係合部86は、車幅方向内側に開口する横係合凹部87を内部に区画する。
【0043】
横ガスケット52は、長手方向に沿って同一の断面形状が連続する合成ゴム製の長尺材であり、横係合凹部87と係合可能な突起状の係合突部88と、煽り7の外側面7bに密着する薄肉管状の膨出部89とを一体的に有する。横ガスケット52は、係合突部88が横係合凹部89に係合することによってレールロアサイド41に取り付けられる。
【0044】
被係合部86の車幅方向の内側面86aは、張出部62の車幅方向の内側面62aよりも車幅方向外側に配置される。すなわち、被係合部86は、張出部62の内側面62a(内側面62aの延長面)よりも車幅方向外側に形成され、内側面62a(内側面62aの延長面)よりも車幅方向内側へ突出しない。
【0045】
ロックプレート50は、平面視略T形状であり(図6及び図7参照)、車幅方向と略直交する姿勢でロックプレート挿入溝71に挿入される上端部50aと、上縁部50aの下縁の全域から下方に延びる中間部50bと、中間部50bの下縁の略中央部分から下方に延びる被ロック部50cとを一体的に有する。被ロック部50cは、中間部50bの下縁から直線状に下方へ延び、車幅方向内側へ斜め下方に曲折して、さらに下方へ曲折する(図5参照)。中間部50bは、上端部50aがロックプレート挿入溝71に挿入された状態で張出部62の車幅方向内側に対向し、前後方向の3カ所(図6及び図7参照)でボルト80及びナット81によって張出部62に車幅方向から締結固定される。
【0046】
ロックプレート50は、レールロアサイド41の前端部、前後方向の略中央部、及び後端部の3カ所にそれぞれ取り付けられ、図6及び図7に示すように、前フレーム8及び中柱24には、それぞれウイングロック装置82が取り付けられている。また、図示を省略しているが、後フレーム11にも同様のウイングロック装置が取り付けられている。ウイングロック装置82は、前後方向に沿った回転軸(図示省略)を中心として回転自在に支持されるハンドル83と、ハンドル83の回転操作に連動する押え部材84と、ハンドル83及び押え部材84を車幅方向外側のロック解除位置と車幅方向内側のロック位置とに付勢する図示外の付勢部材(例えばコイルスプリング)とを備え、ハンドル83がロック解除位置に設定された状態で、ウイング6の開閉が許容される。ウイング6を閉状態とし、付勢部材の付勢力に抗してハンドル83をロック解除位置からロック位置に回転操作すると、押え部材84がロックプレート50の被ロック部50cを車幅方向外側から押圧し、係る状態が付勢部材によって維持されて、ウイング6の閉状態が保持される。なお、ウイングロック装置82の近傍には、煽り7を起立状態に保持するための煽りロック装置85が取り付けられている。
【0047】
横ガスケット52は、レールロアサイド41の前後方向の全域のうちロックプレート50の取付部分を除く領域のほぼ全域に装着される。具体的には、横ガスケット52は前後2本に分割され、前側の横ガスケット52は前側のロックプレート50と中央のロックプレート50との間の前後方向のほぼ全域に装着され、後側の横ガスケット52は中央のロックプレート50と後側のロックプレート50との間の前後方向のほぼ全域に装着される(図6及び図7参照)。図5に示すように、被係合部86は、張出部62の車幅方向の内側面62aよりも車幅方向外側に形成され、該内側面62aよりも車幅方向内側へ突出しないので、ロックプレート50は、被係合部86と干渉することなく取り付けられる。
【0048】
本実施形態によれば、ロックプレート挿入溝71は、ロックプレート50の上端部50aの板厚と略等しい溝幅で上下方向に直線状に延びるので、ロックプレート挿入溝71の形成領域を最小限に抑えて、上ガスケット係合凹部72の幅及び上ガスケット51の係合部73の幅を広く形成することができ、係合状態の安定化や係合作業の効率化を図ることができる。
【0049】
長尺の上ガスケット51の係合部73を上ガスケット係合凹部72の端面開口から挿入してスライド係合させることができるので、上ガスケット51の装着作業性が向上する。
【0050】
また、係合部73の中央部分が薄肉状であること及びガスケット基部75が中空状である(内部が閉断面70である)ことによって、係合部73が曲折変形し易くなるので、係合状態の係合部73を上ガスケット係合凹部72から外す際の作業性も向上する。
【0051】
また、上ガスケット係合凹部72の幅が係合部73の幅よりも僅かに広く形成されているので、上ガスケット51の長手方向(前後方向)において伸張する部位と収縮する部位とが発生し難く、偏りが少ない状態で上ガスケット51をレールロアサイド41に装着することができる。
【0052】
また、横ガスケット52と係合する被係合部86を、レールロアサイド41に取り付けられるロックプレート50と干渉しないように張出部62の車幅方向の内側面62aよりも車幅方向外側に形成しているので、ロックプレート50の取付部分に対して被係合部86を部分的に切除する等の加工を施す必要がなく、ロックプレート50の取付作業性が向上する。
【0053】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【0054】
例えば、本実施形態では、ウイング屋根式の荷台を有するトラックを例示して説明したが、本発明は、ウイング屋根式の荷台を有するトレーラやセミトレーラに対しても適用可能である。
【0055】
レールロアサイド41をアルミ合金製としたが、他の金属製(例えば鋼製)としてもよい。
【0056】
中柱24の前後にそれぞれ煽り7を有する荷台1について説明したが、中柱24を備えず前後に分割されない煽りを備えた荷台であってもよい。
【0057】
また、上ガスケット51の係合部73を上ガスケット係合凹部72の端面開口から挿入してスライド係合させる場合について説明したが、係合部73を上ガスケット係合凹部72の端面開口から挿入せず、上ガスケット係合凹部72の中央開口79の外側に係合部73を合わせ、ローラ等によって上ガスケット51を上ガスケット係合凹部72に向けて外側から押圧して、係合部73を上ガスケット係合凹部72に係合させてもよい。この場合であっても、上ガスケット係合凹部72の幅及び係合部73の幅が広く形成され、且つ湾曲凹部77によって係合部73の中央部分が薄肉化されているので、係合部73が上ガスケット係合凹部72に係合し易くなり、係合作業の効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:荷台
3:前壁
4:後壁
5:センターフレーム
6:ウイング
7:煽り
8:前フレーム
11;後フレーム
17:天井面体
18:側方面体
21:荷室
22:ヒンジ
24:中柱
30:ルーフレールインナ(天井内縁部材)
31:ルーフレールアウタ(天井外縁部材)
32:ルーフレールフロント(天井端縁部材)
33:ルーフレールリヤ(天井端縁部材)
34:クロスルーフフレーム
35:ルーフシート(天井パネル)
40:レールアッパサイド(側面上縁部材)
41:レールロアサイド(側面下縁部材)
42:ポストサイドフロント(側面端縁部材)
43:ポストサイドリヤ(側面端縁部材)
44:クロスサイドフレーム
45:サイドシート(側面パネル)
50:ロックプレート
50a:ロックプレートの上端部
50b:ロックプレートの中間部
50c:ロックプレートの被ロック部
51:上ガスケット(上シール部材)
52:横ガスケット(横シール部材)
60:サイドフレーム結合部
61:上ガスケット取付部
62:張出部
63:横ガスケット取付部(横シール部材取付部)
67:上ガスケット取付外面部
68:上ガスケット取付内面部
69:レールロアサイド下面部
71:ロックプレート挿入溝
72:上係合凹部
73:係合部
75:ガスケット基部
76:舌部
78:タッピングネジ
82:ウイングロック装置
83:ハンドル
84:押え部材
85:煽りロック装置
86:被係合部
87:横係合凹部
88:係合突部
89:膨出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7