特許第6025289号(P6025289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6025289無人搬送車と在庫管理システムの連動システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025289
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】無人搬送車と在庫管理システムの連動システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   G05D1/02 L
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-48776(P2014-48776)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-172878(P2015-172878A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔
(72)【発明者】
【氏名】津坂 祐司
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亮暢
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 和俊
(72)【発明者】
【氏名】小出 光男
(72)【発明者】
【氏名】大桑 政幸
【審査官】 木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−098405(JP,A)
【文献】 特開平02−261800(JP,A)
【文献】 特開2013−237125(JP,A)
【文献】 特開2013−232078(JP,A)
【文献】 特開平11−116004(JP,A)
【文献】 特開2012−099033(JP,A)
【文献】 特開2012−093811(JP,A)
【文献】 特開2010−092147(JP,A)
【文献】 特開2001−088906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも倉庫の在庫状態に関するデータを記憶するためのデータベース及び前記在庫状態に関するデータの管理及び前記倉庫への荷の入出庫を搬送車に指示する在庫管理コンピュータを備えた在庫管理システムと、
前記搬送車として、環境地図を用いて移動し、前記荷を入出庫する少なくとも1台の無人搬送車と、
前記倉庫の在庫更新情報に基づき前記環境地図の地図情報を更新する地図管理部と
を備え、
前記無人搬送車は、レーザレンジファインダと、該レーザレンジファインダの計測に基づくレーザスキャンデータと前記環境地図とを用いて自己位置を推定する自己位置推定部とを備え
前記環境地図は、基本地図と部分地図とからなり、前記基本地図は前記倉庫内の不変箇所の位置及び形状を示し、前記部分地図は前記倉庫内に収容されている荷の数と同じ数を示し、前記荷の形状と前記荷の前記倉庫における置き位置とを示すことを特徴とする無人搬送車と在庫管理システムの連動システム。
【請求項2】
前記環境地図は、基本地図と部分地図とからなり、前記基本地図は前記倉庫内の不変箇所の位置及び形状を占有格子地図で示し、前記部分地図は前記倉庫内に収容されている荷の数と同じ数を示し、前記荷の形状と前記荷の前記倉庫における置き位置とを点の集合で近似して保持する請求項1に記載の無人搬送車と在庫管理システムの連動システム。
【請求項3】
前記地図管理部は、前記地図情報の更新を前記部分地図の更新により行う請求項2に記載の無人搬送車と在庫管理システムの連動システム。
【請求項4】
前記搬送車として有人搬送車を備え、前記地図管理部は、前記在庫管理システムが把握する前記有人搬送車の荷役作業の結果に基づき、前記地図情報を更新する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の無人搬送車と在庫管理システムの連動システム。
【請求項5】
前記地図管理部は、前記倉庫から前記荷が出庫されたとき、前記在庫管理システムの情報に基づき前記地図情報から前記出庫された荷の部分地図を削除する請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の無人搬送車と在庫管理システムの連動システム。
【請求項6】
前記環境地図は、少なくとも1つの基本地図と、個々の前記荷に対応する部分地図とからなり、個々の前記部分地図の範囲が予め定められており、前記地図管理部は、前記在庫管理システムの情報に基づき前記範囲の前記地図情報を更新する請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の無人搬送車と在庫管理システムの連動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車と在庫管理システムの連動システムに係り、詳しくは環境地図に基づいて移動する無人搬送車と在庫管理システムの連動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自己位置推定と環境地図作成による無人車(自律移動装置、ロボット等)の位置制御技術は既に存在する。また、無人車に搭載したレーザ投受光装置(レーザレンジファインダ、レーザ距離センサ)による環境地図における所定領域の形状測定と形状情報の地図への反映も存在する(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
また、無人搬送車、有人搬送車の入出庫作業に基づき、倉庫の在庫をリアルタイムに更新する在庫管理システムも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−92147号公報
【特許文献2】特開2012−93811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無人搬送車と有人搬送車が混在する作業環境では、搬送車自身(無人・有人を問わず)の入出庫による環境の変化が、無人搬送車の利用する環境地図には反映されず、無人搬送車が目的地に移動する際、想定外の位置に荷がある状況や、目的の荷が無い状況、さらにそのような想定外の環境変化により、無人搬送車の走行で必要となる自己位置推定の精度の低下が発生する可能性があった。
【0006】
また、在庫管理システムは、無人搬送車に入出庫を指示する場合、荷を入出庫すべき番地(中心座標)と荷姿(幅、奥行き、高さ)を指示するが、荷が有る状態でも荷が正規の位置に正しく置かれているとは限らない。そのため、無人搬送車は目的地で初めて地図情報の不整合を認識し、その後に地図を作成する処理をするために更新に時間を要したり、異常停止が発生する可能性がある。
【0007】
また、特許文献1及び特許文献2での地図更新のねらいは、予想不可能な環境変化への対応と考えられ、荷役によって定常的かつ明確に環境が変化する様な状況を想定していない。このため、地図の変更は基本的にロボットに搭載したセンサでの観測(計測)に基づき、観測地点へ行く前に地図の変更(更新)を行うことも想定されていない。
【0008】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、在庫管理システムの入出庫情報に基づき、無人搬送車が使用する環境地図をリアルタイムに更新することができる無人搬送車と在庫管理システムの連動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する無人搬送車と在庫管理システムの連動システムは、少なくとも倉庫の在庫状態に関するデータを記憶するためのデータベース及び前記在庫状態に関するデータの管理及び前記倉庫への荷の入出庫を搬送車に指示する在庫管理コンピュータを備えた在庫管理システムと、前記搬送車として、環境地図を用いて移動し、前記荷を入出庫する少なくとも1台の無人搬送車と、前記倉庫の在庫更新情報に基づき前記環境地図の地図情報を更新する地図管理部とを備え、前記無人搬送車は、レーザレンジファインダと、該レーザレンジファインダの計測に基づくレーザスキャンデータと前記環境地図とを用いて自己位置を推定する自己位置推定部とを備え、前記環境地図は、基本地図と部分地図とからなり、前記基本地図は前記倉庫内の不変箇所の位置及び形状を示し、前記部分地図は前記倉庫内に収容されている荷の数と同じ数を示し、前記荷の形状と前記荷の前記倉庫における置き位置とを示す。ここで、「環境地図」とは、例えば、無人搬送車に搭載したレーザースキャナから一定の高さの水平面において計測して求められる周辺配置物までの距離を把握できる座標データを意味する。
【0010】
この構成によれば、無人搬送車が使用する環境地図の地図情報が在庫更新情報に基づき更新される。そのため、在庫管理システムの入出庫情報が変更されると、環境地図がリアルタイムに更新される。したがって、在庫管理システムの入出庫情報に基づき、無人搬送車が使用する環境地図をリアルタイムに更新することができる。そのため、無人搬送車は入出庫の指示を受けた場合、倉庫に移動する前に最新の環境地図の地図情報を確認することにより、目的地で環境地図の更新に時間を要することが抑制される。
【0011】
前記環境地図は、基本地図と部分地図とからなり、前記基本地図は前記倉庫内の不変箇所の位置及び形状を占有格子地図で示し、前記部分地図は前記倉庫内に収容されている荷の数と同じ数を示し、前記荷の形状と前記荷の前記倉庫における置き位置とを点の集合で近似して保持することが好ましい。この構成によれば、基本地図のデータは倉庫が改造されない限り不変であり、環境地図の更新時に基本地図にノイズが含まれることが回避される。また、部分地図は、荷の形状と置き位置を示すデータを基にして、無人搬送車により計測されるためノイズが地図情報に含まれる可能性が低くなる。
【0012】
前記地図管理部は、前記地図情報の更新を前記部分地図の更新により行うことが好ましい。この構成によれば、環境地図を構成する基本地図及び部分地図の情報(データ)のうち、倉庫が改造されない限り不変である基本地図のデータを更新せずに部分地図のデータ更新のみを行うため、更新が簡単になる。
【0013】
前記搬送車として有人搬送車を備え、前記地図管理部は、前記在庫管理システムが把握する前記有人搬送車の荷役作業の結果に基づき、前記地図情報を更新することが好ましい。ここで、「荷役作業の結果」とは、有人搬送車による入庫完了あるいは出庫完了を意味する。
【0014】
この構成によれば、有人搬送車による入出庫作業により倉庫内の荷の状態が変化すると、環境地図の地図情報が更新される。但し、有人搬送車は無人搬送車と異なり、環境地図を使用せずオペレータ(作業者)の目視で移動して荷の入出庫を行うため、入庫の際における荷の正確な位置情報は無く、荷の位置は番地(中心座標)となる。しかし、従来と異なり、無人搬送車は有人搬送車による入出庫作業による環境地図の変化を把握することが可能になり、出庫作業の際に目的の荷が無い状況で倉庫へ移動したり、想定外の位置に荷があることにより目的の荷を取ることができず異常停止したりすることがなくなる。
【0015】
前記地図管理部は、前記倉庫から前記荷が出庫されたとき、前記在庫管理システムの情報に基づき前記地図情報から前記出庫された荷の部分地図を削除することが好ましい。この構成によれば、在庫管理システムからの、荷が無くなったという情報を元に部分地図を消去でき、これによって瞬時に地図を最新の状況に変更することができる。
【0016】
前記環境地図は、少なくとも1つの基本地図と、個々の前記荷に対応する部分地図とからなり、個々の前記部分地図の範囲が予め定められており、前記地図管理部は、前記在庫管理システムの情報に基づき前記範囲の前記地図情報を更新することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、部分地図の情報が複数の範囲に跨って存在するように更新されてしまう虞がない。また、地図情報の削除により部分地図を更新する際、該当する部分地図の範囲における地図情報を一括して削除することにより、更新を簡単に短時間で行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、在庫管理システムの入出庫情報に基づき、無人搬送車が使用する環境地図をリアルタイムに更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態の無人搬送車と在庫管理システムの連動システムの概略構成図。
図2】(a)は環境地図の模式図、(b)は基本地図の模式図、(c)は部分地図の模式図。
図3】WMSの動作を示すフローチャート。
図4】無人搬送車及び有人搬送車の動作を示すフローチャート。
図5】地図サーバの動作を示すフローチャート。
図6】(a)〜(d)は部分地図作成方法を説明する模式図。
図7】(a)〜(d)は環境地図更新を説明する模式図。
図8】別の実施形態の部分地図作成方法を示す概略斜視図。
図9】(a)は荷受け作業の状態を示す模式平面図、(b)は荷置き状態を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を平置き倉庫を対象としたシステムに具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。
図1に示すように、無人搬送車と在庫管理システムの連動システム(以下、単に連動システムと称す場合もある。)は、WMS(在庫管理システム)10と、搬送車としての無人搬送車20と、地図管理部31と、搬送車としての有人搬送車40とを備えている。
【0021】
WMS10は、在庫管理コンピュータ11及びメモリ12を備えている。在庫管理コンピュータ11は、図示しないCPUを備え、少なくとも倉庫50(図6(a)に図示)の在庫状態に関するデータを記憶するためのデータベース及び在庫状態に関するデータの管理と、無人搬送車20及び有人搬送車40に対する荷Wの入出庫の指示とを行う。メモリ12は、在庫データ13及び荷姿データ14を記憶する。
【0022】
在庫データ13は、荷Wの品番、番地及び中心座標を示すデータで構成されている。中心座標は、X座標、Y座標、Z座標の三次元座標で表される。なお、荷Wを一段で置く場合は高さ方向を示すZ座標は省略、あるいは零(0)で一定として二次元座標として表す。荷姿データ14は、荷Wの品番及び幅(W)、奥行き(L)、高さ(H)を示すデータで構成されている。
【0023】
WMS10と、無人搬送車20及び有人搬送車40とは無線にて通信できるようになっている。WMS10は、無線により無人搬送車20及び有人搬送車40に入出庫指示を与え、無線により無人搬送車20及び有人搬送車40からの入出庫作業完了報告を受けるようになっている。
【0024】
無人搬送車20は、図示しない駆動輪及び従動輪を備え、駆動輪をモータで駆動して移動する。無人搬送車20は、CPU21、運行管理部22、自己位置推定部23、環境地図24、運動観測用センサ25及び環境認識用のレーザセンサ26を備える。レーザセンサ26として、例えば、レーザレンジファインダが使用されている。運行管理部22及び自己位置推定部23はCPU21及び制御プログラムで構成されている。
【0025】
運行管理部22は、WMS10からの入出庫指示に基づき、無人搬送車20が待機位置から移動して入庫又は出庫を行った後、待機位置へ移動するように無人搬送車20の駆動輪やステアリングを制御する。
【0026】
運動観測用センサ25の観測データはオドメトリデータ27としてメモリに記憶される。レーザセンサ26の計測データはレーザスキャンデータ28としてメモリに記憶される。自己位置推定部23は、環境地図24及びレーザスキャンデータ28を用いて自己位置を推定する。運行管理部22は、環境地図24及び自己位置推定部23の自己位置推定結果に基づいて無人搬送車20の移動を制御する。即ち、無人搬送車20は環境地図24を用いて自律走行する。
【0027】
図2(a)に示すように、環境地図24は、基本地図24aと部分地図24bとからなる。図2(b)に示すように、基本地図24aは、倉庫50内の不変箇所の位置及び形状を示す。この実施形態における倉庫50は、図6(a)に示すように、矩形状の荷置きスペース51を囲むように壁52が存在し、壁52の中央に出入口53が存在する。
【0028】
各部分地図24bは、図2(c)に示すように、1個の荷Wの形状と、その荷Wの倉庫50における置き位置を示す。したがって、環境地図24は、1個の基本地図24aと、倉庫50内に収容されている荷Wの数と同じ数の部分地図24bで構成される。図2(a)は、倉庫50内に荷Wが満載された状態を示している。基本地図24aは、物体が存在するグリッドセルの値を1、存在しないセルの値を0とするような地図である占有格子地図を用いる。
【0029】
部分地図24bは、無人搬送車20あるいは有人搬送車40が倉庫50内に運搬、載置した荷Wの外形を、前述の占有格子地図上に射影したものであり、基本地図24aと同一座標系において、荷W毎に独立して登録・管理する。例えば、倉庫50内に50個の荷Wがある場合、50個の部分地図データがメモリ上に存在する。部分地図24bは、占有格子地図の形式で保持することもできるが、この実施形態では2次元点群(例:double x,y等)で表現する。即ち、荷Wの外形を点の集合で近似して保持する。
【0030】
自己位置推定部23による自己位置推定の基本的なアルゴリズムは、2次元地図とレーザスキャンとの照合によるものを前提としている。この実施形態では、文献(S.Thrun,W.Burgard,D.Fox,”確率ロボティクス”,毎日コミュニケーションズ,2007.(日本語版絶版)/Probabilistics Robotics(Intelligent Robotics and Autonomous Agents series),The MIT Press)等により公知であるモンテカルロ位置推定(モンテカルロローカライゼーション,MCL)と呼ばれる方法を用いている。
【0031】
地図管理部31は、WMS10及び無人搬送車20と別に設けられた地図サーバ30を構成し、地図サーバ30は地図データベース32を備えている。地図サーバ30は、WMS10及び無人搬送車20と無線にて通信できるようになっている。地図サーバ30は、各荷Wについて、倉庫50内に置かれた状態での作業空間座標系での位置・形状を記録する。地図サーバ30は、無人搬送車20が入庫作業を行って、荷Wの入庫が完了した状態における荷Wの位置を示すデータを無人搬送車20から受信し、地図管理部31により環境地図24の部分地図24bを更新して地図データベース32を更新する。
【0032】
次に前記のように構成された連動システムの作用を説明する。
図3に示すように、WMS10は、ステップS1で無人搬送車20あるいは有人搬送車40に荷Wの入出庫指示を行い、ステップS2で入出庫の結果を待つ。WMS10は、ステップS3で入出庫完了報告有りか否かを判断し、完了報告を受信するとステップS4で入出庫結果を地図サーバ30に出力する。即ち、WMS10は、入庫であれば入庫された荷Wの品番及び番地を、出庫であれば出庫された荷Wの品番及び出庫前の番地を無線で連絡する。次にWMS10は、ステップS5で入出庫完了報告に基づいて在庫データ13の更新を行い、1回の入出庫指示に伴う一連の作業が完了する。
【0033】
図4に示すように、無人搬送車20は、ステップS11でWMS10からの入出庫指示を待ち、ステップS12で入出庫指示有りか否かを判断する。無人搬送車20は、ステップS12で入出庫指示有りと判断するとステップS13に進み、入庫指示か否かを判断する。入庫指示であればステップS14に進み、荷受け位置まで移動して荷受けした後、倉庫50まで移動する。次に無人搬送車20は、ステップS15において、倉庫50で入庫作業を行い、入庫作業が終了すると完了報告を行う。完了報告は、WMS10に対する入庫作業完了報告の他に、地図サーバ30に対して、入庫した荷Wの位置情報、即ち部分地図24bのデータの送信を行う作業も含む。次に無人搬送車20はステップS16に進み、待機位置まで移動し一連の作業が終了する。
【0034】
無人搬送車20は、ステップS13において、入庫指示でないと判断すると、ステップS17に進み、倉庫50まで移動して倉庫50で出庫作業を行う。無人搬送車20は、ステップS18で出庫作業が終了すると、完了報告を行う。完了報告は、WMS10に対する出庫作業完了報告の他に、地図サーバ30に対して、出庫した荷Wの出庫前の位置情報を送信する作業も含む。この場合、出庫した荷Wの出庫前の位置情報は、倉庫50における番地となる。
【0035】
有人搬送車40も無人搬送車20と同様に、図4に示すフローチャートにしたがって動作を行う。但し、有人搬送車40は無人搬送車20と異なり、WMS10とのみ無線(車載端末あるいはハンディターミナル)で連絡を行う。即ち、有人搬送車40はオペレータの目視で移動するため、レーザセンサ26を備えておらず、無人搬送車20の場合と異なり、入庫した荷Wの位置情報を作成しないため、入庫作業を完了した後、地図サーバ30に対して、入庫した荷Wの位置情報の送信を行わない。
【0036】
図5に示すように、地図サーバ30は、ステップS21でWMS10及び無人搬送車20からの情報を待ち、ステップS22で入出庫情報有りか否かを判断する。WMS10からの情報には、入庫完了情報及び出庫完了情報がある。入庫完了情報は入庫された荷Wの品番、番地及び中心座標を示すデータを有する。出庫完了情報は出庫された荷Wの品番と出庫前の番地及び中心座標を示すデータを有する。また、無人搬送車20からの情報は、入庫された荷Wの位置情報、即ち部分地図24bのデータを有する。
【0037】
地図サーバ30は、ステップS22で入出庫情報有りと判断するとステップS23に進み、入庫情報か否かを判断する。入庫情報であればステップS24に進み、入庫情報がWMS10からの入庫完了情報と、無人搬送車20からの部分地図情報との両方である場合には、その部分地図情報に基づいて部分地図24bの作成及び登録(更新)を行う。また、入庫情報がWMS10からの入庫完了情報のみで無人搬送車20からの部分地図情報が無い場合は、有人搬送車40による入庫のため、荷Wの正確な位置情報がない。その場合、地図サーバ30は、WMS10からの入庫完了情報に基づいて部分地図24bの作成及び登録(更新)を行う。地図サーバ30は、荷Wが入庫指示された番地及び中心座標に存在するとして部分地図24bを作成する。そして、その部分地図24bは、地図サーバ30から無人搬送車20が環境地図24のデータを受信したときに、他の部分地図24bと識別可能な状態とする。
【0038】
次に地図サーバ30は、ステップS25において、新地図合成及び出力を行う。新地図合成とは、以前の環境地図24のデータに新たな部分地図24bのデータを加えた後、基本地図24aのデータと全ての部分地図24bのデータとで新たな環境地図24の合成(更新)を行うことである。そして、新たな環境地図24が完成すると、地図サーバ30は、無人搬送車20に対して新たな環境地図24のデータを無線で送信する。また、地図サーバ30は、ステップS23において、入庫情報でないと判断するとステップS26に進み、WMS10からの出庫完了情報に基づいて出庫された荷Wの番地及び中心座標に存在する荷Wの部分地図24bを削除する。次に地図サーバ30はステップS25に進み、新地図合成と出力を行う。
【0039】
したがって、無人搬送車20は、倉庫50の荷Wの状態が変化すると、直ちに最新の環境地図24を入手でき、最新の環境地図24を用いて入出庫作業を行うことができる。そのため、無人搬送車20は、倉庫50において入出庫作業を行う際の自己位置推定の精度が低下しない。
【0040】
次に無人搬送車20による部分地図24bの作成方法を説明する。説明を簡単にするため、荷Wの無い状態の倉庫50に入庫した場合を例にして説明する。
部分地図24bの作成は、所謂SLAM手法(Simultaneous Localization and Mapping )により無人搬送車20自身を走行させて作成する。図6(a)は、無人搬送車20が倉庫50内に荷Wを置いた後、後退している状態を示している。図6(a)に示すように、無人搬送車20は、荷Wの周辺をレーザで計測して、部分地図24bの元となる、荷Wの周辺の地図を作成する。図6(b)は、無人搬送車20が倉庫50の外まで後退し、向きを変えた状態を示している。この状態では、基本地図24aとなる倉庫50の壁の位置と、荷Wの位置を有する新地図が作成された状態になっている。
【0041】
次に従来の地図と図6(b)の新地図の双方を占有格子地図から2次元点群に変換し、ICP(Iterative Closest Point )と呼ばれる手法によりマッチング処理を行い、新地図と従来地図との差分を求めると、図6(c)に示すように、荷Wの位置を表すデータが残る。次に対象の荷降ろし場領域以外のデータを除去すると、図6(d)に示すように、部分地図24bが得られる。
【0042】
次に地図サーバ30による倉庫50に荷Wの無い状態からの環境地図の作成(更新)に付いて説明する。
倉庫50に荷Wのない状態では、図7(a)に示すように、環境地図24は基本地図24aのみで構成される。次に無人搬送車20により倉庫50内に荷Wが入庫され、その荷Wの位置情報、即ち部分地図24bのデータを無人搬送車20から地図サーバ30が受信すると、地図サーバ30は、部分地図24bの作成及び登録を行い、基本地図24aと部分地図24bとの合成を行う。その結果、図7(b)に示すように、環境地図24には基本地図24aに加えて1個の荷Wの部分地図24bが加えられる。
【0043】
以下、無人搬送車20及び有人搬送車40により入庫作業が行われると同様にして、部分地図24bの作成及び更新が行われ、図7(c)に示すように、環境地図24には入庫回数に対応した荷Wの数の部分地図24bが加えられる。なお、部分地図24bのうち入庫作業が有人搬送車40により行われた部分地図24bは、他の部分地図24bと識別可能となっている。
【0044】
図7(c)に示す状態から無人搬送車20あるいは有人搬送車40により出庫作業が行われ、WMS10から出庫完了情報を受信すると、地図サーバ30は、出庫された荷Wの部分地図24bのデータを地図データベース32から削除し、環境地図24を更新する。その結果、図7(d)に示すように、環境地図24は、図7(c)に示す状態から部分地図24bが1個削除された状態になる。
【0045】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)無人搬送車と在庫管理システムの連動システムは、少なくとも倉庫50の在庫状態に関するデータを記憶するためのデータベース及び在庫状態に関するデータの管理及び倉庫50への荷Wの入出庫を搬送車に指示する在庫管理コンピュータ11を備えたWMS(在庫管理システム)10を備える。また、搬送車として、環境地図24を用いて移動し、荷Wを入出庫する少なくとも1台の無人搬送車20と、倉庫50の在庫更新情報に基づき環境地図24の地図情報を更新する地図管理部31とを備える。
【0046】
この構成によれば、無人搬送車20が使用する環境地図24の地図情報が在庫更新情報に基づき更新される。そのため、WMS10の入出庫情報が変更されると、環境地図24がリアルタイムに更新される。したがって、WMS10の入出庫情報に基づき、無人搬送車20が使用する環境地図24をリアルタイムに更新することができる。そのため、無人搬送車20は入出庫の指示を受けた場合、倉庫50に移動する前に最新の環境地図24の地図情報を確認することにより、目的地で環境地図24の更新に時間を要することが抑制される。
【0047】
(2)環境地図24は、基本地図24aと部分地図24bとからなり、基本地図24aは倉庫50内の不変箇所の位置及び形状を示し、部分地図24bは荷Wの形状と荷Wの倉庫50における置き位置とを示す。この構成によれば、基本地図24aのデータは倉庫50が改造されない限り不変であり、環境地図24の更新時に基本地図24aにノイズが含まれることが回避される。また、部分地図24bは、荷Wの形状と置き位置を示すデータで構成されるため、無人搬送車20が周囲を計測した際における荷Wと関係のないノイズが地図情報に含まれる可能性が低くなる。
【0048】
(3)地図管理部31は、地図情報の更新を部分地図24bの更新により行う。この構成によれば、環境地図24を構成する基本地図24a及び部分地図24bの情報(データ)のうち、倉庫50が改造されない限り不変である基本地図24aのデータを更新せずに部分地図24bのデータ更新のみを行うため、更新が簡単になる。
【0049】
(4)搬送車として有人搬送車40を備え、地図管理部31は、WMS10が把握する有人搬送車40の荷役作業の結果に基づき、地図情報を更新する。この構成によれば、有人搬送車40による入出庫作業により倉庫50内の荷Wの状態が変化すると、環境地図24の地図情報が更新される。但し、有人搬送車40は無人搬送車20と異なり、環境地図24を使用せずオペレータの目視で移動して荷Wの入出庫を行うため、入庫の際における荷Wの正確な位置情報は無く、荷Wの位置は番地(中心座標)となる。しかし、従来と異なり、無人搬送車20は有人搬送車40による入出庫作業による環境地図24の変化を把握することが可能になり、出庫作業の際に目的の荷Wが無い状況で倉庫50へ移動したり、想定外の位置に荷Wがあることにより目的の荷Wを取ることができず異常停止したりすることがなくなる。
【0050】
(5)地図管理部31は、倉庫50から荷Wが出庫されたとき、WMS10の情報に基づき地図情報から出庫された荷Wの部分地図24bを削除する。この構成によれば、WMS10からの、荷Wが無くなったという情報(出庫完了情報)を元に部分地図24bを消去でき、これによって瞬時に地図を最新の状況に変更することができる。
【0051】
(6)環境地図24は、少なくとも1つの基本地図24aと、個々の荷Wに対応する部分地図24bとからなり、個々の部分地図24bの範囲が予め定められている。そのため、無人搬送車20が部分地図24bを作成する際、ICP手法によりマッチング処理を行い、新地図と従来地図との差分を求めた後、対象の荷降ろし場領域以外のデータを除去することにより、荷置きと関係の無い部分を観測した際のノイズが地図に含まれてしまう可能性が低い。
【0052】
(7)地図管理部31は、WMS10の情報に基づき部分地図24bの地図情報を更新する際、個々の部分地図24bの予め定められている範囲の地図情報を更新する。そのため、部分地図24bの情報が複数の範囲に跨って存在するように更新されてしまう虞がない。さらに、地図情報の削除により部分地図24bを更新する際、該当する部分地図24bの範囲における地図情報を一括して削除することにより、更新を簡単に短時間で行うことができる。
【0053】
(8)倉庫50における荷Wの位置情報は、入庫作業を行った無人搬送車20自身がレーザセンサ26で測定した結果に基づいて作成するため、部分地図24bの信頼性が高くなる。
【0054】
(9)有人搬送車40により入庫された荷Wに関する部分地図24bは、地図サーバ30がWMS10による入庫完了情報に基づいて、当該荷Wが入庫指示された番地及び注意新座標に存在するとして作成し、その部分地図24bは他の部分地図24bと識別可能な状態とする。この構成によれば、無人搬送車20が有人搬送車40により入庫された荷Wを出庫する際、当該荷Wの部分地図24bが正確ではないことを認識した状態で出庫作業を行うことができる。
【0055】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 部分地図24bをSLAMによらず作成してもよい。例えば、荷降し後、荷と無人搬送車20との関係が、図6(a)の様な状態において得られたレーザ計測の結果を元に、従来地図とのマッチング処理と差分抽出処理を用いて、荷W周辺の地図を作成できる。さらに部分地図24bの作成を無人搬送車20が備えたレーザセンサ26の計測データを使用せずに作成してもよい。例えば、図8に示すように、荷受け位置60の上方に設置したカメラ61を用いて部分地図24bを作成する。その作成方法は、カメラ61を用いて、荷Wと無人搬送車20を撮影し、図9(a)に示すように、無人搬送車20の基準座標系62での荷Wの外形63を記録する。図8に示すように、荷Wはパレット64の上に載置されており、図9(a),(b)に示すように、無人搬送車20はフォーク20aでパレット64を支持して荷Wを搬送する。また、無人搬送車20は、入出庫時における自己位置推定の際にレーザセンサ26により倉庫50内の距離を測定する。そのため、荷Wの外形63として荷置き後における無人搬送車20のレーザセンサ26の高さに相当する部分の外形63を用いる。そして、地図管理部は、図9(b)に示すように、無人搬送車20が荷Wを倉庫50内にパレット64に載置された状態で荷置きした状態において、無人搬送車20の位置及び姿勢を元に荷Wの外形63を、倉庫の壁52を基準にした座標系65、即ち基本地図24aと同一座標系に座標変換して部分地図24bのデータとして記憶する。この方法によれば、荷Wの外形63が矩形以外の場合も同様に部分地図24bを作成することができる。
【0056】
○ 前記実施形態では説明を簡単にするため、無人搬送車20及び有人搬送車40がそれぞれ1台の場合を例に説明したが、連動システムは、複数の無人搬送車20を備え、有人搬送車40も必要に応じて複数台設けられる。その場合、地図サーバ30は複数台の無人搬送車20から各無人搬送車20が入庫作業完了時に部分地図24bの最新情報を入力して環境地図24を更新し、更新した環境地図24のデータを各無人搬送車20に送信する。そのため、複数の無人搬送車20は、他の無人搬送車20と情報交換を行わなくても最新の環境地図24に基づいて入出庫作業の際に自己位置推定を円滑に行うことができる。
【0057】
○ 予め定められている個々の部分地図24bに対応する範囲は、個々の荷Wの置場を表す矩形としてもよい。フォークリフトの場合、一般に荷Wはパレット64上に載置されて搬送されるため、荷Wの置場は矩形が好ましい。
【0058】
○ 予め定められている個々の部分地図24bの範囲を、矩形である個々の荷の四辺それぞれとしてもよい。
○ 基本地図24aに占有格子地図を用いずに、レーザスキャンにより基本地図24aを作製してもよい。
【0059】
○ 地図管理部31を無人搬送車20が装備してもよい。無人搬送車20の台数が1台の場合は地図サーバ30を設けなくても、有人搬送車40の入出庫情報をWMS10から受信することで支障はない。また、無人搬送車20の数が複数でも少数の場合、無人搬送車20同士が、入庫作業時に各自が作成した部分地図24bの情報を無線で送受信することにより、各自の環境地図24を最新の環境状態に対応するものに更新することができる。
【0060】
○ 搬送車として有人搬送車40を備えずに無人搬送車20のみとしてもよい。
○ 自己位置推定方法はMCL法以外の方法であってもよい。
○ 搬送車(無人搬送車20及び有人搬送車40)は、パレットを用いて荷Wを搬送するフォークリフトに限らず、ロール紙やドラム缶のように円柱状(円筒状)の荷Wを直接保持するロールクランプを備えた構成であってもよい。
【0061】
○ パレットを用いる場合は、荷Wの置場はもちろん矩形が好ましいが、荷Wがロール紙やドラム缶のように円柱状の場合も、荷Wの置場を矩形(正方形)としても支障はない。
【0062】
○ パレットを用いて荷Wの搬送を行う場合は荷Wを重ねて載置しないが、例えば、荷Wがロール紙の場合、一部が使用された使用途中のロール紙と未使用のロール紙とが混在する状態で倉庫50内に保管する場合がある。その場合、未使用のロール紙の上に使用途中のロール紙を重ねた状態で載置する場合もある。
【0063】
○ 環境地図24は、少なくとも1つの基本地図24aと、個々の荷Wに対応する部分地図24bとから構成されていればよく、基本地図24aが複数存在してもよい。例えば、倉庫50として定期的に特定の一部の変更を行うことがある場合、基本地図24aは変更を行う可能性の有る部分に関する基本地図24a及び不変の部分に関する基本地図24aの複数で構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
W…荷、10…WMS(在庫管理システム)、11…在庫管理コンピュータ、20…搬送車としての無人搬送車、24…環境地図、24a…基本地図、24b…部分地図、31…地図管理部、40…搬送車としての有人搬送車、50…倉庫。
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